JP3636512B2 - ディスク再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD−ROMドライブ等のディスク再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータに内蔵されるCD−ROMドライブ等のディスク再生装置の開発が盛んに行われている。この種のディスク再生装置の代表的な例として、光ピックアップ、ディスクを駆動するための機構(ディスクモータ、ターンテーブル)等を内蔵したキャビネットから、光ディスクを搭載したトレーを水平方向(ディスク面の方向)に沿って出し入れ(ローディング/アンローディング)できるタイプのディスク再生装置がある。
【0003】
図21はトレーを出し入れする機構の例を示す図である。同図において、101は装置本体のキャビネット、102はキャビネット101に搭載されているモータ(図示せず)に連結された回転ギアである。また103はディスク105を搭載するトレーであり、このトレー103の搬送方向に沿った片側面には上記回転ギア102と噛合されるラックギア104が設けられている。すなわち、このトレー搬送機構は、モータの動力による回転ギア102の回転運動を、ラックギア104を通じてトレー103をキャビネット101に対して出し入れするための直線運動に変換するように構成されている。
【0004】
このようなトレー搬送機構においてトレー排出を行う場合、モータを起動させて回転ギア102を図中矢印方向に回転駆動する。トレー103が図21(b)に示す位置まで排出されると、キャビネット101の定位置に配置されたトレー検出スイッチ106によってこのことが検知され、その検知信号がコントローラに送られる。コントローラは検知信号を受信すると、所定時間が経過した後、モータへの電力供給を停止する。トレー103はその後も慣性力によって排出方向に移動し、図21の(c)に示す位置で停止する。
【0005】
しかしながら、このようなトレー搬送機構においては次のような課題がある。すなわち、近年、特にコンピュータの周辺機器として利用されるディスク再生装置は様々な姿勢(ディスクを水平に寝かせた姿勢や垂直に立たせた姿勢等)で設置される状況が増してきている。ディスク再生装置の姿勢は、トレー排出時、トレーとキャビネットとの接触面に発生する摩擦抵抗の差を生み出す。そしてこの摩擦抵抗の差は、上述したトレー搬送機構において、図22に示すように、トレーの最終的な引き出し量の差Gとなってそのまま現れる。なお、同図は、トレー排出時の抵抗摩擦が異なる2つのケース(例えばトレーを水平姿勢で排出する場合と垂直姿勢で排出する場合等)について、各々のトレー排出量を示したものである。同図について説明を補足すると、P1、P2、P3は各々、抵抗摩擦の小さいケース1において、トレー検出スイッチ106の検知位置、モータに制動力が付与された瞬間のトレー位置、トレーの最終的な停止位置である。またP1′、P2′、P3′は各々、抵抗摩擦の大きいケース2において、トレー検出スイッチ106の検知位置、モータに制動力が付与された瞬間のトレー位置、トレーの最終的な停止位置である。なお、図23に上記各ケース1、2のモータ駆動電圧の波形を示す。
【0006】
一般に、トレーを水平姿勢で搬送する装置の場合、トレーはキャビネットに少なくとも両側2点で支持されるのに対し、トレーを垂直姿勢で搬送する装置では実質的に下側の1点で支持されることになる。したがって、トレーを水平姿勢で搬送する装置の方がトレーとキャビネットとの接触面が広くなり、それだけトレー搬送時の摩擦抵抗が大きくなる。
【0007】
また、トレーを垂直姿勢で搬送する装置においても、前述したようにトレーの片側にラックギアを設けた装置の場合、ラックギアを上にした場合と下にした場合とでトレーの引き出し量に差が生じる。
【0008】
図24において、(a)はラックギアを上にした場合、(b)はラックギアを下にした場合の、各トレー排出の様子をトレーの傾きの状態を強調して示した図である。同図(a)において、トレー103はラックギア104を通じて伝達されたモータの力と自重によって引き出し側が下に傾いた状態で排出される。この場合、トレー103とキャビネット101とは上下2点で接触することになる。一方、同図(b)において、トレー103は、ラックギア104を通じて伝達されたモータの力によって、引き出し側が上に傾いた状態で排出されるが、トレー103がある程度の量排出されると、自重によってトレー103は傾きを補正する方向に回動し、最後には引き出し側を下に傾けた状態に落ち着く。このトレーの回動期間の抵抗摩擦は回動以前のそれに比べ小さいことから、トレーの回動期間とモータを停止してトレーを慣性力で移動させる期間とが交わる場合、両者のトレー引き出し量に差が生じることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のディスク再生装置においては、装置の姿勢によってトレー排出時のトレー引き出し量に大きな差が生じてしまうという問題があった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためのもので、装置の設置姿勢の違いなどによるトレー排出時のトレー引き出し量の差を大幅に低減することのできるディスク再生装置の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、ディスクを搭載したトレーを装置本体に対して出し入れするように搬送するトレー搬送機構と、トレー搬送機構を駆動するための動力源であるモータと、トレー搬送機構による前記トレーの排出のための搬送時、該トレーが所定の位置まで排出されたことを検知するための検知手段と、トレーの排出命令が与えられた時、モータに第1の駆動電圧を印加してトレーの排出のための搬送を開始させ、検知手段によって該トレーが所定位置まで排出されたことが検知されてから設定時間が経過した後、モータを減速するように該モータに第1の駆動電圧とは逆極性の第2の駆動電圧を印加するように制御するモータ制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明は、このように構成されているので、トレー排出時のトレーと装置本体との接触の仕方の違いによる抵抗摩擦の差がトレー排出時のトレー引き出し量の差となってそのまま現れることが解消される。すなわち、装置の設置姿勢の違いによるトレー排出時のトレー引き出し量をの差を大幅に低減することができる。またトレー搬送機構として、モータの動力を伝達するための回転ギアを装置本体の定位置に設け、且つこの回転ギアと噛合するラックギアをトレーの搬送方向に沿う一方の側面部に設けたディスク再生装置においては、ラックギアを上にして装置を設置するか下にして装置を設置するかでトレー排出時の抵抗摩擦に違いが生じるが、このようなトレー搬送機構を用いたものにおいても、本発明は、装置の設置姿勢の違いによるトレー排出時のトレー引き出し量の差を大幅に低減することができる。
【0013】
また本発明は、トレーの排出のための搬送を開始してから検知手段によってトレーが所定位置まで排出されたことが検知されるまでの時間を計時し、その計時時間に基づいて、トレーの所定位置への到達検知時刻からモータ制動力の付与開始時刻までの時間を最適に設定することで、より高精度な制御が可能となり、装置の設置姿勢の違いによるトレー排出時のトレー引き出し量の差を一層縮めることが可能になる。
【0014】
さらに本発明は、トレーの排出のための搬送を開始してから検知手段によってトレーが所定位置まで排出されたことが検知されるまでの時間を計時し、その計時時間に基づいて、モータに印加する第2の駆動電圧を最適に制御することで、より高精度な制御が可能となり、装置の設置姿勢の違いによるトレー排出時のトレー引き出し量の差を一層縮めることが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は光ディスク再生装置の外観を示す斜視図である。
【0017】
図1において、1はキャビネット、2は正面パネルである。正面パネル2には、光ディスクを搭載したトレー10を出し入れするための開口部3と、トレー10を排出させるための電気的指令を与えるためのイジェクトスイッチ4と、小穴5(故障によりトレー10の自動排出が不能になった時に、トレーを手動的に強制排出することを目的として針金等を挿入するための小穴5)が設けられている。 図2、図3、図4において、20はモールド樹脂製のフレームである。30はピックアップユニット(以降、PUユニットと呼ぶ。)である。40、41はフレーム20内にてトレー10及びPUユニット30を支持し、且つこれらの移動を案内するための一対のスライダである。
【0018】
フレーム20は、各スライダ40、41を矢印X−X′方向にスライド自在に支持するためのスライダ支持部21、21と、モータ取付部22(ディスクをローディングしたり、ディスクのクランプ解除を行うための動力源であるモータ23が取り付けられたモータ取付台22)と、連結部材取付部24(各スライダ40、41のスライド移動を同期させるための連結部材50(図6参照)が取り付けられた連結部材取付部24)と、クランパ取付部25(クランパ60を回転自在に保持するためのクランパ取付部25)を有する。
【0019】
トレー10は、光ディスク(図示せず)が搭載されるディスク搭載部11と、ディスク搭載部11に載せられた光ディスクの信号記録面の一部を露出するための窓12を有する。また、トレー10の両方の外側面にはスライダ係合突起13、13がそれぞれ設けられている。各突起13、13はそれぞれ、上記各スライダ40、41に設けられたガイド溝42、42(図5参照)に嵌め込まれている。これによって、トレー10はスライダ40、41上に、矢印X−X′方向に移動できるように支持されている。トレー10の片側の内側面にはラックギア14が設けられている。このラックギア14は上記ローディング用のモータ23と複数のギアを通じて連結されている。また、トレー10のディスク搭載部11の裏面には、位置決め用のピンホール15が設けられている。このピンホール15に、PUユニット30に設けられた固定ピン32が挿入されることによって、トレー10とPUユニット30との位置決め及び相互の固定が達成される。
【0020】
PUユニット30は、光ディスクの信号記録面から情報信号を読み取るための光ピックアップ31と、光ピックアップ31を光ディスクの半径方向に送るためのピックアップ送り機構33と、ディスク駆動機構(上記クランパ60との間で光ディスクを挟持しつつ光ディスクを回転駆動するためのターンテーブル及びディスクモータ34等から構成されるディスク駆動機構)と、これらを一体に支持するためのフレーム35と、その他プリント配線基板等とから構成される。フレーム35には上述した固定ピン32が設けられている。またフレーム35の両側面にはそれぞれ、上記各スライダ40、41に設けられたガイド孔43、44、45、46(図5参照)に挿通されるガイドピン36a、36b、36c、36dが設けられている。
【0021】
図5に示すように、各スライダ40、41は各々、ガイド溝42、42(トレー10の両側の外側面に設けられた各スライダ係合突起13、13と関係し合って、トレー10を矢印X−X′方向にスライド自在に支持するためのガイド溝42、42)と、2つのガイド孔43、44及び45、46を有する。
【0022】
各ガイド孔43、44及び45、46には各々、PUユニット30のフレーム35に設けられたガイドピン36a、36b及び36c、36dが挿入されている。これらガイド孔とガイドピンとの係り合いによって、PUユニット30は、各スライダ40、41のスライドと同時に昇降動作する。
【0023】
各スライダ40、41の下端にはラックギア47、48が各々設けられている。各ラックギア47、48は、図6に示すように、連結部材50のシャフト53の両端に固定されたギア51、52と噛み合っている。各スライダ40、41は、この連結部材50によって互いに連結され、且つ互いに同期してスライドするように構成されている。また、一方のスライダ41にはラックギア49が設けられている。
【0024】
クランパ取付部25は、図7に示すように、クランパ60が嵌め込まれる開口部と、この開口部に嵌め込まれたクランパ60を保持するための3つの爪部26、26、26とから構成される。クランパ60は、これら3つの爪部26、26、26と台座27との間に回転自在な状態で保持される。各爪部26は各々、テーパ状の先端部(クランパ60の装着時、クランパ60から圧力を受けて爪部26を弾性変形させるための先端部)と、クランパ押え面(クランパ60が離脱しないようにクランパ60を上から抑えるためのクランパ押え面)とから構成される。クランパ60は、ターンテーブル28に埋め込まれた金属と磁力結合されるマグネット(図示せず)を有している。
【0025】
図8に示すように、ディスク駆動機構は、ターンテーブル28と、このターンテーブル28を駆動するディスクモータ34と、センタリング部材37(ターンテーブル28上にスプリング29を介して装着され、光ディスクDをターンテーブル28上の中央に位置決めするためのセンタリング部材37)とから構成される。
【0026】
次に、この光ディスク再生装置における、トレーローディング、及びPUユニットの昇降動作について説明する。
【0027】
図9の(A)及び図10は、トレー10が排出されている時の状態を示している。これらの図に示すように、トレー排出時、PUユニット30の各ガイドピン36a、36b、36c、36dは各スライダ40、41に設けられたガイド孔43、44、45、46の上段の水平部(a)上にある。この時、ターンテーブル28とクランパ60とは離れている。一方、図10に示すように、トレー10に設けられたラックギア14は、クラッチギア64の第1のギア(b)と結合されている。
【0028】
トレー10のローディングは、ユーザが指等でトレー10を矢印X′方向に押すことによって開始される。トレー10が一定の距離移動したところで、このことがフレーム20に搭載されたスイッチ70によって電気的に検知され、その検知信号がコントローラに通知される。これによりコントローラはモータ23を起動するように制御する。モータ23が起動されることによって、クラッチギア64が矢印方向に回転し、これによってトレー10は自動的に内部に引き込まれる(ローディングされる)。
【0029】
トレー10の引き込み量が所定の距離に達すると、図11に示すように、トレー10の挿入側の端面10aが、回転レバー80の一端部81と当接する。この回転レバー80は、図4、図5にも示すように、フレーム20上に支軸82を介して回動自在に支持されている。回転レバー80は、一方のスライダ40を正面側(矢印X方向)に押し出すための他端部83を有している。したがって、トレー10の挿入側の端面10aに回転レバー80の一端部81が当接し、回転レバー80が矢印C方向に回動することによって、スライダ40は正面側(矢印X方向)へのスライド移動を開始する。スライダ40が移動すると、このスライダ40と連結部材50を介して連結されている他方のスライダ41もスライダ40と同期して矢印X方向にスライド移動する。
【0030】
図12に示すように、トレー10が、トレー10の端面16a、16bがフレーム20の面20cと当接する位置まで移動した時、トレー10のローディングが完了する。この時、図9の(B)に示すように、PUユニット30の各ガイドピン36a、36b、36c、36dが各スライダ40、41のガイド孔43、44、45、46の傾斜部(b)にある。即ち、PUユニット30はその昇降範囲のほぼ中間に存在する。
【0031】
この時、図12に示すように、スライダ40のラックギア49は、既にギア61と結合されている。従って、クラッチギア64、ギア61、ラックギア49を通じて伝達されるモータ23の動力によって、各スライダ40、41は矢印X方向に移動される。この時、クラッチギア64によってトレーローディング機構へのモータ23の動力は切断され、各スライダ40、41の昇降機構にのみ動力が伝達される。
【0032】
図13は各スライダ40、41の移動が完了した状態(ディスクのローディングが完了した状態)を示している。この時、図9(C)に示すように、PUユニット30の各ガイドピン36a、36b、36c、36dは各スライダ40、41のガイド孔43、44、45、46の下段の水平部(c)に位置している。この時、ターンテーブル28とクランパ60との間に光ディスクがクランプされる。さらに、この時、PUユニット30に設けられた固定ピン32が、トレー10に設けられたピンホール15に内に嵌り込み、これによって、トレー10とPUユニット30との上下方向及び前後左右方向の位置決めと相互の固定が達成される。 トレー10の排出はイジェクトスイッチ4を押すことによって開始される。コントローラはイジェクト検知信号を入力すると、モータ23をローディング時とは逆回転方向に駆動するように制御する。これにより、PUユニット30が図9(C)の位置(高さ)から図9(B)の位置(高さ)まで移動し、ディスクのクランプが解かれる。その後は、前述したローディング動作と全く逆の手順でトレー排出が行われる。トレー10が所定の位置まで排出された時、この事象はフレーム20に搭載されたトレー位置検知スイッチ70によって検知される。コントローラは、このスイッチ70からの検知信号を入力した時、モータ23への電力供給を次のように制御してモータ23の駆動を停止させる。
【0033】
図14にこのモータ23の制御系の構成を示す。コントローラ86は、ホストCPU99からのディスクのイジェクト指令S1、或いはイジェクトスイッチ4のON信号S2を入力すると、モータ駆動回路89にモータ制御信号S3を出力する。モータ制御信号S3はモータ駆動回路89にて増幅され、所定レベルのモータ駆動電圧となってモータ23に印加される。トレー10が所定の位置まで排出された時、この事象がトレー位置検知スイッチ70によって検知され、コントローラ86にその検知信号S4が出力される。コントローラ86は検知信号S4を受信するとタイムカウントを開始し、そのカウント値が設定値に達すると、モータ駆動回路89に対してモータ23を逆回転させるためのモータ制御信号S3を出力する。これによりモータ駆動回路89からモータ23に逆極性の駆動電圧が印加され、モータ23を減速するように該モータ23に対して制動力が付与される。ここで、逆極性の駆動電圧を印加する時間(図16のT時間)は、トレー10を慣性力で排出方向に移動するための運動エネルギーが僅かに残る程度に設定しておくことが好ましい。これは、モータ23の回転停止に至る程度以上の制動力をかけてしまうと、急停止による激しい衝撃がトレーに加わり、ディスクを損傷しかねないからである。
【0034】
図15はトレー排出時の抵抗摩擦が異なる2つのケース(例えば垂直姿勢で排出する場合とトレーを水平姿勢で排出する場合)について、本発明に係るモータ制御方式を採用した場合の各タイミングでのトレー排出量を示したものである。また図16は上記各ケースにおけるモータ駆動電圧の各波形図である。
【0035】
図15において、P1、P2、P3は各々、抵抗摩擦の小さいケース1において、スイッチ70によるトレー排出の検知位置(P1)、モータ23に制動力が加わった瞬間のトレー位置(P2)、トレーの最終的な停止位置(P3)である。またP1′、P2′、P3′は各々、抵抗摩擦の大きいケース2において、スイッチ70によるトレー排出の検知位置(P1′)、モータに制動力が加わった瞬間のトレー位置(P2′)、トレーの最終的な停止位置(P3′)である。また、図15及び図16において、t1、t2、t3は各々、抵抗摩擦の小さいケース1において、スイッチ70によるトレー排出の検知時刻(t1)、モータに制動力が加わった瞬間の時刻(t2)、トレーの最終的な停止時刻(t3)である。またt1′、t2′、t3′は各々、抵抗摩擦の大きいケース2において、スイッチ70によるトレー排出の検知時刻(t1′)、モータに制動力が加わった瞬間の時刻(t2′)、トレーの最終的な停止時刻(t3′)である。
【0036】
図15と従来例の図22とを比較すれば明らかなように、本実施形態の光ディスク再生装置によれば、モータ23の駆動を停止する前に、モータ23にそれまでと逆極性の駆動電圧を印加してトレーの搬送を停止させない程度の制動力をモータ23に加えることによって、各ケース1、2の最終停止位置P3、P3′の差Gは従来のものに比べて大幅に低減することが可能になる。
【0037】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
【0038】
図17及び図18に示すように、本実施形態におけるトレー排出時のモータ制御方式の特徴は、トレー10が所定位置まで排出されたことがトレー位置検知スイッチ70によって検知された時刻t1からモータ23の回転に制動を与える時刻t2までの時間(t2−t1)を可変設定できるようにした点にある。
【0039】
この可変時間(t2−t1)を設定する方法としては、コントローラ86が、モータ起動時刻t0からトレー10が所定位置まで排出されたことがトレー位置検知スイッチ70によって検知された時刻t1までの時間(t1−t0)を計時し、この計時時間に基づいて最適な時間(t2−t1)を求める、といった方法等が挙げられる。モータ起動時刻からスイッチ検知時刻までの時間(t1−t0)とトレー排出に伴う抵抗摩擦との間には比例的な関係が存在する。したがって、モータ起動時刻からスイッチ検知時刻までの時間(t1−t0)が長いほど可変時間(t2−t1)を長く設定すれば、各ケース1、2の最終停止位置P3、P3′の差Gをさらに縮めることが可能になる。
【0040】
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
【0041】
図19及び図20に示すように、本実施形態におけるトレー排出時のモータ制御方式の特徴は、モータ23に制動を与える時間T1を可変にした点にある。
【0042】
この制動時間T1を設定する方法としては、コントローラ86が、モータ起動時刻t0からトレー10が所定位置まで排出されたことがトレー位置検知スイッチ70によって検知された時刻t1までの時間(t1−t0)を計時し、この計時時間に基づいて最適な時間T1を求める、といった方法等が挙げられる。ここで、モータ起動時刻からスイッチ検知時刻までの時間(t1−t0)が短いほどトレー排出に伴う抵抗摩擦が小さいことから、時間(t1−t0)が短いほどモータ23に制動を与える時間T1を長く設定すれば、各ケース1、2の最終停止位置P3、P3′の差Gを第2の実施形態と同様にさらに縮めることが可能になる。
【0043】
また、この制動力の制御は、モータ23に印加する逆極性の駆動電圧のレベルを可変することによっても可能である。
【0044】
もちろん、上記2つの時間(t2−t1)と時間T1を共に可変設定できるように構成しても構わない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トレー排出の際、モータの駆動を停止する前にトレーを排出搬送を停止させない程度の制動力をモータに瞬間的に与えることで、装置の設置姿勢の違いによるトレー排出時のトレー引き出し量の差を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ディスク再生装置の外観を示す図
【図2】図1の光ディスク再生装置の内部を、キャビネットを外して裏側から示す図
【図3】図1の光ディスク再生装置のトレーを引き出した状態を示す図
【図4】図1の光ディスク再生装置の分解図
【図5】スライダと、トレー及びPUユニットとの結合関係を示す図
【図6】図1に示す光ディスク再生装置を表側より示す図
【図7】ディスククランプ機構の構成を示す図
【図8】ディスク駆動機構の構成を示す分解図
【図9】トレーローディングの動作を示す側面図
【図10】トレー排出時の状態を示す平面図
【図11】トレー引き込み途中の状態を示す平面図
【図12】トレー引き込み終了時の状態を示す平面図
【図13】ローディング完了及びディスククランプ完了の状態を示す平面図
【図14】モータ制御系の構成を示す図
【図15】本発明の第1の実施形態における、トレー排出時の抵抗摩擦が異なる2つのケースのトレー排出量を示す図
【図16】図15の各ケースにおけるモータ駆動電圧の波形図
【図17】本発明の第2の実施形態における、トレー排出時の抵抗摩擦が異なる2つのケースのトレー排出量を示す図
【図18】図17の各ケースにおけるモータ駆動電圧の波形図
【図19】本発明の第3の実施形態における、トレー排出時の抵抗摩擦が異なる2つのケースのトレー排出量を示す図
【図20】図19の各ケースにおけるモータ駆動電圧の波形図
【図21】従来技術に関するトレー搬送機構について説明するための図
【図22】従来技術における、トレー排出時の抵抗摩擦が異なる2つのケースのトレー排出量を示す図
【図23】従来技術における各ケースのモータ駆動電圧の波形図
【図24】トレーを垂直姿勢で搬送するディスク再生装置の課題を説明するための図
【符号の説明】
4……イジェクトスイッチ
10……トレー
23……モータ
70……トレー位置検知スイッチ
86……コントローラ
89……モータ駆動回路

Claims (4)

  1. ディスクを搭載したトレーを装置本体に対して出し入れするように搬送するトレー搬送機構と、
    前記トレー搬送機構を駆動するための動力源であるモータと、
    前記トレー搬送機構による前記トレーの排出のための搬送時、該トレーが所定の位置まで排出されたことを検知するための検知手段と、
    前記トレーの排出命令が与えられた時、前記モータに第1の極性の駆動電圧を印加して前記トレーの排出のための搬送を開始させ、前記検知手段によって該トレーが前記所定位置まで排出されたことが検知されてから設定時間が経過した後、前記モータを減速するように該モータに前記第1の駆動電圧とは逆極性の第2の駆動電圧を印加するように制御するモータ制御手段とを具備することを特徴とするディスク再生装置。
  2. 請求項1記載のディスク再生装置において、
    前記トレー搬送機構は、前記モータの動力を伝達するための、前記装置本体の定位置に回転自在に設けられた回転ギアと、
    前記回転ギアと噛合して該回転ギアの回転運動を直線運動に変換するためのラックギアであって、前記トレーの搬送方向に沿う一方の側面部に設けられたラックギアとを有することを特徴とするディスク再生装置。
  3. 請求項1または2記載のディスク再生装置において、
    前記モータ制御手段は、
    前記トレーの排出のための搬送を開始してから前記検知手段によって該トレーが前記所定位置まで排出されたことが検知されるまでの時間を計時する計時手段と、前記計時手段の計時時間に基づいて、前記設定時間として最適な時間を設定する時間設定手段とをさらに具備することを特徴とするディスク再生装置。
  4. 請求項1または2記載のディスク再生装置において、
    前記モータ制御手段は、
    前記トレーの排出のための搬送を開始してから前記検知手段によって該トレーが前記所定位置まで排出されたことが検知されるまでの時間を計時する計時手段と、前記計時手段の計時時間に基づいて、前記モータに印加する前記第2の駆動電圧を最適に制御する制動力制御手段とをさらに具備することを特徴とするディスク再生装置。
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