JP3628246B2 - 現像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像剤等を用いて像担持体上に形成される静電潜像を現像する現像装置に関し、特に進行波電界を用いて現像剤を搬送する機構を利用した現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に適用される現像方法としては、現在、像担持体に現像剤担持体を接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されており、パウダークラウド法、ジャンピング法や電界カーテン(進行波電界)を利用した方法が提案されている。
【0003】
電界カーテンを用いた方法としては、例えば、特許第2836537号公報に示されている現像装置がある。この現像装置は、現像剤収容部より現像剤を像担持体に向けて搬送する現像剤搬送手段としての搬送路と、搬送路の下方に配置され、像担持体から不要現像剤を回収する現像剤回収手段としての回収路と、搬送路の像担持体側端部に設けられ像担持体に対向しかつ下方に向かう現像用電極とから構成されている。
【0004】
搬送路には、電界カーテン作用を発生させる電極が埋設されており、電界カーテン作用により、現像剤を撹拌、帯電させて現像位置まで搬送するようになっている。現像位置まで搬送された現像剤は、像担持体の表面電荷と現像用電極に印加されている現像バイアスとによる現像電界により像担持体側に移動し、静電潜像の現像が行われる。像担持体に付着しなかった現像剤は現像用電極より落下して回収路に進み、励振されて現像剤収容部に回収される。
【0005】
このような構成にすることにより、機械的動力を用いることなく現像剤を進行波型の交流電界によって搬送して静電潜像の現像を行い、現像に寄与しなかった現像剤を回収し、再び利用することができ、装置の簡略化、小型化を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の現像装置においては、電極に電圧を印加することや現像剤との接触等によって、現像剤を担持する搬送路が帯電する可能性があり、電界カーテンの形成が不安定となるおそれがある。また、搬送路に現像剤が固着するおそれがあり、現像剤の搬送が妨げられる。このように現像剤の搬送が安定しなくなり、その結果安定した画像形成が得られないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、確実に現像剤を搬送することによって安定した画像形成ができる現像装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、進行波電界により現像剤を像担持体に向かって搬送する現像剤搬送部材に対して、その周面を覆う被覆部材を設け、被覆部材を移動させるものである。これによれば、現像剤搬送部材によって形成された進行波電界により被覆部材上を現像剤が移動することになり、現像剤搬送部材に非接触で現像剤の搬送が行われる。そのため、現像剤搬送部材が帯電されたり、現像剤が固着することは起こり得ず、安定した進行波電界が形成され、確実に現像剤を搬送することができる。
【0009】
このとき、被覆部材は移動しているので、像担持体に対して常に異なる面が対向することになり、現像剤による帯電の影響や現像剤の付着の影響を排除することができ、現像剤の搬送を妨げることはない。ここで、被覆部材の移動速度は、搬送される現像剤に対してほぼ静止しているとみなされる程度の速度とすることが望ましい。すなわち、移動速度が速いと、搬送される現像剤の層が風圧によって乱され、現像剤の分布が不均一になるおそれがあるが、微速にすることにより、被覆部材の移動による気流の発生が抑制され、均一な現像剤の層を形成することができる。
【0010】
また、被覆部材としては、無端ベルト状、有限のベルト状あるいはシート状であればよく、特に無端ベルト状にすれば、エンドレスに使用することができ、また移動させる機構も簡単なものにすることができるので、最適である。さらに、被覆部材の体積抵抗率を10〜1017Ω・cmとすることにより、被覆部材の除電が可能となり、しかも安定した電界を得ることができ、現像剤の搬送が安定する。なお、体積抵抗率は、望ましくは10〜1014Ω・cmの材料を用いることにより、より容易に被覆部材の除電が可能となり、かつ安定した電界を得ることにより現像剤の搬送が安定する。さらにまた、被覆部材を現像剤搬送部材に密接させると、電界の均一性を保つことができ、現像剤の搬送むらがなくなる。
【0011】
ここで、被覆部材を無端ベルト状としたり、有限のベルト状あるいはシート状のときに往復移動させて繰り返し使う場合、被覆部材の除電を行う除電部材を現像剤搬送方向において像担持体と対向する箇所よりも下流側に設けておく。さらに、被覆部材から現像に寄与しなかった現像剤を除去するクリーニング部材を設け、クリーニング部材は除電部材よりも下流側に配するとよい。なお、クリーニング部材として導電性材料を使用すれば、クリーニングだけでなく、除電も行うことが可能となり、2つの部材を1つにすることができ、装置の小型化を図れる。
【0012】
これにより、被覆部材が像担持体を通過して再び現像剤搬送部材まで到達したとき、被覆部材は除電されているので、現像剤搬送部材による進行波電界の形成に悪影響を及ぼすことがなくなり、現像剤を安定して搬送することができる。また、被覆部材に付着した現像剤はクリーニング部材によって確実に除去されるので、クリーニング不良による現像剤の固着を防止でき、欠陥のない良好な画像が得られる。しかも、除電部材、クリーニング部材とこの順に並べておくと、先に除電が行われるので、現像剤を被覆部材から取り除きやすくなる。
【0013】
また、現像剤搬送方向上流側において、被覆部材が現像剤搬送部材と接する位置に供給部材を設ける。この供給部材によって現像剤を帯電して、被覆部材に供給することにより、進行波電界による現像剤の搬送が安定する。そして、供給部材に近接するように除電部材およびクリーニング部材を配置すると、除電後に被覆部材が現像剤等の接触によって帯電することを防止でき、現像剤の搬送の安定性が増す。
【0014】
そして、被覆部材の移動方向は、現像剤の搬送方向と同じでもよいが、逆方向とすれば、除電されクリーニングされた被覆部材が像担持体に向かって移動していくことになり、現像剤による帯電や現像剤の付着の影響を排除することができ、安定した現像剤の搬送が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の現像装置が適用される電子写真プロセスを用いた画像形成装置の一例を図1に示す。この電子写真プロセスでは、像担持体としての感光体1上に原稿像あるいはホストコンピュータからのデータに対応した静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置2からの現像剤によって可視化され、紙等の記録媒体3上に転写されて画像形成が行われる。
【0016】
感光体1の周囲には、帯電装置4、露光装置5、現像装置2、転写装置6、クリーニング装置7、除電装置8等が、感光体1の回転方向の上流側から順に配置されている。そして、記録媒体3の搬送方向下流側には、定着装置9が配置されている。
【0017】
感光体1は、例えばアルミニウム等の金属ドラムを基材10として、その外周面上にアモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)や有機光半導体(OPC)等の光導電層11が薄膜状に形成されて構成されている。
【0018】
帯電装置4は、例えばタングステンワイヤ等の帯電線、金属製のシールド板、グリット板よりなるコロナ帯電器、あるいは帯電ローラ、帯電ブラシなどとされる。露光装置5は、半導体レーザとされる。転写装置6は、例えばコロナ帯電器、帯電ローラ、帯電ブラシなどとされる。なお、現像装置2の詳細な構成については後述する。
【0019】
感光体1は、先ず帯電装置4によって一様に帯電され、次に画像情報に応じて露光装置5によって光照射がなされる。このようにして感光体1上に静電潜像が形成され、感光体1と現像装置2との間に形成される現像電界により現像装置2内の現像剤(トナー)が移動し、静電潜像がトナー像として可視化される。このトナー像は、転写装置6によって記録媒体3上に転写され、定着装置9において加熱定着される。トナー像が転写された後、感光体1上に残留したトナーは、クリーニングブレードなどを備えたクリーニング装置7によって除去され、また感光体1上に残留した電荷は、除電ランプなどの除電装置8によって除電される。
【0020】
次に現像装置2についての説明を行う。図2に示すように、現像装置2では、現像剤であるトナーが収容された現像槽20に、進行波電界を発生してトナーを搬送するトナー搬送部材(現像剤搬送部材)21、トナー搬送部材21を覆いながら移動する被覆部材22、トナーをトナー搬送部材21に対して供給する供給部材23、現像槽20内のトナーを供給部材23付近に供給するとともにトナーを撹拌する回転自在なMX(ミキシング)パドル24、被覆部材22を除電する除電部材25、被覆部材22からトナーを除去するクリーニング部材26が内装されている。
【0021】
現像槽20は、感光体1の側方に対向して配置され、感光体1と対向する側に開口部27が形成されている。開口部27に臨むようにトナー搬送部材21が支持部材28に固定されて配置され、トナーを下方から上方に向けて搬送する。したがって、トナー搬送部材21およびこれを覆う被覆部材22によって開口部27が塞がれた状態となって、現像槽20内部にトナー収容部29が形成されることになる。
【0022】
この開口部27の下縁に、感光体1に向かって突出した傾斜面が形成され、これが受部30とされる。トナー搬送部材21に供給されるトナーは、供給部材23により電荷が付与されているが、帯電量の低いものが存在する可能性があり、このようなトナーは搬送されている途中で落下するおそれがある。そこで、受部30がこのトナーを受け止めて、トナーが飛散することを防いでいる。
【0023】
トナー搬送部材21は、図3に示すように、例えばポリイミドよりなる基材31(厚さ25μm)上に銅箔(厚さ18μm)よりなる進行波発生電極32を形成し、その上にポリイミドよりなる表面保護層33(厚さ25μm)を積層した構造とされる。このように、トナー搬送部材21は非常に薄く、また弾性を有するように形成することができるので、感光体1に向かって湾曲した支持部材28上に曲率を有して取り付けることが可能となる。そして、トナー搬送部材21の感光体1に最接近した領域が現像領域Aとされる。
【0024】
ここで、トナー搬送部材21を構成する進行波発生電極32について説明する。進行波発生電極32は、例えば幅40〜130μmの微小電極32aが100dpi(約254μm)〜300dpi(約85μm)ピッチの間隔を保って互いに平行になるように配置され、3本または4本の微小電極32aを1組として複数組形成されている。
【0025】
これら各組の電極32aには、多相交流電源34により3相または4相の交番電圧(多相の交流成分を含む電圧)が印加される。すなわち、図4に示すように、各電極▲1▼〜▲4▼に所定の位相差を設けたパルス電圧(この場合は4相のパルス電圧)を印加すると、進行波発生電極32上に進行波電界が形成され、トナーが搬送される。
【0026】
この進行波発生電極32に印加する交番電圧は、電極32a間で絶縁破壊が発生しないように、例えば100V〜1000V程度の値に設定され、周波数としては100Hz〜100kHzの範囲内の値が使用される。なお、上記交番電圧や周波数は、進行波発生電極32の素子の形状、トナーの搬送速度、トナーの使用材料等によって適性値を設定すればよい。また、上記トナー搬送部材21には、感光体1とトナー搬送部材21との間に現像電界が形成されるように現像バイアス直流電源35により直流電圧が印加されるように構成されている。
【0027】
被覆部材22は、無端ベルト状とされ、トナー搬送部材21の感光体1に対向する周面を覆っており、トナー搬送部材21の帯電を防止し、かつトナーの固着を防止するためのものである。材料としては、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の有機絶縁材料あるいはシリコン、イソプレン、ブタジエン等のゴム材料にカーボンブラックやイオン性の導電材を分散もしくは相溶させたものである。被覆部材22の体積抵抗率は10〜1017Ω・cmが適切であり、1012Ω・cm以上では被覆部材22の除電が困難になる。また、10Ω・cm未満では、抵抗が小さくなることにより進行波発生電極32により形成される電界が遮蔽されるようになり、被覆部材22上に充分な電界が形成されなくなり、トナーの搬送が困難になる。なお、被覆部材22の体積抵抗率は、1014〜1017Ω・cmにおいても除電は可能であるが、望ましくは10〜1014Ω・cmにすることにで、より容易な除電が可能となる。
【0028】
図5に示すように、被覆部材22の厚みをdμm、進行波発生電極32の電極間ピッチをλμm、表面保護層33の厚さ△dとするとき、電極32で発生した電界をトナーに有効に作用させるためには、d+△d≦λとする必要がある。d十△d>λとすると、形成される電界が弱くなり、充分なトナーの搬送が行えなくなるおそれがある。そこで、d≦λ―△d<λとなるように被覆部材22の厚みを設定する。例えば、λ=120μmのとき、表面保護層33の厚さ△dを考慮して、d=80μmとする。このように、被覆部材22の厚みを設定することにより、安定した進行波電界を形成することができ、トナーの搬送を安定して行える。
【0029】
そして、被覆部材22は上下に配された駆動ローラ40および従動ローラ41に掛巻され、駆動ローラ40を時計回りに回転させることにより矢印B方向(トナー搬送方向と同じ方向)に移動される。このように、被覆部材22を駆動ローラ40、従動ローラ41およびトナー搬送部材21によって少なくとも3点で支持することにより、トナー搬送部材21と密着される。被覆部材22とトナー搬送部材21とが密着していない、すなわち両者の間に空隙が存在すると、進行波発生電極32により印加される電圧が分配されて、被覆部材22上に形成される電界が弱くなり、充分なトナーの搬送が行えなくなる可能性がある。なお、被覆部材22を感光体1に対して非接触に配しているが、被覆部材22を感光体1に接触するように配して、現像するようにしても構わない。
【0030】
供給部材23は、例えばスポンジタイプの発泡ウレタン等の材料からなる供給ローラからなり、現像槽20の下部に被覆部材22を挟んでトナー搬送部材21の下端に対向するように回転自在に配され、図示しないモータ等により反時計回りに回転駆動される。これにより、トナー収容部29にあるトナーを所望する極性方向に帯電するとともに、帯電したトナーを被覆部材22に層厚を規制しながら供給する。なお、供給部材23に直流電源を接続しておいてもよい。また、供給部材23は、被覆部材22に摺接するとともに現像槽20の底面にも摺接しており、受部30に落下したトナーをトナー収容部29に回収するとともに、トナーが現像槽20外に漏れるのを防止している。
【0031】
除電部材25は、アルミニウム、鉄、銅などの金属、あるいはカーボンブラック、イオン系導電材を添加したウレタンゴム、シリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレン)等を材料とする除電ローラとされ、現像槽20の上部に被覆部材22を挟んでトナー搬送部材21と対向するように回転自在に配され、反時計回りに回転される。除電部材25は被覆部材22の除電を行うものであり、現像に寄与しなかったトナーをトナー収容部29に回収して、感光体1に対して常にリフレッシュした被覆部材22を供給することができる。
【0032】
クリーニング部材26は、ステンレス鋼、ニッケルコートした鉄、ウレタンやシリコンゴムなどの板状材料からなり、除電部材25よりもトナー搬送方向下流側に従動ローラ41と対向するように、かつ被覆部材22との接触端が移動方向と反対側に向かうように配される。なお、クリーニング部材26として、ローラ、ブラシを用いてもよい。これにより、被覆部材22上の残留トナーを掻き取り、クリーニングするとともに、トナーを再びトナー収容部29に戻す。
【0033】
ここで、クリーニング部材26として、カーボンブラックやイオン等の導電材をウレタンゴム、シリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレン)等に混ぜたものや、上記のステンレス鋼、ニッケルコートした鉄、アルミニウム、銅等の金属といった導電性材料を用いることにより、トナーを掻き取るだけでなく、被覆部材22の除電を行うように除電部材25を兼用してもよく、除電部材25を別途設ける必要がなくなる。
【0034】
また、トナー収容部29に、収容されたトナーの上面よりも高い位置から底面にかけて仕切り壁42が被覆部材22に沿って設けられ、被覆部材22がトナー収容部29から隔離される。この仕切り壁42により、クリーニングされた被覆部材22が供給部材23に達するまでに、その表面にトナーが付着するのを防止できる。
【0035】
次に、上記現像装置2による現像動作を説明する。トナー収容部29に収容されたトナーは、MXパドル24により撹拌され、供給部材23付近に供給される。供給部材23付近に存在するトナーは、供給部材23により帯電されて、トナー搬送部材21に供給される。この工程を経て帯電されたトナーは、トナー搬送部材21により形成される進行波電界によってトナー搬送部材21に直接触れることなく被覆部材22の表面上を矢印B方向に搬送され、現像領域Aで感光体1上の静電潜像の現像を行う。現像に寄与しなかったトナーは、さらにB方向に搬送され、除電部材25により被覆部材22上の電荷が除電され、被覆部材22に固着しているトナーがあれば、クリーニング部材26によって被覆部材22から取り去られ、トナー収容部29に再び戻る。
【0036】
このとき、被覆部材22は、トナー搬送方向と同じB方向にトナーの搬送速度に対してほぼ静止しているとみなされる程度に遅く駆動される。すなわち、被覆部材22の移動速度とトナー搬送速度との関係について、トナーを進行波電界により搬送するとともに被覆部材22を駆動する場合、トナー搬送速度に対して被覆部材22の移動速度を適切に設定しないと、均一なトナー搬送が行えなくなる。例えば、被覆部材22が移動すると、被覆部材22近傍に生ずる気流により搬送されているトナー(クラウド状のトナー)が乱され、不均一になるおそれがある。そこで、被覆部材22の移動速度は、トナー搬送速度に対してほぼ静止しているとみなされるレベルにて駆動制御するのが好ましく、例えばトナー搬送速度に対して10分の1程度に設定される。ここで、トナー搬送速度は、下記の文献に記載されているように、例えば赤外線センサーを2つ設け、それぞれのセンサーからのトナー検出信号によってトナーの到達した時間を検知する方法、あるいは高速度ビデオカメラを用いて計測することにより測定可能である(IS&Ts NIP 15:1999 International Conference on Digital Printing Technologies p.262−265 「Aspects of Toner Transport on a Traveling Wave Device」)。
【0037】
(第2実施形態)
本実施形態では、図6に示すように、除電部材25およびクリーニング部材26がトナー収容部29内において被覆部材22を挟んで駆動ローラ40と対向して設けられ、被覆部材22の移動方向に除電部材25、クリーニング部材26の順に供給部材23に近接して配される。その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0038】
これにより、除電およびクリーニング後のリフレッシュされた表面が現像領域Aまで移動する距離を短くすることができる。そのため、除電およびクリーニング後にトナー収容部29のトナー等によって被覆部材22の表面が帯電されるおそれがなくなり、リフレッシュされた表面を現像領域Aまで維持しながらトナーの搬送を行うことが可能となる。
【0039】
(第3実施形態)
本実施形態では、図7に示すように、被覆部材22の移動方向がトナー搬送方向と逆の矢印C方向になるように駆動ローラ40が回転駆動される。そして、除電部材25は、被覆部材22を挟んでトナー搬送部材21の上端に対向するように配置される。また、クリーニング部材26は、被覆部材22との接触端が移動方向と反対側に向かうように配される。なお、被覆部材22の移動速度は、上記実施形態と同じかあるいはそれよりも遅くする。その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0040】
これにより、現像領域Aに向かって表面が除電およびクリーニングされた被覆部材22が移動するので、現像領域Aにおいて被覆部材22の清浄な表面が対向することになり、安定した現像を行える。また、被覆部材22の除電、クリーニングを行う際に、例えば図6に示す現像装置2では、トナー収容部29のトナーが被覆部材22と除電部材25あるいはクリーニング部材26との間に入り込むおそれがあるが、上記構成においては、トナー収容部29のトナーが万が一被覆部材22に付着して搬送されてきても、クリーニング部材26によって掻き落とされるので、このような問題は生じない。
【0041】
ところで、トナー搬送部材21により搬送されてきた現像に寄与しなかったトナーが被覆部材22とクリーニング部材26とに囲まれた空間Dに溜まるおそれがある。そこで、クリーニング部材26を被覆部材22に対して離接する離接機構を設け、定期的に被覆部材22から離間させてクリーニング部材26と被覆部材22との間に溜まったトナーをトナー収容部29に戻すようにする。
【0042】
すなわち、離接機構として、図8に示すように、クリーニング部材26を保持する保持部材43が軸43a周りに回動自在に支持され、クリーニング部材26を被覆部材22に圧接する方向に付勢するバネ等の弾性部材(不図示)が設けられている。そして、図示しないモータにより回転駆動される偏心カム44がクリーニング部材26の近傍に設けられ、偏心カム44が矢印E方向に回転すると、クリーニング部材26は弾性部材により付勢されている方向と逆方向の力を受け、被覆部材22から離間する方向に回転し、空間Dに貯まっているトナーは落下し、トナー収容部29に戻される。偏心カム44が矢印F方向に回転すると、クリーニング部材26は被覆部材22に近接する方向に回転し、被覆部材22に圧接する。偏心カム44は、2つの係止部材45、46により、その可動範囲が設定されているので、クリーニング部材26の離接を確実に制御することができる。なお、クリーニング部材26をソレノイドによって直接被覆部材22に対して離接させてもよく、クリーニング部材26の離接機構は上記に限定されるものではない。
【0043】
また、このようなクリーニング部材26を複数段配置し、何れかのクリーニング部材26が常に被覆部材22に接触するようにし、被覆部材22に固着しているトナーを確実に除去するようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。各実施形態において、除電部材を設ける代わりに、駆動ローラあるいは従動ローラで除電を行うことも可能である。駆動ローラや従動ローラの材料として、アルミニウム、鉄、銅などの金属、またはカーボンブラック、イオン系導電材を添加したウレタンゴム、シリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレン)等の導電性材料を用い、被覆部材の裏面側に接触させるようにして、被覆部材の除電を行う。この場合、除電された被覆部材を速やかに現像領域に供給することのできる第2、3実施形態の現像装置に好適である。
【0045】
また、被覆部材は、無端ベルト状に限らず有限のベルト状にしてもよく、両端をリールに巻き付けて、移動させてもよい。このとき、画像形成のタイミングに合わせて移動方向を切換えて往復移動させれば、無端ベルト状と同じように繰り返し使うことができる。あるいは、被覆部材をシート状にして、往復移動させてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、進行波電界により現像剤を搬送する現像剤搬送部材の周面を被覆部材によって覆い、この被覆部材を移動させることにより、現像剤は直接現像剤搬送部材上を搬送されることがなくなり、現像剤搬送部材に対する帯電や現像剤の固着を防止することができる。したがって、現像剤搬送部材によって形成される電界が安定し、スムーズに現像剤を像担持体に向けて搬送することができ、安定した画像形成を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像装置を用いた画像形成装置の概略構成図
【図2】第1実施形態の現像装置の構成図
【図3】トナー搬送部材の構成図
【図4】トナー搬送部材に印加する電圧波形のタイミングチャート
【図5】被覆部材の厚さとトナー搬送部材の電極間ピッチとの関係を説明するための図
【図6】第2実施形態の現像装置の構成図
【図7】第3実施形態の現像装置の構成図
【図8】クリーニング部材の離接機構を示す図
【符号の説明】
1 感光体
2 現像装置
20 現像槽
21 トナー搬送部材(現像剤搬送部材)
22 被覆部材
23 供給部材
25 除電部材
26 クリーニング部材
27 開口部
29 トナー収容部
30 受部

Claims (13)

  1. 対向して配置された像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、
    所定の間隔を開けて並べられた複数の電極を有し、該電極に多相の交流成分を含む電圧を印加して進行波電界を形成し、この進行波電界により現像剤を前記像担持体に向けて搬送する現像剤搬送部材と、
    該現像剤搬送部材の周面を覆うとともに現像剤搬送部材に対して移動する被覆部材とを備え、該被覆部材上を現像剤が移動することを特徴とする現像装置。
  2. 被覆部材が無端ベルト状とされたことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
  3. 被覆部材の体積抵抗率が10〜1017Ω・cmであることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  4. 被覆部材の厚みをdmm、現像剤搬送部材の電極間のピッチをλmmとするとき、d<λとされたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  5. 被覆部材が現像剤搬送部材に密接されたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  6. 被覆部材は、進行波電界により搬送される現像剤に対してほぼ静止しているとみなされる程度の速度で移動することを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  7. 被覆部材の除電を行う除電部材が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  8. 被覆部材から現像に寄与しなかった現像剤を除去するクリーニング部材が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  9. クリーニング部材が導電性材料からなることを特徴とする請求項8記載の現像装置。
  10. 被覆部材の移動方向が現像剤の搬送方向とは逆方向とされたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の現像装置。
  11. 現像剤を収容する現像槽に、像担持体に向かって開口した開口部が形成され、該開口部に、現像剤を下方から上方に向かって搬送するように現像剤搬送部材が配され、前記開口部の下縁に、落下した現像剤を受ける受部が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  12. 現像剤を収容する現像槽に、像担持体に向かって開口した開口部が形成され、該開口部に現像剤搬送部材が配され、前記現像槽内に、被覆部材の除電を行う除電部材と、前記被覆部材から現像に寄与しなかった現像剤を除去するクリーニング部材とが設けられ、現像剤の搬送方向において前記除電部材の下流側に前記クリーニング部材が配されたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
  13. 現像剤を収容する現像槽に、像担持体に向かって開口した開口部が形成され、該開口部に現像剤搬送部材が配され、前記現像槽に、現像剤に電荷を付与することにより現像剤を帯電させるとともに無端ベルト状の被覆部材に現像剤を供給する供給部材と、前記被覆部材の除電を行う除電部材と、前記被覆部材から現像に寄与しなかった現像剤を除去するクリーニング部材とが設けられ、前記供給部材に近接して前記クリーニング部材および除電部材が配されたことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
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