JP3632810B2 - シール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本出願発明は、例えば内燃機関のシリンダプロックとオイルパン等の如き分割部材の接合部のシール構造、特に分割された第1部材と第2部材との接合面に介在された液状シール剤により、該両部材結合部を密封するシール構造に関するものである。
【0002】
【従来技術および解決しようとする課題】
この種のシール構造では、図12に図示するように、第1部材01の接合面02と、これと平行な面の第2部材03の接合面04とに、液状シール剤05を介在させ、この第1部材01と第2部材03とを図示されないボルトの緊締により相互に引寄せるように両部材01、03に力を加えて、前記液状シール剤05を圧縮し、空気中の水分による該液状シール剤05の硬化でもってシール構造を構成していた。
【0003】
この場合、ボルト締結時における液状シール剤05の厚さは、液状シール剤05の粘弾性力と、ボルトの緊締力とにより設定され、また液状シール剤05の粘弾性力は、液状シール剤05の種類で決まり、かつボルトの緊締力も、ボルトが熱変形や振動によって緩まない程度の値に決められるため、前記液状シール剤05が硬化した硬化シール層05の厚さも必然的に薄い厚さに決まってしまう。
【0004】
このようなシール構造において、第1部材01と第2部材03の間に、外力や熱応力等が加わった際に、両部材01、03間に相対変位が生ずる場合があるが、硬化シール層05の変形に対する追従性は、その厚さに比例するため、前記したように硬化シール層05の厚さが薄いと、硬化シール層05が、充分な堅牢性を維持できないことがある。そして両部材01、03の接合面02、04は、高い平面度が要求され、高精度の加工のために、コスト高が避けられなかった。
【0005】
このような不具合を解消する対策として、図13に図示するように、接合面02、04の幅方向中央に溝06を設け(実開平4−4561号公報参照)、または図14に示すように、接合面04の一側縁に外部に向って面取り深さが大きくなる面取部07を形成し(実公昭62−21176号公報参照)、あるいは図15に図示するように、第1部材の接合面に対し第2部材の接合面を、一側縁から他側縁に向って傾斜した傾斜面08に形成していた(特公平1−29982号公報参照)。
【0006】
両接合面02、04間に介在された図13に図示の液状シール剤05では、その両側面に接する空気中の水分と反応して硬化が進行するため、接合面02、04の幅中央溝06内におけるシール層05aの硬化が迅速に進行せず、シール層05aの硬化が完了する前に、内燃機関の運転により、その溝06内のシール層05aが高温に晒された場合には、このシール層05aからガスが発生し、シール層05a内部の圧力が高まって、硬化中のシール層05が破損し、接着不良が生ずる惧れがあった。
【0007】
また面取りを施した図14に図示のシール構造では、面取り部分07のシール構造05bの厚さが厚いので、シール層05の硬化が短時間内に完了できず、またシール層05の厚さが面取り部分07を境にして急激に変化しているため、この境界部分で破断が起り易い。
【0008】
さらにシール層05の厚さが一側縁から他側縁に向って直線的に厚くなってシール層05の断面が楔状に形成されている図15に図示のシール構造においては、第1部材01と第2部材03との間で接合面02、04幅方向にずれが生じ易く、しかも薄い部分から剥離し易かった。
【0009】
【課題を解決するための手段および効果】
本出願発明は、このような難点を克服したシール構造の改良に係り、請求項1記載の発明は、分割された第1部材と第2部材との接合面に液状シール剤が介在され、複数の締結部材により前記第1部材と第2部材とが相互に一体に結合される結合部において、前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における前記各締結部材の周辺部は、他の部分に比べ隆起して形成され、隣合う該締結部材周辺の隆起部間の全域に亘り液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成され、前記隣接隆起部間の距離が長いシール剤保持部の深さが、隣接隆起部間の距離が短いシール剤保持部の深さよりも深く設定されたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項1記載の発明では、第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における締結部材の周辺部が、他の部分に比べ隆起して形成され、隣合う締結部材周辺の隆起部間の全域に亘り液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成されているため、締結部材周辺の隆起部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤が硬化したシール層は、締結部材による緊締力でもって薄く圧縮されているが、逆にこの薄くなっている硬化シール層は、外力や熱応力を受けても、締結部材の緊締力の影響を強く受けて、この硬化シール層は左程変形しないので、この薄い硬化シール層は充分な堅牢性を保持して、破壊することがなく、耐久性が高い。
また隣接隆起部間では、シール剤保持部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤が硬化したシール剤保持部のシール層は、外力や熱応力による変形に追従しうる程度の厚さに設定可能となっているため、第1部材および第2部材におけるシール剤保持部の近傍の部分が外力や熱応力でもって或る程度変形しても、このシール剤保持部に接する硬化シール層も充分な堅牢性を維持することができ、どのような機関運転状態でも、このシール剤保持部に接する硬化シール層は破壊せず、シール性を確保することができる。
さらにシール剤保持部のシール層は、それ程厚くなく、その両側部は外気と直接的に接して空気中の水分と反応を起こし易く、しかも硬化過程で発生するガスが、大気中に発散し易いため、ガス発生によるシール層の破裂が未然に阻止されて、前記シール剤保持部のシール層は、比較的短時間内に硬化を完了することができ、生産性向上に寄与することができる。
【0011】
さらにまた、隣接隆起部間の距離が長いシール剤保持部の深さが、隣接隆起部間の距離が短いシール剤保持部の深さよりも深く設定されているため、隣接する隆起部間の距離の長いシール剤保持部の表面が、締結部材の締結力や、熱膨張収縮や外力等によって、その長さに対応して変形し易くなるところを、該長いシール剤保持部の深さを深くすることでもって、該シール剤保持部の表面の変形を確実に吸収させることができ、密封性の一段の向上を図ることができる。
【0012】
また、請求項2記載のように発明を構成することにより、第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における締結部材の周辺部が、他の部分に比べ隆起して形成され、隣合う締結部材周辺の隆起部間の全域に亘り液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成されているため、締結部材周辺の隆起部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤が硬化したシール層は、締結部材による緊締力でもって薄く圧縮されているが、逆にこの薄くなっている硬化シール層は、外力や熱応力を受けても、締結部材の緊締力の影響を強く受けて、この硬化シール層は左程変形しないので、この薄い硬化シール層は充分な堅牢性を保持して、破壊することがなく、耐久性が高い。
また隣接隆起部間では、シール剤保持部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤が硬化したシール剤保持部のシール層は、外力や熱応力による変形に追従しうる程度の厚さに設定可能となっているため、第1部材および第2部材におけるシール剤保持部の近傍の部分が外力や熱応力でもって或る程度変形しても、このシール剤保持部に接する硬化シール層も充分な堅牢性を維持することができ、どのような機関運転状態でも、このシール剤保持部に接する硬化シール層は破壊せず、シール性を確保することができる。
さらにシール剤保持部のシール層は、それ程厚くなく、その両側部は外気と直接的に接して空気中の水分と反応を起こし易く、しかも硬化過程で発生するガスが、大気中に発散し易いため、ガス発生によるシール層の破裂が未然に阻止されて、前記シール剤保持部のシール層は、比較的短時間内に硬化を完了することができ、生産性向上に寄与することができる。
【0013】
さらに、請求項3記載のように発明を構成することにより、第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における締結部材の周辺部が、他の部分に比べ隆起して形成され、隣合う締結部材周辺の隆起部間の全域に亘り液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成されているため、締結部材周辺の隆起部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤が硬化したシール層は、締結部材による緊締力でもって薄く圧縮されているが、逆にこの薄くなっている硬化シール層は、外力や熱応力を受けても、締結部材の緊締力の影響を強く受けて、この硬化シール層は左程変形しないので、この薄い硬化シール層は充分な堅牢性を保持して、破壊することがなく、耐久性が高い。
また隣接隆起部間では、シール剤保持部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤が硬化したシール剤保持部のシール層は、外力や熱応力による変形に追従しうる程度の厚さに設定可能となっているため、第1部材および第2部材におけるシール剤保持部の近傍の部分が外力や熱応力でもって或る程度変形しても、このシール剤保持部に接する硬化シール層も充分な堅牢性を維持することができ、どのような機関運転状態でも、このシール剤保持部に接する硬化シール層は破壊せず、シール性を確保することができる。
さらにシール剤保持部のシール層は、それ程厚くなく、その両側部は外気と直接的に接して空気中の水分と反応を起こし易く、しかも硬化過程で発生するガスが、大気中に発散し易いため、ガス発生によるシール層の破裂が未然に阻止されて、前記シール剤保持部のシール層は、比較的短時間内に硬化を完了することができ、生産性向上に寄与することができる。
さらにまた、隆起部における液状シール剤の厚さが、該隆起部より窪んだ部分に形成されたシール剤保持部に保持される液状シール剤の厚さよりも薄く設定されるため、この隆起部における液状シール剤では、ボルトの緊締力が強く働き、振動や熱応力等の外力の影響を大きく受けず、この隆起部における液状シール剤の変形量が小さく、この部分の液状シール剤は充分な堅牢性を有し、密封性が損なわれることがない。
【0014】
さらにまた、請求項4記載のように発明を構成することにより、隣接する隆起部間の距離の長いシール剤保持部の表面が、締結部材の締結力や、熱膨張収縮や外力等によって、その長さに対応して変形し易くなるところを、該長いシール剤保持部の深さを深くすることでもって、該シール剤保持部の表面の変形を確実に吸収させることができ、密封性の一段の向上を図ることができる。
【0015】
また、請求項5記載のように発明を構成することにより、前記締結部材周辺の隆起部と該隆起部に対面した相手側部材の接合面との間に介在されている液状シール剤のシール層は、前記締結部材による緊締力の影響を強く受け、この隆起部と相手側部材との間の硬化シール層は、充分に高い水準の堅牢性を保持することができる。
【0016】
さらに、請求項6記載のように発明を構成することにより、前記隆起部の内側または外側あるいはその両側に周辺シール剤保持部を構成して、該周辺シール剤保持部を、隣接隆起部間のシール剤保持部に連続して接続させることができるので、前記隆起部の接合面とこれに対面した相手側部材の接合面との間の隆起部シール層の内側または外側あるいはその両側に周辺シール層を形成して、該隆起部シール層の密封性をさらに一段と向上させることができる。
【0017】
さらにまた、請求項7記載のように発明を構成することにより、前記第1部材および第2部材を相互に結合するための締結力を当接面積の広い前記隆起部で確実に負担させて、該両部材の結合強度を充分に高い水準に保持させることができるとともに、前記シール剤保持部の幅を密封に必要な最小限の幅に留めて、シール層中に発生するガスを両側方へ容易に排出させて、該シール層の破壊を未然に阻止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本出願の請求項1ないし請求項3および請求項5記載の発明を適用した図1ないし図4に図示の一実施形態について説明する。
【0019】
符号1は、図示されない内燃機関の分割第1部材たるオイルパンであり、図3に図示されるように、該オイルパン1の上端面に室温硬化型シリコン系の液状シール剤3が塗布され、シリンダブロック2の下端面に当てがわれ、オイルパン1のボルト孔4を上方へ貫通したボルト5が、分割第2部材たるシリンダブロック2に螺合緊締され、オイルパン1とシリンダブロック2とが一体に結合されている。
【0020】
しかしてオイルパン1の上端面には、ボルト孔4の周囲のみ上方へ円板状をなした隆起部6が形成され、隣合う隆起部6の間には隆起部6より略0.3ミリメートル下方へ窪んだシール剤保持部7が形成されている。
【0021】
またボルト5の頭部5aが当接するボルト孔4の下端開口の中心を頂点とする頂角90°の円錐面8に、円板状隆起部6の外周縁が接するような大きさに、隆起部6の径Dが設定され、該円板状隆起部6の幅すなわち径Dに比べてシール剤保持部7の幅Wは狭く設定されている。
【0022】
図1ないし図4に図示された実施形態は、前記したように構成されているので、オイルパン1の上端面に液状シール剤3を塗布し、シリンダブロック2の下端面にオイルパン1の上端面を当てがい、ボルト孔4を貫通してシリンダブロック2に螺合されたボルト5を、設定した緊締力で締付けると、隆起部6における液状シール剤3の厚さは、液状シール剤3の粘弾性力とボルト5の締付けにより液状シール剤3に加えられる圧縮力により決められた0.02ミリメートル程度となり、シール剤保持部7における液状シール剤3の厚みは、約0.32ミリメートルとなる。
【0023】
オイルパン1およびシリンダブロック2の接合部における円板状隆起部6の幅Dに比べて、シール剤保持部7の幅Wが狭く、また空気と接する接合部の全周長が長く、しかも液状シール剤3の厚さは厚い個所でも0.32ミリメートル程度と比較的薄いため、空気中の水分と反応して硬化が進行する液状シール剤3は、空気と接する内外両側縁から中心へと硬化し、その硬化所要時間は比較的短い。
【0024】
また液状シール剤3の硬化過程で、液状シール剤3内からガスが発生するが、液状シール剤3の内外両側縁迄の距離が短いため、このガスは、液状シール剤3中を透過して大気中に放散し易く、液状シール剤3の組織が発生ガスで破壊されにくい。
【0025】
さらに隆起部6における液状シール剤3の厚さは0.02ミリメートルと薄いが、この部分の液状シール剤3では、ボルト5の緊締力が強く働くため、振動や熱応力等の外力の影響を大きく受けずに、隆起部6における液状シール剤3の変形量が小さく、この部分の液状シール剤3は、充分な堅牢性を有している。
【0026】
さらにまたシール剤保持部7における液状シール剤3は、ボルト5より離れてボルト5の緊締力の影響を受けずに、変形量が大きくても、隆起部6における液状シール剤3に比べてその厚さが充分に厚いため、隆起部6における液状シール剤3の許容変形値が大きく、やはり、破壊されにくい。
【0027】
しかも、オイルパン1の接合面は、隆起部6の頂面のみ、その平面精度を維持できれば、シール剤保持部7の頂面に多少の凹凸があっても、液状シール剤3の密封性を充分に保持でき、オイルパン1の接合面の加工が比較的簡単となって、コストダウンが可能である。
【0028】
図1ないし図4に図示の実施形態では、第1部材たるオイルパン1の上端面にのみ、隆起部6とシール剤保持部7とが形成されているが、第2部材たるシリンダブロック2の下端面に隆起部6とシール剤保持部7とを形成し、またはオイルパン1とシリンダブロック2の両端面に隆起部6とシール剤保持部7とを形成してもよい。
【0029】
また前記シリンダブロック2の下端面は平面に形成され、オイルパン1の上端面の隆起部6を結ぶ面およびシール剤保持部7を結ぶ面も、シリンダブロック2の下端面に対し一定間隔を存するように平行な平面に形成されているが、前記シリンダブロック2の下端面が曲面であれば、オイルパン1の上端面の隆起部6を結ぶ面およびシール剤保持部7を結ぶ面を前記シリンダブロック2の下端面に対し平行となるように形成し、該シリンダブロック2の下端面と、前記オイルパン1の隆起部6の面との間隔を一定にし、かつ該シリンダブロック2の下端面と前記オイルパン1のシール剤保持部7の面との間隔を一定にしてもよい。
【0030】
次に本出願の請求項1ないし請求項5記載の発明を適用した他の実施形態(図5ないし図10参照)について説明する。
【0031】
内燃機関10は、図示されない自動車に搭載される3気筒4ストロークサイクル(通称4サイクル)内燃機関であって、該内燃機関10では、アルミニューム製シリンダブロック11の下端面に、アルミニューム製オイルパン12の上端面が一体に結合され、シリンダブロック2の上方には、図示されないシリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーが順次重ねられて一体に結合されている。
【0032】
またシリンダブロック11において車体幅方向へ直列に配列されたシリンダ13は、車体前方へ向い水平面に対し約30°の角度をなして傾斜し、内燃機関10の車体右側に、図示されないクラッチおよびトランスミッションが配置され、車体左側に、図示されない動弁系のタイミングベルト駆動用プーリや冷却水ポンプ駆動用プーリが配置されている。
【0033】
さらにシリンダ13にピストン14が摺動自在に嵌装され、シリンダブロック11のベアリング部11aとベアリングホルダ15とにクランクシャフト16が回転自在に枢支され、該ベアリングホルダ15を貫通してベアリング部11aにボルト17が螺着され、ピストン14とクランクシャフト16とはコネクティングロッド18でもって連結されている。
【0034】
しかしてオイルパン12のフランジ19には、該オイルパン12をシリンダブロック11に結合するためのボルト20を挿入できるボルト挿入孔21が、フランジ19の全周に亘って複数個所形成され、オイルパン12の上端接合面には、ボルト挿入孔21を囲んで幅約13ミリメートル、長さ約34ミリメートルの隆起部22が形成され、隣合う隆起部22の間に幅約8ミリメートルのシール剤保持部23が形成され、平面状のシール剤保持部23に対し、隆起部22の頂面は、約0.3ミリメートル上方へ突出し、すなわち、このシール剤保持部23に対する隆起部22の高さすなわち約0.3ミリメートルの高さは、オイルパン12のダイキャスト鋳造時におけるシール剤保持部23の表面に形成される凹凸高さの差を上廻る高さに設定され、オイルパン12の上端周方向に沿う隆起部22の端縁22aは、図9に図示されるように、ボルト20の頭部20aが当接するボルト挿入孔21の下端開口の中心を頂点とする頂角90°の円錐面26よりも内側の範囲内に設定されている。
【0035】
また隆起部22におけるオイルパン12の内側部および外側部にも、シール剤保持部23と面一(高さが等しい)の内側周辺シール剤保持部24と外側周辺シール剤保持部25とが、隆起部22およびシール剤保持部23に連続して形成され、該内側周辺シール剤保持部24と外側周辺シール剤保持部25とは約1ミリメートルの幅を有している。
【0036】
そしてシール剤保持部23の内外両側縁部と内側周辺シール剤保持部24、外側周辺シール剤保持部25の側縁部との横断面形状は、図10に図示されるように半径1ミリメートルの円弧状丸みを帯びている。
【0037】
さらにオイルパン12の内面には、図6に図示されるように、前記隆起部22の近くを通り、クランク軸方向に対し、直交する方向に、複数のリブ31が形成されており、このリブ31は、オイルパン12特に隆起部22付近の剛性向上に寄与している。
【0038】
さらにまたシリンダブロック11の下端面における内外両側縁は、オイルパン12の上端面における内外両側縁の形状と同一の形状をなし、オイルパン12の上端面の凹凸形状と異なって、平面状に形成されている。
【0039】
図5ないし図10に図示の実施形態では、室温で硬化するシリコンゴム(商品が解かれば記入して下さい)が液状シール材として利用されるが、やはり隆起部22の頂面とシリンダブロック11の下面とに介在しているシール層27は約0.02ミリメートルと極めて薄いため、該シール層27に発生するガス量が少なく、また隆起部22の中央にボルト挿入孔21が開口して隆起部22の実質的幅が狭いため、シール層27に発生するガスは外部へ透過放散し易く、その結果、シール層27の組織に悪影響を与えずに、比較的短時間内にシール層27の硬化が完了する。
【0040】
そしてシール層27の厚さが薄く、シール層27の変形に対する追従性が低くても、シール層27はボルト20の緊締力の影響を強く受けて、外力や熱応力による変形が小さいため、シール層27の密封性が損なわれることがない。
【0041】
またシール剤保持部23の頂面とシリンダブロック11の下面とに介在しているシール層28の幅も約8ミリメートルと幅が狭いため、シール層28に発生するガスはやはり外部へ透過放散し易い。
【0042】
そして通常の生産工程で、内燃機関を組立て、その後運転を開始してシール層28が高温状態となる場合に、その温度上昇に伴なうシール層28中のガス発生によって、シール層28が破裂を生ずる程の厚さ以下の0.35ミリメートルの厚さにシール層28は設定されるため、シール層28の硬化所要時間は比較的短く、未硬化によるガス発生でもってシール層28が破壊することがなく、シール層28の密封性は高い。
【0043】
さらに隆起部22の内側と外側とに内側周辺シール剤保持部24と外側周辺シール剤保持部25とが連続して形成されているため、隆起部22の密封性はより一層確実となり、また内側周辺シール剤保持部24、外側周辺シール剤保持部25のシール層29,30が、隆起部22のシール層27に比べて厚くても、直接空気に接触しているため、シール層29,30の硬化は迅速に促進され、硬化未完了におけるガス発生が著しく抑制される。
【0044】
さらにまた内側周辺シール剤保持部24と外側周辺シール剤保持部25との縁部は丸くなっているため、シール層29,30は内側周辺シール剤保持部24、外側周辺シール剤保持部25より剥離しにくい。
【0045】
図5ないし図10に図示の実施形態では、隆起部22の内側および外側に、隣接隆起部22間のシール剤保持部23に連結して内側周辺シール剤保持部24と外側周辺シール剤保持部25が形成されているが、この内側周辺シール剤保持部24と外側周辺シール剤保持部25のいずれか一方のみを形成してもよい。
【0046】
また図5ないし図10に図示の実施形態においては、隆起部22の表面に対するシール剤保持部23の深さ(シール剤保持部23の表面に対する隆起部22の表面の高さ)は、隣接する隆起部22の相互間隔の広い、狭いのと無関係に、一定であるが、図11に図示される本出願の請求項1記載の発明のように、前記隣接隆起部22間隔の短いシール剤保持部23aの深さを0.3ミリメートルとし、この隣接隆起部間隔の短いシール剤保持部23aの長さの約2倍の長さを有する隣接隆起部間隔の長いシール剤保持部23bの深さを、例えば0.35ミリメートルとし、この隣接隆起部間隔の長いシール剤保持部23bのボルト20の締結による弾性変形等の変形を、このシール剤保持部23の深さの差で吸収させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願の発明に係る内燃機関のシール構造の一実施形態の要部斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2のIII −III 線に沿って裁断した要部断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿って裁断した要部断面図である。
【図5】本出願の発明の他の実施形態における内燃機関の背面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視図である。
【図7】図6のVII −VII 線に沿って裁断した横断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿って裁断した要部拡大断面図である。
【図9】図6のIX−IX線に沿って裁断した要部拡大断面図である。
【図10】図6のX−X線に沿って裁断した要部拡大断面図である。
【図11】本出願の請求項6記載の発明の一実施形態を図示した要部拡大断面図である。
【図12】従来の内燃機関のシール構造を図示した横断面図である。
【図13】従来の内燃機関の他のシール構造を図示した横断面図である。
【図14】従来の内燃機関のさらに他のシール構造を図示した横断面図である。
【図15】従来の内燃機関のさらに別のシール構造を図示した横断面図である。
【符号の説明】
1…オイルパン、2…シリンダブロック、3…液状シール剤、4…ボルト孔、5…ボルト、6…隆起部、7…シール剤保持部、8…円錐面、10…内燃機関、11…シリンダブロック、12…オイルパン、13…シリンダ、14…ピストン、15…ベアリングホルダ、16…クランクシャフト、17…ボルト、18…コネクティングロッド、19…フランジ、20…ボルト、21…ボルト挿入孔、22…隆起部、23…シール剤保持部、24…内側周辺シール剤保持部、25…外側周辺シール剤保持部、26…円錐面、27…シール層、28…シール層、29…シール層、30…シール層、31…リブ。
Claims (7)
- 分割された第1部材と第2部材との接合面に液状シール剤が介在され、複数の締結部材により前記第1部材と第2部材とが相互に一体に結合される結合部において、
前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における前記各締結部材の周辺部は、他の部分に比べ隆起して形成され、隣合う該締結部材周辺の隆起部間の全域に亘り液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成され、
前記隣接隆起部間の距離が長いシール剤保持部の深さが、隣接隆起部間の距離が短いシール剤保持部の深さよりも深く設定されたことを特徴とするシール構造。 - 分割された第1部材と第2部材との接合面に液状シール剤が介在され、複数の締結部材により前記第1部材と第2部材とが相互に一体に結合される結合部において、
前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における前記各締結部材の周辺部には、他の部分に比べ円板状に隆起した円板状隆起部が形成され、隣合う該締結部材周辺の円板状隆起部間の全域に亘り液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成されたことを特徴とするシール構造。 - 分割された第1部材と第2部材との接合面に液状シール剤が介在され、複数の締結部材により前記第1部材と第2部材とが相互に一体に結合される結合部において、
前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における締結部材の周辺部には、他の部分に比べ隆起した隆起部が形成され、隣合う締結部材の周辺部間に液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成され、隆起部における液状シール剤の厚さは、前記隆起部より窪んだ部分に形成されたシール剤保持部に保持される液状シール剤の厚さよりも薄く設定されたことを特徴とするシール構造。 - 分割された第1部材と第2部材との接合面に液状シール剤が介在され、複数の締結部材により前記第1部材と第2部材とが相互に一体に結合される結合部において、
前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の部材の接合面における隣合う締結部材の周辺部間に液状シール剤の保持が可能なシール剤保持部が形成され、隣合う締結部材の周辺部間の距離が長いシール剤保持部の深さが、隣合う締結部材の周辺部間の距離が短いシール剤保持部の深さよりも深く設定されたことを特徴とするシール構造。 - 前記隆起部は、前記締結部材の頭部とこれに当接する前記第1部材または第2部材との当接部分を頂点とする頂角90°の円錐面の範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載のシール構造。
- 前記隆起部の内側および外側のいずれか一方または両方に、隣接隆起部間のシール剤保持部に連続して周辺シール剤保持部が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3および請求項5いずれか記載のシール構造。
- 前記隆起部の幅よりもシール剤保持部の幅が狭く設定されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3、請求項5および請求項6いずれか記載のシール構造。
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