JPH06305024A - 樹脂被覆金属板の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆金属板の製造方法

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JPH06305024A
JPH06305024A JP5119352A JP11935293A JPH06305024A JP H06305024 A JPH06305024 A JP H06305024A JP 5119352 A JP5119352 A JP 5119352A JP 11935293 A JP11935293 A JP 11935293A JP H06305024 A JPH06305024 A JP H06305024A
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高明 岡村
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厚夫 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性樹脂の大幅な損失を起こすことな
く、該樹脂のフイルム製膜から金属板への被覆までをす
べて一工程にて行い経済性に優れた樹脂被覆金属板を製
造する方法の提供。さらに、樹脂層に配向構造を残存さ
せ経済性ばかりでなく特性の優れた樹脂被覆金属板を製
造する方法の提供。 【構成】 押し出し機により熱可塑性樹脂を押し出しし
た後、二軸方向に延伸したフイルムを、該樹脂の融点以
上の一定温度に加熱された金属板に連続的に被覆する樹
脂被覆金属板の製造方法。さらに、熱可塑性樹脂と金属
板めっき皮膜を選択し、被覆後も一定の配向構造を残存
させる樹脂被覆金属板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂のフイル
ム製膜から金属板への被覆までをすべて一工程で行い、
しかも少ない樹脂損失で均一な膜厚分布を有す経済性の
優れた樹脂被覆金属板の製造方法に関する。より詳細に
は、熱可塑性樹脂を押し出し機より溶融押し出しした
後、該樹脂を金属板に被覆する前に二軸方向に延伸した
樹脂フイルムを金属板に被覆し、樹脂層の膜厚分布が幅
方向及び長手方向に均一な樹脂被覆金属板を得る方法に
関する。さらには、必要特性に応じて延伸温度や金属板
の表面処理皮膜組成を考慮することによって優れた加工
性及び密着性を有す樹脂被覆金属板を得る方法に関し、
該方法により得られた樹脂被覆金属板はその優れた経済
性、均一被覆性、及び特性により缶用材料、建材及び弱
電分野に適用可能なプレコート材料としても広く用いる
ことができるものである。
【0002】
【従来の技術】食缶あるいは飲料缶に用いられる金属缶
用素材であるテンフリースチール(以下、TFSと略
す)およびアルミニウムなどの金属板には一回あるいは
複数回の塗装が施されていた。この塗装を施すことは、
塗料の焼き付け工程が煩雑であるばかりでなく、多大な
焼き付け時間を必要とし、さらに多量の溶剤を排出する
ため、公害面からも排出溶剤を特別の焼却炉に導き焼却
しなければならないという問題を有していた。これらの
問題を解決するため、熱可塑性樹脂フイルムを加熱した
金属板に積層することが検討されてきた。例えば、ポリ
エステル樹脂フイルムを接着剤を用いることなく金属板
に積層する方法(特公昭60ー47103号)、金属板
にポリエステル樹脂を被覆後、急冷して、樹脂層の結晶
化度を30%以内にした被覆金属構造物(特公昭57ー
23584号)が開示されている。しかしながら、これ
らの方法ではいずれも被覆金属板を得るまでにフイルム
を製膜する工程と製膜したフイルムを金属板に被覆する
工程の二工程を要するため、従来の塗料を金属板に塗装
する方式に比し、環境問題はさることながら、経済性の
観点からでは、充分な優位性が見いだせていないのが実
状であった。一方、こう言った背景から、 最近では従
来からコーテイング紙や複合フイルムを製造する時に実
施されている押し出し機より押し出された溶融樹脂を直
接基材に被覆する方法(以下、押し出しラミネート法と
略す)を金属板の樹脂被覆に応用しようとする試みがな
されてきた。例えば、Tダイより溶融した熱可塑性樹脂
を予熱してある金属板に流下しニップロールで圧接して
樹脂被覆金属板を得る製造方法(特開平2ー24173
7号)、Tダイより押し出された溶融した熱可塑性樹脂
の幅方向の両端部の膜厚が異常に厚いため、鋼板より幅
の広い溶融熱可塑性樹脂を鋼板に被覆すると共に、鋼板
の他の面に該溶融熱可塑性樹脂よりもさらに幅の広い固
体熱可塑性樹脂フイルムを被覆することにより、溶融熱
可塑性樹脂の鋼板巻き付け側圧着ロールへの付着がな
く、膜厚分布が均一な両面樹脂被覆鋼板を得る製造方法
(特開平4ー294142号)などが開示されている。
【0003】特開平2ー241737号及び特開平4ー
294142号の製造方法は確かにフイルム製膜工程の
一部、あるいは全部を省くことが可能な方法ではある
が、特開平4ー294142号の記述にもあるように両
端部の膜厚が異常に厚くなるので、被覆可能な部分は中
央部近辺に限られるため、溶融押し出しした樹脂の内、
実際の鋼板の被覆には使用されない樹脂が多く、大幅な
樹脂損失が起こるという問題が新たに生じる。また、実
際の鋼板の被覆に使用されなかった端部の樹脂を再使用
しようとしても樹脂の熱劣化及び異物や他の樹脂の混入
が生じるため安定した被覆材としての特性が発揮できな
くなることや、再使用のための工程を新たに設けなけれ
ばならなくなることから樹脂を再使用するという方法も
特性及び経済性の観点から問題が残る。このように、押
し出しラミネート法による鋼板への被覆は、一見フイル
ム製膜工程が省略でき、経済性を有す製造方法のように
思えるが、適用については問題点も多く、現実には期待
した経済効果が得られていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明にて解決しよう
とする課題は樹脂の押し出しから金属板への被覆までを
一工程で行い被覆金属板を製造する押し出しラミネート
法において、該ラミネート法の特長とも言える経済効果
を著しく損なわさせている被覆時の樹脂の損失を大幅に
減少させることである。さらには、二軸配向構造を樹脂
フイルムに付与すると共に被覆後も二軸配向構造を残存
させることにより、樹脂フイルムの加工特性を大幅に向
上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため種々検討した結果、被膜の長さ及び幅方向
における膜厚の変動が少ない樹脂被覆金属板を経済的に
得るには被覆前の樹脂を長さ方向に延伸(以下、縦延伸
と略す)するだけでなく、幅方向にも延伸(以下、横延
伸と略す)する、すなわち二軸延伸することにより、従
来法の大きな問題であったフイルムの幅方向の膜厚変
動、特に端部の大幅な厚膜化を防止することが、押し出
しラミネート法においてもできることを見い出したもの
である。この膜厚変動減少は基本的には二軸延伸する前
に存在する膜厚差(D1) は二軸延伸することにより、
縦延伸倍率と横延伸倍率の積、すなわち面積倍率(M)
に逆比例して全体の膜厚が減少し、従って二軸延伸後の
膜厚差(D2)はD1/Mになるために達成されると考え
られる。さらに、本発明において、見い出したことは金
属板の表面処理皮膜の構成と樹脂の選択及び樹脂に付与
された配向構造の少なくとも一部は被覆後も残存させる
ことにより、樹脂損失の低減及び金属板被覆層の均一膜
厚化が可能となるばかりでなく、加工性及び密着性の良
好な被覆金属板を樹脂の溶融から金属板への被覆までを
すべて一工程で行う経済的な方法にて製造が可能となる
ことである。
【0006】以下、本発明の内容について詳細に説明す
る。本発明に用いられる高分子樹脂はポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレ
フィン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、塩化
ビニル樹脂等が挙げられるが、特に二軸延伸により被覆
金属板の樹脂層の膜厚の均一化を達成するだけでなく、
樹脂フイルムに適正な配向構造を付与して樹脂フイルム
の加工特性向上をも目的とする場合は、後記するように
樹脂被覆金属板にした時の樹脂フイルム特性にとって樹
脂の配向効果が高い樹脂を選択することが必要である。
【0007】次に、本発明において用いられる金属板と
しては、シート状および帯状の鋼板およびアルミニウム
板が挙げられ、鋼板表面に錫、ニッケル 、亜鉛 などの
1種あるいは2種以上の複層めっき、合金めっきを施
し、その上層にクロム酸処理を施し、表層にクロム水和
酸化物皮膜を形成させたたもの、あるいはアルミニウム
板に電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理を施し、表層
にクロム水和酸化物皮膜を形成させたものなどが用いら
れる。熱可塑性樹脂との密着性の観点からは、該鋼板お
よびアルミニウム板の表層にクロムとして3〜30mg/m
2 のクロム水和酸化物皮膜を有することがより好まし
い。クロム水和酸化物皮膜の量が該範囲外では密着性が
劣ってくるようになる。
【0008】次に、本発明において最も重要な要件であ
る熱可塑性樹脂を押し出しラミネート法により金属板に
被覆する方法について説明する。本発明は熱可塑性樹脂
を押し出し機で溶融押し出しした樹脂の二軸延伸、及び
二軸延伸した樹脂フイルムの金属板への被覆をすべて同
一工程にて行い、積層される樹脂層の膜厚の変動が少な
く、経済性の優れた樹脂被覆金属板を製造することを特
徴としており、その製造方法は大きくは下記1)、2)
に分けられ、いずれの方法を採用するかは経済性及び樹
脂被覆金属板に要求される特性を総合的に考慮して決定
すべきで特に限定するものではない。
【0009】1)押し出し機の狭いスリットより押し出
された熱可塑性樹脂を該樹脂のガラス転移温度(Tg)
+10℃〜融点(Tm)ー20℃の延伸温度範囲内の温
度で横延伸及び縦延伸し、該樹脂のTm〜Tm+150℃
の温度に加熱された金属板の片面あるいは両面に一対の
ラミネートロールにより、被覆し冷却することを一工程
にて行う製造方法。 2)押し出し機の狭いスリットより押し出された熱可塑
性樹脂を該樹脂のガラス転移温度(Tg)+10℃〜融
点(Tm)ー20℃の延伸温度範囲内の温度で横延伸し
たたフイルムを、該樹脂のTm〜Tm+150℃の温度に
加熱された金属板の片面あるいは両面に一対のラミネー
トロールにより、該樹脂のガラス転移温度(Tg)+1
0℃〜融点(Tm)ー20℃の範囲内の温度で縦延伸す
ると同時に被覆し冷却することを一工程にて行う製造方
法。 なお、前記1)、2)の製造方法において樹脂被覆金属
板に要求される樹脂フイルム膜厚の範囲外となる被覆前
あるいは被覆後のフイルムの端部の除去は工程上都合の
良い所で行って良い。また、ここで言うガラス転移温度
とは樹脂の状態がガラスあるいはゴム状態になる境界の
温度であり、各温度による樹脂の比容積を測定し、該比
容積ー温度曲線が折れ曲がりを開始する温度を示す。ま
た、融点とは示差走査熱量計(SS10,セイコー電子
工業(株)製)により10℃/分の昇温速度で昇温した
とき、1あるいは2以上の吸熱ピークが認められるが、
基本的にはそれらの吸熱ピークの最大深さを示す温度の
中で最高の温度を言うが、金属板との密着性が確保でき
るのであれば、低い方の吸熱ピークの最大深さを示す温
度を融点として良い。また、樹脂を延伸する時の温度は
幅方向の中央部の樹脂温度を示すが、該延伸時、樹脂の
幅方向の温度の変動が大きいと良好な膜厚分布が得られ
なくなる恐れがあるので、極力温度の変動は少なくすべ
きである。
【0010】前記1)、2)の方法は熱可塑性樹脂を押
し出し後、樹脂を固化状態で二軸延伸し、樹脂の膜厚の
変動を低減化することが目的の一つであるが、さらには
適用する樹脂を選択し、樹脂を金属板に被覆後も二軸延
伸により樹脂に付与された配向構造を残存させることに
より、配向構造が残存してない時よりも大幅な特性向上
を果たすことも目的の一つである。上記1)、2)の方
法においての延伸温度は重要な要件であり、該延伸温度
外では、均一な二軸延伸が不可能で部分的な片伸びが生
じるため樹脂フイルムの膜厚の変動が大きくなるので好
ましくなく、また、樹脂を選択して樹脂フイルムに適正
な配向構造を、付与させる場合にも同様に該延伸温度外
では均一な二軸延伸が不可能なため配向構造が部分的に
大きく異なってくるようになり好ましくない。一方、良
好な特性を有す樹脂被覆金属板を得るには前記被覆前の
樹脂の製膜条件も重要であるが、製膜されたフイルムを
金属板に被覆する時の金属板の温度も、また重要な要件
である。上記1)、2)の被覆する時の金属板の温度が
Tm 未満では樹脂が金属板に充分に濡れないため樹脂と
金属板間の良好な密着力の確保が困難で好ましくなく、
Tm+150℃を超えると樹脂の熱劣化が生じ樹脂の加
工特性が大幅に低下したり、樹脂と金属板間の良好な密
着力の確保が困難となる傾向があるので好ましくない。
また、樹脂被覆金属板の特性は被覆時の金属板の温度だ
けでなく、生産速度、ラミネートロールのニップ幅及び
被覆後の冷却条件等にも影響されるが、これらの条件は
生産性と設備費等の経済性を考慮して決定すべきでここ
では特に限定しない。
【0011】さらに、被覆金属板の樹脂に配向構造を残
存させて特性向上を行う場合、重要なのは二軸延伸によ
り特性向上に寄与する二軸配向構造を形成する樹脂の選
択と樹脂の配向構造を被覆後に残存させる割合(以下、
残存二軸配向度%と略す)である。該樹脂の選択につい
ては、樹脂に付与した配向構造が特性に大きく寄与す
る、即ち配向効果の高い樹脂を選択することが必要であ
り、該配向効果が期待出来る樹脂は、以下の一般式を有
すホモポリエステルやコポリエステルの単体、あるいは
ブレンド物である。一般式 あるいは 式中R1は炭素数2〜6のアルキレン基、R2は炭素数2
〜24のアルキレン基またはアリーレン基である。例え
ば、エチレンテレフタレート単位、あるいはブチレンテ
レフタレート単位を主体としたホモポリエステル樹脂、
共重合ポリエステル樹脂、あるいはこれらのブレンド樹
脂は配向効果も高く、また樹脂被覆金属板にした時の密
着性、加工性、及びバリアー性能等の総合的な樹脂特性
が優れており、該方法に適した樹脂と言える。樹脂の配
向構造により充分な特性向上を果たすには、選択された
樹脂を用いて二軸延伸するだけでは達成できなく、金属
板に被覆後の樹脂層の残存二軸配向度%を5〜85%に
することが必要である。該残存二軸配向度%が5%未満
では配向による樹脂の加工性向上が認められなくなり、
85%を超えると密着性が劣ってくるようになる。 な
お、 ここで言う残存二軸配向度%とはX線回折法によ
り求められた値であり、下記式により定義される。 ラミネート前の二軸配向ポリエステルフイルム及びラ
ミネート後の該フイルムについてX線回折強度を2θ=
20〜30゜の範囲で測定する。 2θ=20゜、2θ=30゜におけるX線回折強度曲
線を直線で結びベースラインとする。 2θ=22〜28゜近辺にあらわれる最も高いピーク
の高さをベースラインより測定する。 ラミネート前のフイルムの最も高いピークの高さをP
1、 ラミネート後のフイルムの最も高いピークの高さを
P2とした時、 P2/P1×100を残存二軸配向度%と
する。
【0012】溶融樹脂の押し出し方法は溶融樹脂を押し
出し機の先端に付けたTダイ(フラットフイルムダイ)
により押し出す方法(Tダイ法)でも環状スリットを有
するダイにより押し出す方法(インフレーション法)で
も良い。インフレーション法の場合は筒状のフイルムが
製膜されるが、両端をスリットして得られた二枚のフイ
ルムの一方を金属板の片面にもう一方を金属板の他の面
に被覆しても良いし、両端をスリットしないでフラット
にして金属板の片面に被覆しても良い。また二軸延伸は
縦延伸と横延伸を同時に行っても良いし、縦延伸と横延
伸を別々に行っても良いが、該二軸延伸法については前
記1)、2)のいずれの製造方法によって樹脂被覆金属
板を製造するか、Tダイ法とインフレーション法のいず
れの方法で押し出すか、あるいは樹脂被覆金属板に要求
される経済性及び特性等を充分考慮して決定すべきであ
る。また、二軸延伸時の延伸倍率はフイルムの膜厚分布
および配向構造に大きく影響するが、該延伸倍率につい
ても被覆金属板の必要特性及び経済性を考慮して決定す
べきでここでは特に限定しないが、一般的には、最終的
には両方向とも延伸直前の樹脂の幅、 あるいは長さの
1.5倍以上延伸しないと膜厚の変動に対して充分な低
減効果が得られない。一方、金属板に被覆された後のフ
イルムの膜厚分布は、被覆金属板の中央部の樹脂膜厚に
対する中央部と端部の樹脂膜厚の差の百分率(以下、膜
厚分布%と略す)により評価できるが、該膜厚分布%は
一般的には25%以内であることが好ましいが、樹脂被
覆金属板に要求される膜厚分布および生産性を含めた経
済性を考慮して決定すべきでここでは特に限定しない。
また、前記2)の製造方法においては、一対のラミネー
トロールにより縦延伸する前に横延伸だけでなく補助的
に縦延伸しても良いし、被覆前のフイルムを該フイルム
のTm以下の温度で熱固定処理を行っても良い。
【0013】また、本発明の樹脂被覆金属板の樹脂層の
厚さは、必要特性および経済性を考慮して決定すべき
で、特に限定するものではないが、一般的には樹脂層の
厚さは3〜40μmである。一方、該樹脂に、必要に応
じ、他の特性をあまり損なわない範囲内で安定剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、顔料、滑剤、腐食防止剤などのよ
うな添加剤を加えてもよい。
【0014】本発明の金属板を加熱する方法には、公知
の熱風循環伝熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式、ヒ
ートロール方式などがあり、 これらの方式を単独で用
いても、あるいは併用してもよい。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例について説
明する。
【0016】実施例1 ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポ
リエステル樹脂(重合時のイソフタル酸のモル%=12
モル%、Tm=226℃、Tg=76℃)をTダイ押し出
し機により押し出し(押し出し直後の樹脂温度=265
℃、樹脂の押し出し量=206g/分)、冷却ロールに
て、85℃の樹脂温度まで冷却してフイルムとし、続い
て該フイルムを予熱して100℃の温度を有す樹脂を縦
延伸(延伸時の樹脂温度=100℃、延伸倍率=2.5
倍)後、 横延伸(延伸時の樹脂温度=115℃、延伸
倍率=2.5倍) したフイルムを200℃の温度で3秒
間熱固定した後、該フイルムの幅方向の両端から各7m
mをスリットして除去したフイルム(幅=260mm)
を、誘導加熱ロールにより246℃に加熱した帯状のT
FS(金属クロム量:95mg/m2、クロム水和酸化物量:
クロムとして20mg/m2、板厚:0.21mm、板幅:25
0mm、テンパー度:T−5)の片面に、一対の90℃の
表面温度を有すシリコンロールを用いて25m/分の被
覆速度で連続的に被覆し、5秒後に水中に浸漬冷却後、
金属板の幅よりはみ出しているフイルムをスリットして
除去した。被覆前及び被覆後にスリットして除去された
樹脂重量は金属板の被覆に用いられた樹脂重量の15%
であった。さらに、得られたポリエステル樹脂被覆TF
Sの中央部の樹脂層の膜厚は20μm、膜厚分布%は1
0%、また、残存二軸配向度%は23%であった。
【0017】実施例2 実施例1と同様の共重合ポリエステル樹脂をTダイ押し
出し機により押し出し(押し出し直後の樹脂温度=26
0℃、樹脂の押し出し量=513g/分)、冷却ロール
にて、70℃の樹脂温度まで冷却し、続いて該フイルム
を予熱して105℃の温度を有す樹脂を横延伸(延伸時
の樹脂温度=105℃、延伸倍率=2. 8倍)したフイ
ルムの幅方向の両端から5mmをスリットして除去した
110℃の温度を有すフイルムを、110℃の表面温度
を有す一対のシリコンロールを用いて60m/分の被覆
速度で連続的に縦延伸(延伸時の樹脂温度=110℃、
延伸倍率=2.4倍、被覆直前のフイルム幅=260m
m) すると同時に誘導加熱ロールにより238℃に加
熱した実施例1と同様な帯状のTFSの片面に被覆し、
2秒後に水中に浸漬冷却後、金属板の幅よりはみ出して
いるフイルムをスリットして除去した。被覆前及び被覆
後にスリットして除去された樹脂量は金属板の被覆に用
いられた樹脂量の18%であった。さらに、得られたポ
リエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜厚は2
0μm、膜厚分布%は10%、また、残存二軸配向度%
は82%であった。
【0018】実施例3 金属板の被覆に用いた樹脂がポリエチレンテレフタレー
ト樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を重量比で
1:1 の割合で配合したポリエステル樹脂(Tm=24
4℃,Tg=48℃)、 押し出し直後の樹脂温度が27
5℃、樹脂の押し出し量が223g/分、及び254℃
に加熱したTFSに被覆した他は、実施例1と同様な金
属板及び方法にてポリエステル樹脂被覆TFSを得た。
被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量は
金属板の被覆に用いられた樹脂重量の16%であった。
さらに、得られたポリエステル樹脂被覆TFS中央部の
樹脂層の膜厚は20μm、膜厚分布%は15%、また、
残存二軸配向度%は42%であった。
【0019】実施例4、5 TFSのクロム水和酸化物量がクロムとして5mg/m2
あるいは28mg/m2である他は実施例1と同様の共重合
ポリエステル樹脂及び方法にて被覆金属板を得た。被覆
前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量、得ら
れたポリエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜
厚、膜厚分布、また、残存二軸配向度はクロム水和酸化
物量にかかわらず、いずれも実施例1と同様であった。
【0020】比較例1 実施例1と同様の共重合ポリエステル樹脂をTダイ押し
出し機により押し出し(押し出し直後の樹脂温度=26
0℃、樹脂の押し出し量=340g/分)、冷却ロール
にて85℃の樹脂温度まで冷却し、続いて該フイルムの
幅方向の両端から20mmをスリットして除去したフイ
ルム(幅=260mm)を実施例1と同様の帯状のTF
S及び方法にて被覆金属板を得た。被覆前及び被覆後に
スリットして除去された樹脂重量は金属板の被覆に用い
られた樹脂重量の49%であった。さらに、得られたポ
リエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜厚は2
0μm、膜厚分布%は75%であった。
【0021】比較例2、3 TFSのクロム水和酸化物量がクロムとして2mg/m2
あるいは34mg/m2である他は比較例1と同様の共重合
ポリエステル樹脂及び方法にて被覆金属板を得た。被覆
前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量、得ら
れたポリエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜
厚、及び膜厚分布はいずれも比較例1と同様であった。
【0022】実施例1〜5 および比較例1〜3 で得ら
れた樹脂被覆金属板の中央部を採取し下記にて加工性及
び密着性を評価し、その結果を表1および表2に示し
た。 (1)密着性 樹脂被覆金属板より、ブランク径が80mmの円板を打ち
抜き、試験面を外面にして深絞り加工(絞り比=1.
6) して得たカップを110℃の温度で30分間レト
ルト処理し、深絞りカップの側面の樹脂層の剥離程度を
肉眼で評価し、剥離無しを5、ほぼ全面剥離を1とし、
5段階で表示した。 (2)加工性 5℃の温度を有している被覆金属板を試験面を下にし
て、先端の直径が1/2インチの鋼球を有している棒
(重さ1kg)を高さ40mmより落下させ、試験面の凸部
に3%食塩水を含浸させたスポンジをあて、 試料に6.
3Vの直流電圧を印加し、流れる電流値を測定し、樹脂
層の加工性を評価した。(流れる電流値が少ないほど加
工性良好)
【0023】
【表1】 (注) 1)上記記載のPETIはホ゜リエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ホ゜
リエステル樹脂を、E//Bはホ゜リエチレンテレフタレート樹脂とホ゜リフ゛チレンテレフ
タレート樹脂を重量比で1:1 の割合で配合したホ゜リエステル樹脂
を示す。 2)上記記載の除去量%は被覆前及び被覆後にスリット
して除去された樹脂の金属板の被覆に用いられた樹脂に
対する重量百分率である。 3)上記記載のBO%は残存二軸配向度%を示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明の樹脂被覆金属板の製造方法によ
り、フイルムの製膜から該フイルムの金属板への被覆ま
でをすべて一工程で行う押し出しラミネート法におい
て、従来技術の大きな問題であった大幅な樹脂損失を起
こすことなく製造することが可能となり、経済性の優れ
た被覆金属板を得ることができる。さらに、樹脂及び金
属板の表面処理皮膜を選択し、二軸延伸によりフイルム
に付与した二軸配向構造を金属板に被覆後も残存させる
ことにより、経済性ばかりでなく加工性及び密着性に優
れた被覆金属板を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 31/30 7148−4F B29K 105:22 B29L 9:00 4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押し出し機により熱溶融させた熱可塑性
    樹脂を、狭いスリットより押し出し、該樹脂のガラス転
    移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)ー20℃の延伸温
    度範囲内の温度で横延伸及び縦延伸し、該樹脂のTm〜
    Tm+150℃の温度に加熱された金属板の片面あるい
    は両面に一対のラミネートロールにより被覆し冷却する
    ことをすべて一工程にて行うことを特徴とする樹脂被覆
    金属板の製造方法。
  2. 【請求項2】 押し出し機により熱溶融させた熱可塑性
    樹脂を、狭いスリットより押し出し、該樹脂のガラス転
    移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)ー20℃の延伸温
    度範囲内の温度で横延伸したフイルムを、該樹脂のTm
    〜Tm+150℃の温度に加熱された金属板の片面ある
    いは両面に一対のラミネートロールにより該樹脂のガラ
    ス転移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)ー20℃の範
    囲内の温度で縦延伸すると同時に被覆し冷却することを
    すべて一工程にて行うことを特徴とする樹脂被覆金属板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂が以下の一般式を有すホモ
    ポリエステルやコポリエステルの単体、あるいはブレン
    ド物であり、該熱可塑性樹脂を被覆後の残存二軸配向度
    %が5〜85%であることを特徴とする請求項1または
    2の樹脂被覆金属板の製造方法。一般式 あるいは 式中R1は炭素数2〜6のアルキレン基、R2は炭素数2
    〜24のアルキレン基またはアリーレン基。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂被覆面の金属板が表面に、
    クロムとして3〜30mg/m2のクロム水和酸化物皮膜を
    有していることを特徴とする請求項1、2 または3の
    樹脂被覆金属板の製造方法。
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