JP3626676B2 - マイクロ波移相器及びフェーズドアレーアンテナ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
の発明は、マイクロ波帯のフェーズドアレーアンテナなどのビーム形成用の回路として用いられ、外部からの制御信号により通過位相量を切り替えることが出来るマイクロ波移相器に関し、特に回路面積を小さくできるマイクロ波移相器に関するものである。
また、このマイクロ波移相器を用いて構成したフェーズドアレーアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は例えば、特開昭61−163701号公報に記載された従来の反射形マイクロ波移相器を示す構成図である。
図において、1a,1bは半導体スイッチング素子で、この例ではPINダイオードである。2a,2bはPINダイオード1a,1bとそれぞれ接続された高インピーダンス線路、3a,3bは高インピーダンス線路2a,2bとそれぞれ接続された低インピーダンス線路、4は低インピーダンス線路3a,3bと、RF信号が通過する主線路との間に挿入されたブランチラインカプラで、90°の電気長を有する線路4個をリング状に接続したハイブリッド回路である。5はPINダイオードのカソード端子を直流的に接地するための1/4波長の電気長を有する高インピーダンス線路などのチョーク回路、9はRF入力端子、10はRF出力端子、12a,12bはPINダイオードのアノード端子を高周波的に接地するための1/4波長の電気長を有する先端開放スタブ、13a,13bはPINダイオードに制御電圧を印加するための制御電圧端子である。
なお、上記の各線路は、マイクロストリップ線路で形成されており、この明細書で線路とは、マイクロストリップ線路で構成されている線路をいうものとする。その他の部分も導体で形成される部分は、プリント基板上に形成されている。
【0003】
a,b,c及びdは、ブランチラインカプラ4の4個の端子で、ブランチラインカプラの機能としては、aから入力された信号は−90°の位相差を与えられてbへ出力される。また、aから入力された信号は−180°の位相差を与えられてdへ出力される。cはアイソレーション端子である。なお、この明細書では、aを第1端子,bを第2端子,cを第3端子,dを第4端子と呼ぶことにする。
また、ブランチラインカプラ4、高インピーダンス線路2a,2b、低インピーダンス線路3a,3bで構成される回路eを反射形移相回路と呼ぶことにする。反射形移相回路eとしては、第1端子aが信号入力部として用いられ、第2端子bが信号出力部として用いられ、RF入力端子9を通り信号入力部(第1端子a)から入力されたマイクロ波の位相は、所定の位相量だけ移相されて信号出力部(第2端子b)から出力され、RF出力端子10から外部へ出力される。
すなわち、図8に示されるようなマイクロ波移相器においては、RF周波数の信号は、RF入力端子9から入力され、制御電圧端子13a,13bに印加された制御電圧により設定される通過位相だけ変化させられた後、RF出力端子10から出力される。
【0004】
次に動作について説明する。図7にPINダイオードの等価回路を示す。図9の13a,13bに示す制御電圧端子から印加される制御電圧により、PINダイオードのインピーダンスが変化する。ON状態( 順方向へバイアスされ、ダイオードに電流が流れた状態)では、図7に示す等価回路でダイオードの真性抵抗成分Rjは低抵抗となり、回路素子としては、直列インダクタLp,直列抵抗Rs,Rjとからなる直列回路に寄生容量Cpが並列に接続された回路として振舞う。また、OFF状態( ダイオードが逆バイアス或いは電圧が印加されず電流が流れない状態) では、Rjは高抵抗となり、PINダイオードは、Lp,Rs,ダイオードのOFF時容量Cjの直列回路に、Cpが並列に接続された回路となる。なお、図7中A,Bは端子である。
【0005】
そこで、図9の2a,2b及び3a,3bで示す線路により、ON/OFF時の反射位相の変化量を所望の値に設定し、ブランチラインカプラを介して入出力端子と接続することで、入出力端子間の通過位相量を、振幅を変化させることなく切り換えることができる。つまり、高インピーダンス及び低インピーダンス線路2a,2b及び3a,3bのインピーダンスの値を所定の値に設定することによって、スイッチング素子がOFFからONになった時の入出力端子間の移相量を決定することができる。
なお、高インピーダンス及び低インピーダンス線路2a,2b及び3a,3bは、いずれか一方で、必要な反射位相の変化量が得られれば、一方の線路のみ設ければよい。
このような構成によれば、入出力端子間にはDCカット用キャパシタが挿入されておらず、ブランチラインカプラのみが挿入されている構成となるため、低損失なマイクロ波移相器が実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のマイクロ波移相器では、低損失化が容易な反面、PINダイオードのアノード端子を高周波的に接地するための先端開放スタブの外形が大きく、回路面積が大きくなると言う問題があった。また、ダイオードのパッケージなどによる寄生容量(図7のCpに相当) による特性変動を抑制できないという問題もあった。そのため、このような移相器を用いてフェーズドアレーアンテナを組み立てた場合、素子アンテナ間の移相量誤差のばらつきが生じ、製造歩留まりの劣化や、アンテナ全体の特性が劣化するという問題があった。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、移相回路を接地する半導体スイッチング素子は、アノード側を移相回路に接続し、カソード側を地板に接続し、ON/OFFを制御する制御電圧は主線路側から供給することにより、小形のマイクロ波移相器を実現するとともに、PINダイオード等の半導体スイッチング素子の製造ばらつきによる特性変動を抑制し、良好な特性を有するマイクロ波移相器を得ることを目的とする。また、このマイクロ波移相器を用いることにより、素子アンテナ間の移相量誤差のばらつき発生が防止され、製造歩留まりが向上し、アンテナ全体の特性を向上させたフェーズドアレーアンテナを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るマイクロ波移相器は、接地されることにより動作し、信号入力部から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、上記直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、
信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、
上記半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されるようにプリント配線パターンで形成し、上記PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを上記他方の電極に接続したものである。
【0008】
また、この発明に係るマイクロ波移相器は、接地されることにより動作し、信号入力部 から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、上記直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、上記容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、
上記半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されると共に、互いに食い込んだ歯の部分がPINダイオードで隠れないようにプリント配線パターンで形成し、互いに食い込んだ歯の部分に沿って電極切断用のターゲットマークを設け、PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを上記他方の電極に接続したものである。
【0009】
また、この発明に係るフェーズドアレーアンテナは、各アンテナ素子への給電位相を変える移相器に、請求項1または請求項2記載のマイクロ波移相器を用いたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
参考例1.
図1は、この発明の基礎となる参考例1によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図1において、5は長さlの高インピーダンス線路からなるバイアス線路、6は制御電圧端子、7はバイアス線路5に接続されたDCカット用キャパシタである。
なお、5,6及び7により半導体スイッチング素子制御回路が構成されている。8a,8bは入力端子及び出力端子に接続されたDCカット用キャパシタを示す。
この参考例1によるマイクロ波移相器においても、基本的な動作は図9に示した従来のマイクロ波移相器と同様であり、制御電圧端子6から印加された制御電圧により入出力端子間の通過位相が変化する。
ただし、図1に示す移相器ではPINダイオードは逆向きに取り付けられ、制御電圧は主線路側から供給されるため、制御電圧の極性が図9に示す従来の移相器の極性とは逆となる。
【0011】
参考例1によるマイクロ波移相器では、従来例における先端開放スタブ12の代わりに、スルーホールなどを用いた直流的な接地方法を用いることができるため、小形化が可能であるという利点がある。
一方で、主線路にDCカット用のキャパシタ8と、制御電圧印加用に通常は取付点でのインピーダンスが開放となるよう1/4波長の長さに設定されたバイアス線路5とが取りつけられており、これらの特性により、通過損失の増加、入力端子及び出力端子9,10から反射損失の劣化を生ずる可能性がある。
参考例1では、バイアス線路5の長さlを主線路に設けたDCカット用キャパシタ8の容量に合わせて最適化することにより、移相器全体のインピーダンス整合を行い、通過損失の低減及び入出力端子からみた反射損失の改善を行っている。
インピーダンス整合を行うことにより、主線路側からバイアスを印加する方式で小形化を行った場合でも、低損失なマイクロ波移相器を実現可能である。
【0012】
すなわち、入出力部直流阻止用キャパシタ8a,8bの容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンスのバイアス線路5の長さlとは、上記キャパシタ及びスイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力部及び出力部に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されている。
なお、半導体スイッチング素子制御回路は、信号入力側(端子a側)に設けてもよい。
また、参考例1では、PINダイオード1a,1bのアノードが高インピーダンス回路2a,2bに接続され、カソードが接地されているが、カソードを高インピーダンス回路に接続し、アノードを接地し、制御電圧の極性を逆にすることでもよい。この点は後述する実施の形態2〜6においても同様である。
【0013】
参考例2.
図2は、この発明の参考例2によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
参考例2によるマイクロ波移相器では、図1に示す参考例1のマイクロ波移相器において、低インピーダンス線路2a,2bが十分低インピーダンスとならないことにより、所望の移相量が得られないという問題点を解決したもので、参考例1の低インピーダンス線路2と比較しインピーダンスの高い線路を並列に設けることにより、2の線路よりも低インピーダンスとすることができ、所望の移相量を得ることを可能としたものである。
図1の低インピーダンス線路2では高周波電流はパターンの縁を流れるため、パターン幅を広げ、多くの実装面積を必要とする割にはインピーダンスを低くすることができない。これに対して、図2の並列接続された並列接続線路11a,11bは、それぞれの線路の縁を高周波電流が流れるため、等価的なインピーダンスをより低くすることができる。
【0014】
参考例3.
図3は、この発明の参考例3によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
参考例3は、PINダイオード1a,1bの接地用のGNDパターンを共通化したものである。16は共通のGNDパターンである。これにより、ダイオードが接地されたスルーホールの寄生インダクタンスの違いによる特性劣化を抑制することを可能にするとともに、実装面積を削減することが可能となる。
なお、特性劣化とは、移相量の誤差及びダイオードのON/OFF時の振幅の変動である。
【0015】
実施の形態1.
図4は、この発明の実施の形態1によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図4において、14a,14bはPINダイオードのパッケージの下面に設けられた櫛形電極構造によるギャップキャパシタである。ギャップキャパシタ14a,14bの一方の電極は高インピーダンス線路2a,2bに接続され、他方の電極は接地されている。
実施の形態1によるマイクロ波移相器では、PINダイオードのパッケージによる寄生キャパシタンス( 図7のCpに相当)の影響による特性劣化を抑制したもので、ギャップキャパシタ14a,14bの電極部分をPINダイオードの特性に応じて適宜切断し、キャパシタンスを調整することにより、図8のCtに示すPINダイオードの端子間のキャパシタンスを調整し、ダイオードの寄生キャパシタンスCpの製造ばらつきによる特性劣化を吸収することが可能である。
【0016】
なお、ギャップキャパシタ14a,14bは、2個の櫛形電極を互いに食い込ませて容量を持たせたもので、櫛形電極はプリントパターンで形成されている。図中Cは接地用スルーホールを示している。
PINダイオード1a,1bは、高インピーダンス線路2a,2b側の櫛形電極にアノードが半田付けされ、接地側の櫛形電極にカソードが半田付けされ、ギャップキャパシタ14a,14bとそれぞれ固定される。
図4で、PINダイオード1a,1bを点線で書いてあるのは、櫛形電極との配置の関係を分かりやすくするためである。
また、図4は、例えば4,8,5,7,2,3,14等はプリント基板のパターンを図示している。この点は、後述の図5も同様である。
【0017】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図4,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図5において、15a,15bはPINダイオード1a,1bのパッケージの下面に設けられた櫛形電極構造によるギャップキャパシタの横に、互いに食い込んだ歯の部分に沿うように設けられたターゲットマークである。
実施の形態2のマイクロ波移相器でも、ギャップキャパシタ14a,14bの電極部分をPINダイオードの特性に応じて適宜切断し、キャパシタンスを調整することにより、
PINダイオードの端子間のキャパシタンスを調整し、ダイオードの寄生キャパシタンスCpの製造ばらつきによる特性劣化を吸収することが可能である。
実施の形態2によれば、ターゲットマークにより切断個所を定量的に決定することができ、最適な特性をばらつきなく実現することが可能となる。
【0018】
ターゲットマークを設ける点以外で、実施の形態2が、実施の形態1と異なる点は、櫛形電極を大きくして、2個の電極の櫛の歯を互いに食い込ませた部分が、PINダイオードのパッケージの外側に出るようにした点である。
従って、PINダイオードをギャップキャパシタに半田付けした後調整することができる。
実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と異なり、個々の特性の測定を行いながら、リアルタイムに調整し、特性の最適化を行うことができる。
したがって、自動試験・調整機などによるトリミングも可能である。
なお、実施の形態1では、先にどのように櫛の歯を残せばよいかを確認し、予め加工しておくことになる。
【0019】
参考例4.
図6は、この発明の参考例4によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述の参考例1〜3あるいは実施の形態1、2は、反射形移相回路に適用したものであるが、参考例4はローデッドライン形移相回路に適用したものである。20は、90°の電気長を有する線路1個及びθの電気長を有する線路2個がπ形に接続されたπ形回路である。
f,g,h及びiは、π形回路20の4個の端子で、この明細書では、fを第1端子,gを第2端子,hを第3端子,iを第4端子と呼ぶことにする。
また、π形回路20、高インピーダンス線路2a,2b、低インピーダンス線路3a,3bで構成される回路kをローデッドライン形移相回路と呼ぶことにする。
【0020】
この参考例4も、PINダイオード1a,1bのON/OFFを制御することにより所望の位相量だけ移相させた出力信号が得られる。
また、参考例1と同様に、バイアス線路5の長さlを主線路に設けたDCカット用キャパシタ8の容量に合わせて最適化することにより、移相器全体のインピーダンス整合を行い、通過損失の低減及び入出力端子からみた反射損失の改善を行っている。
インピーダンス整合を行うことにより、主線路側からバイアスを印加する方式で小形化を行った場合でも、低損失なマイクロ波移相器を実現可能である。
また、低インピーダンス線路3a,3bを、並列接続された平行2線路で構成することにより、参考例2と同様の効果を奏する。
また、PINダイオード1a,1bの接地用パターンを共通化することにより、参考例3と同様の効果を奏する。
また、実施の形態1及び実施の形態2と同様に、櫛形電極構造のキャパシタを設けることにより、実施の形態1及び2と同様の効果を奏する。
【0021】
実施の形態3.
実施の形態3は、図示しないが各アンテナ素子への給電位相を変える移相器に、実施の形態1あるいは実施の形態2のマイクロ波移相器を用いてフェーズドアレーアンテナを構成したものである。
実施の形態3によれば、素子アンテナ間の移相量誤差のばらつきを抑制したフェーズドアレーアンテナを得ることができる。
また、フェーズドアレーアンテナを安価に製造することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した通り、この発明によるマイクロ波移相器は、接地されることにより動作し、信号入力部から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されるようにプリント配線パターンで形成し、PINダイオードのアノード又はカソードを一方の電極に接続し、カソード又はアノードを他方の電極に接続したことを特徴とするので、ギャップキャパシタの電極部分を適宜切断することによってPINダイオードの端子間のキャパシタンスを調整することが可能であり、ダイオードの寄生キャパシタンスの製造ばらつきによる特性劣化を吸収することができる。
【0023】
また、この発明によるマイクロ波移相器は、半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されると共に、互いに食い込んだ歯の部分がPINダイオードで隠れないようにプリント配線パターンで形成し、互いに食い込んだ歯の部分に沿って電極切断用のターゲットマークを設け、PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを他方の電極に接続したことを特徴とするので、ターゲットマークにより切断個所を定量的に決定することができ、最適な特性をばらつきなく実現することが可能となる。
【0024】
また、この発明のマイクロ波移相器を、フェイズドアレイアンテナの各素子アンテナへの給電位相を変える移相器に用いたので、各素子アンテナ間の移相量誤差のばらつきを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図2】参考例2によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図3】参考例3によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図4】実施の形態1によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図5】実施の形態2によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図6】参考例4によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図7】PINダイオードの等価回路を示す説明図である。
【図8】PINダイオードの端子間の寄生キャパシタンスを説明する説明図である。
【図9】従来のマイクロ波移相器を示す構成図である。
【符号の説明】
1a,1b PINダイオード、2a,2b 高インピーダンス線路、
3a,3b 低インピーダンス線路、4 ブランチラインカプラ、
5 バイアス線路、6 制御電圧端子、7 キャパシタ、
8a,8b キャパシタ、9 RF入力端子、10 RF出力端子、
11a,11b 並列接続線路、14a,14b ギャップキャパシタ、
15a,15b ターゲットマーク、a 第1端子、b 第2端子、
c 第3端子、d 第4端子、e 反射形移相回路、
k ローデッドライン形移相回路。
【発明の属する技術分野】
の発明は、マイクロ波帯のフェーズドアレーアンテナなどのビーム形成用の回路として用いられ、外部からの制御信号により通過位相量を切り替えることが出来るマイクロ波移相器に関し、特に回路面積を小さくできるマイクロ波移相器に関するものである。
また、このマイクロ波移相器を用いて構成したフェーズドアレーアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は例えば、特開昭61−163701号公報に記載された従来の反射形マイクロ波移相器を示す構成図である。
図において、1a,1bは半導体スイッチング素子で、この例ではPINダイオードである。2a,2bはPINダイオード1a,1bとそれぞれ接続された高インピーダンス線路、3a,3bは高インピーダンス線路2a,2bとそれぞれ接続された低インピーダンス線路、4は低インピーダンス線路3a,3bと、RF信号が通過する主線路との間に挿入されたブランチラインカプラで、90°の電気長を有する線路4個をリング状に接続したハイブリッド回路である。5はPINダイオードのカソード端子を直流的に接地するための1/4波長の電気長を有する高インピーダンス線路などのチョーク回路、9はRF入力端子、10はRF出力端子、12a,12bはPINダイオードのアノード端子を高周波的に接地するための1/4波長の電気長を有する先端開放スタブ、13a,13bはPINダイオードに制御電圧を印加するための制御電圧端子である。
なお、上記の各線路は、マイクロストリップ線路で形成されており、この明細書で線路とは、マイクロストリップ線路で構成されている線路をいうものとする。その他の部分も導体で形成される部分は、プリント基板上に形成されている。
【0003】
a,b,c及びdは、ブランチラインカプラ4の4個の端子で、ブランチラインカプラの機能としては、aから入力された信号は−90°の位相差を与えられてbへ出力される。また、aから入力された信号は−180°の位相差を与えられてdへ出力される。cはアイソレーション端子である。なお、この明細書では、aを第1端子,bを第2端子,cを第3端子,dを第4端子と呼ぶことにする。
また、ブランチラインカプラ4、高インピーダンス線路2a,2b、低インピーダンス線路3a,3bで構成される回路eを反射形移相回路と呼ぶことにする。反射形移相回路eとしては、第1端子aが信号入力部として用いられ、第2端子bが信号出力部として用いられ、RF入力端子9を通り信号入力部(第1端子a)から入力されたマイクロ波の位相は、所定の位相量だけ移相されて信号出力部(第2端子b)から出力され、RF出力端子10から外部へ出力される。
すなわち、図8に示されるようなマイクロ波移相器においては、RF周波数の信号は、RF入力端子9から入力され、制御電圧端子13a,13bに印加された制御電圧により設定される通過位相だけ変化させられた後、RF出力端子10から出力される。
【0004】
次に動作について説明する。図7にPINダイオードの等価回路を示す。図9の13a,13bに示す制御電圧端子から印加される制御電圧により、PINダイオードのインピーダンスが変化する。ON状態( 順方向へバイアスされ、ダイオードに電流が流れた状態)では、図7に示す等価回路でダイオードの真性抵抗成分Rjは低抵抗となり、回路素子としては、直列インダクタLp,直列抵抗Rs,Rjとからなる直列回路に寄生容量Cpが並列に接続された回路として振舞う。また、OFF状態( ダイオードが逆バイアス或いは電圧が印加されず電流が流れない状態) では、Rjは高抵抗となり、PINダイオードは、Lp,Rs,ダイオードのOFF時容量Cjの直列回路に、Cpが並列に接続された回路となる。なお、図7中A,Bは端子である。
【0005】
そこで、図9の2a,2b及び3a,3bで示す線路により、ON/OFF時の反射位相の変化量を所望の値に設定し、ブランチラインカプラを介して入出力端子と接続することで、入出力端子間の通過位相量を、振幅を変化させることなく切り換えることができる。つまり、高インピーダンス及び低インピーダンス線路2a,2b及び3a,3bのインピーダンスの値を所定の値に設定することによって、スイッチング素子がOFFからONになった時の入出力端子間の移相量を決定することができる。
なお、高インピーダンス及び低インピーダンス線路2a,2b及び3a,3bは、いずれか一方で、必要な反射位相の変化量が得られれば、一方の線路のみ設ければよい。
このような構成によれば、入出力端子間にはDCカット用キャパシタが挿入されておらず、ブランチラインカプラのみが挿入されている構成となるため、低損失なマイクロ波移相器が実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のマイクロ波移相器では、低損失化が容易な反面、PINダイオードのアノード端子を高周波的に接地するための先端開放スタブの外形が大きく、回路面積が大きくなると言う問題があった。また、ダイオードのパッケージなどによる寄生容量(図7のCpに相当) による特性変動を抑制できないという問題もあった。そのため、このような移相器を用いてフェーズドアレーアンテナを組み立てた場合、素子アンテナ間の移相量誤差のばらつきが生じ、製造歩留まりの劣化や、アンテナ全体の特性が劣化するという問題があった。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、移相回路を接地する半導体スイッチング素子は、アノード側を移相回路に接続し、カソード側を地板に接続し、ON/OFFを制御する制御電圧は主線路側から供給することにより、小形のマイクロ波移相器を実現するとともに、PINダイオード等の半導体スイッチング素子の製造ばらつきによる特性変動を抑制し、良好な特性を有するマイクロ波移相器を得ることを目的とする。また、このマイクロ波移相器を用いることにより、素子アンテナ間の移相量誤差のばらつき発生が防止され、製造歩留まりが向上し、アンテナ全体の特性を向上させたフェーズドアレーアンテナを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るマイクロ波移相器は、接地されることにより動作し、信号入力部から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、上記直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、
信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、
上記半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されるようにプリント配線パターンで形成し、上記PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを上記他方の電極に接続したものである。
【0008】
また、この発明に係るマイクロ波移相器は、接地されることにより動作し、信号入力部 から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、上記直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、上記容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、
上記半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されると共に、互いに食い込んだ歯の部分がPINダイオードで隠れないようにプリント配線パターンで形成し、互いに食い込んだ歯の部分に沿って電極切断用のターゲットマークを設け、PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを上記他方の電極に接続したものである。
【0009】
また、この発明に係るフェーズドアレーアンテナは、各アンテナ素子への給電位相を変える移相器に、請求項1または請求項2記載のマイクロ波移相器を用いたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
参考例1.
図1は、この発明の基礎となる参考例1によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図1において、5は長さlの高インピーダンス線路からなるバイアス線路、6は制御電圧端子、7はバイアス線路5に接続されたDCカット用キャパシタである。
なお、5,6及び7により半導体スイッチング素子制御回路が構成されている。8a,8bは入力端子及び出力端子に接続されたDCカット用キャパシタを示す。
この参考例1によるマイクロ波移相器においても、基本的な動作は図9に示した従来のマイクロ波移相器と同様であり、制御電圧端子6から印加された制御電圧により入出力端子間の通過位相が変化する。
ただし、図1に示す移相器ではPINダイオードは逆向きに取り付けられ、制御電圧は主線路側から供給されるため、制御電圧の極性が図9に示す従来の移相器の極性とは逆となる。
【0011】
参考例1によるマイクロ波移相器では、従来例における先端開放スタブ12の代わりに、スルーホールなどを用いた直流的な接地方法を用いることができるため、小形化が可能であるという利点がある。
一方で、主線路にDCカット用のキャパシタ8と、制御電圧印加用に通常は取付点でのインピーダンスが開放となるよう1/4波長の長さに設定されたバイアス線路5とが取りつけられており、これらの特性により、通過損失の増加、入力端子及び出力端子9,10から反射損失の劣化を生ずる可能性がある。
参考例1では、バイアス線路5の長さlを主線路に設けたDCカット用キャパシタ8の容量に合わせて最適化することにより、移相器全体のインピーダンス整合を行い、通過損失の低減及び入出力端子からみた反射損失の改善を行っている。
インピーダンス整合を行うことにより、主線路側からバイアスを印加する方式で小形化を行った場合でも、低損失なマイクロ波移相器を実現可能である。
【0012】
すなわち、入出力部直流阻止用キャパシタ8a,8bの容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンスのバイアス線路5の長さlとは、上記キャパシタ及びスイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力部及び出力部に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されている。
なお、半導体スイッチング素子制御回路は、信号入力側(端子a側)に設けてもよい。
また、参考例1では、PINダイオード1a,1bのアノードが高インピーダンス回路2a,2bに接続され、カソードが接地されているが、カソードを高インピーダンス回路に接続し、アノードを接地し、制御電圧の極性を逆にすることでもよい。この点は後述する実施の形態2〜6においても同様である。
【0013】
参考例2.
図2は、この発明の参考例2によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
参考例2によるマイクロ波移相器では、図1に示す参考例1のマイクロ波移相器において、低インピーダンス線路2a,2bが十分低インピーダンスとならないことにより、所望の移相量が得られないという問題点を解決したもので、参考例1の低インピーダンス線路2と比較しインピーダンスの高い線路を並列に設けることにより、2の線路よりも低インピーダンスとすることができ、所望の移相量を得ることを可能としたものである。
図1の低インピーダンス線路2では高周波電流はパターンの縁を流れるため、パターン幅を広げ、多くの実装面積を必要とする割にはインピーダンスを低くすることができない。これに対して、図2の並列接続された並列接続線路11a,11bは、それぞれの線路の縁を高周波電流が流れるため、等価的なインピーダンスをより低くすることができる。
【0014】
参考例3.
図3は、この発明の参考例3によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
参考例3は、PINダイオード1a,1bの接地用のGNDパターンを共通化したものである。16は共通のGNDパターンである。これにより、ダイオードが接地されたスルーホールの寄生インダクタンスの違いによる特性劣化を抑制することを可能にするとともに、実装面積を削減することが可能となる。
なお、特性劣化とは、移相量の誤差及びダイオードのON/OFF時の振幅の変動である。
【0015】
実施の形態1.
図4は、この発明の実施の形態1によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図4において、14a,14bはPINダイオードのパッケージの下面に設けられた櫛形電極構造によるギャップキャパシタである。ギャップキャパシタ14a,14bの一方の電極は高インピーダンス線路2a,2bに接続され、他方の電極は接地されている。
実施の形態1によるマイクロ波移相器では、PINダイオードのパッケージによる寄生キャパシタンス( 図7のCpに相当)の影響による特性劣化を抑制したもので、ギャップキャパシタ14a,14bの電極部分をPINダイオードの特性に応じて適宜切断し、キャパシタンスを調整することにより、図8のCtに示すPINダイオードの端子間のキャパシタンスを調整し、ダイオードの寄生キャパシタンスCpの製造ばらつきによる特性劣化を吸収することが可能である。
【0016】
なお、ギャップキャパシタ14a,14bは、2個の櫛形電極を互いに食い込ませて容量を持たせたもので、櫛形電極はプリントパターンで形成されている。図中Cは接地用スルーホールを示している。
PINダイオード1a,1bは、高インピーダンス線路2a,2b側の櫛形電極にアノードが半田付けされ、接地側の櫛形電極にカソードが半田付けされ、ギャップキャパシタ14a,14bとそれぞれ固定される。
図4で、PINダイオード1a,1bを点線で書いてあるのは、櫛形電極との配置の関係を分かりやすくするためである。
また、図4は、例えば4,8,5,7,2,3,14等はプリント基板のパターンを図示している。この点は、後述の図5も同様である。
【0017】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図4,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図5において、15a,15bはPINダイオード1a,1bのパッケージの下面に設けられた櫛形電極構造によるギャップキャパシタの横に、互いに食い込んだ歯の部分に沿うように設けられたターゲットマークである。
実施の形態2のマイクロ波移相器でも、ギャップキャパシタ14a,14bの電極部分をPINダイオードの特性に応じて適宜切断し、キャパシタンスを調整することにより、
PINダイオードの端子間のキャパシタンスを調整し、ダイオードの寄生キャパシタンスCpの製造ばらつきによる特性劣化を吸収することが可能である。
実施の形態2によれば、ターゲットマークにより切断個所を定量的に決定することができ、最適な特性をばらつきなく実現することが可能となる。
【0018】
ターゲットマークを設ける点以外で、実施の形態2が、実施の形態1と異なる点は、櫛形電極を大きくして、2個の電極の櫛の歯を互いに食い込ませた部分が、PINダイオードのパッケージの外側に出るようにした点である。
従って、PINダイオードをギャップキャパシタに半田付けした後調整することができる。
実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と異なり、個々の特性の測定を行いながら、リアルタイムに調整し、特性の最適化を行うことができる。
したがって、自動試験・調整機などによるトリミングも可能である。
なお、実施の形態1では、先にどのように櫛の歯を残せばよいかを確認し、予め加工しておくことになる。
【0019】
参考例4.
図6は、この発明の参考例4によるマイクロ波移相器を示す構成図であり、図1,図9と同一部分又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述の参考例1〜3あるいは実施の形態1、2は、反射形移相回路に適用したものであるが、参考例4はローデッドライン形移相回路に適用したものである。20は、90°の電気長を有する線路1個及びθの電気長を有する線路2個がπ形に接続されたπ形回路である。
f,g,h及びiは、π形回路20の4個の端子で、この明細書では、fを第1端子,gを第2端子,hを第3端子,iを第4端子と呼ぶことにする。
また、π形回路20、高インピーダンス線路2a,2b、低インピーダンス線路3a,3bで構成される回路kをローデッドライン形移相回路と呼ぶことにする。
【0020】
この参考例4も、PINダイオード1a,1bのON/OFFを制御することにより所望の位相量だけ移相させた出力信号が得られる。
また、参考例1と同様に、バイアス線路5の長さlを主線路に設けたDCカット用キャパシタ8の容量に合わせて最適化することにより、移相器全体のインピーダンス整合を行い、通過損失の低減及び入出力端子からみた反射損失の改善を行っている。
インピーダンス整合を行うことにより、主線路側からバイアスを印加する方式で小形化を行った場合でも、低損失なマイクロ波移相器を実現可能である。
また、低インピーダンス線路3a,3bを、並列接続された平行2線路で構成することにより、参考例2と同様の効果を奏する。
また、PINダイオード1a,1bの接地用パターンを共通化することにより、参考例3と同様の効果を奏する。
また、実施の形態1及び実施の形態2と同様に、櫛形電極構造のキャパシタを設けることにより、実施の形態1及び2と同様の効果を奏する。
【0021】
実施の形態3.
実施の形態3は、図示しないが各アンテナ素子への給電位相を変える移相器に、実施の形態1あるいは実施の形態2のマイクロ波移相器を用いてフェーズドアレーアンテナを構成したものである。
実施の形態3によれば、素子アンテナ間の移相量誤差のばらつきを抑制したフェーズドアレーアンテナを得ることができる。
また、フェーズドアレーアンテナを安価に製造することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した通り、この発明によるマイクロ波移相器は、接地されることにより動作し、信号入力部から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されるようにプリント配線パターンで形成し、PINダイオードのアノード又はカソードを一方の電極に接続し、カソード又はアノードを他方の電極に接続したことを特徴とするので、ギャップキャパシタの電極部分を適宜切断することによってPINダイオードの端子間のキャパシタンスを調整することが可能であり、ダイオードの寄生キャパシタンスの製造ばらつきによる特性劣化を吸収することができる。
【0023】
また、この発明によるマイクロ波移相器は、半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されると共に、互いに食い込んだ歯の部分がPINダイオードで隠れないようにプリント配線パターンで形成し、互いに食い込んだ歯の部分に沿って電極切断用のターゲットマークを設け、PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを他方の電極に接続したことを特徴とするので、ターゲットマークにより切断個所を定量的に決定することができ、最適な特性をばらつきなく実現することが可能となる。
【0024】
また、この発明のマイクロ波移相器を、フェイズドアレイアンテナの各素子アンテナへの給電位相を変える移相器に用いたので、各素子アンテナ間の移相量誤差のばらつきを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図2】参考例2によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図3】参考例3によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図4】実施の形態1によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図5】実施の形態2によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図6】参考例4によるマイクロ波移相器を示す構成図である。
【図7】PINダイオードの等価回路を示す説明図である。
【図8】PINダイオードの端子間の寄生キャパシタンスを説明する説明図である。
【図9】従来のマイクロ波移相器を示す構成図である。
【符号の説明】
1a,1b PINダイオード、2a,2b 高インピーダンス線路、
3a,3b 低インピーダンス線路、4 ブランチラインカプラ、
5 バイアス線路、6 制御電圧端子、7 キャパシタ、
8a,8b キャパシタ、9 RF入力端子、10 RF出力端子、
11a,11b 並列接続線路、14a,14b ギャップキャパシタ、
15a,15b ターゲットマーク、a 第1端子、b 第2端子、
c 第3端子、d 第4端子、e 反射形移相回路、
k ローデッドライン形移相回路。
Claims (3)
- 接地されることにより動作し、信号入力部から入力されたマイクロ波の位相を所定の位
相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、上記移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、上記半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、上記移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、上記直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、上記信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、上記半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、上記容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、
上記半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されるようにプリント配線パターンで形成し、上記PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを上記他方の電極に接続したことを特徴とするマイクロ波移相器。 - 接地されることにより動作し、信号入力部から入力されたマイクロ波の位相を所定の位相量だけ移相させて信号出力部から出力すると共に、直流に対しては導体と見なせるように回路が構成された移相回路と、この移相回路にアノード又はカソードが接続され、カソード又はアノードが地板に接続された半導体スイッチング素子と、高インピーダンス線路と直流阻止用容量性回路素子との直列接続体と、この直列接続体の接続点に設けられた制御電圧入力端子とで構成されると共に、上記移相回路の信号入力部又は信号出力部と地板との間に設けられ、上記半導体スイッチング素子に直流電圧を印加して、ON/OFFを制御する半導体スイッチング素子制御回路と、上記移相回路の信号入力部及び信号出力部に接続され、入力されるマイクロ波及び出力されるマイクロ波は通過させ、上記直流の流出は阻止する信号入出力部直流阻止用容量性回路素子とを備え、上記信号入出力部直流阻止用容量性回路素子の容量値と、上記半導体スイッチング素子制御回路の高インピーダンス線路の長さとは、上記容量性回路素子及び半導体スイッチング素子制御回路を含む移相器全体のインピーダンスが、信号入力側及び信号出力側に接続される回路のインピーダンスと整合するように設定されているマイクロ波移相器において、
上記半導体スイッチング素子に、PINダイオードを用い、2個の櫛形電極の歯の部分を互いに食い込ませて容量を持たせたキャパシタを、一方の電極が移相回路のインピーダンス回路に接続され、他方の電極が地板に接続されると共に、互いに食い込んだ歯の部分が上記PINダイオードで隠れないようにプリント配線パターンで形成し、
上記互いに食い込んだ歯の部分に沿って電極切断用のターゲットマークを設け、
上記PINダイオードのアノード又はカソードを上記一方の電極に接続し、カソード又はアノードを上記他方の電極に接続したことを特徴とするマイクロ波移相器。 - 各アンテナ素子への給電位相を変える移相器に、請求項1または請求項2記載のマイクロ波移相器を用いたことを特徴とするフェーズドアレーアンテナ。
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JP2002164707A (ja) | 2002-06-07 |
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