JP3634232B2 - デジタルスチルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、デジタルスチルカメラに関し、特にデジタルスチルカメラにおけるオートフォーカス技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルスチルカメラにおいて使用されるCCD(Charge Coupled Device)撮像素子は画素の高密度化が進み、1つのCCD撮像素子が数百万画素を有するものも出現しつつある。そして、CCD撮像素子における画素の高密度化が進むと、各画素間のピッチが小さくなることになる。
【0003】
このため、複数の画素が従来よりも高密度に配置されたCCD撮像素子を用いて、デジタルスチルカメラを構成する場合、従来よりも許容錯乱円が小さくなるため、オートフォーカス(以下、単にAFとも呼ぶ。)の際の合焦位置検出精度は高く要求される。
【0004】
ここで、従来より、ビデオカメラ等の撮影装置においては、いわゆるコントラスト方式と呼ばれる技術(または山登り方式とも呼ばれる。)がオートフォーカスを行うために適用されている。このコントラスト方式は、撮像レンズに含まれるフォーカシングレンズを駆動させつつ各駆動段階で得られる撮像画像のコントラストを評価値として取得し、最も評価値の高いレンズ位置をもって合焦位置とする方式である。
【0005】
ところが、ビデオカメラ等の分野においては、動画像撮影を目的とするものであるため、使用されるCCD撮像素子の画素数が数十万画素程度であるため、許容錯乱円も大きく、オートフォーカスの際の高精度化は要求されるものではない。また、ビデオ撮影時にフォーカシング速度が速すぎると、カメラの動きや被写体の動きに応じて頻繁にフォーカス移動があるため、人間の目がついていけず違和感のある映像となる。このようにビデオカメラにおいて要求されるオートフォーカス時の特性は静止画像の場合と異なる。
【0006】
これに対して、静止画像を撮像するためのデジタルスチルカメラにおいては、オートフォーカスを速やかに行って、シャッタチャンスを逃がさないようにすることが望まれる。
【0007】
また、従来より、銀塩一眼レフカメラ等においては位相差方式と呼ばれる技術がオートフォーカスを行うために適用されている。位相差方式のオートフォーカスにおいては、被写体像をCCDラインセンサを備えた位相差検出センサで受光したときの像間距離(位相差)に基づいて合焦位置がフィルム面に対してどの程度離れているかを即時に認識することができるため、1回の駆動で合焦位置をフィルム面に一致させることができるという点で有効である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コントラスト方式によってオートフォーカスを行う場合であって、特に撮像画像が低コントラストである場合には、撮像レンズの駆動前後において評価値変化が小さくなるため、合焦位置の方向へのレンズ駆動方向を特定することができないこともあり、合焦状態とするために長時間を要するという問題がある。
【0009】
また、位相差方式によってオートフォーカスを行う場合であっても高精度な合焦状態を実現するためには、CCDラインセンサの分解能を高くすることが必要となり、位相差を検出するための位相差検出センサが大型化するとともに、高コスト化するという問題がある。さらに、位相差方式の場合には、位相差検出センサの設置誤差等が原因となって合焦位置に誤差を含む場合も考えられる。
【0010】
そこで、この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、高精度かつ効率的に合焦状態とすることの可能なデジタルスチルカメラを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、デジタルスチルカメラであって、第1の位置と第2の位置とで移動可能な可動式ミラーと、前記可動式ミラーが前記第2の位置にあるときに被写体からの光を撮像レンズを介して所定の撮像面で受光し、被写体像を光電変換して撮像画像を生成する撮像素子と、前記撮像素子から得られる撮像画像に基づいて前記被写体像のコントラストに応じた所定の評価値を求める評価値算出手段と、前記可動式ミラーが前記第1の位置にあるときに前記被写体からの光を受光して、前記被写体像の合焦位置に応じた位相差検出信号を発生させることにより、合焦位置を検出する位相差方式AF検出手段と、前記評価値算出手段で得られる前記評価値、または前記位相差方式AF検出手段で得られる前記位相差検出信号、に基づいて前記撮像レンズを駆動して合焦位置を移動させる制御手段とを備え、前記制御手段は、前記可動式ミラーを前記第1の位置に設置した状態で前記位相差検出信号に基づいて前記撮像レンズを駆動させた後、前記可動式ミラーを前記第2の位置に移動させて前記評価値に基づいて前記撮像レンズを駆動することで、前記合焦位置を前記撮像面に一致させることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデジタルスチルカメラにおいて、所定の露出演算を行って撮影時における適正露出値を求め、前記適正露出値に基づいて露出制御を行う露出制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記露出制御手段による前記露出制御が完了した後に、前記評価値に基づいた前記撮像レンズの駆動を行うことを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデジタルスチルカメラにおいて、前記制御手段は、前記露出制御手段による前記露出制御と並行して、前記位相差検出信号に基づいた前記撮像レンズの駆動を行うことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデジタルスチルカメラにおいて、前記制御手段は、前記撮像レンズが望遠撮影のために用いられるレンズである場合に、前記位相差検出信号に基づいて前記撮像レンズを駆動させた後に、前記評価値に基づいて前記撮像レンズを駆動するように構成されることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<1.装置構成>
図1は、この発明の一実施形態であるデジタルスチルカメラにおける主要機構部分の概略構成図、図2は撮影時の主要機構部分の動作状態図である。
【0017】
このデジタルスチルカメラ1は、銀塩一眼レフカメラを利用して構成されたカメラ本体2を有し、このカメラ本体2の前面に撮影レンズ3が装着され、撮影レンズ3には、撮影レンズ部4および絞り5等が装備されている。
【0018】
撮影レンズ部4の光路方向後方には、カメラ本体2内の後部上方の枢支部6に回動変位可能に枢支されたクイックリターンミラーM1が配設され、さらにこのクイックリターンミラーM1の光路方向後方には、フォーカルプレーンシャッター7と、さらにその後方に撮像センサ8が配置されている。
【0019】
上記カメラ本体2には、フォーカルプレーンシャッター7も残存させてあるが、撮像センサ8の種類によっては、フォーカルプレーンシャッター7は除去しても良い。
【0020】
この撮像センサ8の前面には、この撮像センサ8からのアナログ画像信号のサンプリング時の折り返しノイズの影響を防止する光学ローパスフィルタ18が配設されており、この光学ローパスフィルタ18、前記フォーカルプレーンシャッター7及び撮像センサ8で撮像ユニット19を構成している。
【0021】
この撮像ユニット19は、移動機構30によって、光軸に沿って前後方向に移動可能となっている。そして、撮像ユニット19は、撮影時にクイックリターンミラーM1が上方に回動するのに連動して、光軸方向前方に撮影位置つまり撮像センサ8の受光面がレンズバックの位置となるまで移動し、撮影後にはクイックリターンミラーM1が下方に回動復帰するのに連動して、クイックリターンミラーM1との機械的干渉を生じない退避位置まで、光軸方向後方に移動するものとなされている。
【0022】
なお、移動機構30としては、公知構成の機構を採用すれば良く、例えばモータで回転駆動されるボルトの回転をボルトの軸方向の直線運動に変換する機構を利用すること等により、構成すればよい。
【0023】
上記クイックリターンミラーM1の上方位置において、カメラ本体2には、銀塩カメラのファインダー相当部位9が形成されており、このファインダー相当部位9には、フォーカシングスクリーン10を介してペンタ形プリズム11が配置されている。さらに、プリズム11の後方には、所定のリレーレンズ12が配置され、リレーレンズ12の後方には、接眼部13が配置される一方、リレーレンズ12の上方には、測光センサ14が配置されている。なお、図2では、リレーレンズは省略されている。また、撮影レンズ3から撮像ユニット19の光学ローパスフィルタ18に至るまでが、この発明における撮像光学系に相当する。さらに、クイックリターンミラーM1、プリズム11、リレーレンズ12および接眼部13が光学ファインダーを形成している。
【0024】
上記クイックリターンミラーM1は、図3に示すシャッターボタン24aを全押しするまでは、図1および図2(A)に示すように、光軸に対して45度の角度で傾斜した定常位置にあり、上記撮影レンズ部4からの光路Lをフォーカシングスクリーン10へと向かわせる。シャッターボタンが全押しされると、図2(B)〜(D)で示すように、枢支部6を中心にしてほぼ水平位置まで上方に回動変位して撮影レンズ部4からの光路Lを開放する。
【0025】
M2は上記クイックリターンミラーM1に一体化されたミラーであり、クイックリターンミラーM1に部分的に設けられたハーフミラー部を透過した光学像を、このミラーM2と下方の固定ミラーM3とで測距センサ15に向かわせる。測距センサ15は、上記光学像を受光して被写体までの距離を検出して、位相差検出信号を発生させる。この位相差検出信号は上記撮影レンズ部4を自動合焦させるために用いられる。
【0026】
上記プリズム11は、フォーカシングスクリーン10に結像した光学像を反転縮小して、測光センサ14および前記接眼部13へと向かわせる役割を果たす。また、上記測光センサ14または、撮像センサ8による画像データを基にカメラ制御CPU20により得られた光量データに基づいて、絞り値およびシャッタースピードの各制御値が設定され、さらには撮像センサ8の露光量が設定されるようになっている。
【0027】
また、カメラ本体2内部には撮影レンズ部4に含まれるフォーカスレンズをその光軸方向に駆動するためのフォーカスモータ36が設けられている。
【0028】
カメラ本体2の背面には、前記撮像センサ8の出力に基づいて得られた画像を表示する液晶表示器(LCD)からなる表示部16が設けられている。
【0029】
図3は、デジタルスチルカメラ1の制御系を示すブロック図である。
【0030】
図3において、3は撮影レンズ、4は撮影レンズ部、5は絞り、M1はクイックリターンミラー、7はフォーカルプレーンシャッター、8は撮像センサ、11はプリズム、13は接眼部、16は表示部であり、これらは図1および図2に示したものと同一である。
【0031】
20はカメラ制御CPUであり、このカメラ制御CPU20は、カメラ本体2の各部品を制御するものである。具体的には、上記絞り5を絞りドライバ21を介して制御し、撮像センサ8をタイミングジェネレータ(センサドライブ)22を介して制御する。また、クイックリターンミラーM1のアクチュエータ17及び撮像ユニット19の移動機構30を、ミラー/撮像ユニット駆動回路23を介して制御し、フォーカルプレーンシャッター7をシャッタードライバ25を介して制御する。さらに、フォーカスモータ36をモータドライバ26を介して制御する。
【0032】
このカメラ制御CPU20には、カメラ操作スイッチ24が接続されている。カメラ操作スイッチ24は、シャッターボタン24aや電源スイッチ等を含む。
【0033】
上記撮像センサ8は、この実施形態では電荷結合素子(CCD)からなる。撮像センサ8は、R(赤)、G(緑)、B(青)の原色透過フィルターが画素単位に市松模様に張られたエリアセンサであり、撮影レンズ部4による被写体の光学像(被写体像)を、R、G、Bの色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。
【0034】
タイミングジェネレータ22は、カメラ制御CPU20から送信される基準クロックに基づき、撮像センサ8の駆動制御信号を生成し出力するものである。タイミングジェネレータ22は、たとえば積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)等のクロック信号を生成し、ドライバを介して撮像センサ8に出力する。
【0035】
撮像センサ8の出力は、それぞれCDS(相関二重サンプリング)回路81、AGC(オートゲインコントロール)回路82、A/D変換器83によって信号処理される。CDS回路81は画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路82はゲイン調整により画像信号のレベル調整を行う。A/D変換器83は、AGC回路82で正規化されたアナログ信号を例えば10ビットのデジタル信号に変換するものである。
【0036】
40は上記A/D変換器の出力を画像処理して画像ファイルを形成する画像処理部であり、画像処理CPUにより制御される。
【0037】
撮影時には、撮像センサ8からの画像データが画像処理部40に取り込まれて、各種の処理が施される。
【0038】
画像処理部40に取り込まれたA/D変換器83からの信号は、撮像センサ8からの読み出しに同期して画像メモリ61に書き込まれ、以後この画像メモリ61のデータをアクセスして各ブロックの処理を行うようになっている。
【0039】
画像処理部40において、画素補間ブロック41は、所定の補間パターンで画素補間を行うブロックであり、この実施形態では、R、G、B各画素をそれぞれのフィルターパターンでマスキングした後、高帯域まで画素を持つGについては、メディアン(中間値)フィルタで周辺4画素の中間の2値を用いて平均値に置換し、R、Bに関しては、平均補間して、それぞれの出力を得る。
【0040】
カラーバランス制御ブロック42は、上記画素補間ブロック41により画素補間が行われたR、G、Bの各出力を独立にゲイン補正して、R、G、Bの色補正を行うものである。カラーバランスについては、R、G、B出力それぞれの平均値に対してカメラ制御CPU20により、R/G、B/Gを演算し、R、Bの補正ゲインとしている。
【0041】
ガンマ補正ブロック43は、カラーバランスを正規化したR、G、B出力に対して非線形変換を行うものであり、表示部16に適した階調変換が行われる。ガンマ補正された画像データは、画像メモリ61に格納される。
【0042】
ビデオエンコーダ44は、画像メモリ61に格納された上記データを呼び出してNTSC/PALにエンコードし、表示部16に表示する。
【0043】
画像圧縮ブロック45は、撮像センサ8から得られた撮影画像について、画像データを画像メモリ61から呼び出して圧縮処理を行うもので、撮影画像は圧縮後はメモリカードドライバ46を介してメモリカード62に記録される。
【0044】
なお、メモリカード62は、カメラ本体2の所定部位に着脱自在に装着されるようになっている。
【0045】
図4はデジタルスチルカメラの背面の様子を示す図である。
【0046】
カメラ本体2の背面には、前述の表示部16以外に、その右方に、4連スイッチ35が設けられており、ボタンU、D、L、Rで表示部16の表示に対応した選択項目の選択等の各種操作が可能となっている。
【0047】
また、カメラ本体2背面の4連スイッチ35の下方には、LCDボタン31、確定ボタン32、取消ボタン33、およびメニューボタン34が設けられている。このうち、LCDボタン31は、表示部16の表示をオンオフさせるためのボタンであり、LCDボタン31を押す毎に表示部16のオンオフが切り替わる。確定ボタン32および取消ボタン33は各種設定時の項目選択時に選択を確定するか取り消すかを指示入力するためのスイッチであり、メニューボタン34は後述するメニュー選択画面等の各種設定画面を切り換え表示させるためのスイッチである。
【0048】
<2.状態遷移および動作>
つぎに、デジタルスチルカメラ1の状態遷移および動作を説明する。このデジタルスチルカメラ1は、主に「撮影モード」と「再生モード」という2つのモードを備えている。このうち、撮影モードは、撮影に関する処理を行うモードであり、表示部16においては、撮影待機状態では、後述するように場合によりライブビュー表示が、撮影直後には撮影画像の表示が行われる。また、再生モードは、メモリカード62に記録された撮影画像を表示部16に再生表示する等、撮影済み画像に関する処理を行うモードである。
【0049】
なお、撮影モードと再生モードとは以下のようにして切り換えられる。すなわち、メニューボタン34等の操作によって表示部16にそのモード選択画面が表示され、その画面において4連スイッチ35、確定ボタン32、取消ボタン33を操作することにより撮影モードと再生モードとを切り換えることができるものとなっている。
【0050】
図5はデジタルスチルカメラ1の撮影モードにおける状態遷移図である。以下、撮影モードにおける状態遷移について説明する。なお、特に断らない限り各部の動作制御はカメラ制御CPU20によって行われる。
【0051】
電源をオンすると、光学ファインダーによる撮影モードに入り、クイックリターンミラーM1がダウンされた図2(A)の状態になるとともに、表示部16がオフ、したがって、後述するライブビュー表示もオフされた状態でデジタルスチルカメラ1が起動する(ステートS1)。なお、このステートではAF処理は行わない。そのため、光学ファインダーによる被写体像には若干のぼけがあるが、この状態では光学ファインダーにより概略のフレーミングが可能である。
【0052】
また、ステートS1または後述するステートS6の状態において撮影者がメニューボタン34を押すとメニュー設定画面に移行し、撮影者によりメニュー設定が行われる(ステートS2)。
【0053】
前出の図4では、表示部16の画面にメニュー設定画面が表示された様子を示している。図4に示すようにメニュー設定画面は、シャッターボタンの半押し時に行うAFの方式を選択的に指定するようになっている。4連スイッチ35のボタンUとボタンDとの何れかを押すことによって半押し時におけるAF方式を、コントラストAF方式にするか位相差AF方式にするかの選択を行うことができるものとなっている。
【0054】
そして、ステートS2において位相差AFが選択された場合は、ステートS1に移行し、ステートS2においてコントラストAFが選択された場合には、ステートS6に移行する。その際、ステートS2からステートS1に移行する場合には、表示部16がオフ(ライブビュー表示がオフ)され、ステートS2からステートS6に移行する場合には、表示部16がオンのままでライブビュー表示がオンされる。
【0055】
また、ステートS1の状態で、シャッターボタン24aを半押しするとクイックリターンミラーM1はダウン状態、ライブビュー表示オフ状態のままで位相差AF及び露光量調節が並行して同時に行われる(ステートS3)。以下、ステートS3の動作を詳細に説明する。
【0056】
シャッターボタン24aが半押しされると、図2(A)に示すように、撮影レンズ部4および絞り5を通って入射した光は、カメラ本体2内のクイックリターンミラーM1によってその光路Lを上方へと変更され、フォーカシングスクリーン10に結像したのち、ペンタ形プリズム11によって反転縮小され、測光センサ14に入射する。測光センサ14は光量を測光し、この光量データに基づいてカメラ制御CPU20で露出制御データが演算される。そして、算出された露出制御データに基づき、撮像センサ8への露光量が適正値となるように、絞りドライバ21を介して絞り5が制御されるとともに、撮像センサ8への駆動制御信号を供給するタイミングジェネレータ22が制御される。
【0057】
この時、上記撮像ユニット19は、クイックリターンミラーM1との機械的干渉を避けるため、後方退避位置にあり、その撮像センサ8の受光面はレンズバック位置よりも後方に位置している。
【0058】
一方、撮影レンズ部4および絞り5から入射した光の一部は、クイックリターンミラーM1の中央部に設けられているハーフミラー部分を透過したのち、ミラーM2および固定ミラーM3を介して測距センサ15へ向かう。測距センサ15はこれを受光して被写体までの距離を検出し、位相差検出信号を発生する。そして、カメラ制御CPU20はこの位相差検出信号に基づいて撮影レンズ部4におけるフォーカスレンズを駆動して、自動合焦を行う。
【0059】
上記のような測光および測距動作と同時に、クイックリターンミラーM1で光路Lを変換された光学像は、プリズム11およびリレーレンズ12で縮小された後、接眼部13に至る。従って、撮影者は、接眼部13を通して被写体をピントがあった状態で視認することができる。なお、図示しないが、ステートS3においてシャッターボタン24aの半押し状態を解除するとステートS1の状態に戻ってフレーミングをやり直すことができ、正確なフレーミングを行うことができる。
【0060】
シャッターボタン24aが撮影者によりさらに押し込まれて全押しされると、ステートS33で装着されている撮影レンズ3(これはズームレンズであっても構わない。)が135換算で焦点距離50mm以下の場合にはそのままステートS5による撮影動作を行う。一方、50mmより長い焦点距離の場合には、所定のAFエリアについての3コマ連写が実行され、得られた3つの部分画像のうちでピントが最良のフォーカスレンズ位置が選択される(ステートS4)。つまり、撮像レンズが望遠撮影のために用いられるレンズである場合に、位相差検出信号に基づいて撮像レンズを駆動させた後、さらにコントラスト方式でのAF評価値に基づく撮像レンズの駆動を行うように構成されているのである。
【0061】
以下、ステートS4の動作を詳細に説明する。
【0062】
図6は3コマ連写におけるフォーカスレンズ位置を説明するための図である。3コマ連写においては、フォーカスレンズを全押し時の位置(位相差AFにより合焦された位置)および、その位置から前および後に、焦点深度から求められた偏位量dずつ移動させた位置(以下それぞれ「前ピント位置」および「後ピント位置」という)のそれぞれにおいて、撮像センサ8により画像の中央の部分的な矩形領域であるAFエリアのみの部分画像データを得る。すなわち、あわせて3コマ分の部分画像を撮影する。ここで、焦点深度は全押し時のフォーカスレンズの位置と絞り値とから求められ、さらに、予め焦点深度ごとに求められ、カメラ制御CPU20内の図示しないROMに記憶されていた偏位量dのテーブルを用いて、その焦点深度に対応する偏位量dが求められて使用される。
【0063】
そして得られた3つの部分画像データのAF評価値(コントラスト)を求め、比較する。そして、AF評価値が最大の部分画像をピントがベストの部分画像と捉え、そのフォーカスレンズ位置を選択するのである。
【0064】
以下、ステートS4におけるシャッターボタン24a全押し時の内部動作について説明する。シャッターボタン24aが全押しされると、フォーカスレンズは半押し時に行われた位相差AFにより駆動された位置のまま、絞り5が所定量、絞り込まれると同時に、図2(B)に白抜き矢印で示すように、クイックリターンミラーM1が枢支部6を介して上方に回動変位を開始する。これに連動して、上記撮像ユニット19が移動機構30を介して撮影レンズ部4の光軸方向前方へ移動する。なお、図2では、クイックリターンミラーM1を駆動するアクチュエータ17及び撮像ユニット19を移動させる移動機構30は省略してある。
【0065】
クイックリターンミラーM1が図2(C)に示すように、フォーカシングスクリーン10の下部まで達してミラーアップ動作が完了すると、撮像ユニット19の前方移動も停止し、撮像センサ8の受光面がレンズバック位置に設定される。そして、図2(D)に示すように、フォーカルプレーンシャッター7が所定のスピードで開閉し、撮影レンズ部4および絞り5を通過した光学像がそのまま撮像センサ8に結像され、ここで光電変換される。そして、カメラ制御CPU20のタイミング制御により、光電変換された信号のうち、AFエリアの部分画像信号のみがバッファを介して出力される。
【0066】
つぎに、前述のようにして全押し時の焦点深度が算出され、さらにそれに対応するフォーカスレンズの偏位量dが求められる。そして、それを基にフォーカスレンズを前ピント位置および後ピント位置に移動させ、上記と同様にそれぞれ部分画像が撮影される。そして、前述のようにして、そのうちからピントが最良の部分画像に対応するフォーカスレンズ位置が選択され、実際にそのフォーカスレンズ位置にフォーカスレンズが移動される。
【0067】
つぎに、設定されたフォーカスレンズ位置で撮影動作が行われる(ステートS5)。具体的には、図2(D)に示すように、フォーカルプレーンシャッター7が所定のスピードで開閉し、撮影レンズ部4および絞り5を通過した光学像がそのまま撮像センサ8に結像され、ここで光電変換される。そして、光電変換された信号がバッファを介して出力される。
【0068】
撮像センサ8から出力された画像データは、CDS回路81、AGC回路82、A/D変換器83により所定の信号処理を施された後、画像処理部40に取り込まれ、撮像センサ8の読み出しに同期して画像メモリ61に書き込まれる。
【0069】
撮影後、クイックリターンミラーM1は元の位置に回動復帰し、光路Lが再びフォーカシングスクリーン10側に向かい、撮影待機状態となる。クイックリターンミラーM1の回動復帰動作に連動して、撮像ユニット19が光軸方向後方の退避位置まで移動し、回動復帰するクイックリターンミラーM1との干渉を避ける。
【0070】
つぎに、選択された画像データがメモリカード62へ記録される。具体的には、画像メモリ61に書き込まれた画像データは、画像処理部40で、前述した画素補間処理、カラーバランスの制御、ガンマ補正処理がそれぞれ施され、再度画像メモリ61に格納されるとともに、画像メモリ61から読み出されて撮影画像として表示部16に表示される。同時に、画像圧縮ブロック45で画像圧縮された後、メモリカードドライバ46を介してメモリカード62に記録される。
【0071】
撮影動作が終了すると、ステートS1に戻る。
【0072】
また、ステートS1の状態でLCDボタン31を押すと、表示部16がオンされるとともにライブビュー表示を伴う撮影モードに移行し、図2(D)に示すように、クイックリターンミラーM1がアップされ、表示部16がオンされるとともにライブビュー表示が開始され、コントラストAFが行われる(ステートS6)。
【0073】
ステートS6では、クイックリターンミラーM1がアップされることにより、撮像センサ8に撮影レンズ部4からの光が到達するようになる。それにより、所定時間毎(例えば1/30秒毎)に撮像センサ8から出力された画像データは画像処理部40を経由して画像メモリ61に一旦記憶される。そして、その画像データは画像処理部40に読み出され、そこで前述の画像処理が行われ、画像メモリ61に再び記憶される。そして、ビデオエンコーダ44が、画像メモリ61に格納された上記データを呼び出してNTSC/PALにエンコードし、表示部16に表示することによりライブビュー表示が行われる。
【0074】
また、カメラ制御CPU20はライブビュー表示の際にもコントラストAFを行う。ここで行うコントラストAF方式とは、画像メモリ61に記憶された画像データを読み出し、その画像のAF評価値(コントラスト)を求めるとともに、そのAF評価値が最大となるようにフォーカスモータ36を駆動してフォーカスレンズを移動させ、焦点合わせを行うオートフォーカス方式である。その際、コントラストが最大となるようにするための制御方法としては山登り方式等の公知の技術を用いることができる。
【0075】
つぎに、シャッターボタン24aが半押しされると、ステートS6とほぼ同様の状態であるが、露光量調節や、より精密なコントラストAFが行われる(ステートS7)。ここでの露光量調節は、絞りドライバー21による絞りと、CCD303の露光量、すなわち、シャッタスピードに相当する撮像センサ8の電荷蓄積時間を調節して行なわれる。また、コントラストAFについてはフォーカスレンズの移動ステップを、ステートS6におけるより細かなものとすることにより、より精密なピント合わせを行うものである。これにより、より正確なフレーミングが行える。
【0076】
これに引き続いてシャッターボタン24aが全押しされると、コントラストAFのもとに撮影動作が実行される(ステートS8)。撮影動作としては前述のようにフォーカルプレーンシャッター7が所定のスピードで開閉し、撮影レンズ部4からの光学像がそのまま撮像センサ8に結像され、その出力である画像データは画像メモリ61に保存される。また、その画像データは画像処理部40に取り出され、前述の画像処理を施された後、再び画像メモリ61に保存される。さらに、その画像データはメモリカード62へも記録される。
【0077】
撮影動作が終了すると再びステートS6に戻り、次の撮影が可能な状態となる。
【0078】
なお、ステートS6の状態でLCDボタン31を押すと、表示部16がオフ、したがってライブビュー表示がオフされるとともに、前述のステートS1の光学ファインダーによる撮影モードに移行する。
【0079】
以上がデジタルスチルカメラ1の状態遷移および動作である。
【0080】
以上説明したように、この実施の形態によれば、一眼レフタイプのデジタルスチルカメラにおいて、位相差AF方式による位相差検出信号に基づいたレンズ駆動を行った後に、コントラストAF方式による評価値に基づいたレンズ駆動を行うように構成されている。このため、位相差AF方式によって短時間でほぼ合焦状態とすることができ、さらにコントラストAF方式によって高精度な合焦状態を実現することが可能となっている。したがって、この実施の形態におけるデジタルスチルカメラにおいては、高精度かつ効率的に合焦状態を実現することが可能である。
【0081】
また、露出制御が完了した後に、AF評価値に基づいてレンズ駆動を行うように構成されているので、実際の撮影時と同条件で得られる評価値に基づいて撮像レンズの駆動を行うことができるため、より高精度な合焦状態を実現することができる。
【0082】
また、露出制御と並行して、位相差検出信号に基づくレンズ駆動を行うことで、デジタルスチルカメラにおける効率的な動作、特に効率的なレンズ駆動を行うことが可能となっている。
【0083】
さらに、撮像レンズが望遠撮影のために用いられるレンズである場合に、位相差検出信号に基づいくレンズ駆動を行った後に、AF評価値に基づくレンズ駆動を行うように構成されているので、効率的に合焦状態を実現することができる。
【0084】
<3.変形例>
上記実施の形態においてデジタルスチルカメラの例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、光学ファインダーによる撮影モードにおいてシャッターボタンを全押しすると3コマ連写が行われ、そのうち、ピントが最良の状態で撮影を行うものとしたが、山登り方式等の通常のコントラストAF方式のもとに通常の1コマ分の撮影を行うものとしてもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、位相差検出信号に基づいて撮像レンズを駆動させた後に、評価値に基づいて撮像レンズを駆動することで、合焦位置を撮像面に一致させるように構成されるため、比較的安価に、高精度かつ効率的に合焦状態とすることが可能になる。
【0087】
請求項2に記載の発明によれば、露出制御手段による露出制御が完了した後に、評価値に基づいた撮像レンズの駆動を行うため、実際の撮影時と同条件で得られる評価値に基づいて撮像レンズの駆動を行うことができるため、より高精度な合焦状態を実現することができる。
【0088】
請求項3に記載の発明によれば、露出制御手段による露出制御と並行して、位相差検出信号に基づいた撮像レンズの駆動を行うため、効率的なレンズ駆動を行うことができる。
【0089】
請求項4に記載の発明によれば、撮像レンズが望遠撮影のために用いられるレンズである場合に、位相差検出信号に基づいて撮像レンズを駆動させた後に、評価値に基づいて撮像レンズを駆動するように構成されるため、効率的に合焦状態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態であるデジタルスチルカメラにおける主要機構部分の概略構成図である。
【図2】撮影時の主要機構部分の動作状態図である。
【図3】デジタルスチルカメラの制御系を示すブロック図である。
【図4】デジタルスチルカメラの背面の様子を示す図である。
【図5】デジタルスチルカメラの撮影モードにおける状態遷移図である。
【図6】3コマ連写におけるフォーカスレンズ位置を説明するための図である。
【符号の説明】
1 デジタルスチルカメラ
8 撮像センサ(撮像素子)
9 ファインダー相当部位
10 フォーカシングスクリーン
11 ペンタ形プリズム
12 リレーレンズ
13 接眼部
15 測距センサ(位相差方式AF検出手段)
16 表示部
17 アクチュエータ
19 撮像ユニット
20 カメラ制御CPU(評価値算出手段、露出制御手段、制御手段)
21 絞りドライバ
23 ミラー/撮像ユニット駆動回路
24a シャッターボタン
31 LCDボタン
34 メニューボタン
36 フォーカスモータ
M1 クイックリターンミラー
M2 ミラー
M3 固定ミラー
Claims (4)
- デジタルスチルカメラであって、
第1の位置と第2の位置とで移動可能な可動式ミラーと、
前記可動式ミラーが前記第2の位置にあるときに被写体からの光を撮像レンズを介して所定の撮像面で受光し、被写体像を光電変換して撮像画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子から得られる撮像画像に基づいて前記被写体像のコントラストに応じた所定の評価値を求める評価値算出手段と、
前記可動式ミラーが前記第1の位置にあるときに前記被写体からの光を受光して、前記被写体像の合焦位置に応じた位相差検出信号を発生させることにより、合焦位置を検出する位相差方式AF検出手段と、
前記評価値算出手段で得られる前記評価値、または前記位相差方式AF検出手段で得られる前記位相差検出信号、に基づいて前記撮像レンズを駆動して合焦位置を移動させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記可動式ミラーを前記第1の位置に設置した状態で前記位相差検出信号に基づいて前記撮像レンズを駆動させた後、前記可動式ミラーを前記第2の位置に移動させて前記評価値に基づいて前記撮像レンズを駆動することで、前記合焦位置を前記撮像面に一致させることを特徴とするデジタルスチルカメラ。 - 請求項1に記載のデジタルスチルカメラにおいて、
所定の露出演算を行って撮影時における適正露出値を求め、前記適正露出値に基づいて露出制御を行う露出制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記露出制御手段による前記露出制御が完了した後に、前記評価値に基づいた前記撮像レンズの駆動を行うことを特徴とするデジタルスチルカメラ。 - 請求項2に記載のデジタルスチルカメラにおいて、
前記制御手段は、前記露出制御手段による前記露出制御と並行して、前記位相差検出信号に基づいた前記撮像レンズの駆動を行うことを特徴とするデジタルスチルカメラ。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデジタルスチルカメラにおいて、
前記制御手段は、前記撮像レンズが望遠撮影のために用いられるレンズである場合に、前記位相差検出信号に基づいて前記撮像レンズを駆動させた後に、前記評価値に基づいて前記撮像レンズを駆動するように構成されることを特徴とするデジタルスチルカメラ。
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