JP3632977B2 - Bmpレセプターをコードするdna配列 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、骨の形成および発育の分野に関する。詳しくは、本発明は骨の形態形成タンパク質レセプターおよび前記レセプターをコードするDNA配列に関する。
背景
ヒトおよび他の温血動物は多数の骨関連疾患に悩まされることがある。このような疾患は骨折から衰弱性疾患、例えば、オステオポローシス、までの範囲である。健康な個体において、骨の成長は一般に正常に進行しそして骨折は薬理学的関与の必要なしに治癒するが、ある場合において骨は弱化するようになるか、または適切に治癒することができないことがある。例えば、中年すぎの人およびコルチコステロイドの治療を受けている患者(例えば、移植の患者)において、治癒はゆっくり進行することがある。オステオポローシスは、骨の硬組織が新しい硬組織の発育に対して不釣り合いに失われていく症状である。オステオポローシスは、一般に、骨の量の減少、または骨格組織:骨髄の萎縮(atrophy)として定義され、そして骨の空間は大きくなり、繊維の結合は減少し、そして緻密な骨は脆弱となる。他の骨関連疾患は骨関節炎であり、これは関節軟骨の劣化および磨耗、ならびに関節表面における新しい骨の形成により特徴づけられる可動関節の疾患である。
このような骨関連疾患のために種々の治療が利用可能であるが、いずれの治療も最適な結果を提供しない。骨関連疾患を治療する個体が直面する困難の1つは、骨の代謝および骨関連疾患の完全な理解の欠如である。このような理解の手掛かりは、骨の成長に関係する成分の各々を同定しそして特徴づけることである。骨形態形成タンパク質(BMPs)は、骨の形成および発育においてある役割を果たしていることが証明された(Wozney、J.M.、Molec.Reproduct.and Develop.32:160−167(1992))。
さらに、BMPsの役割は骨におけるそれらの役割に限定されないことがある。BMPsは他の組織、例えば、脳および腎臓において有意な濃度で見出されるという発見(Wall、N.A.、Blessing、M.、Wright、C.V.E.、およびHogan、B.L.M.、J.Cell.Biol.、120:493−502(1993);Ozkaynak、E.、Schnegelsberg、P.N.J.、Jin.D.F.Clifford、G.M.、Warren、F.D.、Drier、E.A、およびOppermann、H.、J.Biol.Chem.、267:25220−25227(1992);Lyons、K.M.、Jones、C.M.、およびHogan、B.L.M、Trends in Genetics、7:408−412(1991))は、それらが発育および分化において追加の役割を果たすことがあることを示唆する。これを支持するものとして、BMPsは最近神経細胞の分化を促進することが発見された(Basler、K.、Edlund、T.、Jessell、T.M.およびYamada、T.、Cell、73:687−702(1993);Paralkar、V.M.、Weeks、B.S.、Yu,Y.M.、Kleinman、H.K.、およびReddi、A.H.、J.Cell.Biol.、119:1721−1728(1992))。
BMPは、BMP応答性細胞の形質膜上で発現される特定のBMPレセプターに結合することによって、細胞に対するその生物学作用を開始する。レセプターはタンパク質であり、このタンパク質は通常細胞膜を貫通しており、細胞の外側からのリガンドと結合し、そして結合の結果として、細胞機能を変更するシグナルを細胞の内側に送る。この場合において、リガンドはタンパク質BMPであり、そしてシグナルは軟骨と骨を生産する細胞の分化を誘導する。
BMPsに特異的に結合するBMPレセプターの能力のために、精製されたBMPレセプター組成物はBMPsについての診断アッセイにおいて、ならびに診断および治療において使用するためのBMPレセプターに対する抗体を発生するとき、有用であろう。さらに、精製されたBMPレセプター組成物はBMPsに結合するか、またはBMPsを捕集するために治療において直接使用することができ、これにより骨の形成およびBMPsの発育活性を調節する手段を提供することができる。BMPレセプターの構造的および生物学的特性および骨の成長/形成の間のBMPsに対する種々の細胞集団の応答においてBMPsが果たす役割を研究するために、または治療、診断、またはアッセイにおいてBMPレセプターを有効に使用するために、BMPレセプターの精製された組成物が要求される。しかしながら、このような組成物は、組み換えDNA技術を使用してレセプターをコードする遺伝子をクローニングしそして発現させることによってのみ、実際的収率で得ることができる。生化学的分析において使用するためのBMPレセプターを精製するか、またはBMPレセプターをコードする哺乳動物の遺伝子をクローニングしそして発現させる努力は、レセプターのタンパク質またはmRNAの適当な源が欠如することによって妨害されてきた。本発明以前において、高いレベルのBMPレセプターを構成的にかつ連続的に発現する細胞系は知られておらず、これは直接的発現クローニングのための遺伝子ライブラリーのタンパク質の配列決定または構築のためのレセプターの精製を排除する。BMPレセプターの配列が入手可能となると、生化学的分析およびスクリーニングの実験において使用するための高いレベルの組換えBMPレセプターを有する細胞系を生じさせることができるであろう。
以上のように、BMPレセプターのDNA配列およびこの配列によりコードされる単離されたBMPレセプタータンパク質が要求されている。
発明の目的
本発明の目的は、単離されたBMPレセプターキナーゼタンパク質を提供することである。
また、本発明の目的は、BMPレセプターキナーゼタンパク質をコードするDNA配列を提供することである。
また、本発明の目的は、BMPレセプターキナーゼタンパク質をコードする組換え発現ベクターを提供することである。
また、本発明の目的は、BMPレセプターキナーゼタンパク質をコードする組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供することである。
また、本発明の目的は、BMPレセプターキナーゼタンパク質を生産する方法を提供することである。
また、本発明の目的は、BMPレセプターキナーゼタンパク質に結合できる化合物を同定する方法を提供することである。
また、本発明の目的は、試料の中のBMPレセプターキナーゼタンパク質に結合できる化合物の量を決定する方法を提供することである。
また、本発明の目的は、BMPレセプタータンパク質に特異的な抗体およびそれらを生産する方法を提供することである。
発明の概要
本発明は、単離されたBMPレセプターキナーゼタンパク質またはその可溶性断片、前記BMPレセプターキナーゼタンパク質またはその前記可溶性断片をコードするDNA配列、前記DNA配列を含んでなる組換え発現ベクター、前記組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞、前記BMPレセプターキナーゼタンパク質またはその可溶性断片を発現する方法、前記レセプターキナーゼタンパク質に結合できる化合物を同定する方法、試料の中のこのような化合物の量を決定する方法、および前記BMPレセプターキナーゼタンパク質またはその可溶性断片に対する抗体に関する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、BRK−1のPCR増幅において使用する縮重オリゴヌクレオチドのプライマーのDNA配列を示す。ヌクレオチド塩基のアデニン、チミジン、シトシン、グアニン、およびイノシンをそれぞれの単一文字コードA、T、C、GおよびIで表す。ACT1AおよびACT1Bは縮重3'PCRプライマーの組を意味する。ACT2AおよびACT2Bは縮重5'PCRプライマーの組を意味する。
第2図は、t−BRK−1およびBRK−1のキナーゼドメインと下記のTGF−βレセプターファミリーの他の構成員とを比較するタンパク質配列の整列(alignment)である:DAF1、C.エレガンス(C.elegans)からのDaf−1レセプターキナーゼ(Georgi、L.L.、Albert、P.S.、およびRiddle、D.L.、Cell、61:635−645(1990));MACT、マウスアクチビン(activin)レセプターII型(Mathews、L.S.およびVale W.W.、Cell、65:973−982(1991));RTGFBR2、ラットTGF−βレセプターII型(Tsuchida、K.、Lewis、K.A.、Mathews、L.S.、およびVale、W.W.、Biochem.Biophys.Res.Commun.、191:790−795(1993));MACTR1、マウスアクチビンレセプターI型(Ebner、R.、Chen、R.−H.、Shum、L.、Lawler、S.、Zioncheck、T.F.、Lee、A.、Lopez、A.R.、およびDerynck、R.、Science、260:1344−1348(1993)):R3、R2、およびR4、ラットからのI型レセプター、未知のリガンド(He、W.W.、Gustafson、M.L.、Hirobe、S.、およびDonahaoe、P.K.、Develop.Dynamics、196:133−142(1993))。括弧は完全なキナーゼドメインを有するキナーゼについて予測されたキナーゼ末端領域を示す。
第3図は、哺乳動物細胞の中でBRK−1を発現させるために使用した、構築物pJT4−J159Fを示す。CMV、サイトメガロウイルス初期プロモーター/エンハンサー;R、ヒトT細胞白血病ウイルス−1の長い末端反復からの“R"要素;SP、SV40ウイルスからのイントロンスプライス部位;T3、T3バクテリオファージからのプロモーター;T7、T7バクテリオファージからのプロモーター領域;ポリA、メッセージのポリアデニル化を指令するSV40ウイルスからの領域;SV40 ORI、SV40ウイルスからの複製起点;Amp、大腸菌(E.coli)における選択のためのアンピシリン耐性遺伝子。
第4図は、哺乳動物細胞の中でt−BRK−1を発現させるために使用した、構築物pJT6−J159Tを示す。略号は第3図におけるものと同一である。
第5図は、構築物pJT4−J159Fを使用する、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞への[125I]−BMP−4の結合を示す。[125I]−BMP−4の濃度は100pMである。
第6図は、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞への放射性標識化BMPsの架橋を示す。第6A図は、BRK−1への[125I]−BMP−4の架橋を示す。左のレーン、構築物pJT4−J159Fを使用する、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞:10nMの非標識化BMP−2の不存在(−)または存在(+)における架橋。右のレーン、モックトランスフェクションしたCOS−7細胞:10nMの非標識化BMP−2の不存在(−)または存在(+)における架橋。第6B図、BRK−1への[125I]−DR−BMP−2の架橋。左のレーン、構築物pJT4−J159Fを使用する、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞:10nMの非標識化BMP−2の不存在(−)または存在(+)における架橋。
第7図は、COS−7細胞の中で発現されそして[125I]−BMP−4に架橋したBRK−1の免疫沈降を示す。「+」と表示するレーン、構築物pJT4−J159Fを使用して、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞。「−」と表示するレーン、モックトランスフェクションしたCOS−7細胞。トランスフェクション後、細胞を[125I]−BMP−4に架橋し、次いで示した抗血清を使用して免疫沈降させた。左のレーン、抗血清1351、細胞外ドメイン(ECD)に対して特異的;右のレーン、抗血清1378、1379および1380、すべてはキナーゼドメインに対して特異的である。
発明の開示
本発明は、単離されたBMPレセプターキナーゼタンパク質、前記タンパク質をコードするDNA配列、前記DNA配列を含んでなる組換え発現ベクター、前記組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞、前記BMPレセプターキナーゼタンパク質を発現する方法、および前記BMPレセプターキナーゼタンパク質に対する抗体を提供することによって、単離されたBMPレセプタータンパク質の要求に答える。
本明細書おいて、「BMPレセプターキナーゼタンパク質−1」または「BRK−1」は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質、ならびに配列番号4に実質的に類似し、かつBMP−2および/またはBMP−4に結合することができるか、またはBMP−2またはBMP−4分子により開始された生物学的シグナルを細胞に細胞に伝達できるか、またはBRK−1対して生じさせた抗BRK−1抗体と交差反応できることにおいて生物学的に活性であるタンパク質を意味する。
本明細書おいて使用するとき、「末端が切り取られた(truncated)BMPレセプターキナーゼタンパク質」または「t−BRK−1」はアミノ酸配列の配列番号2を有するタンパク質を意味する。
本明細書おいて、「実質的に類似する」は、アミノ酸または核酸を定義するために使用するとき、特定の主題の配列、例えば、突然変異誘発により変更された配列が、参照配列から1または2以上の置換、欠失、または付加により変化し、それらの正味の効果がBRK−1タンパク質の生物学的活性を保持することであることを意味する。また、DNA配列が、遺伝暗号における縮重の結果として、参照アミノ酸配列に実質的に類似するアミノ酸配列をコードする場合、核酸のサブユニットおよび類似体は本明細書において開示する特定のDNA配列に「実質的に類似する」。
本明細書おいて、「生物学的に活性」は、特定の分子が本明細書において開示する本発明の態様と十分なアミノ酸配列の類似性を有し、検出可能な量のBMP−2またはBMP−4と結合できるか、またはBMP−2またはBMP−4の刺激を細胞に、例えば、ハイブリッドレセプター構築物の成分として、伝達できることを意味する。好ましくは、本発明の範囲内に入る生物学的に活性なBRK−1またはt−BRK−1は、ナノモルまたはサブナノモルの親和性(ほぼ10-9Mに等しいKd)で[125I]−BMP−4と結合することができる。好ましくは、親和性は、下記の実施例10に開示されている飽和結合分析により、約1×10-10M〜約1×9-9M、より好ましくは約5×10-10Mである。
本明細書おいて、「可溶性断片」はBRK−1またはt−BRK−1の細胞外領域に相当するアミノ酸配列をいう。可溶性断片は、BMPの結合に不必要なレセプター分子の領域が欠失されている末端が切り取られたタンパク質を包含する。本発明のこのような可溶性断片の例は、下記のものを包含するが、これらに限定されない:配列番号6に実質的に類似するアミノ酸配列、配列番号2に記載されるアミノ酸残基1−152、配列番号4に記載されるアミノ酸残基1−152を有するポリペプチド;または配列番号5に実質的に類似する核酸残基、配列番号1に記載される残基291−746、または配列番号3に記載される残基11−466によりコードされるポリペプチド。
本明細書おいて、「ジギト除去(digit−removed)BMP−2」または「DR−BMP−2」は、成熟BMP−2のアミノ末端が温和なトリプシン消化により除去された、BMP−2タンパク質の断片をいう。
本明細書おいて「単離された」は、本発明のレセプタータンパク質または前記タンパク質をコードするDNA配列への言及において、タンパク質またはDNA配列が天然に存在する複雑な細胞の環境から除去され、そして前記タンパク質を天然に発現しない細胞において、前記DNA配列が適当な調節配列に作動可能に連結されたとき、前記DNA配列から前記タンパク質が発現可能であることを意味する。
本明細書おいて「作動可能に連結された」は、線状DNA配列が同一線状DNA配列の他の部分の活性に影響を及ぼすことができる状態をいう。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、ポリペプチドの分泌に関係する前駆体として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結され、プロモーターは、それが配列の転写をコントロールする場合、コーディング配列に作動可能に連結され、またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能なように位置させる場合、コーディング配列に作動可能に連結される。一般に、「作動可能に連結された」は、隣接を意味しそして、分泌リーダーの場合において、リーディングフレームにおける隣接を意味する。
本明細書おいて使用するとき、「ATCC」はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)米国メリーランド州ロックビル、を意味する。
本明細書おいて、「骨形態形成タンパク質2」または「BMP−2」は、ATCC No.40345の中に含有されるDNA配列によりコードされるペプチドを意味する(参照、ATCC/NIH REPOSITORY CATALOGUE OF HUMAN AND MOUSE DNA PROBES AND LIBRARIES、第6版、1992、p.57、以後「ATCC/NIH REPOSITORY CATALOGUE」)。BMPの単離は米国特許第5,013,649号(Wang、WozneyおよびRosen、1991年5月7日発行)、米国特許第5,166,058号(Wang、WozneyおよびRosen、1992年11月24日発行)および米国特許第5,168,050号(HommondsおよびMason、1992年12月1日発行)(それらの各々は引用することによって本明細書の一部とされる)に開示されている。
本明細書おいて、「骨形態形成タンパク質4」または「BMP−4」は、ATCC No.40342の中に含有されるDNA配列によりコードされるペプチドを意味する(参照、ATCC/NIH REPOSITORY CATALOGUE」)。BMP−4の単離は米国特許第5,013,649号(Wang、WozneyおよびRosen、1991年5月7日発行、引用することによって本明細書の一部とされる)に開示されている。
本明細書おいて、「DNA配列」は、別々の断片の形態の、またはより大きいDNA構築物としてのDNAポリマーをいい、実質的に純粋な、すなわち、汚染する内因性物質を含有しない形態で、かつ標準的生化学的方法により、例えば、クローニングベクターを使用して、配列およびその成分ヌクレオチド配列を同定、操作、および回収することができる量または濃度で、少なくとも1回単離されたDNAから誘導されたものをいう。このような配列は、好ましくは、典型的には真核性遺伝子の中に存在する内部の非翻訳配列(イントロン)により中断されないオープンリーディングフレームの形態で提供される。関係する配列を含有するゲノムDNAを使用することもできる。非翻訳DNAの配列はオープンリーディングフレームから5'または3'に存在し、ここでそれはコーディング領域の操作または発現を妨げない。本発明により提供されるタンパク質をコードするDNA配列は、cDNA断片および短いオリゴヌクレオチドのリンカーから、または一連のオリゴヌクレタオチドから構築して、組換え転写ユニットの中で発現されることができる合成遺伝子を提供することができる。
本明細書おいて使用するとき、「組換え」はin vitroで操作されそして宿主生物の中に導入されたDNA配列からタンパク質が誘導されることを意味する。
本明細書おいて、「微生物の」は細菌または真菌(例えば、酵母)の発現系において作られた組換えタンパク質をいう。
本明細書おいて、「組換え発現ベクター」は、BRK−1またはt−BRK−1をコードするDNAを発現するために使用され、そして1)遺伝子の発現において調節の役割を有する遺伝要素、例えば、プロモーターおよびエンハンサー、2)mRNAに転写されそしてタンパク質に翻訳される構造またはコーディング配列、および3)適当な転写および翻訳の開始および停止の配列、のアセンブリーを含んでなる転写サブユニットを含むDNA構築物をいう。真核性発現系(例えば、酵母または哺乳動物細胞)における使用を意図する構造要素は、好ましくは、宿主細胞により翻訳されたタンパク質の膜への輸送または細胞外分泌を可能とするシグナル配列をタンパク質のN−末端に含む。また、組換えタンパク質がシグナル配列を含まないで発現される場合、細胞の内側での発現のために、それはN−末端のメチオニン残基を含むことができる。この残基は必要に応じて引き続いて発現された組換えタンパク質から切断して、最終生成物を得ることができる。この分野においてよく知られている方法を使用して、本発明の組換え発現ベクターを構築することができる。本発明において使用のために適切なベクターは、下記のものを包含するが、これらに限定されない:哺乳動物細胞について、pJT4(後にさらに論ずる)、pcDNA−1(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)およびpSV−SPORT 1(Gibco−BR1、メリーランド州ガイサーバーグ);昆虫細胞について、pBlueBac IIIまたはpBlueBacHisバキュロウイルスのベクター(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ);および細菌細胞について、pET−3(Novagen、ウイスコンシン州マディソン)。BRK−1またはt−BRK−1をコードするDNA配列は、調節要素に作動可能に連結したベクターの中に存在することができる。本発明の1つの態様において、哺乳動物宿主細胞は好ましくはプラスミド構築物pJT4−J159Fでトランスフェクションし、これによりBRK−1を発現させる。本発明の他の態様において、哺乳動物宿主細胞は好ましくはプラスミド構築物pJT6−J159Tでトランスフェクションし、これによりt−BRK−1を発現させる。組換え分子を使用するトランスフェクションは、この分野においてよく知られている方法により実施することができる。
本明細書おいて、「宿主細胞」は本発明の組換え発現ベクターを含んでなる細胞を意味する。宿主細胞は組換え発現プラスミド内で安定にトランスフェクションされるか、または一時的にトランスフェクションされるか、または組換えウイルスのベクターにより感染されることができる。宿主細胞は原核細胞、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、真菌系、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、昆虫由来の永久的細胞系、例えば、SF−9またはSF−21、および永久的哺乳動物細胞系、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびSV40で形質転換されたアフリカミドリザルの腎細胞(COS)を包含する。
1つの態様において、本発明はBMPレセプターキナーゼタンパク質、またはその可溶性断片に関する。好ましくは、BRK−1タンパク質は配列番号4のアミノ酸配列を有する。好ましくは、可溶性断片は配列番号6のアミノ酸配列を有し、好ましくは可溶性断片は配列番号5の核酸配列のによりコードされる。
他の態様において、本発明はBRK−1タンパク質をコードするDNA配列に関する。DNA配列はゲノムDNAまたはcDNAであることができる。好ましくは、DNA配列は配列番号3である。
他の態様において、本発明はBRK−1タンパク質をコードするDNA配列を含んでなる組換え発現ベクターに関する。好ましくは、組換え発現ベクターは、ATCC No.69457の中に含有されるpJT4−J159Fの同定特性のすべてを有するプラスミドである。
他の態様において、本発明は前述の組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞に関する。好ましくは、宿主細胞は哺乳動物細胞、より好ましくはCHO細胞またはCOS細胞である。
他の態様において、本発明の末端が切り取られたBMPレセプターキナーゼタンパク質、またはその可溶性断片に関する。好ましくは、t−BRK−1は配列番号2のアミノ酸配列を有する。好ましくは、t−BRK−1の可溶性断片は配列番号6のアミノ酸配列を有し、好ましくはt−BRK−1の可溶性断片は核酸配列の配列番号5によりコードされる。
他の態様においては、本発明はt−BRK−1をコードするDNA配列に関する。好ましくは、t−BRK−1をコードするDNA配列は配列番号1を有する。
他の態様において、本発明はt−BRK−1をコードするDNA配列を含んでなる組換え発現ベクターに関する。好ましくは、組換え発現ベクターは、ATCC No.69474の中に含有されるpJT6−J159Tの同定特性のすべてを有するプラスミドである。
他の態様において、本発明はt−BRK−1を含んでなる組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞に関する。好ましくは、宿主細胞は哺乳動物細胞、より好ましくはCHO細胞またはCOS細胞である。
他の態様において、本発明は前述の宿主細胞からBRK−1またはt−BRK−1を単離することを含んでなるBRK−1またはt−BRK−1を生産する方法に関する。
他の態様において、本発明はBMPレセプターキナーゼタンパク質に結合することができる化合物(例えば、BMP(好ましくはBMP−2またはBMP−4)、および他のなお発見すべき化合物)を同定する方法に関し、この方法はBMPレセプターキナーゼタンパク質に結合できる化合物を含んでなる試料をBMPレセプターキナーゼタンパク質に導入し、そして前記化合物をBMPレセプターキナーゼタンパク質に結合させることを含んでなる。好ましくは、レセプターキナーゼタンパク質は配列番号4のアミノ酸配列(t−BRK−1)またはその可溶性断片、または配列番号2(BRK−1)またはその可溶性断片を有する。このような方法は、また、試料の中に存在するBMPまたは他のレセプター結合化合物の量を決定するために有用である。
例えば、試料の中のBMP濃度は放射性レセプターのアッセイにより決定することができる。このアッセイにおいてここで試料の中の非標識化BMPをBRK−1またはt−BRK−1レセプターへの結合について標識化トレーサーBMPと競合させる。試料の中のBMPの量が増加するにつれて、BRK−1またはt−BRK−1に結合できる標識化BMPの量は減少する。非標識化BMPの既知の特性を使用して作成した標準曲線と比較すると、試料の中のBMP濃度を正確に定量することができる。トレーサーBMPの標識化は、好ましくは、[125I]NaIを使用するヨウ素化により実施される。BRK−1またはt−BRK−1は安定な細胞系の外側膜において発現させるか、または可溶性断片として、または固体の支持体に共有結合した可溶性断片として供給することができる。このアッセイを実施するために、試料からの非標識化BMPおよび標識化トレーサーBMPを、平衡に到達するまで、レセプターへの結合について競合させる。次いで、例えば、洗浄(付着性細胞系の場合において)、急速濾過または遠心法(非付着性細胞系または固体の支持体に結合したレセプターの場合において)、または抗体、ポリエチレングリコール、または他の沈降剤を使用するレセプター−リガンド複合体の沈降および引き続く濾過または遠心法(可溶性レセプターの場合において)により、レセプター−BMP複合体を遊離リガンドから単離する。次いで、複合体の中の標識化BMPの量を、典型的にはガンマカウンティングにより定量し、そして既知の標準と比較する。これらの方法は他のレセプターを使用して文献に記載されており(Williams、M.、Med.Res.Rev.、11:147−184(1991);Higuchi、M.およびAggarwal、B.B.、Anal.Biochem.、204:53−58(1992);Cain、M.J.、R.K.、GarlickおよびP.M.Sweetman、J.Cardiovasc.Pharm.17:S150−S151(1991);それらの各々は引用することによって本明細書の一部とされる)、そしてBRK−1レセプター/BMP系に容易に適合させることができる。
同一技術を大きい処理能力のスクリーンにおいて適用して、BRK−1またはt−BRK−1に結合できる化合物を同定する。このような方法において、BRK−1またはt−BRK−1(またはその可溶性断片)に対する化合物の親和性が高いほど、化合物はレセプターへの結合についてトレーサーとより効率よく競合し、そしてレセプター−リガンド複合体の中のカウントはより低くなるであろう。この場合において、一連の化合物を同一濃度範囲において比較して、どちらが最高の親和性でレセプターの結合について競合するかを見る。
他の態様において、本発明はBRK−1またはt−BRK−1に対して特異的な抗体、およびそれを産生する方法に関する。
好ましくは、タンパク質産物を哺乳動物細胞におけるように分泌されるべき系におけるBRK−1またはt−BRK−1の発現について、配列番号2、配列番号4または配列番号6の最初の23アミノ酸は、タンパク質産物を細胞の分泌器官に向けるシグナル配列を構築する。引き続いて、タンパク質産物は、膜貫通領域が存在する場合(t−BRK−1(配列番号2)またはBRK−1(配列番号4)におけるように)膜の中に組み込まれるか、または膜貫通領域が存在しない場合(t−BRK−1またはBRK−1の可溶性形態(配列番号6)におけるように)分泌される。しかしながら、シグナル配列を構成するアミノ酸は一般に転写後のプロセシング間の加水分解により除去されるので、成熟したプロセシングされたタンパク質はアミノ酸Gln24において開始されることが予測される。
産物が細菌(例えば、大腸菌(E.coli))におけるように細胞内に蓄積される発現系について、シグナル配列を構成するアミノ酸は好ましくは省略され、そして余分のメチオニンは好ましくはN−末端に付加されて開始コドンとして働く。
本発明は、リガンド、例えば、既知または推定上の薬物、が本発明のDNA分子によりコードされるBRK−1レセプターに結合しおよび/またはそれを活性化することができるかどうかを決定するために有用である。本明細書において記載する細胞系の中へのDNA配列のトランスフェクションは、単離されたDNA分子によりコードされるレセプターに結合しおよび/またはそれを活性化するリガンドの能力についてのアッセイ系を提供する。組換え細胞系、例えば、本明細書において記載する系は、既知または候補の薬物と、レセプターに結合し、かつ放射性、分光分析または他の試薬により標識化されるリガンドとの間の競合結合アッセイにおいて使用する、生きている細胞培養物として有用である。トランスフェクションされた細胞から単離されたレセプターを含有する膜調製物は、また、競合結合アッセイのために有用である。レセプターのリガンド結合ドメインから誘導される可溶性レセプターは、また、薬物候補を高い処理能力でスクリーニングすることに使用することができる。細胞内シグナリングの機能的アッセイは、結合親和性およびレセプター機能の活性化における効能についてのアッセイとして作用することができる。さらに、組換え細胞系は、レセプターにより送られたシグナルがレセプター遺伝子を作動状態にするように、応答要素に作動可能に連結されたレセプター遺伝子を含むように修飾することができる。このような系は、レセプターのアゴニストの同定に向けられた大きい処理能力のスクリーニングにおいて特に有用である。これらの組換え細胞系は、薬物の開発についての可能性を有する天然または合成の化合物の同定のために有用な、「薬物発見系」を構成する。このような同定された化合物は、単離されたDNA分子によりコードされるレセプターの天然の機能を活性化または阻害する処理化合物として、さらに修飾または使用することができる。
多くのBRK−1またはその可溶性形態を発現する安定な細胞系は、また、レセプターの精製のためのタンパク質源として有用である。次いで、精製されたレセプターまたはその可溶性形態は、前述の目的で大きい処理能力のスクリーニングアッセイのために使用することができる。精製されたレセプターまたはその可溶性形態は、また、X線結晶学またはNMR技術により、BMP:BRK−1複合体の構造の決定に使用することができ、次いでこれはBMPアゴニストまたはアンタゴニストの合理的設計において使用されるであろう。
本明細書において記載するヌクレオチド配列、配列番号1および配列番号3は、マウスNIH3T3細胞から単離された、それぞれ、t−BRK−1およびBRK−1の配列を表す。これらの配列は、他の種、例えば、ヒト、からのBRK−1のcDNAを得るために容易に使用することができる。これらのcDNA配列は、また、BRK−1のゲノムDNAを単離するために容易に使用できる。これは、治療的関与のための新しい機会を提供することがある、レセプター遺伝子の発現をコントロールする調節要素の分析を可能とするであろう。ヌクレオチド配列は、また、正常オリゴヌクレオチド配列疾患の状態におけるBRK−1の分布を決定するために有用であり、これはin vivoのその生理学的役割の評価を可能とするであろう。
本発明の好ましい態様を例示する目的で、下記の非限定的例を詳細に説明する。
実施例1
BRK−1PCRプライマー断片の単離
高度に関係する細胞質ゾルrafタンパク質キナーゼのキナーゼドメイン配列(Nishida、Y.、Hata、M.、Toshikazu、A.、Ryo、H.、Yamagata、M.、Shimizu、K.、およびNishizuka、EMBO J.7:775−781(1988);Bonner、T.L.、Oppermann、H.、Seeburg、P.、Kerby、S.B.、Gunnell、M.A.、Young、A.C.、およびRapp、U.R.、Nucleic Acids Res.14:1009−1015(1986))と比較して、アクチビン(activin)(Mathews、L.S.およびVale、W.W.、Cell 65:973−982(1991))およびDaf−1(Georgi、L.L.、Albert、P.S.、およびRiddle、D.L.、Cell 61:635−645(1990))レセプターキナーゼのタンパク質配列の整列に基づいて、PCRプライマーを設計する。この整列は、アクチビンおよびDaf−1レセプターキナーゼが、rafキナーゼの中に存在しないキナーゼドメインVIの中にユニークなインサートを含有することを示す。それゆえ、このインサートを含みかつアクチビンおよびDaf−1レセプターに高度に関係するレセプターキナーゼをクローニングする確率を増加する断片を発生するように、プライマーを設計する。アクチビンおよびDaf−1レセプターのキナーゼドメインIIの中に見出される、タンパク質配列E A/Y V A V K V/I Fをコードする縮重オリゴヌクレオチドプライマーとして、センスプライマーを設計する。ACT2AおよびACT2Bは縮重5'PCRプライマーのこの組を意味するように与えた名称であり、第1図に示されている。アクチビンおよびDaf−1レセプターのドメインVIBの中に見出される、タンパク質配列K P A M/I A/S H R D I Kに相当するアンチセンス鎖をコードする縮重オリゴヌクレオチドプライマーのプールとして、アンチセンスプライマーを設計する。ACT1AおよびACT1Bは縮重3'PCRプライマーのこの組を呼ぶように与えた名称であり、第1図に示されている。
「RNAZOL」(Tel−Test Friendswood、TX:チオシアン酸グアニジニウム、フェノールおよびβ−メルカプトエタノールを含有するRNAの急速単離のための溶液)を使用して、マウスNIH3T3細胞(ATCC CRL 1648)から、全体のRNAを単離する。次いで、オリゴ(dT)セルロースクロマトグラフィー(Pharmacia社LKB、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)上のクロマトグラフィーにより、ポリA−RNAを調製する。逆転写酵素を使用して200ngのポリアデニル化mRNAから一本鎖DNAを生じさせた(Stratagene社、カリフォルニア州ラジョラ、からの第1鎖合成キット;このキットは、マロネイ(Maloney)ネズミ白血病ウイルスからの逆転写酵素、プライマー、ヌクレオチドおよびバッファーを包含する、RNAからcDNAを生じさせるために必要な成分を含有する)。次いで、第1図に示す50pmolの5'プライマーACT2AおよびACT2B、および第1図に示す250pmolの3'プライマーACT1AおよびACT1Bの各々を使用するポリメラーゼ連鎖反応(以後PCRとする)により、この物質の一部分(20%)を増幅する。この反応は100μlの最終体積で「GENE−AMP」キット(Perkin−Elmer社、コネチカット州ノーウォーク;「AMPLITAQ」、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Perkin−Elmer社、カネチカット州ノーウォーク)、ヌクレオチドおよびバッファーを包含する、ポリメラーゼ連鎖反応を使用するDNAの増幅のために必要な成分を含有するキット)を使用してパーキン−エルマー(Perkin−Elmer社)サーマル・サイクラーにより実施する。標準のPCR反応条件を使用する:溶融、94゜、2分、次いで35サイクルの溶融(94゜、30秒)、アニーリング(55゜、30秒)、および伸長(72゜、30秒)。この第1PCR反応の完結後、反応の10μlのアリコートを取り出し、そして新鮮な試薬を使用する他の35サイクルの増幅にかける。次いで、この二次PCRの生成物をクロナール選択および配列分析のためにベクターpCR1000(Invitrogen社、カリフォルニア州サンディエゴ)の中に結合する。
この方法により、ほぼ300bpのPCR断片を単離し、そのDNA配列はDaf−1レセプターの遺伝子(Georgi、L.L.、Albert、P.S.、およびRiddle、D.L.、Cell 61:635−645(1990))およびマウスアクチビンII型レセプターcDNA(Mathews、L.S.およびVale、W.W.、Cell 65:973−982(1991))に対する強い相同性を示す。
実施例2
t−BRK−1DNAの単離
PCR断片が入手されると、次にcDNAライブラリーをこの断片でスクリーニングして全長のレセプタークローンを単離することが必要である。
PCR断片を切除し、ゲル電気泳動により精製し、そして「PRIME−IT」ランダムプライマー標識化キット(Stratagene社、カリフォルニア州ラジョラ;エクソヌクレアーゼ欠如クレノーポリメラーゼ、9マーのランダムプライマー、およびバッファーを包含する、cDNAのランダムプライマー標識化のために必要な成分を含有するキット)を使用するランダムプライミング法を使用して、(α−32P)−dCTPで標識化する。次いで、標識化プローブを使用してベクター「λ ZAP II」の中でマウスNIH3T3細胞から調製したcDNAライブラリーをスクリーニングする(Stratagene社、カリフォルニア州ラジョラ;10kbまでの長さのインサートを受容し、そして「pBLUESCRIPT SK(−)」プラスミドの中のインサートの自動切除を可能とする)。42℃において5×SSPE(1×SSPE=0.15MのNaCl、10mMのNa2HPO4、および1mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、1×デンハート(0.02%のウシ血清アルブミン、0.02%のポリビニルピロリドン、0.02%のフィコール)、100μg/mlのサケ精巣DNA、50%のホルムアミドの中で、ハイブリダイゼーションを24〜48時間実施する。膜をまず42℃においてそして引き続いて55℃において0.1×SSPEおよび0.2%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の中で洗浄し、そして−70℃において「KODAK X−OMAT AR」フィルム(Kodak、ニューヨーク州ロチェスター、科学画像形成フィルム)上のオートラジオグラフィーにより増強スクリーンを使用して、陽性プラークを同定する。陽性プラークを希釈しそしてスクリーニングすると、単離された純粋なファージが得られ、これをJ159#7と表示する。
「λ AZP II」ベクターの中のクローニング部位は、プラスミド「pBLUESCRIPT SK(−)(Stratagene社、カリフォルニア州ラジョラ;pUC19由来の2.96bpのコロニー産生ファージミド)の配列を含有する。このプラスミド配列は、クローニングされたインサートを含有し、R408ヘルパーファージ(Stratagene、カリフォルニア州ラジョラ)を使用して、精製ラムダファージJ159#7から切除する。これにより、「pBLUESCRIPT SK(−)」の中にサブクローニングされたt−BRK−1cDNAが得られる。得られたプラスミド(これをわれわれはpBLUESCRIPT−J159Tと表示する)は配列分析に適している。
実施例3
t−BRK−1配列分析
次いで、「SEQUENASE」Ver.2.0キット(U.S.Biochemicals社、オハイオ州クリーブランド;「SEQUENASE」(エクソヌクレアーゼ活性を欠如するT7DNAポリメラーゼの修飾された形態、U.S.Biochemicals社、オハイオ州クリーブランド)、標識化および伸長のためのヌクレオチド混合物、ジデオキシヌクレオチドターミネーター、ピロホスフェートおよびバッファーを包含する、ターミネーター法を使用するマニュアルDNA配列決定のための成分を含有するキット)または「TAQ DYE DEOXY」ターミネーターサイクル配列決定キット(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー;「AMPLITAQ」、ヌクレオチド混合物、色素標識化ジデオキシヌクレオチドターミネーター、およびバッファーを包含する、ジデオキシターミネーター法を使用する自動DNA配列決定のための成分を含有するキット)を373A型DNA配列決定装置(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー)とともに使用して、t−BRK−1cDNAを含有する単離されたプラスミドpBLUESCRIPT−J159Tを両方の鎖について配列決定する。完全なDNA配列(配列番号1)は、イニシエーターATGの後に1500塩基対のオープンリーディングフレームを示す。
この配列とTGF−βファミリーの既知のレセプターキナーゼの配列との比較は強い相同性を示すが、t−BRK−1のキナーゼドメインが関係するチロシンキナーゼのキナーゼドメインよりかなり短いことを示す(第2図)。srcキナーゼについての突然変異の研究は、キナーゼが活性酵素として機能するためにキナーゼドメインのC末端において必要である最小アミノ酸残基を特定する情報を生じた。この区域から上流アミノ酸の欠失は、多分キナーゼ構造が不安定化されるので、不活性のキナーゼを生ずる(Yaciuk、P.およびShalloway、D.、Molec.and Cell.Biol.6:2807−2819(1986))。従って、キナーゼドメインの末端は、それぞれ、チロシンキナーゼについてキナーゼドメインXIにおける不変アルギニンの10残基だけ下流に、またはセリン/チロシンキナーゼについてこの不変アルギニンの12〜18アミノ酸だけ下流に位置する疎水性残基において存在することが、一般に、当業者により認められている(Hanks、S.K.およびQuinn、A.M.、Meth.Enzymol.、200:38−62(1991))。この領域は第2図に四角の括弧で示されている。t−BRK−1における停止コドンはキナーゼドメインの末端を特定する領域の開始の20アミノ酸だけ前に位置し、従って、t−BRK−1は末端が切り取られたレセプタークローンであると信じられる。この配列をさらに分析すると、位置1763における推定上の無傷のイントロン−エクソン結合が明らかになり、このcDNAの鋳型として働いたメッセンジャーRNAがRNAの不完全な転写後のスプライシングを行い、こうしてイントロンの一部分がこの配列の中に含まれた可能性を示す。
タンパク質N−末端において、真核性シグナル配列が同定され、予測された切断部位はアミノ酸23と24との間に存在する(配列番号2参照)。従って、翻訳後のプロセシング後、成熟タンパク質はアミノ酸Gln24において開始されることが期待される。アミノ酸153−176における高い疎水性の領域は、タンパク質を細胞外リガンド結合ドメインと細胞内キナーゼドメインとに分割する膜貫通領域の存在を示す。
実施例4
BRK−1DNAの単離
キナーゼドメインにおける未成熟停止を含まないBRK−1cDNAを単離するために、mRNAのより広い表示をもつ他のcDNAをNIH3T3ポリA+RNA(Stratagene社、カリフォルニア州ラジョラ)から調製する。このライブラリーは、「UNI−ZAP XR」(Stratagene社、カリフォルニア州ラジョラ;一方向性cDNAライブラリーの構築を可能とするラムダクローニングベクター)の中で構築されており、cDNAライブラリーの合成のためにポリdT配列およびランダムプライマーの双方を使用する。次いで、このライブラリーをJ159PCR断片でスクリーニングし、ランダムプライミング法より32Pで標識化する(「PRIME−IT」ランダムプライマー標識化キット)。クローンのスクリーニングと単離は前述したように実施する(実施例2)。いくつかの追加のクローンを獲得しそして配列分析にかける。
実施例5
BRK−1配列分析
配列分析は「TAQ DYE DEOXY」ターミネーターサイクル配列決定キットおよびアプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems社)373A型DNA配列決定装置(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して実施する。クローンをt−BRK−1の配列とおよび他のレセプターキナーゼ(第2図)と比較すると、1つのクローン(配列番号3)は、イントロンが存在しない全長のコーディング配列、および完全なキナーゼドメインを含有することが示される。このクローンからのプラスミドをpBLUESCRIPT−J159Fと表示する。オープンリーディングフレームは532アミノ酸をもつタンパク質をコードする1596塩基対であり、予測される分子質量は約60,059である。このcDNAをBRK−1と表示する。
BRK−1のDNA配列は配列番号3の中のヌクレオチド1−1483(配列番号1の中のヌクレオチド281−1763)に関してt−BRK−1のそれと同一であり、それゆえ、配列番号4および配列番号2の中のアミノ酸1−491に関してアミノ酸配列が同一である。従って、t−BRK−1において観察されそして実施例3に記載されているN−末端のシグナル配列および膜貫通流域は、全長のBRK−1の中に全く同じに存在する。全体のリガンド結合ドメインも同一である。t−BRK−1のヌクレオチド配列(配列番号1)は90塩基対のインサート(ヌクレオチド1764−1853)を含有し、このインサートはBRK−1のヌクレオチド配列(配列番号3)の中に存在せず、不完全にスプライスされたイントロンの一部分を表すことがある。この点の後、t−BRK−1配列のヌクレオチド1854−2035はBRK−1配列のヌクレオチド1484−1665と同一である。それゆえ、t−BRK−1の中の90塩基対のインサートを除去すると、BRK−1のコーディング配列と同一のコーディング配列が生ずる。
実施例6
BRK−1に対する抗体の産生
BRK−1レセプターの発現を証明し、リガンドの結合を証明し、そしてBRK−1と複合化できる他のタンパク質を同定するために、レセプターに対して特異的な抗体の入手可能性は高度に有用である。従って、この目的に2つの抗原を使用して、ウサギの中でポリクロナール抗体を産生する。
第1に、「QIA EXPRESS」細菌発現系(Qiagen社、カリフォルニア州チャツワース;大腸菌(E.coli)の中でタンパク質を高いレベルで発現するためのキット、これはタンパク質の中に金属キレートのクロマトグラフィーによる組換えタンパク質の急速な精製を可能とする6ヒスチジンのアフィニティー標識を組み込む;このキットはpQE−12発現ベクター、lacリプレッサーをコードするプラスミド、大腸菌(E.coli)宿主株および金属キレート樹脂を含む)の中で、配列番号2のアミノ酸24−152(または配列番号4のアミノ酸24−152)を含んでなる成熟細胞外リガンド結合ドメインを発現させる。配列番号1の中のヌクレオチド360−746(または配列番号3の中のヌクレオチド80−466)を含んでなるヌクレオチド配列の一部分を、5'および3'末端にBgl II挿入組み込むプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により増幅する。詳しくは、プライマーは5'末端についてCCATAGATCTCAGAATCTAGATAGTであり、そして3'末端についてGGTAAGATCTTCGGATCCTGCCATCである。増幅されたインサートをPQE12(Qiagen社、カリフォルニア州チャツワース)(これはタンパク質のC末端における6ヒスチジンをもつインサートの発現を指令する)の中に挿入する。この構築物で大腸菌(E.coli)JM101株を形質転換した後、対数中期においてイソプロピルチオβ−ガラクトシド(IPTG)(これはlacプロモーターにより推進されるタンパク質の発現を誘導する)を補充したブロスの中で、形質転換された株を増殖させる。IPTGの添加後3時間において、細胞を遠心により採取し、そして「FRENCH」圧力セル(SLM−Amino社、イリノイ州ウルバナ;液圧プレスを使用する高圧下に細菌を崩壊する分散ユニット)の中で16,000psiにおける2回通過を使用して分解する。細胞外ドメインを、製造業者の使用説明書に従い、ニッケル金属キレートカラムのクロマトグラフィーにより精製する。調製用C4逆相カラム(Waters DeltaPakカラム、300オングストローム、7.8mm×30cm、Millipore社、マサチュセッツ州ミルフォード)上のクロマトグラフィーにより、水の中の0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)〜80%アセトニトリルの中の0.05%TFAの直線の勾配を使用して、90分かけて2.8ml/分の流速で、さらに精製を実施する。38%アセトニトリルにおいて溶出するピーク画分をプールし、真空下に乾燥し、そして3匹のニュージーランド白ウサギ(Hazleton Washington社、バージニア州ヴィエンナ)の免疫化に使用した。抗血清をウェスタンブロットにより精製された大腸菌(E.coli)抗原を検出する能力について評価する。最高の力価をもつ抗血清を1353と表示する。
第2抗原は細胞内キナーゼドメインを認識することを意図され、そして配列番号4のアミノ酸398−420(または配列番号2のアミノ酸398−420)と同一のアミノ酸配列を有するペプチドから、ペプチド、すなわち、1文字のアミノ酸の略号により示されるペプチド、LNTRVGTKRYMAPEVLDESLNKNC、の複合を可能とするためにC末端にシステインを付加して、この第2抗原を発生させる。BRK−1のキナーゼドメインのアミノ酸配列をRafタンパク質のキナーゼドメインと比較すると、BRK−1のこの領域が高度に特異的な抗体を作るために使用されたRafキナーゼの領域に相当することが示唆される(Kolch、W.、Weissinger、E.、Mischak、H.、Troppmair、J.Showalter、S.D.、Lloyd.P.、Heidecker、G.、およびRapp、U.R.、Oncogene 5:713−720(1990))。このペプチドを標準法によりキーホールリンペットヘモシアニンに結合し、そして3匹のニュージーランド白ウサギ(Hazleton Washington社、バージニア州ヴィエンナ)の免疫化に使用する。生ずる抗血清をプラスチック上にコーティングされたもとのペプチドを認識する能力について、抗体捕捉ELISA(酵素結合イムノアッセイ)を使用して、評価する。抗血清を1378、1379、および1380と表示する。
実施例7
BRK−1の発現
BRK−1の機能を同定するために、ペプチドを発現させそしてそれが特定のリガンドに結合するかどうか確かめるために試験する。これは哺乳動物細胞系の中で実施することが好ましい。なぜなら、これは細胞膜の中で正しくプロセシングされたタンパク質を発現する機会を最大にするからである。この目的で、BRK−1cDNAを発現ベクターpJT4の中にサブクローニングしてプラスミドpJT4−J159Fを生じさせる。pBLUESCRIPT−J159FからのBRK−1インサートを制限エンドヌクレアーゼAf1 IIIで消化して、単一のオーバーハングをもつ線状化プラスミドを発生させる。オーバーハンギング末端をDNAポリメラーゼIクレノー断片を使用して充填して、平滑末端を生じさせる。次いで、線状化プラスミドをNot Iで消化して、プラスミドからインサートを遊離させる。pJT4発現ベクターをNot IおよびEcoR Vで消化し、そしてインサートに結合する。クレノー反応により発生した平滑末端は、また平滑末端であるEcoR V部位と適合性であり、結合はEcoR V部位を排除する。得られた構築物を第3図に示す。
pJT4ベクターは、COS細胞の中の一時的発現のために最適化され、下記のものを包含する:サイトメガロウイルスの初期プロモーターおよびエンハンサー、これはメッセージの非常に効率よい転写を与える;ヒトT細胞白血病ウイルス−1の長い末端の反復からの“R"要素、これは発現レベルをさらに増加することが示された(Takabe、Y.、M.Seiki、J.−I.Fujisawa、P.Hoy、K.Yokota、M.YashidaおよびN.Arai、Mol.Cell.Biol.、8:466−472(1988));SV40からのイントロンスプライス部位、これはメッセージの安定性を増強すると与えられる;多重クローニング部位;SV40から由来するポリアデニル化シグナル、これは、大部分の真核性mRNAに要求される、メッセージへのポリAテイルの付加を指令する;およびSV40複製起点、これはSV40の大きいT抗原を含有する細胞、例えば、COS細胞、における極端に大きいコピー数のプラスミドの複製を可能とする。さらに、細菌におけるベクターの操作および増幅のために、ベクターは大腸菌(E.coli)の複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を含有する。
COS−7細胞(ATCC CRL 1651)の中でエレクトロポレーションにより、pJT4−J159Fを使用するBRK−1の一時的発現を実施する。5%ウシ胎児血清(Hyclone社、ユタ州ローガン)、非必須アミノ酸(GIBCO社、メリーランド州ガイサーバーグ)、およびグルタミンを補充したDME(ダルベッコ変性イーグル)高グルコース培地の中で、細胞をコンフルエンスに増殖させ、次いでトリプシン処理してプレートから細胞を解放する。分離した細胞をテーブルトップ遠心機の中で沈降させ、次いで新鮮な培地の中に6.25×106細胞/mlの濃度で再懸濁させる。細胞懸濁液(5×106細胞、0.8ml)をBioRad「GENE PULSER」エレクトロポレーションシステム(BioRad社、カリフォルニア州ハークルス)からのキュベットに移す。精製したDNAプラスミド(10μg)をキュベットに添加し、そして細胞を4.0kV/cmにおいて25μFdのキャパシタンスでエレクトロポレーションにかける。次いで、細胞をプレートし、そして回収する。24時間後に、新鮮な培地を供給する。48時間後、細胞はBMP−4の結合について試験される状態となる。
実施例8
t−BRK−1の発現
t−BRK−1の発現のために、pBLUESCRIPT−J159TからのcDNAインサートを制限エンドヌクレアーゼNot IおよびXho Iで切り出し、そして発現ベクターpJT6のNot IおよびSal I部位の中にサブクローニングして、第4図に示す構築物pJT6−J159Tを生じさせる。ベクターpJT6は実施例6に記載するpJT4と同一であるが、ただし多重クローニング部位は反対の向きであり、そして多重クローニング部位のPst I部位とBamH I部位との間にスペーサーDNAが存在する。
pJT6−J159T構築物を使用するCOS細胞の中のt−BRK−1の一時的発現を、正確にBRK−1について前述したように(実施例7)実施する。
実施例9
放射性標識化BMPリガンドの調製
すべてのこれらの研究における好ましい放射性リガンドはBMP−4である。BMP−4をクロラミン−T法(Frolik、C.A.、Wakefield、L.M.、Smith、D.M.、およびSporn、M.B.、J.Biol.Chem.259:10995−11000(1984))により125Iで標識化する。BMP−4(2μg)を5μlの30%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)+追加の5μlの1.5Mリン酸ナトリウム、pH7.4の中に取る。担体を含有しない[125I](1mCi、4〜10μl)を、2μlのクロラミンT溶液(100μg/ml)と一緒に添加する。追加の2μlのクロラミンT溶液を2.0分および3.5分において添加する。4.5分後、10μlの50mMのN−アセチルチロシン、100μlの60mMのヨウ化カリウム、および100μlの1Mの酢酸の中の11Mの尿素の添加により、反応を停止させる。3.5分間インキュベートした後、未反応のヨウ素をPD−10ゲル濾過カラム(Pharmacia社、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)により除去し、ここで4mMのHCl、75mMのNaCl、1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)の中で展開する。生ずる標識化調製はトリクロロ酢酸により>95%沈降可能であり、すべての[125I]がタンパク質結合し、そして3000〜8000Ci/mmolの典型的な比活性を有することを示す。
BMP−2は同一の方法で放射性標識化し、そして放射性リガンドとして使用することができる。しかしながら、恐らくBMP−2は細胞外マトリックスタンパク質に結合するので、BMP−2の使用は非常に高い非特異的結合を生ずる。このような非特異的結合は、タンパク質のアミノ末端の除去により、かなり減少させることができ、それゆえ、放射性リガンドとしてのBMP−2の有用性はかなり改良することができる。なぜなら、多分これは細胞外マトリックスへの結合の原因となる領域を除去するからである。BMP−2からのアミノ末端の除去はトリプシンによる部分的タンパク質分解により達成することができる(Wozney、J.M.、Mol.Rep.Dev.32:160−167(1992))。これは「ジギド除去BMP−2」またはDR−BMP−2と表示する誘導体を生ずる。DR−BMP−2の調製および精製は下記のように実施する。
BMP−2(100〜250μg)を500μlの4Mの尿素、0.1MのNaCl、0.05MのTris−HCl(pH8.2)の中に溶解する。トリプシン(配列決定等級;Boehringer Mannheim社、インジアナ州インジアナポリス)を1/50(w/w)のトリプシン/BMP−2比に添加し、そして消化混合物を37℃において2時間インキュベートする。フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)を1mMの最終濃度に添加することによって消化を停止し、そしてこの混合物を精製するまで凍結しそして−20℃において貯蔵する。
ウォターズ・デルタ−パック(Waters Delta−Pak)C4カラム(5μM、300A、3.9×150mm;Millipore社、マサチュセッツ州ミルフォード)の逆相HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により、DR−BMP−2を消化混合物から精製する。全体の消化混合物をカラム上に直接注入し、そしてDR−BMP−2を0.05%TFAから0.05%TFA、60%アセトニトリルの直線の勾配で80分かけて0.7ml/分の流速において溶離する。DR−BMP−2の大部分は、約36%アセトニトリルにおいて、214nmにおける吸収によりモニターしそしてSDS−ポリアクリルアミドゲルのクーマシーブルー染色後に、よく定められたピークとして溶出する。PMSF、PMSF−不活性化トリプシン、および残留する無傷のBMP−2を、これらのクロマトグラフィーの条件下に、DR−BMP−2から分離する。精製したBMP−2のアリコートを取り、真空下に乾固し、そして−20℃において貯蔵する。
SDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動による分析は、DR−BMP−2の分子量が非還元性条件下にほぼ2000ダルトンだけ減少し、そして還元性条件下に約1000ダルトンだけ減少することを示す。アミノ末端のタンパク質の配列決定は、DR−BMP−2のほぼ70%はLys290において開始するが、残りの30%はLeu292において開始することを示す。アミノ酸分析からの結果は配列決定の結果と完全に一致し、そしてタンパク質のCOOH末端がトリプシン処理により影響を受けないことを示唆する。DR−BMP−2の放射性標識化は、正確にBMP−4について記載したように実施する。
実施例10
BRK−1へのBMPの結合
BRK−1に対するDR−BMP−2およびBMP−4の結合は、3つの別々の方法:放射性標識化BMPの全細胞の結合;レセプターに対する放射性標識化BMPの共有結合の架橋;および標識化リガンドに架橋したレセプターの免疫沈降;により示すことができる。これらの3つの方法を以下において詳細に説明する。
全細胞の結合の実験のために、COS−7細胞を実施例7に記載するようにpJT4−J159Fでトランスフェクションする。エレクトロポレーション後、細胞を12ウェルのプレートの中に670,000細胞/ウェルで接種する。培地を24時間後に交換し、そして結合実験を48時間に実施する。その後、細胞を結合緩衝液(50mMのHepes緩衝液、pH7.4、128mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgSO4、1.2mMのCaCl2、2mg/mlのBSA)で1回洗浄し、次いで同一緩衝液と4℃において30分間おだやかに震盪しながら平衡化する。次いで、緩衝液を吸引し、そして各ウェルに500μlの結合緩衝液(4℃)を添加し、この緩衝液は[125I]−BMP−4トレーサー(100pM)、ならびに、アッセイに依存して、変化する濃度の非標識化BMP−2、BMP−4、または他の非標識化リガンドを含有する。非特異的結合の決定のために、BMP−2を結合緩衝液に10nMの最終濃度で添加する。インキュベーションの間のリガンドの分解を防止するために、プロテアーゼインヒビターのカクテルを、また、10μg/mlのロイペプチン、10μg/mlのアンチパイン、50μg/mlのアプロチニン、100μg/mlのベンズアミジン、100μg/mlのダイズトリプシンインヒビター、10μg/mlのベスタチン、10μg/mlのペプスタチン、および300μMのPMSFの最終濃度に添加する。細胞を4℃においておだやかに震盪しながら4時間インキュベートする。インキュベーション期間の終わりにおいて、緩衝液を吸引し、そして細胞を1mlの洗浄緩衝液(50mMのHEPES、pH7.4、128mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgSO4、1.2mMのCaCl2、0.5mg/mlのBSA)で4回すすぐ。最終の洗浄液を吸引した後、750μlの可溶化緩衝液(10mMのTrisCl、pH7.4、1mMのEDTA、1%(v/v)トリトンX−100)を各ウェルに添加し、そして室温において15分間インキュベートする。次いで、可溶化細胞を新鮮な管に移し、そしてパッカード(Packard)5005型「COBRA」ガンマカウンター(Packard Instrument社、イリノイ州ダウナーズグロウブ)で計数する。
このような実験の結果を第5図に示す。BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞(構築物pJT4−J159Fを使用する)に対する[125I]−BMP−4の特異的結合は、モックCOS−7細胞に対する結合より3倍高い。
BRK−1に対する結合のいっそう定量的な特性決定を得るために、構築物pJT4−J159Fを使用して、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS−7細胞について飽和結合分析を実施する。[125I]−BMP−4の結合を10〜1000pMの濃度範囲にわたって検査し、非特異的結合を10nMの非標識化BMP−4で決定する。結合データはLIGANDソフトウェア(Version 3.0;Elsevier−Biosoft、英国ケンブリッジ)を使用して分析して、5×10-10MのBRK−1に対する親和性(Kd)が得られ、これはBMPレセプターについて期待される生理学的領域内に完全に入る。
BRK−1に対するBMPsの結合を証明する第2の方法は、放射性標識化リガンドをBRK−1レセプターに架橋させることである。この方法において、2官能性架橋試薬のジスクシニミジルスベレート(DSS)(Pierce Chemical社、イリノイ州ロックフォード)を使用して、2つのタンパク質におけるリジン残基上の遊離アミノ酸との反応により、結合した放射性標識化リガンドをそのレセプターに共有結合で架橋させる。架橋後、細胞のタンパク質をゲル電気泳動により分離し、そして放射性バンドを可視化する。標識化バンドは放射性標識化リガンドで選択的に「標識化された」レセプターを表す。この手順において、細胞を実施例7に記載されているようにpJT4−J159Fでトランスフェクションし、次いで12ウェルのプレートの中に670,000細胞/ウェルで接種する。培地を24時間後に交換する。エレクトロポレーション後48時間に、細胞を洗浄し、平衡化し、そして[125I]−BMP−4または[125I]−DRBMP−2とインキュベートし、そしてこの実験に記載するように非標識化リガンドを全細胞結合の研究のために競合させる。リガンドとの4時間のインキュベーションが完結した後、細胞を4℃において2mlの前述したのと同一の組成を有する結合緩衝液で洗浄するが、ただしBSAを添加しない。次いで、各ウェルに1mlの新鮮なBSA流速結合緩衝液を添加し、次いで新しく調製したDSSを135μMの最終濃度に添加する。DSSをおだやかに攪拌して混合した後、プレートを4℃においておだやかに震盪しながら正確に15分間インキュベートする。この時点において、培地を吸引し、そして細胞を3mlの分離緩衝液(10mMのTris、0.25Mのスクロース、1mMのEDTA、0.3mMのPMSF、pH7.4)で洗浄する。追加の0.75mlの分離緩衝液を各ウェルに添加し、そして新しいマイクロ遠心管に移す。次いで、各ウェルを追加の0.5mlの分離緩衝液ですすぎ、これは緩衝液は対応する管に添加する。試料を遠心(13,000×g、15分)し、そして上澄みを廃棄する。ペレットを20μlの還元性試料緩衝液(125mMのTrisCl、pH6.8、1%β−メルカプトエタノール、2%SDS、0.1%ブロモフェノールブルー、10%グリセロール)の中に取り、4℃において30〜45分間攪拌し、5分間沸騰させ、そして遠心(13,000×g、5分)する。上澄みを7.5%SDS−ポリアクリルアミドゲル上に負荷し、そしてエレクトロポレーションにかける。ゲルを0.12%クーマシーブルー、5%メタノール、7.5%酢酸の中で染色し、5%メタノール、7.5%酢酸の中で脱染し、次いでセロファンのシートの間で乾燥する。乾燥したゲル上の放射性を可視化し、そしてホスホルメイガー(Phosphorlmager)(Molecular Devices社、カリフォルニア州サニーベイル)で定量するか、または「KODAK X−OMAT AR」フィルム(Kodak社、ニューヨーク州ロチェスター)を使用するオートラジオグラフィーに付す。
このような実験の結果を第6図に示す。第6A図は、構築物pJT4−J159Fを使用するBRK−1でトランフェクションしたCOS−7細胞に対する[125I]−BMP−4の架橋を示す。レーン1において、BMP−4に共有結合で架橋したBRK−1に相当する、分子量76,800における標識化バンドの存在を記載する。このバンドはインキュベーションの間に細胞に10nMのBMP−2の添加することによって大きく減少し、そしてモックトランスフェクションしたCOS細胞の中に存在しない。これはBRK−1へのBMP−4の特定の結合を示す。標識化バンドはBMP−4に共有結合で架橋したレセプター(モノマーの分子量16,400)を表すので、レセプターの分子量は60,400と推定することができ、これはBRK−1のアミノ酸配列と一致する。第6B図は、リガンドとして[125I]−DRBMP−2を使用する同一実験を示す。同様な標識化バンドが観察される。[125I]−BMP−4を使用するときのように、標識化バンドは細胞への10nMのBMP−2の添加により大きく減少し、そしてモックトランスフェクション細胞の中に存在しない。一緒にすると、これらのデータはBMP−2およびBMP−4の双方がBRK−1により特異的に結合されることを示す。
BRK−1に対するBMPの結合の第3の証明において、BRK−1のcDNAでトランスフェクションしたCOS細胞をまず[125I]−BMP−4に架橋し、次いでBRK−1に対して特異的な抗体を使用する免疫沈降にかける。この手順において、COS−7細胞を実施例7に記載するようにpJT−J159Fでトランスフェクションし、そして1×107細胞/ディッシュで接種した100mmのディッシュの中に配置する。次いでそれらをこの実験例に記載するように[125I]−BMP−4に架橋させるが、ただし[125I]−BMP−4および非標識化リガンドとのインキュベーションを、500μlの代わりに合計4mlにおいて実施し、そしてすべての他の体積をそれに応じて増加する。架橋後、細胞を氷冷PBS[リン酸塩緩衝生理食塩水]で3回し、次いで4mlのRIP緩衝液(20mMのTrisCl、pH8.0、100mMのNaCl、1mMのNa2EDTA、0.5%Nonidet P−40、0.5%ナトリウムデオキシコレート、10mMのヨウ化ナトリウム、および1%ウシ血清アルブミン)で溶解する。リゼイトをベックマン(Beckman)GRPテーブルトップ遠心機により3500rpm(3000×g)で10分間遠心する。上澄みを新しい管に移し、そしてSDSの中で0.1%とする。リゼイトの中に存在する抗体を除去するために、200μlの「PANSORBIN」(Calbiochem社、カリフォルニア州ラジョラ;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の10%溶液)を添加する。4℃において30分間インキュベートした後、リゼイトを前述したように遠心し、そして上澄みを再び新しい管に移し、そして必要に応じてアリコートに分割する。
次いで、一次抗体−−1353、細胞外ドメインについて;または1378、1379、または1380、キナーゼドメインについて−−を管に1:100の最終希釈で添加し、そして氷上で2時間インキュベートする。抗原:一次抗体の複合体を沈降させるために、次いで50μlの「PANSORBIN」を添加し、そして氷上で30分間インキュベートする。この複合体をベックマンGRP遠心機(Beckman Instruments社、カリフォルニア州フレルトン)により3500rpm(3000×g)で10分間沈降させ、そして上澄みを廃棄する。ペレットを0.1%SDSを含有するRIP緩衝液の中で3回洗浄し、そしてTNEN緩衝液(20mMのTris、pH8.0、100mMのNaCl、1mMのEDTA、0.5%NP−40)の中で1回洗浄する。ペレットを25μlの試料緩衝液の中に再懸濁させる。可溶化したタンパク質を、架橋実験について前述したように、SDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動およびオートラジオグラフィーにかける。
このような実験の結果を第7図に示す。細胞外ドメイン(レーン1)および細胞内ドメイン(レーン3〜5)の双方に対する抗体は、ほぼ81,000の分子量のバンドを沈降させる。BMP−4の分子量(16,400)を減ずると、レセプターの分子量は64,000と推定され、前述の架橋実験において得られた結果に類似する。細胞内ドメインに対するすべての3つの抗血清は、同一のタンパク質を沈降させる。この特性バンドはモックトランスフェクションした細胞(レーン2および6)において存在しない。この実験は、架橋実験において観察される架橋標識化バンド、例えば、第6図に示すバンド、がBRK−1に対して特異的な4つの別々の抗体により沈降するので、BRK−1に免疫学的に関係することを証明する。
t−BRK−1およびBRK−1の寄託
pJT6−J159T(発現ベクターpJT6の中にサブクローニングした配列番号1)で形質転換した大腸菌(E.coli)は、ATCCに1993年10月20日に寄託され、そしてATCC No.69474を与えられた。
pBLUESCRIPT−J159T(発現ベクター「pBLUESCRIPT SK(−)」の中にサブクローニングした配列番号1)で形質転換した大腸菌(E.coli)は、ATCCに1993年10月7日に寄託され、そしてATCC No.69458を与えられた。
pJT4−J159F(発現ベクターpJT4の中にサブクローニングした配列番号3)で形質転換した大腸菌(E.coli)は、ATCCに1993年10月7日に寄託され、そしてATCC No.69457を与えられた。
この分野において認識されているように、DNAおよびアミノ酸配列決定法において時々誤りが存在する。その結果、受託された物質の中にコードされた配列は引用することによって本明細書の一部とされ、そして本発明の記載された説明の中に見出される配列のいずれかにおいて誤りの場合はコントロールされる。さらに、記載された開示から出願人の研究を再現する当業者は日常の技量を使用して配列決定の誤りを発見できることに注意すべきである。ATCC No.69457およびATCC No.69474の寄託物は、寄託された物質が本発明の実施に対して必須であるということを認めると考慮すべきではない。
上記において記載したすべての刊行物は、引用することによって本明細書の一部とされる。
本明細書において記載する実施例および態様は例示を目的とするのみであり、そしてそれらに照らして種々の変更または変化が当業者に示唆され、そしてこの出願の精神および範囲および添付した請求の範囲の中に含まれるべきであることが理解される。
(2)配列情報 配列番号1:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2056塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の特徴:
(A)NAME/KEY:CDS
(b)存在位置:291...1793
(xi)配列の記載:配列番号1:
Figure 0003632977
Figure 0003632977
Figure 0003632977
(2)配列情報 配列番号2:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:500アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号2:
Figure 0003632977
Figure 0003632977
(2)配列情報 配列番号3:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2402塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の特徴:
(A)NAME/KEY:CDS
(b)存在位置:join(11...1609)
(xi)配列の記載:配列番号3:
Figure 0003632977
Figure 0003632977
Figure 0003632977
(2)配列情報 配列番号4:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:532アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号4:
Figure 0003632977
Figure 0003632977
(2)配列情報 配列番号5:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:466塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の特徴:
(A)NAME/KEY:CDS
(b)存在位置:11...466
(xi)配列の記載:配列番号5:
Figure 0003632977
(2)配列情報 配列番号6:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:152アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号6:
Figure 0003632977

Claims (26)

  1. 配列番号4のアミノ酸配列を有する単離されたBMPレセプターキナーゼタンパク質または配列番号6のアミノ酸配列を有する可溶性断片をコードする単離されたDNA配列。
  2. DNA配列が配列番号3である、請求項1に記載のDNA配列。
  3. 配列番号2のアミノ酸配列を有する単離されたBMPレセプターキナーゼタンパク質または配列番号6のアミノ酸配列を有する可溶性断片。
  4. 請求項3の末端が切り取られたBMPレセプターキナーゼタンパク質をコードする単離されたDNA配列。
  5. DNA配列が配列番号1である、請求項4に記載のDNA配列。
  6. 請求項3の可溶性断片をコードするDNA配列。
  7. DNA配列が配列番号5である、請求項6に記載のDNA配列。
  8. 請求項1のDNA配列を含んでなる組換え発現ベクター。
  9. 請求項2のDNA配列を含んでなる組換え発現ベクター。
  10. ベクターがATCC No.69457の中に含有されるpJT4−J159Fの同定特性のすべてを有するプラスミドである、請求項9の組換え発現ベクター。
  11. 請求項4のDNA配列を含んでなる組換え発現ベクター。
  12. 請求項5のDNA配列を含んでなる組換え発現ベクター。
  13. ベクターがATCC No.69474の中に含有されるpJT6−J159Tの同定特性のすべてを有するプラスミドである、請求項12の組換え発現ベクター。
  14. 請求項8の組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
  15. 請求項9の組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
  16. 請求項10の組換え発現ベクターを含んでなる哺乳動物宿主細胞。
  17. 細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項16に記載の哺乳動物宿主細胞。
  18. 細胞がCOS細胞である、請求項16に記載の哺乳動物宿主細胞。
  19. 請求項11の組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
  20. 請求項12の組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
  21. 請求項13の組換え発現ベクターを含んでなる哺乳動物宿主細胞。
  22. 細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項21に記載の哺乳動物宿主細胞。
  23. 細胞がCOS細胞である、請求項21に記載の哺乳動物宿主細胞。
  24. BMPレセプターキナーゼタンパク質を発現させる方法で請求項14に記載の宿主細胞を培養し、そしてBMPレセプターキナーゼタンパク質を単離することを含んでなる、BMPレセプターキナーゼタンパク質を生産する方法。
  25. 末端が切り取られたBMPレセプターキナーゼタンパク質を発現させる方法で請求項20に記載の宿主細胞を培養し、そして前記BMPレセプターキナーゼタンパク質を単離することを含んでなる、末端が切り取られたBMPレセプターキナーゼタンパク質を生産する方法。
  26. BMPレセプターキナーゼタンパク質に結合できる化合物を含んでなる試料をBMPレセプターキナーゼタンパク質に導入し、そして前記化合物をBMPレセプターキナーゼタンパク質に結合させることを含んでなる、BMPレセプターキナーゼタンパク質に結合できる化合物を同定する方法であって、BMPレセプターキナーゼタンパク質が配列番号2のアミノ酸配列または配列番号6のアミノ酸配列を有する可溶性断片を有する方法。
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