JP3633140B2 - ファンモータの支持構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンモータを支持するステー部と、ファンモータのリード線を保持するクランプ部とが一体成型された樹脂製のファンモータの支持構造に関するもので、エンジン冷却水を冷却するラジエータのクーリングファンを駆動するファンモータに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来のファンモータの支持構造は、図5に示すように、平行に配置された2本のクランプステー部421の長手方向をステー部41の型抜き方向と一致させた状態でクランプステー部421およびステー部41を一体成型していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように、両クランプステー部421の長手方向をステー部41の型抜き方向と一致させた場合、ステー部41の厚み(両クランプステー部421間の距離方向の寸法)tが小さくなると、リード線4aを挟み込むに十分な距離を両クランプステー部421間に確保しつつ、クランプステー部421およびステー部41を一体成型することが困難となる。
【0004】
このため、ファンモータの支持構造の設計自由度が小さくなり、多様な種類のファンモータに対する支持構造の設計が困難となるので、ファンモータの支持構造の製造原価上昇を招いてしまう。
本発明は、上記点に鑑み、多様な種類のファンモータに対する支持構造に対応することができるファンモータの支持構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。
請求項1〜3に記載の発明では、クランプ部(42)は、ステー部(41)から前記ステー部(41)の型抜き方向と略直交する方向に延びる第1クランプステー部(421)と、第1クランプステー部(421)と所定の間隔を有し、ステー部(41)から第1クランプステー部(421)と同じ向きに延びる第2クランプステー部(422、423)とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、両クランプステー部(421〜423)間の距離、およびステー部(41)の厚み(型抜き方向と直交する方向の寸法)は、後述するように、ステー部(41)およびクランプ部42を一体成型する成型用金型の凹凸形状によって決定される。
したがって、ステー部(41)の厚みに影響されないので、リード線(4a)を挟み込んで保持するに十分な距離を両クランプステー部(421〜423)間に確保しつつ、ステー部(41)の厚みを自由に設定することができる。延いては、ファンモータの支持構造の設計自由度が大きくなり、多様な種類のファンモータに対応することができるので、ファンモータの支持構造の製造原価上昇を抑制することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、第2クランプステー部(422、423)は、一端側でステー部(41)に結合し、他端側で補助ステー部(424)、または他端側に形成された前記ステー部(41)に結合していることを特徴とする。
これにより、第2クランプステー部(422、423)は、両端支持構造となる。したがって、他端側でステー部(41)のみに結合している状態に比べて、第2クランプステー部(422、423)に作用する曲げモーメントが小さくなるので、クランプ部(42)の耐久性を向上させるこができる。延いては、ラジエータ装置の耐久性を向上させることができる。
【0008】
また、第2クランプステー部(422、423)は両端支持構造となり、第1クランプステー部(421)は片持ち支持構造となるので、リード線(4a)を両クランプステー部(421〜423)間に挿入する際に、第1クランプステー部(421)が、第2クランプステー部(422、423)より変形し易くなり、リード線(4a)の挿入性(組付け性)が向上する。
【0009】
請求項3に記載の発明では、ステー部(41)と、空気流がラジエータ(1)を迂回することを抑制するシュラウド(3)とは、樹脂にて一体成型されていることを特徴とする。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るファンモータの支持構造を車両走行用内燃機関(図示せず)の冷却水を冷却するラジエータ1、ラジエータ1の熱交換を促進するクーリングファン(送風機)2、およびラジエータ1とクーリングファン(以下、ファンと略す。)2との間に配設されてファン2によって誘起された空気流がラジエータ1を迂回することを抑制するシュラウド3からなるラジエータ装置に適用した状態を示す模式図である。
【0011】
なお、本図は、空気下流側からラジエータ装置を見た状態を示しており、通常、このラジエータ装置は、ファンおよびシュラウド3をラジエータ1の空気下流側として、車両幅方向に2つ並んで車両(エンジンルーム)前方部位に配設されてる。
ところで、ファン2およびファン2を駆動するファンモータ(以下、モータと略す。)4は、図1に示すように、シュラウド3の略中央から外方に向けて放射状に延びる長尺状の4本のステー部41によって支持されており、これらのステー部41は、ラジエータ1内を流通する冷却水を分配集合させるタンク部1aに取付ブラケット(図示せず)を介して固定されている。
【0012】
そして、このステー部41には、モータ4のリード線4aを保持するクランプ部42が形成されており、このクランプ部42とステー部41とシュラウド3とは、樹脂(本実施形態では、ポリプロピレン)にて一体成型されている。
以下に、図2を用いてクランプ部42について詳述する。なお、図2の(a)は図1のA部の拡大図であり、図2の(b)はクランプ部42の斜視図である。
【0013】
クランプ部42は、図2の(a)に示すように、ステー部41からステー部41の型抜き方向と略直交する方向に延びる1本の第1クランプステー部421と、第1クランプステー部421と所定の間隔を有してステー部41から第1クランプステー部421と同じ向きに延びる2本の第2クランプステー部422、423と、ステー部41と所定の間隔を有してステー部41と同方向に延びる補助ステー部424とから構成されている。
【0014】
そして、図2の(b)に示すように、第1クランプステー部421の先端側には、両クランプステー部421〜423によってリード線4aを挟み込んだ後に、リード線4aが両クランプステー部421〜423から外れてしまうことを防止する突起形状からなる係止部421aが形成されている。一方、第2クランプステー部422、423は、一端側でステー部41に結合し、他端側で補助ステー部424に結合している。
【0015】
ところで、本実施形態では、ステー部41の型抜き方向は、モータ4の回転軸方向(図2の(a)の紙面垂直方向)であり、この型抜き方向(回転軸方向)は、ラジエータ装置を車両に搭載した状態で、車両前後方向に一致している。すなわち、成型用金型100、101は、図3に示すように、モータ4の回転軸方に型割りを行うように、型割り面が構成されている。
【0016】
そして、成型時の型抜き性および金型の形状を考慮して、図4に示すように、第1クランプステー部421と第2クランプステー部422、423とが、ステー部41の型抜き方向から見て互いに重ならないように交互に形成されている。次に、本実施形態の特徴を述べる。
両クランプステー部421〜423は、ステー部41の型抜き方向と略直交する方向に延びるように形成されているので、両クランプステー部421〜423間の距離、およびステー部41の厚み(型抜き方向と直交する方向の寸法)tは、図3から明らかなように、成型用金型100、101の凹凸形状によって決定される。
【0017】
したがって、ステー部41の厚みtに影響されないので、リード線4aを挟み込んで保持するに十分な距離を両クランプステー部421〜423間に確保しつつ、ステー部41の厚みtを自由に設定することができる。これにより、ファンモータの支持構造の設計自由度が大きくなり、多様な種類のファンモータに対応することができるので、ファンモータの支持構造の製造原価上昇を抑制することができる。
【0018】
ところで、「従来の技術」の欄で述べたように、両クランプステー部421〜423を型抜き方向と一致させた場合、リード線4aは、ステー部41のうち空気下流側に位置するので、車両に搭載した状態では、リード線4aは、車両走行用内燃機関(エンジン)側に配設されることとなる。
また、近年の車両設計に見られるように、エンジンやラジエータ等のエンジンルーム内の機器を近接して配設することにより、車両の体格を肥大化させることなく車室内も拡充を図った車両では、リード線4aとエンジンとが接近してしまう。
【0019】
さらに、ファン2がラジエータ1に接近しすぎると、ラジエータ1全体に空気が流れ難くなるので、シュラウド3を設けてファン2とラジエータ1とを所定隙間を形成する必要がある。
以上に述べた理由等により、ラジエータ装置とエンジンとの間の隙間が小さくなり、ラジエータ装置を車両に組付ける際の組付け性が年々悪化してきている。
【0020】
これに対して、本実施形態によれば、リード線4aが、ステー部41に対して車両幅方向に位置しているので、ラジエータ装置の車両前後方向の寸法が小さくなる。したがって、ラジエータ装置とエンジンとの間の隙間を大きくすることができるので、ラジエータ装置の組付け性を向上させることができる。
また、第2クランプステー部422、423は、一端側でステー部41に結合し、他端側で補助ステー部424に結合しているので、第2クランプステー部422、423は、両端支持構造となる。したがって、他端側でステー部41のみに結合している状態に比べて、第2クランプステー部422、423に作用するの曲げモーメントが小さくなるので、クランプ部42の耐久性を向上させるこができる。延いては、ラジエータ装置の耐久性を向上させることができる。
【0021】
また、第2クランプステー部422、423は両端支持構造となり、第1クランプステー部421は片持ち支持構造となるので、リード線4aを両クランプステー部421〜423間に挿入する際に、第1クランプステー部421が、第2クランプステー部422、423より変形し易くなり、リード線4aの挿入性(組付け性)が向上する。
【0022】
ところで、本発明に係るファンモータの支持構造の適用は、ラジエータ装置に限定されるものではなく、換気扇等の送風機等にも適用することができる。
また、補助ステー部424を廃止してもよい。なお、この場合、単純にステー部41側のみで第2クランプステー部422、423を支持する片持ち支持構造、もしくは第2クランプステー部422、423を隣合う他端側のステー部41によって支持する両端支持構造構造のどちらでもよい。
【0023】
また、上述の実施形態では、ステー部41の型抜き方向とモータ4の軸方向とを一致させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ステー部41の型抜き方向をモータ4の軸方向と略直交させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジエータ装置を空気下流側から見た正面図である。
【図2】(a)は、図1のA部拡大図であり、(b)はクランプ部の斜視図である。
【図3】図2(a)のB−B断面図である。
【図4】図2(b)のB−B断面図である。
【図5】従来の技術に係るファンモータの支持構造を示す説明図である。
【符号の説明】
41…ステー部、42…クランプ部、
421…第1クランプステー部、422、423…第2クランプステー部、
424…補助ステー部。

Claims (3)

  1. 送風機を駆動するファンモータ(4)を支持する長尺状のステー部(41)と、
    前記ファンモータ(4)のリード線(4a)を挟み込むことにより前記リード線(4a)を保持するクランプ部(42)とが一体成型された樹脂製のファンモータの支持構造であって、
    前記クランプ部(42)は、
    前記ステー部(41)から前記ステー部(41)の型抜き方向と略直交する方向に延びる第1クランプステー部(421)と、
    前記第1クランプステー部(421)と所定の間隔を有し、前記ステー部(41)から前記第1クランプステー部(421)と同じ向きに延びる第2クランプステー部(422、423)とを備えることを特徴とするファンモータの支持構造。
  2. 前記ステー部(41)と所定の間隔を有し、前記ステー部(41)と同方向に延びる補助ステー部(424)を有しており、
    さらに、前記第2クランプステー部(422、423)は、一端側で前記ステー部(41)に結合し、他端側で前記補助ステー部(424)、または他端側に形成された前記ステー部(41)に結合していることを特徴とする請求項1に記載のファンモータの支持構造。
  3. 水冷式内燃機関内の冷却水を冷却するラジエータ(1)と、
    前記ラジエータ(1)の熱交換を促進する送風機(2)と、
    前記送風機(2)駆動するファンモータ(4)を支持する請求項1または2に記載のファンモータの支持構造と、
    前記ラジエータ(1)と前記送風機(2)との間に配設され、前記送風機(2)によって誘起された空気流が前記ラジエータ(1)を迂回することを抑制するシュラウド(3)とを有し、
    前記ステー部(41)と前記シュラウド(3)とは、樹脂にて一体成型されていることを特徴とするラジエータ装置。
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