JP3627414B2 - 臭化メチル除去用吸着剤及びそれを用いた除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭化メチルを含むガスから臭化メチルを吸着除去する吸着剤及びそれを用いた除去方法に関し、特に低濃度の臭化メチルを除去する吸着剤及びそれを用いた除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
臭化メチルは検疫用、農業用に不可欠な物質であるが、オゾン層を破壊する物質であるため、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」において規制されており、大気への排出を低減する技術の開発が必要となっている。臭化メチルの排出を削減する技術としては、直接燃焼法、触媒燃焼法、凝縮法、吸着法などが知られているが、モントリオール議定書では臭化メチルの生産についても規制されていることから、これらの技術の中でも凝縮法、吸着法は臭化メチルの回収再生が可能であるため、より優れた抑制技術となっている。しかしながら、凝縮法はガス状の臭化メチルを冷却し液化させる必要があるため、大容量のガスに含まれる微量の臭化メチルの除去には不向きである。
【0003】
また、臭化メチルの排出抑制技術には、環境への影響をより小さくすることが重要であり、臭化メチルが1容量%以下という低濃度での排出抑制を行なう必要がある。
【0004】
従来より、臭化メチルのようなハロゲン化炭化水素の吸着剤による除去方法としては、活性炭や無機系の吸着剤を用いた方法があるものの、この内、活性炭を用いた方法では活性炭が可燃性であるため、その使用条件に制限があるという課題があった。
【0005】
一方、ガス流中のハロゲン化炭化水素を回収する方法として、特開昭63−315127号公報において、吸着剤に高シリカゼオライトを用いる方法が開示されているが、この方法によると、一旦吸着された物質は、加熱された窒素もしくは空気を流通することにより脱離させられ、回収再利用が可能とされている。この公報によると、麻酔剤であるイソフルランの吸着、回収が可能であるが、臭化メチルについては記載されておらず、その臭化メチルに対する吸着能力は不明である。
【0006】
更に、特開平1−155946号公報において、ハロゲン化低級炭化水素除去用吸着剤として、SiO2/M2O3モル比が20以上のペンタシル型ゼオライトが開示されているが、この方法によると、水に含まれるクロロホルムの吸着除去を行なうことが可能であるが、ガス状のハロゲン化炭化水素の吸着については記載されておらず、その臭化メチルに対する吸着能力は不明であり、更に、臭化メチルの排出抑制技術に必要とされる1容量%以下の低濃度の臭化メチルの吸着に関しては、全く不明である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に記載した従来の課題等を解決する、すなわち、ガス中の臭化メチルを除去する方法において、臭化メチルを選択的に吸着し除去する吸着剤及びそれを用いた臭化メチルを除去する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、MFI構造を有するゼオライトを吸着剤として用いることにより、臭化メチルを選択的に吸着し、更にガス中の低濃度の臭化メチルの吸着除去に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、MFI構造を有するゼオライトからなることを特徴とする臭化メチル除去用吸着剤及びそれを用いた除去方法に関するものである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明において用いられる臭化メチル用吸着剤は、MFI構造を有するゼオライトからなる。
【0012】
一般にゼオライトは、M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(式中、nは陽イオンMの原子価、yは2以上の数、zは0以上の数である)の組成を有する結晶性アルミノシリケ−トであり、天然品及び合成品として多くの種類が知られている。この内、本発明に用いられるゼオライトは、MFI構造を持つことが必須である。
【0013】
MFI構造とは、例えば、ZEOLITES,17巻,146−147頁,1996年に記載されているような構造である。
【0014】
ゼオライトの組成において、SiO2/Al2O3のモル比は特に限定されないが、臭化メチルの吸着効率の面から20以上であることが好ましく、特に100以上であることが好ましい。
【0015】
又、ゼオライトはそのまま用いても良いが、これをNH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4等でイオン交換したNH4型や、これを焼成あるいは鉱酸等でプロトンにイオン交換し、H型として用いても差し支えない。更に、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の陽イオンを含んでいても差し支えない。
【0016】
本発明に係わるMFI型ゼオライト吸着剤の形状、構造等としては、粉状体、ペレット状体、ハニカム状体等の任意の形状、構造を採用することができる。
【0017】
又、このMFI型ゼオライトは、アルミナゾルやシリカゾルや粘土等のバインダーを加えて所定の形状に成型したり、水を加えてスラリー状とし、ハニカム等の形状のアルミナ、マグネシア、コージエライト等の耐火性基材上に塗布して用いることもできる。
【0018】
臭化メチルを吸着除去する際の処理速度、温度等は特に限定されないが、除去効率の面などから空間速度100〜500000hr−1、線速0.01〜100cm・sec−1、温度0〜100℃であることが好ましい。
【0019】
本発明の臭化メチル除去用吸着剤及びそれを用いた臭化メチルの除去方法の対象となるガスとしては、臭化メチルを含むガスであれば特に制限されるものでないが、臭化メチルを含むガス中の臭化メチルの濃度が全量の1容量%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の用途としては、例えば、検疫施設等の倉庫の臭化メチルによるくん蒸処理後の臭化メチルの除去に用いることができ、特に低濃度の臭化メチルをも除去できるため極めて有用である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、評価は以下に示した方法によって実施した。
【0022】
(1)臭化メチル濃度
以下に示す実施例1及び比較例1においては、臭化メチルの蒸気圧を調整し、その分圧より求めた。
【0023】
実施例2においては、吸着剤を通過したガスもしくはバイパスしたガスのうち、一部を連続的にガスクロマトグラフ装置(島津製作所製、型式:GC−14A、検出器:FID)に導入し、得られたピーク高さをもとに求めた。
【0024】
(2)ゼオライトの構造
使用したゼオライトの構造はX線回折法により確認した。
【0025】
(3)ゼオライトの組成
使用したゼオライトの組成はICP(パーキンエルマー社製、型式:optima 3000)により測定した。
【0026】
実施例1
SiO2/Al2O3モル比が2100のMFI型ゼオライト(東ソー株式会社製、商品名「HSZ−890−HOD」)を0.3gとり、350℃で2時間加熱排気処理を行なった後、28℃で臭化メチルの吸着量の測定を行なった。測定において、臭化メチルの濃度を0.13%、0.26%、0.53%、1.0%及び13%とし、前記した方法により臭化メチルの濃度を求め、得られた結果として臭化メチルの吸着量を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
比較例1
SiO2/Al2O3モル比が460のFAU型ゼオライト(東ソー株式会社製、商品名「HSZ−390−HUD」)をMFI型ゼオライトの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に行ない、得られた結果として臭化メチルの吸着量を表1に示した。
【0029】
実施例2
実施例1と同様のMFI型ゼオライト43gを内径30mmの吸着塔に充填した。このとき、吸着剤であるMFI型ゼオライトの層高は63mmであった。この吸着剤を30℃に保持し、表2に示す組成の臭化メチル含有ガスを1分間あたり1リットルの速度で流通させ、MFI型ゼオライト通過後のガスの臭化メチル濃度を測定し、その臭化メチル濃度がMFI型ゼオライトを通過する前の濃度に対し5%、95%となる時間を測定した。5%に到達した時間をt5、95%に到達した時間をt95とし、またMFI型ゼオライトに吸着した臭化メチルの重量%q(飽和吸着率)とあわせて表3に示した。これらの一連の操作を吸着1とする。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
次に、この吸着1の臭化メチル吸着後のMFI型ゼオライトに120℃の空気を1分間あたり1リットルの速度で3時間流通した。その後、28℃にし、吸着1と同様に表2に示すガスを流通させ、t5、t95の測定を行ない、qを算出した。それらの結果を表3に示した。この吸着を吸着2とする。
【0033】
さらに、吸着2の測定後のMFI型ゼオライトを吸着2と同様に120℃の空気処理、臭化メチル吸着を行なった。これを吸着3とし、その結果を表3に示した。
【0034】
さらに、吸着3の測定後のMFI型ゼオライトを吸着2と同様に120℃の空気処理、臭化メチル吸着を行なった。これを吸着4とし、その結果を表3に示した。
【0035】
表1の結果より、MFI型ゼオライトをガス中の臭化メチルの吸着剤として用いた場合に、FAU型ゼオライトよりも低濃度の臭化メチルを吸着できることがわかった。更に、表3の結果より、本吸着剤を臭化メチルを吸着後脱着させることで、繰り返して使用してもその吸着性能は変わらず、何度も使用できることがわかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のMFI型ゼオライトを用いた臭化メチル用吸着剤は、臭化メチルを含むガス中の臭化メチルを選択的に吸着することができ、更にガス中の臭化メチルの吸脱着処理を繰返すことができる。又、本発明の臭化メチル用吸着剤により吸着除去処理をしたガス中には残存する臭化メチルはほとんどない。つまり、本発明は、環境保全上極めて有用なものである。
Claims (3)
- MFI構造を有するゼオライトからなることを特徴とする臭化メチル除去用吸着剤。
- 請求項1に記載の臭化メチル除去用吸着剤を用い、臭化メチルを含むガスから臭化メチルを吸着除去することを特徴とする臭化メチル除去方法。
- 請求項2に記載の臭化メチル除去方法において、臭化メチルを含むガス中の臭化メチルの濃度が全量の1容量%以下であることを特徴とする臭化メチル除去方法。
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JP33574296A JP3627414B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 臭化メチル除去用吸着剤及びそれを用いた除去方法 |
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JPH10165807A JPH10165807A (ja) | 1998-06-23 |
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JP33574296A Expired - Fee Related JP3627414B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 臭化メチル除去用吸着剤及びそれを用いた除去方法 |
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1996
- 1996-12-16 JP JP33574296A patent/JP3627414B2/ja not_active Expired - Fee Related
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