JP3627423B2 - 低電圧型pll半導体装置 - Google Patents

低電圧型pll半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線携帯機器に内蔵する低消費電力型の半導体装置、特に位相の同期をとるためのPLL(フェーズ・ロックド・ループ)回路を構成するPLL半導体装置に関する。
近年、携帯電話等の無線機器においては、長時間の連続使用を可能にするために、電池の長寿命化が要求されている。そのため、消費電力を抑えるべく低電圧、例えば1〔V〕で駆動するような低消費電力型の半導体装置が必要になってきている。
【0002】
【従来の技術】
図10は、低消費電力型の無線携帯機器における通信を行うための基本的構成を説明するための図である。
無線携帯機器は、内部クロックの位相を受信信号の位相に一致させるための周波数シンセサイザ31と、周波数シンセサイザ31を構成する各回路間のインターフェースをとるための所定の電圧を作る昇圧回路32と、周波数シンセサイザ31に対して動作モード切替信号を発生させるコントロール回路33とを有している。
【0003】
上記周波数シンセサイザ31は、図10に示すように、低電圧動作を行うPLL半導体装置34とローパスフィルタ(以下LPF)35、及び電圧制御発振器(以下VCO)36とから構成されており、このPLL半導体装置34に、水晶振動子等によって予め設定される所定の周波数を有する基準信号OSCin と、VCO36からフィードバックされる比較信号finとが入力され、両者の位相が比較される。
【0004】
そして、比較結果をもとにVCO36の周波数を制御しながら、VCO36による出力信号のPLL半導体装置34へのフィードバックを繰り返し、両者の周波数の同期をとることによって安定した通信を可能にしている。
尚、LPF35は、PLL半導体装置34の出力をVCO36に必要な直流成分に変換するものである。
【0005】
また、本構成においては、主電源VDDとして1〔V〕を使用しており、これがPLL半導体装置34と昇圧回路32に接続されていると共に、VCO36とのインターフェイス用として昇圧回路32によって作られる、例えば3〔V〕の電圧VP が、PLL半導体装置34とLPF35、及びVCO36に接続されている。
【0006】
PLL半導体装置は、MOSトランジスタで構成されるもので、1〔V〕程度の低電圧にて動作させることが可能であるが、VCO36とのインターフェイス用としては3〔V〕程度の電圧が必要であるため、昇圧回路32によって、この電圧を発生させ、PLL半導体装置34に供給している。
次に、図10におけるPLL半導体装置34の回路構成を図11を参照しながら説明する。
【0007】
本発明で対象としている1〔V〕で動作する低電圧型の半導体装置は、MOSトランジスタで構成するが、低電圧型のMOSトランジスタの場合には電極間のしきい値Vthを0.35〔V〕程度に設定しなければならず、トランジスタのオン−オフ間での動作マージンが少なくなるため、オフ(待機)時のリーク電流が増加することになる。
【0008】
そこで、待機時にパワーセーブ(PS)信号によって動作する基板バイアス回路を設け、オフ状態のMOSトランジスタにおけるソース−ドレイン間の基板バイアスをコントロールすることにより、リーク電流の抑制を図ることが考えられている。
従来のPLL半導体装置は、図11に示すように、上記基板バイアス回路37、基準信号OSCin が入力される入力アンプ回路38、VCO36(図10参照)からの比較信号finが入力される入力アンプ回路39、入力アンプ回路39からの信号を所定単位の周波数まで高速に分周するためのプリスケーラ回路40、入力アンプ回路38とプリスケーラ回路40からの信号を分周する分周回路41と、分周回路41にて分周された各信号の位相を比較する位相比較回路42と、出力信号のレベルを上げるためのチャージポンプ回路43、試験用入力信号TESTinが入力される試験用回路44、及びパワーセーブ信号PSと試験用信号TESTinとを入力して、その出力をチャージポンプ回路43に入力するAND回路45とを備えている。
【0009】
尚、図示していないが、分周回路41は基準信号OSCin を分周するための基準分周回路と、比較信号fin を分周する比較分周回路とから構成されている。
上記PLL半導体装置において、待機時のリーク電流を抑えるための基板バイアス回路37は、図12に具体的構成を示すが、クロック信号Clock とパワーセーブ信号PSを入力するNAND回路40、NAND回路40の出力信号を反転させるためのインバータ47、及びチャージポンプ回路を構成する容量48とPMOSトランジスタTP41,TP42がそれぞれ図12のように接続されて構成されている。
【0010】
このような回路構成の基板バイアス回路37は、パワーセーブ信号PSが“L”(ロー)レベルで動作を開始する。即ち、パワーセーブ信号PSが“L”レベルとなった場合に、NAND回路46の出力が“H”レベル、これがインバータ47により反転され“L”レベルとなり、PMOSトランジスタTP41,TP42がオン状態になる。
【0011】
このように、PMOSトランジスタTP41,TP42がオン状態になることにより、電源VDDよりも高い電圧を発生させて、プリスケーラ回路40及び分周回路41、位相比較回路42を構成するPMOSトランジスタの基板バイアスとして供給される。これによってリーク電流が抑えられている。
上記説明した従来例の構成によれば、PMOSトランジスタTP41,TP42によるチャージポンプ回路で、ある程度電圧を上昇させるが、基板バイアス電圧は、電源VDD+0.5〔V〕程度までしか高めることができない。
【0012】
また、低電圧型の半導体装置の場合、MOSトランジスタのしきい値Vthが低く、製造マージンを広くとることができないため、製造バラツキによる不良率が高くなる。
そのため、このような製造バラツキによる不良を早い段階でリジェクトするために試験用回路が必要となっている。
【0013】
この試験用回路は、図13に示すように、試験用信号TESTinを入力するNMOSトランジスタTN41と、このNMOSトランジスタTN41のソースに接続され、複数のインバータINV41〜INV4nが直列接続されてなるインバータ発振回路50とから構成されている。
このような試験用回路において、試験用の信号TESTinが入力された場合に、NMOSトランジスタTN41がオンして、インバータ発振回路50が動作することにより、出力信号TESTout が発生して試験モードとなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の基板バイアス回路においては、図12に示すように、NAND回路46及びインバータ47を有しており、NAND回路46には4個のトランジスタ、インバータ47には2個のトランジスタが必要なことから、チャージポンプ回路を構成する2個のPMOSトランジスタTP41,TP42と併せて、8個のトランジスタが存在する。その結果、チップサイズを大きくすることになっている。
【0015】
また、従来の基板バイアス回路37では、PMOSトランジスタTP41,TP42によって電源VDDよりも高い電圧に上昇させるが、VDD+0.5〔V〕程度の基板バイアス電圧しか与えらず、待機時のリーク電流対策としては十分でない。
この待機時のリーク電流に関して、図14、及び図15にPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタの基板バイアス特性をそれぞれ示している。
【0016】
まず、PMOSトランジスタの基板バイアス特性は、基板バイアス電圧を電源VDD+1〔V〕と電源VDD+0〔V〕にした場合のゲート電圧に対するドレイン電流を示すものであり、図14に示すように基板バイアス電圧の僅かな違いによって、ドレイン電流に大きな差が出ることがわかる。
尚、図12の基板バイアス回路では、基板バイアス電圧は電源VDD+0.5〔V〕程度となるため、図14における両グラフの間に位置する特性となる。
【0017】
また、図15に示す如き、NMOSトランジスタの場合でも、僅かではあるが、基板バイアス電圧の違いによってドレイン電流に差異が生じる。
従って、PLL半導体装置における基板バイアス回路で制御される待機時の基板バイアス電圧を高めることができれば、オフリーク電流を抑えることができる。このことは図14から明らかなように、特にP型MOSトランジスタを用いる場合により顕著となる。
【0018】
また、従来のPLL半導体装置には、ウエハ段階での不良を検出するための試験用回路が設けられているが、これは半導体装置本来の機能とは関係なく、回路設計上では不要な部分であると共に、チップサイズを増大させる原因にもなっている。
本発明は、上記課題を解決して、簡単な回路構成によって、待機時のリーク電流を低く抑えると共に、特に試験用回路を設けることなく、製造バラツキによる不良摘出のための試験を可能にすることを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、ローパスフィルタ35、電圧制御発振器36と共に周波数シンセサイザ31を構成し、駆動用及びインターフェース用として異なるレベルの2電源VDD, Vp から電圧を供給され、所定の基準信号OSCin と前記電圧制御発振器36から帰還される比較信号finとを入力して、両信号の位相を比較するPLL半導体装置において、
動作状態、及び待機状態に対応して入力されるパワーセーブ信号PSによって、前記2電源VDD, Vp の一方のみを選択するスイッチ素子を備えてなり、その出力信号を位相比較を行うための回路に入力する基板バイアス回路2を有することを特徴としている。
【0020】
上記本発明のPLL半導体装置によれば、動作時と待機時における使用電源を切り換えるスイッチ素子を有する基板バイアス回路を備えているため、待機時のトランジスタの基板バイアス電圧を十分上げるとができる。
従って、待機時のリーク電流を抑えることができ、低消費電力化を実現することが可能となる。
【0021】
【実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、図10に示した周波数シンセサイザ31を構成する低電圧型PLL半導体装置の本発明における一実施例を説明するための回路ブロック図であり、基板バイアス回路2、入力アンプ回路3,4、プリスケーラ回路5、分周回路6、位相比較回路7、及びチャージポンプ回路8から構成されている。
【0022】
一方の入力アンプ回路3には水晶振動子等によって予め設定される周波数の基準信号OSCin が入力され、他方の入力アンプ回路4には本PLL半導体装置と共に周波数シンセサイザ31を構成する電圧制御発振器36(図10参照)からフィードバックされる比較信号finが入力される。
それぞれの入力信号は、各入力アンプ回路3,4にて増幅された後、分周回路6及びプリスケーラ回路5に入力される。
【0023】
比較信号finは、増幅後に高速で分周する必要があるため、一旦プリスケーラ回路5によって適当なレベルまで分周を行った後、基準信号OSCin と同様分周回路6に入力される。
分周回路6は、図示していないが、基準信号OSCin を分周する基準分周回路と、比較信号finを分周する比較分周回路とからなっており、この分周回路によってそれぞれ分周された信号が位相比較回路7に入力される。
【0024】
位相比較回路7は、両信号の位相を比較して、位相の違いに応じた出力信号をチャージポンプ回路8に入力する。チャージポンプ回路8は、本PLL半導体装置の出力信号を所定レベルまで上昇させるものである。
本実施例のPLL半導体装置は、待機時にはパワーセーブ信号PSが“H”レベルとなるが、このパワーセーブ信号PSは、前述した入力アンプ回路3,4、プリスケーラ回路5、分周回路6、位相比較回路7、チャージポンプ回路8にそれぞれ入力され、各回路を待機状態にする。
【0025】
また、パワーセーブ信号PSは、基板バイアス回路2にも入力されており、この信号によって電源VDD,Vp の切替えを行う。即ち、本PLL半導体装置1には、メインの駆動用電源VDDと、電圧制御発振器等とのインターフェース用電源Vp とが接続されており、これらの電源がそれぞれ基板バイアス回路2に接続されている。
【0026】
そして、詳細は後述するが、基板バイアス回路2の内部にてこれら電源の切替えを行う構成になっている。
このような基板バイアス回路2の出力信号は、プリスケーラ回路5及び分周回路6、位相比較回路7に入力されて、これらの回路を構成するMOSトランジスタのオフ時の基板バイアス電圧を制御している。
【0027】
つまり、基板バイアス回路2は、待機時において3〔V〕の電源Vp を選択することにより、プリスケーラ回路5及び分周回路6、位相比較回路7を構成するMOSトランジスタのオフ状態での基板バイアス電圧を高くしている。
尚、プリスケーラ回路5と分周回路6、及び位相比較回路7には、クロック信号Clock が入力されており、このクロック信号Clock とパワーセーブ信号PSとによって、動作を開始して、基板バイアス回路2によって、その基板バイアス電圧が制御されている。
【0028】
また、図14及び図15に示すとおりNMOSトランジスタよりもPMOSトランジスタの基板バイアス特性の方がリーク電流の変化が顕著に現れるため、本実施例においては、基板バイアス回路2によって制御されるプリスケーラ回路5、分周回路6及び位相比較回路7のトランジスタは、PMOSトランジスタとする。(図示なし)
図2は、本発明に係る基板バイアス回路の第一実施例を説明するための回路図である。
【0029】
本実施例の基板バイアス回路2は、ソースに1〔V〕の電源VDDが接続されるPMOSトランジスタTP1と、ソースに3〔V〕の電源Vp が接続されるPMOSトランジスタTP2と、入力信号を反転させるインバータINV1とから構成されている。
本基板バイアス回路2において、入力信号、即ちパワーセーブ信号PSが“H”(ハイ)レベルの時(待機時)、一方のPMOSトランジスタTP1のゲートには“H”レベルがそのまま入力され、他方のPMOSトランジスタTP2のゲートには、インバータINV1で反転された“L”(ロー)レベルが入力される。
【0030】
従って、一方のPMOSトランジスタTP1がオフに、他方のPMOSトランジスタTP2がオンになるため、電源Vp が接続された状態になり、プリスケーラ回路5、分周回路6及び位相比較回路7に接続される基板バイアス回路2の出力部のレベルは電源Vp 、即ち3〔V〕となる。
一方、パワーセーブ信号PSが“L”レベルの時(動作時)、PMOSトランジスタTP1がオン、PMOSトランジスタTP2がオフするため、電源VDDが接続された状態になる。
【0031】
従って、プリスケーラ回路5、分周回路6、位相比較回路7に接続される基板バイアス回路2の出力部のレベルは1〔V〕となる。
本実施例によれば、4個のトランジスタによる簡単な構成でありながら、待機状態において3〔V〕の高電圧を基板バイアス回路2に接続するため、基板バイアス電圧を高く設定することが可能となり、オフリーク電流を低く抑えることができる。
【0032】
3〔V〕の電源を接続する本実施例の場合、待機時にPMOSトランジスタの基板バイアス電圧を電源VDD+2〔V〕程度にすることが可能となり、図14に示す特性から従来のものに比べ遙に低いリーク電流に抑えることができるものである。尚、図14には本実施例の特性は直接は示されていない。
図3は、本発明に係る基板バイアス回路の第二実施例を説明するための回路図である。
【0033】
本実施例の基板バイアス回路9は、電源Vp に接続されるPMOSトランジスタTP12の動作をより確実にするためにレベルコントロール回路10を設けるものであり、PMOSトランジスタTP12のゲートに入力される電圧の振幅を0〜3〔V〕にするものである。
レベルコントロール回路10は、パワーセーブ信号PS(A)と、これをインバータINV11によって反転した信号Aバーとを取り込んで、内部のトランジスタにてレベルコントロールを行った後、出力信号をPMOSトランジスタTP12のゲートに入力する。
【0034】
図4は、上記レベルコントロール回路10の具体例を示すものであり、PMOSトランジスタTP3,TP4と、NMOSトランジスタTN1,TN2とから構成されている。このようなレベルコントロール回路10のNMOSトランジスタTN1,TN2にそれぞれ信号Aバー,Aを入力することによってレベルコントロールが行われる。
【0035】
つまり、待機時でパワーセーブ信号PSが“H”レベルの時、Aバーは“L”レベル、Aは“H”レベルとなり、このレベルに応じて各MOSトランジスタがそれぞれオンオフ動作することにより、出力点OUTは“L”レベル、即ち0〔V〕にコントロールされる。
また、動作時でパワーセーブ信号PSが“L”レベルの時、Aバーは“H”レベル、Aは“L”レベルとなり、出力点OUTは“H”レベル、即ち3〔V〕程度にコントロールされる。
【0036】
以上のように、レベルコントロール回路10によって、PMOSトランジスタTP12の動作マージンが広くなるため、確実なオンオフ動作を行うことが可能となる。従って、プリスケーラ回路等のPMOSトランジスタの基板バイアス電圧も確実に制御することができる。
図5は、本発明に係る基板バイアス回路の第三実施例を説明するための回路図である。
【0037】
本実施例の基板バイアス回路9aは、第二実施例同様、電源Vp に接続されるPMOSトランジスタTP22の動作をより確実にするためのレベルコントロール回路10aを備えてなるものであり、第二実施例と異なるのは、前段の電源VDDに接続されるPMOSトランジスタTP21のゲートがレべルコントロール回路10aの出力部に接続される構成である。
【0038】
本実施例によれば、前段のPMOSトランジスタTP21のゲートにレベルコントロール回路10aの出力信号、即ち3[V]に調整された電圧が印加され、後段のPMOSトランジスタTP22が動作状態となり、出力outが電源Vpレベルに達する。
この時、前段のPMOSトランジスタTP21のドレインが電源Vpと同レベルになるため、PMOSトランジスタTP21は、非動作状態を保持することができる。
【0039】
従って、PMOSトランジスタTP21のドレイン側から電源VDDに流れる電流を抑えることが可能となる。
図6は、本発明に係る基板バイアス回路の第四実施例を説明するための回路図である。
本実施例の基板バイアス回路9bは、第二,第三実施例同様、電源Vp に接続されるPMOSトランジスタTP32の動作をより確実にするためのレベルコントロール回路10bを備えてなるものであり、第三実施例と異なるのは、前段の電源VDDに接続されるPMOSトランジスタTP31のバックゲートが電源VP に接続される構成である。
【0040】
本実施例によれば、前段のPMOSトランジスタTP31のゲートとドレインのレベルがどのような状態であっても、PMOSトランジスタTP31のバックゲートがソースと接続されていないため、ドレイン側からバックゲートを介して電源VDDに流れる電流を無くすことが可能となる。
以上説明した第二〜第四実施例においては、基板バイアス回路にMOSトランジスタを使用しているが、バイポーラトランジスタによっても構成することが可能である。
【0041】
次に、本発明の低電圧PLL半導体装置の他の実施例を図7を参照しながら説明する。
図7は 本発明の低電圧型PLL半導体装置の他の実施例を説明するための回路ブロック図であり、基板バイアス回路12、入力アンプ回路13,14、プリスケーラ回路15、分周回路16、位相比較回路17、チャージポンプ回路18及びAND回路19から構成されている。
【0042】
本実施例のPLL半導体装置11は、入力アンプ回路13を試験用回路としても用いるものであり、試験用信号TESTinとパワーセーブ信号PSとの組み合わせによって、後述する入力アンプ回路13を構成する各トランジスタを制御することで、試験モードにするものである。
また、上記試験用信号TESTinとパワーセーブ信号PSは、AND回路19に入力され、このAND回路19の出力信号aが入力アンプ回路13とチャージポンプ回路18とに入力され、動作制御が行われている。
【0043】
尚、本実施例の通常モードにおける基準信号OSCin と比較信号finとの位相の同期をとる動作については、図1に示す実施例と同様であるため、その説明は省略する。
本実施例における試験用回路を兼ねる入力アンプ回路13の第一実施例を図8(a)(b)に示し、その構成及び動作を以下に説明する。
【0044】
本実施例の入力アンプ回路13は、図8(a)に示すように、パワーセーブ信号PSが入力されるインバータINV2、帰還抵抗用のトランスミッションTR1、基準信号OSCin が入力されるインバータINV3及びAND回路19からの信号aがゲートに入力されるNMOSトランジスタTN3とから構成され、その出力信号がプリスケーラ回路等の位相比較を行うための回路に入力されると共に、試験用出力信号OSCoutとして出力される。
【0045】
このような入力アンプ回路13における各信号条件に対する各トランジスタの動作状態を図8(b)に示している。
この入力アンプ回路13では、試験用信号TESTinが“H”レベル且つパワーセーブ信号PSが“H”レベルの場合、まずトランスミッションTR1を構成するPMOSトランジスタのゲートに“H”レベルが、一方のNMOSトランジスタのゲートにインバータINV2を介して“L”レベルがそれぞれ入力される。従って、トランスミッションTR1はオフ状態となる。
【0046】
また、NMOSトランジスタTN3のゲートにはAND回路19から“H”レベルの信号aが入力されるため、このNMOSトランジスタTN3はオン状態となる。
更に、NMOSトランジスタTN4のゲートには、試験用信号TESTinが直接入力され、オン状態となる。
【0047】
以上のように、NMOSトランジスタTN4がオン状態で本回路から何らかの信号を出力する状態となるが、NMOSトランジスタTN3がオンすると、そのソースに接続される基準信号OSCin が“L”レベルに固定されるため、本入力アンプ回路13は、使用モードにおける待機状態となる。この場合、図1に示した実施例と同様、基板バイアス回路12は電源Vp と接続されるよう動作するため、トランジスタの基板バイアス電圧を高くし、オフリーク電流を抑える。
【0048】
同様に、試験用信号TESTinが“H”レベル、パワーセーブ信号PSが“L”レベルの場合、図8(b)に示すように、トランスミッションTR1がオン状態、NMOSトランジスタTN3がオフ状態、更にNMOSトランジスタTN4がオン状態となる。
従って、基準信号OSCin がフローティング状態となり、基準信号OSCin が増幅して出力されるため、本入力アンプ回路13は使用モードにおける動作状態となる。
【0049】
更に、試験用信号TESTinが“L”レベル、パワーセーブ信号PSが“H”レベルの場合、図8(b)に示すように、トランスミッションTR1がオフ状態、N型MOSトランジスタTN3がオフ状態、更にN型MOSトランジスタTN4がオフ状態となる。
以上のように全てのトランジスタがオフ状態となれば、本入力アンプ回路から信号は出力されず、試験モード状態となり、インバータINV3単体の特性確認が可能となる。
【0050】
図9(a)(b)は、図6の第一実施例とは異なる信号条件で試験モードとする入力アンプ回路の第二実施例を説明するための図である。
本実施例の入力アンプ回路23は、図9(a)に示すように、インバータINV12,INV13、帰還抵抗用トランスミッションTR12、NMOSトランジスタTN13、及びPMOSトランジスタTP5とから構成されている。
【0051】
第一実施例と異なる点は、トランスミッションTR12を構成するPMOSトランジスタのゲートにインバータINV12からの信号が入力される点と、次段回路との切離しを行うためのトランジスタをPMOSトランジスタTP5にした点である。
また、NMOSトランジスタTN13に入力される信号が、パワーセーブ信号PSと試験用信号TESTinとを入力するNOR回路29における出力信号a’となっている。
【0052】
このような入力アンプ回路23によれば、試験用信号TESTinが“L”レベル、パワーセーブ信号PSが“H”レベルの時、図9(b)に示すように、トランスミッションTR12がオン状態、NMOSトランジスタTN13がオフ状態、PMOSトランジスタTP5がオン状態となるため、使用モードにおける動作状態になる。
【0053】
また、試験用信号TESTin、パワーセーブ信号PSが共に“L”レベルの場合、トランスミッションTR12がオフ状態、NMOSトランジスタTN13がオン状態、PMOSトランジスタTP5がオン状態となり、使用モードにおける待機状態になる。
そして、試験用信号TESTin、パワーセーブ信号PSが共に“H”レベルの時、トランスミッションTR12、NMOSトランジスタTN13、PMOSトランジスタTP5の全てがオフ状態となり、試験モードになり、インバータINV13単体の特性確認が可能となる。
【0054】
以上説明したとおり、図8及び図9に示す入力アンプ回路によれば、特に試験用の回路を設けることなく、本入力アンプ回路を試験モードにすることによって、インバータ単体の特性確認が可能となり、ウエハー段階での特性試験を行うことが可能となる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明した本発明のPLL半導体装置によれば、動作時には低電圧、待機時には高電圧を使用可能にするための電源切り換え用のスイッチ素子を有する基板バイアス回路を備えており、動作時の基板バイアス電圧は低く、待機の基板バイアス電圧は十分高くすることが可能となる。
【0056】
そのため、動作時には高速動作を可能とし、待機時についてはリーク電流を十分抑えて低消費電力化を実現することが可能となる。
また、入力アンプ回路を試験モードにすることにより、特に試験用回路を設けることなく、初期段階での特性試験が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低電圧型PLL半導体装置の一実施例を説明するための回路ブロック図である。
【図2】本発明に係る基板バイアス回路の第一実施例を説明するための図である。
【図3】本発明に係る基板バイアス回路の第二実施例を説明するための図である。
【図4】基板バイアス回路の第二実施例におけるレベルコントロール回路の具体例を説明するための図である。
【図5】本発明に係る基板バイアス回路の第三実施例を説明するための図である。
【図6】本発明に係る基板バイアス回路の第四実施例を説明するための図である。
【図7】本発明の低電圧型PLL半導体装置の他の実施例を説明するための回路ブロック図である。
【図8】本発明に係る入力アンプ回路の第一実施例を説明するための図である。
【図9】本発明に係る入力アンプ回路の第二実施例を説明するための図である。
【図10】無線携帯機器主要部の基本的構成を説明するための図である。
【図11】従来の低電圧型PLL半導体装置を説明するための図である。
【図12】従来の基板バイアス回路を説明するための図である。
【図13】従来の試験用回路を説明するための図である。
【図14】P型MOSトランジスタの基板バイアス特性を説明するための図である。
【図15】N型MOSトランジスタの基板バイアス特性を説明するための図である。

Claims (8)

  1. ローパスフィルタ(35)、電圧制御発振器(36)と共に周波数シンセサイザ(31)を構成し、駆動用及びインターフェース用として異なるレベルの2電源(VDD, Vp )から電圧を供給され、所定の基準信号(OSCin )と前記電圧制御発振器(36)から帰還される比較信号(fin)とを入力して、両信号の位相を比較する低電圧型PLL半導体装置において、
    動作状態、及び待機状態に対応して入力されるパワーセーブ信号(PS)によって、前記2電源(VDD, Vp )の一方のみを選択するスイッチ素子を備えてなり、その出力信号を位相比較を行うための回路(5,6,7)に入力する基板バイアス回路(2)を有することを特徴とする低電圧型PLL半導体装置。
  2. 前記基準信号(OSCin )及び比較信号(fin)は、一対の入力アンプ回路(3,4)と、分周を行うプリスケーラ回路(5)及び分周回路(6)と、両信号の位相を比較する位相比較回路(7)と、出力信号を所定レベルまで上昇させるチャージポンプ回路(8)とを経由して、前記ローパスフィルタ(35)に入力されることを特徴とする請求項1記載の低電圧型PLL半導体装置。
  3. 前記基板バイアス回路(2)は、ソースに低電圧の電源(VDD)が接続されると共に、ゲートに前記パワーセーブ信号(PS)が入力されるPMOSトランジスタ(TP1)と、
    ソースに高電圧の電源(Vp )が接続されると共に、ゲートに前記パワーセーブ信号(PS)をインバータ(INV1)によって反転される信号が入力されるPMOSトランジスタ(TP2)とからなり、
    両PMOSトランジスタ(TP1,TP2)のドレイン同士の接続部が出力点とされていることを特徴とする請求項1記載の低電圧型PLL半導体装置。
  4. 前記基板バイアス回路(9)は、ソースに低電圧の電源(VDD)が接続されると共に、ゲートに前記パワーセーブ信号(PS)が入力されるPMOSトランジスタ(TP11)と、
    パワーセーブ信号(PS)と該パワーセーブ信号(PS)をインバータ(INV11)によって反転する信号とが入力され、所定の範囲でレベル調整を行うレベルコントール回路(10)と、
    ソースに高電圧の電源(Vp )が接続されると共に、ゲートに前記レベルコントロール回路(10)の出力信号が入力されるPMOSトランジスタ(TP12)とからなり、
    両PMOSトランジスタ(TP11,TP12)のドレイン同士の接続部が出力点とされていることを特徴とする請求項1記載の低電圧型PLL半導体装置。
  5. 前記基板バイアス回路(9a)は、パワーセーブ信号(PS)と該パワーセーブ信号(PS)をインバータ(INV21)によって反転する信号とが入力され、所定の範囲でレベル調整を行うレベルコントール回路(10a)と、
    ソースに低電圧の電源(VDD)が接続されると共に、ゲートに前記レベルコントロール回路(10a)の出力信号が入力されるPMOSトランジスタ(TP21)と、
    ソースに高電圧の電源(Vp )が接続されると共に、ゲートに前記レベルコントロール回路(10a)からの出力信号が入力されるPMOSトランジスタ(TP22)とからなり、
    両PMOSトランジスタ(TP21,TP22)のドレイン同士の接続部が出力点とされていることを特徴とする請求項1記載の低電圧型PLL半導体装置。
  6. 前記基板バイアス回路(9b)は、パワーセーブ信号(PS)と該パワーセーブ信号(PS)をインバータ(INV31)によって反転する信号とが入力され、所定の範囲でレベル調整を行うレベルコントール回路(10b)と、
    ソースに低電圧の電源(VDD)が接続されると共に、ゲートに前記レベルコントロール回路(10b)の出力信号が入力され、バックゲートが前記低電圧の電源(VDD)より高い電源に接続されるPMOSトランジスタ(TP31)と、
    ソースに高電圧の電源(Vp )が接続されると共に、ゲートに前記レベルコントロール回路(10b)の出力信号が入力されるPMOSトランジスタ(TP32)とからなり、
    両PMOSトランジスタ(TP31,TP32)のドレイン同士の接続部が出力点とされていることを特徴とする請求項1記載の低電圧型PLL半導体装置。
  7. 前記PMOSトランジスタ(TP31)のバックゲートが接続される電源は、前記PMOSトランジスタ(TP32)のソースに接続される高電圧の電源(Vp)であることを特徴とする請求項6記載の低電圧型PLL半導体装置。
  8. 前記入力アンプ回路(13)は、前記パワーセーブ信号(PS)と、試験用として発生させる試験用信号(TESTin)、及びパワーセーブ信号(PS)と試験用信号(TESTin)との論理和信号(a)とを入力し、各信号のレベル条件に応じて入力アンプ回路として動作する通常モード、及び試験用回路として動作する試験モードが選定されることを特徴とする請求項2記載の低電圧型PLL半導体装置。
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