JP3631340B2 - 自動二輪車用ハンドルロック装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルロック機構を備えたメインスイッチをタンクレールの前部上面に設けた自動二輪車用ハンドルロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のハンドルロック装置は、メインスイッチをハンドルロック位置に切替えることによってロックピンが車体の前方へ突出し、メインスイッチの前方に位置付けられたハンドルクラウンのピン穴に嵌入する構造を採っている。メインスイッチとハンドルクラウンとの間には、操舵時にハンドルクラウンがメインスイッチに接触することがないように隙間を形成している。この隙間は、上方に向けて開口し、メインスイッチの下方のタンクレールが露出するように形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上述したように構成したハンドルロック装置では、必ずしも確実に盗難を阻止することができないという問題があった。これは、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間に上下方向に貫通するような隙間が形成されているからである。すなわち、ハンドルロック状態で棒体を前記隙間に差込んで上方から強打することによって、ロックピンを折損させたり、ハンドルクラウンのピン穴形成部分を破損させたりしてハンドルロックを解除することができるからである。
【0004】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、ロックピンが強打されるのを阻止して確実に盗難防止を図ることができる自動二輪車用ハンドルロック装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、ハンドルロック機構を備えたメインスイッチと、このメインスイッチを囲む保護部材とをタンクレールの前部上面に設け、前記ハンドルロック機構のロックピンが係入する穴を、ハンドルクラウンの後部に平面視で半円形の突部の外周面に形成し、この突部の周縁と前記保護部材の前縁とを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたものである。
【0006】
本発明によれば、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間に形成される隙間が上下方向の途中で屈曲するようになるから、ハンドルロック時にロックピンが上方へ露出することがない。
【0007】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、ハンドルクラウンの突部と保護部材とが平面視において重なる部分を、突部の周縁の上部に周方向へ延びる凹部を形成し、この凹部内に保護部材の前縁を上方から臨ませる構造としたものである。
本発明によれば、棒体を前記突部と保護部材の間の隙間に差込んで上方から強打すると、荷重はハンドルクラウンに加えられる。
【0008】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、保護部材をタンクレール側に固定するボルトを燃料タンクによって車体の外方から覆ったものである。
本発明によれば、燃料タンクが邪魔になって前記ボルトを緩めることができなくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置の一実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るハンドルロック装置を備えた自動二輪車の側面図、図2は本発明に係るハンドルロック装置を拡大して示す側面図で、同図は要部を破断して描いてある。図3はハンドルクラウンの平面図、図4は図3におけるIV−IV線断面図、図5は保護部材の平面図、図6は図5におけるVI−VI線断面図である。図7はフロントフォーク用プロテクタの側面図、図8はフロントフォーク用プロテクタの正面図で、同図はフロントフォークを最も縮めた状態で描いてある。図9は図7におけるIX−IX線断面図である。
【0010】
これらの図において、符号1はこの実施の形態によるオフロード用自動二輪車を示す。この自動二輪車1は、クレードル型の車体フレーム2に水冷式2サイクル単気筒エンジン3を搭載し、前輪4を有するフロントフォーク5をヘッドパイプ6に操舵自在に支持させている。また、この自動二輪車1は、前記車体フレーム2にピボット軸7を介してリヤアーム8を揺動自在に支持させ、このリヤアーム8の後端に後輪9を回転自在に支持させている。
【0011】
さらに、この自動二輪車1は、前記ヘッドパイプ6から後下がりに延びる1本のタンクレール10に燃料タンク11を支持させている。この燃料タンク11の後部にシート12の前端部を係合させている。前記燃料タンク11の側部に設けた符号13で示すものは、ラジエータ14に導かれる走行風を増やすための導風パネルである。
【0012】
前記フロントフォーク5は、左右一対の外筒15と内筒16とを有するテレスコピック型のものであり、外筒15を下側に配設して左右の内筒16,16の上端部どうしをハンドルクラウン17およびブリッジ18によって連結し、図示してないステアリング軸を介して前記ヘッドパイプ6に回動自在に支持させている。また、このフロントフォーク5は、前走車や前輪4によって跳ね上げられた小石や泥などが内筒16に衝突するのを阻止するためにプロテクタ19を取付けている。
【0013】
このプロテクタ19は、図7〜図9に示すように、前記内筒16を車体の前方および外方から覆う構造の第1の保護板20と、内筒16を後方および車体の内方から覆う構造の第2の保護板21とから構成し、上端部をフロントフォーク5の前記ブリッジ18にブラケット22を介して固定している。このブラケット22は、上部を2本の固定ボルト23によってブリッジ18に固定し、下部に3本の取付ボルト24によって第1の保護板20を取付けている。この第1の保護板20に連結ボルト25によって第2の保護板21を取付けている。また、このプロテクタ19内には、前輪用油圧式ディスクブレーキ装置26(図1参照)の油圧ホース27を通している。
【0014】
前記第1の保護板20は、図9に示すように、外面側の金属板20aと、この金属板20aの内面に一体的に形成した合成樹脂部20bとから構成している。この合成樹脂部20bは、内面と前記油圧ホース27との接触面積が可及的小さくなるように突条28を一体に形成している。この突条28は、図9に示すように、突出端面を凹曲面としてこの面が前記油圧ホース27の外周面と対向する構造を採り、合成樹脂部20bに上下方向に間隔をおいて複数設けている。
【0015】
このように突条28を設けることによって、フロントフォーク5が伸縮して前記油圧ホース27がプロテクタ19に摺接しても、油圧ホース27が摩耗したり、プロテクタ19が摩耗して外面に達するような穴が形成されてしまうことを防ぐことができる。
また、前記第1の保護板20の下側前部には、図8に示すように、フロントフォーク5が最も縮んだときにブレーキディスク26aが接触するのを防ぐために切欠き29を形成している。なお、このように切欠き29を形成すると、フロントフォーク5が最も伸びたときに切欠き部分を通って小石や泥などが内筒に衝突するおそれがあるので、この実施の形態では図7に示すように、外筒15の上端に副プロテクタ19aを取付けている。
【0016】
前記フロントフォーク5のハンドルクラウン17は、図2〜図4に示すように、操向ハンドル30を取付ける取付座31より車体後側であって車幅方向の中央に、上方から見て半円形になるように後方へ突出する突部32を一体に形成している。この突部32は、上下両面に補強用リブ32a,32bを有する板状に形成するとともに、周縁の上部に周方向へ途切れることなく一連に延びる凹部33を形成している。また、突部32の外周面には、後述するハンドルロック機構のロックピンが嵌入するピン穴34を穿設している。このピン穴34の形成位置は、前記操向ハンドル30およびフロントフォーク5を左側へ回した状態で開口が車体の後方を指向するように設定している。
【0017】
前記ハンドルクラウン17の後方であって前記タンクレール10の前部上面には、この自動二輪車1のメインスイッチ35と、このメインスイッチ35を囲む保護部材36を配設している。メインスイッチ35は、ロックピン37を有するハンドルロック機構38を備えており、キー挿入穴(図示せず)が形成される上端のみを保護部材36から突出させた状態でこの保護部材36と共にタンクレール10に固定している。なお、メインスイッチ35および保護部材36は車幅方向の中央に配設している。
【0018】
前記保護部材36は、図5および図6に示すように、前方および下方に向けて開口する略椀形に形成し、上端にメインスイッチ挿入用丸穴36aを開口させている。また、この保護部材36の上壁の前縁36bは、図5に示すように平面視において後方へ向けて凹む円弧状に形成し、肉厚を下方へ増やすことにより他の部位に較べて厚くして断面L字状に形成している。
【0019】
前記ハンドルロック機構38は、ロックピン37を車幅方向の中央に備え、メインスイッチ35をハンドルロック位置に切替えることによって、ロックピン37が図示位置から前方へ突出する構造を採っている。すなわち、操向ハンドル30を直進方向から左に回して前記ピン穴34の開口が後方を指向する状態でメインスイッチ35をハンドルロック位置に切替えることによって、ロックピン37がピン穴34に嵌入してハンドルロック状態になる。
【0020】
前記メインスイッチ35および保護部材36の固定は、タンクレール10の前部上面にブラケット39を上部が保護部材36内に臨むように突設し、このブラケット39の上部にメインスイッチ35を固定ボルト40で固定するとともに、ブラケット39の下部に保護部材36を固定ボルト41で固定する構造を採っている。保護部材36の固定位置は、図2に示すように、前記前縁36bが前記凹部33の周面に隙間を介して対向するように設定している。
【0021】
このように保護部材36を配設することにより、保護部材36の前縁36bとハンドルクラウン17の突部32の周縁とが平面視において重なり、ハンドルクラウン17とメインスイッチ35との間に形成される隙間が上下方向の途中で屈曲するようになる。この隙間を図2中に符号Gで示す。
【0022】
また、前記ブラケット39のタンクレール10に対する固定位置は、保護部材36をブラケット39に固定する固定ボルト41が燃料タンク11の前部によって車体の外方から覆われるように設定している。
【0023】
上述したように構成したハンドルロック装置によれば、ハンドルクラウン17の突部32の周縁と保護部材36の前縁36bとを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたため、ハンドルクラウン17とメインスイッチ35との間の隙間Gが上下方向の途中で屈曲するようになる。したがって、ハンドルロック時にロックピン37が上方へ露出することがない。
【0024】
このため、前記隙間Gに上方から棒体を差込んで上方から強打したとしても、この棒体がロックピン37に達することがないから、ロックピン37を折損させたり、ハンドルクラウン17におけるピン穴形成部分の周囲を破損させることはできない。
【0025】
また、この実施の形態で示したように、前記突部32の周縁の上部に周方向へ延びる凹部33を形成し、この凹部33内に保護部材36の前縁36bを上方から臨ませる構造を採ると、棒体を前記隙間Gに差込んで上方から強打したときにはハンドルクラウン17に荷重が加えられる。ハンドルクラウン17はフロントフォーク5の上部を構成する部品であるので剛性が高く、前記棒体から衝撃荷重が加えられても破損することがない。
【0026】
さらに、保護部材36をタンクレール10側に固定する固定ボルト41を燃料タンク11によって車体の外方から覆ったため、燃料タンク11が邪魔になって前記固定ボルト11を緩めることができなくなる。したがって、第三者は保護部材36を取外すことができないので、ロックピン37の上方がハンドルクラウン17の突部32と保護部材36とによって覆われる状態を維持することができる。
【0027】
なお、この実施の形態ではハンドルクラウン17の突部32の上方に保護部材36の前縁36bを配設した例を示したが、本発明はこのような構造とすることなく、これらの部材を上下方向に逆に配設する構造を採ることもできる。すなわち、前記突部32の周縁に周方向へ延びる突条を突設し、この突条の下方に保護部材36の前縁を臨ませる構造を採ることもできる。この構造を採ったとしても、前記実施の形態を採るときと同等の効果を奏する。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、ハンドルロック機構を備えたメインスイッチと、このメインスイッチを囲む保護部材とをタンクレールの前部上面に設け、前記ハンドルロック機構のロックピンが係入する穴を、ハンドルクラウンの後部に平面視で半円形の突部の外周面に形成し、この突部の周縁と前記保護部材の前縁とを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたため、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間に形成される隙間が上下方向の途中で屈曲するようになるから、ハンドルロック時にロックピンが上方へ露出することがない。
【0029】
したがって、棒体を前記隙間の開口部分に差込んで上方から強打したとしても、この棒体は前記突部の周縁と保護部材の前縁のうち下側に位置付けられる一方に当接するだけでロックピンに接触することがない。このため、ロックピンを折損させたり、ハンドルクラウンにおけるロックピン用穴形成部分の周囲を破損させることはできないので、盗難を確実に阻止することができる。
【0030】
また、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間の隙間に予期せぬような物を挟み込むようなおそれもない。
【0031】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、ハンドルクラウンの突部と保護部材とが平面視において重なる部分を、突部の周縁の上部に周方向へ延びる凹部を形成し、この凹部内に保護部材の前縁を上方から臨ませる構造としたため、棒体を前記突部と保護部材の間の隙間に差込んで上方から強打すると、荷重はハンドルクラウンに加えられる。
【0032】
ハンドルクラウンはフロントフォークの上部を構成する部品であるので剛性が高く、前記棒体から衝撃荷重が加えられても破損することがない。したがって、より一層確実に盗難を阻止することができる。
【0033】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、保護部材をタンクレール側に固定するボルトを燃料タンクによって車体の外方から覆ったため、燃料タンクが邪魔になって前記ボルトを緩めることができなくなる。
【0034】
したがって、第三者は保護部材を取外すことができないので、ロックピンの上方がハンドルクラウンの突部と保護部材とによって覆われる状態を維持することができるから、盗難を阻止する上で信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハンドルロック装置を備えた自動二輪車の側面図である。
【図2】本発明に係るハンドルロック装置を拡大して示す側面図である。
【図3】ハンドルクラウンの平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】保護部材の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】フロントフォーク用プロテクタ側面図である。
【図8】フロントフォーク用プロテクタの正面図である。
【図9】図7におけるIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
10…タンクレール、11…燃料タンク、13…ハンドルクラウン、32…突部、33…凹部、35…メインスイッチ、36…保護部材、36a…前縁、37…ロックピン、38…ハンドルロック機構、41…固定ボルト。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルロック機構を備えたメインスイッチをタンクレールの前部上面に設けた自動二輪車用ハンドルロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のハンドルロック装置は、メインスイッチをハンドルロック位置に切替えることによってロックピンが車体の前方へ突出し、メインスイッチの前方に位置付けられたハンドルクラウンのピン穴に嵌入する構造を採っている。メインスイッチとハンドルクラウンとの間には、操舵時にハンドルクラウンがメインスイッチに接触することがないように隙間を形成している。この隙間は、上方に向けて開口し、メインスイッチの下方のタンクレールが露出するように形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上述したように構成したハンドルロック装置では、必ずしも確実に盗難を阻止することができないという問題があった。これは、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間に上下方向に貫通するような隙間が形成されているからである。すなわち、ハンドルロック状態で棒体を前記隙間に差込んで上方から強打することによって、ロックピンを折損させたり、ハンドルクラウンのピン穴形成部分を破損させたりしてハンドルロックを解除することができるからである。
【0004】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、ロックピンが強打されるのを阻止して確実に盗難防止を図ることができる自動二輪車用ハンドルロック装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、ハンドルロック機構を備えたメインスイッチと、このメインスイッチを囲む保護部材とをタンクレールの前部上面に設け、前記ハンドルロック機構のロックピンが係入する穴を、ハンドルクラウンの後部に平面視で半円形の突部の外周面に形成し、この突部の周縁と前記保護部材の前縁とを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたものである。
【0006】
本発明によれば、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間に形成される隙間が上下方向の途中で屈曲するようになるから、ハンドルロック時にロックピンが上方へ露出することがない。
【0007】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、ハンドルクラウンの突部と保護部材とが平面視において重なる部分を、突部の周縁の上部に周方向へ延びる凹部を形成し、この凹部内に保護部材の前縁を上方から臨ませる構造としたものである。
本発明によれば、棒体を前記突部と保護部材の間の隙間に差込んで上方から強打すると、荷重はハンドルクラウンに加えられる。
【0008】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、保護部材をタンクレール側に固定するボルトを燃料タンクによって車体の外方から覆ったものである。
本発明によれば、燃料タンクが邪魔になって前記ボルトを緩めることができなくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置の一実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るハンドルロック装置を備えた自動二輪車の側面図、図2は本発明に係るハンドルロック装置を拡大して示す側面図で、同図は要部を破断して描いてある。図3はハンドルクラウンの平面図、図4は図3におけるIV−IV線断面図、図5は保護部材の平面図、図6は図5におけるVI−VI線断面図である。図7はフロントフォーク用プロテクタの側面図、図8はフロントフォーク用プロテクタの正面図で、同図はフロントフォークを最も縮めた状態で描いてある。図9は図7におけるIX−IX線断面図である。
【0010】
これらの図において、符号1はこの実施の形態によるオフロード用自動二輪車を示す。この自動二輪車1は、クレードル型の車体フレーム2に水冷式2サイクル単気筒エンジン3を搭載し、前輪4を有するフロントフォーク5をヘッドパイプ6に操舵自在に支持させている。また、この自動二輪車1は、前記車体フレーム2にピボット軸7を介してリヤアーム8を揺動自在に支持させ、このリヤアーム8の後端に後輪9を回転自在に支持させている。
【0011】
さらに、この自動二輪車1は、前記ヘッドパイプ6から後下がりに延びる1本のタンクレール10に燃料タンク11を支持させている。この燃料タンク11の後部にシート12の前端部を係合させている。前記燃料タンク11の側部に設けた符号13で示すものは、ラジエータ14に導かれる走行風を増やすための導風パネルである。
【0012】
前記フロントフォーク5は、左右一対の外筒15と内筒16とを有するテレスコピック型のものであり、外筒15を下側に配設して左右の内筒16,16の上端部どうしをハンドルクラウン17およびブリッジ18によって連結し、図示してないステアリング軸を介して前記ヘッドパイプ6に回動自在に支持させている。また、このフロントフォーク5は、前走車や前輪4によって跳ね上げられた小石や泥などが内筒16に衝突するのを阻止するためにプロテクタ19を取付けている。
【0013】
このプロテクタ19は、図7〜図9に示すように、前記内筒16を車体の前方および外方から覆う構造の第1の保護板20と、内筒16を後方および車体の内方から覆う構造の第2の保護板21とから構成し、上端部をフロントフォーク5の前記ブリッジ18にブラケット22を介して固定している。このブラケット22は、上部を2本の固定ボルト23によってブリッジ18に固定し、下部に3本の取付ボルト24によって第1の保護板20を取付けている。この第1の保護板20に連結ボルト25によって第2の保護板21を取付けている。また、このプロテクタ19内には、前輪用油圧式ディスクブレーキ装置26(図1参照)の油圧ホース27を通している。
【0014】
前記第1の保護板20は、図9に示すように、外面側の金属板20aと、この金属板20aの内面に一体的に形成した合成樹脂部20bとから構成している。この合成樹脂部20bは、内面と前記油圧ホース27との接触面積が可及的小さくなるように突条28を一体に形成している。この突条28は、図9に示すように、突出端面を凹曲面としてこの面が前記油圧ホース27の外周面と対向する構造を採り、合成樹脂部20bに上下方向に間隔をおいて複数設けている。
【0015】
このように突条28を設けることによって、フロントフォーク5が伸縮して前記油圧ホース27がプロテクタ19に摺接しても、油圧ホース27が摩耗したり、プロテクタ19が摩耗して外面に達するような穴が形成されてしまうことを防ぐことができる。
また、前記第1の保護板20の下側前部には、図8に示すように、フロントフォーク5が最も縮んだときにブレーキディスク26aが接触するのを防ぐために切欠き29を形成している。なお、このように切欠き29を形成すると、フロントフォーク5が最も伸びたときに切欠き部分を通って小石や泥などが内筒に衝突するおそれがあるので、この実施の形態では図7に示すように、外筒15の上端に副プロテクタ19aを取付けている。
【0016】
前記フロントフォーク5のハンドルクラウン17は、図2〜図4に示すように、操向ハンドル30を取付ける取付座31より車体後側であって車幅方向の中央に、上方から見て半円形になるように後方へ突出する突部32を一体に形成している。この突部32は、上下両面に補強用リブ32a,32bを有する板状に形成するとともに、周縁の上部に周方向へ途切れることなく一連に延びる凹部33を形成している。また、突部32の外周面には、後述するハンドルロック機構のロックピンが嵌入するピン穴34を穿設している。このピン穴34の形成位置は、前記操向ハンドル30およびフロントフォーク5を左側へ回した状態で開口が車体の後方を指向するように設定している。
【0017】
前記ハンドルクラウン17の後方であって前記タンクレール10の前部上面には、この自動二輪車1のメインスイッチ35と、このメインスイッチ35を囲む保護部材36を配設している。メインスイッチ35は、ロックピン37を有するハンドルロック機構38を備えており、キー挿入穴(図示せず)が形成される上端のみを保護部材36から突出させた状態でこの保護部材36と共にタンクレール10に固定している。なお、メインスイッチ35および保護部材36は車幅方向の中央に配設している。
【0018】
前記保護部材36は、図5および図6に示すように、前方および下方に向けて開口する略椀形に形成し、上端にメインスイッチ挿入用丸穴36aを開口させている。また、この保護部材36の上壁の前縁36bは、図5に示すように平面視において後方へ向けて凹む円弧状に形成し、肉厚を下方へ増やすことにより他の部位に較べて厚くして断面L字状に形成している。
【0019】
前記ハンドルロック機構38は、ロックピン37を車幅方向の中央に備え、メインスイッチ35をハンドルロック位置に切替えることによって、ロックピン37が図示位置から前方へ突出する構造を採っている。すなわち、操向ハンドル30を直進方向から左に回して前記ピン穴34の開口が後方を指向する状態でメインスイッチ35をハンドルロック位置に切替えることによって、ロックピン37がピン穴34に嵌入してハンドルロック状態になる。
【0020】
前記メインスイッチ35および保護部材36の固定は、タンクレール10の前部上面にブラケット39を上部が保護部材36内に臨むように突設し、このブラケット39の上部にメインスイッチ35を固定ボルト40で固定するとともに、ブラケット39の下部に保護部材36を固定ボルト41で固定する構造を採っている。保護部材36の固定位置は、図2に示すように、前記前縁36bが前記凹部33の周面に隙間を介して対向するように設定している。
【0021】
このように保護部材36を配設することにより、保護部材36の前縁36bとハンドルクラウン17の突部32の周縁とが平面視において重なり、ハンドルクラウン17とメインスイッチ35との間に形成される隙間が上下方向の途中で屈曲するようになる。この隙間を図2中に符号Gで示す。
【0022】
また、前記ブラケット39のタンクレール10に対する固定位置は、保護部材36をブラケット39に固定する固定ボルト41が燃料タンク11の前部によって車体の外方から覆われるように設定している。
【0023】
上述したように構成したハンドルロック装置によれば、ハンドルクラウン17の突部32の周縁と保護部材36の前縁36bとを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたため、ハンドルクラウン17とメインスイッチ35との間の隙間Gが上下方向の途中で屈曲するようになる。したがって、ハンドルロック時にロックピン37が上方へ露出することがない。
【0024】
このため、前記隙間Gに上方から棒体を差込んで上方から強打したとしても、この棒体がロックピン37に達することがないから、ロックピン37を折損させたり、ハンドルクラウン17におけるピン穴形成部分の周囲を破損させることはできない。
【0025】
また、この実施の形態で示したように、前記突部32の周縁の上部に周方向へ延びる凹部33を形成し、この凹部33内に保護部材36の前縁36bを上方から臨ませる構造を採ると、棒体を前記隙間Gに差込んで上方から強打したときにはハンドルクラウン17に荷重が加えられる。ハンドルクラウン17はフロントフォーク5の上部を構成する部品であるので剛性が高く、前記棒体から衝撃荷重が加えられても破損することがない。
【0026】
さらに、保護部材36をタンクレール10側に固定する固定ボルト41を燃料タンク11によって車体の外方から覆ったため、燃料タンク11が邪魔になって前記固定ボルト11を緩めることができなくなる。したがって、第三者は保護部材36を取外すことができないので、ロックピン37の上方がハンドルクラウン17の突部32と保護部材36とによって覆われる状態を維持することができる。
【0027】
なお、この実施の形態ではハンドルクラウン17の突部32の上方に保護部材36の前縁36bを配設した例を示したが、本発明はこのような構造とすることなく、これらの部材を上下方向に逆に配設する構造を採ることもできる。すなわち、前記突部32の周縁に周方向へ延びる突条を突設し、この突条の下方に保護部材36の前縁を臨ませる構造を採ることもできる。この構造を採ったとしても、前記実施の形態を採るときと同等の効果を奏する。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、ハンドルロック機構を備えたメインスイッチと、このメインスイッチを囲む保護部材とをタンクレールの前部上面に設け、前記ハンドルロック機構のロックピンが係入する穴を、ハンドルクラウンの後部に平面視で半円形の突部の外周面に形成し、この突部の周縁と前記保護部材の前縁とを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたため、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間に形成される隙間が上下方向の途中で屈曲するようになるから、ハンドルロック時にロックピンが上方へ露出することがない。
【0029】
したがって、棒体を前記隙間の開口部分に差込んで上方から強打したとしても、この棒体は前記突部の周縁と保護部材の前縁のうち下側に位置付けられる一方に当接するだけでロックピンに接触することがない。このため、ロックピンを折損させたり、ハンドルクラウンにおけるロックピン用穴形成部分の周囲を破損させることはできないので、盗難を確実に阻止することができる。
【0030】
また、ハンドルクラウンとメインスイッチとの間の隙間に予期せぬような物を挟み込むようなおそれもない。
【0031】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、ハンドルクラウンの突部と保護部材とが平面視において重なる部分を、突部の周縁の上部に周方向へ延びる凹部を形成し、この凹部内に保護部材の前縁を上方から臨ませる構造としたため、棒体を前記突部と保護部材の間の隙間に差込んで上方から強打すると、荷重はハンドルクラウンに加えられる。
【0032】
ハンドルクラウンはフロントフォークの上部を構成する部品であるので剛性が高く、前記棒体から衝撃荷重が加えられても破損することがない。したがって、より一層確実に盗難を阻止することができる。
【0033】
他の発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置は、上述した発明に係る自動二輪車用ハンドルロック装置において、保護部材をタンクレール側に固定するボルトを燃料タンクによって車体の外方から覆ったため、燃料タンクが邪魔になって前記ボルトを緩めることができなくなる。
【0034】
したがって、第三者は保護部材を取外すことができないので、ロックピンの上方がハンドルクラウンの突部と保護部材とによって覆われる状態を維持することができるから、盗難を阻止する上で信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハンドルロック装置を備えた自動二輪車の側面図である。
【図2】本発明に係るハンドルロック装置を拡大して示す側面図である。
【図3】ハンドルクラウンの平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】保護部材の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】フロントフォーク用プロテクタ側面図である。
【図8】フロントフォーク用プロテクタの正面図である。
【図9】図7におけるIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
10…タンクレール、11…燃料タンク、13…ハンドルクラウン、32…突部、33…凹部、35…メインスイッチ、36…保護部材、36a…前縁、37…ロックピン、38…ハンドルロック機構、41…固定ボルト。
Claims (3)
- ロックピンが車体の前方へ向けて突出する構造のハンドルロック機構を備えたメインスイッチと、このメインスイッチを囲む構造の保護部材とをタンクレールの前部上面に設け、前記ロックピンが係入する穴を、ハンドルクラウンの後部に平面視において半円形になるように突設した突部の外周面に形成し、この突部の周縁と前記保護部材の前縁とを、互いに隙間を介して対向しかつ平面視において重なる構造としたことを特徴とする自動二輪車用ハンドルロック装置。
- 請求項1記載の自動二輪車用ハンドルロック装置において、ハンドルクラウンの突部と保護部材とが平面視において重なる部分を、前記突部の周縁の上部に周方向へ途切れることなく一連に延びる凹部を形成し、この凹部内に前記保護部材の前縁を上方から臨ませる構造としたことを特徴とする自動二輪車用ハンドルロック装置。
- 請求項1または請求項2記載の自動二輪車用ハンドルロック装置において、保護部材をタンクレール側に固定するボルトを燃料タンクによって車体の外方から覆ったことを特徴とする自動二輪車用ハンドルロック装置。
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