JP3632669B2 - 車両用冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両において熱交換器に水を噴霧して冷却する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、実開平6−64029号や実開平6−317152号に示されるように、熱交換器(エアコンの凝縮器、エンジン冷却装置のラジエータ等)に外側から水を噴霧して、強制的に冷却するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、噴霧された水の蒸発による熱交換器の冷却が十分にできないという問題点があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、熱交換器での噴霧された水の蒸発による冷却効果を最大限利用できるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明では、車両の熱交換器に水を噴霧して冷却する装置において、熱交換器に噴霧する水の量を熱交換器にて蒸発する水の量よりも多くする一方、水を貯えるタンクと、タンクからの水を熱交換器に噴霧する噴射ノズルと、熱交換器の下方にあって蒸発しきらない水を回収する受け皿と、内部での流れにより負圧を発生するエゼクタと、タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧する主通路に対し、エゼクタをバイパスするバイパス通路と、主流路とバイパス通路とのいずれかを選択可能な切換弁と、受け皿の水位を検出する手段と、その水位が所定値を下回ったときに前記切換弁をバイパス通路側に切換えるように制御する手段とを備え、タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧すると同時に、受け皿の水をエゼクタでの負圧により回収して噴霧することを特徴とする。
請求項2の発明では、熱交換器に噴霧する水の量を熱交換器にて蒸発する水の量よりも多くする一方、水を貯えるタンクと、タンクからの水を熱交換器に噴霧する噴射ノズルと、熱交換器の下方にあって蒸発しきらない水を回収する受け皿と、タンクと噴射ノズルとの間の配管の途中に設けられ、内部での流れにより負圧を発生し、負圧発生部に前記受け皿からの配管が接続されたエゼクタとを備え、タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧すると同時に、受け皿の水をエゼクタでの負圧により回収して噴霧することを特徴とする。
【0005】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧する主通路に対し、エゼクタをバイパスするバイパス通路と、主通路とバイパス通路とのいずれかを選択可能な切換弁とを設ける一方、受け皿の水位を検出する手段と、その水位が所定値を下回ったときに前記切換弁をバイパス通路側に切換えるように制御する手段とを設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項4の発明では、請求項1〜3の発明において、受け皿下部にろ過装置を設けることを特徴とする。
請求項5の発明では、熱交換器に噴霧する水の量を前記熱交換器にて蒸発する水の量よりも多くし、蒸発しきらない水及びエアコンでの凝縮水を回収して、再循環させる一方、水を回収するタンクと、タンクの水位を検出する手段と、を設け、エアコン作動時に、その水位に応じて、エアコンの空気導入口を外気導入に切換えることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、熱交換器に噴霧する水の量を蒸発する水の量よりも多くし、蒸発しきらなかった水を受け皿で回収し、これをエゼクタの機能で再び噴霧に供することで再循環することができ、熱交換器での水の蒸発による冷却効果を最大限利用できる。そして、受け皿の水位を検出し、その水位が低くなったときは、エゼクタをバイパスさせて噴霧することで、受け皿に常に水が溜まった状態を維持でき、エゼクタの空気の吸い込みを防止できるので、水噴霧を安定でき、冷却性能の低下を防止できる。
【0010】
また本発明によれば、エアコンの凝縮水をタンクへ回収することにより、常にタンクに水がたまるようにできる。さらに、タンクの水位が低い場合は、特にエアコンの空気導入口が内気循環側で作動している場合に、一時的に、空気導入口を外気導入側に変更し、湿度の高い空気をエアコンに送って、凝縮水の生成を促すようにできるため、タンクの水位を一定レベル以上に保つことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、ここでは車両用エンジンの冷却装置において熱交換器であるラジエータを強制冷却する場合について説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示している。
【0012】
ラジエータ1は、冷却ファン2により空気で冷却する他、所定の条件にて水の噴霧により強制的に冷却する。すなわち、貯水タンク3内の水を噴射ポンプ4により噴射ノズル5に圧送し、この噴射ノズル5からラジエータ1の表面に噴霧する。
また、ラジエータ1の下方に、このラジエータ1から滴下する水を回収できるように受け皿6を配置し、この受け皿6の下方に貯水タンク3を配置するようにして、受け皿6に回収した水をろ過装置7を介して直下の貯水タンク3に戻すようにしてある。
【0013】
従って、貯水タンク3から噴射ポンプ4及び噴射ノズル5によりラジエータ1へ噴霧された水は、ラジエータ1の表面で蒸発し、その気化潜熱の影響で冷却性能を著しく向上させることができる。
ここで、ラジエータ1に噴霧する水の量は、ラジエータ1で蒸発する水の量よりも多く設定しておく。これにより、蒸発しきれなかった水は、滴り落ちていくが、これをラジエータ1の下方に配置した受け皿6で捕らえ、ろ過装置7を経てその下方に配置した貯水タンク3へ戻す。
【0014】
以上の構成をとることにより、水を無駄に捨てることなく冷却でき、ラジエータ1での蒸発による冷却効果を最大限利用できる一方、水を無駄に捨てることもない。尚、冷却効果を従来と同じにすれば、その分、ラジエータ1を小型化できる。
図2は本発明の第2実施形態を示している。
【0015】
第2実施形態では、第1実施形態(図1)に対し、噴射ポンプ4と噴射ノズル5との間にエゼクタ8を設けてある。エゼクタ8は、図2中の拡大図に示すように、ケース8a内で上流側の配管8bと下流側の配管8cとを分断し、上流側の配管8bの出口を絞り、下流側の配管8cの入口を拡開して、前者を後者に隙間を残して突入させることで、内部の流れにより、隙間部に吸入負圧を発生させるようにしてある。
【0016】
ここにおいて、ラジエータ1の下方に配置した受け皿6から、ろ過装置7を経た配管9を、エゼクタ8の隙間部に臨ませてある。
従って、受け皿6にたまった水は、噴射ポンプ4からの流れによりエゼクタ8で発生する負圧により吸引されて、再度、噴射ノズル5へ運ばれる。この構成により、蒸発しきれなかった水を効果的に回収できる。
【0017】
また、本構成では、貯水タンク3は受け皿6及びろ過装置7の下方にある必要がなくなり、車両の搭載位置及びタンク形状の自由度が高まる。
さらに、本構成では、受け皿6で捕らえた水が、貯水タンク3を通過することなく噴射ノズル5へ運ばれるため、ろ過装置7で除去できなかった微細な塵、微生物等の貯水タンク3への進入が起こらない。従って、貯水タンク3内の汚れ、カビの発生を少なくでき、噴射ポンプ4の詰まりを防止する効果がある。
【0018】
尚、エゼクタ8の発生負圧の調整等により、エゼクタ8での水の回収量を、受け皿6での水の回収量、すなわちラジエータ1から滴下する水の量よりも少なく設定して、受け皿6に常に水が溜まっている状態にしておくとよい。
又は、図2に示してあるように、貯水タンク3の水をエゼクタ8を介して噴霧する主通路8b、8cに対し、エゼクタ8をバイパスするバイパス通路10と、主通路8b、8cとバイパス通路10とのいずれかを選択可能な切換弁11とを設け、さらに、受け皿6の水位を検出する水位センサ(水位検出手段)12の信号をコントロールユニット(切換弁制御手段)13に入力して、受け皿6の水位が所定値を下回った場合は前記切換弁11をバイパス通路10側に切換えるように制御して、受け皿6に常に水が溜まっている状態にしておく。
【0019】
これらにより、冷却性能の低下を防止できる。すなわち、受け皿6の水がなくなったら、エゼクタ8から圧縮性の空気が混入することになり、噴射ノズル5からの噴霧が間欠的になって噴霧が不安定になることで冷却性能が低下するが、これを防止できる。
図3は本発明の第3実施形態を示している。
【0020】
第3実施形態では、第2実施形態(図2)に対し、車両用エアコンの凝縮器14での凝縮水を有効利用するようにしている。
すなわち、エアコン凝縮器14での凝縮水を回収する配管15を設けて、この配管15をろ過装置16を介して貯水タンク3につないである。これにより、エアコン凝縮水が生成された場合は常に冷却用水として貯水タンク3にためることができ、冷却用水の補充を行う頻度が低下する。
【0021】
また、エアコンの空気導入口は、切換ドア17により、外気導入側(実線位置)と内気循環側(点線位置)とに切換可能であるが、ここでは、貯水タンク3の水位を検出する水位センサ(水位検出手段)18の信号と、切換ドア17の位置を検出する位置センサ19の信号とを、コントロールユニット(切換ドア制御手段)20に入力し、後述する図4のフローチャートに従って、所定の条件にて、ドア駆動装置21を介して、切換ドア17の位置を強制的に制御するようにしている。
【0022】
図4はエアコン空気導入口切換制御のフローチャートである。
S1では、水位センサ18の信号に基づいて貯水タンク3の水位を読込み、その水位が許容水位(所定値)より低下しているか否かを判定する。
水位が許容水位を下回った場合は、S2へ進み、位置センサ19の信号に基づいて切換ドア17が内気循環側にあるか否かを判定する。
【0023】
切換ドア17が内気循環側にある場合は、エアコン凝縮器14には外気よりも湿度の低い除湿された室内空気が送風されていることになり、凝縮水の生成が期待できないため、S3へ進み、切換ドア17が外気導入側へ開くように制御する。ここでは内気循環と外気導入の中間位置となるように制御する。
切換ドア17が内気循環側以外の位置にあった場合は、S2からS4へ進み、より外気導入側にできるか否か(完全な外気導入側ではなく、内気循環と外気導入の中間位置にあるか否か)を判定する。ここで、より外気導入側に切換ドア17が動く余地がある場合は、S5へ進み、より湿度の高い空気をエアコン凝縮器14に送るために切換ドア17を完全に外気導入側に駆動する。
【0024】
この制御フローにより、貯水タンク3の水位が低下した時は、一時的に切換ドア17の位置を制御し、外気を導入して、エアコン凝縮水の生成を促すことによって、貯水タンク3の水位を回復しやすくすることができる。従って、冷却用水の補充をほぼ自動で行えるようになり、手動で給水する頻度は非常に低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す図
【図2】本発明の第2実施形態を示す図
【図3】本発明の第3実施形態を示す図
【図4】第3実施形態でのエアコン空気導入口切換制御のフローチャート
【符号の説明】
1 ラジエータ
2 冷却ファン
3 貯水タンク
4 噴射ポンプ
5 噴射ノズル
6 受け皿
7 ろ過装置
8 エゼクタ
8a ケース
8b エゼクタ上流側配管
8c エゼクタ下流側配管
9 受け皿〜エゼクタ配管
10 バイパス通路
11 切換弁
12 受け皿水位センサ
13 コントロールユニット
14 エアコン凝縮器
15 エアコン凝縮水回収用の配管
16 ろ過装置
17 エアコン空気導入口の切換ドア
18 貯水タンク水位センサ
19 ドア位置センサ
20 コントロールユニット
21 ドア駆動装置

Claims (5)

  1. 車両の熱交換器に水を噴霧して冷却する装置において、
    熱交換器に噴霧する水の量を熱交換器にて蒸発する水の量よりも多くする一方、水を貯えるタンクと、タンクからの水を熱交換器に噴霧する噴射ノズルと、熱交換器の下方にあって蒸発しきらない水を回収する受け皿と、内部での流れにより負圧を発生するエゼクタと、タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧する主通路に対し、エゼクタをバイパスするバイパス通路と、主流路とバイパス通路とのいずれかを選択可能な切換弁と、受け皿の水位を検出する手段と、その水位が所定値を下回ったときに前記切換弁をバイパス通路側に切換えるように制御する手段とを備え、
    タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧すると同時に、受け皿の水をエゼクタでの負圧により回収して噴霧することを特徴とする車両用冷却装置。
  2. 車両の熱交換器に水を噴霧して冷却する装置において、
    熱交換器に噴霧する水の量を熱交換器にて蒸発する水の量よりも多くする一方、水を貯えるタンクと、タンクからの水を熱交換器に噴霧する噴射ノズルと、熱交換器の下方にあって蒸発しきらない水を回収する受け皿と、タンクと噴射ノズルとの間の配管の途中に設けられ、内部での流れにより負圧を発生し、負圧発生部に前記受け皿からの配管が接続されたエゼクタとを備え、
    タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧すると同時に、受け皿の水をエゼクタでの負圧により回収して噴霧することを特徴とする車両用冷却装置。
  3. タンクの水をエゼクタを介して熱交換器に噴霧する主通路に対し、エゼクタをバイパスするバイパス通路と、主通路とバイパス通路とのいずれかを選択可能な切換弁とを設ける一方、受け皿の水位を検出する手段と、その水位が所定値を下回ったときに前記切換弁をバイパス通路側に切換えるように制御する手段とを設けたことを特徴とする請求項2記載の車両用冷却装置。
  4. 受け皿下部にろ過装置を設けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車両用冷却装置。
  5. 車両の熱交換器に水を噴霧して冷却する装置において、
    熱交換器に噴霧する水の量を前記熱交換器にて蒸発する水の量よりも多くし、蒸発しきらない水及びエアコンでの凝縮水を回収して、再循環させる一方、
    水を回収するタンクと、
    タンクの水位を検出する手段と、を設け、
    エアコン作動時に、その水位に応じて、エアコンの空気導入口を外気導入に切換えることを特徴とする車両用冷却装置。
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