JPH05137585A - エリスリトール連続培養法 - Google Patents

エリスリトール連続培養法

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JPH05137585A
JPH05137585A JP30640291A JP30640291A JPH05137585A JP H05137585 A JPH05137585 A JP H05137585A JP 30640291 A JP30640291 A JP 30640291A JP 30640291 A JP30640291 A JP 30640291A JP H05137585 A JPH05137585 A JP H05137585A
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erythritol
culture
bacterial cells
nitrogen content
cells
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JP30640291A
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Toshihiro Maeda
敏弘 前田
Makoto Shida
誠 志田
Shuichi Abe
修一 安部
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Mitsubishi Kasei Corp
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Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エリスリトール生産菌を用い、菌体の窒素含
有率を2.5〜4.5%に維持しながら連続培養を行う
ことを特徴とするエリスリトール連続培養法。 【効果】 本発明によれば、菌体の窒素含有率を特定範
囲内に制御することにより、エリスリトール収率を向上
させることができる。供給基質液の炭酸源と窒素源の濃
度比により菌体の窒素含有率は容易に制御でき、培養中
の運転コントロールが容易なので、工業的に利用しやす
く産業に寄与するところ大である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエリスリトール連続培養
法に関し、特に回分培養法に比べて高い生産速度を有し
高収率でエリスリトールの大量生産が可能な条件で連続
培養を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エリスリトールの製造方法としては、回
分培養法によるもの、例えば、オーレオバシディウム菌
によるもの(特公平3−43091)、キャンジダ菌に
よるもの(特公昭47−41549)、モニリエラ菌に
よるもの(特公昭60−110298)等が知られてい
る。エリスリトールを短時間で効率よく生産するために
は、エリスリトール生産菌の菌体濃度(以下「菌体濃
度」とは、培地1リットル当たりに含まれる、培地中の
菌体の乾燥固形分の重量(g)を意味する。)として、
50g/l程度を必要とする。しかし、回分培養法では
エリスリトールを生産する菌体を、その都度、種菌量と
して菌体濃度1〜2g/lから分裂増殖させて作り出さ
なければならず、原料である基質のかなりの部分が、エ
リスリトール生産用でなく、菌体生産用に消費されてし
まうので、エリスリトール収率には上限があり40〜4
8%程度に過ぎない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ほぼ増殖し終えた菌に
基質を連続的に供給して、エリスリトールを優先的に生
産させるように制御し収率を上げる方法として連続培養
法がある。しかし、連続培養法でも菌体の新生更新は必
要であるので、最小限の増殖はさせなければならず、基
質の供給が必要である。
【0004】菌体の増殖による基質の消費を必要最小限
に押さえつつ、エリスリトールを高収率で生産させるた
めに、培養を制御する指標としていまだ最適なものはな
かった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実情に
鑑み、連続培養時にエリスリトールを高収率で生産させ
るための制御因子について種々検討した結果、注目すべ
き指標として菌体の増殖に対しては、単位菌体濃度当た
りの増殖速度である菌の比増殖速度(μ)を、エリスリ
トールの生産性に対しては、単位菌体濃度当たりのエリ
スリトール生産速度であるエリスリトール比生産速度
(ε)を指標として着目すればよいことを見い出した。
そして更に、菌体の窒素含有率がこの両指標に密接に相
関する重要な因子であり、エリスリトールを高収率で生
産させるための制御因子となることを見い出して本発明
に到達した。
【0006】即ち、本発明の要旨は、エリスリトール生
産菌を用い、菌体の窒素含有率を特定範囲内に維持しな
がら連続培養を行うことを特徴とするエリスリトール連
続培養法に存する。以下に、本発明のエリスリトール連
続培養法及びその制御因子の相関関係について詳細に説
明する。
【0007】連続培養を、培地中の溶存酸素濃度(以下
DOと略記する)を0.5〜3ppmに維持して行う
と、基質の炭素源(グルコース等)は、エリスリトール
生産用と菌体増殖用とに、ほぼすべてが変換される。し
たがって、エリスリトールの収率を最大にするには、エ
リスリトール生産活性を落とさない範囲で菌体増殖を最
低限に抑え、できるだけ多くの基質炭素源をエリスリト
ール生産用として消費させる必要がある。
【0008】菌体の増殖に対しては、比増殖速度(μ)
が、エリスリトール生産活性に対しては、エリスリトー
ル比生産速度(ε)が指標となる。すなわち、エリスリ
トール収率を上げるためには、μをできるだけ下げると
同時に、εをできるだけ上げるように制御すればよい。
更に、μとεの制御について種々検討した結果、菌体の
窒素含有率が、この両指標に密接に相関する因子であ
り、エリスリトールの収率の制御因子となることが、次
に述べるように見い出された。
【0009】ここで、本発明における「菌体の窒素含有
率」とは、菌体の乾燥固形分中に含まれる窒素を重量%
で表したものを示す。菌体の窒素含有率の測定法として
は、培地中の菌体を遠心分離等で集菌し、洗浄した後に
乾燥させたものを用いて、通常の元素分析法などにより
測定することが出来る。窒素は菌体中のタンパク質、酵
素等の主要構成元素であるから、その含有率は前記の2
つの指標(μ、ε)に密接に相関する重要な因子であ
る。
【0010】菌の比増殖速度μは菌体の窒素含有率が低
いほど低下し、両者には正の相関性がある(図−2、図
−4参照)。エリスリトール比生産速度εについても、
菌体の窒素含有率とは正の相関性があるが、逆に菌体の
窒素含有率がオーレオバシディウム菌で2.5%以下、
キャンジダ菌で3.5%以下になると、エリスリトール
比生産速度εが急に低下する傾向がみられた(図−3、
図−5参照)。これらの2つの指標μ、εと菌体の窒素
含有率との相関関係から、エリスリトール収率が菌体の
窒素含有率と密接に関係していることがわかる。すなわ
ち、エリスリトール収率向上のために菌体増殖をできる
だけ抑えるには、菌体の窒素含有率をなるべく低く制御
すればよい。しかし、菌体の窒素含有率が低くなり過ぎ
ると、菌の比増殖速度μに比べてエリスリトール比生産
速度εの低下が著しく大きくなり、エリスリトール収率
が低下に転じてしまう。菌体の窒素含有率の制御を試み
たところ、オーレオバシディウム菌で約2.5〜3.5
%、キャンジダ菌で3.5〜4.5のときにエリスリト
ール収率が最大になるという結果が得られた。
【0011】上述のように、菌体の窒素含有率を制御因
子とし2.5〜4.5%に維持することによって、エリ
スリトール収率を最大にし、かつ維持することが可能で
あることが見出された。以下に、菌体の窒素含有率を制
御する方法についてより具体的に述べる。また、以下、
一般的なエリスリトールの培養法による製造例に沿って
説明するが、本発明の培養法を制限するものではない。
【0012】培養は、通常、液体培地を用いて撹拌によ
る好気的条件下に実施される。培地の主炭素源として
は、グルコース等の醗酵性糖類、グリセリン、炭化水
素、酢酸などが使用される。窒素源としては、通常、尿
素、硫安等の窒素化合物や、コーンスチープリカー、酵
母エキス等の天然由来のものが使用される。無機塩類と
しては、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫
酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、塩化カリ
ウム等が好ましく用いられる。さらに、菌体の生育に必
要な各種の有機物、無機物、ビタミンなどの栄養素、あ
るいは、通常用いられる消泡剤などが添加される。以上
に挙げた培地はごく一般的な例であり、エリスリトール
生産菌を用いる通常の培養法であれば、培養条件は任意
に定められる。
【0013】まず、通常の回分培養を行って菌体を十分
に増殖させる。例えば培地3リットル(培養槽5リット
ル容)に種培養液3%を加え、温度35℃、通気量1v
vm、回転数500rpm、pH4.2の条件で4日間
培養を行えばよい。回分培養の終わりが近づき、菌体が
十分に増殖した時点で(菌体濃度50g/l、エリスリ
トール濃度150g/l程度が好ましい)連続培養を開
始するのが好ましい。
【0014】連続培養では、後記図−1に示すように、
炭素源(グルコース等)、窒素源(尿素等)を主成分と
する基質液を全供給液として供給し、同時に培地を同量
抜き出し、余剰の菌体増殖分以外の培地中から菌体のみ
を分離濃縮して培養槽内に濃縮菌体として戻すのが好ま
しい。この際回転数を800rpm程度に引き上げてD
Oを0.5〜3ppmの範囲に維持するのが更に好まし
く、それ以外の温度、通気量、pH等の条件は回分培養
時と同じでよい。定常状態で、エリスリトールは250
g/l程度生産される。
【0015】連続培養抜き出し液からのエリスリトール
の分離精製法としては、例えば、濾過、遠心分離、イオ
ン交換又は吸着クロマトグラフィー、溶媒抽出、蒸留、
晶析などの操作を必要に応じて適宜組み合せて用いれば
よい。一例として、特公平1−320987号公報記載
の方法が挙げられる。本発明の重要な要件である菌体の
窒素含有率は、前述のとおり元素分析等による測定が可
能であるので、菌体の窒素含有率を指標として、菌体が
増殖する分に必要なだけの窒素源の量を定め、これを連
続倍養槽中に供給することにより維持することが出来
る。
【0016】炭素源は、倍養液中のDOを0.5〜3p
pmに維持した場合、ほとんど全量が菌体とエリスリト
ールに変換される。DOが低すぎる場合は、嫌気性条件
となってエタノールを多量に副生しエリスリトール収率
の低下が認められる。一方、DOが高すぎると呼吸活動
が活発となって炭酸ガスが増加し、やはりエリスリトー
ル収率の低下を引き起こす。それ故に、DOは0.5〜
3ppmの範囲が望ましく、例えばこの条件下でグルコ
ースを炭素源とした場合、菌体1gの増殖についてグル
コース2.08gが消費され、エリスリトール1モル
(122g)の生産についてグルコース1モル(180
g)が消費される。また、同条件下では窒素源中のN
も、ほとんど全量が菌体に取り込まれる。例えば窒素及
び酵母エキスを窒素源とした場合、尿素1モル(60
g)中のNは28g、酵母エキス1g中のNは0.1g
で、これがほぼ全量菌体に取り込まれることとなる。
【0017】図−2、図−4で示される菌の比増殖速度
μと菌体の窒素含有率との相関関係と図−3、図−5で
示されるエリスリトール比生産速度μと菌体の窒素含有
率との相関関係により、菌体の窒素含有率を特定範囲内
の値に定めれば、その菌体の窒素含有率に対応するμと
εをそれぞれ定めることができる。そのようにして定め
たμとεを指標として、供給する炭素源と窒素源の必要
量を求め、エリスリトールの収率を制御する。すなわ
ち、炭素源の必要量は、 エリスリトールに転換される分 菌体が新たに分裂増殖するのに必要な分 培養糟からの抜き出し液中に含まれる分 上記の和が供給する炭素源の必要量である。ま
た、窒素源の必要量は、 菌体が新たに分裂増殖するのに必要な分 培養糟からの抜き出し液中に含まれる分 上記の和が供給する窒素源の必要量である。
【0018】上記を算出することにより、培
養糟に供給されるべき基質液の流量と、そこに含まれる
べき窒素源の量を求めることができる。また、エリスリ
トール収率は、消費された炭素源の量に対して生産され
たエリスリトールの量の割合(%)で表される。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例によって更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施に限定されるものではない。
【0020】実施例1 始めに、種培養及び回分培養により、菌体を十分に増殖
させた。グルコース300g/l、酵母エキス10g/
l、寒天15g/lからなる斜面培地に、オーレオバシ
ディウムsp.SNーG42菌株の菌体を塗布し、30
℃で3日間静置培養した。次に、グルコース300g/
l、酵母エキス10g/lを含む液体培地100mlを
入れた500ml容三角フラスコに上記培養菌体を1白
金耳分植菌し、30℃で3日間培養を行ない種培養液を
得た。次いで、回分培養を行なったが、その際の培地組
成を下記表−1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表−1に示す組成の培地3リットル(培養
糟5リットル容)に種培養液3%を加え、温度35℃、
通気量1vvm、回転数500rpm、pH4.2の条
件で4日間回分培養を行なったところ、4日後の時点で
菌体濃度60g/lとなった。次に連続培養に移り、回
転数を800rpmとしてDOを0.5〜3.0ppm
の範囲に維持した以外、温度、通気量、pH等の条件は
回分培養時と同じ条件で行った。菌体濃度が60g/l
で、基質供給液のグルコース濃度を500g/l、尿素
濃度を1.54g/lとした他は、表−1に示した培地
中のKCl等微量成分については回分培養時と等濃度と
し、供給流量を0.030l/Hr、培地ブロスの直接
抜き出し流量は0.012l/Hr、菌体分離後の上清
抜き出し流量は0.018l/Hrとして連続培養を行
った。
【0023】結果として、定常状態において菌体の窒素
含有率は3.0%に維持され、対消費グルコース当たり
のエリスリトール収率は平均60.0%であった。
【0024】実施例2 種培養から回分培養の終了段階までの方法は実施例1と
同様に行い、以降、連続培養に移った。菌体濃度が60
g/lで、基質供給液のグルコース濃度を500g/
l、尿素濃度を2.49g/lにした他は、表−1に示
した培地中のKCl等微量成分については回分培養時と
等濃度とし、供給流量を0.038l/Hr、培地ブロ
スの直接抜き出し流量は0.021l/Hr、菌体分離
後の上清抜き出し流量は0.017l/Hrとして連続
培養を行った。結果として、定常状態において、菌体の
窒素含有率は3.6%に維持され、対消費グルコース当
たりのエリスリトール収率は平均55.8%であった。
【0025】実施例3 種培養から回分培養の終了段階までの方法は実施例1と
同様に行い、以降、連続培養に移った。菌体濃度が60
g/lで、基質供給液のグルコース濃度を500g/
l、尿素濃度を0.44g/l、KCl等表−1に示し
た培地中の微量成分については回分培養時と等濃度と
し、供給流量を0.022l/Hr、培地ブロスの直接
抜き出し流量は0.003l/Hr、菌体分離後の上清
抜き出し流量は0.019l/Hrとして連続培養を行
った。結果として、定常状態において、菌体の窒素含有
率は2.6%に維持され、対消費グルコース当たりのエ
リスリトール収率は平均58.5%であった。
【0026】実施例4 始めに、種培養および回分培養により、菌体を十分に増
殖させた。グルコース300g/l、酵母エキス10g
/l、寒天15g/lからなる斜面培地に、キャンジダ
・リポリティカ2−21菌株の菌体を塗布し、27℃で
3日間静置培養した。次に、グルコース300g/l、
酵母エキス10g/lを含む液体培地100mlを入れ
た500ml容三角フラスコに上記培養菌体を1白金耳
分植菌し、27℃で3日間培養を行い種培養液を得た。
次いで、回分培養を行ったが、その際の培地組成は、グ
ルコース400g/l、酵母エキス20g/l、塩酸チ
アミン1.5g/lとした。
【0027】上記組成の培地3リットル(培養槽5リッ
トル容)に種培養液2%を加え、温度27℃、通気量1
vvm、回転数500rpm、pH4.5の条件で4日
間培養を行った。4日後の時点で、菌体濃度は60g/
lとなった。次に、連続培養に移り、回転数を800r
ppmとしてDOを0.5〜3ppmの範囲に維持した
以外、気温、通気量、pH等の条件は、回分培養時と同
じ条件で行った。
【0028】菌体濃度が60g/lで、基質供給液のグ
ルコース濃度を500g/l、酵母エキス濃度を14.
5g/l、塩酸チアミンについては、回分培養時と等濃
度とし、供給流量を0.026l/Hr、培地ブロスの
直接抜き出し流量は0.015l/Hr、菌体分離後の
上清抜き出し流量は0.011l/Hrとして連続培養
を行った。結果として、定常状態において、菌体の窒素
含有率は4.1%に維持され、対消費グルコース当たり
のエリスリトール収率は平均61.1%であった。
【0029】実施例5 種培養から回分培養の終了段階までの方法は実施例4と
同様に行い、以降、連続培養に移った。菌体濃度が60
g/lで、基質供給液のグルコース濃度を500g/
l、酵母エキス濃度を19.9g/l、塩酸チアミンに
ついては、回分培養時と等濃度とし、供給流量を0.0
39l/Hr、培地ブロスの直接抜き出し流量は0.0
27l/Hr、菌体分離後の上清抜き出し流量は0.0
12l/Hrとして連続培養を行った。結果として、定
常状態において、菌体の窒素含有率は4.6%に維持さ
れ、対消費グルコース当たりのエリスリトール収率は平
均44.8%であった。
【0030】実施例6 種培養から回分培養の終了段階までの方法は実施例4と
同様に行い、以降、連続培養に移った。菌体濃度が60
g/lで、基質供給液のグルコース濃度を500g/
l、酵母エキス濃度を11.2g/l、塩酸チアミンに
ついては、回分培養時と等濃度とし、供給流量を0.0
11l/Hr、培地ブロスの直接抜き出し流量は0.0
06l/Hr、菌体分離後の上清抜き出し流量は0.0
05l/Hrとして連続培養を行った。結果として、定
常状態において、菌体の窒素含有率は3.6%に維持さ
れ、対消費グルコース当たりのエリスリトール収率は平
均57.0%であった。
【0031】比較例1 オーレオバシディウムsp.SN−G42菌株を用い、
種培養から回分培養の終了段階までの方法は実施例1と
同様に行い、以降、連続培養に移った。菌体濃度が60
g/lで、基質供給液のグルコース濃度を500g/
l、尿素濃度を0.52g/lとした他は、表−1に示
した培地中のKCl等微量成分については回分培養時と
等濃度とし、供給流量を0.017l/Hr、培地ブロ
スの直接抜き出し流量は0.003l/Hr、菌体分離
後の上清抜き出し流量は0.014l/Hrとして連続
培養を行った。結果として、定常状態において、菌体の
窒素含有率は2.3%になり、本発明の菌体の窒素含有
率の制御範囲を外れ、対消費グルコース当たりのエリス
リトール収率も平均30.1%まで低下した。
【0032】比較例2 オーレオバシディウムsp.SN−G42菌株を用い、
種培養から回分培養の終了段階までの方法は実施例1と
同様に行い、以降、連続培養に移った。菌体濃度が60
g/lで、基質供給液のグルコース濃度を500g/
l、尿素濃度を4.82g/lとした他は、表−1に示
した培地中のKCl等微量成分については回分培養時と
等濃度とし、供給流量を0.060l/Hr、培地ブロ
スの直接抜き出し流量は0.045l/Hr、菌体分離
後の上清抜き出し流量は0.015l/Hrとして連続
培養を行った。結果として、定常状態において、菌体の
窒素含有率は5.0%になり、本発明の菌体の窒素含有
率の制御範囲を外れ、対消費グルコース当たりのエリス
リトール収率も平均29.1%まで低下した。
【0033】
【発明の効果】エリスリトール生産菌を用い、菌体の窒
素含有率を特定範囲内に制御することにより、菌の比増
殖速度μおよびエリスリトール比生産速度εを定め、エ
リスリトール収率を向上させることができる。また、連
続培養においては、供給基質液の炭素源と窒素源の濃度
比により、菌体の窒素含有率を容易に制御できるので、
培養中の運転コントロールが容易となり、工業的に利用
しやすく産業に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる好ましい連続培養の一例を
示すフロー図である。
【図2】オーレオバシディウムsp.SN−G42菌株
における菌の比増殖速度μ、エリスリトール収率及び菌
体の窒素含有率の相関関係を示す。
【図3】オーレオバシディウムsp.SN−G42菌株
におけるエリスリトール比生産速度εと菌体の窒素含有
率との相関関係を示す。
【図4】キャンジダ・リポリティカ2−21菌株におけ
る菌の比増殖速度μ、エリスリトール収率及び菌体の窒
素含有率との相関関係を示す。
【図5】キャンジダ・リポリティカ2−21菌株におけ
るエリスリトール比生産速度εと菌体の窒素含有率との
相関関係を示す。
【符号の説明】
1 培養槽 2 培養液 3 分離機

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エリスリトール生産菌を用い、菌体の
    窒素含有率を2.5〜4.5%に維持しながら連続培養
    を行うことを特徴とするエリスリトール連続培養法。
  2. 【請求項2】 培地中の溶存酸素濃度を0.5〜3p
    pmに維持しながら請求項1記載の連続培養を行うこと
    を特徴とするエリスリトール連続培養法。
JP30640291A 1991-11-21 1991-11-21 エリスリトール連続培養法 Pending JPH05137585A (ja)

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