JP3629666B2 - 多軸かんな盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多軸かんな盤に関し、更に詳しくは、テーブル面を挟んで上下および左右に切削機構を夫々配設することによって、被加工材料における各面部の表面を平滑に切削加工するようにした多軸かんな盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば建築材料として使用される木材等の被加工材料を加工するための各種装置が広く普及している。このうち所定断面に成形された被加工材料の表面をかんな掛けして平滑に仕上げる装置として、所謂かんな盤が使用されている。このかんな盤には、回転切削体を備えた切削機構が配設されており、この切削機構を被加工材料の表面から切削幅だけ近接させた位置に設定した後、搬送方向上流側から被加工材料を供給することによって、該被加工材料の表面が切削されるようになっている。この表面の切削加工を行なうかんな盤としては、例えば被加工材料の1面のみを切削する所謂一面かんな盤や、上面および下面等を同時に切削する二面かんな盤が主として使用される他、被加工材料全体を真直に切削するために、テーブル面を挟んで上下および左右に切削機構を夫々設けた四面かんな盤があり、これらのかんな盤が、被加工材料において加工が必要な面部やその大きさ等に応じて各種使い分けがなされている。なおこの切削に供される被加工材料は、その前工程において、例えば日光等で水分を蒸発させて所謂「曲り」を生じさせておく。これによって切削加工後における被加工材料の「曲り」を生じさせないようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、「曲り」を設けた被加工材料を切削するに際しては、該被加工工材料が使用される箇所に応じて、1面あるいは2面だけの仕上げを施す場合や、4面全体を切削して真直に成形することが適宜選択される。すなわち家屋内の柱や床面等に使用される被加工材料には真直度が重視される一方、例えば屋根を形成する梁部分は、その上下面のみ平行で、左右方向に関しては若干の「曲り」が生じていても使用に問題がないとされている。しかしながらこれらの使用箇所に応じて各種のかんな盤を全て用意することは、加工業者にとって設備投資の面から不経済となってしまう難点がある。
【0004】
また被加工材料の「曲り」を除去して真直に成形する場合には、図16に示すように、この「曲り」が大きい部分と小さい部分とでは、真直部分としての有効部分に差があるため、切削量が多い部分と少ない部分とが生じることになる。また同じ規格で原木から一次加工された被加工材料14であっても、各材料の「曲り」によっては、厚みの異なる真直材が成形されてしまう欠点がある。従って、このような場合は、被加工材料14の切削箇所を適宜限定したり、また前記梁部のようにある程度の「曲り」が許容された状態で、その表面のみを所謂倣い切削することにより、被加工材料14の無駄を解消することもあり得る。しかしながら、前記一面かんな盤や二面以上の多軸かんな盤では、このような被加工材料の「曲り」に追従して切削できる機種が存在しなかった。なおこの追従機能に関しては、例えばコンピュータ制御されたモルダーによって代用することもできるが、この「曲り」に沿った切削加工自体は、切削加工全体の割合からしてもあまり多くはなく、このための設備として該モルダーを購入することは、加工業者にとって過大な設備投資となってしまう。従ってこれまでのかんな盤の機能の他に、前記倣い加工を行ない得る機能を備えたかんな盤が、これまでになく希求されている。
【0005】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に内在している前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、被加工材料の搬送方向に対して切削機構を適宜近接あるいは離間し得るよう構成することによって、該被加工材料を真直に切削加工したり、また被加工材料の「曲り」等に倣って切削加工し得るようにした多軸かんな盤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため本発明は、被加工材料が搬送される水平なテーブル面または基準ロール面と、前記テーブル面または基準ロール面を搬送される被加工材料の上面を切削する回転切削体を、該テーブル面または基準ロール面と平行でかつ被加工材料の搬送方向に対し直交する方向に配設した上切削機構と、前記テーブル面または基準ロール面を挟んで前記上切削機構と対向して、被加工材料の下面を切削する回転切削体を、該上切削機構の回転切削体と平行に配設した下切削機構と、前記テーブル面または基準ロール面の左側面に配設され、該テーブル面または基準ロール面を搬送される前記被加工材料の左側面を切削する回転切削体を有する左切削機構と、前記テーブル面または基準ロール面の右側面に配設され、被加工材料の右側面を切削する回転切削体を有する右切削機構とからなる多軸かんな盤において、
前記上切削機構を、前記テーブル面または基準ロール面上に搬送される被加工材料の上面に倣って昇降動し得るよう構成し、
前記下切削機構を、前記テーブル面または基準ロール面上に搬送される被加工材料の下面に倣って昇降動し得るよう構成し、
前記左切削機構を、前記テーブル面または基準ロール面上に搬送される被加工材料の左面に倣って横方向に移動し得るよう構成し、
また前記右切削機構を、前記テーブル面または基準ロール面上に搬送される被加工材料の右面に倣って横方向に移動し得るよう構成し、
前記上切削機構および下切削機構を連結材を介して一体的に接続することにより、前記被加工材料の上面および下面に倣いつつ一定の厚みでもって切削加工し得るよう構成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る多軸かんな盤につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0008】
【第1実施例】
前記多軸かんな盤10は、図1および図3に示すように、筐体11を形成するテーブル面12の搬送方向上流側に、被加工材料14の上面を切削加工する上切削機構16および下面切削用の下切削機構18が配設されると共に、テーブル面12の搬送方向下流側近傍に、被加工材料14の左右側面を切削する左切削機構20と右切削機構22とが各々対向的に配設されたものであって、これらの各切削機構が、テーブル面12に対して近接離間する方向に揺動し得るよう構成されている。なお各切削機構を揺動させる構成自体は基本的に同一であるため、上切削機構16についてのみ説明するものとする。またテーブル面12は、被加工材料14の搬送基準面に沿って所定間隔で複数並列配置したロール面も含んだものとする。
【0009】
前記上切削機構16は、前記テーブル面12上に立設された梁部30に対して、該テーブル面上を搬送される被加工材料14の上面に倣って昇降動し得るよう配設されている。すなわち該上切削機構16は、垂直方向に沿って所要長さに延在成形されたコラム24と、該コラム24の下端部に回転可能に配設された回転切削体26および該回転切削体26に取付けられた回転刃26aとから基本的に構成されたものであって、この上切削機構16が、テーブル面12の背面側における上流側と下流側および略中央部に立設された支柱28および該支柱28を介して昇降可能に配設された前記梁部30と同時に昇降し、更に該テーブル面12に近接離間するよう上下方向に揺動可能に配設されている。この梁部30がテーブル面12の搬送方向上流側に位置した部分には、上切削機構16を支持するための支持体32が、例えば溶接あるいはボルト等の締結部材によって固着されている。
【0010】
そして上切削機構16は、図に示すように、そのコラム24が前記支持体32の下流側面に対してリンク機構34で接続されており、これによって該上切削機構16が支持体32に対して上下方向に揺動し得ることになる。また該コラム24の下流側には、バランスシリンダ36が配設されている。このバランスシリンダ36は、その下端部がコラム24の下側面に軸着されると共に、上端部が、支持体32の上面から搬送方向下流側に向って水平に延在する支持棒38の他端部に取付けられている。このバランスシリンダ36により、無負荷状態における上切削機構16が支持体32に対して一定の高さ位置に保持されると共に、後述する如く、切削加工時における被加工材料14の屈曲面に追従し得るようになっている。なお該バランスシリンダ36は、後述する下切削機構18と左切削機構20および右切削機構22にも同一の構成でもって配設されている。また上切削機構16を一定高さで支持する機構としては、該バランスシリンダ36の他に、例えば、バランスウェイト(図示せず)を介して行なうようにしてもよい。
【0011】
また前記バランスシリンダ36が設けられたコラム24の下流側面には、図3に示すように、水平方向に延在する突片40が一体成形されている。この突片40を挟んだ上下位置には、回転軸が偏心したカム42,42が前記梁部30に取付けられており、上切削機構16は、この偏心カム42,42の間で揺動し得るよう構成されている。更に下側の偏心カム42と突片40との間には、図示しないアクチュエータによって水平方向に進退自在に移動するストッパ44が配設されている。ストッパ44の上部には、例えばストッパボルト46が螺入されており、これを上切削機構16の揺動軌跡内に臨ませると共に突片40に当接させることによって、上切削機構16の揺動を規制して被加工材料14の真直削りを行なうようになっている。なお上切削機構16は、前記偏心カム42,42を回転させることで、その揺動範囲を若干変更することができる。
【0012】
更に上切削機構16の下端部には、前記回転切削体26を搬送方向に挟んでチップブレーカ48およびプレッシャーバー50が夫々配設されている。このうち上流側に配設されたチップブレーカ48は、テーブル面12に対して僅かな傾斜が付された薄板状の部材であって、図4に示すように、その上流側端部が前記コラム24に軸着されると共に、中央部分の軸着された部分が図示しない機構を介して僅かに昇降動するようになっている。なお回転切削体26に近接する該チップブレーカ48の昇降端部は、該回転切削体26に取付けられた前記回転刃26aの回転端部よりも前記コラム24に近接するよう若干高く設定されている。すなわちこの回転刃26aの回転端部とチップブレーカ48とのレベル差が、被加工材料14の上面を切削する際の切削深さとなる。
【0013】
前記チップブレーカ48と対向配置された下流側の前記プレッシャーバー50は、該チップブレーカ48と同様に薄板状の部材であって、その一端部が屈曲されてコラム24の下流側面にボルト等を介して固着されている。また該プレッシャーバー50の屈曲端部は、回転刃26aの回転端部と一致するレベルに設定されている。
【0014】
また前記上切削機構16よりも若干上流側に配設された前記下切削機構18は、前記テーブル面12上に搬送される被加工材料14の下面に倣って昇降動し得るよう前記筐体11に配設されている。すなわち該下切削機構18は、前記上切削機構16を180度回転させた状態で、該上切削機構16と同様にリンク機構34を介して前記筐体11に揺動自在に取付けられている。下切削機構18には、そのコラム53の上端部に配設される回転切削体52を挟んだ上流側にチップブレーカ54が配設されると共に、下流側にプレッシャーバー56がボルト等で固着されている。このうちチップブレーカ54の取付け基部には、上下方向に設けられた長溝(図示せず)に該ボルトが挿通されている。そして該チップブレーカ54は、その屈曲端部と回転切削体52の回転端部との間にレベル差を設けた位置に前記長溝を介して調節された後に、該ボルトでコラム53に支持固定される。
【0015】
なお、前記梁部30が支柱28に支持されている部分には、図1に示すように、被加工材料14を下流側に順次搬送するための送りロール58が、該梁部30の下面から垂直下方に設けられた連結支柱29を挟んで搬送方向上流側および下流側に配設されている。この連結支柱29には、図2に示す如く、その幅寸法と略同一に設定された送りロール軸受け60が、該送りロール軸受け60の両端部に取付けられたフランジ部材62を介して揺動可能に配設されている。また該送りロール軸受け60には、テーブル面12の長手方向と直交した水平方向に回転軸64が軸支されており、この回転軸64に対して例えば3基の送りロール58が、テーブル面12の上方において等間隔に挿通配置されている。この送りロール58は、筐体背面側のフランジ部材62に取付けられたギヤードモータ等および前記回転軸64を介して駆動力が与えられると共に、テーブル面12を搬送される被加工材料14の幅寸法に応じて離間幅を変更し得るように構成されている。なお、送りロール58の回動下端部は、無負荷状態において上切削機構16に配設された回転切削体26の回転下端部とレベルが一致するよう設定されている。
【0016】
更にテーブル面12の下流側には、被加工材料14の左側面を切削加工する左切削機構20が、前記テーブル面12上に搬送される被加工材料14の左面に倣って近接離間し得るよう前記筐体11に配設されている。すなわち該左切削機構20は、前記上切削機構16および下切削機構18と同様にリンク機構34を介して筐体11に配設されたものであって、そのコラム76が、該筐体11の長手方向側面に設けられた台座66の上面に載置されている。この台座66は、テーブル面12よりも若干低い高さに設定され、その上面に該テーブル面12と直交する1対のレール68,68が並列配置されており、左切削機構20が該レール68,68上に載置されている。またレール68,68が相互に離間する中央には、モータ等の駆動源が一端部に接続されたネジ70が該レール68,68と平行して設けられており、このネジ70に対して左切削機構20の下面に配設されたナット72が螺合している。従って該左切削機構20は、駆動源を介してネジ70を回転させることにより、テーブル面12に近接離間し得るようになっている。なお該左切削機構20には、前記上切削機構16と同様に、回転切削体74の上流側に、前記コラム76に対して近接離間するチップブレーカ78が配設されている。
【0017】
また左切削機構20から若干上流側に偏移した位置には、該左切削機構20と同様に、前記テーブル面12上に搬送される被加工材料14の右面に倣って近接離間し得る右切削機構22が前記筐体11に配設されている。この右切削機構22は、図2に示すように、テーブル面12を挟んで該左切削機構20と対称的に配置されており、筐体11の背面側に接続された支持部80に対し、リンク機構34を介してテーブル面12と近接離間するよう構成されている。なお右切削機構22は、図に示す如く、無負荷状態における回転切削体82の位置が、テーブル面12の背面側に立設された基準面12aに常に到来するよう予め設定されているが、被加工材料14を真直に切削加工する際には、図示しないストッパ機構によってこの基準面12aで支持固定されるようになっている。また前述した各切削機構は、シーケンサ等の制御装置によって被加工材料14の切削深さを設定すると共に、該被加工材料14を真直仕上げまたは倣い仕上げにするかを自動的に選択し得るようになっているが、これらは、例えば数値制御装置やコンピュータ制御であってもよい。更に多軸かんな盤10の上流側には、図示しない材料測定装置が配設されている。従って被加工材料14の切削においては、該測定装置によって得られた切削加工前における被加工材料14のデータを、該多軸かんな盤10の制御装置に送り込むことにより、各切削機構(特に上切削機構16および左切削機構20)が設定位置にまで移動し得るようになっている。
【0018】
前記テーブル面12の上流側端部および下流側端部には、被加工材料14を速やかに下流側に移行させるための搬送機構84が、該テーブル面下に配設されている。この搬送機構84は、図5に示すように、長手方向の略中央部が回転支軸86で軸着されたレバー片88および該レバー片88の一端部に回転可能に配設された搬送ロール90とから基本的に構成されている。該搬送ロール90が配設された一端部近傍には、その下方において垂直方向に配置されたシリンダ92のロッドが接続されており、常には、該シリンダ92によってレバー片88が上方に付勢されている。また該シリンダ92が設けられたレバー片88の下方には、前記回転支軸86を挟んだ位置に偏心カム93,93が回転可能に1基づつ設けられている。この偏心カム93,93を回転させることによって、レバー片88の回動範囲を調節するよう構成されている。更に該搬送機構84が設けられた上流側のテーブル面12は、図1に示すように、別のリンク機構94を介して上下動する昇降部96が配設されている。この昇降部96は、被加工材料14を真直に切削する際等に使用される。
【0019】
なお前記上切削機構16をテーブル面12に近接離間させる構成としては、例えば図6に示すように、リニア機構35であってもよい。すなわちリニア機構35は、前記支持体32に配設されたサーボモータ33と、該サーボモータ33に一端部が連繋接続され、該支持体32に沿って垂直方向に配設されたネジ31および該ネジ31に螺入されたナット37とから構成される。このうちナット37は、上切削機構16における前記コラム24の上流側面に固着されており、サーボモータ33の回転により、ネジ31に沿って移動するようになっている。従って該サーボモータ33が付勢させていない状態では、前記リンク機構34と同様に、上切削機構16が支持体32に対して一定の高さ位置に保持され、また切削加工時においては、ナット37をネジ31に沿って移動させ、該上切削機構16をリニアに揺動避退させることにより、被加工材料14の屈曲面に追従し得るようになっている。
【0020】
【第2実施例】
図7は、前記多軸かんな盤10の別実施例を示すものであって、前記上切削機構16および下切削機構18が連結材98を介して一体的に構成されている。すなわち該連結材98は、上切削機構16と下切削機構18とを連結するに充分な長さに設定された長尺な棒状部材であって、図に示すように、その上端部近傍が上切削機構16のコラムに対して例えばボルト等で固着されると共に、下端部近傍が、下切削機構18のコラム53に配設された固定機構99を介して支持固定されるようになっている。この固定機構99は、例えば下切削機構18のコラム53に配設された油圧シリンダ101と、該油圧シリンダ101のロッドに取付けられた挟持部材103とから基本的に構成されたものであって、該挟持部材103が、コラム53のフランジ部分と、連結材98とを挟んだ位置に夫々設けられている。
【0021】
また前記梁部30を支持する前記支柱28には、図に示す如く、その内部にネジ102が配設される。該ネジ102は、下端部にモータ等の駆動源104が設置されており、該駆動源104を付勢することによって前記上切削機構16を梁部30と共に昇降動させる。従って該上切削機構16と下切削機構18とは、切削される被加工材料14の板厚等に応じて梁部30および上切削機構16を昇降動させた後、前記連結材98の下端部近傍を、固定機構99を介して下切削機構18のコラム53に挟持固定することにより、所定間隔離間した位置で支持されるようになっている。
【0022】
【第1実施例の作用】
次に、実施例に係る多軸かんな盤の使用の実際につき説明する。この多軸かんな盤10は、該被加工材料14の「曲り」に沿って倣う切削加工と、被加工材料14を真直に切削する加工とを行なうことができる。このうち倣い切削加工を行なう場合には、図8に示すように、前記上切削機構16が、テーブル面12の上流側から搬送される被加工材料14の上面に到来する位置にまで前記梁部30と共に下降される。このとき、該上切削機構16の回転切削体26に隣接配設された前記チップブレーカ48の屈曲端部は、図4に示す如く、該回転切削体26の回動下端面から若干上昇した位置で支持固定されている。また下切削機構18は、その上端部に配設された回転切削体52の回転端部が、テーブル面12より湾曲の凹面に到達するだけの揺動量をもって、上方の位置で待機している。
【0023】
この状態において、テーブル面12の上流側から供給された被加工材料14は、その右側面を該テーブル面12の背面側に設けられた前記基準面12aに当接させた状態で、梁部30の上流端部近傍に設置された前記送りロール58によって下流側に搬送される。この送りロール58は、前述したように、梁部30の下端面に設けられた前記連結支柱29に対しフランジ部材62を介して揺動自在に配設されているため、被加工材料14の「曲り」に倣いつつ該被加工材料14を下流側へと移行させる。またテーブル面12の上流側端部に配設された前記搬送機構84は、そのレバー片88が前記シリンダ92によって上方に付勢され、該搬送機構84の搬送ロール90がテーブル面12から上方に臨んでいるため、被加工材料14の「曲り」部分に対して常に当接した状態で該被加工材料14を速やかに下流側に移行させることができる。
【0024】
テーブル面12を搬送された被加工材料14は、図8(b)に示す如く、先に下切削機構18によって下面が切削される。該下切削機構18は、被加工材料14の「曲り」に倣うよう上昇あるいは下降する。また被加工材料14の切削深さは、この下切削機構18における前記回転切削体52の回転端部とコラム53の上流側に取付けられた前記チップブレーカ54とのレベル差とによって予め設定されている。従ってこの切削深さでもって被加工材料14の下面が切削されることになる。
【0025】
この下面の切削加工が行なわれた後、被加工材料14の上面が切削される。この場合、図9(a)に示すように、被加工材料14の下流側端部は、先ず上切削機構16に配設された回転切削体26の上流側に位置するチップブレーカ48に当接する。倣い加工を行なう際には、チップブレーカ48がコラム24に対して揺動しないよう支持固定されている。すなわち前記下切削機構18と同様に該チップブレーカ48の屈曲端部と回転切削体26の回転端部との間が常に一定になるよう設定されている。これによって被加工材料14の切削深さが一定とし得るようになっている。そして前記被加工材料14がチップブレーカ48に当接した上切削機構16は、図9(b)に示す如く、該被加工材料14の「曲り」に倣って上下動して切削加工する。これにより、図10に示すように、上下面の切削深さが一定でかつ各側定点(A点,B点,C点,D点)における板厚が異なる被加工材料14が成形される。
【0026】
また上下面を切削加工された被加工材料14は、更に下流側に搬送された後にその左右の両側面を、前記左切削機構20および右切削機構22によって夫々一定の切削深さで切削される。このうち先に切削される被加工材料14の右側面は、前述したように、通常では回転切削体82の回転端部を前記基準面12aよりも所要量だけ突出させた位置に合わせて設定されているが、倣い切削加工を行なう際には、前記リンク機構34介して揺動することにより、被加工材料14の「曲り」に倣って切削する。更に左切削機構20は、前述したように、筐体11の側面に設けられた台座66の上面に前記レール68,68を介してテーブル面12に近接離間し得るよう構成されているが、この位置は、多軸かんな盤10の上流側に配設された前記材料測定装置(図示せず)からのデータまたは人手によって所要寸法に調整される。なお被加工材料14の左側面も、前記上切削機構16と同様に、この左切削機構20に配設された前記チップブレーカ78により一定の切削深さでもって切削される。
【0027】
更に前記多軸かんな盤10によって被加工材料14を真直に切削加工する場合には、図11に示すように、前記上切削機構16が被加工材料14の上面に到来する位置にまで下降され、この設定された位置において支持固定される。上切削機構16の支持は、そのコラム24の下流側面に配置された前記ストッパ44が、下限用の偏心カム42と前記突片40との間に進出し、その該ストッパ44の上部に設けた前記ストッパボルト46を該突片40の下面に当接させることによって行なわれる。また前記チップブレーカ48は、被加工材料14の屈曲面に沿うようコラム24に対して揺動可能になっている。下切削機構18は、その回転切削体52の回転端部が、該下切削機構18から下流側に位置するテーブル面12とレベルを合わせた位置に支持固定される。更に前記昇降部96が、該下切削機構18の回転切削体52の上流側に配設されたチップブレーカ54の屈曲端部よりも若干下がった位置にまで下降される。なお該チップブレーカ54と回転切削体52の回転上端部とのレベル差は、被加工材料14の切削深さに応じて予め設定されている。
【0028】
この状態においてテーブル面12の上流側から搬送された被加工材料14は、先ずその下流側端部が下切削機構18のチップブレーカ54に当接した後、回転切削体52によって下面が切削されるが、被加工材料14の上面は、前記送りロール58によって所要圧で押圧されているので、該被加工材料14自体がテーブル面12から浮き上がることなく下面が真直に切削される。
【0029】
更に下流側に搬送された被加工材料14は、図12に示す如く、前記上切削機構16によって切削される。このとき上切削機構16は、前述したように所定の位置で支持固定されている。また該上切削機構16に配設されたチップブレーカ48は、被加工材料14の「曲り」に沿って揺動するため、その回転切削体26の位置が一定高さに保持されることによって被加工材料14の上面が真直に切削される。なお上下面が切削された被加工材料14は、図1に示すように、下流側に配設された前記左切削機構20および右切削機構22によって両側面が切削される。このうち右切削機構22は、テーブル面12の前記基準面12aに、回転切削体82の回転端部が所要切削深さを設定した位置で支持固定される。また左切削機構20は、被加工材料14の幅寸法に合わせた位置にまで前記ネジ70を介して台座66上を移動した後、テーブル面12に対して揺動しないよう支持固定される。これによって図13に示すように、各面の切削深さが異なり、かつ各側定点(A点,B点,C点,D点)における板厚が一定な被加工材料14が成形される。
【0030】
【第2実施例の作用】
また上切削機構16と下切削機構18とを前記連結材98で一体的に構成することによって、屈曲した被加工材料14を屈曲したままの状態で同一幅に切削加工することができる。この場合には、図14に示すように、上切削機構16と下切削機構18とが前記テーブル面12に対して揺動し得ると共に、上切削機構16のチップブレーカ48が、前述した倣い切削加工と同様に回転切削体26に対して支持固定されている。この状態において被加工材料14を搬送することにより、上切削機構16がチップブレーカ48に案内されて該被加工材料14の上面を倣いつつ切削し、またこれに伴って下切削機構18が一体的に揺動する。従って、被加工材料14は、それが「曲り」を生じている場合であっても上切削機構16と下切削機構18との協動によって、常に一定の切削深さで上下面が切削され、図15に示すように、各面の切削深さが異なり、かつ各側定点(A点,B点,C点,D点)における板厚が一定な屈曲状態の被加工材料14が成形される。
【0031】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る多軸かんな盤によれば、切削機構がテーブル面に対して近接離間し得るよう構成されているため、被加工材料の「曲り」に倣って切削することができる。また各切削機構が各々独立して揺動し得るため、上下左右に「曲り」が生じている被加工材料であっても容易に切削できる。また切削に必要な部分の切削機構をテーブル面に対して固定することにより、一面かんな掛けや二面かんな掛けの他に真直な切削加工が一台のかんな盤で行なうことできるために、加工面に応じて各種のかんな盤を購入する必要がなく、不要な設備投資が解消される、等の優れた利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る多軸かんな盤全体を、一部切欠いた状態で示す正面図である。
【図2】本発明に係る多軸かんな盤を示す平面図である。
【図3】本発明の多軸かんな盤において、テーブル面と平行に配設された梁部に揺動可能に配設された上切削機構を示す正面図である。
【図4】本発明の多軸かんな盤において、上切削機構の下端部に配設した回転切削体を一部切欠して示す要部正面図である。
【図5】本発明の多軸かんな盤において、テーブル面の上流端部および下流端部に配設された搬送機構を示す正面図である。
【図6】本発明の好適な実施例に係る多軸かんな盤において、揺動構構の別実施例を示す要部正面図である。
【図7】本発明の好適な実施例に係る多軸かんな盤において、上切削機構と下切削機構とを一体的に連結した状態を示す正面図である。
【図8】本発明の多軸かんな盤において、被加工材料の倣い切削を経時的に示す要部正面図である。
【図9】本発明の多軸かんな盤において、被加工材料の倣い切削を経時的に示す要部正面図である。
【図10】本発明の多軸かんな盤によって倣い切削加工された被加工材料を示す側面図である。
【図11】本発明の多軸かんな盤において、被加工材料の真直切削を経時的に示す要部正面図である。
【図12】本発明の多軸かんな盤において、被加工材料の真直切削を経時的に示す要部正面図である。
【図13】本発明の多軸かんな盤によって真直切削加工された被加工材料を示す側面図である。
【図14】本発明の多軸かんな盤において、上切削機構と下切削機構とを一体的に連結した際の倣い切削を経時的に示す要部正面図である。
【図15】上切削機構と下切削機構とを一体的に連結した際の倣い切削加工によって得られる被加工材料を示す側面図である。
【図16】屈曲した被加工材料を真直に切削する際の切削面を示す被加工材料の側面図である。
【符号の説明】
11 筐体
12 テーブル面
14 被加工材料
16 上切削機構
18 下切削機構
20 左切削機構
22 右切削機構
26 回転切削体
52 回転切削体
74 回転切削体
82 回転切削体
Claims (1)
- 被加工材料(14)が搬送される水平なテーブル面または基準ロール面(12)と、前記テーブル面または基準ロール面(12)を搬送される被加工材料(14)の上面を切削する回転切削体(26)を、該テーブル面または基準ロール面(12)と平行でかつ被加工材料(14)の搬送方向に対し直交する方向に配設した上切削機構(16)と、前記テーブル面または基準ロール面(12)を挟んで前記上切削機構(16)と対向して、被加工材料(14)の下面を切削する回転切削体(52)を、該上切削機構(16)の回転切削体(26)と平行に配設した下切削機構(18)と、前記テーブル面または基準ロール面(12)の左側面に配設され、該テーブル面または基準ロール面(12)を搬送される前記被加工材料(14)の左側面を切削する回転切削体(74)を有する左切削機構(20)と、前記テーブル面または基準ロール面(12)の右側面に配設され、被加工材料(14)の右側面を切削する回転切削体(82)を有する右切削機構(22)とからなる多軸かんな盤において、
前記上切削機構(16)を、前記テーブル面または基準ロール面(12)上に搬送される被加工材料(14)の上面に倣って昇降動し得るよう構成し、
前記下切削機構(18)を、前記テーブル面または基準ロール面(12)上に搬送される被加工材料(14)の下面に倣って昇降動し得るよう構成し、
前記左切削機構(20)を、前記テーブル面または基準ロール面(12)上に搬送される被加工材料(14)の左面に倣って横方向に移動し得るよう構成し、
また前記右切削機構(22)を、前記テーブル面または基準ロール面(12)上に搬送される被加工材料(14)の右面に倣って横方向に移動し得るよう構成し、
前記上切削機構 (16) および下切削機構 (18) を連結材 (98) を介して一体的に接続することにより、前記被加工材料 (14) の上面および下面に倣いつつ一定の厚みでもって切削加工し得るよう構成した
ことを特徴とする多軸かんな盤。
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Family Applications (1)
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- 1995-10-19 JP JP29756895A patent/JP3629666B2/ja not_active Expired - Fee Related
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