JP3627498B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶欠陥が少ないシリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶ウエーハに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年は、半導体回路の高集積化に伴う素子の微細化に伴い、その基板となるチョクラルスキー法(以下、CZ法と略記する)で作製されたシリコン単結晶に対する品質要求が高まってきている。特に、FPD、LSTD、COP等のグローンイン(Grown−in)欠陥と呼ばれる酸化膜耐圧特性やデバイスの特性を悪化させる、単結晶成長起因の欠陥が存在しその密度とサイズの低減が重要視されている。
【0003】
これらの欠陥を説明するに当たって、先ず、シリコン単結晶に取り込まれるベイカンシイ(Vacancy、以下Vと略記することがある)と呼ばれる空孔型の点欠陥と、インタースティシアル−シリコン(Interstitial−Si、以下Iと略記することがある)と呼ばれる格子間型シリコン点欠陥のそれぞれの取り込まれる濃度を決定する因子について、一般的に知られていることを説明する。
【0004】
シリコン単結晶において、V領域とは、Vacancy、つまりシリコン原子の不足から発生する凹部、穴のようなものが多い領域であり、I領域とは、シリコン原子が余分に存在することにより発生する転位や余分なシリコン原子の塊が多い領域のことであり、そしてV領域とI領域の間には、原子の不足や余分が無い(少ない)ニュートラル(Neutral、以下Nと略記することがある)領域が存在していることになる。そして、前記グローンイン欠陥(FPD、LSTD、COP等)というのは、あくまでもVやIが過飽和な状態の時に発生するものであり、多少の原子の偏りがあっても、飽和以下であれば、欠陥としては存在しないことが判ってきた。
【0005】
この両点欠陥の濃度は、CZ法における結晶の引上げ速度(成長速度)と結晶中の固液界面近傍の温度勾配Gとの関係から決まり、V領域とI領域との境界近辺にはOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidation Indused Stacking Fault)と呼ばれるリング状の欠陥の存在が確認されている。
【0006】
これら結晶成長起因の欠陥を分類すると、例えば結晶径が6インチの場合、成長速度が0.6mm/min前後以上と比較的高速の場合には、空孔タイプの点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD、LSTD、COP等のグローンイン欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在し、これら欠陥が存在する領域はV−リッチ領域と呼ばれている(図4(a)参照)。
【0007】
また、成長速度が0.6mm/min以下の場合は、成長速度の低下に伴い、上記したOSFリングが結晶の周辺から発生し、このリングの外側に転位ループ起因と考えられているL/D(Large Dislocation:格子間転位ループの略号、LSEPD、LFPD等)の欠陥が低密度に存在し、これら欠陥が存在する領域はI−リッチ領域と呼ばれている(図4(b)参照)。さらに、成長速度を0.4mm/min前後以下と低速にすると、OSFリングがウエーハの中心に凝集して消滅し、全面がI−リッチ領域となる(図4(c))。
【0008】
また、最近V−リッチ領域とI−リッチ領域の中間でOSFリングの外側に、N領域と呼ばれる、空孔起因のFPD、LSTD、COPも、転位ループ起因のLSEPD、LFPDも存在しない領域の存在が発見されている(特開平8−330316号参照)。この領域はOSFリングの外側にあり、そして、酸素析出熱処理を施し、X−ray観察等で析出のコントラストを確認した場合に、酸素析出がほとんどなく、かつ、LSEPD、LFPDが形成されるほどリッチではないI−リッチ領域側であると報告している(図3(a)参照)。
【0009】
そして、従来のCZ引上げ機ではウエーハの極一部にしか存在しないN領域を、引上げ機の炉内温度分布を改良し、引上げ速度を調節して、F/G値(単結晶引上げ速度をF[mm/min]とし、シリコンの融点から1300℃の間の引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG[℃/mm]とするとき、F/Gで表わされる比)が0.20〜0.22mm /℃・minとなるように制御して結晶を引上げれば、N領域をウエーハ全面に広げることが可能であると提案している(図3(b)参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような極低欠陥領域を結晶全体に広げて製造しようとすると、この領域がI−リッチ領域側のN領域のみに限定されるため、製造条件の上で制御範囲が極めて狭く、実験機ならともかく生産機では精密制御が難しく、実際問題単結晶棒の一部分において製造ができるのみで、結晶棒全体で低欠陥結晶を得ることは、不可能であった。従って、生産性、歩留が極めて低く、工業化に大きな障害となっている。
さらに、この発明に開示されていた欠陥分布図は、本発明者らが実験・調査して求めたデータや、データを基にした作成した欠陥分布図(図1参照)とは大幅に異なることが判明した。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、制御幅が広く、制御し易い製造条件の下で、V−リッチ領域およびI−リッチ領域のいずれも存在しない、結晶全面に亙って極低欠陥密度であるCZ法によるシリコン単結晶ウエーハを、単結晶棒の全体で作製可能とし、高生産性、高歩留を維持しながら製造することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために為されたもので、本発明、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度をF[mm/min]とし、シリコンの融点から1400℃の間の引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG[℃/mm]で表した時、結晶中心から結晶周辺までの距離D[mm]を横軸とし、F/G[mm2 /℃・min]の値を縦軸として欠陥分布を示した欠陥分布図において、OSF領域と、その外側のN−領域の範囲内で結晶を引上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
【0013】
このように、実験・調査の結果を解析して求めた図1の欠陥分布図を基に、OSF領域(通常リング形状であるが、中央でFPD等が消滅すれば円状に形成される)と、その外側のN−領域の範囲内で結晶を引上げるようにすれば、制御範囲が広がり、FPD及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないシリコン単結晶ウエーハを容易に作製することができる。そして、中央部に存在するOSF領域は、ウエーハ全面積に対し極めて小さい面積となり、デバイス歩留への影響はわずかで済む。
【0014】
すなわち、本発明によって引き上げられるシリコン単結晶は、熱酸化処理時にOSFを発生し得る領域を含んだままではあるが、OSFリング外のN領域を最大限拡大するようにして引上げるので、引上げ速度と結晶内温度勾配との制御範囲が広くなり、一般の生産機においても製造条件設定が容易になり、N領域の多いウエーハを簡単に作製することができる。
【0015】
この場合、より具体的条件としては、上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]を、3.0[℃/mm]以下として結晶を引上げ、また引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]の値を、結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/mm]との差△G=(Ge−Gc)で表した時、△Gが1℃/mm以内として結晶を引き上げるようにする。
【0016】
このような引上げ条件とすることによって、中央部にOSF領域があるものの、ウエーハ全面内にFPDもL/Dも存在しないシリコン単結晶を育成することができる。
【0017】
次に、本発明、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度F[mm/min]を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度に対し、±0.02[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
【0018】
このように、引上げ速度F[mm/min]を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度に対し、±0.02[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げるようにすれば、熱酸化処理時にOSFを発生し得る領域を含んだままではあるが、OSF外側のN領域を最大限拡大した、ウエーハ全面内にFPDもL/Dも存在しないシリコン単結晶を育成することができる。しかも、引上げ速度を精度良く制御するだけであるので、一般の生産機においても十分に対応することができる。
【0019】
そして、ョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度F[mm/min]の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げるようにすれば、1本の結晶棒全体において、OSF外側のN領域を最大限拡大した、ウエーハ全面内にFPDもL/Dも存在しないシリコン単結晶を育成することができる。
【0020】
また、本発明においては引上げ中シリコン融液に磁場を印加しつつ結晶を引上げるのが望ましい。
磁場を印加することによって、シリコン融液中の対流が抑制され、前記本発明の引上げ条件に制御するのが容易になるからである。
【0021】
特に、加する磁場を水平磁場とし、また、加する磁場の強度を2000G以上とするのが好ましい。
結晶内温度勾配Gおよび面内での温度勾配の差△Gを小さくし、結晶中のN領域を広げるためには水平磁場の方が好ましいし、2000G未満では、磁場印加効果が少ないからである。
【0022】
そして、上記リコン単結晶の製造方法によって製造されたシリコン単結晶は、結晶バルクの中央部に熱酸化処理をした際にOSFが発生するか、あるいはOSFの核が存在するものであり、かつ、FPD及びL/Dが結晶内に存在しないものを得ることができる
したがって、このようなシリコン単結晶をスライスして得られるシリコン単結晶ウエーハは、エーハの中央部に熱酸化処理をした際にOSFが発生するか、あるいはOSFの核が存在するものであり、かつ、FPD及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないシリコン単結晶ウエーハとなる。
【0023】
すなわち、本発明のシリコン単結晶ウエーハは、該ウエーハを熱酸化処理をした際に、ウエーハ中央部にOSFは発生し、あるいはOSFの核は潜在しているが、FPD及びL/D(LSEPD、LFPD)は、ウエーハ全面内に存在しないというウエーハで、図2(b)に示したように、いわゆるウエーハ全面にV−リッチ領域もI−リッチ領域も存在せず、中性なN領域の面積が非常に大きなものである。このようなN領域の大きい本発明のシリコン単結晶ウエーハには、OSFの核は潜在しており、該ウエーハを熱酸化処理した際には中央部にOSFが発生し得るOSF領域が存在するが、ウエーハ中央部でその面積を最大限抑制し、一方OSF外側のN領域を最大限に拡大した新規な欠陥構造を持ったウエーハである。
【0024】
こうして得られるシリコン単結晶ウエーハは、例えばウエーハ中央部のOSF領域が、ウエーハ面積の5%以下でありあるいはウエーハ中央部のOSF領域が、直径20mm以下とすることができる
したがって、ウエーハの全面積に対するOSF領域の比率が小さく、N領域の面積が大きいので、デバイス歩留を向上することができるシリコン単結晶ウエーハとなる。
【0025】
そして、発明のシリコン単結晶ウエーハでは、ウエーハ中央部に存在するOSF密度を、100個/cm2 以下とすることができ、特にウエーハ全面の酸素濃度を24ppma(ASTM’79値)以下とすれば、酸素析出熱処理によりOSFの潜在核は存在するが、OSF熱酸化処理をした際にはOSFは発生せず、かつ、FPD及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないシリコン単結晶ウエーハとすることができる。
【0026】
このように、成長結晶内の酸素濃度を24ppma以下に抑えれば、OSF核の成長を阻害することができ、実質上、OSFあるいはOSFの潜在核がウエーハ内に存在してもデバイスに影響を与えることはないので、結局該ウエーハをOSF熱酸化処理をした際に、OSFの核は潜在しているが、OSFを発生することはなく、FPD及びL/D(LSEPD、LFPD)もウエーハ全面内に存在しないという、いわゆるウエーハ全面がV−リッチ領域、I−リッチ領域も、害を及ぼすようなOSFも存在しない全面使用可能な極低欠陥密度のウエーハを得ることができる。しかもこの場合、前述のようにF/Gの制御も広い制御範囲とすることが可能であり、ウエーハを工業上容易に作製することができる。
【0027】
以下、本発明につき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。説明に先立ち各用語につき予め解説しておく。
1)FPD(Flow Pattern Defect)とは、成長後のシリコン単結晶棒からウェーハを切り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングして取り除いた後、K Cr と弗酸と水の混合液で表面をエッチング(Seccoエッチング)することによりピットおよびさざ波模様が生じる。このさざ波模様をFPDと称し、ウェーハ面内のFPD密度が高いほど酸化膜耐圧の不良が増える(特開平4−192345号公報参照)。
【0028】
2)SEPD(Secco Etch Pit Defect)とは、FPDと同一のSeccoエッチングを施した時に、流れ模様(flow pattern)を伴うものをFPDと呼び、流れ模様を伴わないものをSEPDと呼ぶ。この中で10μm以上の大きいSEPD(LSEPD)は転位クラスターに起因すると考えられ、デバイスに転位クラスターが存在する場合、この転位を通じて電流がリークし、P−Nジャンクションとしての機能を果たさなくなる。
【0029】
3)LSTD(Laser Scattering Tomography Defect)とは、成長後のシリコン単結晶棒からウエーハを切り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングして取り除いた後、ウエーハを劈開する。この劈開面より赤外光を入射し、ウエーハ表面から出た光を検出することでウエーハ内に存在する欠陥による散乱光を検出することができる。ここで観察される散乱体については学会等ですでに報告があり、酸素析出物とみなされている(J.J.A.P. Vol.32,P3679,1993参照)。また、最近の研究では、八面体のボイド(穴)であるという結果も報告されている。
【0030】
4)COP(Crystal Originated Particle)とは、ウエーハの中心部の酸化膜耐圧を劣化させる原因となる欠陥で、SeccoエッチではFPDになる欠陥が、アンモニア過酸化水素水洗浄(NH OH:H :H O=1:1〜2:5〜7の混合液による洗浄)では選択エッチング液として働き、COPになる。このピットの直径は1μm以下で光散乱法で調べる。
【0031】
5)L/D(Large Dislocation:格子間転位ループの略号)には、LSEPD、LFPD等があり、転位ループ起因と考えられている欠陥である。LSEPDは、上記したようにSEPDの中でも10μm以上の大きいものをいう。また、LFPDは、上記したFPDの中でも先端ピットの大きさが10μm以上の大きいものをいい、こちらも転位ループ起因と考えられている。
【0032】
本発明者らは、先に特願平9−199415号で提案したように、CZ法によるシリコン単結晶成長に関し、V領域とI領域の境界近辺について、詳細に調査したところ、この境界近辺の極く狭い領域にFPD、LSTD、COPの数が著しく少なく、LSEPDも存在しないニュートラルな領域があることを発見した。
【0033】
そこで、このニュートラルな領域をウエーハ全面に広げることができれば、点欠陥を大幅に減らせると発想した。そして、成長速度(引上げ速度)と温度勾配の関係の中で、結晶のウエーハ面内では、引上げ速度はほぼ一定であるから、面内の点欠陥の濃度分布を決定する主な因子は温度勾配である。つまり、ウエーハ面内で、軸方向の温度勾配に差があることが問題で、この差を減らすことが出来れば、ウエーハ面内の点欠陥の濃度差も減らせることを見出し、結晶中心部の温度勾配Gcと結晶周辺部分の温度勾配Geとの差を△G=(Ge−Gc)≦0.5℃/mmとなるように炉内温度を制御して引上げ速度を調節すれば、ウエーハ全面がN領域からなる欠陥のないウエーハが得られるようになった。
【0034】
本発明では、上記のような温度勾配の差△Gが小さいCZ法による結晶引上げ装置を使用し、引上げ速度を変えて結晶面内を調査した結果、新たに図1に示すような欠陥分布図を得ることができた。
V−リッチ領域とI−リッチ領域の間に存在するN領域は、従来はOSFリング(核)の外側のみと考えられていたが、OSFリングの内側にも、N領域が存在することを確認した(図2(a)参照)。すなわち、上記特願平9−199415号の場合、OSFリングは、V−リッチ領域とN領域の境界領域となっていた(図3(a)参照)が、この二つは必ずしも一致しないことがわかった。このことは従来の△Gの大きい結晶引上げ装置で実験した場合には発見されず、今回上記の△Gの小さい結晶引上げ装置を使用した結晶を調査した結果、発見したものである。
【0035】
ところが、このOSFリング外側のN領域のみ、あるいはOSFリング内側のN領域のみで結晶を引き上げようとすると、制御範囲が狭く、単結晶棒全体でN領域とするのが困難であり、歩留、生産性が低く、工業生産上好ましくないという、前記従来技術と同様の問題が生じる。
【0036】
そこで、本発明者らは、図1をもとに検討した結果、CZ法により量産性を考慮し、結晶棒全体で作製可能な品質として、OSFを結晶棒のバルク中央部に分布させ、最大限その領域の大きさを抑制し、残りをOSFリング外側のN領域として結晶を引き上げることを発想して、本発明を完成させたものである。
すなわち、図1の欠陥分布図でいうならば、OSF領域と、その外側のN−領域の範囲内で結晶を引上げるということである。
【0037】
このように、実験・調査の結果を解析して求めた図1の欠陥分布図を基に、OSF領域と、その外側のN−領域の範囲内で結晶を引上げるようにすれば、制御範囲が広がり、FPD及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないシリコン単結晶およびウエーハを容易に作製することができる。そして、中央部に存在するOSF領域は、ウエーハ全面積に対して極めて小さい面積となり、デバイス歩留への影響はわずかで済む。
【0038】
この場合、OSFリングとその内側のN領域とで結晶を引き上げることも考えられるが、できるウエーハは内側がN領域、外側がOSF領域となり、相対的にOSF領域が広くなってしまうため好ましくない。
【0039】
そして、上記本発明にかかる結晶中央部にOSF領域があり、その外側がN領域となる引上げ装置の炉内温度を、総合伝熱解析ソフトFEMAG(F.Dupret,P.Nicodeme,Y.Ryckmans,P.Wouters,and M.J.Crochet,Int.J.Heat Mass Transfer,33,1849(1990))を使用して鋭意解析を行った。
【0040】
その結果、引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]を、3.0[℃/mm]以下として結晶を引上げればよいことがわかった。また、引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]の値を、結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/mm]との差△G=(Ge−Gc)については、△Gが1℃/mm以内として結晶を引き上げるようにすればよいことがわかった。
この値は、先に提案した、結晶全面をN領域とするための条件である△G=(Ge−Gc)≦0.5℃/mmに比べて格段に制御しやすく、量産性があるものである。
【0041】
このような引上げ条件で単結晶を育成することによって、結晶中央部に熱酸化処理をした際にOSFが発生するか、あるいはOSFの核が存在するものの、FPD及びL/Dが結晶内に存在しないシリコン単結晶を得ることができる。
したがって、このようなシリコン単結晶をスライスして得られるシリコン単結晶ウエーハは、ウエーハの中央部に熱酸化処理をした際にOSFが発生するか、あるいはOSFの核が存在するものであるとともに、FPD及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないシリコン単結晶ウエーハとなる。
【0042】
すなわち、本発明のシリコン単結晶ウエーハは、該ウエーハを熱酸化処理をした際に、ウエーハ中央部にOSFは発生し、あるいはOSFの核は潜在しているが、FPD及びL/D(LSEPD、LFPD)は、ウエーハ全面内に存在しないというウエーハで、図2(b)に示したように、いわゆるウエーハ全面にV−リッチ領域とI−リッチ領域は存在せず、中性なN領域の面積が非常に大きなものである。このようなN領域の大きい本発明のシリコン単結晶ウエーハには、OSFの核は潜在しており、該ウエーハを熱酸化処理した際には中央部にOSFが発生し得るOSF領域が存在するが、ウエーハ中央部でその面積を最大限抑制し、一方OSF外側のN領域を最大限に拡大したという新規な欠陥構造を持ったウエーハである。
【0043】
この場合、OSFの外側領域には、本来ならばI−リッチ領域が形成され、その領域には、L/Dが発生するはずであるが、本発明の単結晶製造方法では、前述のように、引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]を、3.0[℃/mm]以下とし、また、引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]の値を、結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/mm]との差△G=(Ge−Gc)については、△Gが1℃/mm以内として結晶を引き上げているので、OSFリング外側のN領域が広がり、I−リッチ領域は形成されない。
【0044】
そして、シリコン単結晶育成時に、OSFが結晶中央部で消滅する臨界速度近傍で成長させ、中央部のOSF領域の大きさをできるだけ小さくするようにすれば、シリコン単結晶ウエーハとした時のOSF領域を、例えばウエーハ面積の5%以下とし、あるいはウエーハ中央部のOSF領域が、直径20mm以下とすることができる。
したがって、ウエーハの全面積に対するOSF領域の比率が小さく、FPDもL/Dもない、N領域の面積が大きいことから、デバイス歩留を向上することができるシリコン単結晶ウエーハとなる。
【0045】
そして、中央部のOSF領域についても、上述のようにシリコン単結晶育成時に、OSFが結晶中央部で消滅する臨界速度近傍で成長させ、中央部のOSF領域の大きさをできるだけ小さくなるようにすれば、ウエーハ中央部に存在するOSF密度は、100個/cm 以下とすることが可能であり、実質上0になることもあった。したがって、デバイス工程での歩留への影響もそれほど大きくないものとすることができる。
【0046】
一方、OSFリングについては、最近の研究からウエーハ全面内で低酸素濃度の場合には、OSFリングの核が存在しても熱酸化処理によりOSFリングを発生することはなく、デバイスに影響を与えないということが判ってきている。
この酸素濃度の限界値は、同一の結晶引上げ装置を使用して、数種類の酸素濃度レベルの結晶を引上げた結果、ウエーハ全面内の酸素濃度が24ppma以下であれば、ウエーハの熱酸化処理を行った時にOSFリングが発生しないことが確認されている。
【0047】
すなわち、図5は、一本の結晶を引上げ中に徐々に酸素濃度を下げていった時に、結晶全長にわたってOSFとなる核は存在するが、ウエーハの熱酸化処理を行った時にOSFリングが観察されるのは24ppmaまでで、24ppma以下ではOSFリング核は存在するが、熱酸化処理によるOSFリングは発生していないことを表している。
【0048】
ちなみに、成長結晶中の酸素濃度を24ppma以下にするには、従来から一般に用いられている方法で行えばよく、例えば、ルツボの回転数あるいは融液内温度分布、雰囲気圧力、ガス流量等を調整する手段により簡単に行うことができる。
【0049】
したがって、本発明でも、ウエーハ全面の酸素濃度を24ppma(ASTM’79値)以下とすれば、中央部に存在するOSF核の成長を阻害することができ、実質上、OSFあるいはOSFの潜在核がウエーハ内に存在してもデバイスに影響を与えることはないので、結局該ウエーハをOSF熱酸化処理をした際に、OSFの核は潜在しているが、OSFを発生することはなく、FPD及びL/D(LSEPD、LFPD)もウエーハ全面内に存在しないという、いわゆるウエーハ全面がV−リッチ領域、I−リッチ領域も、害を及ぼすようなOSFも存在しない全面使用可能な極低欠陥密度のウエーハを得ることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明で使用するCZ法による単結晶引上げ装置の構成例を図6により説明する。図6に示すように、この単結晶引上げ装置30は、引上げ室31と、引上げ室31中に設けられたルツボ32と、ルツボ32の周囲に配置されたヒータ34と、ルツボ32を回転させるルツボ保持軸33及びその回転機構(図示せず)と、単結晶シリコンの種結晶5を保持するシードチャック6と、シードチャック6を引上げるワイヤ7と、ワイヤ7を回転又は巻き取る巻取機構(図示せず)を備えて構成されている。ルツボ32は、その内側のシリコン融液(湯)2を収容する側には石英ルツボが設けられ、その外側には黒鉛ルツボが設けられている。また、ヒータ34の外側周囲には断熱材35が配置されている。
【0051】
また、本発明の製造方法に関わる結晶内温度勾配等の製造条件を充足するために、結晶の固液界面の外周に環状の固液界面断熱材8を設け、その上に上部囲繞断熱材9が配置されている。この固液界面断熱材8は、その下端とシリコン融液2の湯面との間に3〜5cmの隙間10を設けて設置されている。上部囲繞断熱材9は条件によっては使用しないこともある。さらに、冷却ガスを吹き付けたり、輻射熱を遮って単結晶を冷却する筒状の冷却装置36を設けている。
また、本実施形態では、引上げ室31の水平方向の外側に、例えば超伝導コイル等からなる磁石37を設置し、シリコン融液2に水平方向の磁場を印加することによって、融液の対流を抑制し、単結晶の安定成長をはかる、いわゆるMCZ法が用いられている。
【0052】
この場合、本発明の条件を満足するのに特に重要であるのは、図6に示したように、引上げ室31の湯面上の単結晶棒1中の結晶成長界面(固液界面4)の外周空間において、湯面近傍の結晶の温度が1420℃から1400℃までの温度域に環状の固液界面断熱材8を設けたことと、その上に上部囲繞断熱材9を配置したこと、および引上げ室31の外側に磁石37を配置したことである。これによって、結晶内温度勾配の平均値Gを、3.0[℃/mm]以下とすることができるし、結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/mm]との差△G=(Ge−Gc)を1℃/mm以内として結晶を引き上げることを可能とするとともに、引上げ速度を安定化させて、高精度制御を可能とすることが出来る。
さらに、必要に応じてこの断熱材の上部に結晶を冷却する装置、例えば冷却装置36を設けて、これに上部より冷却ガスを吹きつけて結晶を冷却できるものとし、筒下部に輻射熱反射板を取り付けた構造としてもよい。
【0053】
このように液面の直上の位置に所定の隙間を設けて断熱材を配置し、さらにこの断熱材の上部に結晶を冷却する装置を設けた構造とすることによって、結晶成長界面近傍では輻射熱により保温効果が得られ、結晶の上部ではヒータ等からの輻射熱をカットできるので、本発明の製造条件を満足させることができる。
この結晶の冷却装置としては、前記筒状の冷却装置36とは別に、結晶の周囲を囲繞する空冷ダクトや水冷蛇管等を設けて所望の温度勾配を確保するようにしても良い。
【0054】
次に、上記の単結晶引上げ装置30による単結晶育成方法について説明する。まず、ルツボ32内でシリコンの高純度多結晶原料を融点(約1420℃)以上に加熱して融解する。次に、ワイヤ7を巻き出すことにより融液2の表面略中心部に種結晶5の先端を接触又は浸漬させる。その後、ルツボ保持軸33を適宜の方向に回転させるとともに、ワイヤ7を回転させながら巻き取り種結晶5を引上げることにより、単結晶育成が開始される。以後、引上げ速度と温度を適切に調節することにより略円柱形状の単結晶棒1を得ることができる。
【0055】
そして、単結晶棒育成中は、その直径を所望値に制御する必要がある。そこで結晶引上げ中は、例えば引上げ室31に設けられた窓から、CCDカメラ等を用いて結晶棒の直径が測定される。直径の測定は、前記CCDカメラ等で結晶成長界面近傍を観測し、シリコン融液と結晶との境界部に存在するフユージョンリングとよばれる明部を光量信号から検出して、その位置を特定することによって行なわれる。
【0056】
得られた直径データは、引上げ装置に付設されているコンピュータのCPUに入力され、目標直径との誤差を計算し、ヒータ34を制御する温度調節器およびワイヤ7の引上げ速度調節機構に、その補正量に相当する電圧信号を送る等のフィードバック制御が自動的に行なわれる。すなわち、ヒータ34の出力およびワイヤ7を巻きあげるモータの回転数を制御することにより、シリコン融液の温度と結晶引上げ速度を制御している。そして、この直径制御は、その誤差を縮小するために、温度および引上げ速度の補正量は、PID演算方式等により算出される。 こうして、直径制御がなされつつ1本の単結晶棒が育成される。
【0057】
そして、本発明では、結晶引上げ速度F[mm/min]は、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度近傍で引き上げるように制御される。これによって、結晶中央部でFPD等が発生するようなV領域が形成されることが無いとともに、OSF領域を極力小さくすることができる。
ここで大切なことは、結晶引上げ速度を、臨界速度に対して一定の範囲内に精度良く制御することである。
【0058】
すなわち、本発明のように、前記欠陥分布図において、OSF領域と、その外側のN−領域の範囲内として結晶を引上げ、ウエーハの中央部に熱酸化処理をした際にOSF領域を有するものの、FPD及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないものを得るためには、結晶の引上げ速度を、臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げることが必要である。
【0059】
そこで、本発明では引上げ速度制御の高精度化を図ることとした。
引上げ速度の高精度化は、どのような方式で行なっても良いが、ここでは、前記直径制御における、フィードバック制御の応答性を高めることによって対応した。
【0060】
すなわち、フィードバック制御は、ある一定時間内に検出された直径データを平均し、これをCPUに送信し、設定直径との偏差を算出し、その補正量を出力するという制御を繰り返す仕組みになっているが、この直径データを検出し平均する時間を短縮し(例えば、60秒を30秒とする)、フィードバックのサイクルを早め、応答性を高めた。特に、温調系への応答性を速くし、結晶成長速度(引上げ速度)の変動を最大限に抑制するようにした。
しかも、このような方法によれば、フィードバック制御の一設定値を変更するだけであるので、一般の生産機においても十分に対応することができ、簡単である。
【0061】
そして、上記のような制御を、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に行なえば、結晶棒のうち上記制御が行なわれた部位について、所望品質のものとなるが、結晶棒全体を本発明の品質を有するものとして、歩留を向上させるためには、引上げ速度F[mm/min]の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げるようにする必要がある。
【0062】
この場合、精度良く前記欠陥分布図において、OSF領域と、その外側のN−領域の範囲内とし、また、結晶の引上げ速度を、臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内に制御し、あるいは、引上げ速度の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内とするためには、上記フィードバック制御の応答性の改善の他、引上げ中シリコン融液に磁場を印加しつつ結晶を引上げるのが望ましい。
磁場を印加することによって、シリコン融液中の対流が抑制され、より上記引上げ条件に制御するのが容易になるため、結晶棒全体を所望品質とし易くなるからである。
【0063】
特に、印加する磁場を水平磁場とし、また、印加する磁場の強度を2000G以上、より好ましくは3000G以上とするのが良い。
シリコン融液の対流を抑制し、引上げ速度を安定化するためには、いわゆる縦磁場、あるいはカスプ磁場等を印加してもよいが、結晶内温度勾配Gおよび面内の温度勾配の差△Gを小さくし、結晶中のN領域を広げるためには、結晶成長界面に磁場が水平に作用する水平磁場の方が好ましい。
また、印加する磁場強度は、強ければ強いほど対流抑制効果が強いので良いが、8000Gもあれば充分である。逆に、2000G未満では、磁場印加効果が少なくなり、引上げ速度の安定化効果が小さくなる。
【0064】
このように、例えば磁場を4000G以上印加し、結晶の引上げ速度を高精度化して、臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内に制御し、引上げ速度の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内として、引上げ速度をきわめて安定させて結晶を引き上げれば、単結晶中央部のOSFはきわめて低密度となり、殆ど発生しないこともある。
【0065】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施の形態を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図6に示した水平磁場印加可能な引上げ装置で、25インチ石英ルツボに原料多結晶シリコンを100Kgチャージし、直径8インチ、方位<100>、直胴部の長さ約1mのシリコン単結晶棒を引き上げた。
シリコン融液の湯温は約1420℃、湯面から環状の固液界面断熱材の下端までは、4cmの空間とし、その上に10cm高さの環状固液界面断熱材、および30cm高さの上部囲繞断熱材を配備した。
【0066】
この条件で、平均引上げ速度を0.8〜0.3mm/minまで変化させて結晶を引上げ、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度を調査したところ、単結晶棒の肩部で0.50mm/minであり、直胴の終端部で0.45mm/minであった。したがって、この臨界引上げ速度を目標引上げ速度として結晶を引き上げることにした。
【0067】
得られた単結晶棒は、結晶成長方向に縦割にし、厚さ2mmのサンプルを2枚切り出し、その表面に鏡面加工を施した。そのうちの1枚は、30分Seccoエッチングを施した後、顕微鏡観察することによって、FPD、L/D等のグローンイン欠陥の測定を行った。残りの1枚については、(水蒸気+酸素)雰囲気下、1200℃/100分の熱酸化処理を施して、X線トポグラフで観察し、OSFリング等の発生状況を確認した。
【0068】
(実施例1)
印加磁場強度を0とし、直径制御のフィードバックのサイクルを、従来の60秒から30秒として応答性を高め、結晶成長速度(引上げ速度)の変動を最大限に抑制するようにし、結晶の引上げ速度を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内となるように制御をしつつ結晶を引上げた。
【0069】
出来た結晶棒の結晶成長速度(引上げ速度)の制御結果と結晶棒中の欠陥発生状況の結果を図7に示した。図7(a)は、成長速度の結果図、図7(b)は、結晶欠陥の結果図である。
【0070】
この結果を見ると、結晶の引上げ速度を、臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内となるように制御が行なわれている部分(図中のA領域)は、本発明の所望品質の結晶、すなわち結晶中央部にOSF領域があるとともに、FPD及びL/Dが結晶内に存在しないものとなることがわかる。一方、上記本発明の引上げ速度条件を上にはずれた部分では、結晶中央部にFPD領域が形成され(図中のB領域)、逆に本発明の引上げ速度条件を下にはずれた部分では、L/D領域が形成されている(図中のC領域)。そして、OSF領域とL/D領域との間では、無欠陥領域であるN領域が、単結晶棒の一部で形成されている。
このように、実施例1では、本発明の品質もしくはN領域のみの結晶が、単結晶棒の約40〜50%の部位で得ることが出来た。
【0071】
(実施例2)
印加磁場強度を4000Gとし、直径制御のフィードバックのサイクルを、従来の60秒から30秒として応答性を高め、結晶成長速度(引上げ速度)の変動を最大限に抑制するようにし、結晶の引上げ速度の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内となるように制御をしつつ結晶を引上げた。
【0072】
出来た結晶棒の結晶成長速度(引上げ速度)の制御結果と結晶棒中の欠陥発生状況の結果を図8に示した。図8(a)は、成長速度の結果図、図8(b)は、結晶欠陥の結果図である。
【0073】
この結果を見ると、磁場を印加することにより引上げ速度が安定し、結晶の引上げ速度を、殆どの部位で臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内となるように制御が行なわれていることがわかる。本発明の所望品質の結晶、すなわち結晶中央部にOSF領域があるとともに、FPD及びL/Dが結晶内に存在しないものとなる部位(図中のA領域)が、単結晶棒の約80%の部位で得ることが出来た。
【0074】
一方、まだ一部の部位において、本発明の品質を具備しない部分があり、結晶中央部にFPDが形成されている(図中のB領域)。この部分を調べてみると引上げ速度は、ほぼ±0.02[mm/min]以内に制御することは出来ているが、引上げ速度の平均値が臨界速度に対して、全体的に高めになっていることがわかる。
【0075】
(実施例3)
そこで、引上げ速度の平均値も制御することとし、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内となるようにした。
すなわち、印加磁場強度を4000Gとし、直径制御のフィードバックのサイクルを、従来の60秒から30秒として応答性を高め、結晶成長速度(引上げ速度)の変動を最大限に抑制するようにし、結晶の引上げ速度を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度に対して±0.02[mm/min]以内、結晶引上げ速度の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内となるように制御をしつつ結晶を引上げた。
【0076】
出来た結晶棒の結晶成長速度(引上げ速度)の制御結果と結晶棒中の欠陥発生状況の結果を図9に示した。図9(a)は、成長速度の結果図、図9(b)は、結晶欠陥の結果図である。
【0077】
この結果を見ると、磁場を印加することにより引上げ速度が安定し、結晶の引上げ速度の平均値を、結晶棒全体でほぼ臨界速度に対して±0.01[mm/min]以内となるように制御が行なわれていることがわかる。したがって、本発明の所望品質の結晶、すなわち結晶中央部にOSF領域があるとともに、FPD及びL/Dが結晶内に存在しないものとなる部位(図中のA領域)が、1本の単結晶棒全体で得ることが出来た。
【0078】
(実施例4)
次に、上記実施例で縦割りにされ残ったかまぼこ型の単結晶棒のうち、本発明の品質を有する部位から、半月型のウエーハを切り出し、これに鏡面加工を施して半月型のシリコン単結晶の鏡面ウエーハを作製し、グローンイン欠陥の測定を行った。また、熱酸化処理を施してOSF発生の有無を確認した。さらに、酸化膜耐圧特性についても調べた。
【0079】
その結果、ウエーハの中央部において、直径約20mm以下のOSF領域は存在するが、該OSF領域の外側の部分はグローンイン欠陥の存在しない無欠陥領域であり、N領域を最大限拡大した極低欠陥ウエーハを得た。このOSF領域の面積は、直径8インチウエーハの面積の約1%以下であり、実質上デバイス歩留の低下要因としての影響をわずかなものとすることが出来る。なお、直径8インチ以外の単結晶においても同様に引上げテストをしてみたところ、OSF領域の面積は、ウエーハ面積の5%以下に抑制出来ることが確認出来た。
【0080】
特に、ウエーハ面内酸素濃度が24ppma以下のウエーハでは、中央部のOSF領域で、OSF核は存在するが熱酸化処理によってもOSFは発生せず、ウエーハ全面がデバイス歩留の良好なものであった。
【0081】
このウエーハの酸化膜耐圧特性は、C−モード良品率97〜100%となった。
なお、C−モード測定条件は、次の通りである。
1)酸化膜厚:25nm、 2)測定電極:リンドープ・ポリシリコン、
3)電極面積:8mm 、 4)判定電流:1mA/cm
5)良品判定:絶縁破壊電界が8MV/cm以上のものを良品と判定した。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0083】
例えば、上記実施形態においては、直径8インチのシリコン単結晶を育成する場合につき例を挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、直径6インチ以下、10〜16インチあるいはそれ以上のシリコン単結晶にも適用できることは言うまでもない。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、単結晶育成条件の制御範囲が広くなり、中央部にOSF領域を有するものの、OSF領域外側のN領域を最大限拡大したウエーハを、容易に作製することができる。しかも、単結晶棒の全体で作製可能であるので、高生産性、高歩留を維持しながら製造することができる。
また、OSF領域の面積を小さく抑制出来る上に、低酸素化も併用すればOSFも発生せず、実質上ウエーハ全面が無欠陥のシリコン単結晶ウエーハを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン単結晶の径方向位置を横軸とし、F/G値を縦軸とした場合の諸欠陥分布図である。
【図2】本発明品質のウエーハの結晶面内諸欠陥分布を表した説明図である。
(a)通常の引上げ条件で引上げた場合、(b)本発明の引上げ条件で引上げた場合。
【図3】従来の引上げ方法における結晶面内諸欠陥分布を表した説明図である。
(a)通常の引上げ条件で引上げた場合、(b)引上げ速度と結晶内温度勾配を精密制御して引上げた場合。
【図4】従来の引上げ方法における引上げ速度と結晶面内欠陥分布との関係を表した説明図である。
(a)高速引上げの場合、(b)中速引上げの場合、(c)低速引上げの場合。
【図5】ウエーハに熱酸化処理を施した際のOSFリングの発生領域とOSF核の存在領域との境界位置が結晶中酸素濃度に影響されていることを表した説明図である。
(a)結晶棒の長さ方向位置と酸素濃度の関係を表したグラフ、(b)結晶縦断面において、OSFリングの発生領域とOSF核の潜在領域との境界位置を示す説明図である。
【図6】本発明で使用したCZ法による単結晶引上げ装置の概略説明図である。
【図7】実施例1の結果図である。
(a) 成長速度の結果図、
(b) 結晶欠陥の結果図。
【図8】実施例2の結果図である。
(a) 成長速度の結果図、
(b) 結晶欠陥の結果図。
【図9】
実施例3の結果図である。
(a) 成長速度の結果図、
(b) 結晶欠陥の結果図。
【符号の説明】
1…成長単結晶棒、
2…シリコン融液、
3…湯面、
4…固液界面、
5…種結晶、
6…シードチャック、
7…ワイヤ、
8…固液界面断熱材、
9…上部囲繞断熱材、
10…湯面と固液界面断熱材下端との隙間、
30…単結晶引上げ装置、
31…引上げ室、
32…ルツボ、
33…ルツボ保持軸、
34…ヒータ、
35…断熱材、
36…冷却装置、
37…磁石。
V …V−リッチ領域、
N …N−領域、
I …I−リッチ領域、
OR…OSF領域。

Claims (7)

  1. チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度をF[mm/min]とし、シリコンの融点から1400℃の間の引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG[℃/mm]で表した時、結晶中心から結晶周辺までの距離D[mm]を横軸とし、F/G[mm2 /℃・min]の値を縦軸として欠陥分布を示した欠陥分布図において、V−リッチ領域とI−リッチ領域は存在せず、OSF領域と、その外側のN−領域の範囲内で結晶を引上げ、且つ前記引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]を、3.0[℃/mm]以下とし、前記引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G[℃/mm]の値を、結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/mm]との差△G=(Ge−Gc)で表した時、△Gが1℃/mm以内とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度F[mm/min]を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度に対し、±0.02[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度F[mm/min]の平均値を、OSFが結晶バルク中心で消滅する臨界速度の平均値に対し、±0.01[mm/min]以内に制御しつつ結晶を引上げることを特徴とする請求項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、引上げ中シリコン融液に磁場を印加しつつ結晶を引上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  5. 請求項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、印加する磁場を水平磁場とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  6. 請求項または請求項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、印加する磁場の強度を2000G以上とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、前記結晶中の酸素濃度を24ppma以下にすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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