JP3627616B2 - 電子制御式機械時計 - Google Patents

電子制御式機械時計 Download PDF

Info

Publication number
JP3627616B2
JP3627616B2 JP2000077170A JP2000077170A JP3627616B2 JP 3627616 B2 JP3627616 B2 JP 3627616B2 JP 2000077170 A JP2000077170 A JP 2000077170A JP 2000077170 A JP2000077170 A JP 2000077170A JP 3627616 B2 JP3627616 B2 JP 3627616B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
wheel
electronically controlled
inertia
controlled mechanical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000077170A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001264458A (ja
Inventor
辰男 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2000077170A priority Critical patent/JP3627616B2/ja
Publication of JP2001264458A publication Critical patent/JP2001264458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3627616B2 publication Critical patent/JP3627616B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/16Mechanical energy storage, e.g. flywheels or pressurised fluids

Landscapes

  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)
  • Electromechanical Clocks (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子制御式機械時計に係り、機械エネルギ貯蔵手段からの機械エネルギで輪列を駆動するとともに、発電機に生じさせた電力により駆動される回転制御装置によって前記発電機の回転を制御することで、前記輪列に制動をかけて調速するようにした電子制御式機械時計に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、特公平7−119812号公報や特開平8−50186号公報に記載されているように、ゼンマイが開放する時の機械エネルギを発電機で電気エネルギに変換し、その電気エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機のコイルに流れる電流値を制御することにより、輪列に固定された指針を正確に駆動して時刻を表示する電子制御式機械時計が実用化されている。
【0003】
この電子制御式機械時計に用いられる発電機としては、輪列の末端で駆動されるロータと、ロータのロータ磁石を周方向に沿って囲む板状のステータとを備えたコアタイプのものが知られており、ロータには回転を安定させる慣性板を一体に設ける場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子制御式機械時計においては、以下の問題が生じ易い。
【0005】
(A)コアタイプの発電機では、磁気回路上コギングトルクを発生するため、輪列中の歯車の噛み合い伝達効率、異物や外部磁界による突発的な負荷、あるいは制御上のミスマッチングなどにより、ゼンマイトルクが一時的にロータまで伝達されず、ロータが止まる可能性がある。
【0006】
(B)従来の慣性板を用いただけではロータの回転が安定し難く、秒針も1rpmの定速で回転するのが困難であり、運針上の速さに変化(以下、運針ムラという)が生じる。
【0007】
そこで、以上の問題を解決するには、ロータの回転エネルギを大きくすることが考えられる。この際、回転エネルギEは次の(1)式で与えられるため、角速度ωが一定の場合、回転エネルギEを大きくするためには、ロータに生じる慣性モーメントIを大きくすればよい。
【0008】
【数1】
Figure 0003627616
本発明の目的は、ロータの慣性モーメントを容易に大きくしてその回転エネルギを確実に大きくでき、信頼性を向上させることができる電子制御式機械時計を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、機械エネルギ貯蔵手段からの機械エネルギで輪列を駆動するとともに、前記輪列により駆動される発電機に生じさせた電力により駆動される回転制御装置によって前記発電機の回転を制御することで、前記輪列に制動をかけて調速するようにした電子制御式機械時計において、前記発電機のロータを介して前記機械エネルギが伝達される慣性車を設けた電子制御式機械時計である。
【0010】
従来、ロータの慣性モーメントIは、慣性板付きロータ自身が有する慣性モーメントIriに略等しかったが(I≒Iri)、本発明の構成では、ロータの慣性モーメントIとしては、次の(2)式のように、ロータ単独の慣性モーメントIと慣性車の慣性モーメントIとを加算したものになるから、従来の慣性板付きロータが本発明の慣性車と同等な慣性モーメントを有していたと考えれば(Iri=I)、ロータ単独の慣性モーメントIの分だけロータに生じる全体の慣性モーメントI、ひいては(3)式に示すように、その回転エネルギEが確実に大きくなり、信頼性が向上する。
【0011】
具体的には、噛み合い伝達効率、突発的な負荷、制御上のミスマッチング等の影響を受け難くなってロータが停止し難くなる。また、ロータの回転がより安定し、秒針の運針ムラが小さくなる。
【0012】
【数2】
Figure 0003627616
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子制御式機械時計において、前記ロータの回転を、増速手段を介して前記慣性車に伝達させた電子制御式機械時計である。
【0013】
このような構成では、(2)式からも明らかなように、慣性車の慣性モーメントIはロータおよび慣性車間の増速比zzの2乗に比例して大きくなるため、増速手段を設けることで慣性車の慣性モーメントIが格段に大きくなり、ロータの回転エネルギEが大幅に増大する。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の電子制御式機械時計において、前記慣性車を、前記ロータに生じる回転方向逆向きのトルクを打ち消すようにアンバランス状態で回転可能に設けた電子制御式機械時計である。
【0015】
このような構成では、ロータの回転の抵抗となるいわゆるコギングトルクが慣性車の回転によって打ち消されるから、前述の特に(A)の影響がより軽減される。 請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記ロータの回転周波数を5Hz以下にした電子制御式機械時計である。
【0016】
請求項5の発明は 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記慣性車の回転周波数を16Hz以下にした電子制御式機械時計である。
【0017】
ロータの後段に慣性車を設けた場合には、ゼンマイで駆動する車の数が増えることになるから、輪列の噛み合い損失、軸受部の摩擦損失などによる機械的損失(以下、これらの損失をまとめてザラトルクという)が大きくなり、ゼンマイエネルギが余分に費やされてゼンマイの持続時間が短くなる。
【0018】
これに対して本発明では、輪列を構成する番車の数を少なくする等して増速比を小さくし、よってロータおよび慣性車の回転周波数を十分に低くすればよいので、ゼンマイからロータまでの噛み合い段数が少なくなって噛み合い伝達効率が向上し、ゼンマイのエネルギロスが少なくなり、慣性車が設けられていても持続時間が十分に確保される。
【0019】
各回転周波数を5Hz、16Hzよりも高くすると、輪列の段数を多くして増速する必要があるから、ザラトルクなどによる損失が大きくなり、ゼンマイのエネルギが余分に消費され、持続時間が短くなる可能性がある。
【0020】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載の電子制御式機械時計において、前記ロータのロータ磁石を多極とした電子制御式機械時計である。
【0021】
本発明では、ロータ磁石を多極にして磁束変化を頻繁に生じさせるから、ロータをより低速回転させても十分な発電量が確保される。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記発電機のステータに設けられたロータ磁石配置用穴の内径Dと、当該穴内に配置されるロータ磁石の外径Dとの比D/Dを0.5以上にした電子制御式機械時計である。
【0023】
それぞれの径寸法の比を0.5以上にし、両部材間のギャップを小さくするので、コイルの鎖交磁束量が増え、発電量が大きくなり、また、磁気回路から漏れる漏れ磁束が生じ難くなり、発電効率が確実に向上する。0.5よりも小さいと、漏れ磁束が生じ易く、渦損失が十分に減少しないので、発電効率がさほど向上しない。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子制御式機械時計の要部を示す平面図、図2は、その断面図であり、これらの図面に基づいて先ず電子制御式機械時計の構成を概略説明する。
【0025】
電子制御式機械時計は、香箱車1内のゼンマイ1aが解ける時の機械エネルギを、香箱歯車1bから輪列7を介して発電機20のロータ21に伝達するとともに、この機械エネルギでロータ21を回転させることで発電機20を構成するコイル22,23に交流出力を生じさせ、この交流出力により駆動される回転制御装置30(図3)によって発電機20の回転周期を制御し、よって前記輪列7に制動をかけて調速するように構成されたものである。
【0026】
具体的には、香箱歯車1bの回転は、二番車2のカナ2aへ伝達された後、二番車2の歯車2bから増速されて三番車3(図1)のカナ3aへ、三番車3の歯車3bから増速されて四番車4のカナ4aへ、四番車4の歯車4bから五番第1中間車5′を介して増速されて五番第2中間車5″のカナ5″aへ、五番第2中間車5″の歯車5″bから増速されて五番車5のカナ5aへ、五番車5の歯車5bから増速されて六番車6のカナ6aへ、六番車6の歯車6bから増速されて前記ロータ21のロータカナ21aへ、ロータ21の歯車21bから増速されて慣性車40へと伝達される。従って、本実施形態では、各番車2〜6で増速輪列7が構成され、香箱歯車1bから慣性車40までの噛み合い段数は9段とされている。
【0027】
ここで、ロータ21の回転周波数fは「8Hz」である。ロータ21から慣性車40への増速比zzは「8」であり、ロータ21の歯車21bおよびこれに噛み合う慣性車のカナ40aで本発明に係る増速手段が形成されている。ロータ21は、歯車21bが設けられていること等により、比較的大きな慣性モーメントIを有する。慣性車40は従来の慣性板付きのロータと略同等な大きさの慣性モーメントIを有している。
【0028】
二番車2、五番車5は、上方が二番受8に、下方が地板9に軸支されている。三番車3、五番第2中間車5″、六番車6、およびロータ21、慣性車40は、上方が輪列受10に、下方が地板9に軸支されている。四番車4は、上方が輪列受10に、下方が二番車2に軸支され、また、五番第1中間車5′は、上方が輪列受10に、下方が二番受8に軸支されている。そして、二番車2には筒カナ2cが、筒カナ2cには図示しない分針が、四番車4には図示しない秒針が、筒カナ2cから日の裏車11を介して回転される筒車12には図示しない時針がそれぞれ固定されている。
【0029】
ロータ21に設けられたロータ磁石26は、N極およびS極をそれぞれ一つずつ有した円板状とされている。コイル22,23が巻回された板状のコア24,25の一端には、コアステータ部(ステータ)24a,25aの半円状の切欠部分で形成されるロータ配置用穴27が設けられ、この穴27内にロータ磁石26が収容されている。
【0030】
回転制御装置30は、図3に示すように、発電機20、昇圧コンデンサ31およびダイオード32,33備えた昇圧整流回路34、IC35等を含んで構成されており、発電機20のコイル22,23からの交流出力が昇圧整流回路34を通して昇圧、整流されて平滑用コンデンサ36に充電され、このコンデンサ36から運針時の調速制御などを行うIC35に供給されるようになっている。この際、各コイル22,23の一方の端子22aおよび23aが接続されていることで、各コア24,25(図1)を流れる磁束の方向に対してコイル22,23の巻線方向が一致するため、各コイル22,23での起電圧が加算された交流出力が昇圧整流回路50に供給されるようになっている。
【0031】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
【0032】
1)ロータ21の後段側に慣性車40が設けられているので、前記(2)式で示したように、ロータ21に生じる全体の慣性モーメントIを、ロータ21自身が有する慣性モーメントIと慣性車40の慣性モーメントIとを加算したものにできる。このため、従来の慣性板付きロータの慣性モーメントを慣性車40の慣性モーメントIと略同じと考えれば、ロータ21に生じる全体の慣性モーメントIを自身の慣性モーメントIの分だけ容易に大きくでき、ひいてはその回転エネルギを確実に大きくできる。
【0033】
従って、ロータ21の回転は、輪列7での噛み合い伝達効率、異物や外部磁界による突発的な負荷、回転速度制御時の制御上のミスマッチング等の影響を受け難くでき、ロータ21を停止し難くできる。また、ロータ21の回転をより安定させることができ、秒針の運針ムラを小さくできる。
【0034】
2)外部磁界の影響を受け難くできるので、時計のムーブメントとしては、直流である外部磁界のバイパス効果を狙う耐磁板を不要にでき、部品点数を減らすことができる。ここで、図4に示すように、直流の外部磁界に対する抗力は、慣性モーメントI(あるいは、角速度ω、ひいては回転エネルギE)に比例して大きくなることが実験的にも確認されており、慣性モーメントIを大きくすることで外部磁界に強くできるのである。
【0035】
3)ロータ21の回転は慣性車40に増速して伝達されるため、前記(2)式で示したように、慣性車40の慣性モーメントIをロータ21および慣性車40間の増速比zzの2乗に比例して格段に大きくでき、ロータ21の回転エネルギを大幅に増大できる。
【0036】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態に係る電子制御式機械時計の要部を示す平面図、図6は、その断面図である。なお、本実施形態において、前述した第1実施形態と同様な部材には同一符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0037】
前記第1実施形態のように、単純に慣性車40を設けただけでは、慣性車40の分のザラトルクが大きくなり、時計の磁束時間が短くなる可能性があるため、本実施形態の電子制御式機械時計では、慣性車40の分のザラトルクが大きくならないように、慣性車40までの増速比を抑えている。また、本実施形態では、第1実施形態に比べてロータ21までの増速比を小さく設定するため、ロータ磁石の26の多極化したり、ロータ磁石26とこれを配置する配置用の穴27とのギャップを小さくし、コイル22,23への鎖交磁束量を増やすなどして、発電量を確保している。具体的な構成は以下の通りである。
【0038】
すなわち、本実施形態の電子制御式機械時計では、第1実施形態での五番第1中間車5′、五番第2中間車5″、および六番車6に相当する番車が存在せず、五番車5の回転がロータ21に伝達されるようになっている。従って、各番車2〜5で増速輪列7が構成され、香箱歯車1bから慣性車40までの噛み合い段数は6段とされている。噛み合い段数が少ないことにより、ロータ21までの増速比も小さく、第1実施形態でのロータ21の回転周波数fが8Hzであったのが、本実施形態では「5Hz」以下に設定され、慣性車40では、回転周波数fが「16Hz」以下に設定されている。
【0039】
また、ロータ21のロータ磁石26としては、形状は第1実施形態と同じ円板状であるが、N極およびS極が周方向にそれぞれ交互に複数形成された多極磁石が用いられている。このロータ磁石26の外径Dとコアステータ部24a,25aの穴27の内径Dとの比D/Dは、0.5以上に設定されており、第1実施形態の場合よりも、ロータ磁石26および穴27間のギャップがさらに小さくなっている。
【0040】
本実施形態では、前述した1)〜3)の効果を同様に得ることができるうえ、加えて以下の効果がある。
【0041】
4)輪列7を構成する番車の数を少なくして増速比を小さくし、よってロータ21および慣性車40の回転周波数f,fをそれぞれ5Hz以下および16Hz以下といった低速に設定しているので、ゼンマイ1aからロータ21までの噛み合い段数を少なくして噛み合い伝達効率を向上させることができる。このため、ゼンマイ1aのエネルギロスを少なくでき、慣性車40が設けられていても持続時間を十分に確保できる。
【0042】
5)ロータ磁石26として多極磁石を用いているから、磁束変化を頻繁に生じさせることができ、ロータ21をより低速回転させても所定の発電量を十分に確保できる。
【0043】
6)ロータ磁石26の外径Dと置用穴27の内径Dとの比D/Dが0.5以上に設定され、両部材間のギャップがより小さくなっているので、コイルの鎖交磁束量を増やし、発電量を十分に確保できる。また、漏れ磁束を生じ難くでき、発電効率を確実に向上させることができる。
【0044】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態を図7、図8に基づいて説明する。本実施形態は、姿勢の変わらない置き時計などに関する。
【0045】
従来を含め前記第1、第2実施形態および本第3実施形態のロータ21では、図7に示すように、回転角度に応じたコギングトルクTが発生する。すなわち、コギングトルクTが生じない位置から徐々にコアステータ部24a,25aと鎖交する磁束の数が増える方向にロータ21を回転させると、回転方向に対抗する(+)向きのコギングトルクTが生じ始め、π/2(1/4回転)の手前で最大になる。この後に減少し、π/2ではコギングトルクTが「0」に戻る。さらに回転させると、ロータ21の回転を促す(−)向きのコギングトルクTが生じ、半回転後に再び「0」となる。残りの半回転についても同様な向きにコギングトルクTを生じる。そして、ゼンマイ1aから十分なエネルギが伝達されなくなると、コギングトルクTが最大となるπ/2または3π/2の手前でロータ21は停止する。
【0046】
このような特性を鑑みて本実施形態では、図8に示すように、ロータ21および慣性車40を水平な回転軸28,41で軸支させるとともに、両者間の増速比を「2」に設定し、かつ慣性車40の外周部分の一部にウェート42を設けてアンバラスな慣性力を生じさせるようにした。この際、コギングトルクTが最大となる位置にロータ21が回転してきた時には、慣性車40のウェート42が常にπ/2に位置するように互いが噛み合っている。そして、このウェート42がπ/2にある時には、慣性車40に生じるアンバランス量が回転方向で最大になる。
【0047】
なお、図7では慣性車40がロータ21の真下に設けられた状態が示されているが、ロータ21に対する慣性車40の配置位置は任意である。
【0048】
このような実施形態では、その特有な構成により、以下の効果がある。
【0049】
7)ロータ21に生じるコギングトルクTが最大となる時には、慣性車40の回転方向へのトルク(アンバランス量)も最大となるため、このトルクでロータ21に生じる(+)向きのコギングトルクTを打ち消すことができ、ロータ21をスムーズに回転させることができる。従って、前述した1)の効果をより確実に実現できる。
【0050】
また、このような構成は、各回転軸28,41が水平に維持される置き時計等に有効に用いることができる。
【0051】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0052】
例えば、前記第2実施形態では、ロータ磁石26の外径Dと置用穴27の内径Dとの比が0.5以上に設定されていたが、このような構成を第1実施形態の時計に適用してもよい。
【0053】
前記各実施形態では、ロータ21の回転が増速して慣性車40に伝達されていたが、例えば、等速で伝達される場合でもよい。この場合でも、ロータ21自身の有する慣性モーメントI分は確実に付加されるから、ロータ21全体の慣性モーメントIを大きくでき、本発明の目的を達成できる。
【0054】
前記各実施形態では、機械エネルギ貯蔵手段としてゼンマイ1aが用いられていたが、機械エネルギ貯蔵手段としてはゼンマイ1aに限定されず、ゴム、スプリング、重錘でもよく、また、電子制御式機械時計を腕時計としてではなく、大がかりな時計として製作する場合には、圧縮空気などの流体を機械エネルギ貯蔵手段としてもよい。
【0055】
その他、ムーブメント内における輪列7や発電機20等のレイアウト、輪列7の総段数、発電機20を構成するコア24,25やコアステータ部24a,25a等の形状などは、その実施にあたって任意に決められてよく、適宜変更可能である。
【0056】
また、本発明は、電子制御式機械時計に適用される以外にも、例えば、玩具(オモチャ)、オルゴールなどの他の電子機器に適用されてもよい。
【0057】
【実施例】
〔第1実施例〕
第1実施例として、慣性モーメントI=40mg・mmのロータ21および慣性モーメントI=80mg・mmの慣性車40を用いるとともに、増速比zz=8、ロータ21の回転周波数f=8Hz(角速度ω=16πrad/s)にそれぞれ設定した場合、前記第1実施形態に記載の電子制御式機械時計でのロータ21の回転エネルギEを前記(3)式に基づいて算出した。以下に算出結果を示す。
【0058】
【数3】
Figure 0003627616
〔第2実施例〕
第2実施例として、ロータ21の慣性モーメントI、慣性車40の慣性モーメントI、増速比zzをそれぞれ第1実施例と同じとし、ロータ21の回転周波数f=1.5Hz=3πrad/s(慣性車40の回転周波数f=12Hz)に設定した場合、前記第2実施形態に記載の電子制御式機械時計でのロータ21の回転エネルギEを前記(3)式に基づいて算出した。以下に算出結果を示す。
【0059】
【数4】
Figure 0003627616
〔比較例〕
比較例として、前記(1)式に基づき、慣性車40を設けない場合のロータ21の回転エネルギEを算出した。以下に算出結果を示す。なお、ロータ21の慣性モーメントI(=I)および回転周波数fは第1実施例と同じ8Hzである。
【0060】
【数5】
Figure 0003627616
以上の算出結果を比較すると、第1実施例の時計でのロータ21の回転エネルギEは、従来の時計での回転エネルギEの65倍以上大きく、発電機20の性能を格段に向上させることができると認められ、本発明の有効性を確認できた。
一方の第2実施例の時計での回転エネルギEにおいても、従来と比較して2倍以上大きくでき、第1実施例ほどではないが、本発明の効果を十分に得ることができると認められる。
【0061】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、ロータの慣性モーメントを容易に大きくしてその回転エネルギを確実に大きくでき、信頼性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子制御式機械時計の要部を示す平面図である。
【図2】前記第1実施形態の断面図である。
【図3】前記第1実施形態の回路図である。
【図4】前記実施形態の効果を説明するためのグラフを示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電子制御式機械時計の要部を示す平面図である。
【図6】前記第2実施形態の断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る電子制御式機械時計のコギングトルクとロータの回転位置との関係を示す図である。
【図8】前記第3実施形態の構成部品を示す模式図である。
【符号の説明】
1a 機械エネルギ貯蔵手段としてのゼンマイ
7 輪列
20 発電機
21 ロータ
21b 増速手段を構成する歯車
24a,25a ステータであるコアステータ部
26 ロータ磁石
27 配置用穴
30 回転制御装置
40 慣性車
40a 増速手段を構成するカナ
42 ウェート
D2 内径
D1 外径
E,E,E 回転エネルギ
I,I,I 慣性モーメント
,f 回転周波数
zz 増速比

Claims (7)

  1. 機械エネルギ貯蔵手段からの機械エネルギで輪列を駆動するとともに、前記輪列により駆動される発電機に生じさせた電力により駆動される回転制御装置によって前記発電機の回転を制御することで、前記輪列に制動をかけて調速するようにした電子制御式機械時計において、
    前記発電機のロータを介して前記機械エネルギが伝達される慣性車を備えていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  2. 請求項1に記載の電子制御式機械時計において、前記ロータの回転は増速手段を介して前記慣性車に伝達されることを特徴とする電子制御式機械時計。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子制御式機械時計において、前記慣性車は、前記ロータに生じる回転方向逆向きのトルクを打ち消すようにアンバランス状態で回転可能に設けられていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記ロータの回転周波数は、5Hz以下であることを特徴とする電子制御式機械時計。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記慣性車の回転周波数は、16Hz以下であることを特徴とする電子制御式機械時計。
  6. 請求項4または請求項5に記載の電子制御式機械時計において、前記ロータのロータ磁石は多極であることを特徴とする電子制御式機械時計。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記発電機のステータに設けられたロータ磁石配置用穴の内径Dと、当該穴内に配置されるロータ磁石の外径Dとの比D/Dは、0.5以上であることを特徴とする電子制御式機械時計。
JP2000077170A 2000-03-17 2000-03-17 電子制御式機械時計 Expired - Fee Related JP3627616B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000077170A JP3627616B2 (ja) 2000-03-17 2000-03-17 電子制御式機械時計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000077170A JP3627616B2 (ja) 2000-03-17 2000-03-17 電子制御式機械時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001264458A JP2001264458A (ja) 2001-09-26
JP3627616B2 true JP3627616B2 (ja) 2005-03-09

Family

ID=18594784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000077170A Expired - Fee Related JP3627616B2 (ja) 2000-03-17 2000-03-17 電子制御式機械時計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3627616B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101604880B (zh) * 2005-09-23 2011-07-27 中国人民解放军国防科学技术大学 便携式电子设备的基于旋转惯性块的增速发电装置
EP3316046B1 (fr) * 2016-10-25 2019-07-31 The Swatch Group Research and Development Ltd Mouvement d'horlogerie optimisé
CN112433458B (zh) * 2020-11-23 2021-09-03 深圳市精准时计科技有限公司 设有定位装置的钟表机芯

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001264458A (ja) 2001-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110212697A (zh) 一种轮式机器人轮毂驱动一体式电机
JP3627616B2 (ja) 電子制御式機械時計
CN207819716U (zh) 一种新型旋转结构的电机
JP3607359B2 (ja) 時計内の機械エネルギー源と電気エネルギー発電器間の連結装置
JP3456476B2 (ja) 電子制御式機械時計
CN209692520U (zh) 一种轮式机器人轮毂驱动一体式电机
JP2525141B2 (ja) 電子時計における小型発電機
JP4893447B2 (ja) 電子制御式機械時計およびコギングトルクの低減方法
JPH07218657A (ja) 電子腕時計
JP7327181B2 (ja) 時計
JP3632599B2 (ja) 時計
JP2009258038A (ja) 電子制御式機械時計
JP2002148363A (ja) 時 計
JP2002315259A (ja) 発動発電機
JP3804563B2 (ja) ぜんまい装置およびこのぜんまい装置を備えた時計
JP4077635B2 (ja) 電子制御式機械時計
JP3632431B2 (ja) 電子制御式機械時計
JP2576402B2 (ja) 小型発電装置
JPS63128286A (ja) 発電装置付電子腕時計
JP2007320382A (ja) ハイブリッド車両の駆動装置
JP3627490B2 (ja) 電子制御式機械時計
JP2000147153A (ja) ゼンマイトルク出力装置およびこれを用いた機械時計
JP2001183475A (ja) 電子制御式機械時計
JPH0694850A (ja) 発電装置付電子時計
JP3165424B2 (ja) 発電機付腕時計

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040629

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20041005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3627616

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081217

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091217

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101217

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101217

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111217

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111217

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121217

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121217

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131217

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees