JP4006574B2 - 溶融樹脂の押出方法および押出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融樹脂の押出製膜加工法に関する。また、押出製膜された樹脂膜を直接基材とラミネートする押出方法に関する。特に、Tダイから押し出された樹脂膜のネックイン及び幅変動を抑制するための溶融樹脂の押出方法及び押出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tダイ法フィルム成形用ダイは、押出機からTダイ上部に溶融樹脂を供給し、Tダイ内でフィルム幅を広げるため、外観上T字形の流路となっていることからTダイと称されている。
Tダイはその流路の形状から、ストレートマニホールド型、コートハンガー型、フィッシュテール型に分けられる。過去においてストレートマニホールド型が使用されていたが、フィルムの広幅化に伴い、幅方向の流量を均一化してフィルムの厚薄精度を向上する目的から、現在は一般的にコートハンガー形が使用されている。
従来用いられていたこの種の樹脂フィルム成形方法としては、一般に、図8に示したように、押出機、Tダイ及びキャスティングロールを用いてフィルムを成形していた。
Tダイ上部中央部に開口して設けられている樹脂供給路107に流入した樹脂を、Tダイ内で幅方向に広げリップ102aから押出し、目的のシート幅に拡幅され成形していた。
すなわち、押出機101で可塑化溶融された樹脂はTダイ102で広幅化され、先端の狭いすきまを有するリップ102a(図8(b)で示す)から押し出され、キャスティングロール103により冷却固化されフィルム104になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の樹脂フィルム成形方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、Tダイ102のリップ102aから押し出されたフィルムは、そのフィルムの厚さが幅方向において均一な状態で押し出されるため、押し出されたフィルムの両端はキャスティングロール103に接触するまでのエアーギャップの間、あるいはキャスティングロール103で冷却される状態において、図8(b)で示すネックイン現象を発生する。
また、このネックインに連続してフィルム端部(耳部)が波状となる状態(揺れ)106が発生し、製膜性の劣るポリエステル樹脂等を使用した場合、高速での製膜が不可能となる。又、過大のネックインにより膜厚の平坦部が縮小し、樹脂の損失も大きい。
【0004】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、ネックイン及び耳揺れ変動を防止するようにした溶融樹脂の押出方法及びその方法を実施するための押出装置を提供することを目的とする。
また、この溶融樹脂の押出装置を適用して直接基材と高速でラミネートする方法及び装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の溶融樹脂の押出方法は、溶融樹脂をTダイメイン部及び両サイド部から押出す溶融樹脂の押出方法であって、Tダイの両サイドリップ部から吐出された樹脂膜の温度を、メインリップ部から吐出された樹脂膜の温度よりも低くするとともに、Tダイ出口部における樹脂膜吐出流速を、メインリップ部よりも両サイドリップ部で速くしたことを特徴とする。
一般に、溶融樹脂の押出製膜において、Tダイリップ部の樹脂吐出口の縦方向隙間(Lmc)を小さくし、樹脂吐出流速を上げることにより製膜性が向上することは知られている。しかしながらメインリップ部の縦方向隙間(Lmc)の縮小は、樹脂圧力の増大やリップ部での異物等の引っかかりによるダイラインの発生を引き起こす。
そこで最もネックインや揺れへの影響を及ぼす両サイド部の樹脂吐出流速を速くすることで、ネックインあるいは揺れようとする膜全体の挙動を抑制するという効果が生ずる。
メインリップ部の樹脂膜吐出流速(Vm)は、製品膜厚およびTダイ幅(Lmw)とリップ部縦方向隙間(Lmc)によって決まるが、標準的な条件で押出すことにより得られる程度の値であればよく、サイドリップ部の樹脂膜吐出流速(Vs)は、メインリップ部の樹脂膜吐出流速(Vm)よりも速く、つまりサイド部とメイン部の流速比(Vs/Vm)>1が好ましく、さらにサイド部とメイン部の流速比(Vs/Vm)は、1.2〜5.0程度が好ましい。
また、メインリップ部よりも両サイドリップ部を低くする理由は、両サイドリップ部から吐出される樹脂の粘度を相対的に高く維持するためであり、これにより、ネックインあるいは揺れようとする膜全体の挙動を抑制するという効果が生ずる。
メインリップ部の樹脂膜温度は、押出す樹脂の種類にもよるが一般的にTm(融点)+10℃〜Tm+50℃程度が好ましく、サイドリップ部の樹脂膜温度は、メインリップ部の樹脂膜温度よりも低く、Tm−10℃〜Tm+30℃程度が好ましい。
【0007】
請求項2の溶融樹脂の押出方法は、請求項1において、Tダイの両サイドリップ部から吐出された樹脂膜の重量平均分子量(Mw)を、メインリップ部から吐出された樹脂膜よりも高くしたことを特徴とする。
メインリップ部よりも両サイドリップ部を高くする理由は、樹脂膜の粘度を相対的に高く維持するためでありこれにより、やはり請求項1と同様の効果が生ずる。
メインリップ部の樹脂膜の重量平均分子量(Mw)は、一般的に押出製膜に用いられる範囲(グレード)の樹脂を用い標準的な条件で押出すことにより得られる程度の値であればよく、サイドリップ部の樹脂膜の重量平均分子量(Mw)は、メインリップ部の重量平均分子量(Mw)よりも相対的に高ければよい。
【0008】
請求項3の溶融樹脂の押出方法は、請求項1又は2において、Tダイの両サイドリップ部から吐出された樹脂膜の膜厚を、メインリップ部から吐出された樹脂膜の膜厚よりも厚くしたことを特徴とする。
メインリップ部よりも両サイドリップ部を厚くする理由は、サイドリップ部から押出された樹脂膜の強度(剛性)を相対的に高くするためであり、これにより、請求項1と同様の効果が生ずる。
メインリップ部の樹脂膜の膜厚は、製品膜厚によって決定される。サイドリップ部の樹脂膜の膜厚は、メインリップ部の膜厚よりも相対的に厚ければよい。
【0009】
請求項4の溶融樹脂の押出方法は、請求項1〜3のいずれかにおいて、Tダイのメインリップ部と両サイドリップ部とから吐出される溶融樹脂を、前記Tダイのリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流させることを特徴とする。
Tダイのリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流させる理由として、本発明ではメイン部とサイド部の樹脂吐出流速に差を持たせているため、図6に示すような樹脂流動の不安定な部位での合流は、メイン部とサイド部の接合部(繋ぎ目)で乱れを生じるために安定した製膜が不可能となる。またリップ部を吐出した後での合流は、メイン部およびサイド部それぞれでネックインを生じ、基本的にメイン部とサイド部の安定接合は困難であり、本発明の効果が発揮されない。
従って、図4に示すようにTダイのリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流させることで、メイン部の樹脂流動がより層流に近い状態で合流することが出来るためメイン部樹脂とサイド部樹脂の接合部(繋ぎ目)で乱れを生ずることなく、安定した製膜が可能となるという効果が生ずる。
メイン部とサイド部の合流位置は、リップ部の樹脂膜吐出口に極力近い方が望ましく、リップ部の樹脂膜吐出口から上流方向に1mm〜10mm程度が好ましい。
【0010】
請求項5の溶融樹脂の押出方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、Tダイのリップ部から吐出させた樹脂膜を下流に設けられたプレロールで樹脂膜全幅を受けて支持搬送し、次いでラミネートロールへ供給して基材に積層することを特徴とする。
一旦プレロールで受けることにより、Tダイのリップ部から吐出された樹脂膜の空走距離(エアギャップ)を短縮でき、より薄膜且つ高速でも耳部の揺れや過大なネックインを防止し、基材への積層時の安定した製膜が可能となるという効果が生ずる。
【0011】
請求項6の溶融樹脂押出装置は、請求項1〜5のいずれかの押出方法において、溶融樹脂の押出製膜方法において、Tダイ出口部にメインリップ部と両サイドリップ部とがそれぞれ独立の樹脂膜吐出口を持ち、かつ、メインリップ部とサイドリップ部とから吐出される樹脂膜を前記Tダイのリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流させてから吐出することを特徴とする。このようにする理由および効果は、請求項4の場合と同様である。
【0013】
請求項7の溶融樹脂の押出装置は、請求項6において、両サイドリップ部がリップ開度の独立調整機構を有することを特徴とする。
リップ開度の独立調整機構を有することにより、メイン部に影響を及ぼすことなくサイド部のみの流速を変更できるという効果が生ずる。
【0014】
請求項8の溶融樹脂の押出装置は、請求項6又は7において、Tダイのリップ部から吐出された樹脂膜全幅を受けて支持搬送するプレロールと、前記プレロールから排出された樹脂膜を基材に積層するラミネートロールと、を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態を示す溶融樹脂の押出装置の概略を示す正面図である。図2は、本発明の他の実施の形態を示す溶融樹脂の押出装置の概略を示す正面図である。図3は、本発明の溶融樹脂の押出装置に用いるリップ部の一実施の形態を示す底面図である。図4は、本発明の溶融樹脂の押出装置に用いるリップ部から吐出される溶融樹脂の流れを説明する正面図である。図5は、図4のB−B断面を示す矢視図である。図6は、比較例のリップ部から吐出される溶融樹脂の流れを説明する正面図である。図7は、本発明の溶融樹脂の押出装置をラミネート装置に適用した一実施の形態を示す概略側面図である。尚、図8は、押出機及びキャスティングロールの構成図であるが、従来と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0016】
本発明においては、図1に示すように、押出機10からTダイ12に供給された溶融熱可塑性樹脂は膜状に樹脂膜11として押し出され、この樹脂膜11をキャスティングロール13によりフィルムにする。Tダイ12の左右側位置には、側板部14a,14bが設けられている。
【0017】
また、押出機10の後工程には、樹脂供給分岐部18aが設けられており、押出機10から供給される溶融樹脂は、Tダイ12上部中央部に開口されているメイン流路19に供給されるとともに、溶融樹脂の一部を、ギアポンプ21によって樹脂供給分岐部18bを介してサイド流路20a,20bを通り、左右の側板部14a,14bに設けられたサイド流路22a,22bへも供給される。
【0018】
また、図2に示すように、メイン用押出機10aとサイド用押出機10bの2台の押出機を設け、メイン用押出機10aによりメイン流路19へ溶融樹脂を供給し、サイド用押出機10bによりサイド流路20a及びサイド流路20bへ溶融樹脂を供給することもできる。この場合は、サイド流路20aとサイド流路20bとに供給する溶融樹脂を分岐供給する樹脂供給分岐部18bのみが設けられる。
【0019】
熱可塑性樹脂押し出し用のTダイ12としては、樹脂の押し出し用に一般に使用されているダイ、例えばコートハンガー型ダイ、フィッシュテール型ダイ、ストレートマニホールド型ダイ等が使用される。押出機10中で、溶融温度以上の温度で熱可塑性樹脂を加熱混練し、前記Tダイを通して押し出す。
また、被覆樹脂膜を複層の積層膜として、押し出すことも可能であり、この場合には、積層膜を構成する樹脂数に対応する数の押出機を使用し、多層膜形成用のTダイを通して樹脂膜を押し出すこともできる。
Tダイ12のリップの縦方向隙間は0.3〜2mmの範囲にあることが一般的であるが、押し出された樹脂膜11を缶材等用に数μm程度から50μm程度の薄膜に長手方向に引き延ばしてラミネートする場合は、その引き延ばし比率をある程度以下に抑えて安定したラミネートを行うために、0.3〜0.8mm程度であることが好ましい。
Tダイ12の幅(樹脂膜11の押し出し幅)については、膜厚平坦部の幅が必要な製品幅よりも広くなるように設定する必要がある。
【0020】
また、図1及び図3に示すように、前記Tダイ12の下部にはリップ部16が形成されている。リップ部はさらに、メイン流路19に供給された溶融樹脂を吐出し樹脂膜を形成するメインリップ部16aと、サイド流路20a及び20bに供給された溶融樹脂を吐出し樹脂膜を形成するサイドリップ部16b及び16cとに別れて形成されており、メインリップ部16aの左右両側にサイドリップ部16b及び16cが横一列に設けられている。
【0021】
前述のTダイ12を用いて、押出機10(あるいは押出機10a,10b)から溶融状態の樹脂原料を押出成形すると、メインリップ部16aからはメイン樹脂膜11aが成形されて押し出されるが、同時に、両サイドリップ部16b,16cからは前記メイン樹脂膜11aを左右に挟んで、即ち、メインリップ部16aの樹脂膜11aと両サイドリップ部16b、16cの樹脂膜11b、11cは、Tダイ12のリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流して、一体状にサイド樹脂膜11b,11cが押し出される。
【0022】
この時、Tダイ12の出口部となるリップ部から吐出される樹脂膜の吐出流速を、メインリップ部16aよりも両サイドリップ部16b、16cで速くする。
また、メインリップ部16aから吐出される樹脂膜は、製品部となるため大幅な流速変更を行わず、主に、サイドリップ部16b,16cの流速調整を行うことが重要である。そして、サイドリップ部16b、16cの流速調整は、該両サイドリップ部16b、16cにおける溶融樹脂の吐出量の変更と吐出口面積の変更により可能で、吐出口面積の変更は、Tダイ両側板部14a、14bの型替えによって行うことができる。
尚、図2に示す押出機が10a,10bの2台から成る場合のサイドリップ部16b,16cの流速調整も同様に行い、例えば、両サイドリップ部16b、16cの吐出口面積を一定とすれば、吐出量を倍にすれば流速も倍となる。
【0023】
また、Tダイ12のメインリップ部16aと両サイドリップ部16b、16cから吐出される樹脂膜の温度は、両サイドリップ部16b、16cから吐出された樹脂膜の温度を、メインリップ16a部から吐出される樹脂膜の温度よりも低くすることにより、両サイドリップ部16b、16cから吐出される樹脂の粘度を相対的に高く維持して、樹脂膜のネックイン或いは揺れ抑制することができる。その場合の温度調整は、分岐部18a、18bによって分岐された後のそれぞれの樹脂配管およびTダイ12のメインリップ部16aと両サイドリップ部16b、16cを別々に電熱ヒーターにて温調する。
【0024】
同様に、Tダイ12の両サイドリップ部16b、16cから吐出される樹脂膜の重量平均分子量(Mw)を、メインリップ部16aから吐出される樹脂膜よりも高くすることにより、両サイドリップ部16b、16cから吐出される樹脂の粘度を相対的に高く維持することができる。この重量平均分子量は、樹脂の温度及び滞留時間に依存し、滞留時間が長いと熱履歴が大きくなり分子量は低下する。
【0025】
さらに、Tダイ12の両サイドリップ部16b、16cから吐出された樹脂膜の膜厚を、メインリップ部16aから吐出された樹脂膜の膜厚よりも厚くすることにより、サイドリップ部16b、16cから押出された樹脂膜の強度(剛性)を相対的に高くし、ネックイン或いは揺れを効果的に抑制することができる。
この膜厚調整は、サイド部のリップ開口面積と吐出量で決まり、開口面積は前述と同様にTダイ両側板部14a、14bの型替えによって行うことができる。
【0026】
以上のようにして押出されたメイン樹脂膜11a及びサイド樹脂膜11b,11cとは、いずれも溶融状態で左右密着状態で一体的に押し出されるのでキャスティングロール13上において完全に一枚の無延伸樹脂フィルムとなる。
また、前述した樹脂フィルムに同時または別工程で二軸延伸を施し、延伸フィルムとしても良い。
尚、何れの場合もサイド樹脂膜11b、11cおよびメイン樹脂膜11aの両端の一部(平坦膜厚でない所)は、必要に応じトリミングされる。
【0027】
図7に、本発明の製造方法によって形成されたフィルムを金属板などの基材にラミネートして樹脂被覆金属板を製造する場合に用いる樹脂被覆金属板製造装置の概略側面図を示す。
図7において、樹脂被覆金属板製造装置は、基材25を予備加熱する加熱手段28と、溶融樹脂を樹脂膜11として押し出すTダイ12と、Tダイ12から押し出された樹脂膜11を一旦受け止めるプレロール27と、基材25と熱融着させるラミネートロール26a,26bと、形成された樹脂被覆金属板29を急冷するための冷却装置30とを有する。
尚、加熱手段28としては、たとえば、通電加熱、高周波誘導加熱、赤外線加熱、熱風炉加熱、ローラ加熱等の手段を用いることができる。しかし、本発明は上記例示に限定されるものではない。
加熱手段28での予備加熱により、金属基材は、熱可塑性樹脂の融点をTmとすると、(Tm−80℃)〜(Tm+50℃)の温度に予熱されることが好ましい。さらに(Tm−50℃)〜(Tm+30℃)の温度に予熱されることが特に好ましい。この予熱温度が、上記範囲よりも低い場合には、被覆樹脂膜との密着力が十分でなく、一方、上記範囲よりも高いと金属基材が軟化しやすい。
【0028】
(樹脂)
〔熱可塑性樹脂〕
本発明におけるTダイメイン部から押し出される熱可塑性樹脂としては、押出により膜形成ができるものであれば特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンチン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。
【0029】
加工性、耐食性などの観点から特に好適な熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル又は共重合ポリエステル、それらをブレンドした物、或いはそれらの積層体が挙げられる。中でも、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルが好適に用いられる。
【0030】
原料ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートそのものも使用可能であるが、ポリエステル中にエチレンテレフタレート以外の共重合エステル単位を導入することが好ましい。導入により、被覆樹脂膜の結晶化度を下げることでき、ラミネート材の耐衝撃性や加工性の点で望ましいからである。
また、エチレンテレフタレート単位を主体とし他のエステル単位を少量含む、融点が210〜252℃の共重合ポリエステルを用いることも好ましい。
【0031】
一般に共重合ポリエステル中の二塩基酸成分の70モル%以上、特に75モル%以上がテレフタル酸成分から成り、ジオール成分の70モル%以上、特に75モル%以上がエチレングリコールから成り、二塩基酸成分及び/又はジオール成分の1〜30モル%、特に5〜25%がテレフタル酸以外の二塩基酸成分及び/又はエチレングリコール以外のジオール成分から成ることが好ましい。
【0032】
テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロへキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−へキシレングリコール、シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
これらのコモノマーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記範囲とするものである必要がある。
また、トリメリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール等の多官能性単量体を組み合わせて用いることもできる。
【0033】
ポリエステル樹脂は、膜を形成するに足る分子量を有するように、固有粘度(I.V.)が0.55〜1.9dl/g、特に0.65〜1.4dl/gの範囲にあるものが望ましい。
上記の熱可塑性樹脂には、必要により、たとえば老化防止剤、改質剤、顔料をはじめ、アミノ樹脂やエポキシ樹脂などを適宜配合することもできる。しかし、本発明は上記の例示に限定されるものではない。
【0034】
上記被覆樹脂膜には、金属基材を隠蔽する目的で、また、絞り−再絞り成形時等に金属基材へのしわ押え力の伝達を助ける等の目的で、無機フィラー(顔料)を含有させることもできる。
また、被覆樹脂膜には、非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0035】
無機フィラーとしては、ルチル型またはアナターゼ型の二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等の無機白色顔料;バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸カルシウム、石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、焼成或は未焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホワイト、合成又は天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の白色体質顔料;カーボンブラック、マグネタイト等の黒色顔料:ペンガラ等の赤色顔料;シエナ等の黄色顔料;群青、コバルト青等の青色顔料を挙げることができる。
これらの無機フィラーは、樹脂当り10〜500重量%、特に10〜300重量%の量で配合させることが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂による膜は、単層膜又は複層膜のいずれであってもよく、多層膜は多層膜形成用Tダイなどによって用意される。
【0036】
尚、Tダイのサイドリップ部から押出される樹脂は、図1の場合はもちろんのこと、図2の場合においても、メインリップ部から押出される樹脂と同じものを使用することができ、仮にそれ自身があまり優れた製膜性を持たないポリエステル等であっても本発明により製膜性が確保される。
また、メインリップ部とサイドリップから押出されるが樹脂が同じ樹脂である場合には、サイドトリミング後の熱可塑性樹脂スクラップを容易に原料へ戻せるという利点を発揮する。
更に、図2の場合には、サイドリップ部から一般的に製膜性の優れる他の樹脂を吐出することにより、本発明の効果をより一層高めることも可能である。
【0037】
〔基材〕
樹脂フィルムとラミネートされる基材25としては、金属基材が好ましく用いられる。たとえば、飲料缶などの容器用の缶材料、屋根、壁、間仕切りなどの建築用材料、自動車用の内装材用材料、電気機器用材料、家具用材料、などに用いられている金属材、たとえば、各種表面処理鋼板などである。中でも、ティンフリースチール、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、錫めっき鋼板、錫合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム積層鋼板、ステンレス鋼板、などがあげられる。また、軽金属板などの基材である。中でも、アルミニウム金属板、が好ましく用いられる。また、上記金属基材の箔も好ましく用いられる。しかし、本発明は上記の例示に限定されるものではない。
【0038】
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特に10〜200mg/m2の金属クロム層と1〜50mg/m2(金属クロム換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このものは被覆樹脂膜密着性と耐腐食性とに優れている。
表面処理鋼板の他の例は、0.6〜11.2g/m2 の錫メッキ量を有すブリキ板である。このブリキ板の表面には、金属クロム換算で、クロム量が1〜30mg/m2 となるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0039】
軽金属板としては、純アルミニウム板、アルミニウム合金板等が使用できる。耐腐食性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.2〜1.5重量%、Mg:0.8〜5重量%、Zn:0.25〜0.3重量%、及びCu:0.16〜0.26重量%、残部がAlの組成を有するものである。
これらの軽金属板の表面も、金属クロム換算で、クロム量が20〜300mg/m2 となるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0040】
金属基材の厚みは、金属の種類、ラミネート材の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.10〜0.50mmの厚みを有するものが好ましい。
好ましくは、表面処理鋼板の場合には、0.10〜0.30mm、軽金属板の場合には0.18〜0.40mmの厚みを有することが好ましい。
【0041】
金属基材には、ラミネート前に接着剤層を形成しておくこともできる。
このような接着剤層は、金属基材と被覆樹脂膜との両方に優れた接着性を示すものが好ましい。
被覆樹脂膜密着性と耐腐食性とに優れた接着剤の代表的なものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系の接着剤である。
特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:50〜5:95重量比、特に40:80〜10:90の重量比で含有する接着剤である。接着剤層は、一般に0.3〜5μmの厚みとすることが好ましい。
【0042】
【実施例】
次に、本発明の溶融樹脂の押出方法を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
[実施例1]
図1に示すように、メインダイ12aの左右側板部14a、14bに単独流路を持ったTダイ12を用いて、融点(Tm)が220℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(PET/IA)樹脂を260℃で押出製膜した。
押出機10から押出された樹脂は、Tダイ12に入る前に、樹脂供給路分岐部18で、メイン流路19と、左側板部14aに設けられているサイド流路20aと左側板部14bに設けられているサイド流路20bへと分岐させた。
メイン流路19へ分岐された樹脂は、メインダイ12a内で幅方向に均一に広げられ、図3に示すリップ隙間(Lmc)0.8mm×幅(Lmw)400mmから、流速(Vm)2.4m/minで吐出させた。
左右サイド流路20a,20bへと分岐された樹脂は、それぞれ両側板部14a,14b内に設けられた側板内流路22a,22bを通りサイドリップ部16b,16cでメイン樹脂11aと合流させた。
サイド樹脂11b,11cは、図3に示すリップ隙間(Lsc)1.0mm×幅(Lsw)10mmから流速(Vs)7.7m/minで吐出させた。
この時のサイドリップ部16b,16cとメインリップ部16aでの樹脂吐出流速比は、3.2であり、サイドリップ部16b,16cから吐出された樹脂の重量平均分子量低下率(対ペレット重量平均分子量)は約13.3%であった。
この結果、製膜速度100m/min(膜厚20μm)まで耳揺れ,ネックインの発生が無く、安定して製膜が出来た。
【0043】
[実施例2]
実施例1での吐出量に対し、メインリップ部16aおよびサイドリップ部16b,16cともに、約1.5倍の吐出量に変更した以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
この時メイン流路19へ分岐された樹脂は、流速(Vm)3.6m/min,サイド流路20a,20bへ分岐された樹脂は流速(Vm)11.6m/minとなり、メインリップ部16aとサイドリップ部16b,16cでの樹脂吐出流速比を、実施例1と同様に3.2を保ったまま流速を増速させた。
その結果、製膜速度100m/minまで耳揺れ,ネックインの発生が無く、厚膜(30μm)でも安定して製膜が出来た。
【0044】
[実施例3]
実施例1での吐出量に対し、メインリップ部16aおよびサイドリップ部16b,16cともに約0.5倍の吐出量に変更した以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
この時メイン流路19へ分岐された樹脂は流速(Vm)1.2m/min,サイド流路20a,20bへ分岐された樹脂は流速(Vm)3.9m/minとなり、メインリップ部16aとサイドリップ部16b,16cでの樹脂吐出流速比を実施例1と同様に3.2を保ったまま流速を減速させた。
その結果、製膜速度100m/minまで耳揺れ,ネックインの発生が無く、薄膜(10μm)でも安定して製膜が出来た。
【0045】
[実施例4]
両側板部14a,14b内に設けられた側板内流路22a,22b内での滞留時間の短縮及び両側板部14a,14b温調により、サイド樹脂温度が240℃となるように吐出させ、サイドリップ部16b,16cから吐出されたサイド樹脂11b,11cの重量平均分子量低下率(対ペレット重量平均分子量)を約6.6%とした以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
その結果、製膜速度120m/min(膜厚17μm)まで耳揺れ,ネックインの発生が無く、安定して製膜が出来た。
【0046】
[実施例5]
メイン流路19へ分岐された樹脂を実施例1と同様に流速(Vm)2.4m/minで吐出させ、サイド流路20a,20bへ分岐された樹脂のみを図3に示すリップ隙間(Lsc)4.0mm×幅(Lsw)10mmから流速(Vs)7.7m/minで厚膜で吐出させた。
この時のメインリップ部16aとサイドリップ部16b,16cでの流速比は実施例1と同様に3.2であり、サイドリップ部16b,16cから吐出されたサイド樹脂11b,11cの重量平均分子量低下率(対ペレット重量平均分子量)は約9.3%で、それ以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
その結果、製膜速度120m/min(膜厚17μm)まで耳揺れ,ネックインの発生が無く、安定して製膜が出来た。
【0047】
[実施例6]
メイン流路19へ分岐された樹脂を実施例1と同様に流速(Vm)2.4m/minでメインリップ部16aから吐出させ、サイド流路20a,20bへ分岐された樹脂のみを側板内流路22a,22b内での滞留時間の短縮及びTダイ両側板部温調により、サイド樹脂温度が240℃となるように吐出させ、更に実施例5と同様に図3に示すリップ隙間(Lsc)4.0mm×幅(Lsw)10mmから流速(Vs)7.7m/minとして厚膜で吐出させた。
この時のメインリップ部16aとサイドリップ部16b,16cでの流速比は、実施例1と同様に3.2であり、サイドリップ部16b,16cから吐出されたサイド樹脂11b,11cの重量平均分子量低下率(対ペレット重量平均分子量)は約5.3%で、それ以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
その結果、製膜速度150m/min(膜厚13μm)まで耳揺れ,ネックインの発生が無く、安定して製膜が出来た。
【0048】
[実施例7]
図7に示すように、基材25を一対のラミネートロール26の中心を結ぶ線に対してほぼ直角方向に供給し、この基材25に対して少なくとも一方にTダイ12とプレロール27とを配置し、基材25に対して樹脂膜11を積層することにおいて、実施例1乃至6の何れかに記載の製膜装置構成および製膜方法を用いた以外は実施例6と同じ条件にて製膜しラミネート材を作成した。
その結果、ラミネート速度150m/min(膜厚13μm)まで耳揺れ,ネックインの発生が無く、全ての形状(形態)において基材全面に均一な膜厚を持った広幅のラミネート材が得られた。
【0049】
[比較例1]
メイン流路へ分岐された樹脂を実施例1と同様に流速(Vm)2.4m/minで吐出させ、サイド流路へ分岐された樹脂のみをサイド部とメイン部の流速比が1.0以下となるように吐出量を変更し、流速(Vs)1.9m/minで吐出させた。
この時の流速比は約0.8であり、サイド樹脂の重量平均分子量低下率(対ペレット重量平均分子量)は約20%であった。それ以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
その結果、製膜速度45m/min(膜厚44μm)で耳揺れ,ネックインが発生し、高速での安定した製膜が不可能であった。
【0050】
[比較例2]
メイン流路へ分岐された樹脂を実施例1と同様に流速(Vm)2.4m/minで吐出させ、サイド流路へ分岐された樹脂のみをサイド部とメイン部の流速比が約1.0となるように吐出量を変更し、流速(Vs)2.4m/minで吐出させた。
この時、サイド樹脂の重量平均分子量低下率(対ペレット重量平均分子量)は約17.3%であった。それ以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。この状態はメイン樹脂とサイド樹脂の吐出速度が等しく通常のTダイ製膜法とほぼ同じである。
その結果、製膜速度45m/min(膜厚44μm)で耳揺れ,ネックインが発生し、安定した製膜が不可能であった。
【0051】
[比較例3]
図5に示すように、メイン樹脂11aとサイド樹脂11b,11cとの合流位置をメインリップ部16aの前とし、既に合流させた状態でリップ部より吐出させた以外は実施例1と同じ条件で押出製膜した。
その結果、製膜速度100m/min(膜厚20μm)まで耳揺れ,ネックインの発生が無く製膜が出来たが、メイン樹脂とサイド樹脂の繋ぎ目に乱れが生じ製膜時にシワの発生となり良好な製品が得られなかった。上記の結果を表1にまとめた。
【0052】
【表1】
【0053】
上記実施例中において用いた用語は下記のように定義される。
(吐出流速)
ここで、メインリップ部およびサイドリップ部での吐出流速は、各リップ部の開口面積とそこに供給される樹脂の押出量によって決まる。
使用樹脂の溶融密度をρ,メイン流路への押出量をQm,サイド流路への押出量をQsとすると、メインリップ部での吐出流速(Vm)は、Vm=Qm / 60・Lmw・Lmc・ρで表される。
また、サイドリップ部は、専用の押出機あるいはギアポンプ等により両端へ分岐供給されるため、各サイド部への押出量は、Qs/2となり、この時各サイド部での吐出流速(Vs)は、Vs=(Qs/2)/60・Lsw・Lsc・ρ で表される。実施例内での数値は上記計算式に基づき求められた数値である。
【0054】
(樹脂温度)
実施例内での数値は、製膜前に条件が安定した垂れ流し時にリップ部から吐出された直後に接触式樹脂温度計にて測定した温度である。
【0055】
(分子量)
製膜後のフィルム分子量は、東ソー(株)製の高速GPC装置(HLC−8120GPC)にて重量平均分子量(Mw)を測定し、押出前のペレット重量平均分子量からの低下率を求めた。
【0056】
(製膜限界ライン速度/膜厚)
押出量を一定としライン速度を上げていき、ネックインおよび耳揺れが発生し始める速度を製膜限界ライン速度とした。樹脂の膜厚は、その限界ライン速度でのメイン部の膜厚である。
【0057】
以上、本発明について実施例を参照しつつ詳しく説明してきたが、請求項に記載された本発明の範囲を逸脱しない限りで修正を加えることは可能であり、本発明は前記実施例に拘束されるものではない。
【0058】
【発明の効果】
本発明においては、ネックイン及びフィルム端部(耳部)が波状となる状態(揺れ)の発生を防止でき、高速での製膜性に優れた樹脂フィルムの製造ができる。
又、ネックインを防止することにより膜厚の平坦部を拡大でき、樹脂の損失を軽減できる。
更に、本発明を適用して押出樹脂と基材とを高速でラミネートする方法及び装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す溶融樹脂の押出装置の概略を示す正面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示す溶融樹脂の押出装置の概略を示す正面図である。
【図3】本発明の溶融樹脂の押出装置に用いるリップ部の一実施の形態を示す底面図である。
【図4】本発明の溶融樹脂の押出装置に用いるリップ部から吐出される溶融樹脂の流れを説明する正面図である。
【図5】図4のB−B断面を示す矢視図である。
【図6】比較例のリップ部から吐出される溶融樹脂の流れを説明する正面図である。
【図7】本発明の溶融樹脂の押出装置をラミネート装置に適用した一実施の形態を示す概略側面図である。
【図8】従来の溶融樹脂の押出装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
Lsc: サイドリップ部の縦隙間
Lmc: メインリップ部の縦隙間
10: 押出機
10a: メイン用押出機
10b: サイド用押出機
11: 樹脂膜
11a: メイン樹脂膜
11b,11c: サイド樹脂膜
12: Tダイ
13: キャスティングロール
14a,14b: 側板部
16: リップ部
16a: メインリップ部
16b,16c: サイドリップ部
18a,18b: 樹脂供給分岐部
19: メイン流路
20a,20b: サイド流路
22a,22b: サイド流路
21: ギアポンプ
25: 基材
26a,26b: ラミネートロール
27: プレロール
28: 加熱手段
29: 樹脂被覆金属板
30: 冷却装置
102: Tダイ
102a: リップ
103: キャスティングロール
106: 揺れ
Claims (8)
- 溶融樹脂をTダイメイン部及び両サイド部から押出す溶融樹脂の押出方法であって、
Tダイの両サイドリップ部から吐出された樹脂膜の温度を、メインリップ部から吐出された樹脂膜の温度よりも低くするとともに、
Tダイ出口部における樹脂膜吐出流速を、メインリップ部よりも両サイドリップ部で速くしたことを特徴とする溶融樹脂の押出方法。 - Tダイの両サイドリップ部から吐出された樹脂膜の重量平均分子量(Mw)を、メインリップ部から吐出された樹脂膜よりも高くしたことを特徴とする、請求項1に記載の溶融樹脂の押出方法。
- Tダイの両サイドリップ部から吐出された樹脂膜の膜厚を、メインリップ部から吐出された樹脂膜の膜厚よりも厚くしたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶融樹脂の押出方法。
- Tダイのメインリップ部と両サイドリップ部とから吐出される溶融樹脂を、前記Tダイのリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の溶融樹脂の押出方法。
- Tダイのリップ部から吐出させた樹脂膜を下流に設けられたプレロールで樹脂膜全幅を受けて支持搬送し、次いでラミネートロールへ供給して基材に積層することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の溶融樹脂の押出方法。
- 溶融樹脂の押出製膜方法において、Tダイ出口部にメインリップ部と両サイドリップ部とがそれぞれ独立の樹脂膜吐出口を持ち、かつ、メインリップ部とサイドリップ部とから吐出される樹脂膜を前記Tダイのリップ部の樹脂膜吐出口直前で合流させてから吐出することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の押出方法のための溶融樹脂押出装置。
- 前記両サイドリップ部がリップ開度の独立調整機構を有することを特徴とする、請求項6に記載の溶融樹脂押出装置。
- Tダイのリップ部から吐出された樹脂膜全幅を受けて支持搬送するプレロールと、
前記プレロールから排出された樹脂膜を基材に積層するラミネートロールと、
を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の溶融樹脂押出装置。
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