以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.構成>
<1−1.装置構成>
図1ないし図3は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ1の主たる構成を示す図である。図1は正面図、図2は図1のII−II位置から見た断面図、図3は背面図にそれぞれ相当する。図1及び図2に示すように、デジタルカメラ1は主としてカメラ本体部2と撮影レンズ3とから構成されている。
図2に示すように、撮影レンズ3は、複数のレンズからなるレンズ群31、及び、入射光量を調整する絞り34を備えている。レンズ群31には、被写体像の合焦の状態を変更するフォーカスレンズ32、及び、焦点距離を変更するズームレンズ33が含まれている。また、撮影レンズ3の光軸AXの方向に相当するカメラ本体部2の内部には、撮影レンズ3を介して被写体の画像を取得する撮像素子であるCCD41が設けられている。
図1に示すように、カメラ本体部2の上部にはポップアップ式のフラッシュ5が設けられている。また、カメラ本体部2の前面側左端部にはグリップ部4が設けられ、このグリップ部4の上面にはシャッタボタン6が配置されている。シャッタボタン6は、2段階スイッチで構成され、ユーザからの撮影準備指示となる半押しと、ユーザからの撮影指示となる全押しとが検出可能となっている。ユーザがシャッタボタン6を半押しすると撮影準備動作が行なわれ、ユーザがシャッタボタン6を全押しすると本撮影動作が行なわれる。本撮影動作においては、CCD41により被写体の記録用の画像が取得され、取得された画像が記録される。
また、撮影レンズ3の上部に相当するカメラ本体部2の内部前面側には、外光測距部7が設けられている。外光測距部7は、撮影レンズ3とは異なる光学系となるレンズを有しており、そのレンズを介して入射する光(外光)に基づいて被写体の距離を検出する(詳細は後述。)。
図2及び図3に示すように、カメラ本体部2の背面左方には、各種表示を行う表示部20として機能する電子ビューファインダ(EVF)21及び液晶ディスプレイ(LCD)22が設けられている。これらの表示部20には、記録された画像や、各種設定等を行なうための設定メニューなどが表示される。また、撮影待機状態においては、時間順次にCCD41にて取得される画像に基づいて、ほぼリアルタイムな被写体像(ライブビュー画像)が表示部20に表示される(ライブビュー表示)。このようなライブビュー表示により、ユーザは表示部20をファインダ替わりに利用することが可能とされている。
カメラ本体部2の背面には、ユーザ操作を受け付けるための操作入力部25となるボタン群23及び十字キー24が設けられている。ユーザはこれらの操作入力部25を操作することで、デジタルカメラ1に対して各種コマンドの入力や、撮影に関する各種設定を行なうことができる。
また、カメラ本体部2の内部には、カードスロット26が設けられている。撮影により取得された画像を記録するためのメモリカード91は、このカードスロット26に対して着脱可能とされている。
<1−2.機能構成>
図4は、デジタルカメラ1の主たる機能構成を示すブロック図である。
図に示すように、デジタルカメラ1は、その内部に装置全体を統括的に制御する全体制御部50を備えている。全体制御部50は、マイクロコンピュータを備えて構成され、各種の演算処理を行うCPU51、演算の作業領域などに利用されるRAM52、及び、制御プログラムやデータ等が記憶されるROM53を備えている。デジタルカメラ1の各処理部は、この全体制御部50に対して電気的に接続され、制御部の制御下において動作する。
CCD41は、撮影レンズ3により結像された被写体の光像を信号電荷(画像信号)に光電変換する受光部、及び、信号電荷を転送する転送部等から構成されている。受光部は、R(赤)G(緑)B(青)いずれかのカラーフィルタがそれぞれ貼り付けられた複数の画素で構成される。受光部の各画素に蓄積された信号電荷は読み出されて、転送部により転送されつつ画像として出力される。
CCD41は、受光部の全画素に係る画像を出力するだけでなく、水平画素列が所定の割合で間引きされた画像や、撮影領域の一部の領域のみに関する画像を出力することが可能となっている。このようなCCD41の画像の出力手法は、出力モードとして予め設定されている。CCD41はその出力モードとして、受光部で得られる画像の全画素をそのままを出力する「全画素モード」とともに、撮影領域の全体に関して間引きされた画像を出力する「全体間引モード」と、撮影領域の一部の領域のみに関し当該領域が間引ききされた画像を出力する「領域限定モード」とを有している。
図5は、CCD41から出力される画像を説明するための図である。本実施の形態のCCD41の受光部においては、横2048×縦1536画素の二次元配列で構成される画像(以下、「全画素画像」という。)60が取得される。「全画素モード」においては、この全画素画像60がそのまま出力される。
なお、CCD41の撮影領域の中央部の横1024×縦516画素の領域は、合焦評価に用いるためのフォーカスエリアとして設定されている。したがって、図5に示すように、全画素画像60においては、中央部の横1024×縦516画素が、フォーカスエリアに相当する領域(以下、単に「フォーカスエリア」という。)FAとなっている。
「全体間引モード」においては、全画素画像60の水平画素列が間引きにより1/6の割合で読み出される。これにより、横2048×縦256画素を有する全体間引画像62が出力される。全体間引画像62は、全画素画像60と比較して縦方向の画素数が少ないものの、CCD41の撮影領域の全体について間引きがなされているため、CCD41の撮影領域の全体についての画像となる。
また、「領域限定モード」においては、全画素画像60の一部である領域61、具体的には、フォーカスエリアFAを含む横2048×縦516画素の領域61のみが注目される。そして、この領域61の水平画素列が間引きにより1/6の割合で読み出される。この領域61以外の領域の信号電荷は不要電荷として掃き出される。これにより、横2048×縦86画素を有する領域限定画像63が出力される。領域限定画像63は、CCD41の撮影領域の一部の領域についての画像となる。したがって、領域限定画像63は、フレーミングの対象とする全ての被写体の像を含むものではないため、ライブビュー画像として用いることはできない。
「全体間引モード」及び「領域限定モード」においては、「全画素モード」と比較して出力すべき水平画素列の数が少なくなることから、1単位としての画像を高速に出力できる。このため、「全体間引モード」及び「領域限定モード」においては、時間的に連続して画像を出力する際には画像の出力周期を短くすることができ、フレームレート(単位時間あたりの画像数:単位fps)を高くすることができる。
そして、「領域限定モード」は、「全体間引モード」と比較して出力すべき水平画素列数が少ない。このため、「領域限定モード」は、「全体間引モード」よりもさらに高速に画像を出力でき、フレームレートをさらに高くすることができる。本実施の形態のCCD41では、「全体間引モード」においては60fps(1/60秒周期)にて画像が出力され、「領域限定モード」においては120fps(1/120秒周期)にて画像が出力されるようになっている。
図4に戻り、タイミングジェネレータ46は、全体制御部50から入力される信号に基づきCCD41へ各種の駆動制御信号を送信する。例えば、タイミングジェネレータ46は、受光部の各画素に蓄積された信号電荷を転送させるための同期信号、各画素の不要電荷の掃き出しを行う電荷掃出信号、及び、出力モードを切り替えるための切替信号等を送信する。したがって、CCD41の出力モードは、全体制御部50及びタイミングジェネレータ46により切り替えられることとなる。
信号処理回路42は、CCD41から出力される画像に対して所定のアナログ信号処理を施す。信号処理回路42は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とをその内部に有し、CDS回路により画像のノイズの低減を行い、AGC回路により画像のレベル調整を行う。
A/D変換器43は、信号処理回路42から出力されたアナログ信号の画像を、デジタル信号の画像に変換する。本実施の形態において、A/D変換器43から出力される画像の各画素値は、例えば8ビット(0〜255)で表現される。
画像メモリ44は、A/D変換器43から出力された画像を一時的に記憶保持するメモリである。画像処理部45は、画像メモリ44に格納された画像に対して各種の画像処理を施す。具体的には、画像処理部45は、欠落色成分の補間、ホワイトバランス補正、γ補正、解像度変換、及び、圧縮等の所定の画像処理を行う。この画像処理部45の処理により、表示部20へ表示させるライブビュー画像や、メモリカード91に記録するための圧縮された画像などが生成される。
デジタルカメラ1の撮影待機状態においては、1/60秒周期でCCD41にて画像が繰り返し取得される。この画像は信号処理回路42及びA/D変換器43により所定の処理が施された後、画像メモリ44に格納される。さらに、この画像は、画像処理部45の処理により表示用のライブビュー画像に変換され、表示部20に表示される。これにより、ライブビュー表示がなされる。なお、このように撮影待機状態において繰り返し取得される画像は、A/D変換器43から全体制御部50にも入力され、露出制御等にも用いられる。
一方、シャッタボタン6の全押しによりユーザから撮影指示がなされた後は、これに応答してCCD41にて記録用の画像が取得される。この画像は信号処理回路42及びA/D変換器43により所定の処理が施された後、画像メモリ44に格納される。さらに、この画像は、画像処理部45の処理により圧縮された画像に変換された後、メモリカード91に記録される。
レンズ駆動部47は、撮影レンズ3内のフォーカスレンズ32、ズームレンズ33及び絞り34等を駆動する。レンズ駆動部47は、全体制御部50に電気的に接続され、全体制御部50から入力される信号に基づいて、撮影レンズ3内のフォーカスレンズ32等を駆動する。
カードI/F27は、カードスロット26に装着されるメモリカード91への画像の記録や、メモリカード91からの画像の読み出し等を行う。このカードI/F27は全体制御部50に電気的に接続され、全体制御部50からの信号に基づいて画像の記録や読み出しを行う。
また、上述した外光測距部7、操作入力部25及び表示部20も全体制御部50に電気的に接続されている。これにより、全体制御部50には、外光測距部7から被写体の距離を示す信号、操作入力部25からユーザ操作に応じた信号がそれぞれ入力される。また、表示部20は、全体制御部50の制御下においてライブビュー表示や設定メニューの表示などの各種表示を行う。
全体制御部50の各種の機能は、ROM53に記憶される制御プログラムに従ってCPU51が演算処理を行うことにより実現される。このような制御プログラムは、予めROM53内に記憶されているものであるが、メモリカード91から読み出すなどにより、新たな制御プログラムをROM53に格納することも可能とされている。
このような制御プログラムに従ったCPU51の演算によって実現される全体制御部50の機能には、デジタルカメラ1の上述した各部の動作制御機能の他、絞り値及び露光時間などの露出値を決定する露出制御機能等、種々の機能が含まれている。
図4に示すフォーカス制御部54は、このような全体制御部50の機能の一つを模式的に示している。フォーカス制御部54は、オートフォーカスに係る制御を行なう機能である。フォーカス制御部54は、レンズ駆動部47に所定の信号を送信することで、撮影レンズ3内のフォーカスレンズ32を駆動させ、撮影レンズ3の焦点調整を行なう。
<2.オートフォーカスについて>
以下、フォーカス制御部54の制御によってなされるデジタルカメラ1のオートフォーカスについて説明する。
デジタルカメラ1では、オートフォーカスのための動作モードであるAFモードとして、ワンショットAFモードとコンティニュアスAFモードとを備えている。ワンショットAFモードは、シャッタボタン6の半押しに応答して、被写体に対して合焦するように撮影レンズ3の焦点調整を行い、一旦被写体に対して合焦した後は、半押しが継続している限り撮影レンズ3の焦点位置を固定する(すなわち、フォーカスレンズ32を駆動させない)ワンショットAFを行なうモードである。一方、コンティニュアスAFモードは、動的な被写体に対して合焦を維持することができるように、一旦被写体に対して合焦した後も、焦点調整を繰り返し行なう(すなわち、被写体に応じてフォーカスレンズ32を常時駆動させる)コンティニュアスAFを行なうモードである。デジタルカメラ1では、操作入力部25を操作することによって、ワンショットAFモードとコンティニュアスAFモードとのいずれか一方を選択的に能動化できるようになっている。
また、デジタルカメラ1のオートフォーカスにおいては、被写体に対して合焦するフォーカスレンズ32の位置を検出するための焦点調整方式として、外光測距方式と山登り方式との2つの方式が採用されている。以下、外光測距方式及び山登り方式についてそれぞれ説明する。
<2−1.外光測距方式>
外光測距方式は、外光測距部7で検出される被写体の距離に基づいて、被写体に合焦するフォーカスレンズ32の位置(以下、「合焦位置」という。)を決定する方式である。
本実施の形態の外光測距部7においては、測距方式としてパッシブ方式が採用されている。図4に示すように、外光測距部7は、1対のレンズ71a,71b、1対の受光部72a,72b及び距離演算部73を備えている。レンズ71a,71bはそれぞれ、受光部72a,72bに対して入射光を結像させる。受光部72a,72bはそれぞれ、複数のフォトダイオードなどの受光素子を一列に配列したラインセンサとして構成される。これら2つの受光部72a,72bは、同一の直線上に水平方向(デジタルカメラ1を図1のように配置したとき)に沿って配置される。距離演算部73は、これらの2つの受光部72a,72bからそれぞれ出力される一次元のデータ(以下、「ラインデータ」という。)を比較し、その比較結果に基づいて被写体の距離を導出する。
図6は、距離演算部73が、被写体の距離を導出する原理を説明するための図である。レンズ71aの光軸とレンズ71bの光軸とは水平方向に離間しており、以下、この距離をkとする。レンズ71a及びレンズ71bのそれぞれの光軸は、受光部72a及び受光部72bのそれぞれの中央位置に対応している。
図に示すように、被写体Sb上の同一の点から反射された光は、受光部72aと受光部72bとのそれぞれの受光面で相対的に異なる位置に結像される。距離演算部73は、2つの受光部72a,72bからのラインデータを比較することで、受光部72a,72bのそれぞれの受光面において、被写体上の一の点からの光が結像される位置の相対差を、距離Δkとして取得する。
ここでレンズ71a,71bの焦点距離をfmとし、デジタルカメラ1から被写体までの距離をKとすると、図6から明らかなように次の数1が成り立つ。
これにより距離Kは、次の数2によって表現できる。
つまり、距離Kは、距離Δkに基づいて導出できる。距離演算部73は、この原理に基づいて被写体の距離Kを導出することとなる。
外光測距方式においては、このようにして距離演算部73で導出された被写体の距離が、全体制御部50に入力される。そして、この被写体の距離に基づいて、フォーカス制御部54により合焦位置が決定される。被写体の距離と、その距離に応じた合焦位置とを対応付けるデータ(以下、「換算データ」という。)は、予め計測などによって取得されROM53などに記憶されている。
なお、本実施の形態では、被写体の距離そのものに基づいて合焦位置が決定されるが、より一般には、被写体の距離に依存する値に基づいて合焦位置を決定してよい。被写体の距離に依存する値としては、例えば距離Δkなどが利用可能である。この場合においては、外光測距部7からは検出結果として距離Δkが出力され、この距離Δkに基づいてフォーカス制御部54により合焦位置が決定される。
<2−2.山登り方式>
山登り方式は、フォーカスレンズ32を駆動させつつCCD41にて時間順次に複数の画像を取得し、それらの複数の画像からそれぞれ得られるフォーカスの評価値に基づいて、合焦位置を決定する方式である。
評価値は、A/D変換器43から全体制御部50に入力される画像中のフォーカスエリアFAに含まれる画素に基づいて、フォーカス制御部54により導出される。評価値としては、コントラスト値や、高周波成分の量などが採用される。本実施の形態の形態では、合焦の程度が高いほど評価値が高くなるように評価値が設定されている。合焦位置の決定にあたっては、複数の評価値が比較されることとなる。
図7は、フォーカスレンズ32の位置(以下、「レンズ位置」という。)と評価値との関係の一例を示す図である。図に示すように評価値はレンズ位置に応じて変化し、いずれかのレンズ位置において最大値となる。山登り方式においては、フォーカス制御部54により、レンズ駆動部47に所定の信号が送信されてフォーカスレンズ32が駆動されるとともに、各レンズ位置にてそれぞれ得られる評価値が監視される。そして、フォーカス制御部54により、評価値が最大となる位置(正確には、評価値の変化に基づいて評価値が最大となると推定される位置)が合焦位置FPと決定される。
<2−3.各焦点調整方式の特徴>
外光測距方式は、被写体の距離そのものに基づく方式であるため、被写体が高速に移動した場合や、フレーミングの対象とする被写体を変更した場合などにおいても、合焦位置を迅速に特定できる。しかしながら、撮影レンズ3と外光測距部7との相互間にはパララックスが存在することや、温度によってフォーカスレンズ32の移動特性が変化することなどを原因として、外光測距方式は、山登り方式と比較して焦点調整の精度が低いという欠点がある。
一方、山登り方式は、CCD41で得られた画像に基づいて合焦位置を決定する方式であるため、パララックスは存在せず、温度変化の影響も大きく受けないため、外光測距方式と比較して焦点調整の精度が高い。しかしながら、被写体が高速に移動した場合や、フレーミングの対象とする被写体を変更した場合などにおいては、合焦するレンズの位置を特定するまでに非常に時間を要するという欠点がある。
<3.動作>
このように外光測距方式と山登り方式とはそれぞれ長所と短所とが存在することから、本実施の形態のデジタルカメラ1のコンティニュアスAFモードでは、これらの焦点調整方式が組合わせて使用される。具体的には、撮影指示がなされる前においては外光測距方式によって繰り返し撮影レンズ3の焦点調整が行われ、撮影指示がなされた後は山登り方式によって撮影レンズ3の焦点調整が行われるようになっている。
またさらに、コンティニュアスAFモードでは、被写体が移動する物体である場合においては、動体予測がなされるようになっている。動体予測とは、本撮影時点において被写体が存在すると予測される位置に対して合焦する位置に、フォーカスレンズ32を予め駆動するオートフォーカスの制御手法である。以下、このようなコンティニュアスAFモードにおけるデジタルカメラ1の動作について詳細に説明する。
<3−1.動作の流れ>
図8及び図9は、コンティニュアスAFモードにおけるデジタルカメラ1の動作の流れを示す図である。デジタルカメラ1では、シャッタボタン6がオフの間においては(ステップS5にてOFF)、表示部20においてライブビュー表示がなされる。
まず、CCD41にて画像が取得され(ステップS1)、この画像がライブビュー画像とされて表示部へ表示される(ステップS2)。このとき、CCD41の出力モードは、「全体間引モード」とされる。また、CCD41にて取得された画像に基づいて、露出値が導出される(ステップS3)。この露出値は、次回のライブビュー表示用の画像の取得時や、本撮影時の露出条件に反映される。このようなステップS1〜S3の処理が1/60秒周期(60回/s)で繰り返される。これにより、表示部20において、被写体のリアルタイムな状態を示すライブビュー表示がなされる。
また、シャッタボタン6がオフの間においては、このようなライブビュー表示のための処理(ステップS1〜S3)と並行して、1/5秒周期(5回/s)で、外光測距方式にて合焦位置を導出する第1合焦位置取得処理(ステップS4)がなされる。
図10は、第1合焦位置取得処理の流れを示す図である。
第1合焦位置取得処理においては、まず、外光測距部7の2つの受光部72a,72bにおいて被写体からの反射光が受光され、それぞれラインデータが取得される(ステップS31)。取得された2つのラインデータはそれぞれ距離演算部73に入力され、これらの2つのラインデータに基づいて被写体の距離が距離演算部73により導出される(ステップS32)。さらに、導出された距離は全体制御部50に入力され、この被写体の距離に基づいて合焦位置がフォーカス制御部54により導出される(ステップS33)。以下、このように外光測距方式によって導出される合焦位置を「第1合焦位置」という。また、第1合焦位置取得処理を「外光測距」ともいう。
図8に戻り、このような第1合焦位置取得処理(ステップS4)が繰り返しなされることから、複数の被写体の距離、及び、複数の第1合焦位置が時間的に連続して取得されることとなる。取得された複数の被写体の距離、及び、複数の第1合焦位置については、それぞれ少なくとも直近の3つがRAM52に記憶されるようになっている。なお、このステップS4の繰り返しにおいては、フォーカスレンズ32の駆動はなされない。
このようにしてライブビュー表示、及び、外光測距が繰り返されている状態で、シャッタボタン6が半押しされると(ステップS5にて半押し)、撮影準備動作が行なわれる。すなわち、ステップS3で得られた露出値に基づいて絞りが駆動されるとともに(ステップS6)、フォーカス制御部54の制御により、直近に得られた第1合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動される(ステップS7)。その後、再度、シャッタボタン6の状態が判定される(ステップS8)。このとき、シャッタボタン6がオフである場合は、処理はステップS1に戻り、再度、上記動作が繰り返されることとなる。
一方、シャッタボタン6の半押しが継続された場合は、絞り駆動を伴うライブビュー表示(ステップS9〜S12)と、外光測距方式によるコンティニュアスAF(ステップS13〜S14)とが並列してなされることとなる。
すなわち、「全体間引モード」に設定されたCCD41において画像が取得され(ステップS9)、この画像がライブビュー画像とされて表示部20へ表示される(ステップS10)。また、CCD41にて取得された画像に基づいて露出値が導出され(ステップS11)、決定された露出値に基づいて絞りが駆動される(ステップS12)。このようなステップS9〜S12が、1/60秒周期(60回/s)で繰り返されることとなる。
その一方で、図10と同じくして外光測距(第1合焦位置取得処理)がなされ(ステップS13)、取得された第1合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動される(ステップS14)。このようなステップS13〜S14が1/5秒周期(5回/s)で繰り返される。換言すれば、外光測距方式にて繰り返し導出される第1合焦位置に応じて、フォーカスレンズ32の位置が繰り返し調整されるというコンティニュアスAFがなされることとなる。なお、この外光測距の繰り返しにより得られた複数の被写体の距離、及び、複数の第1合焦位置についても、それぞれ少なくとも直近の3つがRAM52に記憶される。
ステップS8において、シャッタボタン6が全押しされた場合は、本撮影動作を行なうために、処理は図9のステップS15に進む。本撮影動作にあたっては、まず、山登り方式にて合焦位置を導出する第2合焦位置取得処理がなされる(ステップS15)。
図11は、第2合焦位置取得処理の流れを示す図である。
第2合焦位置取得処理においては、まず、外光測距により得られた直近2つの被写体の距離に基づいて、撮影レンズ3の光軸AX方向に沿った被写体の移動方向がフォーカス制御部54により検出される。すなわち、直近の2つの被写体の距離が比較され、被写体の距離が時間経過に伴って小となるならば被写体の移動方向は近づく方向であると判定され、被写体の距離が時間経過に伴って大となるならば被写体の移動方向は離れる方向であると判定される(ステップS41)。
続いて、以降の山登り方式による合焦位置の取得の際においてフォーカスレンズ32を駆動する方向が、被写体の移動方向に基づいてフォーカス制御部54により決定される。すなわち、被写体の移動方向がデジタルカメラ1に近づく方向のときは、フォーカスレンズ32の駆動方向は近側(より近い被写体に合焦する方向)と決定され、被写体の移動方向がデジタルカメラ1から離れる方向のときは、フォーカスレンズ32の駆動方向は遠側(より遠い被写体に合焦する方向)と決定される(ステップS42)。
次に、決定された駆動方向へフォーカスレンズ32を駆動させつつ、所定数(例えば6つ)の評価値が導出される。すなわち、CCD41にて画像が取得され(ステップS43)、この画像が全体制御部50に入力され、画像中のフォーカスエリアFAに基づいてフォーカス制御部54により評価値が導出される(ステップS44)。そして、評価値が所定数取得されていない場合は(ステップS45にてNo)、決定された駆動方向に所定の距離、フォーカスレンズ32が駆動され(ステップS43)、再度、CCD41にて画像が取得される(ステップS41)。このようなステップS43〜S46が、評価値が所定数取得されるまで繰り返されることとなる。
このとき、CCD41の出力モードは「領域限定モード」とされ、評価値はCCD41の撮影領域の一部の領域についての領域限定画像63に基づいて導出される。したがって、評価値の取得のための画像を出力するフレームレートを比較的高くすることができるため、迅速に所定数の評価値を取得できる。なお、「領域限定モード」においては、出力される画像が領域限定画像63となるためライブビュー表示ができなくなる。しかしながら、撮影指示後のこの時点ではフレーミングは完了済であるため、特に問題となることはない。
所定数の評価値が得られると、続いて、取得された所定数の評価値に基づいて合焦位置がフォーカス制御部54により導出される(ステップS47)。以下、このように山登り方式によって導出される合焦位置を「第2合焦位置」という。
図9に戻り、第2合焦位置取得処理(ステップS15)が完了すると、続いて、「第2合焦位置」が導出できたか否かが判定される(ステップS16)。そして、「第2合焦位置」が導出できた場合は、次に、動体予測を行なうか否かの条件を判定する動体予測条件判定処理(ステップS17)が、フォーカス制御部54によりなされる。
図12は、動体予測条件判定処理の流れを示す図である。動体予測条件判定処理では、動体予測を行なうか否かを示す動体予測フラグが最終的に設定される。動体予測フラグは、動体予測を行なうことを示すONと、動体予測を行なわないことを示すOFFとのいずれかを示す。
動体予測条件判定処理においては、まず、外光測距(第1合焦位置特定処理)の回数が3回以上なされたか否かが判定される(ステップS51)。これにより、被写体の距離が少なくとも3つ取得されたか否かが判定されることとなる。以降の処理においては、3つの被写体の距離が必要とされるため、外光測距の回数が3回未満のときは、動体予測フラグがOFFに設定され(ステップS58)、そのまま動体予測条件判定処理が終了する。
一方、外光測距の回数が3回以上のときは、次に、直近の3つの被写体の距離に基づいて、被写体の速度(以下、「動体速度」という。)が2つ導出される。直近の3つの被写体の距離を取得された時間順にそれぞれK1,K2,K3とし、撮影待機状態における外光測距の周期をTとし、2つの動体速度をV1,V2とすると、動体速度V1,V2は、次の数3により導出される(ステップS52)。
次に、2つの動体速度V1,V2(正確には、その絶対値)がそれぞれ、所定の許容範囲内に含まれているか否かが判定される(ステップS53)。許容範囲の下限値をVThL、許容範囲の上限値をVThUとすると、この判定は下記の数4の条件を満たすか否かの判定に相当する。下限値VThL及び上限値VThUは予めROM53などに記憶されている。この判定により、2つの動体速度V1,V2の双方あるいはいずれかが所定の許容範囲外となるときは、動体予測フラグがOFFに設定され(ステップS58)、そのまま動体予測条件判定処理が終了する。
2つの動体速度V1,V2の双方が所定の許容範囲内となるときは、次に、次の数5で表現される動体速度の変化量(被写体の加速度に相当)αが導出される。そして、動体速度の変化量αが所定の基準値以下となるか否かが判定される(ステップS54)。
動体速度の変化量αに対する所定の基準値をαThとすると、この判定は下記の数6を満たすか否かの判定に相当する。基準値αThは予めROM53などに記憶されている。この判定により、動体速度の変化量αが基準値αThを超える場合は、動体予測フラグがOFFに設定され(ステップS58)、そのまま動体予測条件判定処理が終了する。
動体速度の変化量αが所定の基準値以下の場合は、次に、直近の2つの被写体の距離K2,K3に基づいて、撮影レンズ3の倍率(光学系によって生ずる像の大きさの、被写体の大きさに対する比)が2つ取得される(ステップS55)。撮影レンズ3の焦点距離をfp、2つの倍率をβ1,β2とすると、倍率β1,β2は、次の数7により導出される。
次に、2つの倍率β1,β2がそれぞれ、所定の基準値以下であるか否かが判定される(ステップS56)。倍率β1,β2に対する所定の基準値をβThとすると、この判定は下記の数8を満たすか否かの判定に相当する。基準値βThは予めROM53などに記憶されている。
この判定により、2つの倍率β1,β2の双方あるいはいずれかが基準値βThを超える場合は、動体予測フラグがOFFに設定され(ステップS58)、動体予測条件判定処理が終了する。一方、2つの倍率β1,β2の双方が基準値βTh以下である場合は、動体予測フラグがONに設定され(ステップS57)、動体予測条件判定処理が終了する。
図9に戻り、動体予測条件判定処理が完了すると(ステップS17)、その処理結果である動体予測フラグが確認される(ステップS18)。そして、動体予測フラグがONの場合は、動体予測、すなわち、本撮影時点において被写体が存在すると予測される位置に対応する合焦位置を導出する第3合焦位置取得処理がなされる(ステップS19)。
図13は、第3合焦位置取得処理の流れを示す図である。
第3合焦位置取得処理においては、まず、フォーカスレンズ32が直近に合焦位置となった時点(以下、「直近合焦時点」といい、記号txを用いる。)が取得される。直近合焦時点txは、第2合焦位置取得処理(図9:ステップS15)においてフォーカスレンズ32が第2合焦位置を通過した時点である。第2合焦位置が、n回目の評価値の取得時点におけるレンズ位置と、n+1回目の評価値の取得時点におけるレンズ位置との間にあるとき、直近合焦時点txは、次の数9により導出できる。数9において、tnはn回目の評価値の取得時点、tn+1はn+1回目の評価値の取得時点、L2は第2合焦位置、Lnはn回目の評価値の取得時点におけるレンズ位置、Ln+1はn+1回目の評価値の取得時点におけるレンズ位置である(ステップS61)。
次に、本撮影がなされる時点(以下、「本撮影時点」といい、記号tpを用いる。)が予測される。本撮影時点tpは、現時点をtnとすると、次の数10に示すように、現時点tnに所定時間Tdを加算することにより導出される(ステップS62)。
次に、直近合焦時点txから本撮影時点tpまでのタイムラグ(記号Tlを用いる。)が次の数11により取得される(ステップS63)。
次に、直近合焦時点txから本撮影時点tpまでにおいて、被写体が移動すると予測される距離(以下、「移動距離」といい、記号Ktを用いる。)が、直近の動体速度V2とタイムラグTlとに基づいて次の数12により求められる(ステップS64)。
次に、直近合焦時点txにおける被写体の距離(記号Kkを用いる。)が、第2合焦位置L2及び換算データに基づいて導出される(ステップS65)。次に、数13に示すように、この距離Kkと移動距離Ktとが加算されることにより、本撮影時点tpにおいて被写体が存在すると予測される位置の距離(以下、「予測距離」といい、記号Kfを用いる。)が導出される(ステップS66)。
そして、この被写体の予測距離Kf及び換算データに基づいて、予測距離Kfに対しての合焦位置が第3合焦位置として導出される(ステップS67)。
図9に戻り、このようにして第3合焦位置が導出されると、フォーカスレンズ32が第3合焦位置に駆動される(ステップS20)。その後、本撮影がなされて、CCD41において記録用の画像が取得される。このとき、CCD41の出力モードは「全画素モード」とされる(ステップS23)。そして、この記録用の画像は、所定の処理が施されて圧縮された後、メモリカード91に記録される(ステップS24)。画像が記録された後は、処理はステップS1に戻り、再度、撮影待機状態となる。
図14及び図15は、以上の動作を行なった場合における、実際の被写体の距離と、撮影レンズ3が合焦する距離(以下、「レンズ合焦距離」という。)との関係の一例を示す図である。図14は被写体がデジタルカメラ1に近づく場合、図15は被写体がデジタルカメラ1から離れる場合を示している。これらの図において、一点鎖線の太線は被写体の距離、実線の太線はレンズ合焦距離を示している。図の横軸は時間を示している。それぞれの図の開始時点Pt0,Pt10においては、シャッタボタン6の半押しが継続されている状態であるものとする。そして、図14の時点Pt4,図15の時点Pt14において、シャッタボタン6の全押しがなされるものとする。
まず、図14を参照して、被写体がデジタルカメラ1に近づく場合について説明する。シャッタボタン6が全押しされる前(撮影指示の前)(〜時点Pt4)においては、所定の時間周期で外光測距がなされ(時点Pt1,Pt2,Pt3)、その測距結果である被写体の距離PK1,PK2,PK3に対応するように、レンズ合焦距離も移動される。つまり、外光測距方式にて繰り返し導出される第1合焦位置に応じて、フォーカスレンズ32の位置が繰り返し調整される。
シャッタボタン6が全押しされた後(撮影指示の後)(時点Pt4〜)においては、まず、第2合焦位置取得処理がなされる。すなわち、フォーカスレンズ32の駆動方向が近側に決定され(時点Pt4)、決定された近側にフォーカスレンズ32が細かく駆動されつつ、所定数の評価値が取得される(時点Pt4〜Pt6)。そして、得られた所定数の評価値に基づいて、第2合焦位置(距離PK4に対応するレンズ位置)が導出される(時点Pt6)。
さらに時点Pt6においては、第3合焦位置取得処理がなされる。すなわち、直近合焦時点txの導出(=Pt5)、本撮影時点tpの予測(=Pt7)、タイムラグTlの導出、移動距離Ktの導出、直近合焦時点txにおける被写体の距離Kkの導出(=PK4)、予測距離Kfの導出(=PK5)、及び、第3合焦位置(距離PK5に対応するレンズ位置)の導出がそれぞれなされる。その後、本撮影時点Pt7の前までに、第3合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動され、時点Pt7において本撮影がなされることとなる。
一方、図15に示すように、被写体がデジタルカメラ1に離れる場合も、被写体が近づく場合とほぼ同様の処理がなされる。すなわち、シャッタボタン6が全押しされる前(撮影指示の前)(〜時点Pt14)においては、所定の時間周期で外光測距がなされ(時点Pt11,Pt12,Pt13)、その測距結果である被写体の距離PK11,PK12,PK13に対応するように、レンズ合焦距離も移動される。つまり、外光測距方式にて繰り返し導出される第1合焦位置に応じて、フォーカスレンズ32の位置が繰り返し調整される。
シャッタボタン6が全押しされた後(撮影指示の後)(時点Pt14〜)においては、まず、第2合焦位置取得処理がなされる。すなわち、フォーカスレンズ32の駆動方向が遠側に決定され(時点Pt14)、決定された遠側にフォーカスレンズ32が細かく駆動されつつ、所定数の評価値が取得される(時点Pt14〜Pt16)。そして、得られた所定数の評価値に基づいて、第2合焦位置(距離PK14に対応するレンズ位置)が導出される(時点Pt16)。
さらに時点Pt16においては、第3合焦位置取得処理がなされる。すなわち、直近合焦時点txの導出(=Pt15)、本撮影時点tpの予測(=Pt17)、タイムラグTlの導出、移動距離Ktの導出、直近合焦時点txにおける被写体の距離Kkの導出(=PK14)、予測距離Kfの導出(=PK15)、及び、第3合焦位置(距離PK15に対応するレンズ位置)の導出がそれぞれなされる。その後、本撮影時点Pt17の前までに、第3合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動され、時点Pt17において本撮影がなされることとなる。
このように本実施の形態のデジタルカメラ1では、撮影指示の前には、外光測距方式にて繰り返し導出される第1合焦位置に応じて、フォーカスレンズ32の位置が繰り返し調整されるというコンティニュアスAFがなされるようになっている。被写体が高速に移動したり、フレーミングの対象とする被写体を変更した場合などにおいても、第1合焦位置は迅速に決定できることから、常に焦点調整を高速に行なうことができる。このため、ユーザはフレーミングの際に常に合焦した被写体像を確認でき、フレーミングを容易かつ適切に行なうことができることとなる。
また、ライブビュー表示のためのCCD41と、外光測距のための外光測距部7とは互いに独立してデータの取得が可能である。このため、コンティニュアスAFのための処理が、ライブビュー表示に影響を与えることがない。その結果、ライブビュー表示を行なう表示部20において被写体像をスムーズに表示することができ、ユーザは表示部20を用いたフレーミングを適切に行なうことができる。
また一方で、撮影指示の後には、まず、山登り方式にて第2合焦位置が取得され、さらに、動体予測がなされる。すなわち、本撮影時点において被写体が存在すると予測される位置に対する合焦位置である第3合焦位置が取得される。そして、本撮影の前に、第3合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動される。このため、高精度に焦点調整がなされた記録用の画像を取得することができることとなる。
また、山登り方式にて第2合焦位置を取得するにあたっては、最初に、被写体の移動方向が検出され、フォーカスレンズ32の駆動方向が、被写体が近づく場合は近側、被写体が離れる場合は遠側にそれぞれ決定される(図14及び図15を参照。)。このため、その後、第3合焦位置にフォーカスレンズ32を駆動する時間を短縮することができ、その結果、焦点調整の総時間を短縮できる。第3合焦位置は、第2合焦位置と比較して、より被写体の移動方向の側に(被写体の移動方向に存在する物体に)合焦する位置であるためである。
<3−2.動体予測の条件について>
ところで、図9のステップS18において、動体予測フラグがOFFの場合は、動体予測はなされず、第2合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動された後(ステップS21)、本撮影がなされるようになっている(ステップS23,S24)。
動体予測に基づく焦点調整は、常に焦点調整の精度が向上するわけではなく、条件によっては却って焦点調整の精度が悪化することがある。このように動体予測に基づく焦点調整の精度が悪化する場合として、例えば以下の4つの場合が考えられる。
(1)フレーミングの対象とする被写体が変更された場合。
(2)被写体が静止している、あるいは、被写体の動きが非常に遅い場合。
(3)被写体が急加速、あるいは、急減速した場合。
(4)倍率が非常に大きい場合。
この(1)〜(4)はそれぞれ、下記の場合に相当する。
(1)動体速度が、所定の上限値よりも大となる場合。
(2)動体速度が、所定の下限値よりも小となる場合。
(3)動体速度の変化量が、所定の基準値を超える場合。
(4)倍率が、所定の基準値を超える場合。
上述したように本実施の形態では、動体速度が所定の許容範囲内に含まれること、動体速度の変化量が所定の基準値以下であること、倍率が所定の基準値以下であることを条件に動体予測を行ない、これらのいずれかが満たされない場合は、動体予測がなされないようになっている。すなわち、上記(1)〜(4)の場合においては、動体予測がなされないようになっているわけである。このため、焦点調整の精度が悪化することを防止できることとなる。
また、動体予測がなされない場合においては、第1合焦位置ではなく、第2合焦位置に対してフォーカスレンズ32が駆動される。山登り方式にて得られる第2合焦位置は、外光測距方式にて得られる第1合焦位置よりも、合焦位置としての精度は高い。したがって、動体予測を行なわない場合においても、高精度に焦点調整がなされた記録用の画像を取得することができることとなる。
<3−3.第2合焦位置が取得不可のとき>
また、図9のステップS16において、「第2合焦位置」が導出できなかったと判定された場合は、撮影指示の前において直近に取得された第1合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動された後(ステップS22)、本撮影がなされるようになっている(ステップS23,S24)。
評価値として例えばコントラスト値を用いる場合、被写体のコントラストが極端に低いと「第2合焦位置」を導出できないことがある。本実施の形態においては、このように評価値が導出できない場合においても、撮影指示がキャンセルされずに、本撮影がなされる。このため、シャッタチャンスを逃すことがない。そして、この場合においては、第1合焦位置にフォーカスレンズ32が駆動されるため、おおよそ焦点調整がなされた状態の記録用の画像を取得できる。
<4.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
<4−1.像点速度>
上記実施の形態では、第3合焦位置を導出するために被写体の速度を直接的に示す動体速度を利用していたが、より一般には、速度に依存する速度依存値を利用してよい。
速度依存値としては、例えば像点(被写体の像が形成される点)の撮影レンズ3の光軸AXに沿った方向に移動する速度(以下、「像点速度」といい、記号vを用いる。)を利用できる。図16は、速度依存値として像点速度vを利用する場合における第3合焦位置取得処理(図9:ステップS19)の流れを示す図である。
まず、像点速度vが、フォーカス制御部54により導出される(ステップS71)。像点速度vは、像点と焦点(無限遠位置の被写体の像点)との距離sの単位時間あたりの変化量に相当する。距離sは、次の数14に示すように、焦点距離fp及び被写体の距離Kにより表現できる。
さらに、数14及び数2により、距離sは、次の数15のように表現できる。
したがって、外光測距の繰り返しにより得られる複数の距離Δkを時間順にΔk1,Δk2とし、距離sを時間順にs1,s2とすると、像点速度vは次の数16により導出できる。
像点速度vが導出されると、次に、図13のステップS61〜S63と同様にして、直近合焦時点tx、本撮影時点tp及びタイムラグTlが順次導出される(ステップS71〜S74)。
次に、直近合焦時点txから本撮影時点tpまでにおける被写体の移動距離に対応するレンズ補正量(記号Lcを用いる。)が、像点速度vとタイムラグTlとに基づいて次の数17により導出される(ステップS75)。
そして、数18に示すように、第2合焦位置L2に対してレンズ補正量Lcを加算することで、第3合焦位置(記号L3を用いる。)が求められることとなる(ステップS76)。
このように速度依存値として像点速度を利用した場合は、動体速度を利用した場合と比較して、第3合焦位置を導出するまでの演算回数が少ない。このため、高速に第3合焦位置を導出できるとともに、演算結果に演算誤差が含まれる確率が減少することから精度の高い第3合焦位置を導出できる。
<4−2.アクティブ方式>
上記実施の形態では、外光測距部7の測距方式としてパッシブ方式が採用されていたが、アクティブ方式が採用されてもよい。図17は、測距方式としてアクティブ方式を採用した場合の外光測距部7の概略構成を示す図である。
図に示すように、アクティブ方式を採用した場合の外光測距部7は、1対のレンズ74,76と、レンズ74を介して測距用の光を投光する発光部75と、レンズ76を介して入射する光を受光する受光部77と、受光部77のデータに基づいて被写体の距離を導出する距離演算部78とを備えている。発光部75は赤外線を発光するLEDなどで構成され、全体制御部50の制御下で発光動作する。一方、受光部77は、赤外線のみを透過するフィルタが表面に貼付されたラインセンサとして構成され、水平方向に沿って配置される。
図18は、アクティブ方式の外光測距部7が被写体の距離を導出する原理を説明するための図である。レンズ74の光軸とレンズ76の光軸とは水平方向に離間しており、以下、この距離をkとする。レンズ76の光軸は受光部77の中央位置に対応している。発光部75から発光された測距用の光は、被写体Sbにおいて反射され、その反射光が受光部77により受光される。この反射光が結像される位置は被写体の距離Kに応じて受光部の中心位置からずれる。このずれ量をΔkとする。また、レンズ76の焦点距離をfmとする。図18に示すように、距離Δk、焦点距離fm、距離k、及び、距離Kには、数1と同じ関係が成り立つ。したがって、数2に示すように、ずれ量Δkに基づいて距離Kを導出できることとなる。このようにして取得される被写体の距離Kは、全体制御部50において上記実施の形態と同様に利用できる。
外光測距部7の測距方式としてアクティブ方式を採用すると、被写体の輝度が比較的低い場合であっても、被写体の距離が取得可能である。なお、外光測距部7の測距方式としてパッシブ方式を採用する場合であっても、被写体を照明する補助光を発光する発光手段を備えることで、アクティブ方式と同様の効果が得られる。
<4−3.駆動方向の固定>
上記実施の形態においては、山登り方式にて第2合焦位置を取得するにあたっては、被写体の移動方向が検出され、その移動方向に基づいてフォーカスレンズ32の駆動方向が決定されていたが、フォーカスレンズ32の駆動方向を所定の方向(例えば近側)としてもよい。
この場合は、図8のステップS14においては、フォーカスレンズ32の駆動方向とは逆側に所定距離だけ第1合焦位置から離れた位置に、フォーカスレンズ32を駆動させるようにすればよい。このようにすることで、その後の第2合焦位置を取得する際に、フォーカスレンズ32が必ず合焦位置を通過できる。
<4−4.その他変形例>
上記実施の形態では、外光測距部7の受光部72a,72bにラインセンサが採用されていたが、アレイセンサが採用されてもよい。また、被写体の画像を取得する撮像素子は、C−MOSセンサであってもよい。また、動体予測を行なうか否かを、ユーザ操作により設定可能となっていてもよい。また、上記では、シャッタボタン6が半押しされる前においても外光測距がなされていた(図8:ステップS4)が、シャッタボタン6が半押しされた後のみ外光測距がなされてもよい。
また、上記実施の形態では、CPUがプログラムに従って演算処理を行うことにより各種機能が実現されると説明したが、これら機能の全部または一部は専用の電気的回路により実現されてもよい。特に、繰り返し演算を行う箇所をロジック回路にて構築することにより、高速な演算が実現される。また逆に、電気的回路によって実現されるとした機能の全部または一部は、CPUがプログラムに従って演算処理を行うことにより実現されてもよい。
また、デジタルカメラ1では、フォーカスレンズ32の位置を制御することにより撮影レンズ3の焦点位置の変更が行われるため、「レンズ位置」という言葉を用いて説明を行ったが、複数のレンズを駆動して光学系の焦点位置の変更を行う場合であっても上記実施の形態に係る手法を利用することができる。すなわち、上記実施の形態におけるレンズ位置は、少なくとも1つの光学系の配置に対応付けることが可能である。