JP3627500B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機を備えた車両において、アクセルの踏み込み量等によって、目標駆動力を設定し、その目標駆動力に応じて、内燃機関の出力トルクを制御する装置として、例えば特開平3−163256号公報に記載されているようなものがある。
【0003】
このような装置は、アクセル踏み込み量、車速等の走行状態から目標駆動力および自動変速機の目標変速比を設定すると共に、目標駆動力と目標変速比から内燃機関に対する要求出力トルクを演算して、変速比操作手段が目標変速比に実際の変速比が一致するように自動変速機を操作すると共に、出力トルク操作手段が要求出力トルクに実際の出力トルクが一致するように内燃機関を操作する。
【0004】
この場合、要求出力トルクは、例えば(1)式のような計算を行って求める。(1)式は、実際の変速比が目標変速比にほぼ一致することを前提にしている。
【0005】
tTe=(tFd×Rtire)/(tG×Gf) …(1)
ただし、tTe : 要求出力トルク(N・m)
tFd : 目標駆動力(N)
Rtire : 駆動輪有効半径(m)
tG : 自動変速機の目標変速比
Gf : ファイナルギアの減速比
ここで、RtireとGfは定数として与える。
【0006】
なお、(1)式の要求出力トルクの演算は、内燃機関の出力トルクと駆動力の関係が近似的に(2)式のように表せることを前提としている。
【0007】
Fd=Te×G×Gf/Rtire …(2)
ただし、Fd : 駆動力(N)
Te : 出力トルク(N・m)
G : 自動変速機の変速比
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例のような車両用駆動力制御装置にあっては、以下のような問題がある。
【0009】
加速時のように大きな駆動力を必要とする運転状態においては、内燃機関の出力トルクを大きくする必要があるが、出力トルクを操作する手段が操作範囲の上限に到達すると、必要な駆動力が達成できない可能性があり、運転性が悪化しかねないのである。
【0010】
また、目標駆動力と変速比に基づき出力トルクの制御を行うものだと、出力トルクを操作する手段が操作範囲の下限に達した場合、要求の駆動力を実現できない可能性があり、低速走行時等の運転性が悪化しかねないのである。
【0011】
この発明は、このような従来の問題点に注目してなされたもので、目標の駆動力に対して出力トルク操作手段による操作量が操作範囲の上限あるいは下限に到達した場合、目標変速比を切り替えることによって、目標の駆動力を得ることができる車両用駆動力制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
自動変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
前記目標駆動力と、前記変速比から、内燃機関に要求される出力トルクを演算する要求出力トルク手段と、前記要求出力トルクに基づいて、内燃機関の出力トルクを操作する出力トルク操作手段と、車速を検出する車速検出手段と、
前記目標駆動力と、前記車速から、第1の目標変速比を設定する第1目標変速比設定手段と、機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段と、
前記出力トルク操作手段による操作量が実現可能な操作量の上限に到達していることを仮定した場合の出力トルクを、前記機関回転速度から推定する操作量上限到達時の出力トルク推定手段と、
前記自動変速機の変速比を変数とした内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づき、前記目標駆動力と、前記操作量上限到達時の出力トルクから、第2の目標変速比を設定する第2目標変速比設定手段と、
前記出力トルク操作手段による操作量が、実現可能な操作量の上限に到達していることを判定する操作量上限到達判定手段と、
前記第1の目標変速比と、前記第2の目標変速比から、前記操作量上限到達判定手段の判定結果に基づいて、前記出力トルク操作手段による操作量が上限に到達していないときは前記第1の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に、前記出力トルク操作手段による操作量が上限値に到達しているときは前記第2の目標変速比を自動変速機の目標変速比に設定する目標変速比選定手段と、
前記目標変速比選定手段が設定した目標変速比に基づいて、前記自動変速機の変速比を操作する手段と、
からなる。
【0014】
第2の発明は 車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
自動変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
前記目標駆動力と、前記変速比から、内燃機関に要求される出力トルクを演算する要求出力トルク手段と、
前記要求出力トルクに基づいて、内燃機関の出力トルクを操作する出力トルク操作手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記目標駆動力と、前記車速から、第1の目標変速比を設定する第1目標変速比設定手段と、
前記自動変速機の出力軸回転速度を検出する手段と、
前記自動変速機の変速比を変数とした内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づき、前記目標駆動力と、前記出力軸回転速度から、第2の目標変速比を設定する第2目標変速比設定手段と、
前記出力トルク操作手段による操作量が、実現可能な操作量の上限に到達していることを判定する操作量上限到達判定手段と、
前記第1の目標変速比と、前記第2の目標変速比から、前記操作量上限到達判定手段の判定結果に基づいて、前記出力トルク操作手段による操作量が上限に到達していないときは前記第1の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に、前記出力トルク操作手段による操作量が上限値に到達しているときは前記第2の目標変速比を自動変速機の目標変速比に設定する目標変速比選定手段と、
前記目標変速比選定手段が設定した目標変速比に基づいて、前記自動変速機の変速比を操作する手段と
からなる。
【0015】
第3の発明は車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
自動変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
前記目標駆動力と、前記変速比から、内燃機関に要求される出力トルクを演算する要求出力トルク手段と、
前記要求出力トルクに基づいて、目標操作量を設定する目標操作量設定手段と、
前記目標操作量にしたがって、機関の出力トルクを操作する出力トルク操作手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記目標駆動力と、前記車速から、第1の目標変速比を設定する第1目標変速比設定手段と、
機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段と、
前記出力トルク操作手段による操作量が操作範囲の下限に到達していることを仮定した場合の出力トルクを、前記機関回転速度ならびに燃料カット状態から推定する出力トルク推定手段と、
前記自動変速機の変速比を変数とした内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づき、前記目標駆動力と、前記出力トルク推定手段の推定出力トルクから、第2の目標変速比を設定する第2目標変速比設定手段と、
前記目標操作量が前記出力トルク操作手段の操作範囲の下限値以上のときは前記第1の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に、前記目標操作量が前記出力トルク操作手段の操作範囲の下限値未満のときは前記第2の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に設定する目標変速比設定手段と、
前記目標変速比選定手段が設定した目標変速比に基づいて、前記自動変速機の変速比を操作する手段と
からなる。
【0017】
第4の発明は、第1、第2、第3の発明において、
前記変速比は、前記変速比検出手段が検出する代わりに、前記目標変速比設定手段が設定した目標変速比から推定によって求める。
【0019】
第5の発明は、第3の発明において、
前記目標変速比設定手段は、前記第1の目標変速比から前記第2の目標変速比への移行ならびに前記第2の目標変速比から前記第1の目標変速比への移行を平滑的に行う。
【0020】
第6の発明は、第5の発明において、
目標変速比の移行は、所定時間をかけて行われる。
【0021】
第7の発明は第5の発明において、
目標変速比の移行は、移行による目標変速比の変化速度が所定値となるように行われる。
【0022】
第8の発明は、第3の発明において、
前記目標操作量設定手段は、目標操作量が前記出力トルク操作手段の操作範囲の下限値未満になった場合、その時点での目標駆動力に対して、目標駆動力が所定量大きくなるまでは、目標操作量をその下限値未満とする。
【0023】
第9の発明は、第1、第2、第3の発明において、
前記機関は、ガソリン内燃機関またはディーゼル内燃機関またはモータにガソリン内燃機関を組み合わせたものまたはモータにディーゼル内燃機関を組み合わせたもののいずれかである。
【0024】
第10の発明は、第9の発明において、
出力トルク操作手段は、機関の吸入空気量または空燃比またはモータトルクを調整するものである。
第11の発明は、第1、第2に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記目標変速比設定手段は、前記出力トルク操作手段による操作量が、実現可能な操作量の上限に到達したら、前記出力トルク操作手段による操作量が実現可能な操作量の上限よりも所定量小さくなるまでは、第2の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に設定し続ける。
【0025】
【発明の効果】
第1、第2の発明によれば、内燃機関の出力トルク操作手段の操作量が操作範囲の上限に到達すると、これを前提にして設定された第2の目標変速比を自動変速機の最終的な目標変速比にする。したがって、内燃機関の出力トルク操作手段の操作量が操作範囲の上限に到達している場合においても、目標変速比が実現可能な変速比の範囲内にある限りにおいて、目標とする駆動力を得ることが可能となり、運転性が向上する。
【0026】
第3の発明によれば、機関の出力トルク操作手段の操作量が操作範囲の下限に達した場合においても、目標とする駆動力を実現することができ、低速走行時等の運転性が向上する。
【0027】
第4の発明によれば、変速比を検出する測定手段が不要になり、構造が簡単になる。
【0028】
第5〜第8の発明によれば、低速走行時等に違和感なく目標とする駆動力を実現することができる。
【0029】
第9、第10の発明によれば、ガソリン内燃機関またはディーゼル内燃機関またはモータにガソリン内燃機関を組み合わせたものまたはモータにディーゼル内燃機関を組み合わせたものを動力とする車両に適用できる。
第11の発明によれば、目標変速比が頻繁に切り替わるのを防ぐことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は駆動系の構成を示すもので、1はエンジン、2は自動変速機(無段変速機)、3は駆動軸、4はディファレンシャルギヤ、5は駆動輪である。
【0032】
6はアクセルペダル7の踏み込み量を検出するアクセルセンサ、8はエンジン1の吸気通路9のスロットル10を駆動するスロットルアクチュエータ、11はスロットル10の開度を検出するスロットル開度センサ、12は自動変速機2の出力軸側から車速を検出する車速センサである。
【0033】
エンジンおよび変速制御部(コントローラ)13は、スロットルアクチュエータ8を介してスロットル10の開度、図示しない燃料噴射弁の燃料噴射、および自動変速機2の変速を制御する。
【0034】
図2は第1の実施の形態の制御系(コントローラ13)のブロック構成を示すもので、6はアクセル踏み込み量検出手段(アクセルセンサ)、12は車速検出手段(車速センサ)、14は変速比検出手段、15は目標駆動力設定手段、16は要求出力トルク演算手段、17は出力トルク操作手段、18は第1の目標変速比設定手段、19は第2の目標変速比設定手段、20は操作量上限到達判定手段、21は目標変速比選定手段、22は変速比操作手段、からなる。
【0035】
変速比検出手段14は、自動変速機2の入力軸回転数と出力軸回転数(図示しない回転センサと車速センサ12により検出)との比から変速比を検出する。
【0036】
目標駆動力設定手段15は、走行状態に合わせて目標駆動力を設定する。例えば、車速とアクセルペダル踏み込み量とから、目標駆動力を設定する。この場合、車速とアクセルペダル踏み込み量と目標駆動力の関係はあらかじめマップとして用意しておく。目標駆動力設定マップ例を図4に示す。
【0037】
要求出力トルク演算手段16は、目標駆動力設定手段15の出力である目標駆動力と、変速比検出手段14の出力である変速比を用いて、例えば(3)式のような計算を行い要求出力トルクを求める。(3)式は、前(2)式に示した内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づいている。
【0038】
tTe=(tFd×Rtire)/(G×Gf) …(3)
ただし、tTe : 要求出力トルク(N・m)
tFd : 目標駆動力(N)
Rtire : 駆動輪有効半径(m)
G : 自動変速機の変速比
Gf : ファイナルギアの減速比
ここで、RtireとGfは定数として与える。
【0039】
出力トルク操作手段17は、要求出力トルク演算手段16の出力である要求出力トルクに、実際の出力トルクが一致するように、エンジンの吸入空気量を調整しているスロットル10の開度を操作する。
【0040】
この場合、まず要求出力トルク演算手段16の出力である要求出力トルクと、機関回転速度検出手段23の出力であるエンジン回転速度から、目標スロットル開度を設定する。要求出力トルクとエンジン回転速度と目標スロットル開度の関係はあらかじめマップとして用意しておく。目標スロットル開度設定マップ例を図5に示す。次に、目標スロットル開度に、実際のスロットル開度が一致するように、スロットルアクチュエータ8を介してスロットル10を操作する。燃料噴射弁の燃料噴射制御は、このスロットル開度を基に行う。
【0041】
なお、ディーゼル機関であれば、燃料噴射量を調整している燃料噴射ポンプのコントロールスリーブ位置等を操作する。
【0042】
操作量上限到達判定手段20は、出力トルク操作手段17による操作量が操作範囲の上限に到達しているかどうか、即ち出力トルク操作手段17で設定される目標スロットル開度が、実現可能な操作範囲の上限を越えている場合に、実際のスロットル開度が上限に到達していると判断し、その場合に信号を発する。
【0043】
なお、目標変速比が頻繁に切り替わるのを防ぐために、一旦信号を発したら、目標スロットル開度が実現可能な操作範囲の上限よりも所定開度小さい開度にならないと、信号が停止しないようにしても良い。
【0044】
第1の目標変速比設定手段18は、運転状態に基づき、燃費、騒音等を考慮して第1の目標変速比を設定する。例えば、目標駆動力設定手段15の出力である目標駆動力と車速から、第1の目標変速比を設定する。この場合、目標駆動力と車速と第1の目標変速比の関係はあらかじめマップとして用意しておく。第1の目標変速比設定マップ例を図6に示す。
【0045】
第2の目標変速比設定手段19は、図3のように機関回転速度検出手段23、操作量上限到達時出力トルク推定手段24、第2の目標変速比演算手段25からなる。
【0046】
機関回転速度検出手段23は、エンジン回転速度を検出する。
【0047】
操作量上限到達時出力トルク推定手段24は、出力トルク操作手段17の操作量が上限に到達しているものと仮定した場合の、エンジン1の出力トルク(以下、操作量上限到達時出力トルクとする)を、機関回転速度検出手段23の出力であるエンジン回転速度から推定する。この場合、エンジン回転速度と操作量上限到達時出力トルクの関係は、あらかじめマップとして用意しておく。操作量上限到達時出力トルク推定マップ例を図7に示す。
【0048】
第2の目標変速比演算手段25は、目標駆動力設定手段15の出力である目標駆動力と、操作量上限到達時出力トルク推定手段24の出力である操作量上限到達時出力トルクを用いて、例えば(4)式のような計算を行い第2の目標変速比を求める。
【0049】
tG2=(tFd×Rtire)/(yTe×Gf) …(4)
ただし、tG2 : 第2の目標変速比
tFd : 目標駆動力(N)
Rtire : 駆動輪有効半径(m)
yTe : 操作量上限到達時出力トルク(N・m)
Gf : ファイナルギアの減速比
ここで、RtireとGfは定数として与える。
【0050】
なお、(4)式は(2)式をもとに導いた式である。
【0051】
目標変速比選定手段21は、操作量上限到達判定手段20の判定結果に基づいて、第1の目標変速比と第2の目標変速比から、最終的な目標変速比を選択する。即ち、目標変速比選定手段21は、操作量上限到達判定手段20が信号を発している場合に、目標変速比を第2の目標変速比設定手段19(第2の目標変速比演算手段25)の出力である第2の目標変速比とし、信号を発していない場合は、第1の目標変速比設定手段18の出力である第1の目標変速比を目標変速比とする。
【0052】
変速比操作手段22は、目標変速比選定手段21の出力である自動変速機の目標変速比に、実際の変速比が一致するように自動変速機2を操作する。この場合、自動変速機2の油圧変速機構の変速制御弁を介して変速比を操作する。
【0053】
次に、制御の流れを図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0054】
ステップ1では、アクセルペダル踏み込み量と車速から目標駆動力を設定する。
【0055】
ステップ2では、目標駆動力と車速から第1の目標変速比を設定する。
【0056】
ステップ3では、エンジン回転速度から操作量上限到達時出力トルクを推定する。
【0057】
ステップ4では、目標駆動力と操作量上限到達時出力トルクから第2の目標変速比を設定する。
【0058】
ステップ5では、検出変速比と目標駆動力から要求出力トルクを演算する。
【0059】
ステップ6では、要求出力トルクにしたがってエンジン1の出力トルクを操作する。
【0060】
ステップ7では、出力トルク操作量が操作範囲の上限に到達しているかどうかを判定する。
【0061】
出力トルク操作量が操作範囲の上限に到達していない場合は、ステップ8に進み、第1の目標変速比を目標変速比とする。
【0062】
出力トルク操作量が操作範囲の上限に到達している場合は、ステップ9に進み、第2の目標変速比を目標変速比とする。
【0063】
ステップ10では、その目標変速比にしたがって自動変速機2の変速比を操作する。
【0064】
この制御のシミュレーション結果を図9〜図11に示す。この場合、目標駆動力を一定にして、150秒から増加させ、165秒から減少させた。スロットル開度の上限は80%、第1の目標変速比は1.0固定とした。
【0065】
図9のように、目標駆動力の増加によって、目標スロットル開度はおよそ153秒から172秒までの間、操作範囲の上限に到達している。なお、160秒を含む、その前後の時間において、目標スロットル開度が若干80%を下回っているが、操作量上限到達判定手段20が、信号を発すると目標スロットル開度が80%よりも所定開度小さくならないと信号を停止しないようにしているため、153秒から172秒にかけては、操作範囲の上限の到達状態にある。
【0066】
この目標スロットル開度が操作範囲の上限に到達した結果から、目標変速比は、図10のようにおよそ153秒の時点から第2の目標変速比に切り替わり、およそ172秒の時点から再び第1の目標変速比に戻る。
【0067】
図11は目標駆動力(tFd)と、本例による駆動力(Fd 1)と、比較として、従来例による駆動力(Fd 2)を示す。なお、従来例では、目標変速比を1.0とし、スロットル開度の上限は80%とした。
【0068】
このシミュレーション結果から分かるように、従来例では目標スロットル開度が操作範囲の上限に到達した場合、必要な駆動力を達成できないことがあるが、本例では目標スロットル開度が操作範囲の上限に到達しても、目標駆動力をほぼ実現することができる。
【0069】
なお、自動変速機2の変速比を、前記変速比検出手段14が検出する代わりに、変速比推定手段26(図12)を設けて、前記目標変速比選定手段21の出力である目標変速比から推定によって求めることもできる。
【0070】
この場合、変速比推定手段26は、目標変速比設定手段21の出力である目標変速比を用いて、例えば(5)式のような計算を行ない変速比を求める。(5)式は、自動変速機2の変速比が目標変速比に対して時定数τの一次遅れで近似的に表されるものとした場合の例である。(5)式中のZはZ変換の演算子で、Z−1は1演算遅れを表す。
【0071】
Figure 0003627500
ただし、G : 自動変速機の変速比
tG : 自動変速機の目標変速比
τ : 変速比の遅れ時定数(S)
△t : サンプリングタイム(S)
ここで、△tは定数として与える。τは時定数が運転状態によって変化するのであれば、運転状態から推定して求めても良いし、ほとんど変化しないのであれば定数として与えてもよい。
【0072】
このように変速比を推定して求めるようにすれば、変速比を検出するための測定手段(自動変速機2の入力軸回転数を検出する回転センサ等)が不要になる。なお、変速比が目標変速比にほぼ一致して追従し、要求出力トルク演算手段16で使用する変速比として目標変速比を用いることが可能ならば、本推定手段26も不要になる。
【0073】
図12は第2の実施の形態の制御系のブロック構成を示す。この場合、第1の実施の形態とは第2の目標変速比設定手段30のみ異なり、その他の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0074】
この第2の目標変速比設定手段30は、図13のように出力軸回転速度検出手段31、第2の目標変速比演算手段32からなる。
【0075】
出力軸回転速度検出手段31(車速センサ12が兼ねて良い)は、自動変速機2の出力軸回転速度を検出する。
【0076】
第2の目標変速比演算手段32は、前(2)式に基づいて、目標駆動力を実現すためのエンジン回転速度を演算し、出力軸回転速度で除して、第2の目標変速比とする。以下、本手段で使用する演算式の導出方法を説明する。
【0077】
前(2)式は(6)式のように表すことができる。
【0078】
Figure 0003627500
目標駆動力を実現するためのエンジン回転速度(以下、目標エンジン回転速度とする)は、(6)式をもとに、目標エンジン回転速度を変数とした(7)式の方程式を解くことによって求められる。ここで、F( )は、出力トルク操作手段が上限に到達している場合において、エンジン回転速度から出力トルクを算出する関数である。
【0079】
Figure 0003627500
なお、(7)式は(8)式のようにすることができる。
【0080】
Figure 0003627500
具体的な演算方法については、出力軸回転速度検出手段31の出力である出力軸回転速度と、目標駆動力設定手段15の出力である目標駆動力を用いて、例えば(10)式のような計算を行い目標エンジン回転速度を求め、(11)式から第2の目標変速比を求める。(10)式は(8)式から導いた式であり、H−1()とは、H( )の逆関数である。関数H( )については、実験結果等から求めた関数F( )をもとに、(9)式に従ってを求め、この逆関数をH−1( )とする。
【0081】
Figure 0003627500
ただし、Fd : 目標駆動力(N)
Te : 操作量上限到達時出力トルク(N・m)
Ne : エンジン回転速度(rpm)
Nout : 自動変速機の出力軸回転速度(rpm)
Gf : ファイナルギアの減速比
Rtire : 駆動輪有効半径(m)
tFd : 目標駆動力(N)
tNe : 目標エンジン回転速度(rpm)
tG2 : 第2の目標変速比
ここで、Rtire,Gfは定数として与える。
【0082】
この例の制御の流れを図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0083】
ステップ21では、アクセルペダル踏み込み量と車速から目標駆動力を設定する。
【0084】
ステップ22では、目標駆動力と車速から第1の目標変速比を設定する。
【0085】
ステップ23では、目標駆動力と出力軸回転速度から第2の目標変速比を設定する。
【0086】
ステップ24では、推定変速比(または検出変速比)と目標駆動力から要求出力トルクを演算する。
【0087】
ステップ25では、要求出力トルクにしたがってエンジン1の出力トルクを操作する。
【0088】
ステップ26では、出力トルク操作量が操作範囲の上限に到達しているかどうかを判定する。
【0089】
出力トルク操作量が操作範囲の上限に到達していない場合は、ステップ27に進み、第1の目標変速比を目標変速比とする。
【0090】
出力トルク操作量が操作範囲の上限に到達している場合は、ステップ28に進み、第2の目標変速比を目標変速比とする。
【0091】
ステップ29では、その目標変速比にしたがって自動変速機2の変速比を操作する。
【0092】
図15は第3の実施の形態の制御系のブロック構成を示す。これは、後述の第4の実施の形態に同じく、出力トルク操作手段の操作範囲の下限におけるものである。
【0093】
図15のように、機関回転速度検出手段40(前述の機関回転速度検出手段23に相当する)、変速比推定手段41(前述の変速比推定手段26に相当する、または変速比検出手段14でも良い)、目標駆動力設定手段42(前述の目標駆動力設定手段15に相当する)、目標出力トルク設定手段43(前述の要求出力トルク演算手段16に相当する)、目標操作量設定手段44、出力トルク操作手段45(前述の出力トルク操作手段17に相当する)、出力トルク推定手段46、第1の目標変速比設定手段47、第2の目標変速比設定手段48、目標変速比設定手段49、変速比操作手段50(前述の変速比操作手段22に相当する)、燃料カット指令手段51からなる。
【0094】
変速比推定手段41は、目標変速比設定手段49の出力である目標変速比を用いて自動変速機2の変速比を推定する。
【0095】
目標駆動力設定手段42は、走行状態に合わせて目標駆動力を設定する。例えば、車速とアクセルペダル踏み込み量とから、目標駆動力を設定する。車速とアクセルペダル踏み込み量と目標駆動力の関係はあらかじめマップとして用意しておく。目標駆動力設定マップ例を図16に示す。
【0096】
目標出力トルク設定手段43は、目標駆動力設定手段42の出力である目標駆動力と、変速比推定手段41の出力である変速比を用いて、例えば前(3)式のような計算を行い目標出力トルク(要求出力トルク)を求める。なお、目標変速比と変速比がほぼ一致している場合、変速比として目標変速比を用いても良い。
【0097】
目標操作量設定手段44は、目標出力トルク設定手段43の出力である目標出力トルクに基づき、出力トルク操作手段45に対する目標操作量を設定する。エンジンの吸入空気量を調整しているスロットル10の場合、目標操作量は目標スロットル開度として(以下、目標スロットル開度として説明する)、例えば目標出力トルクと、機関回転速度検出手段40の出力であるエンジン回転速度から、目標スロットル開度を設定する。目標出力トルクとエンジン回転速度と目標スロットル開度の関係はあらかじめマップとして用意しておく。目標スロットル開度設定マップ例を図17に示す。
【0098】
また、目標操作量設定手段44は、目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値未満になった場合、その時点での目標駆動力に対して、目標駆動力が所定量大きくなるまでは、目標スロットル開度をその下限値未満とする制限処理を行う。出力トルク操作手段45によるスロットル開度の操作範囲の下限値を0%とする。
【0099】
出力トルク操作手段45は、目標操作量設定手段44の出力である目標スロットル開度に、実際のスロットル開度が一致するように、スロットルアクチュエータ8を介してスロットル10を操作する。燃料噴射弁の燃料噴射制御は、このスロットル開度を基に行う。
【0100】
なお、ディーゼル機関であれば、燃料噴射量を調整している燃料噴射ポンプのコントロールスリーブ位置等を操作する。
【0101】
出力トルク推定手段46は、出力トルク操作手段45による操作量が操作範囲の下限(スロットル開度0%)に到達しているものと仮定した場合の、エンジン1の出力トルク(以下、操作量下限到達時出力トルクとする)を、機関回転速度検出手段40の出力であるエンジン回転速度から推定する。この操作量下限到達時出力トルクは、減速時の慣性力に相当するもので、エンジン回転速度と操作量下限到達時出力トルクの関係は、燃料カット状態を含め、あらかじめマップとして用意しておく。操作量下限到達時出力トルク推定マップ例を図18に示す。この操作量下限到達時出力トルクは、燃料カットを行っているときのほうが、行っていないときよりも大きいため、参照するマップデータは、燃料カット指令手段51の出力に基づき、燃料カットを行っているときと、行っていないときとで切り替える。
【0102】
燃料カット指令手段51は、運転状態に合わせて燃料カット指令を出力する。例えば、アクセルペダル7が解放されるとONするアイドルスイッチとエンジン回転速度の状態から、減速時等に燃料カットの開始と停止の判断を行う。燃料カットの開始は、エンジン回転速度が所定値以上のときにアイドルスイッチがOFFからONになった場合に実施する。燃料カットの停止は、アイドルスイッチがONからOFFになった場合またはエンジン回転速度が所定値以下になった場合に実施する。
【0103】
第1の目標変速比設定手段47は、運転状態に基づき、第1の目標変速比を設定する。例えば、目標駆動力設定手段42の出力である目標駆動力と車速から、第1の目標変速比を設定する。この場合、目標駆動力と車速と第1の目標変速比の関係はあらかじめマップとして用意しておく。第1の目標変速比設定マップ例を図19(または前図6)に示す。
【0104】
第2の目標変速比設定手段48は、目標駆動力設定手段42の出力である目標駆動力と、出力トルク推定手段46の出力である操作量下限到達時出力トルクを用いて、例えば、前(4)式のような計算を行い第2の目標変速比を求める。
【0105】
目標変速比設定手段49は、目標操作量設定手段44の出力である目標スロットル開度に基づいて、第1の目標変速比と第2の目標変速比から、自動変速機の目標変速比を設定する。即ち、目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値以上のときは、目標変速比を第1の目標変速比設定手段47の出力である第1の目標変速比とし、目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値未満のときは、目標変速比を第2の目標変速比設定手段48の出力である第2の目標変速比とする。
【0106】
変速比操作手段50は、目標変速比設定手段49の出力である自動変速機の目標変速比に、実際の変速比が一致するように自動変速機2を操作する。この場合、自動変速機2の油圧変速機構の変速制御弁を介して変速比を操作する。
【0107】
次に、制御の流れを図20のフローチャートに基づいて説明する。
【0108】
ステップ41では、アクセルペダル踏み込み量と車速から目標駆動力を設定する。
【0109】
ステップ42では、目標駆動力と車速から第1の目標変速比を設定する。
【0110】
ステップ43では、目標駆動力と操作量下限到達時出力トルクから第2の目標変速比を設定する。
【0111】
ステップ44では、検出変速比と目標駆動力から要求出力トルク(目標出力トルク)を演算する。
【0112】
ステップ45では、要求出力トルクにしたがって目標スロットル開度を演算する。
【0113】
ステップ46では、目標スロットル開度の制限処理を行う。
【0114】
この目標スロットル開度の制限処理は、図21のように目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値(0%)未満かどうかを判定する(ステップ61)。
【0115】
目標スロットル開度が下限値以上から下限値未満になった場合、制限処理設定フラグをセットして、そのときの目標駆動力をtFd1として記憶する(ステップ62〜64)。
【0116】
この際、目標スロットル開度が下限値以上になっても(ステップ61)、目標駆動力がtFd1より所定値ΔtFd以上増加するまで、出力する目標スロットル開度を下限値未満とする(ステップ65,66)。
【0117】
この後、目標駆動力がtFd1より所定値ΔtFd以上増加すると、制限処理設定フラグをリセットし、出力する目標スロットル開度の制限を解除する(ステップ68,69)。
【0118】
この制限処理は、変速比のハンチングを防止するためのもので、図22のように目標駆動力の低下と共に目標スロットル開度が低下して下限値未満になると、この後目標駆動力がtFd1+所定値ΔtFd以上増加するまで、出力する目標スロットル開度を下限値未満に保持する。
【0119】
そして、図20のステップ47では、ステップ46の制限処理を行った目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値(0%)未満かどうかを判定する。
【0120】
この目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値以上の場合は、ステップ48で目標変速比を第1の目標変速比に移行する。
【0121】
この目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値未満の場合は、ステップ49で目標変速比を第2の目標変速比に移行する。
【0122】
ステップ50では、その目標変速比にしたがって自動変速機2の変速比を操作する。
【0123】
この制御のシミュレーション結果を図23〜図25に示す。この場合、スロットル開度の下限は0%、第1の目標変速比は1.0固定とした。
【0124】
図23〜図25のように、第1の目標変速比tG1での走行中、アクセルペダルを放していくと、目標駆動力tFdが低下して負側の値になると共に、目標スロットル開度tTVOが低下していく。この際、目標スロットル開度tTVOが下限値(0%)未満になると、目標変速比tGは、第1の目標変速比tG1から第2の目標変速比tG2に切り替わる。したがって、スロットル開度が下限値(0%)に達して、エンジンの出力トルクが変わらずとも、変速比が大きくなるので、本例による駆動力(Fd 1)はほぼ目標駆動力tFdとなる。なお、比較に従来例の駆動力(Fd 2)を示す。
【0125】
このシミュレーション結果から分かるように、従来例では目標スロットル開度が操作範囲の下限に達した場合、必要な駆動力を達成できないことがあるが、本例では目標駆動力をほぼ実現することができ、スロットル開度が下限付近にあるような低速走行時等の運転性を向上できる。
【0126】
なお、第2の目標変速比を、燃料カットを行っているときと行っていないときの操作量下限到達時出力トルクを推定して設定するので、燃料のカット状態、非カット状態に合った目標変速比を設定できる。
【0127】
また、目標スロットル開度が下限値未満になると、この後目標駆動力が所定値以上に増加するまで、出力する目標スロットル開度を下限値未満に保持する制限処理を行うので、変速比のハンチングを防止できる。
【0128】
図26は第4の実施の形態の制御系のブロック構成を示す。この場合、第3の実施の形態とは第2の目標変速比設定手段60、目標変速比設定手段61のみ異なり、その他の構成は第3の実施の形態と同じである。
【0129】
第2の目標変速比設定手段60は、第1の目標変速比設定手段47の出力である第1の目標変速比を用いて、例えば(12)式のような計算を行い第2の目標変速比を求める。
【0130】
tG2=tG1+ΔtG …(12)
ただし、tG2 : 第2の目標変速比
tG1 : 第1の目標変速比
ΔtG : 第2の目標変速比設定用定数
ここで、第2の目標変速比は第1の目標変速比に対してダウンシフト側とするため、ΔtGは正の定数として与える。
【0131】
目標変速比設定手段61は、目標操作量設定手段44の出力である目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値以上のときは、目標変速比を第1の目標変速比設定手段47の出力である第1の目標変速比とし、目標スロットル開度が出力トルク操作手段45の操作範囲の下限値未満のときは、目標変速比を第2の目標変速比設定手段60の出力である第2の目標変速比とすると共に、第1の目標変速比から第2の目標変速比への移行ならびに第2の目標変速比から第1の目標変速比への移行を平滑的に行う。
【0132】
即ち、目標スロットル開度に基づいて、第1の目標変速比設定手段47の出力である第1の目標変速比と、第2の目標変速比設定手段60の出力である第2の目標変速比を用いて、例えば(13)式のような計算を行い目標変速比を求める。
【0133】
tG=(1−α)×tG1+α×tG2 …(13)
ただし、tG : 自動変速機の目標変速比
α : 目標変速比設定定数
(13)式のαは(14)式を用いて計算する。(14)式はβを入力、αを出力とした場合の一次遅れの関係を表したものである。
【0134】
Figure 0003627500
ただし、τg : α設定時定数(S)
△t : サンプリングタイム(S)
ここで、△tとτgは定数として与える。
【0135】
(14)式のβは、目標スロットル開度tTVO<下限値(0%)のときβ=1、目標スロットル開度tTVO≧下限値(0%)のときβ=0を与える。
【0136】
したがって、図27のように目標スロットル開度が下限値未満になると、αは時定数τgで0から1に収束する。これによって、目標変速比は第1の目標変速比から第2の目標変速比へ滑らかに移行する。また、目標スロットル開度が下限値以上になると、αは時定数τgで1から0に収束する。これによって、目標変速比は第2の目標変速比から第1の目標変速比へ滑らかに移行する。
【0137】
このようにすれば、スロットル開度が下限付近にあるような低速走行時等に変速による違和感を与えることなく、目標駆動力を実現できる。
【0138】
なお、目標変速比の移行は、所定期間内に完了するように設定しても良く、また移行による目標変速比の変化速度を所定値に、つまり所定の速度で変化させるようにしても良い。
【0139】
また、この実施の形態では、第1の目標変速比に一定の値を加えて第2の目標変速比を設定するようにしたが、前記第3の実施の形態に同じく、目標駆動力設定手段42の出力である目標駆動力と、出力トルク推定手段46の出力である操作量下限到達時出力トルクを用いて、前(4)式のような計算を行い第2の目標変速比を設定するものでも良い。
【0140】
また、各実施の形態は、ガソリン機関に適用した例を示したが、ディーゼル機関、あるいはモータにガソリン機関を組み合わせた複合動力構造のもの、あるいはモータにディーゼル機関を組み合わせた複合動力構造のものにももちろん適用することができる。なお、出力トルク操作手段としては、ディーゼル機関の場合は、燃料噴射量(空燃比)を調整している燃料噴射ポンプのコントロールスリーブ位置等を操作するもの、モータの場合は、モータトルクを調整するインバータ等になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】駆動系の構成図である。
【図2】第1の実施の形態を示す制御系のブロック構成図である。
【図3】第2の目標変速比設定手段の構成図である。
【図4】目標駆動力設定マップの例を示す図である。
【図5】目標スロットル開度設定マップの例を示す図である。
【図6】第1の目標変速比設定マップの例を示す図である。
【図7】操作量上限到達時出力トルク推定マップの例を示す図である。
【図8】制御内容を示すフローチャートである。
【図9】シミュレーション結果を示す説明図である。
【図10】シミュレーション結果を示す説明図である。
【図11】シミュレーション結果を示す説明図である。
【図12】第2の実施の形態を示す制御系のブロック構成図である。
【図13】第2の目標変速比設定手段の構成図である。
【図14】制御内容を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施の形態を示す制御系のブロック構成図である。
【図16】目標駆動力設定マップの例を示す図である。
【図17】目標スロットル開度設定マップの例を示す図である。
【図18】操作量上限到達時出力トルク推定マップの例を示す図である。
【図19】第1の目標変速比設定マップの例を示す図である。
【図20】制御内容を示すフローチャートである。
【図21】制御内容を示すフローチャートである。
【図22】動作状態を示すタイミングチャートである。
【図23】シミュレーション結果を示す説明図である。
【図24】シミュレーション結果を示す説明図である。
【図25】シミュレーション結果を示す説明図である。
【図26】第4の実施の形態を示す制御系のブロック構成図である。
【図27】動作状態を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 駆動軸
4 ディファレンシャルギヤ
5 駆動輪
6 アクセルセンサ(アクセル踏み込み量検出手段)
7 アクセルペダル
8 スロットルアクチュエータ
10 スロットル
11 スロットル開度センサ
12 車速センサ(車速検出手段)
13 コントローラ
14 変速比検出手段
15 目標駆動力設定手段
16 要求出力トルク演算手段
17 出力トルク操作手段
18 第1の目標変速比設定手段
19 第2の目標変速比設定手段
20 操作量上限到達判定手段
21 目標変速比選定手段
22 変速比操作手段
23 機関回転速度検出手段
24 操作量上限到達時出力トルク推定手段
25 第2の目標変速比演算手段
26 変速比推定手段
30 第2の目標変速比設定手段
31 出力軸回転速度検出手段
32 第2の目標変速比演算手段
40 機関回転速度検出手段
41 変速比推定手段
42 目標駆動力設定手段
43 目標出力トルク設定手段
44 目標操作量設定手段
45 出力トルク操作手段
46 出力トルク推定手段
47 第1の目標変速比設定手段
48 第2の目標変速比設定手段
49 目標変速比設定手段
50 変速比操作手段
51 燃料カット指令手段51
60 第2の目標変速比設定手段
61 目標変速比設定手段

Claims (11)

  1. 車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
    自動変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記目標駆動力と、前記変速比から、内燃機関に要求される出力トルクを演算する要求出力トルク手段と、
    前記要求出力トルクに基づいて、内燃機関の出力トルクを操作する出力トルク操作手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記目標駆動力と、前記車速から、第1の目標変速比を設定する第1目標変速比設定手段と、
    機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段と、
    前記出力トルク操作手段による操作量が実現可能な操作量の上限に到達していることを仮定した場合の出力トルクを、前記機関回転速度から推定する操作量上限到達時の出力トルク推定手段と、
    前記自動変速機の変速比を変数とした内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づき、前記目標駆動力と、前記操作量上限到達時の出力トルクから、第2の目標変速比を設定する第2目標変速比設定手段と、
    前記出力トルク操作手段による操作量が、実現可能な操作量の上限に到達していることを判定する操作量上限到達判定手段と、
    前記第1の目標変速比と、前記第2の目標変速比から、前記操作量上限到達判定手段の判定結果に基づいて、前記出力トルク操作手段による操作量が上限に到達していないときは前記第1の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に、前記出力トルク操作手段による操作量が上限値に到達しているときは前記第2の目標変速比を自動変速機の目標変速比に設定する目標変速比選定手段と、
    前記目標変速比選定手段が設定した目標変速比に基づいて、前記自動変速機の変速比を操作する手段と、
    からなることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  2. 車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
    自動変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記目標駆動力と、前記変速比から、内燃機関に要求される出力トルクを演算する要求出力トルク手段と、
    前記要求出力トルクに基づいて、内燃機関の出力トルクを操作する出力トルク操作手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記目標駆動力と、前記車速から、第1の目標変速比を設定する第1目標変速比設定手段と、
    前記自動変速機の出力軸回転速度を検出する手段と、
    前記自動変速機の変速比を変数とした内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づき、前記目標駆動力と、前記出力軸回転速度から、第2の目標変速比を設定する第2目標変速比設定手段と、
    前記出力トルク操作手段による操作量が、実現可能な操作量の上限に到達していることを判定する操作量上限到達判定手段と、
    前記第1の目標変速比と、前記第2の目標変速比から、前記操作量上限到達判定手段の判定結果に基づいて、前記出力トルク操作手段による操作量が上限に到達していないときは前記第1の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に、前記出力トルク操作手段による操作量が上限値に到達しているときは前記第2の目標変速比を自動変速機の目標変速比に設定する目標変速比選定手段と、
    前記目標変速比選定手段が設定した目標変速比に基づいて、前記自動変速機の変速比を操作する手段と
    からなることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  3. 車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
    自動変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記目標駆動力と、前記変速比から、内燃機関に要求される出力トルクを演算する要求出力トルク手段と、
    前記要求出力トルクに基づいて、目標操作量を設定する目標操作量設定手段と、
    前記目標操作量にしたがって、機関の出力トルクを操作する出力トルク操作手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記目標駆動力と、前記車速から、第1の目標変速比を設定する第1目標変速比設定手段と、
    機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段と、
    前記出力トルク操作手段による操作量が操作範囲の下限に到達していることを仮定した場合の出力トルクを、前記機関回転速度ならびに燃料カット状態から推定する出力トルク推定手段と、
    前記自動変速機の変速比を変数とした内燃機関の出力トルクと駆動力の関係式に基づき、前記目標駆動力と、前記出力トルク推定手段の推定出力トルクから、第2の目標変速比を設定する第2目標変速比設定手段と、
    前記目標操作量が前記出力トルク操作手段の操作範囲の下限値以上のときは前記第1の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に、前記目標操作量が前記出力トルク操作手段の操作範囲の下限値未満のときは前記第2の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に設定する目標変速比設定手段と、
    前記目標変速比選定手段が設定した目標変速比に基づいて、前記自動変速機の変速比を操作する手段と
    からなることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  4. 請求項1または請求項2または請求項3に記載の車両用駆動力制御装置において、前記変速比は、前記変速比検出手段が検出する代わりに、前記目標変速比設定手段が設定した目標変速比から推定によって求めることを特徴とする車両用駆動制御装置。
  5. 請求項3に記載の車両用駆動制御装置において、
    前記目標変速比設定手段は、前記第1の目標変速比から前記第2の目標変速比への移行ならびに前記第2の目標変速比から前記第1の目標変速比への移行を平滑的に行うことを特徴とする車両用駆動制御装置。
  6. 請求項5に記載の車両用駆動制御装置において、
    目標変速比の移行は、所定時間をかけて行われることを特徴する車両用駆動制御装置。
  7. 請求項5に記載の車両用駆動制御装置において、
    目標変速比の移行は、移行による目標変速比の変化速度が所定値となるように行われることを特徴する車両用駆動制御装置。
  8. 請求項3に記載の車両用駆動制御装置において、
    前記目標変速比設定手段は、目標操作量が前記出力トルク操作手段の操作範囲の下限値未満になった場合、その時点での目標駆動力に対して、目標駆動力が所定量大きくなるまでは、目標操作量をその下限値未満とすることを特徴とする車両用駆動制御装置。
  9. 請求項1または請求項2または請求項3に記載の車両用駆動力制御装置において、
    前記機関は、ガソリン内燃機関またはディーゼル内燃機関またはモータにガソリン内燃機関を組み合わせたものまたはモータにディーゼル内燃機関を組み合わせたもの、のいずれかであることを特徴とする車両用駆動制御装置。
  10. 請求項9に記載の車両用駆動制御装置において、
    出力トルク操作手段は、機関の吸入空気量または空燃比またはモータトルクを調整するものであることを特徴とする車両用駆動制御装置。
  11. 請求項1または請求項2に記載の車両用駆動力制御装置において、
    前記目標操作量設定手段は、前記出力トルク操作手段による操作量が、実現可能な操作 量の上限に到達したら、前記出力トルク操作手段による操作量が実現可能な操作量の上限よりも所定量小さくなるまでは、第2の目標変速比を前記自動変速機の目標変速比に設定し続けることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
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