JPH10256825A - 表面実装型アンテナの共振周波数調整方法、ならびにインピーダンス調整方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面実装型アンテナの共振周波数を調整する
方法、ならびに、共振周波数の調整によりインピーダン
スの不整合が生じた場合に、インピーダンス整合を取る
方法を提供する。 【解決手段】 表面実装型アンテナ１０において、放射
電極２、もしくは第２のグランド電極５をトリミングし
て切り欠き９ａ、９ｂ、９ｃを形成することにより、共
振周波数を調整する。また、共振周波数調整のトリミン
グによってインピーダンスが不整合となった場合、給電
電極４をトリミングしたり、給電電極４の一端に連続し
て金属箔（図示せず）を貼付したりすることにより、イ
ンピーダンス整合を取る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器な
どに用いられる表面実装型アンテナの共振周波数調整方
法、ならびにインピーダンス調整方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のアンテナの共振周波数調整方法と
して、パッチアンテナを例に取り、図９を用いて説明す
る。図９において、７０はλ／４型のパッチアンテナで
あり、誘電体からなる板状の基体７１の一方主面にグラ
ンド電極７２が形成され、他方主面に矩形状の放射電極
７３が形成される。また、放射電極７３の端縁近傍には
複数のショートピン７４が設けられ、放射電極７３の略
中央には給電ピン７５が設けられる。ここで、ショート
ピン７４および給電ピン７５は、基体７１内部に設けら
れる内部配線（図示せず）にそれぞれ接続されており、
放射電極７３は、ショートピン７４および内部配線を介
してグランド電極７２に接続されるとともに、給電ピン
７５および内部配線を介してアンテナ外部の信号源（図
示せず）に接続される。

【０００３】このように構成されるパッチアンテナ７０
においては、給電ピン７５から放射電極７３に高周波信
号が入力されると、放射電極７３はショートピン７４側
を接地端、その反対側を開放端とする長さλ／４の共振
器として共振し、その電力の一部を空間に放射し、アン
テナとして機能する。また、給電ピン７５を接地端と開
放端の間の適切な位置に配置することにより、アンテナ
側とアンテナ外部の信号源側とのインピーダンス整合を
行っている。

【０００４】ここで、パッチアンテナ７０において、所
望の共振周波数が得られない場合には、放射電極７３を
リュータ等でトリミングすることにより、共振周波数の
調整が行われていた。すなわち、放射電極７３のショー
トピン７４側の部分をトリミングすることによって共振
周波数を上げ、また、ショートピン７４と反対側の部分
をトリミングすることによって共振周波数を下げること
が可能であった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パッチ
アンテナ７０においては、上記のように放射電極７３を
トリミングすることにより、共振周波数を所望の値に調
整することはできるが、インピーダンス整合に関して
は、トリミングする前の放射電極７３の形状に合わせて
給電ピン７５を配置することによって整合が取られてい
るために、放射電極７３をトリミングすると整合が取れ
なくなってしまう恐れがあった。また、給電ピン７５は
基体７１の内部の内部配線に接続されているため、放射
電極７３をトリミングした後、給電ピン７５の位置を変
えることによって、再びインピーダンス整合を取ること
は実質的に不可能であった。このように、パッチアンテ
ナ７０においては、共振周波数を調整することにより、
インピーダンス整合が取れなくなった場合、整合を取る
ことが不可能であった。

【０００６】そこで、本発明においては、アンテナの共
振周波数を調整する方法、ならびに、共振周波数の調整
によりインピーダンスの不整合が生じた場合に、インピ
ーダンス整合を取る方法を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明にかかる表面実装型アンテナの共振周波数調
整方法においては、誘電体または磁性体よりなる直方体
状の基体に、放射電極、第１のグランド電極、第２のグ
ランド電極、および給電電極が形成されてなる表面実装
型アンテナであって、前記放射電極は、前記基体の一方
主面から該一方主面に隣接する端面に亘って形成され、
一端が開放端をなし、前記第１のグランド電極は、前記
放射電極の他端に連続して形成され、端部が前記基体の
他方主面に配置され、前記第２のグランド電極は、前記
基体の一方主面から他方主面に亘って形成され、一端が
前記放射電極の開放端に対向し、前記給電電極は、前記
基体の一方主面から他方主面に亘って形成され、前記放
射電極の開放端と前記第２のグランド電極の一端とが、
前記基体の同一面上もしくは互いに隣接する２面上で容
量結合する表面実装型アンテナにおいて、前記放射電極
の開放端、もしくは前記放射電極の前記第１のグランド
電極との接続部近傍、もしくは前記第２のグランド電極
の一端をトリミングすることを特徴とする。

【０００８】また、本発明にかかる表面実装型アンテナ
のインピーダンス調整方法においては、前記給電電極の
一端をトリミングし、もしくは、前記給電電極の一端に
連続して金属部材を添加することにより、前記給電電極
の長さ寸法を変化させることを特徴とする。

【０００９】本発明にかかる表面実装型アンテナの共振
周波数調整方法によれば、表面実装型アンテナの放射電
極もしくは第２のグランド電極をトリミングすることに
より、共振周波数を調整することができる。

【００１０】また、本発明にかかる表面実装型アンテナ
のインピーダンス調整方法によれば、共振周波数調整の
トリミングによって各電極の形状が変化し、インピーダ
ンス整合が取れなくなった後でも、給電電極の長さ寸法
を調整することにより、インピーダンス整合を取ること
ができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の第１の実施例を図面を参
照して説明する。ここでは、表面実装型アンテナの構成
を説明した後、その表面実装型アンテナの共振周波数調
整方法、ならびにインピーダンス調整方法を説明する。

【００１２】図１において、１０は表面実装型アンテナ
であり、セラミック、樹脂等の誘電体からなる直方体状
の基体１、基体１に形成される放射電極２、第１のグラ
ンド電極３、給電電極４および第２のグランド電極５か
らなる。このうち、放射電極２は、基体１の一方主面１
ａに略コ字状をなして設けられるものであり、一端は開
放端７を形成し、他端は基体１の端面１ｃから他方主面
１ｂに連続して設けられた第１のグランド電極３に接続
されている。給電電極４は、第１のグランド電極３に近
接して、基体１の一方主面１ａから端面１ｃを経由し、
他方主面１ｂに連続して形成されている。第２のグラン
ド電極５は、基体１の一方主面１ａから端面１ｃを経由
し、他方主面１ｂに連続して形成され、一端８が放射電
極２の開放端７に対向して配置されている。そして、給
電電極４には高周波信号源６が接続されている。

【００１３】表面実装型アンテナ１０の電気的等価回路
を図２に示す。図２において、等価回路２０は、インダ
クタ１１、抵抗１２、コンデンサ１３、１４、１５、１
６で構成される。インダクタ１１、抵抗１２、コンデン
サ１３、１４は互いに並列に接続されており、各一端は
接地され、各他端はコンデンサ１５、１６を直列に介し
て接地されている。また、コンデンサ１５と１６の接続
点には高周波信号源６が接続されている。このうち、イ
ンダクタ１１は放射電極２の自己インダクタンス、コン
デンサ１３は放射電極２の開放端７と第１のグランド電
極３との間に発生する容量、コンデンサ１４は放射電極
２の開放端２ａと第２のグランド電極５との間に発生す
る容量、コンデンサ１５は放射電極２の開放端７と給電
電極４との間に発生する容量、コンデンサ１６は給電電
極４と第１のグランド電極３および第２のグランド電極
５との間に発生する容量である。また、抵抗１２は表面
実装型アンテナ１０の放射抵抗である。

【００１４】ここで、主としてインダクタ１１、抵抗１
２およびコンデンサ１３、１４により共振回路が構成さ
れている。コンデンサ１４はコンデンサ１３より容量が
大きく、この共振回路の容量成分を増加させ、かつ安定
化させる働きをしている。そして、高周波信号源６から
コンデンサ１５を介して共振回路に信号が入力される
と、入力された信号のエネルギーは共振回路内で共振
し、その一部が空中に放射され、アンテナとして機能す
る。また、コンデンサ１５はエネルギーを共振回路に供
給する入り口としての機能を有すると同時に、コンデン
サ１６と共に外部回路との整合を取る機能も有してい
る。そして、表面実装型アンテナ１０の共振周波数は、
インダクタ１１によるインダクタンス成分、およびコン
デンサ１４による容量成分によって決定される。

【００１５】次に、表面実装型アンテナ１０の共振周波
数調整方法を説明する。

【００１６】まず、表面実装型アンテナ１０の共振周波
数が所望の値より低い場合は、リュータまたはレーザー
トリミング法を用いて、放射電極２の開放端７をトリミ
ングして切り欠き９ａを形成し、もしくは、第２のグラ
ンド電極５の一端８をトリミングして切り欠き９ｂを形
成する。これにより、放射電極２と第２のグランド電極
５との間に発生する容量、すなわち、等価回路２０のコ
ンデンサ１４による容量成分が小さくなり、表面実装型
アンテナ１０の共振周波数は高くなる。

【００１７】一方、表面実装型アンテナ１０の共振周波
数が所望の値より高い場合は、放射電極２の第１のグラ
ンド電極３との接続部近傍をトリミングして切り欠き９
ｃを形成する。これにより、放射電極２の自己インダク
タンス、すなわち、等価回路２０のインダクタ１１によ
るインダクタンス成分が大きくなり、表面実装型アンテ
ナ１０の共振周波数は低くなる。

【００１８】ここで、表面実装型アンテナ１０において
は、上記のように、共振周波数の調整のために、放射電
極２をトリミングすることにより、これらの電極の形状
が変わり、その結果、インピーダンス整合が取れなくな
る場合がある。このような場合、図３に示すように、給
電電極４の一端の点線部分９ｄをトリミングして長さ寸
法を小さくしたり、図４に示すように、給電電極４の一
端に連続して金属部材、ここでは金属箔９ｅを貼付する
ことで給電電極４の長さ寸法を大きくしたりすることに
より、インピーダンス整合を取ることが可能である。

【００１９】次に、本発明にかかる第２の実施例を図５
を用いて説明する。

【００２０】図５において、３０は表面実装型アンテナ
であり、放射電極２ａの開放端７ａは基体１の端面１ｃ
上に形成され、第２のグランド電極５ａの一端８ａも同
じく端面１ｃ上に形成されている。その他の構成は第１
の実施例と同じであり、等価回路も図２と同じであり、
第１の実施例と同一もしくは相当する部分には同一の符
号を付し、等価回路および動作の説明は省略する。

【００２１】このように構成される表面実装型アンテナ
３０においても、放射電極２ａもしくは第２のグランド
電極５ａをトリミングすることにより、共振周波数を調
整することができる。また、これらの電極のトリミング
によりインピーダンス整合が取れなくなった場合には、
とくに図示しないが、第１の実施例と同様に、給電電極
４をトリミングしたり、給電電極４に連続して金属箔等
の金属部材を貼付したりすることにより、給電電極４の
長さ寸法を調整することで、インピーダンス整合を取る
ことができる。

【００２２】次に、本発明にかかる第３の実施例を図６
を用いて説明する。

【００２３】図６において、４０は表面実装型アンテナ
であり、放射電極２ｂの開放端７ｂは基体１の一方主面
１ａ上に形成され、第２のグランド電極５ｂの一端８ｂ
は基体１の一方主面１ａに隣接する端面１ｃ上に形成さ
れている。その他の構成および等価回路は第１の実施例
と同じであり、第１の実施例と同一もしくは相当する部
分には同一の符号を付し、等価回路および動作の説明は
省略する。

【００２４】このように構成される表面実装型アンテナ
４０においても、放射電極２ｂもしくは第２のグランド
電極５ｂをトリミングすることにより、共振周波数を調
整することができる。また、これらの電極のトリミング
によってインピーダンス整合が取れなくなった場合に
は、第１の実施例と同様に、給電電極４をトリミングし
たり、給電電極４に連続して金属箔等の金属部材を貼付
したりすることにより、給電電極４の長さ寸法を調整す
ることで、インピーダンス整合を取ることができる。

【００２５】次に、本発明にかかる第４の実施例を図７
を用いて説明する。

【００２６】図７において、５０は表面実装型アンテナ
であり、第１のグランド電極３ｃと第２のグランド電極
５ｃとは、基体１の端面１ｃ上において互いに連続して
一体に形成される。また、放射電極２ｃの開放端７ｃと
第２のグランド電極５ｃの一端８ｃとは、基体１の一方
主面１ａ上で対向して配置されている。また、給電電極
４ｃは、第１のグランド電極３ｃに隣接し、かつ、放射
電極２ｃと第１のグランド電極３ｃとの接続部を介し
て、放射電極２ｃの開放端７ｃの反対側に形成されてい
る。その他の構成および等価回路は第１の実施例と同じ
であり、同一もしくは相当する部分には同一の符号を付
し、等価回路および動作の説明は省略する。

【００２７】このように構成される表面実装型アンテナ
５０においても、放射電極２ｃもしくは第２のグランド
電極５ｃをトリミングすることにより、共振周波数を調
整することができる。また、これらの電極のトリミング
によってインピーダンス整合が取れなくなった場合に
は、第１の実施例と同様に、給電電極４ｃをトリミング
したり、給電電極４ｃに連続して金属箔等の金属部材を
貼付したりすることにより、給電電極４ｃの長さ寸法を
調整することで、インピーダンス整合を取ることができ
る。

【００２８】次に、本発明にかかる第５の実施例を図８
を用いて説明する。

【００２９】図８において、６０は表面実装型アンテナ
であり、放射電極２ｄは、基体１の一方主面１ａから端
面１ｄを経由して再び一方主面１ａに戻り、一方主面１
ａ上において開放端７ｄを形成している。この開放端７
ｄは、第２のグランド電極５の一端８と対向して配置さ
れている。その他の構成および等価回路は第１の実施例
と同じであり、同一もしくは相当する部分には同一の符
号を付し、等価回路および動作の説明は省略する。

【００３０】このように構成される表面実装型アンテナ
６０においても、放射電極２ｄもしくは第２のグランド
電極５をトリミングすることにより、共振周波数を調整
することができる。また、これらの電極のトリミングに
よってインピーダンス整合が取れなくなった場合には、
第１の実施例と同様に、給電電極４をトリミングした
り、給電電極４に連続して金属箔等の金属部材を貼付し
たりすることにより、給電電極４の長さ寸法を調整する
ことで、インピーダンス整合を取ることができる。

【００３１】なお、上記各実施例においては、放射電極
がコ字状をなす場合について説明したが、放射電極がＬ
字状やミアンダ状などの別の形状の場合にも、本発明を
適用することができる。

【００３２】また、上記各実施例においては、誘電体か
らなる基体を用いる場合について説明したが、磁性体か
らなる基体を用いる場合にも、本発明を適用することが
できる。

【００３３】さらに、上記各実施例においては、給電電
極の長さ寸法を大きくするために、給電電極に連続して
貼付する金属部材として、金属箔を用いる場合について
説明したが、その他の金属部材を用いてもよく、例えば
金属ペーストを塗布してもよい。

【００３４】

【発明の効果】本発明の表面実装型アンテナの共振周波
数調整方法によれば、表面実装型アンテナの放射電極も
しくは第２のグランド電極をトリミングすることによ
り、共振周波数を調整することができる。

【００３５】また、本発明にかかる表面実装型アンテナ
のインピーダンス調整方法によれば、共振周波数調整の
トリミングによって各電極の形状が変化し、インピーダ
ンス整合が取れなくなった場合にも、給電電極の長さ寸
法を調整することにより、インピーダンス整合を取るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例にかかる表面実装型アン
テナの共振周波数調整方法を示す斜視図である。

【図２】図１の表面実装型アンテナの等価回路を示す回
路図である。

【図３】図１の表面実装型アンテナの共振周波数調整方
法、およびインピーダンス調整方法を示す斜視図であ
る。

【図４】図１の表面実装型アンテナの共振周波数調整方
法、およびインピーダンス調整方法を示す斜視図であ
る。

【図５】本発明の第２の実施例にかかる表面実装型アン
テナを示す斜視図である。

【図６】本発明の第３の実施例にかかる表面実装型アン
テナを示す斜視図である。

【図７】本発明の第４の実施例にかかる表面実装型アン
テナを示す斜視図である。

【図８】本発明の第５の実施例にかかる表面実装型アン
テナを示す斜視図である。

【図９】従来のパッチアンテナを示す斜視図である。

【符号の説明】

１…基体 １ａ…一方主面 １ｂ…他方主面 １ｃ、１ｄ…端面 ２、２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ…放射電極 ３、３ｃ…第１のグランド電極 ４、４ｃ…給電電極 ５、５ａ、５ｂ、５ｃ…第２のグランド電極 ６…高周波信号源 ９ａ、９ｂ、９ｃ…切り欠き ９ｅ…金属箔 １０、３０、４０、５０、６０…表面実装型アンテナ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 誘電体または磁性体よりなる直方体状の
   基体に、放射電極、第１のグランド電極、第２のグラン
   ド電極、および給電電極が形成されてなる表面実装型ア
   ンテナであって、 前記放射電極は、前記基体の一方主面から該一方主面に
   隣接する端面に亘って形成され、一端が開放端をなし、 前記第１のグランド電極は、前記放射電極の他端に連続
   して形成され、端部が前記基体の他方主面に配置され、 前記第２のグランド電極は、前記基体の一方主面から他
   方主面に亘って形成され、一端が前記放射電極の開放端
   に対向し、 前記給電電極は、前記基体の一方主面から他方主面に亘
   って形成され、 前記放射電極の開放端と前記第２のグランド電極の一端
   とが、前記基体の同一面上もしくは互いに隣接する２面
   上で容量結合する表面実装型アンテナにおいて、 前記放射電極の開放端、もしくは前記放射電極の前記第
   １のグランド電極との接続部近傍、もしくは前記第２の
   グランド電極の一端をトリミングすることを特徴とする
   表面実装型アンテナの共振周波数調整方法。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の表面実装型アンテナに
   おいて、前記給電電極の一端をトリミングし、もしく
   は、前記給電電極の一端に連続して金属部材を添加する
   ことにより、前記給電電極の長さ寸法を変化させること
   を特徴とする表面実装型アンテナのインピーダンス調整
   方法。