JP3626119B2 - 現像装置およびそれを備える画像形成装置 - Google Patents

現像装置およびそれを備える画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像剤を用いて像担持体上に形成される静電潜像を現像する現像装置およびそれを備える画像形成装置に関し、特に、電位分布が一定の進行方向を持った進行波状に時間的に変化する電界(以下、進行波電界とする)を用いて現像剤を搬送するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザプリンタ等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置に用いられる現像装置として、感光体ドラム等の像担持体に、現像スリーブ等の現像剤担持体を接触させずに現像を行う方式の現像装置が注目されている。そのような現像装置として、たとえば、パウダークラウド方式、ジャンピング現像方式、あるいは進行波電界を用いる方式の現像装置が提案されている。
【0003】
進行波電界を用いる現像装置として、たとえば、特開昭59−181371号公報(1984年10月15日公開)、特開昭59−189371号公報(1984年10月26日公開)の現像装置が提案されている。
【0004】
上記2つの公報に記載された現像装置は、いずれも、互いに位相の異なった交番電圧を発生する電源と、板状の現像剤搬送部材上に所定間隔にて配列されている複数の電極とを備え、各電極に交番電圧を印加して得られる進行波電界により、現像剤を感光体ドラムに供給するものである。
【0005】
ところが、上記従来技術においては、現像剤搬送部材が帯電したり、現像剤搬送部材上に現像剤が固着する場合がある。現像剤搬送部材が帯電した場合、進行波電界が乱されて現像剤の搬送状態に悪影響を与えたり、感光体ドラムへの現像過程において現像電界が変化し、現像される画像濃度が変化することがある。また、現像剤搬送部材上に現像剤が固着した場合、現像剤の搬送ムラが生じ、現像される画像に濃度ムラが発生することがある。
【0006】
このような問題を解決するために、本発明者らは特願2000−283087号において、現像剤搬送部材を覆うように設けられたループ状のベルト部材と、そのベルト部材の内周面に接触するように配置された駆動ローラとを備え、駆動ローラを回転してベルト部材を移動することにより、現像剤搬送部材において現像剤を搬送する面の除電や、残留現像剤の除去を行う現像装置を出願している。
【0007】
上記出願の現像装置によれば、現像剤搬送部材の帯電や、濃度ムラによる画像品位の劣化を抑えることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現像剤搬送部材とベルト部材とが不均一な状態で接触していると、ベルト部材の表面に形成される進行波電界が不均一になり、現像剤を安定して搬送できなくなる場合がある。このように現像剤を安定して搬送できなくなると、現像された画像に濃度ムラが発生してしまう。したがって、現像剤搬送部材とベルト部材とは、密着に近い状態で均一に接触させる必要がある。
【0009】
しかしながら、現像剤搬送部材とベルト部材とを密着に近い状態で均一に接触させると、現像剤搬送部材とベルト部材との間の摩擦力により、ベルト部材の回転に負荷がかかってしまう。
【0010】
すなわち、上記出願の現像装置においては、そのような摩擦力による回転負荷に打ち勝つように、駆動ローラによりベルト部材を回転することが必要となる。そのためには、以下に説明する3通りの方法が考えられる。
【0011】
第1の方法は、ベルト部材の張力を高めることにより、駆動力を上げる方法である。しかしながら、ベルト部材の張力を高めると、かえって現像剤搬送部材とベルト部材間との間の摩擦力による回転負荷が大きくなってしまうという問題が生じる。
【0012】
第2の方法は、ベルト部材の張力を緩めることにより、現像剤搬送部材とベルト部材との摩擦による回転負荷自体を落とす方法である。しかしながら、ベルト部材の張力を緩めると、現像剤搬送部材とベルト部材との間にわずかな隙間が生じ、現像剤搬送部材に形成された進行波電界によりベルト部材が振動し、不快な騒音が発生するという問題が生じる。
【0013】
第3の方法は、駆動ローラとベルト部材との接触面積が大きくなるように、駆動ローラを大きくする方法である。しかしながら、駆動ローラを大きくすると、現像装置全体の大型化、コストアップを招くという問題が生じる。
【0014】
すなわち、上記第1〜第3の方法のいずれにおいても、現像剤搬送部材とベルト部材とを良好に接触させつつ、駆動ローラによりベルト部材を回転させるための条件設定が非常に困難であるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、静粛性が高く、小型化およびコストダウンが可能な現像装置およびそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、一定の進行方向を持った進行波状に電位分布が変化する電界を用いて現像剤を像担持体に向けて搬送する現像剤搬送手段と、上記現像剤搬送手段の上記像担持体に対向する表面を覆うように設けられるベルト部材と、上記ベルト部材に接触して上記ベルト部材を上記現像剤搬送手段の周囲において回転させる駆動手段とを備えている現像装置において、上記駆動手段との間に上記ベルト部材を挟持するように設けられる駆動補助手段を備えていることを特徴としている。
【0017】
すなわち、本発明の現像装置は、現像剤搬送手段により、一定の進行方向を持った進行波状に電位分布が変化する電界(進行波電界)を用いて現像剤を像担持体に向けて搬送する。そして、本発明の現像装置においては、現像剤と接触して現像剤搬送手段の表面が帯電したり、現像剤搬送手段上に現像剤が固着したりすることがある。このように現像剤搬送手段が帯電等すると、現像剤の搬送が不安定となったり、静電潜像を現像して得られる画像に濃度ムラが生じたりする場合がある。
【0018】
そこで、本発明の現像装置では、現像剤搬送手段の像担持体に対向する表面を覆うように設けられるベルト部材と、ベルト部材に接触してベルト部材を現像剤搬送手段の周囲において回転させる駆動手段とを備えている。
【0019】
駆動手段によりベルト部材を回転させることで、ベルト部材における、未帯電の面、あるいは現像剤が固着していない面を像担持体に対向させることができる。これにより、安定して現像剤を搬送することができるとともに、濃度ムラのない画像を現像することができる。
【0020】
また、現像剤搬送手段とベルト部材とが不均一に接触している場合、ベルト部材を経由して現像剤搬送手段からベルト部材の表面に現れる進行波電界が不均一となり、現像剤を安定して搬送できなくなる場合がある。しかしながら、現像剤搬送手段とベルト部材とを均一な状態で密着させると、現像剤搬送手段とベルト部材との間の摩擦力により、ベルト部材の回転に負荷がかかってしまう。
【0021】
そこで、本発明の現像装置では、特に、駆動手段との間にベルト部材を挟持するように設けられる駆動補助手段を備えている。
【0022】
すなわち、ベルト部材は、駆動手段と駆動補助手段との間に挟持されている。したがって、駆動手段とベルト部材との接触圧が増し、現像剤搬送手段とベルト部材との間の摩擦力による回転負荷に打ち勝つようにベルト部材を回転させることができる。
【0023】
また、駆動手段とベルト部材との接触圧を増すことにより、駆動力が高められているので、駆動手段は、ある程度ベルト部材の回転負荷があってもベルト部材を回転させることができる。したがって、回転負荷を落とすためにベルト部材の張力を下げることを必要としないので、ベルト部材の振動により発生する不快な騒音を防止し、静粛性を向上することができる。
【0024】
さらに、駆動手段の駆動力を高めるためには、駆動手段と駆動補助手段とがベルト部材を挟持する力を高めればよく、駆動手段を大型化して駆動手段とベルト部材との接触面積を増す必要はない。したがって、小さな駆動手段でも十分な駆動力が得ることができるため、現像装置を小型化できるとともに、現像装置のコストダウンを実現することができる。
【0025】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段は、上記ベルト部材の現像剤を搬送する面と反対側の面に接触するように設けられていることを特徴としている。
【0026】
すなわち、ベルト部材の現像剤を搬送する面は、現像剤が付着して汚れる場合がある。このように汚れたベルト部材の表面に駆動手段が接触する場合、ベルト部材と駆動手段との間の摩擦抵抗が、ベルト部材の表面が現像剤で汚れていない場合に比べて下がっているため、駆動手段の駆動力が弱まる可能性がある。特に長期の使用ではベルト部材の汚れが蓄積することにより、駆動手段のベルト部材に対する駆動力の大幅な低下が発生し、ベルト部材の回転に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
そこで、本発明では、特に、駆動手段は、ベルト部材の現像剤を搬送する面と反対側の面に接触するように設けられている。
【0028】
すなわち、ベルト部材の現像剤を搬送する面と反対側の面には現像剤が付着しないので、ベルト部材と駆動手段との間の摩擦抵抗を、現像装置を使用しはじめた時のままで維持することができる。
【0029】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、駆動手段の駆動力の低下を防ぎ、長期の使用においてもベルト部材を安定して回転させることができる。
【0030】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段と、上記駆動補助手段とは、異なる周速度で上記ベルト部材に接触して回転していることを特徴としている。
【0031】
上記構成によれば、駆動手段と駆動補助手段とを異なる周速度にて回転させることにより、駆動手段がベルト部材を送り出す速度と、駆動補助手段がベルト部材を送り出す速度との間に差が生じる。
【0032】
そして、この速度差を打ち消すようにベルト部材は変形しようとする。これにより、ベルト部材と駆動手段との接触圧、あるいはベルト部材と駆動補助手段との接触圧のいずれかが高まる。
【0033】
したがって、駆動手段の駆動力、あるいは駆動補助手段の駆動力が増加し、ベルト部材を現像剤搬送手段に対して、より均一な状態で密着させることができる。
【0034】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定した現像剤搬送を実現することができるとともに、安定した濃度で画像を現像することができる。
【0035】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動補助手段は、上記駆動手段よりも大きな周速度にて上記ベルト部材に接触して回転していることを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、駆動手段がベルト部材における現像剤搬送面に対して裏側の面を送り出す速度よりも、駆動補助手段がベルト部材の現像剤搬送面を送り出す速度が大きくなる。
【0037】
すなわち、ベルト部材の現像剤搬送面側の変形量が、搬送面の裏面の変形量よりも大きくなる。したがって、ベルト部材の現像剤搬送面側に張力が与えられるので、ベルト部材と現像剤搬送手段とがより均一な状態で接触するとともに、ベルト部材と駆動手段との接触圧も増加する。
【0038】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、安定して現像剤を搬送することができるとともに、ベルト駆動の静粛性を向上することができ、安定した濃度で画像を現像することができる。
【0039】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材と上記駆動手段との摩擦係数は、上記ベルト部材と上記駆動補助手段との摩擦係数よりも大きいことを特徴としている。
【0040】
すなわち、駆動補助手段がベルト部材の現像剤搬送面側に配置されるときは、現像剤の付着状態により、駆動補助手段がベルト部材に与える駆動力が変動する。そのような場合において、駆動補助手段とベルト部材との摩擦力が強い設定では、ベルト駆動力は大きく変動し、安定したベルト駆動が困難になる場合がある。
【0041】
そこで、本発明では、特に、ベルト部材と駆動手段との摩擦係数は、ベルト部材と駆動補助手段との摩擦係数よりも大きいように設定している。
【0042】
すなわち、ベルト部材表面の現像剤付着状態が、駆動補助手段によるベルト部材の駆動に与える影響が低減されている。
【0043】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を駆動することができるとともに、安定して現像剤を搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができる。
【0044】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段の上記ベルト部材に接する部位は、弾性部材により形成されていることを特徴としている。
【0045】
上記構成によれば、駆動手段とベルト部材との接触性が向上し、より安定したベルト駆動力を得ることができる。
【0046】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を駆動することができるとともに、安定して現像剤を搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができる。
【0047】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動補助手段の上記ベルト部材に接する部位は、弾性部材により形成されていることを特徴としている。
【0048】
上記構成によれば、駆動補助手段とベルト部材との接触性が向上し、より安定したベルト駆動力を得ることができる。
【0049】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を駆動することができるとともに、安定して現像剤を搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができる。
【0050】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段と、上記駆動補助手段とは、上記ベルト部材に接触して回転する円柱体である一方、上記駆動手段の半径は、上記駆動補助手段の半径よりも大きく、上記駆動補助手段の上記ベルト部材に接する部位の弾性部材は、上記駆動手段の上記ベルト部材に接する部位の弾性部材よりも柔らかいことを特徴としている。
【0051】
すなわち、駆動補助手段の表面が、駆動手段の表面よりも硬い部材で被覆されている場合、駆動手段と駆動補助手段とに挟持される部位において、ベルト部材は駆動手段の方へ押し込まれる。しかも、駆動手段が円柱体であって、その半径が円柱体である駆動補助手段の半径よりも大きい場合、駆動補助手段がベルト部材を駆動手段の方へ押し込む量が大きくなり、ベルト部材が上記の部位において折れ曲がってしまう。
【0052】
このように折れ曲がると、ベルト部材にしわが発生し、現像剤搬送に影響を与える場合がある。
【0053】
そこで、本発明では、特に、駆動補助手段のベルト部材に接する部位の弾性部材を、駆動手段のベルト部材に接する部位の弾性部材よりも柔らかい部材としている。
【0054】
すなわち、ベルト部材は、駆動補助手段と駆動手段とに挟持される部位において、駆動補助手段の方へ押し込まれる。しかしながら、駆動手段の半径は駆動補助手段の半径よりも大きいので、ベルト部材が押し込まれる量は折れ曲がるほど大きくはならない。
【0055】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、ベルト部材にしわが発生することを防止し、安定して現像剤を搬送することができる。
【0056】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段および/または上記駆動補助手段の表面は、導電性を有する部材により形成されていることを特徴としている。
【0057】
すなわち、ベルト部材は、現像剤搬送手段にて発生した進行波電界をその表面に伝える必要があり、ある程度の高い抵抗を有する材料で構成される。そのため、ベルト部材上を搬送されていく現像剤、現像剤搬送手段、駆動手段、あるいは駆動補助手段との接触により、ベルト部材がチャージアップすることがしばしば起こる。
【0058】
このようにベルト部材がチャージアップした場合、現像剤の搬送や画像の現像を良好に行えなくなるので、ベルト部材の除電を行う必要がある。
【0059】
そこで、本発明では、特に、駆動手段および/または駆動補助手段の表面を、導電性を有する部材により形成している。
【0060】
すなわち、駆動手段と駆動補助手段とのうち少なくとも一方の表面は導電性を有する。したがって、ベルト部材に帯電した電荷を駆動手段あるいは駆動補助手段に逃がすことにより、ベルト部材の除電を行うことができる。
【0061】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、ベルト部材の除電を行うことができ、より安定して現像剤を搬送し、安定した濃度で画像を現像することができる。さらに、ベルト部材の除電を行うための特別な構成を新たに設ける必要も無いので、現像装置をコンパクトにすることができるとともに、安価に提供することができる。
【0062】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段および/または上記駆動補助手段に、上記ベルト部材と逆極性の電圧を印加することが可能であることを特徴としている。
【0063】
上記構成によれば、駆動手段と駆動補助手段とのうち少なくとも一方に、ベルト部材と逆極性の電圧を付与することができる。
【0064】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より効率的にベルト部材の除電を行うことができる。
【0065】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記駆動手段および/または上記駆動補助手段に、交番電圧を印加することが可能であることを特徴としている。
【0066】
すなわち、ベルト部材は、現像剤搬送手段にて発生させた進行波電界をベルト部材表面に伝達する必要があるので、比較的高い抵抗値を有する部材で形成されている。したがって、ベルト部材と駆動手段、あるいはベルト部材と駆動補助手段との接触抵抗が大きくなり、一定電位の電圧を印加するだけでは、ベルト部材表面の電荷を効果的に除電することが困難な場合がある。
【0067】
そこで、本発明では、特に、駆動手段および/または駆動補助手段に、交番電圧を印加することが可能なように設定している。
【0068】
すなわち、ベルト部材と駆動手段との接触部位と、ベルト部材と駆動補助手段との接触部位とのうち、少なくとも一方に交番電圧を印加することが可能となる。この交番電圧と、ベルト部材上の進行波電界とを同期させることにより、ベルト部材と駆動手段、あるいはベルト部材と駆動補助手段との接触抵抗のうち少なくとも一方のインピーダンスを低下させることができる。
【0069】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より効果的にベルト部材の除電を行うことができる。
【0070】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材における上記駆動手段と上記駆動補助手段との間に挟持される部分の長さは、上記ベルト部材の幅より短いことを特徴としている。
【0071】
すなわち、ベルト部材の除電を効果的に行うために、駆動手段や駆動補助手段の抵抗は低いことが好ましい。しかしながら、駆動手段の抵抗値と駆動補助手段の抵抗値とがともに低い場合に、駆動手段と駆動補助手段とが接触すると、電荷のリークが発生する場合がある。このような場合、ベルト部材と、駆動手段あるいは駆動補助手段との間の電界が弱まり、除電効果が低減されてしまうことがある。
【0072】
そこで、本発明では、特に、ベルト部材における駆動手段と駆動補助手段との間に挟持される部分の長さを、ベルト部材の幅より短くなるように構成している。
【0073】
すなわち、駆動手段と駆動補助手段とが接触せず、駆動手段と駆動補助手段との間に電荷のリークは発生しない。
【0074】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、駆動手段あるいは駆動補助手段と、ベルト部材との間に形成される電界は弱まることがなく、より効果的にベルト部材の除電を行うことができる。
【0075】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、ベルト部材の体積抵抗率は、1×10〜1×1016Ω・cmの範囲であることを特徴としている。
【0076】
すなわち、ベルト部材の体積抵抗率があまり大きすぎると、十分にベルト部材を除電することができない場合がある。一方、ベルト部材の体積抵抗率が低すぎる場合は、現像剤搬送手段にて発生させた進行波電界が、ベルト部材上に十分現れず、安定して現像剤を搬送することができない場合がある。
【0077】
本発明者らの鋭意研究の結果、ベルト部材の体積抵抗率が上記範囲にあれば、ベルト部材上にて安定して現像剤を搬送することができるとともに、ベルト部材を十分に除電することができることが分かった。
【0078】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、安定して現像剤を搬送することができ、ベルト部材を十分に除電することができる。
【0079】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材上の現像剤を除去するクリーニング手段を備えていることを特徴としている。
【0080】
上記したように、ベルト部材の表面には現像剤が付着する。付着した現像剤を放置すると、ベルト部材に現像剤が固着する場合がある。これにより、ベルト部材が安定して現像剤を搬送することができなくなったり、適切な濃度の画像を現像することができなくなる場合がある。
【0081】
そこで、本発明では、特に、ベルト部材上の現像剤を除去するクリーニング手段を備えている。
【0082】
すなわち、クリーニング手段により、ベルト部材上の現像剤は除去される。
【0083】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定して現像剤を搬送することができるとともに、適切な濃度の画像を現像することができる。
【0084】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記クリーニング手段は、上記駆動補助手段に対して、上記ベルト部材の回転方向の上流側に設けられていることを特徴としている。
【0085】
上記したように、ベルト部材の表面は現像剤が付着する。現像剤の付着状態によっては、駆動補助手段によるベルト部材の駆動力に変動が生じる場合がある。
【0086】
そこで、本発明では、特に、クリーニング手段を、駆動補助手段に対して、ベルト部材の回転方向の上流側に設けている。したがって、駆動補助手段は、常に現像剤が除去されたベルト部材の表面に接触する。
【0087】
すなわち、駆動補助手段とベルト部材との接触状態は一定に保たれ、ベルト部材表面の現像剤付着状態に影響を受けることがない。
【0088】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を回転することができるとともに、より効率よく現像剤を搬送することができ、適切な濃度の画像を現像することができる。
【0089】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材に張力を付与するとともに、その張力を調整することができる張力調整手段を備えていることを特徴としている。
【0090】
すなわち、長期の使用においては、ベルト部材に架かる張力によりベルト部材自身が伸びる場合がある。また、製造時のばらつきにより、ベルト部材の周長が現像装置毎に異なる場合がある。
【0091】
このような場合、ベルト部材の駆動力が変化し、ベルト部材と現像剤搬送手段とが均一に接触しなくなるので、現像剤を安定して搬送できなくなったり、ベルト部材が振動して騒音が発生する可能性がある。
【0092】
そこで、本発明では、特に、ベルト部材に張力を付与するとともに、その張力を調整することができる張力調整手段を備えている。
【0093】
すなわち、ベルト部材が伸びた場合でも、張力調整手段によりベルト部材に与える張力を大きくすれば、ベルト部材が伸びる前と同じ張力をベルト部材に付与することができる。また、現像装置毎にベルト部材の周長が異なっている場合でも、張力調整手段により、適切な張力をベルト部材に与えるように調整することができる。
【0094】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、安定してベルト部材を駆動するとともに、より効率よく現像剤を搬送することができ、適切な濃度の画像を現像することができる。
【0095】
また、本発明の現像装置は、上記課題を解決するため、上記構成の現像装置において、上記張力調整手段は、ベルト部材の現像剤搬送面に対して裏側の面に接触していることを特徴としている。
【0096】
上記構成によれば、張力調整手段は、ベルト部材の現像剤搬送面に対して裏側の面に接触している。
【0097】
すなわち、張力調整手段とベルト部材とが接触する部位では、現像剤が付着しない。したがって、張力調整手段は、常に一定の状態でベルト部材に接触し、一定の張力をベルト部材に与える。
【0098】
これにより、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定させてベルト部材を回転させることができる。
【0099】
また、本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するため、上記構成のうちいずれかの現像装置を備えていることを特徴としている。
【0100】
上記の構成によれば、静粛性が高く、かつ小型化およびコストダウンが可能な現像装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【0101】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1ないし図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0102】
図2に示すように、本実施の形態の画像形成装置1は、同図中矢印Aに示す方向に回転可能な円筒状の感光体ドラム(像担持体)2と、帯電装置3と、露光装置4と、現像装置5と、転写装置6と、クリーニング装置7と、除電装置8と、定着装置9とを備えている。なお、帯電装置3と、露光装置4と、現像装置5と、転写装置6と、クリーニング装置7と、除電装置8とは、この順番に従って感光体ドラム2の回転方向に配置されている。
【0103】
感光体ドラム2は、露光装置4により形成される静電潜像を担持するものであり、その外周面には基材層10が形成されており、該基材層10のさらに外周面には薄膜状の光導電層11が形成されている。基材層10は、アルミニウム等の金属により形成されている。光導電層11は、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、有機光半導体(OPC:Organic Photoconductor)等により形成されている。
【0104】
帯電装置3は、感光体ドラム2の表面を一様に所定の電位まで帯電するものである。帯電装置3として、たとえばタングステンワイヤなどの帯電線と、金属製のシールド板と、グリッド板とを備えているコロナ帯電器や、帯電ローラや、帯電ブラシを用いることができる。
【0105】
露光装置4は、帯電装置3によって帯電された感光体ドラム2の表面を、たとえばホストコンピュータからの画像データに基づき、レーザ光等により露光して静電潜像を形成するものである。露光装置4として、たとえば半導体レーザや、発光ダイオードを用いることができる。
【0106】
現像装置5は、感光体ドラム2の表面にトナー(現像剤)Tを供給し、感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像をトナー像として可視像化する。また、現像装置5は本発明の特徴部分であり、その詳細な説明については後述する。
【0107】
転写装置6は、感光体ドラム2の表面に可視像化されたトナー像を、PPC(Plain Paper Copy)用紙等の記録媒体Pに転写するものである。転写装置6として、たとえば、コロナ転写器や、転写ローラや、転写ブラシを用いることができる。
【0108】
クリーニング装置7は、感光体ドラム2の表面に残留したトナーTや紙粉等を除去するものである。クリーニング装置7として、たとえば黄銅板により形成されたブレードを用いることができる。
【0109】
除電装置8は、感光体ドラム2の表面に残留している電位を除去するものである。除電装置8として、たとえば除電ランプを用いることができる。
【0110】
定着装置9は、記録媒体Pに転写されたトナー像を、記録媒体P上に転写するものである。
【0111】
上記構成により、画像形成装置1は、帯電装置3による帯電工程と、露光装置4による露光工程と、現像装置5による現像工程と、転写装置6による転写工程とを経るいわゆる電子写真プロセスにより、記録媒体P上に所望の画像を形成する。
【0112】
なお、図2に示すように、現像装置5に備えられている後述のトナー搬送部材(現像剤搬送手段)15と感光体ドラム2との間には一定の間隔が設けられており、現像装置5は非接触状態で感光体ドラム2上の静電潜像を現像する構成となっている。しかし、感光体ドラム2上の静電潜像を現像するための構成はこの構成に限定されるものではなく、トナー搬送部材15と、感光体ドラム2とを接触させて現像を行う構成であってもよい。
【0113】
次に、上記したように本発明の特徴点である現像装置5について、より詳細に説明する。
【0114】
図1に示すように、現像装置5は、筐体12と、ミキシングパドル13と、トナー供給ローラ14と、トナー搬送部材15と、ベルト部材16と、トナー回収ローラ17と、ベルト駆動ローラ18(駆動手段)と、駆動補助ローラ(駆動補助手段)19とを備えている。
【0115】
筐体12は、トナーTをその内部に収容するものであり、また、必要に応じて現像装置5を構成する各部材を支持するものである。
【0116】
ミキシングパドル13は、筐体12内部において回転し、トナーTとキャリアとを混合する。
【0117】
トナー供給ローラ14は、トナー搬送部材15にトナーTを供給するためのものであり、ベルト部材16の表面に接触し、かつ回動可能に設けられている。トナー供給ローラ14は、たとえばシリコン、ウレタン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Methylene:エチレンープロピレンージエンーメチレン共重合体)であるソリッドゴム、あるいは発泡ゴムにより形成される。
【0118】
また、カーボンブラックやイオン導電剤をトナー供給ローラ14の表面に添加することにより、導電性を付与してもよい。これにより、トナーTを静電吸着してトナー搬送部材15に供給することができる。あるいは、トナー供給ローラ14の前段に、トナー供給ローラ14と同一の材料で形成された薄板状の供給ブレード20を設け、該供給ブレード20により静電吸着されたトナーTを、トナー搬送部材15に供給することも可能である。
【0119】
トナー搬送部材15は、トナーTを後述するベルト部材16上において搬送するための進行波電界を発生する板状体であり、多相交流電源21と、現像バイアス電源22とに接続されている。トナー搬送部材15が進行波電界を発生するための構成については、後述する。
【0120】
また、トナー搬送部材15は、感光体ドラム2(図2)に対向するように、支持部材23を介して筐体12に設けられている。この支持部材23は、トナー搬送部材15を感光体ドラム2に対向した状態で保持するものであり、ABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene :アクリロニトリルブダジエンスチレン)樹脂等により形成することができる。
【0121】
また、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に対向する表面は、感光体ドラム2に向かって膨らむような曲面に形成されている。なお、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に対向する表面の形状は、上記のような曲面に限定されるものではなく、半円弧状の断面を有する曲面であってもよいし、フラットな平面であってもよい。
【0122】
ベルト部材16は、トナー搬送部材15の帯電を防止するとともに、トナー搬送部材15にトナーTが固着することを防止するものであり、トナー搬送部材15の周囲を覆うように配置されるとともに、後述するベルト駆動ローラ18により図1中矢印Bで示すような方向に回転される。
【0123】
なお、ベルト部材16とトナー搬送部材15とが密着するように、ベルト部材16には後述するベルト駆動ローラ18により一定の張力が付与されている。これにより、ベルト部材16の表面にはトナー搬送部材15にて形成される進行波電界が均一に作用する。
【0124】
また、ベルト部材16は、ポリイミド、PET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、PTFE(polytetrafluoroethylene :ポリテトラフルオロエチレン)等の有機絶縁材料、あるいはシリコン、イソプレン、ブタジエン等のゴム材料等を用いることができる。
【0125】
また、ベルト部材16の厚みは、5μm〜200μmの範囲である。好ましくは、10μm〜100μmの範囲である。また、ベルト部材16の体積抵抗率は、1×10Ω・cm〜1×1016Ω・cmの範囲が好ましい。なお、この範囲の体積抵抗率が好ましい理由については、後述する実施例での記載において説明する。
【0126】
トナー回収ローラ17は、感光体ドラム2に形成された静電潜像の現像に寄与しないトナーTを回収して筐体12内部に戻すためのものであり、ベルト部材16の駆動方向下流側においてベルト部材16に接触し、かつ回動可能に設けられている。トナー回収ローラ17としては、上記したトナー供給ローラ14と同様のものを用いることができる。
【0127】
なお、トナー供給ローラ14と、トナー回収ローラ17とは、いずれもベルト部材16と接触しないように設けられてもよいし、回動しないように設けられていてもよい。
【0128】
ベルト駆動ローラ18は、ベルト部材16を駆動し、ベルト部材16の除電や、ベルト部材16上に残留したトナーTを除去するものである。ベルト駆動ローラ18は、ベルト部材16の内周面に接触するように設けられる。また、ベルト駆動ローラ18は、図示しない駆動機構によって所定の周速度にて回動する。
【0129】
また、ベルト駆動ローラ18は、ベルト部材16上におけるトナーTの搬送速度に対して、1/10〜1/100程度の速度にてベルト部材16を駆動することが好ましい。なお、トナーTの搬送速度は、たとえば、赤外線センサを2つ設け、各センサによりトナーTの到達した時間を検知する方法、あるいは、高速度ビデオカメラを用いて計測することが可能である(IS & Ts NIP 15:1999 International Conference on Digital Printing Technologies ,第262 〜265 頁参照)。
【0130】
さらに、ベルト駆動ローラ18は、ステンレス綱(SUS )や鉄等の金属製のローラを用いることができる。さらに、ベルト駆動ローラ18の表面は、たとえばシリコン、ウレタン、EPDMであるソリッドゴム、発泡ゴム、フィルム、あるいはスポンジ等の弾性部材で被覆されている。
【0131】
さらに、上記した材料にカーボンブラックやイオン導電剤を添加することにより、ベルト駆動ローラ18の表面に導電性を付与してもよい。
【0132】
また、ベルト駆動ローラ18は、板状や、角柱状のものであってもよい。
【0133】
駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18がより効率的にベルト部材16を駆動することができるようにするものであり、ベルト部材16を介してベルト駆動ローラ18に当接するように設けられている。すなわち、ベルト部材16は、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19との間に挟持されており、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との接触圧を高めている。
【0134】
上記の接触圧を高めるために、板バネ,コイル状バネ等の、ベルト部材16をベルト駆動ローラ18に向かって付勢する付勢手段(図示せず)を備えることも可能である。
【0135】
また、駆動補助ローラ19は、筐体12に対して回転可能に設けられている。駆動補助ローラ19の回転は、ベルト部材16の回転に従動して行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とギヤ(図示せず)により連結されて行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とプーリー(図示せず)およびベルト(図示せず)により連結されて行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とは別の駆動源により行われるものであってもよい。
【0136】
また、駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18の周速度と異なる周速度にて回転されている。好ましくは、駆動補助ローラ19の周速度は、ベルト駆動ローラ18の周速度より大きい値に設定されている。
【0137】
なお、駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18と同様に、板状や、角柱状のものであってもよい。
【0138】
また、駆動補助ローラ19は、ステンレス綱(SUS )や鉄等の金属製のローラを用いることができる。さらに、駆動補助ローラ19の表面は、ゴム、フィルム、スポンジ等の弾性部材で被覆されている。これらの材料にカーボンブラックやイオン導電剤を添加することにより、駆動補助ローラ19の表面に導電性を付与してもよい。
【0139】
なお、駆動補助ローラ19の表面は、ベルト駆動ローラ18の表面よりも柔らかい部材で被覆されていることが好ましい。この理由については、後述する。
【0140】
さらに、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との摩擦係数をμ1、ベルト部材16と駆動補助ローラ19との摩擦係数をμ2とした場合、μ1と、μ2とは、μ1>μ2を満たすように設定されている。
【0141】
上記構成により、現像装置5は、筐体12内でミキシングパドル13により攪拌されたトナーTを、トナー供給ローラ14によりベルト部材16に供給する。そして、ベルト部材16上に供給されたトナーTを、トナー搬送部材15により発生される進行波電界によりベルト部材16上を移動させ、感光体ドラム2に供給する。
【0142】
次に、トナー搬送部材15において進行波電界を発生するための構成についてより詳細に説明する。
【0143】
図3に示すように、トナー搬送部材15は、3つの層が積層されてなる。すなわち、トナー搬送部材15は、感光体ドラム2(図2)に対向する側に形成される表面保護層24と、現像装置5(図2)の内側に形成される基材層25と、表面保護層24と基材層25との間に形成される絶縁層26とを備えている。
【0144】
表面保護層24と、基材層25とは、いずれも、厚さが25μm程度のポリイミドを用いることができる。
【0145】
また、絶縁層26の内部には、複数の電極27…が、互いに隣接する電極27同士の間隔tが等しくなるように埋設されている。隣接する電極27同士の間隔tは、85μm〜500μm(50dpi〜300dpi)の範囲に設定される。また、電極27…の幅Wは、上記した電極27同士の間隔tの値に応じて、40μm〜250μmの範囲に設定される。
【0146】
また、電極27…は、厚さが18μm程度である銅製の電極を用いることができる。
【0147】
さらに、電極27…は、多相交流電源21と、現像バイアス電源22とに接続されている。なお、ここで用いられている多相交流電源21は、4相の交番電圧を発生するものである。一方、連続する4つの電極27…を1組としてみた場合、各組における4つの電極27…には、それぞれ多相交流電源21から4つの位相の異なる交番電圧が印加されている。
【0148】
すなわち、図4に示すように、連続する4つの電極27…を、電極27a・27b・27c・27dとして表現した場合、電極27a〜27dには、互いに90°位相がシフトした異なる電圧波形を有する交番電圧がそれぞれ印加されている。
【0149】
なお、多相交流電源21は、3相の交番電圧を発生するものであってもよい。この場合、連続する3つの電極27に、互いに120°位相がシフトした異なる交番電圧をそれぞれ印加することにより、進行波電界を形成することも可能である。
【0150】
また、多相交流電源21が発生する交番電圧の電圧波形は、図4に示すような方形波に限られず、正弦波、あるいは台形波であってもよい。また、交番電圧の電圧値は、100V〜3kVの範囲であることが好ましい。また、交番電圧の周波数は、100Hz〜5kHzの範囲であることが好ましい。なお、これらの電圧値と、周波数とは、電極27…の形状・トナーTの搬送速度・トナーTの種類等を考慮して適正な値に設定すればよく、上記した範囲の数値に限定されるものではない。
【0151】
このようにして、トナー搬送部材15に埋設された複数の電極27…に多相交流電源21で発生する交番電圧を印加することにより、電位分布が一定の進行方向を持った進行波状に時間的に変化する電界、すなわち進行波電界が形成されるのである。このように形成された進行波電界により、トナー搬送部材15は、トナーTをベルト部材16(図1)表面において搬送することができる。
【0152】
次に、駆動補助ローラ19の表面が、ベルト駆動ローラ18の表面よりも柔らかい部材で被覆されていることが好ましい理由について説明する。
【0153】
駆動補助ローラ19の表面が、ベルト駆動ローラ18の表面よりも硬い部材で被覆されている場合、図5(b)に示すように、同図中矢印Cで示す、ベルト部材16が回転中に駆動補助ローラ19との接触を開始しはじめる部位において、ベルト部材16はベルト駆動ローラ18の方へ押し込まれてしまう。しかも、ベルト駆動ローラ18の半径は駆動補助ローラ19の半径よりも大きいので、駆動補助ローラ19がベルト部材16をベルト駆動ローラ18の方へ押し込む量が大きくなり、ベルト部材16が上記の部位において折れ曲がってしまう。このように折れ曲がると、ベルト部材16にしわが発生し、トナー搬送に影響を与える場合がある。
【0154】
しかしながら、駆動補助ローラ19の表面が、ベルト駆動ローラ18の表面よりも柔らかい部材で被覆されている場合、図5(a)に示すように、ベルト部材16は、駆動補助ローラ19とベルト駆動ローラ18とに挟持される部位において、駆動補助ローラ19の方へ押し込まれる。しかしながら、ベルト駆動ローラ18の半径は駆動補助ローラ19の半径よりも大きいので、ベルト部材16が押し込まれる量は折れ曲がるほど大きくはならない。すなわち、上記の部位においてベルト部材16が折れ曲がらないので、ベルト部材16にしわが発生することを防止できる。それゆえ、駆動補助ローラ19の表面が、ベルト駆動ローラ18の表面よりも柔らかい部材で被覆することが好ましいのである。
【0155】
このように、本実施の形態の現像装置5では、進行波電界を用いてトナーTを感光体ドラム2に向けて搬送するトナー搬送部材15と、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に対向する表面を覆うように設けられるベルト部材16と、上記ベルト部材16に接触してベルト部材16をトナー搬送部材15の周囲において回転させるベルト駆動ローラ18とを備えている現像装置5において、ベルト駆動ローラ18との間にベルト部材16を挟持するように設けられる駆動補助ローラ19を備えている。
【0156】
すなわち、本実施の形態の現像装置5は、トナー搬送部材15により、進行波電界を用いてトナーTを感光体ドラム2に向けて搬送する。そして、本実施の形態の現像装置5においては、トナーTと接触してトナー搬送部材15の表面が帯電したり、トナー搬送部材15上にトナーTが固着したりすることがある。このようにトナー搬送部材15が帯電等すると、トナーTの搬送が不安定となったり、静電潜像を現像して得られる画像に濃度ムラが生じたりする場合がある。
【0157】
そこで、本実施の形態の現像装置5では、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に対向する表面を覆うように設けられるベルト部材16と、ベルト部材16に接触してベルト部材16をトナー搬送部材15の周囲において回転させるベルト駆動ローラ18とを備えている。
【0158】
ベルト駆動ローラ18によりベルト部材16を回転させることで、ベルト部材16における、未帯電の面、あるいはトナーTが固着していない面を感光体ドラム2に対向させることができる。これにより、安定してトナーTを搬送することができるとともに、濃度ムラのない画像を現像することができる。
【0159】
また、トナー搬送部材15とベルト部材16とが不均一に接触している場合、ベルト部材16を経由してトナー搬送部材15からベルト部材16の表面に現れる進行波電界が不均一となり、トナーTを安定して搬送できなくなる場合がある。しかしながら、トナー搬送部材15とベルト部材16とを均一な状態で密着させると、トナー搬送部材15とベルト部材16との間の摩擦力により、ベルト部材16の回転に負荷がかかってしまう。
【0160】
そこで、本実施の形態の現像装置5では、特に、ベルト駆動ローラ18との間にベルト部材16を挟持するように設けられる駆動補助ローラ19を備えている。
【0161】
すなわち、ベルト部材16は、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19との間に挟持されている。したがって、ベルト駆動ローラ18とベルト部材16との接触圧が増し、トナー搬送部材15とベルト部材16との間の摩擦力による回転負荷に打ち勝つようにベルト部材16を回転させることができる。
【0162】
また、ベルト駆動ローラ18とベルト部材16との接触圧を増すことにより、駆動力が高められているので、ベルト駆動ローラ18は、ある程度ベルト部材16の回転負荷があってもベルト部材16を回転させることができる。したがって、回転負荷を落とすためにベルト部材16の張力を下げることを必要としないので、ベルト部材16の振動により発生する不快な騒音を防止することができる。
【0163】
さらに、ベルト駆動ローラ18の駆動力を高めるためには、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とがベルト部材16を挟持する力を高めればよく、ベルト駆動ローラ18を大型化してベルト駆動ローラ18とベルト部材16との接触面積を増す必要はない。したがって、小さなベルト駆動ローラ18でも十分な駆動力が得ることができるため、現像装置5を小型化できるとともに、現像装置5のコストダウンを実現することができる。
【0164】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18は、ベルト部材16のトナーTを搬送する面と反対側の面に接触するように設けられている。
【0165】
すなわち、ベルト部材16のトナーTを搬送する面は、トナーTが付着して汚れる場合がある。このように汚れたベルト部材16の表面にベルト駆動ローラ18が接触する場合、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との間の摩擦抵抗が、ベルト部材16の表面がトナーTで汚れていない場合に比べて下がっているため、ベルト駆動ローラ18の駆動力が弱まる可能性がある。特に長期の使用ではベルト部材16の汚れが蓄積することにより、ベルト駆動ローラ18のベルト部材16に対する駆動力の大幅な低下が発生し、ベルト部材16の回転に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0166】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト駆動ローラ18は、ベルト部材16のトナーTを搬送する面と反対側の面に接触するように設けられている。
【0167】
すなわち、ベルト部材16のトナーTを搬送する面と反対側の面にはトナーTが付着しないので、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との間の摩擦抵抗を、現像装置5を使用しはじめた時のままで維持することができる。
【0168】
これにより、ベルト駆動ローラ18の駆動力の低下を防ぎ、長期の使用においてもベルト部材16を安定して回転させることができる。
【0169】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18と、駆動補助ローラ19とは、異なる周速度でベルト部材16に接触して回転している。
【0170】
上記構成によれば、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とを異なる周速度にて回転させることにより、ベルト駆動ローラ18がベルト部材16を送り出す速度と、駆動補助ローラ19がベルト部材16を送り出す速度との間に差が生じる。
【0171】
そして、この速度差を打ち消すようにベルト部材16は変形しようとする。これにより、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との接触圧、あるいはベルト部材16と駆動補助ローラ19との接触圧のいずれかが高まる。
【0172】
したがって、ベルト駆動ローラ18の駆動力、あるいは駆動補助ローラ19の駆動力が増加し、ベルト部材16をトナー搬送部材15に対して、より均一な状態で密着させることができる。
【0173】
これにより、トナーTをより安定して搬送することができるとともに、安定した濃度で画像を現像することができる。
【0174】
また、本実施の形態の現像装置5において、駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18よりも大きな周速度にてベルト部材16に接触して回転している。
【0175】
上記構成によれば、ベルト駆動ローラ18がベルト部材16におけるトナーTを搬送する面と裏側の面を送り出す速度よりも、駆動補助ローラ19がベルト部材16のトナーTを搬送する面を送り出す速度が大きくなる。
【0176】
すなわち、ベルト部材16のトナーTを搬送する面側の変形量が、搬送面の裏面の変形量よりも大きくなる。したがって、ベルト部材16のトナーTを搬送する面側に張力が与えられるので、ベルト部材16とトナー搬送部材15とがより均一な状態で接触するとともに、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との接触圧も増加する。
【0177】
これにより、安定してトナーTを搬送することができるとともに、ベルト駆動の静粛性を向上することができ、安定した濃度で画像を現像することができる。
【0178】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との摩擦係数は、ベルト部材16と駆動補助ローラ19との摩擦係数よりも大きい。
【0179】
すなわち、駆動補助ローラ19がベルト部材16のトナーTを搬送する面側に配置されるときは、トナーTの付着状態により、駆動補助ローラ19がベルト部材16に与える駆動力が変動する。そのような場合において、駆動補助ローラ19とベルト部材16との摩擦力が強い設定では、ベルト駆動力は大きく変動し、安定したベルト駆動が困難になる場合がある。
【0180】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との摩擦係数は、ベルト部材16と駆動補助ローラ19との摩擦係数よりも大きいように設定している。
【0181】
すなわち、ベルト部材16の表面におけるトナーTの付着状態が、駆動補助ローラ19によるベルト部材16の駆動に与える影響が低減されている。
【0182】
これにより、より安定してベルト部材16を駆動することができるとともに、安定してトナーTを搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができる。
【0183】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18のベルト部材16に接する部位は、弾性部材により形成されている。
【0184】
上記構成によれば、ベルト駆動ローラ18とベルト部材16との接触性が向上し、より安定したベルト駆動力を得ることができる。
【0185】
これにより、より安定してベルト部材16を駆動することができるとともに、安定してトナーTを搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができる。
【0186】
また、本実施の形態の現像装置5において、駆動補助ローラ19のベルト部材16に接する部位は、弾性部材により形成されていることを特徴としている。
【0187】
上記構成によれば、駆動補助ローラ19とベルト部材16との接触性が向上し、より安定したベルト駆動力を得ることができる。
【0188】
これにより、より安定してベルト部材16を駆動することができるとともに、安定してトナーTを搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができる。
【0189】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18と、駆動補助ローラ19とは、ベルト部材16に接触して回転する円柱体である一方、ベルト駆動ローラ18の半径は、駆動補助ローラ19の半径よりも大きく、駆動補助ローラ19のベルト部材16に接する部位の弾性部材は、ベルト駆動ローラ18のベルト部材16に接する部位の弾性部材よりも柔らかい。
【0190】
すなわち、駆動補助ローラ19の表面が、ベルト駆動ローラ18の表面よりも硬い部材で被覆されている場合、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とに挟持される部位において、ベルト部材16はベルト駆動ローラ18の方へ押し込まれる。しかも、ベルト駆動ローラ18が円柱体であって、その半径が円柱体である駆動補助ローラ19の半径よりも大きい場合、駆動補助ローラ19がベルト部材16をベルト駆動ローラ18の方へ押し込む量が大きくなり、ベルト部材16が上記の部位において折れ曲がってしまう。
【0191】
このように折れ曲がると、ベルト部材16にしわが発生し、トナーTの搬送に影響を与える場合がある。
【0192】
そこで、本実施の形態では、特に、駆動補助ローラ19のベルト部材16に接する部位の弾性部材を、ベルト駆動ローラ18のベルト部材16に接する部位の弾性部材よりも柔らかい部材としている。
【0193】
すなわち、ベルト部材16は、駆動補助ローラ19とベルト駆動ローラ18とに挟持される部位において、駆動補助ローラ19の方へ押し込まれる。しかしながら、ベルト駆動ローラ18の半径は駆動補助ローラ19の半径よりも大きいので、ベルト部材16が押し込まれる量は折れ曲がるほど大きくはならない。
【0194】
これにより、ベルト部材16にしわが発生することを防止し、安定してトナーTを搬送することができる。
【0195】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18および/または駆動補助ローラ19の表面は、導電性を有する部材により形成されている。
【0196】
すなわち、ベルト部材16は、トナー搬送部材15にて発生した進行波電界をその表面に伝える必要があり、ある程度の高い抵抗を有する材料で構成される。そのため、ベルト部材16上を搬送されていくトナーT、トナー搬送部材15、ベルト駆動ローラ18、あるいは駆動補助ローラ19との接触により、ベルト部材16がチャージアップすることがしばしば起こる。
【0197】
このようにベルト部材16がチャージアップした場合、トナーTの搬送や画像の現像を良好に行えなくなるので、ベルト部材16の除電を行う必要がある。
【0198】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト駆動ローラ18および/または駆動補助ローラ19の表面を、導電性を有する部材により形成している。
【0199】
すなわち、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とのうち少なくとも一方の表面は導電性を有する。したがって、ベルト部材16に帯電した電荷をベルト駆動ローラ18あるいは駆動補助ローラ19に逃がすことにより、ベルト部材16の除電を行うことができる。
【0200】
これにより、ベルト部材16の除電を行うことができ、より安定してトナーTを搬送し、安定した濃度で画像を現像することができる。さらに、ベルト部材16の除電を行うための特別な構成を新たに設ける必要も無いので、現像装置5をコンパクトにすることができるとともに、安価に提供することができる。
【0201】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18および/または駆動補助ローラ19に、ベルト部材16と逆極性の電圧を印加することが可能である。
【0202】
上記構成によれば、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とのうち少なくとも一方に、ベルト部材16と逆極性の電圧を付与することができる。
【0203】
これにより、より効率的にベルト部材16の除電を行うことができる。
【0204】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト駆動ローラ18および/または駆動補助ローラ19に、交番電圧を印加することが可能である。
【0205】
すなわち、ベルト部材16は、トナー搬送部材15にて発生させた進行波電界をベルト部材16表面に伝達する必要があるので、比較的高い抵抗値を有する部材で形成されている。したがって、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18、あるいはベルト部材16と駆動補助ローラ19との接触抵抗が大きくなり、一定電位の電圧を印加するだけでは、ベルト部材16表面の電荷を効果的に除電することが困難な場合がある。
【0206】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト駆動ローラ18および/または駆動補助ローラ19に、交番電圧を印加することが可能なように設定している。
【0207】
すなわち、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との接触部位と、ベルト部材16と駆動補助ローラ19との接触部位とのうち、少なくとも一方に交番電圧を印加することが可能となる。この交番電圧と、ベルト部材16上の進行波電界とを同期させることにより、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18、あるいはベルト部材16と駆動補助ローラ19との接触抵抗のうち少なくとも一方のインピーダンスを低下させることができる。
【0208】
これにより、より効果的にベルト部材16の除電を行うことができる。
【0209】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト部材16におけるベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19との間に挟持される部分の長さは、ベルト部材16の幅より短い。
【0210】
すなわち、ベルト部材16の除電を効果的に行うために、ベルト駆動ローラ18や駆動補助ローラ19の抵抗は低いことが好ましい。しかしながら、ベルト駆動ローラ18の抵抗値と駆動補助ローラ19の抵抗値とがともに低い場合に、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とが接触すると、電荷のリークが発生する場合がある。このような場合、ベルト部材16と、ベルト駆動ローラ18あるいは駆動補助ローラ19との間の電界が弱まり、除電効果が低減されてしまうことがある。
【0211】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト部材16におけるベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19との間に挟持される部分の長さを、ベルト部材16の幅より短くなるように構成している。
【0212】
すなわち、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19とが接触せず、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19との間に電荷のリークは発生しない。
【0213】
これにより、ベルト駆動ローラ18あるいは駆動補助ローラ19と、ベルト部材16との間に形成される電界は弱まることがなく、より効果的にベルト部材16の除電を行うことができる。
【0214】
また、本実施の形態の現像装置5において、ベルト部材16の体積抵抗率は、1×10Ω・cm〜1×1016Ω・cmの範囲である。
【0215】
すなわち、ベルト部材16の体積抵抗率があまり大きすぎると、十分にベルト部材16を除電することができない場合がある。一方、ベルト部材16の体積抵抗率が低すぎる場合は、トナー搬送部材15にて発生させた進行波電界が、ベルト部材16上に十分現れず、安定してトナーTを搬送することができない場合がある。
【0216】
本発明者らの鋭意研究の結果、ベルト部材16の体積抵抗率が上記範囲にあれば、ベルト部材16上にて安定してトナーTを搬送することができるとともに、ベルト部材16を十分に除電することができることが分かった。
【0217】
これにより、安定してトナーTを搬送することができ、ベルト部材16を十分に除電することができる。
【0218】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0219】
本実施の形態では、図6に示すように、現像装置5が、クリーニングブレード(クリーニング手段)30と、隔壁31とを備えている点以外は、実施の形態1における現像装置5と同じ構成である。したがって、以下ではこの点について説明する。
【0220】
クリーニングブレード30は、ベルト部材16の表面に付着したトナーTを掻き取るものであり、ベルト部材16を介してベルト駆動ローラ18に当接するように筐体12に固定されている。クリーニングブレード30により掻き取られたトナーTは、筐体12内に蓄積され、静電潜像の現像のためにリサイクルされる。
【0221】
また、クリーニングブレード30は、ステンレス鋼(SUS )、ニッケルで被覆された鉄、ウレタン、シリコンゴム等で形成することができる。
【0222】
隔壁31は、筐体12内に蓄積されたトナーTがベルト部材16に付着しないようにするものであり、ベルト部材16と筐体12に蓄積されたトナーTとを仕切るようにベルト部材16の下側において延びている。また、隔壁31は、クリーニングブレード30と隣接して配置されている。
【0223】
このように、本実施の形態の現像装置5は、ベルト部材16上のトナーTを除去するクリーニングブレード30を備えている。
【0224】
上記したように、ベルト部材16の表面にはトナーTが付着する。付着したトナーTを放置すると、ベルト部材16にトナーTが固着する場合がある。これにより、ベルト部材16が安定してトナーTを搬送することができなくなったり、適切な濃度の画像を現像することができなくなる場合がある。
【0225】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト部材16上のトナーTを除去するクリーニングブレード30を備えている。
【0226】
すなわち、クリーニングブレード30により、ベルト部材16上のトナーTは除去される。
【0227】
これにより、より安定してトナーTを搬送することができるとともに、適切な濃度の画像を現像することができる。
【0228】
また、本実施の形態の現像装置5において、クリーニングブレード30は、上駆動補助ローラ19に対して、ベルト部材16の回転方向の上流側に設けられている。
【0229】
上記したように、ベルト部材16の表面はトナーTが付着する。トナーTの付着状態によっては、駆動補助ローラ19によるベルト部材16の駆動力に変動が生じる場合がある。
【0230】
そこで、本実施の形態では、特に、クリーニングブレード30を、駆動補助ローラ19に対して、ベルト部材16の回転方向の上流側に設けている。したがって、駆動補助ローラ19は、常にトナーTが除去されたベルト部材16の表面に接触する。
【0231】
すなわち、駆動補助ローラ19とベルト部材16との接触状態は一定に保たれ、ベルト部材16の表面におけるトナーTの付着状態に影響を受けることがない。
【0232】
これにより、より安定してベルト部材16を回転することができるとともに、より効率よくトナーTを搬送することができ、適切な濃度の画像を現像することができる。
【0233】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1,2と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0234】
本実施の形態では、図7に示すように、現像装置5が、張力調整ローラ(張力調整手段)40と、付勢手段(図示せず)とを備えている点以外は、実施の形態2における現像装置5と同じ構成である。したがって、以下ではこの点について説明する。
【0235】
張力調整ローラ40は、ベルト部材16に張力を付与するものであり、ベルト部材16の内周面に接触し、かつ駆動補助ローラ19よりもベルト部材16の回転方向下流側に設けられている。
【0236】
なお、張力調整ローラ40は、ステンレス綱(SUS )や鉄等の金属製のローラを用いることができる。さらに、張力調整ローラ40の表面は、ゴム、フィルム、スポンジ等の弾性部材で被覆されている。また、張力調整ローラ40は、板状や、角柱状のものであってもよい。
【0237】
また、張力調整ローラ40を筐体12に対して回動可能に設けることにより、張力調整ローラ40とベルト部材16との摩擦による、ベルト部材16の回転負荷を低減することができる。なお、張力調整ローラ40を筐体12に対して回動可能に設けられていない場合であっても、ベルト部材16と張力調整ローラ40との間に摩擦係数の小さな部材を介在させることにより、上記の回転負荷を低減することも可能である。
【0238】
張力調整ローラ40の回転は、ベルト部材16の回転に従動して行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とギヤ(図示せず)により連結されて行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とプーリー(図示せず)およびベルト(図示せず)により連結されて行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とは別の駆動源により行われるものであってもよい。
【0239】
付勢手段は、張力調整ローラ40を付勢するものであり、たとえば板バネ、コイル状バネを用いることができる。なお、付勢手段は、張力調整ローラ40を図7中矢印Dで示す方向、すなわちベルト部材16の外側に向かって付勢している。付勢手段が張力調整ローラ40を付勢する力を調整することにより、ベルト張力を所望の張力に調整することができる。
【0240】
このように、本実施の形態の現像装置5は、ベルト部材16に張力を付与するとともに、その張力を調整することができる張力調整ローラ40を備えている。
【0241】
すなわち、長期の使用においては、ベルト部材16に架かる張力によりベルト部材16自身が伸びる場合がある。また、製造時のばらつきにより、ベルト部材16の周長が現像装置毎に異なる場合がある。
【0242】
このような場合、ベルト部材16の駆動力が変化し、ベルト部材16とトナ搬送部材15とが均一に接触しなくなるので、トナーTを安定して搬送できなくなったり、ベルト部材16が振動して騒音が発生する可能性がある。
【0243】
そこで、本実施の形態では、特に、ベルト部材16に張力を付与するとともに、その張力を調整することができる張力調整ローラ40を備えている。
【0244】
すなわち、ベルト部材16が伸びた場合でも、張力調整ローラ40によりベルト部材16に与える張力を大きくすれば、ベルト部材16が伸びる前と同じ張力をベルト部材16に付与することができる。また、現像装置毎にベルト部材16の周長が異なっている場合でも、張力調整ローラ40により、適切な張力をベルト部材16に与えるように調整することができる。
【0245】
これにより、安定してベルト部材16を駆動するとともに、より効率よくトナーTを搬送することができ、適切な濃度の画像を現像することができる。
【0246】
また、本実施の形態の現像装置5は、張力調整ローラ40は、ベルト部材16におけるトナーTを搬送する面と裏側の面に接触している。
【0247】
上記構成によれば、張力調整ローラ40は、ベルト部材16のトナーTを搬送する面と裏側の面に接触している。
【0248】
すなわち、張力調整ローラ40とベルト部材16とが接触する部位では、トナーTが付着しない。したがって、張力調整ローラ40は、常に一定の状態でベルト部材16に接触し、一定の張力をベルト部材16に与える。
【0249】
これにより、より安定させてベルト部材16を回転させることができる。
【0250】
なお、以上で説明した本発明の現像装置は、以下の現像装置として表現することもできる。
【0251】
すなわち、本発明の現像装置は、像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、基材中に所定間隔を有して複数配列されている電極に対して多相電圧を印加することによって進行波電界を形成して現像剤を上記像担持体に向けて搬送する現像剤搬送手段を少なくとも有し、現像剤搬送手段の周面を覆うベルト部材が備えられ、上記ベルト部材が微速回転する現像装置において、上記ベルト部材を回転させるための少なくとも1つ以上の上記ベルト部材に接触する駆動部材を有し、この駆動部材に上記ベルト部材を介して当接する駆動補助部材を備えている構成であってもよい。
【0252】
上記構成の現像装置において、上記ベルト部材の上記駆動部材が、現像剤が搬送される面とは裏側に配置されていてもよい。
【0253】
さらに、上記駆動部材と上記駆動補助部材とが周速差を有する構成であってもよく、上記駆動部材の回転周速度より上記駆動補助部材の回転周速度の方が速く設定されていることが好ましい。
【0254】
また、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材と上記駆動部材の摩擦係数をμ1、上記ベルト部材と上記駆動補助部材の摩擦係数をμ2としたとき、μ1>μ2を満たす構成であってもよい。
【0255】
さらに、上記駆動補助部材の上記ベルト部材に接する部位が弾性部材で構成されていてもよく、上記駆動補助部材は、上記駆動部材よりも柔らかい部材で構成されていることが好ましい。
【0256】
また、上記構成の現像装置は、上記ベルト部材上の現像剤を除去するクリーニング部材を備えることも可能であり、該クリーニング部材は、上記ベルト部材の回転方向に対して、上記駆動補助部材より上流側に配置されることが好ましい。
【0257】
さらに、上記ベルト部材の現像剤搬送面とは裏側に接触するベルト張力調整部材を備えることも可能である。
【0258】
また、少なくとも上記駆動補助部材および駆動部材の一方が、導電性を有する構成であってもよい。
【0259】
さらに、少なくとも上記駆動補助部材および上記駆動部材の一方に、任意の電圧あるいは交番電圧が印加される構成であってもよい。
【0260】
上記構成の現像装置において、上記駆動補助部材および上記駆動部材のどちらか一方の長さが、上記ベルト部材の幅より短い構成であってもよい。
【0261】
なお、ベルト部材の体積抵抗率が1×10Ω・cm〜1×1016Ω・cmの範囲内であることが好ましい。
【0262】
また、本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの構成の現像装置を備えている構成であってもよい。
【0263】
なお、本発明の現像装置は、誘電体上に直接静電荷潜像を形成するイオンフロー方式の画像形成装置や、複数の開口部を有する電極に任意の電圧を印加することにより空間に静電像を形成し、現像剤を記録媒体に飛翔させるトナージェット方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0264】
なお、たとえば特開平6−308813号公報(平成6年11月4日公開)には、ベルト部材の張力を安定させるために、ベルト部材の内周面に弾性ローラを設ける発明が開示されている。以下、本発明の現像装置と、上記公報に記載された発明の現像装置との相違点について説明する。
【0265】
本発明の現像装置は、駆動手段との間にベルト部材を挟持するように設けられる駆動補助手段を備えている。一方、上記公報に記載された発明の現像装置は、ベルト部材の内周面に弾性ローラを備えるものであり、本発明の駆動補助手段のような構成を備えていない。この点において、本発明の現像装置の構成と、上記公報に記載された発明の現像装置の構成とは明らかに相違している。
【0266】
また、本発明の現像装置は、ベルト部材の内周面に設けられ、トナーを搬送するための進行波電界を発生する現像剤搬送手段を備えている。一方、上記公報に記載された発明の現像装置は、本発明のような進行波電界を発生する現像剤搬送手段を備えていない。この点においても、本発明と、上記公報に記載された発明とは、その構成が明らかに異なるものである。
【0267】
また、本発明の現像装置におけるベルト部材は、現像剤搬送手段が帯電したり、現像剤搬送手段の表面に現像剤が固着することを防止するものである。一方、上記公報に記載された発明の現像装置におけるベルト部材は、現像剤を像担持体まで搬送するものである。すなわち、本発明の現像装置におけるベルト部材と、上記公報に記載された発明の現像装置におけるベルト部材とは、その作用が顕著に異なっている。
【0268】
以上のように、本発明の現像装置と、上記公報に記載された発明の現像装置とは、構成・作用の点において異なっている。
【0269】
【実施例】
本発明における現像装置について、ベルト部材の体積抵抗率に対する、トナー搬送性と、ベルト部材の除電効率との関係について検証を行ったので説明する。
【0270】
すなわち、本実施例においては、ベルト部材16の体積抵抗率を1×10Ω・cm〜1×1017Ω・cmの範囲において変化させ、トナー搬送性と、ベルト部材の除電効率との4段階評価を行った。そして、その評価結果から、いかなる値の体積抵抗率を有するベルト部材を用いることができるか総合評価を行った。
【0271】
より詳細に説明すれば、トナー搬送部材15の電極27間ピッチを約250μmとし、電極27…として幅が約120μmのものを用いた。電極27…への印加電圧として、周波数1kHzで、電圧値0±500Vを与えた。また、ベルト部材16は約10mm/sの速度で回転させ、ベルト駆動ローラ18を接地するとともに、駆動補助ローラ19に500〜1000Hz、0±100〜500Vの電圧を印加して除電を行った。
【0272】
上記の条件における評価結果は、以下の表1の通りである。
【0273】
【表1】
Figure 0003626119
【0274】
表1に示すように、ベルト部材16の体積抵抗率が低い場合、ベルト部材16の帯電は極めて少なく、良好な除電作用が得られた。しかしながら、体積抵抗率が低いと進行波電界が弱くなるので、ベルト部材16の表面まで進行波電界が伝わず、十分なトナー搬送量が確保できなかった。また、トナーTを動かす力が十分でないため、ベルト部材上に固着する様子が認められた。
【0275】
一方、ベルト部材16の体積抵抗率が高い場合、進行波電界が強くなり、現像工程の初期段階ではトナー搬送性が良好であった。しかしながら、トナーTとの接触や、トナー搬送部材15表面との摩擦によりベルト部材16が帯電しやすくなり、次第にベルト部材16のトナー搬送性が悪化した。このようにベルト部材16が帯電した場合、駆動補助ローラ19による除電効果を高める設定(周波数および印加する交番電圧におけるピーク間電圧の増加)を行っても、効率よく除電を行うことができなかった。
【0276】
【発明の効果】
本発明の現像装置は、以上のように、上記駆動手段との間に上記ベルト部材を挟持するように設けられる駆動補助手段を備えているものである。
【0277】
すなわち、ベルト部材は、駆動手段と駆動補助手段との間に挟持されている。したがって、駆動手段とベルト部材との接触圧が増し、現像剤搬送手段とベルト部材との間の摩擦力による回転負荷に打ち勝つようにベルト部材を回転させることができる。
【0278】
また、駆動手段とベルト部材との接触圧を増すことにより、駆動力が高められているので、駆動手段は、ある程度ベルト部材の回転負荷があってもベルト部材を回転させることができる。
【0279】
それゆえ、ベルト部材の振動により発生する不快な騒音を防止し、静粛性を向上することができるという効果を奏する。
【0280】
さらに、駆動手段と駆動補助手段とがベルト部材を挟持する力を高めることにより、小さな駆動手段でも十分な駆動力が得ることができる。
【0281】
それゆえ、現像装置を小型化できるとともに、現像装置のコストダウンを実現することができるという効果を奏する。
【0282】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段は、上記ベルト部材の現像剤を搬送する面と反対側の面に接触するように設けられているものである。
【0283】
すなわち、ベルト部材の現像剤を搬送する面と反対側の面には現像剤が付着しないので、ベルト部材と駆動手段との間の摩擦抵抗を、現像装置を使用しはじめた時のままで維持することができる。
【0284】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、駆動手段の駆動力の低下を防ぎ、長期の使用においてもベルト部材を安定して回転させることができるという効果を奏する。
【0285】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段と、上記駆動補助手段とは、異なる周速度で上記ベルト部材に接触して回転しているものである。
【0286】
したがって、駆動手段の駆動力、あるいは駆動補助手段の駆動力が増加し、ベルト部材を現像剤搬送手段に対して、より均一な状態で密着する。
【0287】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定した現像剤搬送を実現することができるとともに、安定した濃度で画像を現像することができるという効果を奏する。
【0288】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動補助手段は、上記駆動手段よりも大きな周速度にて上記ベルト部材に接触して回転しているものである。
【0289】
上記構成によれば、駆動手段がベルト部材における現像剤搬送面に対して裏側の面を送り出す速度よりも、駆動補助手段がベルト部材の現像剤搬送面を送り出す速度が大きくなる。
【0290】
これにより、ベルト部材の現像剤搬送面側に張力が与えられるので、ベルト部材と現像剤搬送手段とがより均一な状態で接触するとともに、ベルト部材と駆動手段との接触圧も増加する。
【0291】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、安定して現像剤を搬送することができるとともに、ベルト駆動の静粛性を向上することができ、安定した濃度で画像を現像することができるという効果を奏する。
【0292】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材と上記駆動手段との摩擦係数は、上記ベルト部材と上記駆動補助手段との摩擦係数よりも大きいものである。
【0293】
これにより、ベルト部材表面の現像剤付着状態が、駆動補助手段によるベルト部材の駆動に与える影響が低減されている。
【0294】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を駆動することができるとともに、安定して現像剤を搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができるという効果を奏する。
【0295】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段の上記ベルト部材に接する部位は、弾性部材により形成されているものである。
【0296】
上記構成によれば、駆動手段とベルト部材との接触性が向上し、より安定したベルト駆動力を得ることができる。
【0297】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を駆動することができるとともに、安定して現像剤を搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができるという効果を奏する。
【0298】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動補助手段の上記ベルト部材に接する部位は、弾性部材により形成されているものである。
【0299】
上記構成によれば、駆動補助手段とベルト部材との接触性が向上し、より安定したベルト駆動力を得ることができる。
【0300】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を駆動することができるとともに、安定して現像剤を搬送することができ、さらに安定した濃度で画像を現像することができるという効果を奏する。
【0301】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段と、上記駆動補助手段とは、上記ベルト部材に接触して回転する円柱体である一方、上記駆動手段の半径は、上記駆動補助手段の半径よりも大きく、上記駆動補助手段の上記ベルト部材に接する部位の弾性部材は、上記駆動手段の上記ベルト部材に接する部位の弾性部材よりも柔らかいものである。
【0302】
すなわち、ベルト部材は、駆動補助手段と駆動手段とに挟持される部位において、駆動補助手段の方へ押し込まれる。しかしながら、駆動手段の半径は駆動補助手段の半径よりも大きいので、ベルト部材が押し込まれる量は折れ曲がるほど大きくはならない。
【0303】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、ベルト部材にしわが発生することを防止し、安定して現像剤を搬送することができるという効果を奏する。
【0304】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段および/または上記駆動補助手段の表面は、導電性を有する部材により形成されているものである。
【0305】
すなわち、駆動手段と駆動補助手段とのうち少なくとも一方の表面は導電性を有する。したがって、ベルト部材に帯電した電荷を駆動手段あるいは駆動補助手段に逃がすことにより、ベルト部材の除電を行うことができる。
【0306】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、ベルト部材の除電を行うことができ、より安定して現像剤を搬送し、安定した濃度で画像を現像することができるという効果を奏する。さらに、ベルト部材の除電を行うための特別な構成を新たに設ける必要も無いので、現像装置をコンパクトにすることができるとともに、安価に提供することができるという効果を奏する。
【0307】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段および/または上記駆動補助手段に、上記ベルト部材と逆極性の電圧を印加することが可能であるものである。
【0308】
上記構成によれば、駆動手段と駆動補助手段とのうち少なくとも一方に、ベルト部材と逆極性の電圧を付与することができる。
【0309】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より効率的にベルト部材の除電を行うことができるという効果を奏する。
【0310】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記駆動手段および/または上記駆動補助手段に、交番電圧を印加することが可能であるものである。
【0311】
すなわち、ベルト部材と駆動手段との接触部位と、ベルト部材と駆動補助手段との接触部位とのうち、少なくとも一方に交番電圧を印加することが可能となる。この交番電圧と、ベルト部材上の進行波電界とを同期させることにより、ベルト部材と駆動手段、あるいはベルト部材と駆動補助手段との接触抵抗のうち少なくとも一方のインピーダンスを低下させることができる。
【0312】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より効果的にベルト部材の除電を行うことができるという効果を奏する。
【0313】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材における上記駆動手段と上記駆動補助手段との間に挟持される部分の長さは、上記ベルト部材の幅より短いものである。
【0314】
すなわち、駆動手段と駆動補助手段とが接触せず、駆動手段と駆動補助手段との間に電荷のリークは発生しない。
【0315】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、駆動手段あるいは駆動補助手段と、ベルト部材との間に形成される電界は弱まることがなく、より効果的にベルト部材の除電を行うことができるという効果を奏する。
【0316】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、ベルト部材の体積抵抗率は、1×10〜1×1016Ω・cmの範囲であるものでる。
【0317】
本発明者らの鋭意研究の結果、ベルト部材の体積抵抗率が上記範囲にあれば、ベルト部材上にて安定して現像剤を搬送することができるとともに、ベルト部材を十分に除電することができることが分かった。
【0318】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、安定して現像剤を搬送することができ、ベルト部材を十分に除電することができるという効果を奏する。
【0319】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材上の現像剤を除去するクリーニング手段を備えているものである。
【0320】
すなわち、クリーニング手段により、ベルト部材上の現像剤は除去される。
【0321】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定して現像剤を搬送することができるとともに、適切な濃度の画像を現像することができるという効果を奏する。
【0322】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記クリーニング手段は、上記駆動補助手段に対して、上記ベルト部材の回転方向の上流側に設けられているものである。
【0323】
すなわち、駆動補助手段は、常に現像剤が除去されたベルト部材の表面に接触する。したがって、駆動補助手段とベルト部材との接触状態は一定に保たれ、ベルト部材表面の現像剤付着状態に影響を受けることがない。
【0324】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定してベルト部材を回転することができるとともに、より効率よく現像剤を搬送することができ、適切な濃度の画像を現像することができるという効果を奏する。
【0325】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記ベルト部材に張力を付与するとともに、その張力を調整することができる張力調整手段を備えているものである。
【0326】
すなわち、ベルト部材が伸びた場合でも、張力調整手段によりベルト部材に与える張力を大きくすれば、ベルト部材が伸びる前と同じ張力をベルト部材に付与することができる。また、現像装置毎にベルト部材の周長が異なっている場合でも、張力調整手段により、適切な張力をベルト部材に与えるように調整することができる。
【0327】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、安定してベルト部材を駆動するとともに、より効率よく現像剤を搬送することができ、適切な濃度の画像を現像することができるという効果を奏する。
【0328】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記構成の現像装置において、上記張力調整手段は、ベルト部材の現像剤搬送面に対して裏側の面に接触しているものである。
【0329】
すなわち、張力調整手段とベルト部材とが接触する部位では、現像剤が付着しない。したがって、張力調整手段は、常に一定の状態でベルト部材に接触し、一定の張力をベルト部材に与える。
【0330】
それゆえ、上記構成の現像装置による効果に加えて、より安定させてベルト部材を回転させることができるという効果を奏する。
【0331】
また、本発明の画像形成装置は、以上のように、上記構成のうちいずれかの現像装置を備えているものである。
【0332】
それゆえ、静粛性が高く、かつ小型化およびコストダウンが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における現像装置の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の現像装置を用いる画像形成装置を示す概略構成図である。
【図3】図1の現像装置におけるトナー搬送部材を示す概略構成図である。
【図4】図3の電極に印加される交番電圧の電圧波形の一例を示す図である。
【図5】(a)は、図1の現像装置における駆動補助ローラの表面がベルト駆動ローラの表面よりも柔らかい場合のベルト部材の状態を示す説明図であり、(b)は図1の現像装置における駆動補助ローラの表面がベルト駆動ローラの表面よりも硬い場合のベルト部材の状態を示す説明図である。
【図6】本発明における現像装置の他の実施の形態を示す概略構成図である。
【図7】本発明における現像装置のさらに他の実施の形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 感光体ドラム(像担持体)
5 現像装置
15 トナー搬送部材(現像剤搬送手段)
16 ベルト部材
18 ベルト駆動ローラ(駆動手段)
19 駆動補助ローラ(駆動補助手段)
30 クリーニングブレード(クリーニング手段)
40 張力調整ローラ(張力調整手段)
T トナー(現像剤)

Claims (18)

  1. 一定の進行方向を持った進行波状に電位分布が変化する電界を用いて現像剤を像担持体に向けて搬送する現像剤搬送手段と、上記現像剤搬送手段の上記像担持体に対向する表面を覆うように設けられるベルト部材と、上記ベルト部材に接触して上記ベルト部材を上記現像剤搬送手段の周囲において回転させる駆動手段とを備えている現像装置において、
    上記駆動手段との間に上記ベルト部材を挟持するように設けられる駆動補助手段を備えていることを特徴とする現像装置。
  2. 上記駆動手段は、上記ベルト部材の現像剤を搬送する面と反対側の面に接触するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 上記駆動手段と、上記駆動補助手段とは、異なる周速度で上記ベルト部材に接触して回転していることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 上記駆動補助手段は、上記駆動手段よりも大きな周速度にて上記ベルト部材に接触して回転していることを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
  5. 上記ベルト部材と上記駆動手段との摩擦係数は、上記ベルト部材と上記駆動補助手段との摩擦係数よりも大きいことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の現像装置。
  6. 上記駆動手段の上記ベルト部材に接する部位は、弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の現像装置。
  7. 上記駆動補助手段の上記ベルト部材に接する部位は、弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の現像装置。
  8. 上記駆動手段と、上記駆動補助手段とは、上記ベルト部材に接触して回転する円柱体である一方、
    上記駆動手段の半径は、上記駆動補助手段の半径よりも大きく、
    上記駆動補助手段の上記ベルト部材に接する部位の弾性部材は、上記駆動手段の上記ベルト部材に接する部位の弾性部材よりも柔らかいことを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
  9. 上記駆動手段および/または上記駆動補助手段の表面は、導電性を有する部材により形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の現像装置。
  10. 上記駆動手段および/または上記駆動補助手段に、上記ベルト部材と逆極性の電圧を印加することが可能であることを特徴とする請求項9に記載の現像装置。
  11. 上記駆動手段および/または上記駆動補助手段に、交番電圧を印加することが可能であることを特徴とする請求項10に記載の現像装置。
  12. 上記ベルト部材における上記駆動手段と上記駆動補助手段との間に挟持される部分の長さは、上記ベルト部材の幅より短いことを特徴とする請求項10または11に記載の現像装置。
  13. ベルト部材の体積抵抗率は、1×10〜1×1016Ω・cmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の現像装置。
  14. 上記ベルト部材上の現像剤を除去するクリーニング手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の現像装置。
  15. 上記クリーニング手段は、上記駆動補助手段に対して、上記ベルト部材の回転方向の上流側に設けられていることを特徴とする請求項14に記載の現像装置。
  16. 上記ベルト部材に張力を付与するとともに、その張力を調整することができる張力調整手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の現像装置。
  17. 上記張力調整手段は、ベルト部材の現像剤搬送面に対して裏側の面に接触していることを特徴とする請求項16に記載の現像装置。
  18. 請求項1ないし17のいずれか1項に記載の現像装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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