JP3661005B2

JP3661005B2 - ノルマルプロピルブロマイド除去用吸着剤及びそれを用いた除去方法

Info

Publication number: JP3661005B2
Application number: JP33574196A
Authority: JP
Inventors: 渉小林; 修二岡崎; 雅雄中野
Original assignee: Tosoh Corp
Current assignee: Tosoh Corp
Priority date: 1996-12-16
Filing date: 1996-12-16
Publication date: 2005-06-15
Anticipated expiration: 2016-12-16
Also published as: JPH10165806A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノルマルプロピルブロマイドを含むガスからノルマルプロピルブロマイドを吸着除去する吸着剤及びそれを用いた除去方法に関し、特に低濃度のノルマルプロピルブロマイドを除去する吸着剤及びそれを用いた除去方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
これまで洗浄剤として使用されていたフロンは、オゾン層を破壊する物質であるため、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」において規制され、ノルマルプロピルブロマイド（以下「ＮＰＢ」という）がフロンに代る洗浄剤の一つとして使用されている。
【０００３】
ＮＰＢが洗浄剤として使用される場合、ＮＰＢの蒸気が発生するため、この蒸気の大気への排出を削減する技術が必要とされている。
【０００４】
ＮＰＢのような有機物蒸気の排出を削減する技術としては、直接燃焼法、触媒燃焼法、凝縮法、吸着法などが知られているが、回収再生が可能である凝縮法、吸着法が、経済性、資源環境的にもより優れた抑制技術となっている。
【０００５】
しかしながら、凝縮法はガス状のＮＰＢを冷却し液化させる必要があるため、大容量のガスに含まれる微量のＮＰＢの除去には不向きである。
【０００６】
また、ＮＰＢの排出抑制技術には、環境への影響をより小さくすることが重要であり、ＮＰＢが０．５容量％以下という低濃度での排出抑制が行なう必要がある。
【０００７】
従来より、ＮＰＢのようなハロゲン化炭化水素の吸着剤による除去方法としては、活性炭や無機系の吸着剤を用いた方法があるものの、この内、活性炭を用いた方法では活性炭が可燃性であるため、その使用条件に制限があるという課題があった。
【０００８】
一方、ガス流中のハロゲン化炭化水素を回収する方法として、特開昭６３−３１５１２７号公報において、吸着剤に高シリカゼオライトを用いる方法が開示されているが、この方法によると、一旦吸着された物質は、加熱された窒素もしくは空気を流通することにより脱離させられ、回収再利用が可能とされている。この公報によると、麻酔剤であるイソフルランの吸着、回収が可能であるが、ＮＰＢについては記載されておらず、そのＮＰＢに対する吸着能力は不明である。
【０００９】
更に、特開平１−１５５９４６号公報において、ハロゲン化低級炭化水素除去用吸着剤として、ＳｉＯ_２／Ｍ_２Ｏ_３モル比が２０以上のペンタシル型ゼオライトが開示されている。この方法によると、水に含まれるクロロホルムの吸着除去を行なうことが可能であるが、ガス状のハロゲン化炭化水素の吸着については記載されておらず、そのＮＰＢに対する吸着能力は不明であり、更に、ＮＰＢの排出抑制技術に必要とされる０．５容量％以下の低濃度のＮＰＢの吸着に関しては、全く不明である。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に記載した従来の課題等を解決する、すなわち、ガス中のＮＰＢを除去する方法において、ＮＰＢを選択的に吸着し除去する吸着剤及びそれを用いたＮＰＢを除去する方法を提供するものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、ＭＦＩ構造を有するゼオライトを吸着剤として用いることにより、ＮＰＢを選択的に吸着し、更にガス中の低濃度のＮＰＢの吸着除去に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【００１２】
即ち本発明は、ＭＦＩ構造を有するゼオライトからなることを特徴とするノルマルプロピルブロマイド除去用吸着剤及びそれを用いた除去方法に関するものである。
【００１３】
以下、本発明を詳細に説明する。
【００１４】
本発明に用いられるＮＰＢ用吸着剤は、ＭＦＩ構造を有するゼオライトからなる。
【００１５】
一般にゼオライトは、Ｍ_2/nＯ・Ａｌ₂Ｏ₃・ｙＳｉＯ₂・ｚＨ₂Ｏ（式中、ｎは陽イオンＭの原子価、ｙは２以上の数、ｚは０以上の数である）の組成を有する結晶性アルミノシリケ−トであり、天然品及び合成品として多くの種類が知られている。この内、本発明に用いられるゼオライトは、ＭＦＩ構造を持つことが必須である。
【００１６】
ＭＦＩ構造とは、例えば、ＺＥＯＬＩＴＥＳ，１７巻，１４６−１４７頁，１９９６年に記載されているような構造である。
【００１７】
ゼオライトの組成において、ＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃のモル比は特に限定されないが、臭化メチルの吸着効率の面から２０以上であることが好ましく、特に１００以上であることが好ましい。
【００１８】
又、ゼオライトはそのまま用いても良いが、これをＮＨ₄Ｃｌ、ＮＨ₄ＮＯ₃、（ＮＨ₄）₂ＳＯ₄等でイオン交換したＮＨ₄型や、これを焼成あるいは鉱酸等でプロトンにイオン交換し、Ｈ型として用いても差し支えない。更に、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の陽イオンを含んでいても差し支えない。
【００１９】
本発明に係わるＭＦＩ型ゼオライト吸着剤の形状、構造等としては、粉状体、ペレット状体、ハニカム状体等の任意の形状、構造を採用することができる。
【００２０】
又、このＭＦＩ型ゼオライトは、アルミナゾルやシリカゾルや粘土等のバインダーを加えて所定の形状に成型したり、水を加えてスラリー状とし、ハニカム等の形状のアルミナ、マグネシア、コージエライト等の耐火性基材上に塗布して用いることもできる。
【００２１】
ＮＰＢを吸着除去する際の処理速度、温度等は特に限定されないが、除去効率の面などから空間速度１００〜５０００００ｈｒ^-1、線速０．０１〜１００ｃｍ・ｓｅｃ^-1、温度０〜１００℃であることが好ましい。
【００２２】
本発明のＮＰＢ除去用吸着剤及びそれを用いたＮＰＢの除去方法の対象となるガスとしては、ＮＰＢを含むガスであれば特に制限されるものでないが、ＮＰＢを含むガス中のＮＰＢの濃度が全量の０．５容量％以下であることが好ましい。
【００２３】
本発明の用途としては、例えば、ＮＰＢを用いた洗浄工程でのリーク成分の吸着回収又はその除去に用いることができ、特に低濃度のＮＰＢをも除去できるため極めて有用である。
【００２４】
【実施例】
以下、実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、評価は以下に示した方法によって実施した。
【００２５】
（１）ＮＰＢ濃度
ＮＰＢ濃度はＮＰＢの蒸気圧を調整して分圧を制御し、その分圧から求めた。
（２）ゼオライトの構造
使用したゼオライトの構造はＸ線回折法により確認した。
【００２６】
（３）ゼオライトの組成
使用したゼオライトの組成はＩＣＰ（パーキンエルマー社製、型式：ｏｐｔｉｍａ３０００）により測定した。
【００２７】
実施例１
ＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃モル比が２１００のＭＦＩ型ゼオライト（東ソー株式会社製、商品名「ＨＳＺ−８９０−ＨＯＤ」）を０．３ｇとり、３５０℃で２時間加熱排気処理を行なった後、２８℃でＮＰＢの吸着量の測定を行なった。ＮＰＢの濃度を０．０１％、０．０２％、０．０３％、０．０７％、０．１５％及び０．５０％とし、前記した方法によりＮＰＢの濃度を求め、得られた結果としてＮＰＢの吸着量を表１に示した。
【００２８】
【表１】

【００２９】
比較例１
ＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃モル比が４６０のＦＡＵ型ゼオライト（東ソー株式会社製、商品名「ＨＳＺ−３９０−ＨＵＤ」）をＭＦＩ型ゼオライトの代りに用いた以外は、実施例１と同様に行ない、得られた結果としてＮＰＢの吸着量を表１に示した。
【００３０】
表１の結果より、ＭＦＩ型ゼオライトをガス中のＮＰＢの吸着剤として用いた場合に、ＦＡＵ型ゼオライトよりも低濃度のＮＰＢを吸着できることがわかった。
【００３１】
【発明の効果】
本発明のＭＦＩ型ゼオライトを用いたＮＰＢ吸着剤は、ＮＰＢを含むガス中のＮＰＢを選択的に吸着できる。更に、ガス中のＮＰＢの吸脱着処理を繰返すことができることは明らかである。つまり本発明は、環境保全上極めて有用なものである。

Claims

ＭＦＩ構造を有するゼオライトからなることを特徴とするノルマルプロピルブロマイド除去用吸着剤。
請求項１に記載のノルマルプロピルブロマイド除去用吸着剤を用い、ノルマルプロピルブロマイドを含むガスからノルマルプロピルブロマイドを吸着除去することを特徴とするノルマルプロピルブロマイド除去方法。
請求項２に記載のノルマルプロピルブロマイド除去方法において、ノルマルプロピルブロマイドを含むガス中のノルマルプロピルブロマイドの濃度が全量の０．５容量％以下であることを特徴とするノルマルプロピルブロマイド除去方法。