JP3634026B2 - フロアパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定寸法に規格化されたフロアパネルを基礎床面に敷き詰めてフリーアクセスフロアを構築する際、部屋の隅等に生ずる隙間に合わせて寸法の調節をできるように改良したフロアパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスのOA化が進むにつれて普及したフリーアクセスフロアは、コンクリート製の基礎床面上へ、フロアパネルを敷き詰めて構築する。ところが、所定寸法に規格化されたフロアパネルだけでは、部屋の隅等に、前記フロアパネルよりも狭い隙間ができ、この隙間を埋めるために、規格外のボーダーパネルが必要になってくる。
【0003】
当初のボーダーパネルは、敷設場所で適切な大きさに切断して、上記隙間に埋め込んでいた。しかし、ボーダーパネルを敷設場所でいちいち作り出すことは、手間と労力が必要な上、端材が発生する問題があった。そこで、例えば実開平5−16971号に見られるように、櫛歯状に成形した合成樹脂、金属又は木材等を互いに嵌合い、その嵌合いの程度で縦幅を調節するボーダーパネルが提案されるようになってきた。実開平5−16971号では、更に中空の箱状に形成した部材の箱部分を嵌合い構造にしたボーダーパネルも提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実開平5−16971号は、敷設現場で製作する旧来のボーダーパネルにおいて要していた手間と労力とを削減することを目的としており、この点に関して大きな効果がある。しかし、一方では、なお規格化されたフロアパネルとは別材としてボーダーパネルを用意しなければならず、製造、管理、そして取扱い等を、それぞれ別にしなければならないし、敷設現場において、一方のフロアパネルが足りなくなれば、いくら他方が残っていても、もはやフリーアクセスフロアの構築は続行できないという問題が解決されない。更に、単なる嵌合い構造のボーダーパネルは、敷設後に、振動等により必要以上に短縮し、隙間ができる問題があった。
【0005】
そこで、単一のフロアパネルに、従来の規格化されたフロアパネルとボーダーパネルとの両方の性格をもたせ、製造、管理、そして取扱い等を一元化して、より手間と労力の削減を図ることを目的として、フロアパネルの構造について検討することにした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
検討の結果開発したものが、基礎床面上に敷き詰めて床面を形成するフロアパネルにおいて、残余部が格子状になるよう上下に貫通した開口部を前記フロアパネルに形成し、容易に切断できる薄肉部からなる横分割線を格子状の前記各残余部を横断して該フロアパネルに設けてなり、前記横分割線で切り離したフロアパネル(以後、それぞれを分割パネルと呼ぶ)の一方の残余部を他方の開口部に嵌合してフロアパネルの縦幅を調節可能にしたフロアパネルである。
【0007】
本発明のフロアパネルは、通常は所定寸法に規格したフロアパネルとして取扱い、横分割線で切り離した分割パネルの一方の残余部を他方の開口部に嵌合し、この残余部の長さの範囲で、フロアパネルの縦幅を短縮可能にするボーダーパネルとして取扱える。この横分割線は、開口部と平行なフロアパネルの2側面に交差する線であればよく、ノッチ、スリット、適当間隔で配列した貫通孔やこれらの組み合わせ等があり、フロアパネルは、この横分割線を軸に折曲げを繰り返すことで容易に2つの分割パネルに切り離すことができる。
【0008】
開口部又は残余部の数は、フロアパネルの大きさや分割パネルの強度等によって決定されるが、開口部にハイヒールの踵が落ち込まない程度に幅の狭い開口部又は残余部を形成するのがよい。開口部はフロアパネル下の配線の状況を確認する覗き窓の役割も果たす。各分割パネルの残余部は、対向する開口部より幅が狭ければ嵌合できるが、この残余部と開口部とをほぼ同幅にすれば、対向する残余部同士が嵌合時に密接する。また、切り離したフロアパネルの一方の残余部と他方の開口部とを嵌合させた際、切り離したフロアパネルの各残余部に、互いに係合しあう位置規制部を設けておくと、分割パネルは安定して嵌合し、振動等により必要以上に縦幅が縮まることがなくなる。位置規制部としては、対称で嵌合可能な凹凸や、鋸歯状のラック部等がある。
【0009】
分割パネルは、フロアパネルを等分する中心線上に横分割線を設けることで、同等かつ対称な形状のものを得ることができ、各分割パネルの残余部を対向する分割パネルの開口部に余すところなく嵌合させることができる。なお、横分割線は複数設けてもよく、フロアパネルは複数に分割することができる。
【0010】
予め横分割線を複数設けておくと、分割パネルの残余部にはなお横分割線が残るが、この残った横分割線から先を切り取って残余部すべてを短くすれば、得られるボーダーパネルは元のフロアパネルに比べて縦幅を更に短縮できる。また、横分割線とは別に、容易に切断できる薄肉部からなる縦分割線を開口部又は残余部を縦断して設ければ、得られるボーダーパネルは元のフロアパネルに対して横幅をも短縮できる。なお、一部の残余部のみを、上記横又は縦分割線で切り取ると、この切断部分は常に床面上に開口して配線等の引出孔や、コンセントボックスの収容スペース等として用いることができるようになる。なお、横又は縦分割線を形成する薄肉部は、フロアパネル上面近くに設けるよりも、フロアパネル下面近くに設けるほうが、運搬時にフロアパネルの両脇を抱えても屈曲する心配がなく、取り扱いの便がよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を、図を参照しながら説明する。図1は本発明のフロアパネル1の斜視図、図2はフロアパネル1からノッチ2,3に挟まれた残余部4の一部を切り離してコンセントボックス5を嵌め込んだ状態の斜視図、図3は同フロアパネル1をノッチ6で切り離して得た分割パネル7,8の斜視図であり、図4は一方の分割パネル7(又は8)の開口部9に対向する他方の分割パネル8(又は7)の残余部4を半分程度嵌合したボーダーパネル10の斜視図、図5はラック部11,11の噛み合いを表わした一部平面図で、図6は一方の分割パネル7(又は8)の開口部9に対向する他方の分割パネル8(又は7)の残余部4を全部嵌合したボーダーパネル12の斜視図である。本例ではノッチ2,3,6を横分割線とし、各分割パネル7,8の両側に当る残余部(図1中手前及び奥の残余部)それぞれに位置規制部としてのラック部11,11を形成している。
【0012】
この例は、図1に見られるように、基礎床面との間に電気配線用の空間を作るために四隅に脚13を配したフロアパネル1で、残余部4が格子状となるように開口部9を上面15から下方へ貫通して設けている。この残余部と開口部9とは同幅である。なお、図1では、図示の便宜上、開口部9の幅を広くしているが、実際にはハイヒールの踵が落ち込まない程度の幅にする。上面15には、フロアパネル1を二分割するように、各残余部4を横断してノッチ6を設け、それぞれに対応した補助脚16を形成している。ノッチ2,3で挟まれた残余部4の一部を切り離せば、図2に見られるようにコンセントボックス5等を嵌め込むことができ、便利である。
【0013】
ラック部11,11は、図4又は図6に見られるように、対向する残余部4と開口部9とを嵌合させたとき、図5に見られるように互いに係合して分割パネル7,8の相対的位置ずれを防ぎ、ボーダーパネル10,12としての大きさが維持され、必要以上に短縮せず、隙間も発生しないようにする。ラック部11は、本例のように各分割パネル7,8の両側に当る残余部4のみ、数として2〜3の残余部に設けるだけで十分であるが、すべての残余部にラック部を設けると、より強固に分割パネルを組み付けることができる。
【0014】
このフロアパネルは、ノッチ6を軸に折曲げを繰り返すことで、図3に見られるように、分割パネル7,8に分割できる。これにより、このフロアパネル1でフリーアクセスフロアを構築しながら、その敷設現場において、このフロアパネル1からボーダーパネル10,12(図4又は図6参照)を作り、部屋の隅等にできる隙間を埋めることができる。そして、このようにフロアパネルの種類が一元化されることから、製造コスト、保管コスト等が低減されるのである。なお、図3からも明らかなように、各分割パネル7,8は元のフロアパネル1の1/2(本例の場合)の大きさをもつ単体のボーダーパネルとしても利用可能である。
【0015】
嵌合した分割パネル7,8は、図4に見られるように、開口部9を残してフロアパネル1の縦幅を短縮したボーダーパネル10として利用してもよいし、図6に見られるように、開口部9をすべて埋めるように対向する残余部4を嵌合して最も縦幅の狭いボーダーパネル12として利用してもよい。各図において、元のフロアパネル1の大きさを仮想線で示し、短縮した縦幅の大きさを両矢印で示している。図4のように、開口部9が残る程度に分割パネル7,8を嵌合した場合、この開口部9は、基礎床面上に這わせる配線18の取出口又は配線18の状況を確認する覗き窓として機能する。
【0016】
図6のように、開口部9を埋めるように対向する残余部4を突き合わせて分割パネル7,8を嵌合させた場合、開口部9がない状態となるが、残余部4のノッチ2(又は3)から先を切り取ることで新しく開口部を形成することができる。更に開口部又は残余部を縦断する方向の縦分割線としてノッチ19,20を設ければ、図7に見られるように、フロアパネル1を縦幅及び横幅共に短縮し、例えばフリーアクセスフロアを敷設する部屋の角部に対応した小面積のボーダーパネル21を敷設現場で容易に作り出すことができる。なお、残余部4の各切断端に当る部分には、予め補助脚16を形成しておく。
【0017】
本発明のフロアパネルは、製造コストの削減、軽量化やガタツキ音防止等を図る目的から、合成樹脂の一体成形品が好ましいが、金属製又は木製でもよい。本例は、図8に見られるように、上面にノッチ2(3,6,19又は20)を形成して、各分割パネルがほぼ上面15で連結した構造のフロアパネルであるが、図9に見られるように、補助脚底面で各分割パネルが連結するように、ノッチ14を下方に形成してもよい。横又は縦分割線をフロアパネル下面に設けた場合、荷重により、ある分割パネルの上面がたわんでも他の分割パネルが浮き上がることもなく(図8中二点鎖線と図9とを比較参照)、フロアパネル運搬時に横又は縦分割線から屈曲する心配がなくなるという利点がある。
【0018】
本発明のフロアパネルは、通常は一組みの分割パネルが一体となった従来同様のフロアパネルとして取り扱える一方、必要に応じてボーダーパネルとして取り扱うこともできる点が特徴である。しかも、開口部から配線の確認又は取り出しができ、更に残余部の一部を切り取ることで、例えばコンセントボックスを嵌め込むなどの工作が敷設現場で行え、フリーアクセスフロアのレイアウトを自在にできるという利点を有するのである。
【0019】
【発明の効果】
本発明により、フリーアクセスフロアの構築の際に必ずと言ってよいほど発生する周縁の隙間に対し、標準のフロアパネルを横又は縦分割線から分断することで、容易に隙間に合わせたボーダーパネルを得ることができるようになる。このことは、取り扱うべきフロアパネルの種類を減らし、製造コスト、保管コストを低減させ、加えて敷設作業の手間と労力を削減する効果がある。更に、本発明のフロアパネルを用いて構築されたフリーアクセスフロアには、床面に開口部が形成されることで、基礎床面上に這わせた配線の状況確認及び取り出しが容易な利便性の向上を図ることができるようになるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロアパネルの斜視図である。
【図2】同フロアパネルにコンセントボックスを嵌め込んだ状態の斜視図である。
【図3】同フロアパネルを切り離して得る分割パネルの斜視図である。
【図4】分割パネルを半分程度嵌合した嵌合したボーダーパネルの斜視図である。
【図5】嵌合したボーダーパネルのラック部の噛み合わせを示した一部平面図である。
【図6】分割パネルを全部嵌合したボーダーパネルの斜視図である。
【図7】格子溝の直交方向及び格子溝方向に短縮したボーダーパネルの斜視図である。
【図8】フロアパネル上面付近で分割パネルが連結したノッチの拡大正面図である。
【図9】フロアパネル下面付近で分割パネルが連結したノッチの拡大正面図である。
【符号の説明】
1 フロアパネル
2 左側のノッチ
3 右側のノッチ
4 残余部
6 フロアパネルを等分するノッチ
9 開口部
11 ラック部
Claims (3)
- 基礎床面上に敷き詰めて床面を形成するフロアパネルにおいて、残余部が格子状になるよう上下に貫通した開口部を前記フロアパネルに形成し、容易に切断できる薄肉部からなる横分割線を格子状の前記各残余部を横断して該フロアパネルに設けてなり、前記横分割線で切り離したフロアパネルの一方の残余部を他方の開口部に嵌合してフロアパネルの縦幅を調節可能にしたことを特徴とするフロアパネル。
- 請求項1記載の切り離したフロアパネルの一方の残余部を他方の開口部とを嵌合させた際、切り離したフロアパネルの残余部に、互いに係合しあう位置規制部を設けてなるフロアパネル。
- 請求項1記載の横分割線とは別に、容易に切断できる薄肉部からなる縦分割線を開口部又は残余部を縦断して設けてなるフロアパネル。
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JP24976195A JP3634026B2 (ja) | 1995-09-27 | 1995-09-27 | フロアパネル |
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