JP3629917B2 - 押出ラミネート用ロール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基材の表面に押し出された熱可塑性樹脂の溶融膜をラミネートさせるための温間ラミネートロールに関するもので、より詳細には、ラミネートされる樹脂層が薄膜でしかも高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有するラミネートを製造できると共に、基材よりはみ出した溶融樹脂膜(以下耳とも呼ぶ)のロールへ付着が防止され、ラミネート作業性に顕著に優れ、樹脂金属ラミネートを高速度で製造することができる押出ラミネート用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属材料に耐腐食性を付与する手段として、金属表面を樹脂層で被覆することが広く行われており、かかる技術で使用される被覆方法としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂系等の熱硬化性樹脂を溶剤に分散させたものを金属表面に塗布する方法や、予め形成されたフィルム、例えばポリエステル系、オレフィン系樹脂系、ポリアミド系等のフィルムをイソシアネート系、エポキシ系、フェノール系等の接着剤を介して金属基材と貼り合わせる方法等が知られている。
【0003】
熱可塑性樹脂の熱融着性を金属基材と熱可塑性樹脂との貼り合わせに利用することも広く知られており、この方法には、熱可塑性ポリエステル等の予め形成されたフィルムを金属板に熱接着により貼り合わせる方法や、押し出された熱可塑性ポリエステル樹脂等の溶融薄膜を金属板に貼り合わせる方法が知られている。
【0004】
特開昭51−137760号公報には、紙、アルミ箔等のシートの両面に合成樹脂をコーティングする装置であって、二つのTダイスを相対峙させて設け、且つこれらTダイス間に上記シートを走行させるシート供給装置を設けてなり、上記シートの走行時に二つのTダイスから合成樹脂を押し出すことによってシートの両側に同時に合成樹脂層を形成することを特徴とするコーティング装置が記載されており、その第1図及び第4図には、合成樹脂をシート上に押し出した後、冷却ロール間に通すことが示されている。
【0005】
米国特許第5407702号明細書には、金属ストリップの両面に樹脂を押し出し製膜しながらコーティングする方法が記載されており、アルミニウム合金のような金属ストリップを、予備コンディショナー、2台の押出ダイ、後加熱機、及び冷却系を通して移動させ、ストリップの両面を、ポリエステル材料の薄いコーティングで被覆することが記載されている。この明細書の第1図に示す装置では、ダイから押し出されたポリエステルの薄膜を、第一のロールで薄肉に引き延ばし、第二のロールで冷却し、第三のロールで加熱された金属ストリップに圧着させることが記載されている。
【0006】
特開平6−79801号公報には、巻付ロールに巻き付けた、余熱してある金属板に、圧着ロールを圧接し、圧着ロールと金属板の間隙に、押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂を流下して金属板に熱可塑性樹脂を仮接着被覆し、次いでこの樹脂被覆金属板を、樹脂被覆面が巻付ロール側に接するように他の巻付ロールに巻き付け、金属板側から他の圧着ロールを圧接し、他の圧着ロールと金属板の間隙に、押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂を流下して金属板の他の面に熱可塑性樹脂を仮接着被覆し、両面樹脂被覆金属板を得た後、両面樹脂被覆金属板を下流の加熱装置にて加熱することを特徴とする両面樹脂被覆金属板の製造方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知の技術は、樹脂被覆が薄膜でしかも高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有する樹脂金属ラミネートを高速度で製造するという目的には、未だ十分満足しうるものではない。
【0008】
前に引用した第一の技術は、パウチに代表される軟包材のラミネートの製造には適用できるとしても、製缶用ラミネート材の製造には未だ適用できない。即ち、軟包材用ラミネートでは、用いる金属はガスバリアー性の付与を目的とした著しく薄い金属箔であるのに対して、他方の樹脂層はヒートシール性の付与と、応力担体としての役目をも兼ねる厚い層である。これに対して、製缶用ラミネート素材では、金属が応力担体となると共に、プレス加工、深絞り加工、曲げ伸ばし加工、しごき加工等の種々の加工に耐える源になるものであり、一方樹脂被覆層は、加工性の点では、耐腐食性、密着性、皮膜の均一性が確保される範囲では薄肉であることが要求されるのである。前述した第一の技術は、樹脂皮膜を薄肉化された状態で金属表面に施すことが困難であり、製缶用ラミネート材の製造には、明らかに適しない。
【0009】
前に引用した第二及び第三の技術は、製缶用ラミネート材の製造に適用できるものと認められるが、高性能の樹脂金属ラミネート材を製造するという見地からは、未だ十分に満足しうるものではない。即ち、これらの技術は、ポリエステル等の樹脂の積層に先立って金属板を加熱する操作と、樹脂の積層後に樹脂金属ラミネート材を加熱して融着を完結させる操作が必要であるが、ポリエステルの融点以上という高温で金属板や樹脂被覆金属板を何回も加熱する操作は、金属板の熱軟化や、樹脂の熱分解や熱酸化による劣化を招き、ラミネート材の諸特性を低下させるので好ましくない。この諸特性の低下は、加熱回数が多いほど、また一般に樹脂薄膜の厚みが減少するほど顕著である。
【0010】
更に、製缶用樹脂金属ラミネート材の製造では、薄い樹脂皮膜を金属板に対して一様な厚みで強固に接着させなければならないという技術的課題がある。例えば、予め二軸延伸されたフィルムの場合には、比較的一様な厚みでの熱接着によるラミネートが可能であろうが、別工程で製膜、延伸する必要があり、工程的に煩雑になる。一方、前に引用した第二の技術である樹脂の押出コートの場合には、押し出された溶融樹脂を薄膜に引き延ばしながら冷却・製膜するという面倒な操作が必要となると共に、均一な厚みの薄肉化が困難であり、更に製膜時に、樹脂表面温度が低下して、金属板への強固な熱接着が困難となるという問題をも生じやすい。
【0011】
熱可塑性樹脂の金属基材への押出コートでは、樹脂の溶融膜の両端には、通常耳或いはビードと呼ばれる厚肉の部分が必ず形成され、この厚肉の部分は、金属基材へのラミネートには使用できないため、金属基材の端縁よりはみ出すようにしているが、これがラミネートロールに付着しやすく、ラミネートの作業性を低下させる原因となっている。
【0012】
従って、本発明の目的は、樹脂被覆が薄膜でしかも高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有する樹脂金属ラミネート材を製造できると共に、基材よりはみ出した溶融樹脂膜(以下耳とも呼ぶ)のロールへ付着が防止され、ラミネート作業性に顕著に優れ、樹脂金属ラミネートを高速度で製造することができる押出ラミネート用ロールを提供するにある。
【0013】
本発明の他の目的は、金属の加熱軟化や、樹脂の熱減成や熱酸化を可及的に防止し、しかも均一な薄膜でありながら、金属への密着性に顕著に優れている樹脂金属ラミネート材を製造できるラミネートロールを提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、 金属基材の表面に押し出された熱可塑性樹脂の溶融膜をラミネートさせるための温間ラミネートロールであって、樹脂の溶融膜と接触する側のロールが弾性体ロールであって、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部と、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける段差部及び小径部とを有しており、その大径部と段差部との交点位置は基材幅より外側で且つ樹脂溶融膜幅より内側にあり、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる中央の大径部が50℃以上で且つ熱可塑性樹脂の融点よりも30℃低い温度以下の温度(T1 )となり、それ以外の部分が前記温度(T1 )よりも低い温度(T2 )となるように調温されていることを特徴とする押出ラミネート用ロールが提供される
本発明においては、 前記押出ラミネート用ロールが、弾性体ロールと弾性体の表面に接着されたフッ素樹脂の被覆層とから成ることが好ましい。
また、前記押出ラミネート用ロールの、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央大径部において、ニップ幅が2〜80mmであることも好ましい
【0015】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明の押出ラミネート用ロールを使用する装置全体の配置を示す図1において、金属基材1の通路2に沿って、金属基材の加熱域3と、熱可塑性樹脂4を薄膜状に供給するダイ5と、金属基材1の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂4を接着させる一対の温間ラミネートロール6a、6bと、形成されるラミネート材7を急冷させる急冷手段8とが配置されている。
【0016】
この装置において、ラミネートロールとして温間ラミネートロール6a、6bを用いること、及びダイ5からの熱可塑性樹脂の溶融膜4を対応する温間ラミネートロール6aで支持搬送して、温間ラミネートロール6a、6b間のニップ位置10に供給すること、並びに好適には、一対の温間ラミネートロール6a、6b間に且つ温間ラミネートロール6a、6bの中心を結ぶ線に対してほぼ直角方向に、金属基材1を通過させることが好都合である。
【0017】
即ち、金属基材及び熱可塑性樹脂の余分な加熱による性能の低下を防止するには、各素材が有する熱を有効に利用することが必須不可欠であり、このために上記手段の結合が極めて有効である。更に、これらの手段の結合により、金属素材の両面に熱可塑性樹脂が同時に被覆され、しかも樹脂被覆が薄膜で且つ高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有する樹脂被覆金属ラミネート材が高速度で製造されるものである。
【0018】
本発明の温間ラミネートロール6a(6b)では、樹脂の溶融膜と接触する側のロールが弾性体ロールであること、及び金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる部分が50℃以上で且つ熱可塑性樹脂の融点よりも30℃低い温度以下の温度(T1 )となり、それ以外の部分が前記温度(T1 )よりも低い温度(T2 )となるように温度分布をもたせて調温されていることが重要である。
【0019】
溶融樹脂膜と接触するロールとして、弾性体ロールを用いることにより、溶融樹脂膜からのロールへの熱伝導を低く抑え、金属基材に接触する溶融樹脂膜の温度低下も低いレベルに抑制して、金属基材と樹脂膜の密着力を高めることができる。
加えて、弾性体ロールが有する圧縮弾性変形を利用して、形成されるラミネート素材とロールとの間に一定のニップ幅(ロール周方向への幅)を確保することができ、このニップ幅を確保できることが金属基材と樹脂膜との密着性向上に有効に役立っている。
更に、弾性体ロールを用いることにより、ロールによる押圧力がラミネートの全幅にわたって一様に伝達され、厚みが幅方向に一様で、しかも密着力も幅方向にほぼ一定となったラミネートが形成されることになる。
ラミネートロールとして、硬質クロムメッキを施したメタルロールを使用したのでは、十分なニップ幅を確保することができず、金属基材と樹脂膜との密着性も著しく劣ったものとなる。
【0020】
図2のAは、ラミネートロールの横方向からみた側面図(一方の樹脂層4が理解しやすいように省略されている)であり、図2のBは、図2のAの各位置と対応させて、このラミネートロールの横方向の温度分布を示している。
金属基材1と樹脂溶融膜4を圧着させる部分が50℃以上で且つ熱可塑性樹脂の融点(Tm )よりも30℃低い温度以下の温度(T1 )となり、それ以外の部分が前記温度(T1 )よりも低い温度(T2 )となっている。
【0021】
即ち、本発明では、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる部分を上記温度T1 に維持することにより、金属基材と樹脂膜との密着力を向上させ、更に樹脂膜にしわが入るのを防止して、厚みをの均一化させることができ、高加工性、優れた皮膜物性等を有する樹脂被覆金属ラミネート材を得ることができる。この温度(T1 )が、50℃を下回ると、樹脂の密着力が不足となり、皮膜物性も低下する。一方、温度(T1 )が、熱可塑性樹脂の融点よりも30℃低い温度よりも高くなると、溶融樹脂膜がロールに粘着して、円滑なラミネート操作を行うことが困難となる。
【0022】
また、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる部分以外の部分には、押し出された樹脂溶融膜の内、肉厚の大きな耳部乃至ビード部11と接触するが、本発明においては、この部分の温度(T2 )を、前記温度(T1 )よりも低い温度に設定することにより、耳部を冷却し、耳部のロールへの巻き付けを有効に防止することが可能となる。
温度(T2 )は、この目的のために、T1 よりも一般に10乃至150℃、特に20乃至100℃低い温度にあることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、以上のようにして、樹脂被覆が薄膜でしかも高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有する樹脂金属ラミネート材を製造できると共に、基材よりはみ出した溶融樹脂膜(以下耳とも呼ぶ)のロールへ付着が防止され、ラミネート作業を顕著に向上させ、所得性に優れた樹脂金属ラミネートを高速度で製造することができる。
【0024】
本発明のラミネートロール6a(6b)は、図2のAにおいて、金属基材1と樹脂溶融膜4を圧着させるための中央の大径部12と、樹脂溶融膜のはみ出した耳部11を受ける径の縮小する段差部13及び小径部14とを有しているのがよく、その大径部12と段差部13との交点位置15は基材1の幅より外側で且つ樹脂溶融膜4の幅より内側にあるのが好ましい。
大径部12と小径部14との段差は、弾性体の硬度や厚さによっても変化するが、半径で表して、0.5乃至20mm、特に1乃至10mmの範囲にあるのが好ましい。
【0025】
即ち、径の縮小する段差部13及び小径部14をロールに配置し、この部分で基材1よりはみ出した耳部11を受けるようにすることにより、耳部のロールへの付着、巻き付けを、一層完全に防止することができる。また、厚肉の耳部11が基材と樹脂膜との圧着部に入り込むのを防止して、圧着不良を回避することができ、更に、樹脂溶融膜の内、厚みの比較的一様な平坦部を基材上に配置して、基材の幅全体にわたって一様な厚み及び物性の樹脂層を備えたラミネートを製造することが可能となる。
前記交点位置15が基材幅より内側に位置する場合、基材端部での樹脂密着不良が発生し、更に押し出し樹脂膜のネックインの程度が大きくなり、溶融樹脂膜の幅が全体として狭くなるため、樹脂膜中の膜厚平坦部も狭くなるという不都合がある。
一方、前記交点位置15が樹脂溶融膜幅より外側に位置する場合、ロール表面にダメージが発生し、ニップ不良が生じやすく、また耳部のロール付着も生じるという不都合がある。
【0026】
本発明に用いるラミネートロールは、図3の断面図に示すとおり、鉄心等の金属製の芯20の周囲に弾性体(ゴム)21の層を備えてなるが、最上面には、テフロン等のフッ素樹脂チューブの被覆層22を有することが好ましい。ラミネートロールの表面に弾性体(ゴム)が露出している場合、温度等の条件によっては、樹脂付着が生じる場合があるが、表面にフッ素樹脂の被覆を設けることにより、条件の変動に係わらず、樹脂の付着を完全に防止することができる。
【0027】
また、金属基材1と樹脂溶融膜4を圧着させるための中央大径部12において、ニップ幅が2〜80mm、特に5〜30mmであることが好ましい。ニップ幅が上記範囲よりも狭いラミネートロールでは、樹脂層の金属基材に対する密着力が低下し、且つ樹脂被覆層の表面状態も悪化する傾向がある。
一方、ニップ幅が上記範囲よりも広いラミネートロールでは、基材のエッジ部で樹脂耳部が分離しやすくなり、耳部のロール付着の原因となりやすい。
【0028】
[ラミネートロール]
本発明においては、ラミネートロールとして、弾性体ロールを使用するが、この弾性体ロールを構成する弾性体(ゴム)は、離型性に優れ且つ耐熱性に優れたものが好ましい。このようなゴムとして、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)が挙げられるが、フッ素ゴムが特に好ましい。ただし、フッ素樹脂チューブを被覆する場合はゴムとフッ素樹脂チューブの接着性の点から、シリコーンゴムが好ましい。
【0029】
フッ素ゴムとしては、共通して耐熱性に優れている。その適当な例として、フッ化ビニリデン系、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテル系、フルオロシリコーン系、フルオロホスファゼン系のフッ素ゴムが挙げられるが、勿論この例に限定されない。
【0030】
シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を構成単位とするシリコーンゴムが使用される。
【0031】
これらのゴムは、必要により、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、充填剤と共に使用される。
【0032】
用いる弾性体の硬さ(JIS)は、一般に50゜乃至90゜の範囲、特に60゜乃至90゜の範囲にあるのが好ましく、弾性体層の厚みは、1乃至30mmの範囲にあることが好ましい。
【0033】
ラミネートロールにおける温度分布の制御は、種々の手段によって行うことができ、以下の例に決して限定されないが、例えば中央の大径部12とそれ以外の部分13、14との熱伝導率を変化させることにより、或いは格別の調温手段を設けることにより、行うことができる。
【0034】
例えば、既に述べた図3の多層ロール及び図4の鉄心−弾性体ロールでは、鉄芯の熱伝導率は高く、弾性体の熱伝導率は低いが、金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する中央大径部12では、弾性体12の厚みを最も大きくし、両端の小径部14では、弾性体12の厚みを最も小さくし、段差部13では、小径部に向けて厚みが小さくなるような勾配を設けることにより、金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する中央大径部12では温度が高く、樹脂膜の耳を受ける部分13、14では温度が低く、本発明に適した温度分布を形成することが可能となる。
【0035】
また、金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する部分では冷却を行わず、樹脂膜の耳を受ける部分では強制冷却を行うことも有効である。強制冷却は、ラミネートロールの溶融樹脂膜耳部を受ける部分に、調温された液体媒体、例えば冷却水を通すことにより、或いは前記部分を冷却用のバックアップロールと接触させることにより、容易に行いうる。勿論、装置の運転開始に際しては、室温下にある金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する部分を前記温度(T1 )に維持するために保温する必要もあろうし、またこの部分に熱の蓄積が大きくなる運転中には冷却を行うことが必要な場合もある。
【0036】
図5に示す具体例では、ラミネートロール6の内、樹脂膜の耳11を受ける部分Xをバックアップロール23と接触させて、前述した温度(T2 )となるように冷却している。この例では、ラミネートロール6の樹脂膜の耳11を受ける部分Xも金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する部分Yも同一円筒面状に位置しているが、部分Yを図3の大径部12とし、部分Xを段差付小径部13、14としてもよいことは自明である。
【0037】
図6に示す具体例では、ラミネートロール6として、中空の鉄芯24が使用され、この鉄芯24に冷却水25を通すようになっている。ロール6の内、樹脂膜の耳11を受ける部分Xでは、表面にクロムメッキ層26が施されており、金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する部分Yには弾性体層21が設けられている。ロール6の部分Yは冷却水25に冷却されて、前述した温度(T2 )維持され、一方部分Yでは、ゴム層の温度勾配により前述した温度(T1 )に維持される。この例では、ラミネートロール6の樹脂膜の耳11を受ける部分Xも金属基材と溶融樹脂膜とを圧着する部分Yも同一円筒面状に位置しているが、部分Yを図3の大径部12とし、部分Xを段差付小径部13、14としてもよいことは自明である。
【0038】
[金属基材]
本発明では、金属基材としては各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板或いはこれらの箔が使用される。
【0039】
表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍後調質圧延または二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/mの金属クロム層と1乃至50mg/m(金属クロム換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例は、0.6乃至11.2g/mの錫メッキ量を有する硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/mとなるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
更に他の例としてはアルミニウムメッキ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いられる。
【0040】
軽金属板としては、所謂純アルミニウム板の他にアルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.16乃至0.26重量%、残部がAlの組成を有するものである。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量が20乃至300mg/mとなるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0041】
金属板の厚みは、金属の種類、ラミネート材の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
【0042】
金属素材には、所望により接着プライマーを設けておくことができ、このようなプライマーは、金属素材と熱可塑性樹脂との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:50乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90の重量比で含有する塗料である。接着プライマー層は、一般に0.3乃至5μmの厚みに設けるのがよい。
【0043】
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、押出成形可能で造膜性を有するものであればよく、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。
【0044】
皮膜物性や加工性、更には耐食性の点で特に好適な熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリエステル乃至共重合ポリエステル、そのブレンド物、或いはそれらの積層体を上げることができる。エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルが特に好適である。
【0045】
原料ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートそのものも使用可能であるが、被覆の到達し得る最高結晶化度を下げることがラミネートの耐衝撃性や加工性の点で望ましく、この目的のためにポリエステル中にエチレンテレフタレート以外の共重合エステル単位を導入するのがよい。
【0046】
エチレンテレフタレート単位を主体とし、他のエステル単位の少量を含む融点が210乃至252℃の共重合ポリエステルを用いることが特に好ましい。尚、ホモポリエチレンテレフタレートの融点は一般に255〜265℃である。
【0047】
一般に共重合ポリエステル中の二塩基酸成分の70モル%以上、特に75モル%以上がテレフタル酸成分から成り、ジオール成分の70モル%以上、特に75モル%以上がエチレングリコールから成り、二塩基酸成分及び/又はジオール成分の1乃至30モル%、特に5乃至25%がテレフタル酸以外の二塩基酸成分及び/又はエチレングリコール以外のジオール成分から成ることが好ましい。
【0048】
テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。勿論、これらのコモノマーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記範囲とするものでなければならない。更に、トリメリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール等の多官能性単量体を組み合わせで用いることもできる。
【0049】
用いるポリエステルは、フィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、このためには固有粘度(I.V.)が0.55乃至1.9dl/g 、特に0.65乃至1.4dl/g の範囲にあるものが望ましい。
【0050】
上記熱可塑性樹脂の被覆層には、金属板を隠蔽し、また絞り−再絞り成形時等に金属板へのしわ押え力の伝達を助ける目的で無機フィラー(顔料)を含有させることができる。また、このフィルムにはそれ自体公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合することができる。
【0051】
無機フィラーとしては、ルチル型またはアナターゼ型の二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等の無機白色顔料;バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸カルシウム、石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、焼成或は未焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホワイト、合成乃至天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の白色体質顔料;カーボンブラック、マグネタイト等の黒色顔料;ベンガラ等の赤色顔料;シエナ等の黄色顔料;群青、コバルト青等の青色顔料を挙げることができる。これらの無機フィラーは、樹脂当り10乃至500重量%、特に10乃至300重量%の量で配合させることができる。
【0052】
[製造条件]
本発明において、金属基材を熱可塑性樹脂の融点(Tm)−80℃乃至Tm+50℃、特にTm−50℃乃至Tm+30℃の温度(温間ラミネートロールに入る直前の温度)に加熱するのがよく、金属基体の加熱には、通電発熱、高周波誘導加熱、赤外線加熱、熱風炉加熱、ローラ加熱等のそれ自体公知の加熱手段を用いることができる。
【0053】
この加熱温度が、上記範囲よりも低い場合には、密着力が十分でなく、一方上記範囲よりも高い場合には、金属の熱軟化を生じやすい。
【0054】
熱可塑性樹脂を押し出すためのダイとしては、樹脂の押出コートに一般に使用されているダイ、例えばコートハンガー型ダイ、フィッシュテール型ダイ、ストレートマニホ−ルド型ダイ等が使用される。熱可塑性樹脂を押出機中で、溶融温度以上の温度で加熱混練し、前記ダイを通して押し出す。
【0055】
熱可塑性樹脂を積層体として、押し出すことも可能であり、この場合には、積層体を構成する樹脂の数に対応する数の押出機を使用し、多重多層ダイを通して樹脂の押出を行うのがよい。
【0056】
押出に際して、ダイリップの幅は0.3乃至2mmの範囲にあるのが適当である。
【0057】
本発明においては、温間ラミネートロールの周速をダイからの熱可塑性樹脂の押出速度の10乃至150倍、特に20乃至130倍に維持して、熱可塑性樹脂の溶融薄膜を薄肉化することが好ましい。この範囲にあることでダイリップ幅等の機械的な調整ムラが強制されてより均一な薄膜となり、かつ安定したラミネートが可能となる。この比が上記範囲を越えると、樹脂の破断を生じやすくなるので好ましくない。また、上記範囲を下回ると、安定したラミネートが行われないだけでなく十分に薄肉化された被覆を形成させることが困難となる傾向がある。製缶用ラミネート材の用途に対しては、金属基材の厚み(tM)と片面当たりの被覆樹脂膜厚み(tR)との比(tM/tR)が2乃至150であることが、缶への加工性や、缶の特性の点で好ましい。
【0058】
本発明では、熱可塑性樹脂溶融膜を温間ロールで支持搬送してニップ部に供給するのがよい。即ち、、熱可塑性樹脂の溶融膜が、接着面の反対側の面で、温間ロール表面で支持され、この支持状態でニップ位置に供給されるので、ニップ位置での供給状態が安定なものとなり、波打ちによる偏肉或いはしわの発生がなく、また空気巻き込みを発生することもなく、形成される被覆は欠点のないカバレージに優れたものとなる。このため、本発明によれば、ラミネート速度を、従来のものに比して、著しく高速とすることができ、生産性を向上させることが可能となる。更に、熱可塑性樹脂の溶融膜が、最初に圧力の著しく低い状態で加温ラミネートロールと接触し、次いでニップ位置で加圧されるので、ロール表面に樹脂が付着移行する傾向がなく、金属基材表面の樹脂層は欠陥のないものとなる。
【0059】
本発明では、前述した温間ラミネートロール方式と、樹脂溶融膜のロール搬送方式との組み合わせが、被覆の密着性を高め、且つ樹脂溶融膜を十分に薄膜化した状態で安定にニップ位置に供給する上で好ましい。本発明のこの組合わせ方式では、樹脂の接着面となる側が十分な溶融状態にありしかも反対側のごく表層のみが固化された状態にある温度分布構造で、樹脂をニップ位置に供給することが可能となる。
【0060】
また、上述した方式では、ダイからの溶融樹脂を温間ラミネートロールで支持搬送することにより、ニップ位置に安定に樹脂を流入させることが可能となるばかりではなく、ダイ出口からの押出速度と温間ラミネートロールの周速との比に対応して、熱可塑性樹脂の溶融物を十分にしかも安定に薄膜化することが可能となる。即ち、溶融物を直接ニップ位置に供給した場合、ダイ出口からの押出速度と温間ラミネートロールの周速との比に対応して、熱可塑性樹脂の溶融物を薄肉化することは可能であろうが、ロールへの巻き付けが無い分だけ、流動延伸による薄肉化が不安定となり、樹脂溜まり(バンク)のような厚みむらが発生しやすい。これに対して、本方式においては、温間ラミネートロールによる支持搬送を行うことにより、樹脂に対してバックテンションを加えることが可能となり、これにより、バンクの発生を解消することができる。
【0061】
この方式においては、ダイ5からの熱可塑性樹脂の溶融膜4を温間ラミネートロール6のほぼ接線方向に且つ温間ラミネートロール6への巻き付き角度(θ)が2乃至45度、特に2乃至30度となる範囲で温間ラミネートロール上に導き、温間ラミネートロールにより金属基材の両面に熱可塑性樹脂の薄膜を融着させることが好ましい。
【0062】
本明細書において、温間ラミネートロールへの巻き付き角度θとは、熱可塑性樹脂の溶融膜と温間ラミネートロール6との接点と、一対の温間ラミネートロールの中心を結ぶ線とが温間ラミネートロールの中心に対してなす角度(θ)を意味する。
【0063】
本発明においては、温間ラミネートロールへの樹脂の巻き付き角度θを前述した範囲とすることが特に好適である。この巻き付き角度θが前記範囲よりも大きい場合には、熱可塑性樹脂の金属基材と接すべき側の温度が低下し、金属基材との間で満足すべき密着力が得られないようになる。更に、巻き付き角度θが上記範囲よりも大きいと、温間ラミネートロール上で樹脂層のたわみが発生し、厚みむらが発生しやすくなる。
【0064】
本発明によれば、温間ラミネートロールから排出される樹脂金属ラミネート材は、これを急冷手段に導いて急冷することにより、樹脂被覆が薄膜でしかも高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有する樹脂金属ラミネート材となる。
【0065】
熱接着終了後のラミネート材は、熱結晶化や熱劣化を防止するために、ラミネート後直ちに急冷するか、或いはある程度温度保持後、熱結晶化を防止するため、結晶化温度域に到達する前に、その時点で急冷するのがよい。可及的速やかに冷却するのがよい。この冷却は、冷風吹き付け、冷却水噴霧、冷却水浸漬、冷却ローラとの接触等により行われる。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0067】
[実施例1]
図1に示す、構成および配置による装置を用いて、Tダイから、融点(Tm)が220℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(PET/IA)樹脂膜を押出して、240℃に加熱した厚み0.26mmのA3004・H19アルミニウム合金のコイル材に毎分150mの速度でラミネートし、その後の水シャワーによる急冷工程とコイル両サイドの僅かなトリム工程とを経て、樹脂被覆ラミネート材を作成した。
【0068】
その際に、図4に示すような鉄芯形状の回りにフッ素ゴムを巻き、
樹脂溶融膜のはみ出した耳部のエッジビード部によるロール表面へのダメージおよびニップ不良による金属基材と樹脂溶融膜との密着不良を避けるために、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部と、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける段差部及び小径部とを設けた。
【0069】
段差部位置は、膜厚平坦部を基材全面に配するために基材幅より外側、ニップ不良や樹脂溶融膜のはみ出した耳部のロールへの樹脂付着防止のために溶融樹脂膜幅より内側へとし、さらに、金属基材と樹脂膜との密着力確保の点から、金属基材と樹脂溶融膜とを圧着させる部分を170℃、金属基材よりはみ出した樹脂溶融膜の耳部のロールへの樹脂付着の防止のために、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける部分を130℃となるように温調することにより、ロールに温度差を設けた一対の温間ラミネートロール(ニップ幅9mm)を使用した。
【0070】
これによって得られた樹脂被覆ラミネート材を圧延機にて相当歪み(ε)が1.4となるように圧延し、縦横20mmの範囲に2mm角の基盤目を市販のカッターにより切り込みを入れ、Scotch Brand Tape 幅25mm(住友3M製)を貼り付けた後、テープをはがし接着強度を調べる剥離試験を行った。
【0071】
またこの樹脂被覆ラミネート材にワックス系潤滑剤を塗布し、直径φ150mmの円板に打ち抜いた後に、常法に従い直径φ92mmの絞り容器に成形する試験を行った。
【0072】
本発明の請求範囲を満足する条件で作成された本ラミネート材は、基材全面に均一な膜厚を持ったラミネート材が得られ、剥離試験においてε=1.4で剥離率が20%以下と良好であり、また成形試験でも剥離等の不良は発生せず、全てにおいて良好な樹脂被覆ラミネート材であった。
【0073】
[比較例1]
鉄芯形状、ロール表面形状が均一で且つロール温度が170℃で均一に温調された弾性体ロールを用い、その他は実施例1と同様にして、ラミネート材を作成しようとした。しかし、樹脂溶融膜のはみ出した耳部のロールへの付着・巻付け、エッジビード部によるロール表面への圧痕が発生した。さらに、ラミネート材表面は、ニップ不良により金属基材と樹脂膜の間に気泡を巻き込んだり、樹脂膜自体のしわや厚みムラが発生しラミネート材の作成はできなかった。
【0074】
[比較例2]
段差位置を基材の内側にする以外は、実施例1と同様にして、ラミ材を作成しようとした。しかし基材端部はロールによりニップされないため密着せず、またネックインが大きくなるため溶融樹脂膜幅が狭くなり膜厚平坦部も狭くなった。
【0075】
[比較例3]
段差位置を樹脂膜の外側にする以外は、実施例1と同様にして、ラミ材を作成しようとした。ネックインは小さくなり膜幅は広がるが、樹脂膜のエッジビード部でロール表面に圧痕を生じた。また樹脂溶融膜のはみ出した耳部がロールに付着し、ラミネート材表面もニップ不良により不良であった。
【0076】
[比較例4]
金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部と、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける段差部及び小径部のロール温度を170℃で均一に温調した以外は、実施例1と同じ条件にてラミネート材を作成しようとした。しかし、樹脂溶融膜のは出した耳部のロールへの付着・巻付きが発生しラミネート材の作成はできなかった。
【0077】
[比較例5]
金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる部分のロール温度を25℃とした以外は、実施例1と同じ条件にてラミネート材を作成し、評価・試験に供した。樹脂溶融膜のはみ出した耳部のロールへの付着・巻付きはなかったが、剥離試験では、ε=1.4で全面剥離し、成形試験中に樹脂膜がデラミした。
【0078】
[比較例6]
金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部のロール温度を200℃とした以外は、実施例1と同じ条件にてラミネート材を作成しようとした。しかし金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央のロール大径部に樹脂付着が生じてラミネート材の作成はできなかった。
【0079】
[実施例2]
図4に示すような断面をもったロールの表面に、フッ素樹脂のチューブを接着被覆させたロール(図3)を用い、さらに金属基材と樹脂溶融膜とを圧着させる部分を200℃、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける部分を160℃とした以外は、実施例1と同様の条件でラミネート材を作成し、評価・試験に供した。その結果、フッ素樹脂のチューブを接着被覆させることによって、ロール温度が実施例1より高い温度でも樹脂溶融膜のはみ出した耳部のロールへの付着・巻付きが無く、剥離試験ではε=1.4で剥離率が15%以下となり、密着性も向上し良好であり、また成形試験では樹脂膜の破断や剥離等の不良も発生せず、全てにおいて良好な樹脂被覆ラミネート材であった。
【0080】
[比較例7]
ゴム厚を厚くし、ニップ幅を85mmとした以外は実施例2と同様の条件でラミネート材を作成し、評価・試験に供した。しかし基材のエッジ部より耳部が分離しやすくロールへの付着・巻付きが発生しやすくなった。剥離試験では、ニップ幅9mmより劣っていた。
【0081】
[比較例8]
鉄芯表面にテフロン溶射を施したニップ幅2mm以下のロールを用いた以外は実施例2と同様の条件でラミネート材を作成しようとした。しかしニップ不良により金属基材と樹脂膜の間に気泡を巻き込んだり、樹脂膜自体のしわや厚みムラが発生しラミネート材の作成はできなかった。
【0082】
[実施例3]
鉄芯形状で均一で、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部と樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける段差部及び小径部とを設け、ロール温度が200℃で均一に温調されたフッ素樹脂のチューブ被覆ロールで且つ図5に示すように樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける部分を温調されたバックアップロールを接触させて160℃に温調した以外は、実施例1と同様の条件でラミネート材を作成し、評価、試験に供した。その結果、樹脂溶融膜のはみ出した耳部のロールへの付着・巻付きが無く、剥離試験ではε=1.4で剥離率が15%以下と良好であり、また成形試験では樹脂膜の破断や剥離等の不良も発生せず、全てにおいて良好な樹脂被覆ラミネート材であった。
【0083】
[実施例4]
図6に示すような、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部がフッ素樹脂のチューブ被覆の弾性体ロールで、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける段差部および小径部が鉄芯表面にクロムメッキを施したメタルロールで、ロール内部に温調水を循環させ、熱伝導性の良いメタル部の冷却効果により大径部と段差部・小径部とに温度差を設けた以外は、実施例1と同様の条件でラミネート材を作成し、評価・試験に供した。その結果、樹脂溶融膜のはみ出した耳部のロールへの付着・巻付きが無く、剥離試験、成形試験ともに良好な樹脂被覆ラミネート材が得られた。
【0084】
【表1】
Figure 0003629917
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、金属基材の表面に押し出された熱可塑性樹脂の溶融膜をラミネートさせるための温間ラミネートロールとして、樹脂の溶融膜と接触する側のロールとして弾性体ロールを用いると共に、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる部分が50℃以上で且つ熱可塑性樹脂の融点よりも30℃低い温度以下の温度(T1 )となり、それ以外の部分が前記温度(T1 )よりも低い温度(T2 )となるように調温するることにより、樹脂被覆が薄膜でしかも高性能、即ち厚みの均一性、高加工性、高い密着性、高い皮膜物性等を有する樹脂金属ラミネート材を製造できると共に、基材よりはみ出した溶融樹脂膜(以下耳とも呼ぶ)のロールへ付着が防止され、ラミネート作業性に顕著に優れ、樹脂金属ラミネートを高速度で製造することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ラミネートロールを使用するラミネート装置の側面配置図である。
【図2】ラミネートロールの配置と温度分布との関係を示す説明図である。
【図3】ラミネートロールの構造及び配置の一例を示す一部断面側面図である。
【図4】ラミネートロールの構造及び配置の他の例を示す一部断面側面図である。
【図5】ラミネートロールの構造及び配置の更に他の例を示す一部断面側面図である。
【図6】ラミネートロールの構造及び配置の別の例を示す一部断面側面図である。
【符号の説明】
1 金属基材
2 通路
3 加熱域
4 樹脂溶融膜
5 ダイ
6a,6b 温間ラミネートロール
7 ラミネート材
8 急冷手段
10 ニップ位置
11 耳部
12 大径部
13 段差部
14 小径部
15 交点位置
20 芯
21 弾性体
22 被覆層
24 鉄芯
25 冷却水
26 クロムメッキ層

Claims (3)

  1. 金属基材の表面に押し出された熱可塑性樹脂の溶融膜をラミネートさせるための温間ラミネートロールであって、樹脂の溶融膜と接触する側のロールが弾性体ロールであって、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央の大径部と、樹脂溶融膜のはみ出した耳部を受ける段差部及び小径部とを有しており、その大径部と段差部との交点位置は基材幅より外側で且つ樹脂溶融膜幅より内側にあり、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させる中央の大径部が50℃以上で且つ熱可塑性樹脂の融点よりも30℃低い温度以下の温度(T1 )となり、それ以外の部分が前記温度(T1 )よりも低い温度(T2 )となるように調温されていることを特徴とする押出ラミネート用ロール。
  2. 前記押出ラミネート用ロールが弾性体ロールと弾性体の表面に接着されたフッ素樹脂の被覆層とから成ることを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用ロール。
  3. 前記押出ラミネート用ロールが、金属基材と樹脂溶融膜を圧着させるための中央大径部において、ニップ幅が2〜80mmであることを特徴とする請求項1記載の押出ラミネート用ロール。
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