JP3628680B2 - 回転ドア装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転ドア装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転ドア装置として種々のものが提案されている。回転ドア装置の一例が、例えば特公平4−37912号公報に開示されている。この公報開示の回転ドア装置は、対向位置にそれぞれ入口開口部を有する円筒壁を有している。この円筒壁の直径方向に沿って仕切り壁が設けられている。この仕切り壁は、回転機構によって回転する。さらに、仕切り壁は、中央壁部とそれの両側の外壁部とによって構成されている。両外壁部に、円弧形パネルが設けられている。この円弧形パネルは、円筒壁の内面に沿う形状であって、かつ入口開口部を覆う大きさである。両入口開口部を両円弧形パネルが閉じていない状態であって、かつ仕切り壁が非回転状態において、通行者が入口開口部内に入ると、仕切り壁が回転し、この回転に従って、両円弧形パネルが、両入口開口部をそれぞれ閉じた後に、両入口開口部を開く。この仕切り壁の回転に従って通行者が移動することによって、通行者が入ったのとは反対側の入口開口部から、通行者が出ることができる。さらに、仕切り壁の中央壁部には、開閉自在な開閉部が設けられている。従って、緊急時には、この開閉部を開いて、この回転ドア装置が設けられている建物から、通行者が脱出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公報開示の回転ドア装置では、この回転ドア装置が設けられている建物のオーナーが通行量を観察した結果、例えば回転ドア装置から引戸型の自動ドア装置への変更を行った方が、通行者を快適に通行させることができると判断しても、そのような変更を行うことができない。
【0005】
また、この回転ドア装置では、仕切り壁の中央部の開閉部は、火災等の災害が生じた際に、多くの通行者を建物の外部に避難させるために設けられている。しかし、この開閉部は、正常には無闇に開閉されないようにロック装置によってロックされている。従って、災害発生時には、このロックを解除しなければならず、速やかに避難させることができない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、状況に応じた快適な通行性が得られるエントランスを、例えば通行量が多い場合には、速やかに通行者を通行させることができるエントランスを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による回転ドア装置は、対向する位置にそれぞれ開口部を有する円筒壁と、この円筒壁の直径方向に設置され、前記円筒壁に沿って回転自在とされた仕切りパネルと、この仕切りパネルに結合され、前記円筒壁の両開口部を同時に閉鎖する円弧パネルとを、有するものである。更に、前記仕切りパネルの中央に自動引戸を設け、この自動引戸の作動モードと、前記仕切りパネルの回転モードとのいずれか一方が選択されているとき、他方のモードを作動させないようにインターロックする制御部を備えている。この制御部は、前記仕切りパネルの回転モードが選択されたとき、前記自動引戸のドアパネルを互いに押しつけ合う指令を与えるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態を、図1乃至図6に示す。第1の実施の形態の回転ドア装置は、図1に示すように、円筒壁2を有している。円筒壁2は、例えば建物の壁4に、それの内外を連通するように形成された開口に取り付けられている。この取付は、円筒壁2の長さ方向の中心が開口の中央に位置するように行われている。この円筒壁2は、互いに対向する開口部6a、6bを形成する円弧状の側壁2a、2bを有している。開口部6aは、建物の外側に、開口部6bは建物の内側にそれぞれ位置し、かつ壁4に平行である。側壁2a、2bは、それぞれ上述した開口の中心からの半径がそれぞれ等しいものである。これら側壁2a、2bには、柱状の方立8a乃至8fが側壁8の長さ方向に沿って等間隔に形成されている。
【0011】
この円筒壁2の内部には、仕切りパネル10が配置されている。仕切りパネル10は、円筒壁2の直径上に位置するように配置されている。仕切りパネル10は、その中心、即ち開口の中央を回転中心として回転自在に配置されている。即ち、仕切りパネル10は、側壁2a、2bの内面に沿って回転可能であり、例えば図1に矢印で示す方向に回転させられる。この仕切りパネル10を、上記のように回転させるための構成は、例えば特公平4−37912号に開示されているようなものと同様であり、公知であるので詳細な説明は省略する。
【0012】
仕切りパネル10の中央部には、自動ドア装置、例えば自動引戸12が設けられている。自動引戸12は、ドアパネル12a、12bを有し、これらは図2に矢印で示す方向及びそれと反対方向にスライドする。これらドアパネル12a、12bが閉じた状態において、これらの外方端と側壁2a、2bとの間に、ドアパネル12a、12bとほぼ同一直線上に位置するように、ドアパネル12a、12bとほぼ同一の形状の壁部材14a、14bが設けられている。ドアパネル12a、12bが開かれたとき、ドアパネル12aは壁部材14aに、ドアパネル12bは壁部材14bに、それぞれ重なり合う。ドアパネル12a、12bが開かれたことによって形成されるドア開口(仕切りパネル10に形成された、通行者が通行できる開口)は、開口部6a、6bと略同一の大きさとされている。ドアパネル12a、12bをスライドさせるための駆動装置15は、図3に示されているように、ドアパネル12a、12bの上方にあるキャノピー21内に配置されている。この駆動装置15の構成は、公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0013】
壁部材14a、14bの内方端部には、壁部材16a、16bが設けられている。これら壁部材16a、16bは、仕切りパネル10の回転方向の前端側において壁部材14a、14bとそれぞれ所定の角度、例えば鋭角をなすように配置されている。これら壁部材16a、16bの先端は、円筒壁2の側壁部2a、2bの内面にほぼ接触している。
【0014】
壁部材14a、16aの先端部間に円弧形パネル18aが、壁部材14b、16bの先端部間に円弧パネル18bが、設けられている。これら円弧パネル18a、18bは、開口部6a、6bを閉鎖することができる大きさに形成されている。円弧パネル18aが開口部6bを閉鎖しているとき、同時に円弧パネル18bが開口部6aを閉鎖するように、また、円弧パネル18aが開口部6aを閉鎖しているとき、同時に円弧パネル18bが開口部6bを閉鎖するように、円弧パネル18a、18bの位置は設定されている。このため、壁部材16aと円弧パネル18aとは、壁部材16bと円弧部材18bと、円筒壁2の中心を中心とする点対称に配置されている。
【0015】
なお、壁部材14a、16a、円弧パネル18aによって囲われた空間と、壁部材14b、16b、円弧パネル18bによって囲われた空間との中に、それぞれデコレーション等を配置することがある場合、壁部材16a、16b、18a、18bは、これらのデコレーションを通行者が見ることができるように、透明とすることができる。
【0016】
図3に示すように、開口部6a、6bの近傍に通行者が到達したとき、仕切りパネル10の回転を開始させるための回転用検出装置20a、20bが、開口部6a、6bの上部にあるキャノピー21の側面に取り付けられている。同様に、自動引戸12の近傍に通行者が到達したとき、ドアパネル12a、12bの開閉を開始させるための引戸用検出装置22a、22bがドアパネル12a、12bの近傍の天井に取り付けられている。図3に2点鎖線で示す領域が、これら検出装置20a乃至22bによって通行者が存在しているか否か検出される領域である。これら検出装置20a乃至22bとしては、例えば投光器と受光器とを用いた光学検出装置を使用することができる。
【0017】
ドアパネル12a、12b及び壁部材16a、16bそれぞれにおける、仕切りパネル10の回転方向側にある面の下端には、回転ドア用補助センサ24a、24b、26a、26bが取り付けられている。これら回転ドア用補助センサ24a乃至26bは、仕切りパネル10が回転しているときに、ドアパネル12a、12b、壁部材16a、16bのいずれかに通行者が接触すると、仕切りパネル10の回転を中止させるためのものである。
【0018】
図1に示す領域28a、28bに存在する通行者を検出するため、引戸用補助センサ30a、30b(図4参照)が設置されている。これらは、ドアパネル12a、12bが移動しているときに、これらに通行者が接触した場合、ドアパネル12a、12bを反転させるか、停止させるためのものである。これら引戸用補助センサ30a、30bは、領域28a、28bの一端に投光器、他端に受光器を、それぞれ設けた光電スイッチを使用することができる。
【0019】
また、方立8bの建物の内側の面に、モード切換スイッチ32が設けられている。このモード切換スイッチ32については後述する。方立8d、8cの近傍には、身障者スイッチ34及び引戸スイッチ35が設けられている。この身障者スイッチ34及び引戸スイッチ35についても、後述する。方立8d、8cの双方には、または方立8dのみには、非常停止スイッチ36が設けられている。このスイッチ36についても後述する。
【0020】
図4に示されているように、モード切換スイッチ32、身障者スイッチ34、引戸スイッチ35または非常停止スイッチ36を操作することによって発生させられた信号は、例えば天井21内に設けた主制御部38に供給される。
【0021】
モード切換スイッチ32を操作することによって、表1に丸印で示すように、施錠モード、引戸モード、通路モード、任意回転モード及び回転モードのいずれかのモードを選択することができる。選択されたモードに応じて、主制御部38が、回転ドア制御部40及び自動引戸用の引戸制御部42を制御する。
【0022】
【表1】
【0023】
回転ドア制御部40は、仕切りパネル10の駆動用のモータ41、仕切りパネル10の回転を阻止するための電磁ブレーキ39と共に、キャノピー21内に設けられている。引戸制御部42は、ドアパネル12a、12bの駆動用のモータ43と共に、駆動部15内に配置されている。
【0024】
回転ドア制御部40は、主制御部38からの信号及び主制御部38を介して供給される回転用検出装置20a、20bからの信号、補助センサ24a乃至26bからの信号に基づいて、モータ41及び電磁ブレーキ39を制御する。引戸制御部42は、主制御部38からの信号、引戸用検出装置22a、22bからの信号及び補助センサ30a、30bからの信号に基づいて、モータ43を制御する。
【0025】
モード切換スイッチ32の操作によって、回転モードが選択されている場合、主制御部38は、引戸検出装置22a、22bが通行者を検出しても、ドアパネル12a、12bを作動させないように、引戸制御部42に指令を与える。また、回転用検出装置20a、20bによって通行者が検出された場合に、仕切りパネル10が回転するように、主制御部38は、回転ドア制御部40に指令を与える。従って、通行者が検出されたとき、仕切りパネル10が回転する回転ドアとして回転ドア装置が使用される。この場合、自動引戸12のドアパネル12a、12bが手動で開かないように、これらが互いに押しつけ合うようにモータ43が引戸制御部42によって制御されている。
【0026】
モード切換スイッチ32の操作によって引戸モードが選択されていると、開口部6a、6bを結ぶ通路と直交する中立位置に仕切りパネル10を到達させ、かつ、手動によって仕切りパネル10が回転しないように、即ち電磁ブレーキ39を作動させることによって仕切りパネル10を停止させるように、主制御部38は、回転ドア制御部40に指令を与える。そして、引戸用検出装置22aまたは22bが通行体を検出したとき、ドアパネル12a、12bを開放するように、引戸制御部42に指令を与える。従って、通行者が検出されたとき、ドアパネル12a、12bが開かれる通常の自動引戸として、回転ドア装置が使用される。
【0027】
この引戸モードでは、通行者が検出されると、ドアパネル12a、12bが開かれるので、多くの人がこの回転ドア装置を介して建物に出入りする場合には、仕切りパネル10を回転させている場合よりも速やかに多くの人を通行させることができる。特に仕切りパネル10が上述した中立位置にあるときには、ドアパネル12a、12bが開いて形成されたドア開口は、開口部6a、6bと略同一の大きさであるので、さらに多くの人が速やかに出入りすることができる。
【0028】
モード切換スイッチ32の操作によって、通路モードが選択されると、主制御部38は、モータ41によって仕切りパネル10を中立位置まで回転させた後、電磁ブレーキ39によって仕切りパネル10が手動で回転しないように、回転ドア制御部40に指令を与える。主制御部38は、モータ43によってドアパネル12a、12bを開放した状態にするように、引戸制御部42に指令を与える。
【0029】
この通路モードでは、仕切りパネル10が中立位置にあって、かつドアパネル12a、12bが開かれた状態が維持されている。従って、ドアパネル12a、12bが開放することによって形成されたドア開口が、開口部6a、6bと略同一の大きさであり、このドア開口が維持され、しかもこのドア開口は開口部6a、6bと同一の直線上に位置しているので、多くの人が連続的に通行する場合にも、円滑にこれらの人を通行できる。或いは、比較的大きな荷物を、この回転ドア装置を介して搬出入することも容易に行える。
【0030】
モード切換スイッチ32の操作によって、施錠モードが選択されると、主制御部38は、モータ41によって円弧パネル18aが開口部6aを、円弧パネル18bが開口部6bをそれぞれ閉鎖する位置まで、仕切りパネル10を回転させるように、回転ドア制御部40に指令を与える。建物の内部側にある開口部6bを閉鎖している円弧パネル18bには、図示していないが、床面に形成した係合穴に係合可能な錠が設けられており、この錠を手動で作動させることによって、この回転ドア装置を施錠することができる。なお、手動の錠に代えて、電気錠を使用して、主制御部32または回転ドア制御部40が、この電気錠を作動させるようにしてもよい。このように施錠することによって、夜間の盗難等を防止できる。
【0031】
モード切換スイッチ32の操作によって、任意回転モードが選択されると、例えば図5、図6または図7に示されているように、モータ41によって仕切りパネル10がオーナーの好みの位置まで回転させられ、その後、電磁ブレーキ39によって仕切りパネル10が手動で回転しないように、主制御部38は回転ドア制御部40に指令を与える。次に、主制御部40は、通行者が自動引戸12に近づいたとき、引戸制御部42がドアパネル12a、12bをスライドさせるように、引戸制御部42に指令を与える。
【0032】
なお、仕切りパネル10の回転位置は、例えば図5に示すように開口6a、6bを完全に開いた状態で、円弧パネル18a、18bの回転方向側の後端が開口6a、6bの端部に位置するような位置から、図7に示すように仕切りパネル10が開口6a、6bと平行に位置する位置までのいずれかの任意の位置とすることができる。さらに、図5に示すような位置から、図6に示すように通行者が最低限度通過可能な状態に円弧パネル18a、18bによって開口6a、6bの一部を閉じている位置までのいずれかの任意の位置とすることができる。
【0033】
このように様々な位置で仕切りパネル10を停止させることによって、例えば、図5に太い矢印で示すような状態、図6に太い矢印で示すような状態、或いは図7に太い矢印で示すような状態に、通行者の流れを制御することができる。また、例えば壁部材14a、16a及び円弧パネル18aによって形成された空間や、壁部材14b、16b及び円弧パネル18bによって形成された空間に、それぞれ配置されたデコレーションを、通行者に印象づけることができる。
【0034】
これら各モードでは、上述したように、仕切りパネル10が回転しているとき、ドアパネル12a、12bがスライドしないように、またドアパネル12a、12bがスライドしているとき、仕切りパネル10が回転しないように、主制御部38が両制御部40、42を制御している。即ち、両制御部40、42はインターロックされている。従って、自動引戸12の移動と仕切りパネル10の回転とが同時に起こることはなく、通行者の安全性が保たれている。
【0035】
このように、いずれかのモードが、モード切換スイッチ32の操作によって任意に選択できる。従って、多量の通行者がある場合には引戸モードまたは通路モードに、大きな荷物の搬出入の場合には通路モードに、回転ドアの優雅さを通行者に印象づけたい場合には回転モードに、夜間等の盗難を防止したい場合には施錠モードを、通行者の流れをオーナーの希望通りに制御したい場合には任意回転モードを、オーナーが選択すればよい。
【0036】
上記の表1に丸印で示すように、回転モードにおいて、即ち仕切りパネル10が回転している状態において、引戸スイッチ35を操作すると、モータ41によって仕切りパネル10を中立位置まで回転させ、電磁ブレーキ39を作動させて、仕切りパネル10が手動によって回転しないように停止させるように、回転制御部40を制御する。そして、主制御部38は、ドアパネル12a、12bが一時的に作動可能に引戸制御部42に指令を与える。同時に、主制御部42は、音声発生装置37を作動させて、自動引戸12が作動可能であることを、引戸スイッチ35を操作した者に報知する。この報知に応じて、盲人等の身障者が通行を開始し、これを引戸用検出装置22a、22bが検出すると、引戸制御部42がドアパネル12a、12bを開く。
【0037】
なお、引戸制御部42によるドアパネル12a、12bの開放制御が可能になってから予め定めた時間が経過したとき、主制御部38は、引戸制御部42によるドアパネル12a、12bの開放制御を不能とし、回転ドア制御部40が仕切りパネル10の回転を開始させる。即ち、この回転ドア装置は、回転モードに復帰する。但し、上記予め定めた時間が経過したとき、引戸用検出装置22a、22bのいずれかが通行者を検出していると、これらが共に通行者を検出しなくなった後に、回転ドア装置は、回転モードに復帰する。
【0038】
従って、例えば盲人等の身障者が、引戸スイッチ35を操作し、音声発生装置37の音声を聞いた後、歩行を開始すると、仕切りパネル10が図1に示す状態で停止しており、さらにこの盲人等の身障者が引戸用検出装置22aまたは22bによって検出されると、ドアパネル12a、12bが開かれ、ここを通過できるので、回転している仕切りパネル10が自己に接触するのではないとの不安感を覚えることなく、安全に回転ドア装置を通過することができる。
【0039】
また、上記の表1に丸印で示すように、回転モードにおいて、身障者スイッチ34を操作すると、主制御部38は、回転ドア制御部40に、仕切りパネル10の回転速度を、通常の回転速度よりも遅くするように指令を与える。従って、例えば車椅子に乗っている身障者が回転ドア装置を通過するとき、仕切りパネル10に衝突するのではないかという不安感を覚えることがない。
【0040】
また、非常停止スイッチ36が操作されたとき、主制御部38は、仕切りパネル10が回転しているときであっても、その回転動作している仕切りパネル10を直ぐに停止させるように、回転ドア制御部40に指令を与える。これによって、通行者の安全が確保される。
【0041】
主制御部38には、例えばこの回転ドア装置が設けられている建物において、火災等の災害が発生した場合に、外部から非常信号が供給される。この非常信号が供給されると、主制御部38は、回転ドア制御部40に指令を与えて、図1に示す状態まで仕切りパネル10を回転させる。さらに、図7に示すように、ドアパネル12a、12bを完全に開くように、主制御部38が引戸制御部42に指令を与える。
【0042】
これによって、多くの通行者が速やかに、開かれたドアパネル12a、12bから外部に脱出することができる。避難しようとしている通行者が、ドアパネル12a、12bを手動で開くように努力しなくても、自動的にドアパネル12a、12bは開かれている。なお、仕切りパネル10を図1に示す状態にするのは、この状態でドアパネル12a、12bを開くと、開口6bから同6aに通行者が直進することができ、速やかに通行できるからである。回転モードにおいて引戸スイッチ35が操作された場合、引戸モードの場合または通路モードの場合に、仕切りパネル10を図1に示す状態とするのも、同一の理由からである。
【0043】
なお、非常時には、主制御部38に供給されている電源が絶たれる可能性があるので、主制御部38内にはバッテリー44が設けられている。このバッテリー44は、回転ドア制御部40、引戸制御部42等にも、電力を供給し、仕切りパネル10、ドアパネル12a、12bが動作できることを確保している。
【0044】
また、非常信号が供給されていない状態で停電が生じると、停電検出器(図示せず)から停電検出信号が、主制御部38に供給される。主制御部38は、回転ドア制御部40に指令を与え、仕切りパネル10を中立位置まで移動させる。そして、主制御部38は、引戸制御部42に指令を与え、ドアパネル12a、12bは閉じているが、手動によって開放可能な状態とする。上述したように、ドアパネル12a、12bが閉じている状態では、手動によってこれらが開かないように、モータ43は、ドアパネル12a、12bが互いに押し合うように駆動力をこれらに付与している。しかし、この停電時には、この駆動力の付与を停止し、手動でドアパネル12a、12bが開放可能としている。
【0045】
通常の停電の場合にも、ドアパネル12a、12bを開くことも考えられる。しかし、緊急に避難する必要性は高くないにもかかわらず、ドアパネル12a、12bを開くと、建物内に風が入り、風除効果を達成できない。そこで、手動でドアパネル12a、12bを開放状態とし、外部に出る必要のある通行者だけが外部に出られるようにしている。
【0046】
第2の実施の形態を図8に示す。この実施の形態において、第1の実施の形態と同等部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。この実施の形態の回転ドア装置では、円弧パネル18a、18bの内面の中央に、壁部材114a、114bの外方端部が、それぞれ回転自在に支持されている。この回転中心46a、46bは、天井21から床面に沿って伸びている。また、壁部材114a、114bは、図8に一点鎖線で示すように、開口部6a側に回転した際、それらの先端が円弧パネル18a、18bの端部よりも若干内側に位置するように、長さが設定されている。
【0047】
ドアパネル12aは、壁部材114aに、ドアパネル12bは、壁部材114bに、それぞれ重なりあうことが可能である。この重合状態において、ドアパネル12a、12bは、壁部材114a、114bと共に、回転中心48a、48bの回りに回転自在に構成されている。回転中心48a、48bも、天井21から床面に沿って伸びている。ドアパネル12a、12bも、図8に一点鎖線で示すように開口部6a側に回転した際、それらの先端が円弧パネル18a、18bの端部よりも内側に位置するように、長さが設定されている。
【0048】
第2の実施の形態の回転ドア装置も、第1の実施の形態の回転ドア装置と同様に動作する。さらに、ドアパネル12a、12bを壁部材114a、114bに重合させた状態において、図8に一点鎖線で示すようにドアパネル12a、12bと壁部材114a、114bとが回転させられると、回転ドア装置の円筒壁2内部の空間を最大限に利用することができる。即ち、通常状態では壁部材114a、114bの存在によって利用できなかった側壁部2a、2bの湾曲部分を利用することができる。
【0049】
従って、エアーコンディショナーを作動させる必要がなく、風除効果を期待しない季節には、この利用できるようになった空間にデコレーションを配置したり、あるいは店舗等の場合、商品販売用のワゴンを配置することができる。また、季節とは無関係に開口部6a、6bの幅寸法ぎりぎりの大きさの搬送物を開口部6a、6bから搬出入するとき、壁部材114a、114bを回転させていないと、この搬送物が壁部材114a、114bに接触しないように、注意深く搬出入しなければならない。しかし、壁部材114a、114bとドアパネル12a、12bを回転させておくと、これらと搬送物との接触の危険性が全くない。
【0050】
第3の実施の形態を図9及び図10に示す。この実施の形態において、第2の実施の形態と同等部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。この実施の形態の回転ドア装置では、円筒壁102の側壁部102a、102bが、それぞれ分割形成されている。
【0051】
即ち、例えば側壁部102aでは、壁4にその中央が固定された中央側壁部1102aが設けられている。建物の壁4の外側には、円弧状の外側側壁部2102aが、図9に示すように、中央側壁部1102aの建物の外側に突出している部分の端部に隣接して配置されている。この外側側壁部2102aは、中央側壁部1102aの建物の外側に突出している部分とほぼ同一の大きさに形成されている。外側側壁部2102aは、図9に示されている状態から、図10に示されているように、外側側壁部2102aが、中央側壁部1102aにおける建物の外側に突出している部分に重なり合う状態まで、摺動可能に構成されている。この摺動は、手動によっても、電動によっても行うこともできる。
【0052】
同様に、建物の内側には、円弧状の内側側壁部3102aが、図9に示すように中央側壁部1102aの建物の内側に突出している部分の端部に隣接して配置されている。この内側側壁部2102aは、中央側壁部1102aの建物の内側に突出している部分とほぼ同一の大きさに形成されている。内側側壁部3102aは、図9に示されている状態から、図10に示されているように内側側壁部3102aが中央側壁部1102aにおける建物の内側に突出している部分に重なり合う状態まで、摺動可能に構成されている。この摺動は、手動によっても、電動によっても行うこともできる。
【0053】
円筒壁102bの側壁部も同様に構成されている。同等部分には、同一参照符号の末尾のアルファベットaをbに代えた参照符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
この回転ドア装置も、第2の実施の形態の回転ドア装置と同様に動作する。さらに、図10に示すように動作させることもできる。即ち、壁部材114a、114bとドアパネル12a、12bをそれぞれ重合させ、中央側壁部1102a、1102bの端部に接触するように回転させる。次に、外側側壁部2102a、2102b、内側側壁部3102a、3102bを、中央側壁部1102a、1102bにそれぞれ重合させる。図9と図10との比較から明らかなように、開口部6a、6bの幅が広くなる上に、開口部6a、6b間の通路には、壁部材114a、114b、ドアパネル12a、12bは、はみ出しておらず、搬送物を搬出入する際の障害になるものは存在しない。即ち、広げられた開口部6a、6bの幅が、重合された壁部材114a、114b、ドアパネル12a、12bを回転させて形成した開口部6a、6b間の通路の幅とほぼ同一である。
【0055】
従って、大型の搬送物を容易に搬出入することができる。しかも、外側側壁部2102a、2102b、内側側壁部3102a、3102bは、中央側壁部1102a、1102bに沿って摺動するので、開口6a、6bを広げたとき、外側側壁部2102a、2102b、内側側壁部3102a、3102bが、この回転ドア装置の周辺にある物体と接触することはない。
【0056】
なお、この回転ドア装置では、外側側壁部2102a、2102b、内側側壁部3102a、3102bは、中央側壁部1102a、1102bに沿って摺動させたが、周囲の物品と接触する可能性がない場合には、中央側壁部1102a、1102bの端部に回転自在に取り付けてもよい。
【0057】
第4の実施の形態を図11及び図12に示す。この実施の形態において、第1の実施の形態と同等部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
この実施の形態の回転ドア装置では、第1の実施の形態の回転ドア装置に設けられていた回転用検出装置20a、20bが設けられていない。その代わりに、引戸用検出装置22a、22bが、仕切りパネル10の回転の開始に使用されている。即ち、引戸用検出装置22a、22bが、仕切りパネル10、ドアパネル12a、12b双方の起動センサとして使用されている。
【0059】
図11に示すように、引戸用検出装置22aによって検出領域50aが形成され、引戸用検出装置22bによって検出領域50bが形成されている。そして、回転モードが選択されている場合でも、開口6aまたは6bから通行者が検出領域50aまたは50bに入ったときに、始めて仕切りパネル10が回転を開始する。従って、回転ドア装置を利用する意思の無い人が、たまたま開口6a、6bの付近を通過しても、仕切りパネル10が回転することがなく、不要なときに仕切りパネル10が回転することを防止できる。無論、自動引戸モードの場合、検出領域50aまたは50bに通行者が入ったときに、ドアパネル10a、10bが開く。
【0060】
さらに、施錠モードでは、図12に示すように、円弧パネル18a、18bが、両開口部6a、6bを同時に閉鎖する位置まで仕切りパネル10を回転させるが、例えば誤って通行者又は建物の管理者が円筒壁2内に入ると、回転ドア装置内に閉じ込められる恐れがある。この場合でも、検出領域50a、50bのいずれかに通行者が存在していることを、引戸用検出装置22a、22bのいずれかによって検出され、この検出が継続されることによって、仕切りパネル10の回転を継続させるように、主制御部38が回転制御部40に指令する。これによって、通行者は、回転ドア装置内に閉じ込められることがなく、確実に開口部6aまたは6bから出ることができる。
【0061】
なお、第1の実施の形態においても、回転用検出装置20a、20bによる通行者の検出に基づいて、仕切りパネル10の回転が開始され、引戸用検出装置22a、22bによって通行者が検出されている限り、仕切りパネル10の回転が継続されるようにすることもできる。この場合、このような動作を回転モードに含めることもできるし、回転モードとは、別のモードとして、このような動作を行わせるように、モード切換スイッチを設定することもできる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、自動引戸の移動と仕切りパネルの回転とが同時に起こることはなく、通行者の安全性が保たれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の部分破断平面図である。
【図2】同第1の実施の形態の正面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】第1の実施の形態のブロック図である。
【図5】第1の実施の形態における任意モードでの仕切りパネルの位置の一例を示す部分破断平面図である。
【図6】同任意モードでの仕切りパネルの位置の他の例を示す部分破断平面図である。
【図7】同任意モードでの仕切りパネルの位置の別の例を示す部分破断平面図である。
【図8】第2の実施の形態の部分破断平面図である。
【図9】第3の実施の形態における通常状態を示す部分破断平面図である。
【図10】第3の実施の形態において開口部を拡大した状態を示す部分破断平面図である。
【図11】第4の実施の形態における通常状態を示す部分破断平面図である。
【図12】第4の実施の形態において開口部が円弧パネルによって閉鎖された状態を示す図である。
【符号の説明】
2 円筒壁
2a 2b 円筒壁の側壁部
6a 6b 開口部
10 仕切りパネル
12 自動引戸(自動ドア装置)
12a、12b ドアパネル(引戸)
14a、14b 壁部材(壁体)
18a、18b 円弧パネル
22a、22b 引戸用検出装置(起動センサ)
2102a、2102b 外側側壁部(部分可動壁)
3102a、3102b 内側側壁部(部分可動壁)
Claims (1)
- 対向する位置にそれぞれ開口部を有する円筒壁と、
この円筒壁の直径方向に設置され、前記円筒壁に沿って回転自在とされた仕切りパネルと、
この仕切りパネルに結合され、前記円筒壁の両開口部を同時に閉鎖する円弧パネルとを、有する回転ドア装置において、
前記仕切りパネルの中央に自動引戸を設け、この自動引戸の作動モードと、前記仕切りパネルの回転モードとのいずれか一方が選択されているとき、他方のモードを作動させないようにインターロックする制御部を、備え、この制御部は、前記回転モードが選択されているときに前記自動引戸のドアパネルを互いに押しつけ合う指令を与えることを特徴とする、回転ドア装置。
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- 2003-04-18 JP JP2003113769A patent/JP3628680B2/ja not_active Expired - Fee Related
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