JP3628238B2 - 配線基板およびその導波管との接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波用半導体素子や高周波用受動素子などの高周波素子等を収納するための高周波用パッケージ、あるいはそれら素子を収納したパッケージを実装する回路基板、あるいは各種素子を直接表面実装した回路基板などに用いられ、導波管との接続が可能な配線基板に関し、信号伝送線路−導波管間の信号変換の特性バラツキが小さく小型で信頼性が高くしかも製造コストの低い配線基板とその導波管との接続構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、社会の情報化が進み、情報の伝達は携帯電話に代表されるように無線化、パーソナル化が進んでいる。このような状況の中、さらに高速大容量の情報伝達を可能にするために、ミリ波(30〜300GHz)領域で動作する半導体素子の開発が進んでいる。最近ではこのような高周波半導体素子技術の進歩に伴い、その応用として車間レーダーや無線LANのようなミリ波の電波を用いたさまざまな応用システムも提案されるようになってきた。例えば、ミリ波を用いた車間レーダー(1995年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、SC−7−6参照)、コードレスカメラシステム(1995年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、C−137参照)、高速無線LAN(1995年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、C−139参照)が提案されている。
【0003】
このようにミリ波の応用が進むにつれ、それらの応用を可能とするための要素技術の開発も同時に進められており、特に、各種の電子部品においては、必要な伝送特性を有しながら、いかに小型で信頼性が高く低コストとするかが大きな課題となっている。
【0004】
このような要素技術の中でも、高周波素子が収納された回路基板あるいはパッケージと、外部電気回路とをいかに簡単で且つ小型な構造で接続するかが重要な要素として位置づけられている。とりわけ、伝送損失の最も小さい導波管が形成された外部電気回路と、高周波素子を搭載した回路基板あるいはパッケージとをいかに接続するかが大きな問題であった。
【0005】
従来における回路基板あるいはパッケージを外部電気回路に形成された導波管に接続する方法としては、高周波用パッケージからコネクタを用いて一旦同軸線路に変換して導波管と接続する方法、外部電気回路において、導波管を一旦マイクロストリップ線路等に接続した後、そのマイクロストリップ線路と高周波用パッケージとを接続する方法が採用される。
【0006】
最近では、高周波素子を収納したパッケージあるいはモジュール基板を外部電気回路の導波管に直接接続する方法も提案されている(特開平8−274513)。この提案では、導波管変換部に多数のホールを設け誘電率を調整し、なおかつ変換部の導波管が接続されるのとは逆側に金属製のキャップを設けるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、外部電気回路の導波管を一旦、コネクタやマイクロストリップ線路などの他の伝送線路形態を介して、パッケージと接続する方法では、接続構造自体が複雑化するとともに、コネクタや他の伝送線路を形成する領域を確保する必要があるために、接続構造自体が大型化してしまうという問題があった。しかも、他の線路形態やコネクタを介することにより伝送損失が増大する可能性もあった。また、他の線路形態やコネクタの使用は製造工程を複雑にすることになり特性のバラツキが大きくなりコストアップにつながった。
【0008】
これに対して、導波管から電磁波の形でパッケージまで直接導入する方法は、接続構造を小型化できる点では有効的であるが、前記特開平8−274513号で提案されている方法は、導波管変換部に多数のホールを設けなおかつ導波管を接続する箇所とは逆側に金属製のキャップ等を設置することが必要であり、そのために、工程数、部品点数が増えコストアップに繋がっていた。
【0009】
また、特開平11−112209号では、気密封止可能でありかつ信号伝送線路−導波管の信号変換ができる技術が提唱されているが、これは導波管のズレや配線基板の信頼性についてなんら考慮されていなかった。
【0010】
本発明は、前記課題を解消せんとして成されたもので、導波管との接続が可能な配線基板に関し、信号伝送線路−導波管間の信号変換の特性バラツキが小さく、小型で信頼性が高くしかも製造コストの低い配線基板とその導波管との接続構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、誘電体基板と、該誘電体基板の一方の表面に形成された信号伝送線路と、該信号伝送線路と導波管とを接続可能な配線基板であって、導波管との接続部が、前記誘電体基板の他方の表面に形成され、前記信号伝送線路の終端と対峙する位置にスロット孔が形成されてなるグランド層と、該グランド層の表面に積層形成された誘電体層と、誘電体層を貫通して前記グランド層と電気的に接続され、前記スロット孔を囲む位置に所定の間隔をもって配列形成された複数の垂直導体とを具備し、前記誘電体層における前記垂直導体により囲まれた誘電体領域を接続される導波管の断面開口部よりも小さくすることによって信号伝送線路−導波管間の信号の変換損失のバラツキを低減し、それにより歩留りが向上し低コスト化が図れ、また高周波素子の気密封止をも確実に行うことができ、かつ信頼性が高いことを見出した。
【0012】
また、かかる構造においては、導波管を接続するにあたり、配線基板に対して導波管の導体壁を固定可能な接続部材を取着することもできる。その場合、接続部材の誘電体領域直下に内壁が導体からなる開口部を有し、開口部を導波管の断面開口部と実質的に同一形状とし、前記誘電体領域よりも大きく形成することが望ましい。この接続部材に導波管を接続することにより、導波管の装着が、接続部材へのネジ止め等で行うことが可能となり、導波管の着脱が容易となり、半導体素子を実装したパッケージを一旦測定し特性検査した後に実際の製品として用いるという検査工程が行いやすくなる利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配線基板の構造について、典型的な応用例として高周波用パッケージの例を以下に図面をもとに説明する。まず、図1は高周波用パッケージの一例を説明するための(a)概略断面図、(b)誘電体基板表面の平面図、(c)パッケージの底面図である。
【0014】
まず、図1の概略断面図に示される高周波用パッケージA1によれば、誘電体基板1と、蓋体2によって形成されたキャビティ3内において、高周波素子4が誘電体基板1表面に実装搭載され、キャビティ3内は蓋体2によって気密に封止されている。
【0015】
誘電体基板1のキャビティ3内の表面には、高周波素子4と一端が接続され、且つ終端5aを有する信号伝送線路5が形成されている。そして、誘電体基板1の信号伝送線路5が形成された面とは反対の表面には、一面にグランド層7が形成されており、そしてそのグランド層7の信号伝送線路5と対峙する部分には導体が形成されていない長孔(いわゆる、スロット孔)6が形成されている。
【0016】
このパッケージにおいては、信号伝送線路5は、これが中心導体をなし、グランド層7とともにマイクロストリップ構造の線路を形成している。なお、信号伝送線路は上記マイクロストリップ線路に限らず、信号伝送線路(中心導体)の両脇にグランド層を形成し、グランド層7とともにグランド付きコプレーナ構造の線路でも良い。また、誘電体基板1の信号伝送線路5の周辺には、蓋体2を取り付けるための導体層8が形成されている。
【0017】
また、図1の高周波用パッケージA1においては、グランド層7の表面には、誘電体層10が積層形成されている。そして、この誘電体層10には、この誘電体層10を貫通してグランド層7と電気的に接続され、スロット孔6を囲む位置に所定間隔をもって配列形成された複数の垂直導体12が設けられている。そして、この垂直導体12によって囲まれた部分によって誘電体領域9が形成されている。なお、図面では垂直導体12に円柱状の物を用いているが、角柱状のものでも楕円柱のものでも特に問題は無い。
【0018】
また、誘電体層10の誘電体領域9の周囲には、導体層11が形成されており、この導体層11は垂直導体12によってグランド層7と電気的に接続されている。
【0019】
上記の線路構成において、マイクロストリップ線路の信号伝送線路5は、スロット孔6と電磁結合されている、言い換えれば電磁結合によりスロット孔6に給電する。この電磁結合構造は、具体的には、図1(b)の誘電体基板1の平面図に示すように、マイクロストリップ線路の信号伝送線路5の終端5aがスロット孔6中心から信号周波数の1/4波長の長さLで突出するように形成することにより電磁結合することができる。しかし、電磁結合は必ずしも前記寸法の組み合わせだけでなく、その他の組み合わせでも良好な結合は可能である。
【0020】
図2は高周波用パッケージA1に導波管Bを接続した時の構造を説明するための(a)概略断面図と、(b)導波管開口部と誘電体領域の大きさを把握するための底面図である。
【0021】
パッケージA1に対して導波管Bを接続する場合には、導波管Bの開放端のフランジB’をパッケージA1の導体層11に当接させるが、その際に、グランド層7のスロット孔6が導波管Bの中心となるように位置合わせする。そして、フランジB’は、導体層11に対して単に当接させるか、またはフランジB’を導体層11にロウ付けにより接合するか、あるいはフランジB’を誘電体基板1および誘電体層10にネジ止めなどの機械的な接合手段により組み合わせて取り付ける。
【0022】
また、同時に、導波管BのフランジB’は誘電体層10表面の導体層11と電気的に接続される結果、導波管Bの導体壁16はフランジB’、導体層11、垂直導体12を介してグランド層7と電気的に接続され、グランド層7と導波管Bの電位が同電位に維持される。
【0023】
本発明においては、上記の接続構造において、パッケージA1の誘電体層10に形成された誘電体領域9が、導波管Bの開口部13よりも小さいことが重要である。即ち、図2(b)に示す通り、導波管Bの開口断面が長方形である場合、その開口の大きさがL2,W2であって、誘電体領域9もL1,W1の長方形からなる場合、誘電体L1<L2およびW1<W2でなければならない。望ましくは、L1とL2の関係は(L2×0.6)≦L1≦(L2−0.1mm)が好ましく、またW1とW2の関係は(W2×0.6)≦W1≦(W2−0.1mm)が好ましい。
【0024】
これは、誘電体領域9の大きさを導波管開口部13よりも小さくすることで、導波管BをパッケージA1の誘電体層10に取り付ける場合に位置ズレが発生しても、誘電体領域9は、常に導波管開口部13内に収納される確率を高くすることができる結果、接続時の特性のバラツキを低減することができる。
【0025】
また、信頼性の点から、誘電体領域9と導波管開口部13の大きさが同一である場合、導波管Bをロウ材などを用いて接続した場合に、充分なロウ材のメニスカスができず、信頼性が劣る場合がある。
【0026】
この図1の構造のパッケージA1は、誘電体基板1と誘電体層10、信号伝送線路5、導体層8、グランド層7、導体層11、垂直導体12などを、周知のセラミック積層技術を用いて一括して焼成して製造することができる点で有利である。また、銅箔パターン等を有する有機材料誘電体基板を用いて一括積層しても製造可能である。
【0027】
かかる接続構造において、キャビティ3内にて高周波素子4と接続された信号伝送線路5における信号は、グランド層7に設けられたスロット孔6により電磁結合され、誘電体領域9を通過し信号が導波管Bに伝達される。ここで、誘電体領域9の大きさが導波管開口部13より小さくなっており、それぞれの大きさが同じ場合に比べて、導波管Bが多少ずれても誘電体領域9の開口部13の大きさは変化しない。そのため、導波管Bの接続時の位置ズレに対する変換損失の変化は小さくなり特性バラツキが小さくなる。これにより歩留りが向上しコストを低く抑えることが可能となる。
【0028】
また、導波管Bを配線基板Aに導電性接着剤や銀ロウ、半田などロウ材で接合した場合、誘電体領域9を導波管開口部13よりも小さくすることで、導体層11と導波管Bの接合部端面にロウ材のメニスカスが形成可能となり、接合部端面での応力集中を回避でき、ロウ付け時に生じる温度変化からくる接合部の破壊を抑制でき歩留りを向上できる。また、温度変化などに対する信頼性も向上できる。
【0029】
図3は、高周波用パッケージの変形例を示すパッケージであり、(a)は概略断面図、(b)は導波管Bと接続した時の概略断面図である。この高周波用パッケージA2によれば、誘電体層10の表面に、金属などからなる接続部材15をロウ剤等の導電性接着剤を用いて取付けることもできる。そして、この接続部材15に導波管Bの開放端のフランジB’を当接するか、ロウ付けにより接合するかあるいは接続部材15にネジ止めなどの機械的な接合手段により取り付けることができる。
【0030】
この構造においても、高周波用パッケージA1と同様に接続部材15の開口部16を導波管Bの断面開口部13と実質的に同一形状とし、誘電体領域9を開口部16よりも小さくすることで誘電体層10への接続部材15の接続時の位置ズレからくる特性バラツキを抑えることができる。また、温度変化などに対する信頼性も向上できる。
【0031】
また、かかる構造によれば、接続部材15を開口部16の内壁を導体によって形成すれば、任意の材料によって形成でき、特に金属のように剛性の高い材料によって形成できるために、セラミックスなどの誘電体層10に固定する場合に比較して導波管Bを接続部材15を介して高周波用パッケージA2に対して強固に接合することができ、パッケージA2と導波管Bとの接続信頼性を高めることができる。なお、図3では、誘電体基板1の底面に存在する2つの接続部の直下に2つの開口部16を有する接続部材15を形成したが、パッケージA2内に存在する複数の導波管との接続部に対して、各接続部毎に接続部材を個別に設けても良い。
【0032】
図4は、高周波用パッケージの他の変形例を示す概略断面図である。この高周波用パッケージA3によれば、誘電体領域9の内部あるいは表面に、アンテナ的機能や、共振器的機能、電磁場整合機能を具備する導体層17を設けて特性の改善を図ってもよい。
【0033】
図1、図3のパッケージにおいては、高周波素子4は、誘電体基板1の表面に実装された構造からなるが、その変形例として、図4のパッケージA3に示すように、誘電体基板1と誘電体層10によりキャビティ3を形成して、グランド層7を誘電体層10の表面に形成して、さらにそのグランド層7の表面に高周波素子4を実装することも可能である。
【0034】
さらには、図1乃至図4では半導体素子を実装し蓋体によって気密封止したパッケージについて述べたが、信号伝送線路を具備する一般の回路基板と導波管との接続、あるいは表面に信号伝送線路が形成され、半導体素子を直接実装搭載し、素子を樹脂などによって封止した回路基板と導波管との接続においても、図1乃至図4の接続構造が適用できる。
【0035】
上記図1乃至図4に示した本発明の高周波パッケージA1乃至A3においては、誘電体基板1、誘電体領域9、誘電体層10は、セラミックスまたは有機樹脂、あるいはそれらの複合体からなる構成することができる。例えば、セラミックスとしては、Al2O3、AlN、Si3N4などのセラミック材料や、ガラス材料、あるいはガラスとAl2O3、SiO2、MgOなどの無機質フィラーとの複合体からなるガラスセラミック材料により形成でき、これらの原料粉末を用いて所定の基板形状に成形した後、焼成することにより形成される。また、有機樹脂としては、有機系材料からなるプリント基板やテフロン基板によって形成することができる。
【0036】
また、信号の伝達を担う各伝送線路およびグランド層は、タングステン、モリブデンなどの高融点金属や、金、銀、銅などの低抵抗金属などにより形成することができ、これらは、用いる基板材料に応じて適宜選択して、従来の積層技術をもって一体的に形成することができる。
【0037】
例えば、基板をAl2O3、AlN、Si3N4などのセラミック材料により形成する場合には、タングステン、モリブデン等の高融点金属を用いて未焼成体に印刷塗布して、1300〜1900℃の温度で焼成すればよく、基板をガラス材料、ガラスセラミック材料により形成する場合には、銅、金、銀などを用いて同様にして800〜1100℃の温度で焼成することにより作製できる。なお、基板を有機樹脂を含む絶縁材料により形成す場合には、銅、金、銀などを用いてペーストを塗布するか、金属箔を接着することにより線路やグランド層を形成することができる。
【0038】
また、誘電体基板に接続する接続部材15には、一般的な金属であれば特に問題は無い。例えば、Fe−Co−Ni合金やNi−Cr−Fe合金、Cu−Wや、ステンレスでも特に問題は無い。
【0039】
【実施例】
実施例1
特性評価のために、半導体素子搭載部を有せず、入力用、出力用の信号伝送線路同士を接続する以外は、全く図3のパッケージと同一形状からなる図5のサンプル基板aを作製し、導波管と信号伝送線路間の接続特性を評価した。図5は、サンプル基板aの概略断面図と、(b)その導波管bとの接続構造を示す概略断面図である。サンプル基板aは、対象周波数を94GHzとして設計した。測定には、ネットワークアナライザーを用いた。サンプル基板aの測定形態は以下の通りである。
【0040】
ネットワークアナライザーからの導波管b1をサンプル基板aの金属製接続部材15にねじ止めして接続し、導波管b内の信号が変換部xで変換されマイクロストリップ線路5を通過し再び変換部yで変換され導波管b2につながる形態とした。
【0041】
サンプル基板における誘電体基板および誘電体層を形成する材料としては誘電率9.0のAl2O3セラミックスを用い、種々の導体層および垂直導体をタングステンを用いて基板と同時焼成して形成した。なお、上記の露出した導体層の表面には厚さ3μmのAuメッキを施した。また、接続部材としてはFe−Ni−Co合金を用い誘電体層に対してAgロウによって接合した。
【0042】
なお、サンプル基板aにおいては、誘電体領域9の大きさw1、L1を表1のように変えた数種類のサンプル基板を作成した。各種類について10個づつ作製し、評価を行なった。なお、接続部材15の開口部16の大きさは導波管b1,b2の断面開口部と全く同一とした。
【0043】
作製したサンプル基板に対して、S21の平均値、最良値(best)、最悪値(worst)、最良値(best)と最悪値(worst)との差をバラツキとして評価した。
【0044】
また、サンプル基板の特性評価後に熱衝撃試験を行い信頼性の評価も行った。条件は液槽の温度サイクル試験であり、0℃、100℃で各5分間保持した。サンプル数は10個であり、サンプル基板のうち、1個でも壊れた時点でのサイクル数を表に示した。なお試験は1000サイクルまで行い100サイクル毎にサンプルの外観チェックを行い破壊を調査した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1によれば、誘電体領域の大きさを導波管の断面開口部と同一にした試料No.1は、基板間でのS21のバラツキが大きく、また、100サイクルで磁器と接続部材との接合部界面で亀裂が発生した。
【0047】
これに対して、試料No.2〜6のように誘電体領域の大きさを導波管の断面開口部より小さくすることでバラツキが低減できており、しかも信頼性試験においてもも300サイクルまで破壊しなかった。
【0048】
また、誘電体領域を更に小さくした試料No.3、4、5、6では更にバラツキが低減可能であり、熱衝撃試験においても1000サイクルまで信頼性向上が図れた。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、配線基板表面に形成された信号伝送線路と導波管との信号の伝送にあたり、小型化ならびに損失のバラツキの低減ができ、配線基板として気密封止が可能であり、歩留りが向上し低コスト化が可能となり信頼性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様である高周波用パッケージA1と、その導波管Bとの接続構造の一実施態様を説明するためものであり、(a)は高周波用パッケージA1の概略断面図、(b)は高周波用パッケージA1における誘電体層の平面図、(c)は底面図である。
【図2】図1の高周波用パッケージA1に導波管Bを接続した時の(a)概略断面図と、(b)導波管開口部と誘電体領域の大きさを把握するための底面図である。
【図3】本発明の他の実施態様である高周波用パッケージA2と導波管Bとの接続構造を説明するためものであり、(a)は高周波用パッケージA2の概略断面図、(b)はその導波管Bとの接続構造を説明するための概略断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施態様である高周波用パッケージA3を説明するためものであり、高周波用パッケージA3の概略断面図である。
【図5】実施例における特性測定用のサンプル基板を説明するためのものであり、(a)は特性評価用サンプル基板の概略断面図、(b)は特性評価用サンプル基板の導波管Bとの接続構造を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
A1,A2,A3 高周波用パッケージ
B 導波管
B’ フランジ
1 誘電体基板
2 蓋体
3 キャビティ
4 高周波素子
5 信号伝送線路
5a 終端
6 スロット孔
7 グランド層
9 誘電体領域
10 誘電体層
11 導体層
12 垂直導体(VIA)
13 導波管開口部
14 導波管壁
15 接続部材
16 開口部
17 導体層
Claims (3)
- 誘電体基板と、該誘電体基板の一方の表面に形成された信号伝送線路と、該信号伝送線路と導波管とを接続可能な配線基板であって、導波管との接続部が、前記誘電体基板の他方の表面に形成され、前記信号伝送線路の終端と対峙する位置にスロット孔が形成されてなるグランド層と、該グランド層の表面に積層形成された誘電体層と、誘電体層を貫通して前記グランド層と電気的に接続され、前記スロット孔を囲む位置に所定間隔をもって配列形成された複数の垂直導体と、を具備してなり、前記誘電体層における前記垂直導体により囲まれた誘電体領域が、接続される導波管の断面開口部よりも小さいことを特徴とする配線基板。
- 前記誘電体層表面に、導波管の導体壁を固定可能な接続部材を取着してなり、該接続部材の前記誘電体領域形成部に内壁が導体からなる開口部を有し、該開口部が導波管の断面開口部と実質的に同一形状からなり、前記誘電体領域よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
- 請求項1乃至請求項2のいずれか記載の配線基板の接続部に導波管を接続してなることを特徴とする配線基板と導波管との接続構造。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000194398A JP3628238B2 (ja) | 2000-06-28 | 2000-06-28 | 配線基板およびその導波管との接続構造 |
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