JP3635106B2 - 生体触媒による連続反応方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は酵素、微生物菌体などの生体触媒に基質を反応させて種々の有用物質を製造する方法において、反応を効率よく実施するための方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酵素、微生物菌体などの生体触媒は高い基質特異性を有すること、常温常圧下で効率よく触媒反応が進むことから、近年種々の有用物質の生産に利用されている。例えば、酵素あるいは酵素活性を有する微生物菌体を反応の溶媒に不溶の担体に結合あるいは担体で包括的に包むことあるいは限外ろ過膜などで仕切ることによって実質的に反応系外に出ないようにすることによって生体触媒とし、これを反応器に充填し、ここに基質液を連続的に供給することによって反応を行い、流出した反応液から種々の方法によって生成物を回収することが行われている。
【0003】
しかしながら、生体触媒を用いる反応においては、長期間の反応によって反応の活性が低下する事によって、反応器から流出した液中の残存基質濃度が上昇し、製品の純度や、製品コスト等の面から、ある一定期間反応を行った後、生体触媒の交換を行わざるを得ないのが現状である。このような活性低下は生体触媒が変性などの変化をうけやすいタンパク質から構成されている以上避け得ないことではあるが、生体触媒の交換を行うために連続反応を停止することは、経済的にも負担が大きい。特に発熱反応などの酵素活性が低下しやすい場合には、活性低下を避けるために反応熱の除去が行いやすい特殊な反応器を使用するなどの設備的な工夫が行われるが、このような場合でも生体触媒の交換もより頻繁に行わなければならない。このような方式で連続反応を行うと設備的な負担あるいは人件費の負担が大きくなってしまう。
【0004】
このような連続形式で有用物質を生産する方法の一つとして、特開昭60−87783では固定化増殖微生物を用いる連続醗酵方法として、生産性の低下した最終段のリアクタの固定化増殖微生物を先頭段に持ってくることによって、再活性化しながら連続醗酵する方法が提案されている。この方法では栄養分の不足、生産物による阻害などで生産性が低下したリアクタを先頭段にもってくることによって新鮮培地が供給されるようにし、それによって低下した生産性が回復できるとしている。しかしながら基質濃度が非常に高い生体触媒反応、又は酵素もしくは増殖能を失った菌体を用いる反応系においては、特開昭60−87783で提案されているような新鮮培地での再活性化などを行うことはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、酵素系が本来増殖能を有しない場合、又は酵素系をその増殖を許容しない条件下で用いる場合においても、長時間にわたり安定に連続的に酵素反応を行うことができる方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、連続生体触媒反応において酵素反応学的な見地から、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は酵素あるいは酵素活性含有物などの生体触媒が充填されている、少なくとも3個以上の反応器を直列に連結した装置を用いて連続生体触媒反応を行う際、各反応器の反応性の低下に応じて、最も反応性の低下した反応器の連結状態を変更し、残りの2個以上の反応器で連続反応を行いながら、反応性の低下した反応器の生体触媒を新鮮な生体触媒と交換し、交換後、反応器の連結の最後段になるように連結することを特徴とする生体触媒を用いた連続反応方法に関するものである。
【0007】
従って本発明は、生体触媒が充填され且つ3個以上直列に連結される反応器を用いて連続的酵素反応により基質を有用物質に転換する方法において、
(1)前記直列に連結された反応器の内最上流の反応器に基質を含有する反応媒体を導入し、そして最下流の反応器から有用物質を含有する反応済媒体を取り出し、
(2)前記直列に連結された反応器の内酵素活性が最も低下した生体触媒を収容する反応器を反応系から切り離し、該生体触媒を新鮮な生体触媒と交換し、次に
(3)上記(2)において新鮮な生体触媒を充填した反応器を反応系に最下流の反応器として導入し、そして
(4)前記(1)〜(3)の工程を複数回反復する、
ことを特徴とする方法を提供する。
【0008】
通常、前記(2)における酵素活性が最も低下した生体触媒を収容する反応器が、前記(1)における最上流の反応器である。本発明の方法は、酵素反応が発熱反応である場合に特に有用である。例えば、アスパルターゼまたはアスパルターゼ活性含有物を用いたフマル酸からのL−アスパラギン酸の製造反応や、酒石酸エポキシターゼまたは酒石酸エポキシターゼ活性含有物を用いたシスエポキシコハク酸からのL−酒石酸の製造反応などがあげられる。
【0009】
【具体的な説明】
本発明において、「生体触媒」という場合、反応に関与する酵素及び菌体のみならず、菌体破砕物、種々の程度に精製した酵素調製物、例えば硫酸アンモニウム塩析により分別した酵素調製物、アセトン等の有機溶媒沈澱により分別した酵素調製物等、種々の酵素活性含有物さらには上記の酵素及び/又は酵素活性含有物を種々の担体に固定化したものも含まれる。
【0010】
本発明は、生体触媒がそれ自体増殖能を有しないものである場合、例えば酵素や部分精製された酵素や菌体破砕物を使用する場合、あるいは菌体はそれ自体増殖能を有しているが実際には増殖しえない、又は死滅してしまう様な条件下で使用する場合に特に有用である。
本発明で扱う生体触媒反応では、通常は基質濃度が高いため、微生物は実質的に死滅しており、一般の醗酵での生産物阻害や、代謝老廃物などによる生産性の低下などの問題はないが、その一方、微生物が死滅しているため反応に必要な酵素は種々の要因によってその活性を失い、反応器の反応性が低下する。このような酵素の失活の要因の中で、大きな影響を与えるものとして反応温度があげられる。酵素はタンパク質で構成されており、反応に必要な構造を維持するためには一定以下の温度で反応を行う必要がある。
【0011】
しかしながら、反応が発熱反応の場合には、一定温度を保つために冷却などの操作が行われるが、生体触媒を反応器に充填して用いる場合には、効率良く冷却するのが非常に困難であり、冷却が十分に行えないために反応活性が低下してしまうことがしばしば起こる。一般的には、反応速度面からは、反応温度が高い方が反応速度も大きく、生産性が良くなるが、先に述べたように反応温度が高いと、生体触媒の活性低下も大きくなるため、生体触媒の交換を頻繁に行わなければならなくなる。
【0012】
そこで本発明では酵素反応学的な見地から生体触媒を利用した発熱反応の場合、反応速度の非常に大きい条件の第1反応器(最上流の反応器)とそれよりも反応速度が小さい第2、第3の反応器等複数の反応器を用いて連続反応を行う。
通常、直列に連結した反応器で生体触媒を用いて反応を行う場合、各反応器の通液速度は同じになる。一方、酵素反応的には、基質濃度が低くなると、反応速度も低下する。
【0013】
よって、複数の反応器を直列に連結した場合、高濃度基質が流入する最上流の反応器の反応速度が最も大きく、後段になるほど反応速度は小さくなる。すなわち、発熱反応の場合、最上流の反応器で最も発熱が大きく、後段になるほど発熱が小さくなる。
従って、最上流の反応器では生体触媒の活性低下も大きくなるが、基質濃度が高いため、反応速度は比較的大きく保つことができる。第2反応器ではある程度反応が進み、基質濃度が低下した液が流入する。
【0014】
ここでは第1(最上流)反応器ほどの速度の反応は起こらず、よって発熱も第1反応器ほど大きくない。そのため生体触媒の活性低下も第1(最上流)反応器より小さくなる。しかしながら、基質濃度が低くなるため、反応を進めるためには、第1(最上流)反応器よりも反応活性の高い生体触媒が必要となる。
同様にして、第3反応器ではさらに基質濃度の低い液が流入するため、発熱による生体触媒の活性低下はあまりないが、反応を完結させるためには生体触媒の反応活性としては第2反応器以上の活性のものが必要となる。
【0015】
このような条件を整理してみると、第1反応器では生体触媒の活性低下が起こっても、基質濃度が高いため比較的反応速度を大きく保つことができる。また後の反応器ほど基質濃度が低くなるので、反応を完結させるためには、反応活性の高い生体触媒が必要になるが、ここでは前の反応器ほど反応速度が大きくないので、生体触媒の活性低下は比較的小さくなる。
【0016】
以上のような観点で生体触媒を用いた連続発熱反応を行う方法を提供する。すなわち生体触媒の活性低下が起きやすい第1(最上流)反応器の反応性が低下した際に、その生体触媒を反応活性の高いもの(新鮮なもの)に交換した後、反応を完結させるために必要な反応器として最終段(最下流)に持っていくことによって、連続反応を停止させることなく、また酵素反応学的にも理想の状態で反応を行うことができる。
【0017】
具体的には、反応とともに活性が低下した最上流の反応器の生体触媒を活性の高いもの(新鮮なもの)に交換後、最終段(最下流)に連結することの繰り返しで、常に活性の最も高い反応器が最終段になっており、前段にすすむほど活性が低い反応器になっている。このような構成では、活性低下を前提として反応速度を大きくし、反応をある程度進めるための第1(最上流)反応器と、基質濃度が低くなるため反応速度がそれほど大きくないが活性低下の小さい、反応を完結させるための反応器を組み合わせることによって生体触媒の活性低下と反応速度の面から、生体触媒を無駄なく、最大限利用することができるようになる。
【0018】
以下に本発明の方法について図面をまじえて実施態様を説明するが、本発明はかかる実施態様のみに限定されるものではない。
生体触媒を充填した3個以上の反応器を直列に連結した装置を用い、最上流の反応器に基質液を連続的に供給して有用物質を生産する際、所定期間後に最上流の反応器の生体触媒を活性の高いものに交換後、最下流の反応器になるように反応器相互の連結状態を変更することによって行う。
【0019】
このような連続反応方法において、各反応器に要求される条件として以下のようなことがあげられる。まず最上流の反応器では、流入した基質液の大部分を反応させるように供給速度を調節する。この反応器では反応の大部分を行うため発熱量も大きく、よって生体触媒の活性低下も比較的大きい。そのため所定期間経過後、生体触媒を交換した後、最後段に接続する。
【0020】
第2段以下の反応器では基質濃度が低くなった条件下で反応の転化率を平衡状態にまで高めるために第1反応器よりも高い生体触媒活性が必要となる。
以下に図面に基づいて説明する。
第1図は多段直列反応装置の概略図であり、(A),(B)及び(C)は反応器であり、生体触媒が充填されている。これらの反応器に基質液供給管(1)が開閉弁(4)を介して接続されており、前段の反応器の流出液が順次後段の反応器に供給管(2)によって開閉弁(5)を介して相互に連結されている。また各反応器には反応終了液の抜き出し管(3)が開閉弁(6)を介して接続されている。
【0021】
この装置を用いて、基質液供給管の開閉弁(4b)及び(4c)を閉じ、反応器相互の供給管の開閉弁(5c)を閉じ、反応終了液の抜き出し管の開閉弁(6a),(6b)を閉じると、基質液が反応器(A)に入り反応器(B)を経て、反応器(C)から反応終了液が得られる。このように連結された反応器では、最初の反応器である(A)では基質濃度が高いため、反応速度が大きいが、反応にともなう発熱が大きいため、生体触媒の活性低下も大きくなる。
【0022】
それに対して反応器(B)及び(C)では順次発熱も小さくなるため生体触媒の活性低下も小さくなる。一定期間後、反応器(A)の生体触媒の活性が低下してきたら、供給管の開閉弁(5a)を閉じ、基質供給管の開閉弁(4a)を閉じるとともに、開閉弁(4b)を開ける。そうすると基質液が反応器(B)に供給され、反応器(C)から反応終了液が得られるようになる。このようにして連続反応系のラインからはずした反応器(A)の生体触媒を活性の高い新しいもの(新鮮なもの)に交換した後、供給管の開閉弁(5c)を開けるとともに、反応終了液の抜き出し管の開閉弁(6a)を開け、(6c)を閉じる。
【0023】
次に反応器(B)の反応活性が低下してきたら、連結状態を変えることによって連続反応系から反応器(B)をきりはなし、生体触媒を交換後、反応器(A)の後に連結することによって、活性の最も高い反応器が最後段に位置するようにする。以下同様に反応器(C)をきりはなし、生体触媒を交換後、反応器(B)の後ろに連結する。このように生体触媒の活性が低下した反応器を(A),(B),(C)の順に連続反応系からきりはなし、生体触媒を交換後、連続反応系の下流に連結する。
【0024】
このように連結を変え、最上流の反応器の生体触媒を交換後、最下流に連結することによって、連続反応を停止せずに生体触媒の交換を行い、活性の高い反応器(新鮮な生体触媒)を常に最後段に位置させる。そうすることによって、生体触媒の活性低下、反応速度の両面からその触媒機能を十分に活用できるようになる。
【0025】
本発明において使用できる生体触媒は、連続反応が行えるものであればいずれでも使用できる。例えば酵素や酵素活性含有物を種々の担体に固定化したもの、また酵素活性含有物を固定化せずに、用いることもできる。例えば、反応器を工夫する事によって実質的に生体触媒が反応器の外に漏れでないようにすることによって、反応器中にとどまるようにすればよい。好ましい固定化担体としてはイオン交換樹脂、セルロース等の吸着体、寒天ゲル、カラギーナン、アルギン酸ゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコールゲル、カゼインゲル、マンナンゲルなどの包括体等があげられる。これらの担体に酵素を吸着、あるいは酵素や微生物菌体を包括的に固定化する事によって固定化生体触媒を調製することができる。
【0026】
これらのなかでも、イオン交換樹脂やカラギーナン、寒天ゲル、マンナンゲルなどが特に好適である。
また、酵素活性含有物をそのまま用いる場合には、反応器の出口に市販の限外濾過膜モジュールなどを装備し、反応器から抜きだした液が限外濾過モジュールを通った後、酵素活性含有物は反応器に循環され、流出液が次の反応器に供給されるようにすればよい。
【0027】
また本発明に使用できる反応器は生体触媒が実質的に漏れ出ない形式のものであればとくに限定されないが、ジャケットや冷却コイル、外部循環冷却装置などの冷却装置が装備されているか、または反応器全体を恒温槽中に入れるなどの方法によって、冷却が行えるようにしたものを用いるほうが望ましい。また反応器の間に熱交換器を挿入することも可能である。
【0028】
【実施例】
次に本発明の方法を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1.
2Lジャーファーメンターにフマル酸20g、リン酸1カリウム1g、硫酸マグネシウム7水塩0.5g、酵母エキス20g、コーンスティープリカー20gを水に溶解し、pHをアンモニアで6.8に調節した培地1Lを仕込み滅菌した後、別に500ml振盪フラスコに同上の培地50mlをいれて培養しておいたEscherichia coli ATCC 11303を接種し、37℃で通気攪拌培養した。培地中有のフマル酸が消失した時点で培養液に酢酸を加え、pHを5に調節し、45℃で1時間放置後、培養液を遠心分離にかけ、菌体を分離した。
【0029】
この菌体を40℃の3%カラギーナン水溶液100mlに加えて混合し、2%塩化カリウム水溶液500ml中にシリンジから滴下して直径約4mmの球状ゲルとした。このゲルを固定化生体触媒として用い、その40mlを図−1に示す3個の反応器(直径3cm、長さ8cm)それぞれに充填し、反応器全体を35℃の恒温器に入れ、1L中にフマル酸200g、硫酸マグネシウム7水塩0.2gを含有するフマル酸アンモニウム水溶液(pH8.3)を24ml/hrの速度で流通させて連続反応を行った。連続反応を開始するにあたって基質液が反応器(A)から(B),(C)に流通するように開閉弁をセットしておいた。
【0030】
反応開始時には反応器(A)の流出液中の残存フマル酸濃度は4%であり最終反応器(C)の流出液中のフマル酸濃度は0.18%であった。反応開始から14日目に反応器(A)の流出液の残存フマル酸濃度が6%に上昇していた。
このとき最終反応器(C)の流出液中の残存フマル酸濃度は0.18%であった。さらに反応を継続し反応開始から30日目には反応器(A)の流出液中のフマル酸濃度が10%にまで上昇し、最終反応器(C)の流出液中の残存フマル酸濃度は0.35%に上昇していた。
【0031】
この時点で開閉弁を操作して反応器相互の連結状態を変え、反応器(A)を連続反応系からきりはなすとともに、反応器(A)の固定化生体触媒を新しいものと交換し、反応器(C)の後ろに位置するように開閉弁を操作して連結状態を変えた。この操作で基質液は反応器(B)から(C),(A)を通って通液されるようになった。この状態で連続反応を継続し、連結状態を変えてから20日目に反応器(B)を連続系からきりはなし、生体触媒を交換すると共に、反応器(A)の後ろに位置するように再度連結した。このようにして、20日ごとに先頭の反応器の生体触媒を新しいものと交換しながら連続反応を続けた結果、6ケ月にわたって転換率98.5モル%以上で連続反応を行うことができ、残存フマル酸濃度の上昇もみられなかった。
【0032】
比較例1.
実施例1と同様の方法で固定化生体触媒を調製し、同様に3個の反応器に充填し、反応器全体を37℃の恒温器に入れ、1L中にフマル酸200g、硫酸マグネシウム7水塩0.2gを含有するフマル酸アンモニウム水溶液(pH8.3)を24ml/hrの速度で流通させる連続反応を行った。連続反応を開始するにあたって基質液が反応器(A)から(B),(C)に流通するように開閉弁をセットしておいた。反応開始時には反応器(A)の流出液中の残存フマル酸濃度は4%であり最終反応器(C)の流出液中のフマル酸濃度は0.18%であった。反応開始から30日目に反応器(A)の流出液の残存フマル酸濃度が10%に上昇していた。このとき最終反応器(C)の流出液中の残存フマル酸濃度は0.3%に上昇していた。
【0033】
この時点で開閉弁を操作して反応器相互の連結状態を変え、反応器(C)を連続反応系からきりはなすとともに、反応器(C)の固定化生体触媒を新しいものと交換し、反応器(A)の前に位置するように開閉弁を操作して連結状態を変えた。この操作で基質液は反応器(C)から(A),(B)を通って通液されるようになった。この状態で連続反応を継続したが、連結状態を変えてから7日目に反応器(B)からの流出液中のフマル酸濃度が0.39%となった。そこで反応器(B)を連続系からきりはなし、生体触媒を交換すると共に、反応器(C)の前に位置するように再度連結した。このようにして、連続運転を継続した。流出液中のフマル酸濃度を0.3%以下に保って連続反応するためには5日ごとに固定化生体触媒の交換を行わなければならなかった。
【0034】
実施例2.
アシネトバクター タルタロゲネス(Acinetobacter tartarogenes ATCC 31105)を1L当たり、シスエポキシコハク酸2ナトリウム5g、硫酸アンモニウム3g、リン酸1カリウム1.5g、リン酸2ナトリウム1.5g、硫酸マグネシウム・7水塩0.5g、硫酸鉄・7水塩10mg、塩化カルシウム・2水塩10mg、硫酸マンガン・4水塩20mg、酵母エキス0.1gを含有する液体培地(pH6.2)100mlに接種し、30℃、24時間振盪培養し、これを上記と同組成の培地3Lを仕込んだ5Lジャーファーメンターに接種して30℃で通気攪拌培養を行った。培地中の有機酸濃度が0.01%以下に低下した時点で培養液を遠心分離し、菌体を分離した。
【0035】
この菌体を40℃の3%カルギーナン水溶液100mlに加えて混合し、2%塩化カリウム水溶液500ml中にシリンジから滴下して直径約4mmの球状ゲルとした。このゲル40mlを固定化生体触媒として図−1に示す3個の反応器(直径3cm、長さ8cm)に充填し、反応器全体を28℃の恒温器に入れ、1L中にシスエポキシコハク酸を200gを含有するシスエポキシコハク酸2ナトリウム水溶液(pH8.0)を20ml/hrの速度で流通させて連続反応を行った。
【0036】
連続反応を開始するにあたって基質液が反応器(A)から(B),(C)に流通するように開閉弁をセットしておいた。反応開始時には反応器(A)の流出液中の残存シスエポキシコハク酸濃度は5%であり最終反応器(C)の流出液中のシスエポキシコハク酸濃度は0.1%以下であった。反応開始から7日目に反応器(A)の流出液の残存シスエポキシコハク酸濃度が7%に上昇していた。このとき最終反応器(C)の流出液中の残存シスエポキシコハク酸濃度は0.2%であった。
【0037】
さらに反応を継続し反応開始から14日目には反応器(A)の流出液中のシスエポキシコハク酸濃度が12%にまで上昇し、最終反応器(C)の流出液中の残存シスエポキシコハク酸濃度は0.4%に上昇していた。この時点で開閉弁を操作して反応器相互の連結状態を変え、反応器(A)を連続反応系からきりはなすとともに、反応器(A)の固定化生体触媒を新しいものと交換し、反応器(C)の後ろに位置するように開閉弁を操作して連結状態を変えた。この操作で基質液は反応器(B)から(C),(A)を通って通液されるようになった。
【0038】
この状態で連続反応を継続し、連結状態を変えてから14日目に反応器(B)を連続系からきりはなし、固定化生体触媒を交換すると共に、反応器(A)の後ろに位置するように再度連結した。このようにして、14日ごとに先頭の反応器の固定化生体触媒を新しいものと交換しながら連続反応を続けた結果、以後3ケ月にわたって転換率97.5モル%以上で連続反応を行うことができ、残存シスエポキシコハク酸濃度は常に0.5%以下であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の方法を実施するための装置の一例を示す。
【符号の説明】
A,B,C…反応器
1…基質液供給管
2…反応器間供給管
3…反応終了液抜き出し管
4…基質供給管用開閉弁
5…反応器間開閉弁
6…反応終了液抜き出し管用開閉弁

Claims (5)

  1. 生体触媒が充填され且つ3個以上直列に連結される反応器を用いて連続的酵素反応により基質を有用物質に転換する方法において、
    (1)前記直列に連結された反応器の内最上流の反応器に基質を含有する反応媒体を導入し、そして最下流の反応器から有用物質を含有する反応済媒体を取り出し、
    (2)前記直列に連結された反応器の内酵素活性が最も低下した生体触媒を収容する反応器を反応系から切り離し、該生体触媒を新鮮な生体触媒と交換し、次に
    (3)上記(2)において新鮮な生体触媒を充填した反応器を反応系に最下流の反応器として導入し、そして
    (4)前記(1)〜(3)の工程を複数回反復する、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記(2)における酵素活性が最も低下した生体触媒を収容する反応器が、前記(1)における最上流の反応器である、請求項1に記載の方法。
  3. 生体触媒を固定化して用いる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記反応が発熱反応である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記反応がアスパルターゼまたはアスパルターゼ含有物を用いたフマル酸からのL−アスパラギン酸の製造反応である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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