以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1~図3を参照して、本発明の第1実施形態による間接気化式空気冷却機100の構成について説明する。
本発明の第1実施形態による間接気化式空気冷却機100は、一方の流路で気化現象を生じさせ、隣接する他方の流路内の空気を冷却するように構成された空気冷却機である。間接気化式空気冷却機100は、図1に示すように、給気用流路10と、排気用流路20と、コア30と、給気用空気取込口41と、排気用空気取込口42と、給気口43と、排気口44と、給水部51と、排水部52と、を備えている。
給気用流路10は、流路11と、ドライ流路12(図2参照)と、流路13とを含む。冷却機外部(室外)の空気F1aが給気用空気取込口41から取り込まれると、空気F1aは、流路11、ドライ流路12、流路13の順番に通過して、給気口43から冷却空気の供給先(室内)に空気F1bとして供給されるように構成されている。なお、図1および図2において、給気用流路10を通過する空気F1a、F1bを網掛け矢印で図示している。
排気用流路20は、流路21と、ウエット流路22(図2参照)と、流路23とを含む。冷却機外部(室外)の空気F2aが排気用空気取込口42から取り込まれると、空気F2aは、流路21、ウエット流路22、流路23の順番に通過して、排気口44から室外に空気F2bとして排気されるように構成されている。なお、図1および図2において、排気用流路20を通過する空気F2a、F2bを白抜き矢印で図示している。
コア30は、図2に示すように、ドライ流路12とウエット流路22とが交互に積層されている。すなわち、ドライ流路12とウエット流路22とは互いに隣接して配置されている。また、ドライ流路12とウエット流路22とは対向流(空気F1aと空気F2aとの流路方向が逆)となるように構成されている。ドライ流路12とウエット流路22との間には、熱伝導が可能で水を通さない隔壁31(たとえば、ポリプロピレン製のフィルム、または、薄いシート)が設けられている。ウエット流路22の内表面22aには、不織布32(たとえば、ポリプロピレン製、または、吸湿性のある濾紙)が設けられている。不織布32は、給水部51から供給される水を保水することが可能である。なお、不織布32は、特許請求の範囲の「保水部材」の一例である。
第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、ウエット流路22において、不織布32が保水された状態で排気用空気取込口42から取り込まれた空気F2aが通過すると、不織布32に保水された水が気化する(不織布32に含まれる水が空気F2aに物質移動する)。保水された水が気化した不織布32は、気化熱により熱が奪われることによって、気化前と比較して温度が低下する(冷却される)。冷却された不織布32は、熱伝導が可能な隔壁31を介して隣接するドライ流路12を冷却する。これにより、ドライ流路12を通過する空気F1aが冷却され、(空気F1aよりも低温である)冷却された空気F1bを給気口43から冷却空気の供給先(室内)に供給することが可能である。
給気用空気取込口41および排気用空気取込口42には、それぞれ、モータとファンが一体的に形成されたモータファン41aおよび42aが配置されている。このモータファン41a、42aを稼動させることにより、給気用流路10および排気用流路20に、それぞれ、冷却機外部(室外)からの空気F1a、F2aを積極的に取り込むことが可能に構成されている。
給気口43は、ウエット流路22における気化現象により冷却されたドライ流路12内の空気F1bを、冷却空気の供給先(室内)に供給する給気口として構成されている。排気口44は、ウエット流路22における気化現象により湿度が上昇した空気F2bを室外に排気する排気口として構成されている。
給水部51は、図2に示すように、給水ポンプ51aを用いて、上水道(図示しない)などの水供給部からウエット流路22に水(水道水)を供給するように構成されている。また、排水部52は、ウエット流路22において不織布32に保水された水のうち、気化しなかった部分が排水として下水道(図示しない)などに排出されるように構成されている。
また、間接気化式空気冷却機100は、図3に示すように、制御部60と、記憶部70と、温湿度計80と、を備えている。
制御部60は、冷却運転を制御するように構成されている。制御部60は、駆動制御部61と、運転時間計測部62と、給水制御部63と、を備えている。
駆動制御部61は、給気用空気取込口41のモータファン41aおよび排気用空気取込口42のモータファン42aの稼動を制御する。運転時間計測部62は、モータファン41aおよびモータファン42aの運転時間(稼働時間)を計測することが可能に構成されている。給水制御部63は、給水ポンプ51aを制御することによって、ウエット流路22への水の供給を制御することが可能に構成されている。
なお、以下の説明では、モータファン41a、42aの稼動、および、給水部51からウエット流路22への水の供給が行われている状態を「冷却運転時(冷却運転中)」と呼ぶ場合がある。また、「冷却運転時(冷却運転中)」以外の状態を、「冷却運転停止中」と呼ぶ場合がある。
記憶部70は、たとえば、不揮発メモリを含む。そして、記憶部70には、モータファン41a、42aの稼動、および、給水部51からウエット流路22への水の供給を制御する処理に用いられるプログラムが記憶されている。
温湿度計80は、冷却機外部(室外)の空気における温度および湿度を計測できるように構成されている。すなわち、温湿度計80は、給気用空気取込口41から取り込まれる空気F1aおよび排気用空気取込口42から取り込まれる空気F2aの温度および湿度を計測することが可能である。
なお、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、冷却運転の開始および終了のタイミングは、外気温度に基づいて判断されるように構成されている。すなわち、間接気化式空気冷却機100では、制御部60が、温湿度計80(図3参照)から温度データを取得して、あらかじめ設定された(冷却空気の供給先(室内)の冷却が必要とされる)冷却機外部の空気(外気)温度と比較することにより、冷却運転の開始および終了のタイミングを判断するように構成されている。
また、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、冷却運転時において、給水部51による水の供給は、水の気化を効率的に行うため、および、気化に必要とされない水を極力減らすために、温湿度計80で取得した温度に基づく飽和水蒸気圧および湿度に基づいて気化現象に必要な範囲内で少量ずつ継続的に行なわれる。したがって、冷却運転時に水に含まれる不純物(ミネラル分、スケール)が水への溶解度(図6参照)を超えた場合、不純物が析出物として不織布32に析出する。不織布32に析出物が析出された状態では、不織布32の保水性能が低下して気化効率が低下する。また、冷却運転時にウエット流路22内に取り込まれた空気F2aに(土埃の塵等の)異物が混入していた場合、冷却運転停止中に異物が不織布32で固化する場合がある。不織布32に異物が固化して留まっている状態でも、不織布32の保水性能が低下して気化効率が低下する。
そこで、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、給水部51による水の供給を制御して一定時間連続的に水を供給することにより、水の気化に起因して不織布32に析出した析出物、または、不織布32に固化した状態で留まっている異物を除去するように構成されている。
具体的には、給水制御部63は、析出物または異物を除去する(第1除去動作を行う)ように、給水部51による析出物または異物の除去のための水の供給タイミング、供給量および供給時間を制御するように構成されている。なお、以下の説明では、給水部51による水の供給により、不織布32に析出した析出物または異物を除去する除去動作を「第1除去動作」と呼ぶ。
第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、第1除去動作を行うための給水タイミングを、冷却運転終了後とするように構成されている。
具体的には、制御部60は、駆動制御部61によりモータファン41a、42aの稼動を停止させたことに基づいて、冷却運転が終了したと判断するように構成されている。そして、給水制御部63は、冷却運転が終了したと判断された場合に、給水部51を制御して、第1除去動作を開始させる。すなわち、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、冷却運転が終了したことに基づいて、不織布32に所定期間連続して水を供給することによって、第1除去動作が行なわれるように構成されている。
また、給水制御部63は、給水部51による水の供給量を調整可能に構成されている。すなわち、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、第1除去動作を行うための水の供給量は、効率的に析出物または異物の除去を行うため、冷却運転時の供給量よりも多くなるように構成されている。これにより、冷却運転時は少量の水を供給し、第1除去動作が行われる時だけ相対的に多い量の水を供給することができる。
また、給水制御部63は、給水部51による水の供給時間を調整可能に構成されている。給水制御部63は、析出物または異物の除去が行なわれるのに必要な総供給量となるように、水の供給量と給水時間とを合わせて調整するように制御する。
なお、析出物または異物の除去を効率的に行うために、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、給水制御部63による水の供給量および供給時間の調整は、排水部52における水に含まれる不純物(ミネラル分、スケール)の濃度に基づいて行なわれるように構成されている。
具体的には、図3に示すように、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、排水部52には、排水部52における水に含まれる不純物(ミネラル分、スケール)の濃度を計測することが可能なスケール濃度計52aが設けられている。スケール濃度計52aは、たとえば、電気伝導度センサを含む。これにより、第1除去動作が行われる際に、スケール濃度計52aで計測された不純物の濃度に基づいて、析出物または異物を除去するための水の供給量および供給時間の調整を行うことができる。
たとえば、第1除去動作が行われることにより、スケール濃度計52aの計測値が徐々に低下する。そして、析出物または異物が十分に除去された場合には、スケール濃度計52aの計測値は収束する。すなわち、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100では、第1除去動作の終了のタイミングを、排水部52に設けたスケール濃度計52aの計測値に基づいて判断することができる。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、制御部60を、給水部51による水の供給により水の気化に起因して不織布32に析出した析出物または異物を除去する第1除去動作を行うように構成する。これにより、ウエット流路22から析出物および異物を除去することができるので、析出物および異物に起因してウエット流路22内の保水性能および気化性能が低下することにより冷却性能が低下するのを抑制することができる。また、ウエット流路22には水を含ませておくための不織布32が設けられているため、ウエット流路22内において気化現象を効果的に生じさせることができる。
また、第1実施形態では、制御部60を、給水部51から供給される水の供給タイミング、供給量および供給時間を調節して第1除去動作を行うように構成する。このように構成すれば、水の供給タイミング、供給量または供給時間を適宜調節することにより、ウエット流路22から析出物および異物を容易に除去することができる。
また、第1実施形態では、制御部60を、冷却運転が終了したことに基づいて、給水部51による不織布32への水の供給による第1除去動作を所定時間行うように構成する。これにより、冷却運転中に不織布32に析出した析出物または不織布32に混入した異物を速やかに除去することができる。その結果、次回の冷却運転開始時に、不織布32に析出物または異物が存在するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、制御部60を、第1除去動作時の水の供給量を、冷却運転時の供給量よりも増加させるように構成する。これにより、不織布32に析出した析出物を容易に水に溶解させるとともに、不織布32に混入した異物を容易に水で洗い流すことができる。その結果、不織布32に析出した析出物または不織布32に混入した異物を効率的に除去することができる。
[第2実施形態]
図3を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、冷却運転の開始前に第1除去動作を行うように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
本発明の第2実施形態による間接気化式空気冷却機200では、図3に示すように、制御部260は、第1実施形態による間接気化式空気冷却機100の給水制御部63に代えて、給水制御部263を備えている。
給水制御部263は、第1実施形態による間接気化式空気冷却機100の給水制御部63と同様に、析出物または異物を除去する(第1除去動作を行う)ように、給水部51による析出物または異物の除去のための水の供給タイミング、供給量および供給時間を制御するように構成されている。
一方、間接気化式空気冷却機200は、第1実施形態の間接気化式空気冷却機100とは異なり、第1除去動作を行うための給水タイミングを、冷却運転開始前とするように構成されている。
具体的には、制御部260は、温湿度計80で計測した外気温度に基づいて、冷却運転が開始されることを判断するように構成されている。そして、給水制御部263は、冷却運転が開始されると判断された場合に、冷却運転が開始される前に第1除去動作が終了するように、給水部51を制御して、第1除去動作を開始させる。すなわち、第2実施形態の間接気化式空気冷却機200では、冷却運転を開始する前に不織布32に所定期間連続して水を供給することによって、第1除去動作が行われるように構成されている。
なお、第2実施形態による間接気化式空気冷却機200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、制御部260を、冷却運転を開始する前に、給水部51による不織布32への水の供給による第1除去動作を所定時間行うように構成する。これにより、前回の冷却運転中または冷却運転停止中に不織布32に析出した析出物または不織布32に混入した異物を除去することができる。その結果、冷却運転開始時に、不織布32に析出物または異物が存在するのを抑制することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
図3を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、冷却運転の通算運転時間があらかじめ設定された設定値に達した場合に第1除去動作を行うように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1および第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
本発明の第3実施形態による間接気化式空気冷却機300では、図3に示すように、制御部360は、第1実施形態による間接気化式空気冷却機100の給水制御部63および第2実施形態による間接気化式空気冷却機200の給水制御部263に代えて、給水制御部363を備えている。
給水制御部363は、第1実施形態の給水制御部63および第2実施形態の給水制御部263と同様に、析出物または異物を除去する(第1除去動作を行う)ように、給水部51による析出物または異物の除去のための水の供給タイミング、供給量および供給時間を制御するように構成されている。
一方、給水制御部363は、第1実施形態の給水制御部63および第2実施形態の給水制御部263と異なり、第1除去動作を行うための給水タイミングを、冷却運転の通算運転時間があらかじめ設定された設定値に達した場合とするように構成されている。
具体的には、制御部360は、運転時間計測部62によって計測され記憶部70に記憶されている通算運転時間が、予め設定された設定値(しきい値)に達したかどうかを判断する。そして、給水制御部363は、通算運転時間が設定値に達したと判断された場合に、給水部51を制御して、第1除去動作を開始させる。すなわち、第3実施形態の間接気化式空気冷却機300では、冷却運転の通算時間が、設定されたしきい値に達したことに基づいて、不織布32に所定期間連続的に水を供給することによって、第1除去動作が行われるように構成されている。
なお、通算運転時間が設定値に達した時点で冷却運転停止中である場合には、制御部360は、直ちに第1除去動作を行うように、給水制御部363により給水部51を制御するように構成されている。
一方、通算運転時間が設定値に達した時点で冷却運転中である場合には、制御部360は、駆動制御部61を制御して、モータファン41a、42aの駆動を停止させる。そして、制御部360は、給気用空気取込口41および排気用空気取込口42からの空気F1a、F2aの取り込みが停止している状態で、給水制御部363により給水部51を制御して、第1除去動作を行うように構成されている。
なお、第3実施形態による間接気化式空気冷却機300のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、制御部360を、冷却運転の通算時間が、設定されたしきい値に達したことに基づいて、給水部51による不織布32への水の供給による第1除去動作を所定時間行うように構成する。これにより、不織布32に析出する析出物および不織布32に混入する異物を、冷却運転の通算時間に応じて定期的に除去することができる。その結果、不織布32に析出される析出物および不織布32に混入する異物を、冷却性能が著しく低下する量に達する前に適宜除去することができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
[第4実施形態]
図4~図7を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1~第3実施形態の第1除去動作に代えて、第2除去動作を行うように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1~第3実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
本発明の第4実施形態による間接気化式空気冷却機400は、図4に示すように、第1~第3実施形態による間接気化式空気冷却機100、200、300の給水部51および排水部52に代えて、給水部451、排水部452および貯水部53を備えている。
給水部451は、電磁弁451bと、給水ポンプ451cと、を備えている。電磁弁451bは、上水道(図示しない)などの水供給部と貯水部53との間に設けられている。第4実施形態の間接気化式空気冷却機400では、電磁弁451bを開状態とすることにより、上水道(図示しない)などの水供給部から貯水部53に水(水道水)を供給するように構成されている。給水ポンプ451cは、貯水部53とウエット流路22との間に設けられている。第4実施形態の間接気化式空気冷却機400では、給水ポンプ451cを用いて、貯水部53に貯留された水(貯留水)をウエット流路22に供給するように構成されている。
排水部452は、ウエット流路22において不織布32(図2参照)に保水された水のうち、気化しなかった部分が排水として貯水部53に排出されるように構成されている。また、排水部452は、電磁弁452bを備えている。電磁弁452bは、下水道(図示しない)などに接続される貯水部53の下流側に設けられている。間接気化式空気冷却機400では、電磁弁452bを開状態とすることにより、貯水部53に貯水された水(貯留水)が排水として貯水部53から下水道などに排出されるように構成されている。
第4実施形態の間接気化式空気冷却機400では、貯水部53は、ウエット流路22に供給する水、および、ウエット流路22において気化されずにウエット流路22から排出された水(排水)を貯留するように構成されている。具体的には、電磁弁451bを開状態とすることにより、貯水部53に、上水道(図示しない)などの水供給部から水(水道水)が供給される。貯水部53の内部に設けられたフロートスイッチ(図示しない)により、貯水部53が略満水になったことに基づいて、電磁弁451bを閉状態にして、上水道(図示しない)などの水供給部からの水(水道水)の供給を停止する。貯水部53に供給された水(水道水)は、貯水部53において、貯留水として貯留される。そして、冷却運転が開始され、貯水部53に貯留された水(貯留水)の一部は、ウエット流路22に供給される。ウエット流路22に供給された水(貯留水)のうちウエット流路22で気化しなかった部分が貯水部53に排水として排出される。そして、冷却運転中、貯水部53からウエット流路22への水(貯留水)の供給と、ウエット流路22からの水(排水)の排出が繰り返される。
図5に示すように、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400は、第1~第3実施形態の制御部60、260、360に代えて、制御部460を備えている。制御部460は、給水制御部462と、排水制御部64と、を備えている。
給水制御部462は、電磁弁451bの開閉を制御することによって、上水道(図示しない)などの水供給部から貯水部53への水(水道水)の供給を制御することが可能に構成されている。また、給水制御部462は、給水ポンプ451cを制御することによって、貯水部53に貯留された水(貯留水)のウエット流路22(図4参照)への供給を制御することが可能に構成されている。
排水制御部64は、電磁弁452bの開閉を制御することによって、貯水部53に貯留された水(貯留水)の下水道(図示しない)などへの排出を制御することが可能に構成されている。
以上の構成により、図4に示すように、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400では、貯水部53により、ウエット流路22から排出された水(排水)をウエット流路22に供給する水として再利用(循環利用)するように構成されている。
ここで、ウエット流路22に供給された水(貯留水)は、水分の一部が気化されることにより、ウエット流路22に供給される前と比較して水分量が減少した状態で、ウエット流路22から排出される。すなわち、ウエット流路22に供給された水(貯留水)は、水に含まれる不純物(ミネラル分、スケール)の濃度が高くなった状態で、ウエット流路22から排出される。このため、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400のように水(貯留水)を循環利用する場合、貯水部53に貯留された水(貯留水)に含まれ、ウエット流路22の不織布32(図2参照)において析出物となる不純物の濃度が徐々に上昇する。
そこで、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400(図5参照)では、制御部460(図5参照)は、ウエット流路22に供給される水(貯留水)に含まれる析出物となる不純物(ミネラル分、スケール)を除去する第2除去動作を行うように構成されている。詳細には、制御部460は、不純物の濃度が高くなった水(貯留水)を貯水部53から排出することにより、析出物となる不純物を除去する(第2除去動作を行う)ように構成されている。
具体的には、貯水部53には、不純物(ミネラル分、スケール)の濃度を計測するためのスケール濃度計53aが設けられている。スケール濃度計53aは、たとえば、電気伝導度センサを含む。スケール濃度計53aは、貯水部53に貯留された水(貯留水)の不純物濃度を計測することが可能に構成されている。
図6に示すように、水中の不純物(ミネラル分、スケール)の濃度が、水への溶解度(不純物濃度D)を越えた場合、不純物が析出物として析出する。不純物の濃度が、水への溶解度(不純物濃度D)より低い場合は、不純物は析出しない。不純物の濃度が、水への溶解度(不純物濃度D)より高い場合は、不純物が析出物として析出する速度は、不純物濃度に比例して大きくなる。
図7に示すように、スケール濃度計53aにより計測された貯水部53に貯留された水(貯留水)の不純物濃度に基づいて、第2除去動作を行う。すなわち、制御部460(図5参照)は、スケール濃度計53a(図5参照)で計測された不純物の濃度が、水への溶解度(不純物濃度D)よりも低い設定値(不純物濃度C)に達した場合に、冷却運転を停止させる。また、図5に示すように、制御部460は、排水制御部64により電磁弁452bを閉状態にして、貯水部53に貯留された水(貯留水)を排水する。また、制御部460は、給水制御部462により電磁弁451bを制御して、貯水部53への水(水道水)を供給する。これにより、図7に示すように、貯水部53(図5参照)に貯留された水(貯留水)の不純物の濃度が、上水道などの水供給部から供給される水(水道水)の不純物の濃度(不純物濃度A)まで低下する。
制御部460(図5参照)は、貯水部53(図5参照)に貯留された水(貯留水)の不純物の濃度が、不純物濃度Aまで低下すると、再び、冷却運転を再開させる。すなわち、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400(図5参照)では、冷却運転と、貯水部53(図5参照)の水(貯留水)の排水および貯水部53(図5参照)への水(水道水)の供給とが交互に繰り返される。この場合、貯水部53(図5参照)の水(貯留水)に含まれる不純物の濃度は、冷却運転時における、不純物濃度Aから不純物濃度Cまでの上昇と、冷却運転停止中における、不純物濃度Cから不純物濃度Aまでの低下が繰り返される。なお、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400(図5参照)では、冷却運転を停止させる条件である不純物の濃度(不純物濃度C)を、水への溶解度(不純物濃度D)よりも低く設定しているため、ウエット流路22(図4参照)において、不純物が析出されるのを確実に抑制することが可能である。
また、図5に示すように、第4実施形態の間接気化式空気冷却機400では、冷却機の周囲の熱負荷に応じて、ウエット流路22(図4参照)への給水量を調整するように構成されている。具体的には、制御部460は、温湿度計80で取得した温度に基づく飽和水蒸気圧および湿度に基づいて、給水ポンプ451cによるウエット流路22(図4参照)への水(貯留水)の供給量を、気化現象に必要最小限の量となるように調整する。
なお、第4実施形態による間接気化式空気冷却機400のその他の構成は、上記第1~第3実施形態と同様である。
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記のように、制御部460を、ウエット流路22に供給される水に含まれる析出物となる不純物を除去する第2除去動作を行うように構成する。これにより、ウエット流路22に析出物が析出されるのを抑制することができるので、析出物に起因してウエット流路22内の保水性能および気化性能が低下することにより冷却性能が低下するのを抑制することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、間接気化式空気冷却機400は、ウエット流路22に供給する水、および、ウエット流路22において気化されずにウエット流路22から排出された水を貯留する貯水部53を備え、制御部460を、不純物の濃度が高くなった水を貯水部53から排出することにより、第2除去動作を行うように構成する。これにより、貯水部53に貯留され不純物の濃度が高くなった水を排出することにより、ウエット流路22に供給される水は析出物となる不純物の量が減少しているので、保水部材に析出物が析出されるのを抑制することができる。また、貯水部53により、ウエット流路22から排出された水をウエット流路22に供給する水として再利用することができるので、ウエット流路22から排出された水を再利用しない場合と比較して、給水部451による水の供給量が大きくなるのを抑制することができる。
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1~第3実施形態と同様である。
[第5実施形態]
図5および図8を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、冷却運転を停止させて第2除去動作を行うように構成した第4実施形態の間接気化式空気冷却機400に代えて、冷却運転を停止させずに第2除去動作を行うように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第4実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
本発明の第5実施形態による間接気化式空気冷却機500(図5参照)では、図8に示すように、冷却運転を停止させずに、ウエット流路22(図4参照)に供給される水(貯留水)に含まれる析出物となる不純物(ミネラル分、スケール)を除去する第2除去動作を行うように構成されている。
具体的には、制御部560(図5参照)は、スケール濃度計53a(図5参照)で計測された不純物の濃度が、水への溶解度(不純物濃度D)よりも低い設定値(不純物濃度C)に達した場合に、冷却運転を継続したまま、排水制御部564(図5参照)により電磁弁452b(図5参照)を閉状態にして、貯水部53(図5参照)に貯留された水(貯留水)を排水する。また、図5に示すように、制御部560は、給水制御部562により電磁弁451bを制御して、貯水部53へ水(水道水)を供給する。
図8に示すように、制御部560(図5参照)は、貯水部53(図5参照)に貯留された水(貯留水)の不純物の濃度が、不純物濃度Aと不純物濃度Cとの間の不純物濃度Bまで低下すると、貯水部53(図5参照)に貯留された水(貯留水)の排水と、貯水部53(図5参照)への水(水道水)の供給を停止する。そして、時間の経過に伴って、再び、貯水部53(図5参照)に貯留された水(貯留水)の不純物の濃度が、不純物濃度Cまで上昇する。すなわち、第5実施形態の間接気化式空気冷却機500(図5参照)では、冷却運転が継続されたまま、貯水部53(図5参照)の水(貯留水)の排水および貯水部53(図5参照)への水(水道水)の供給が間歇的に繰り返される。この場合、貯水部53(図5参照)の水(貯留水)に含まれる不純物の濃度は、冷却運転を開始すると、不純物濃度Aから不純物濃度Cまで上昇し、その後、不純物濃度Cから不純物濃度Bまでの低下および不純物濃度Bから不純物濃度Cへの上昇が繰り返される。
なお、第5実施形態による間接気化式空気冷却機500のその他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、上記のように、間接気化式空気冷却機500を、冷却運転を停止させずに、ウエット流路22に供給される水(貯留水)に含まれる析出物となる不純物(ミネラル分、スケール)を除去する第2除去動作を行うように構成する。これにより、冷却運転を継続させたまま第2除去動作を行うことができるので、冷却空気の供給先(室内)への冷却が停止されることなく、ウエット流路22に析出物が析出されるのを抑制することができる。
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1~第3実施形態では、冷却運転の開始および終了のタイミングは、温湿度計80で計測した外気温度に基づいて判断されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷却運転の開始および終了のタイミングは、カレンダーに基づいて判断されるように構成してもよい。この場合、たとえば、カレンダーおよび気温データを、記憶部70に記憶しておくか、または、ネットワークを介して外部から取得するように間接気化式空気冷却機100、200、300を構成し、制御部60、260、360が現在の年月日をカレンダーと比較して、気温データに基づく外気温度を推定し、推定した外気温度に基づいて冷却運転の開始および終了のタイミングを判断するように構成すればよい。
また、上記第1~第3実施形態では、第1除去動作を行う際の給水部51による水の供給量を、冷却運転時の供給量よりも多くすることにより効率的に析出物または異物の除去を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1除去動作が行われる際に不純物(ミネラル分、スケール)の除去を促進させるスケール除去剤をウエット流路22に供給される水に混入させることにより効率的に析出物または異物の除去を行うように構成してもよい。この場合、図9に示す上記第1~第3実施形態の変形例のように、スケール除去剤が貯蔵された貯蔵タンク91と、その下流に設けられたポンプ92および電磁弁93とを設け、制御部60(給水制御部63)により、第1除去動作が行われる際に、電磁弁93を開状態にしてポンプ92を駆動させることで、給水部51を流れる水にスケール除去剤を混入させることが可能である。また、効率的に析出物または異物の除去を行うために、給水部51による水の供給量を冷却運転時の供給量よりも多くするとともに、給水部51の水にスケール除去剤を混入させるようにしてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、給水制御部63、263、363による水の供給量および供給時間の調整は、排水部52を流れる水に含まれる不純物(ミネラル分、スケール)の濃度に基づいて行なわれるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排水部52の代わりに給水部51にスケール濃度計を設け、供給される水に含まれるスケールの濃度に基づいて、給水部51による水の供給量および供給時間を調整するようにしてもよい。また、給水部51および排水部52におけるスケールの濃度の両方に基づいて、給水部51による水の供給量および供給時間を調整するようにしてもよい。
また、本発明では、温湿度計80により計測された間接気化式空気冷却機100、200、300の周囲の温度および湿度に基づいて、給水部51による水の供給量および供給時間を調整するように構成してもよい。また、記憶部70に、あらかじめ入力された年月日の情報(カレンダー)、地域毎の水の成分情報、除去動作に必要とされる水の供給時間および供給量などを関連付けた情報(テーブル)を記憶することができるように構成し、それらの情報のいずれかまたは幾つかに基づいて、給水部51による水の供給量および供給時間を調整するように構成してもよい。
また、上記第3実施形態では、通算運転時間が設定値に達した時点で冷却運転中である場合には、制御部360は、駆動制御部61を制御して、モータファン41a、42aの駆動を停止させるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、給気用空気取込口41および排気用空気取込口42の近傍にダンパ等を設けて空気F1a、F2aが給気用流路10、排気用流路20に取り込まれないように構成してもよい。
また、上記第3実施形態では、通算運転時間が設定値に達した時点で冷却運転中である場合には、制御部360は、駆動制御部61を制御して、モータファン41a、42aの駆動を停止させた状態で第1除去動作を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通算運転時間が設定値に達した時点で冷却運転中である場合でも、冷却運転を停止させずに第1除去動作を行うようにしてもよい。この場合、給水部51による水の供給量を冷却運転により気化される量よりも多くなるように供給することが好ましい。なお、第1除去動作が終了したら、通常の冷却運転が自動的に再開されて、供給される水の量が元に戻される(減少される)のが好ましい。
また、上記第1~第3実施形態では、給水部51による水の供給タイミングを、それぞれ、冷却運転終了後、冷却運転開始前、または、冷却運転の通算運転時間があらかじめ設定された設定値に達した場合のいずれかとするように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、給水部51による水の供給タイミングを、スケール濃度計52aの計測値などに応じて、冷却運転終了後、冷却運転開始前、または、冷却運転の通算運転時間があらかじめ設定された設定値に達した場合のいずれかから適宜選択可能に構成してもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、給水部51による水の供給による第1除去動作を所定時間(連続的に)行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、給水部51による水の供給による第1除去動作を間歇的に行うように構成してもよい。この場合、一度に供給される水の量は、連続的に供給される場合と比較して多くなるように構成するのが好ましい。
また、上記第4および第5実施形態では、不純物の濃度が水への溶解度(不純物濃度D)よりも低い設定値(不純物濃度C)に達した場合に、不純物の濃度が高くなった水(貯留水)を貯水部53から排出することにより、析出物となる不純物を除去する(第2除去動作を行う)ように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、貯水部53に貯留された水(貯留水)における不純物濃度の変化を時間に置き換えることにより、間接気化式空気冷却機400、500の運転時間に基づいて、第2除去動作を行うように構成してもよい。この場合、貯水部53に貯留された水(貯留水)の不純物濃度を計測するスケール濃度計53aが不要となる。
なお、貯水部53に貯留された水(貯留水)における不純物濃度の変化を時間に置き換える場合、水(水道水)の成分情報を入力可能な入力部を設け、入力された水(水道水)の成分情報と水の循環量(給水ポンプ451cによるウエット流路22への水(貯留水)の供給量)とを関連付けた情報(テーブル)として記憶部70に記憶されるように構成してもよい。また、地域毎の水(水道水)の成分情報をあらかじめ記憶部70に記憶させておき、入力部に入力された地域名または住所に基づいて、水(水道水)の成分情報と水の循環量とを関連付けた情報(テーブル)として記憶部70に記憶されるように構成してもよい。
また、上記第4および第5実施形態では、不純物の濃度が水への溶解度(不純物濃度D)よりも低い設定値(不純物濃度C)に達した場合に、不純物の濃度が高くなった水(貯留水)を貯水部53から排出することにより、析出物となる不純物を除去する(第2除去動作を行う)ように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水(水道水、貯留水、排水など)の温度、空気(コア30の内部、周囲など)の温度、湿度、気圧、不純物の拡散係数のうちの1つまたは複数に基づいて、第2除去動作を行うように構成してもよい。
また、上記第4および第5実施形態では、上水道(図示しない)などの水供給部から供給される水(水道水)を、貯留水として貯水部53に貯留した後、ウエット流路22に供給されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図10の上記第4および第5実施形態の変形例による間接気化式空気冷却機600に示すように、上水道(図示しない)などの水供給部から供給される水(水道水)を、貯水部53に貯留せずに、ウエット流路22に直接供給するようにしてもよい。
上記第4および第5実施形態の変形例による間接気化式空気冷却機600では、上記第4および第5実施形態の給水部451に代えて、給水部651を備えている。給水部651は、逆止弁51dを備えている。間接気化式空気冷却機600では、電磁弁451bを開状態とすることにより、上水道(図示しない)などの水供給部から水(水道水)がウエット流路22に供給され、ウエット流路22から排出された水(排水)が、貯水部53に貯留される。同時に、冷却運転が開始される。そして、給水ポンプ451cを用いて、貯水部53に貯留された水(貯留水)をウエット流路22に供給させ、ウエット流路22から排出された水(排水)が貯水部53に貯留される。そして、貯水部53からウエット流路22への水(貯留水)の供給と、ウエット流路22からの水(排水)の排出が繰り返される。なお、電磁弁451bは、貯水部53の内部に設けられたフロートスイッチ(図示しない)により、貯水部53が略満水になったことに基づいて、閉状態にされる。また、間接気化式空気冷却機600では、給水ポンプ451cのウエット流路22の側に設けられた逆止弁51dにより、水供給部から供給される水(水道水)が給水ポンプ451cの側に流れるのを抑制するように構成されている。
また、上記第1~第5実施形態では、ドライ流路12を、室外から取り込んだ空気F1aを冷却し、冷却された空気F1bを室内に供給するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ドライ流路12を、室内から取り込んだ空気を冷却し、冷却された空気を室内に供給するように構成してもよい。この場合、冷却された空気は、空気が取り込まれた箇所とは異なる箇所に供給される。