JP3631856B2 - 透明膜の検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透明膜の検査方法に係り、特に基板上形成された透明膜を有するカラーフィルタ等において透明膜の厚みムラを高い精度で簡便に検出することが可能な透明膜の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フラットディスプレイとして、モノクロあるいはカラーの液晶ディスプレイ(LCD)が使用されている。カラーの液晶ディスプレイには、3原色の制御を行うためにアクティブマトリックス方式および単純マトリックス方式とがあり、いずれの方式においてもカラーフィルタが用いられている。そして、液晶ディスプレイは、構成画素部を3原色(R,G,B)とし、液晶の電気的スイッチングにより3原色の各光の透過を制御してカラー表示が行われる。
【0003】
このカラーフィルタは、例えば、透明基板上にR,G,Bの各着色パターンからなる着色層、各画素の境界部分に位置するブラックマトリックス、保護層および透明電極層からなるカラーフィルタ層を備えている。このようなカラーフィルタは、欠陥が存在する不良品を出荷しないようにするため、全数検査することが要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなカラーフィルタの欠陥の有無の検査は、従来、目視で行われていたが、最近では自動検査装置が種々開発されている。このような自動検査装置としては、例えば、カラーフィルタの上面から光を照射し、その反射光を光検出器にて受光して欠陥を検出するもの、カラーフィルタの下面から光を照射し、その透過光を光検出器にて受光して欠陥を検出するもの等がある。
【0005】
しかしながら、従来の自動検査装置が用いる検査方法では、保護膜やレジスト膜といった透明膜の厚みムラの検出は、光学的特性から困難であった。すなわち、カラーフィルタの製造工程において微小な異物が付着した場合、この異物上に形成された透明膜は突起形状を示し、このような突起形状の欠陥は上記の検査方法により検出可能であるが、透明膜のうねりのような微妙な厚みムラの検出は不可能であった。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、透明膜の厚みムラ検査を高い信頼性で行うことができる検査方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、透明膜に単色光光源から所定の入射角度で検査光としての単色光を照射し、透明膜表面において反射された反射光R1および透明膜の裏面側界面で反射された反射光R2の干渉光を光検出器で検出し、所定量以上の光強度変化を生じさせた透明膜の領域を検出するものとし、前記透明膜の平均膜厚が1.0μm未満の場合には、検査光の入射角度を60°として反射角度が45°の反射光R1および反射角度が45°の反射光R2を検出する位置に前記光検出器を設定し、前記透明膜の平均膜厚が1.0μm以上の場合には、検査光の入射角度を45°として反射角度が45°の反射光R1および反射角度が45°の反射光R2を検出する位置に前記光検出器を設定し、前記光検出器の入力と同期させて被検査体を搬送するような構成とした。
【0008】
また、本発明の透明膜の検査方法は、前記単色光光源をナトリウムランプとする構成とした。
【0010】
上記のような本発明では、透明膜に所定の入射角度で照射された検査光が、透明膜表面において反射された反射光R および透明膜の裏面が接触している界面で反射された反射光R の両者として反射され、検査光が単色光であることより、この反射光R と反射光R には、その光路差による位相のズレから干渉が発生し、透明膜の厚みに応じて上記干渉の程度が変化するので、反射光の強度分布を求めることによって、透明膜の厚みムラのある箇所を、所定量以上の光強度変化を生じている透明膜の領域として検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の最良の実施形態について説明する。
【0012】
本発明の透明膜の検査方法は、単色光を検査光として使用し、基板上に形成された透明膜の表面で反射された反射光と透明膜の裏面側界面(透明膜と接触している支持物体面)上で反射された反射光との間に生じる干渉を利用して、透明膜のうねりのような厚みムラの検出を可能とするものである。
【0013】
図1は本発明の透明膜の検査方法を使用するカラーフィルタの検査装置の一例を説明するための概略構成図である。図1に示される検査装置1は、透明膜が形成された被検査体10を搬送するための搬送部2、この搬送部2上を搬送される被検査体10に検査光である単色光を所定の入射角度θ で照射するための単色光光源3、被検査体10で反射された反射光のうち反射角度θ で反射された光を検出するための光検出器4、この光検出器4からの画像信号を電気的に処理して透明膜のムラを検出する検査処理部5、および、検査処理部5で処理された画像を表示するための画像表示部6とを備えている。
【0014】
搬送部2は被検査体10を一定の速度で搬送するためのものであり、図示例のようなコロ搬送装置の他にステージ搬送装置等とすることができ、被検査体10の製造ラインおよび検査ライン等を考慮して適宜選択することができる。また、被検査体10に搬送ムラの影響が及ぶことを防止するために、搬送部2にエンコーダを取り付け、光検出器4の入力と同期をとるようにしてもよい。このような搬送部2による被検査体10の搬送速度は、例えば、1.0〜6.0m/分程度の範囲で設定することができる。
【0015】
単色光光源3は、所定の入射角度θ で被検査体10に検査光である単色光を照射するためのものであり、例えば、ナトリウムランプ(589nm)、レーザー光透過型高圧水銀ランプ、気体放電光を光学フィルターで単波長化したもの等を使用することができる。また、光検査器4は、被検査体10で反射された反射光を検出するためのものであり、例えば、CCDラインセンサ、CCDエリアセンサ等を使用することができる。
【0016】
本発明の透明膜の検査方法では、単色光光源3から被検査体10の透明膜Fに照射する単色光の入射角度θ を30〜70°の範囲とし、反射角度θ 20〜60°の範囲で反射する反射光R と反射光R を検出する位置に光検出器4を設定することが好ましい。入射角度θ および反射角度θ が上記の範囲からはずれると、欠陥の検出に必要とされる光干渉による光強度の変化が得られないため好ましくない。特に、透明膜の平均膜厚が1.0μm未満の場合、入射角度θ を60°、反射角度θ を45°とすることが好ましい。また、透明膜の平均膜厚が1.0μm以上の場合、入射角度θ を45°、反射角度θ を45°とすることが好ましい。
【0017】
本発明の透明膜の検査方法は、上述のように、被検査体で反射された反射光の干渉を利用するものであり、図2はこれを説明するための図である。いま、被検査体10である基板S上に形成された透明膜Fの厚みがtである場合(図2(A))、被検査体10に照射された検査光は、透明膜Fの表面で反射された反射光R と、透明膜の裏面側界面で反射された反射光R (すなわち、支持体である透明膜Fを透過して基板Sの表面で反射され再度透明膜Fを透過した反射光R )とになる。このため、反射光R と反射光R には光路差dが生じ、検査光が単色光であることから、反射光R と反射光R には位相のズレから干渉が発生する。一方、被検査体10である基板S上に形成された透明膜Fの厚みがT(T>t)である場合(図2(B))、上記と同様に反射光R と反射光R には光路差Dが生じ、位相のズレから反射光R と反射光R との間に干渉が発生する。そして、ある反射角度θ で反射された反射光R と反射光R との間に生じる干渉は、光路差による位相のズレの程度、したがって、透明膜Fの厚みに応じて変化し、干渉の変化は光検査器4が受光する反射光の強度の変化として検出することができる。
【0018】
そこで、本発明は、光検出器4からの画像信号を検査処理部5で電気的に処理して反射光の強度分布を求め、透明膜Fの厚みムラのある箇所を、所定量以上の光強度変化を生じている透明膜の領域として検出するものである。図3および図4は、検査処理部5において行われる光検出器4からの画像信号の処理方法を説明する図である。図3および図4において、まず、光検査器4は反射光R と反射光R の干渉光に基づいた原画像の画像信号を取り込み(図3(S ))、次いで、検査処理部5において原画像の画像信号を演算処理することにより処理画像を作成する(図3(S )および図4(A))。図4(A)に示される処理画像では、斜め方向(図の左上から右下への斜め方向)に反射された反射光のうち強度の高い領域が認められる。検査処理部5としては、微分処理、コンボリージョン、統計処理等のモジュールを備えた公知の演算処理装置を使用することができる。
【0019】
次に、検査処理部5では、処理画像のX軸方向の光強度の水平分布を処理画像濃度断面図として算出し、この操作を処理画像のY軸方向に亘って行うことによって、処理画像の全域における光強度分布データを得る(図3(S )および図4(B))。図4(B)には、図4(A)のa−a線でのX軸方向の光強度の水平分布が示されている。次いで、この光強度分布データから、所定の閾値よりも高い光強度を示す透明膜Fの領域を2値化画像として算出し(図3(S ))、同時に、検査処理部5で処理された2値化画像を画像表示部6に表示する(図4(C))。このように、所定の閾値よりも高い光強度を示す領域は、反射光R と反射光R との間に位相のズレにより干渉縞が生じ、光強度変化が著しい領域であり、したがって、他の領域よりも透明膜Fの厚みが変化している領域として検出される。
【0020】
上述のように、本発明の透明膜の検査方法は、検査光として単色光を使用すること、透明膜の表面で反射された反射光と基板上で反射された反射光との間に生じる干渉を利用すること、によって透明膜のうねりのような厚みムラの検出が可能である。
【0021】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
コーニング(株)製7059ガラス(360mm×465mm、厚み0,7mm)にブラックマトリックス用の感光性レジスト(東京応化工業(株)製OFPR)をスピンコート法により塗布し、その後、90℃で2分間乾燥させて膜厚約0.9μmの感光性レジスト膜を形成した。この感光性レジスト膜には、塗布直前に感光性レジストを滴下することによりスジムラを形成し、また、塗布直後に感光性レジストを滴下することによりシミを形成した。
【0022】
次に、このガラス基板を図1に示されるような検査装置の搬送部によって感光性レジスト膜を上にした状態で搬送し、下記の条件で感光性レジスト膜の厚みムラの検査を行い、その結果を下記の表1に示した。
【0023】
検査条件
・単色光光源:ナトリウムランプ(放射の98%が589nm)
(PHILIPS(株)製SOX)
・光検出器:CCDラインセンサ
(NED(株)製FH1024B)
・ガラス基板搬送速度:2.4m/分
・検査光入射角度θ :60°
・検査光反射角度θ :45°(光検出器設置角度)
一方、比較検査方法1として、単色光光源のナトリウムランプから単色光を基板の裏面に垂直(検査光入射角度θ =0°)に照射し、感光性レジスト膜側に垂直(出射角度θ =0°)に反射した反射光を光検出器としてのCCDラインセンサにより受光するようにした他は、上記と同様の条件で感光性レジスト膜の厚みムラの検査を行い、その結果を下記の表1に示した。
【0024】
さらに、比較検査方法2として、単色光光源のナトリウムランプの代わりに、光源として高周波蛍光灯を使用して白色光を照射した他は、上記と同様の条件で感光性レジスト膜の厚みムラの検査を行い、その結果を下記の表1に示した。
【0025】
【表1】
Figure 0003631856
表1に示されるように、本発明の検査方法では、2値化画像においてノイズレベル700に対して膜厚にムラの生じている箇所(スジムラ箇所、シミ箇所)の信号レベルは2800〜3000であり、S/N比は4.0〜4.3と十分に高く、例えば、1400レベルに閾値を設定することにより感光性レジスト膜の厚みムラ(欠陥個所)を高い精度で簡便に検出できることが確認された。尚、本発明の検査方法では、検査光入射角度θ および検査光反射角度θ を上記の設定角度から±10°の範囲で変更しても、感光性レジスト膜の厚みムラを高い精度で検出できた。
【0026】
これに対して、比較の検査方法では、上記の膜厚にムラの生じている箇所(スジムラ箇所、シミ箇所)の検出は不可能であった。
(実施例2)
まず、コーニング(株)製7059ガラス(360mm×465mm、厚み0.7mm)にスピンコート法によりカラーフィルタ層を形成し、その後、このカラーフィルタ層上に保護膜塗布液(日本合成ゴム(株)製JSSシリーズ)をスピンコート法により塗布し、次いで、90℃で2分間乾燥させて膜厚約1.5μmの保護膜を形成した。この保護膜には、塗布直前に微小異物を付着させることにより輝点ムラを形成し、また、塗布直前に保護膜塗布液を滴下することによりスジムラを形成し、さらに、フォトマスクに欠陥個所を作ることによりピンホールを形成した。
【0027】
次に、このガラス基板を図1に示されるような検査装置の搬送部によって保護膜を上にした状態で搬送し、下記の条件で保護膜の厚みムラの検査を行い、その結果を下記の表2に示した。
【0028】
検査条件
・単色光光源:ナトリウムランプ(放射の98%が589nm)
(PHILIPS(株)製SOX)
・光検出器:CCDラインセンサ
(NED(株)製FH1024B)
・ガラス基板搬送速度:2.4m/分
・検査光入射角度θ :45°
・検査光反射角度θ :45°(光検出器設置角度)
一方、比較として、実施例1と同様の比較検査方法1および比較検査方法2により検査を行い、その結果を下記の表2に示した。
【0029】
【表2】
Figure 0003631856
表2に示されるように、本発明の検査方法では、2値化画像において膜厚にムラの生じている箇所(輝点ムラ箇所、スジムラ箇所、ピンホール箇所)に応じたノイズレベルが現れたが、各欠陥箇所は高いS/N比(2.5〜4.3)で検出できることが確認された。尚、本発明の検査方法では、検査光入射角度θ および検査光反射角度θ を上記の設定角度から±10°の範囲で変更しても、感光性レジスト膜の厚みムラを高い精度で検出できた。
【0030】
これに対して、比較の検査方法1は、十分な光干渉縞が得られないため、十分に欠陥を検出することはできなかった。また、比較の検査方法2は、光干渉縞がまったくみとめられず、欠陥の検出は不可能であった。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば単色光光源から透明膜に所定の入射角度で単色光である検査光を照射し、透明膜表面において反射された反射光R および透明膜の裏面側界面(透明膜と接触している支持体面)で反射された反射光R を生じさせ、検査光が単色光であることにより、この反射光R と反射光R には光路差による位相のズレから干渉が発生しており、干渉は透明膜の厚みに応じて変化することを利用して、光検出器からの画像信号を処理して求めた反射光の強度分布から所定量以上の光強度変化を生じている透明膜の領域を検出し、この領域を厚みムラのある箇所とすることができ、これにより、従来は不可能であった透明膜のうねりのような微妙な厚みムラを高い精度で簡便に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明膜の検査方法を使用するカラーフィルタの検査装置の一例を説明するための概略構成図である。
【図2】被検査体で反射された単色光(反射光)の干渉を説明するための図である。
【図3】検査処理部における画像処理方法を説明する図である。
【図4】検査処理部における画像処理方法を説明する図である。
【符号の説明】
1…検査装置
2…搬送部
3…単色光光源
4…光検出器
5…検査処理部
6…画像表示部
10…被検査体
F…透明膜
,R …反射光
S…基板

Claims (2)

  1. 透明膜に単色光光源から所定の入射角度で検査光としての単色光を照射し、透明膜表面において反射された反射光R1および透明膜の裏面側界面で反射された反射光R2の干渉光を光検出器で検出し、所定量以上の光強度変化を生じさせた透明膜の領域を検出するものとし、前記透明膜の平均膜厚が1.0μm未満の場合には、検査光の入射角度を60°として反射角度が45°の反射光R1および反射角度が45°の反射光R2を検出する位置に前記光検出器を設定し、前記透明膜の平均膜厚が1.0μm以上の場合には、検査光の入射角度を45°として反射角度が45°の反射光R1および反射角度が45°の反射光R2を検出する位置に前記光検出器を設定し、前記光検出器の入力と同期させて被検査体を搬送することを特徴とする透明膜の検査方法。
  2. 前記単色光光源はナトリウムランプであることを特徴とする請求項1に記載の透明膜の検査方法。
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