JP3625956B2 - ロールカーテン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロールカーテンに関し、特に自動車のウインドウの内側に装備するのに適したロールカーテンであって、任意の引出し位置でカーテンを停止させたり、停止状態を解除したりする作動の確実性、信頼性を高めたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、自動車のウインドウの内側に装備して車室へ入ってくる太陽光を遮断したり光量を調節したりする為のロールカーテンを設けたいというニーズが少なくない。そこで、本願出願人は、先の出願(実開平1−68368号公報)において、自動車のサンルーフの内側に装備するのに適した自動車用サンシェード装置を提案した。このサンシェード装置は、布製のシェード本体と、このシェード本体の基端部が固着されシェード本体を巻取るように回動付勢された巻取軸と、シェード本体を任意長さ引き出した位置に巻取軸をロックしたり、ロック解除したりすることのできる特殊なカム・ラチェット機構とを有するものである。
【0003】
前記カム・ラチェット機構は、ラチェットホイールと、そのラチェット歯を係止可能なパウルと、このパウルを係止位置と係止解除位置とに切換えるためのカム機構とを有する。このカム機構は、カム体と、コントロールカムと、コントロールカムの回動範囲を規制するストッパと、カム体とコントロールカムとの相対回動範囲を規制する機構と、コントロールカムとカム体とをラチェットホイールの方へ付勢する皿バネ等で構成されている。
前記カム体は、ラチェットホイールとパウルとの係合を可能にする切欠き部と、係合を不能とする円弧状カム面とを有し、巻取軸に回転可能に支持されるとともに、ラチェットホイールの端面に摩擦係合するように構成してある。前記コントロールカムは、ラチェットホイールとパウルとの係合を可能にする切欠き部と、係合を不能とする円弧状カム面とを有し、巻取軸に回転可能に支持されるとともにカム体の端面に摩擦係合し、カム体に対して両切欠き部が合致する位置と合致しない位置との間で相対回動可能に取付けられている。
【0004】
本願の実施形態に係る図12(a)〜(e)は、前記公報の第11図に相当するカム・ラチェット機構の作動説明図であり、ラチェットホイール13、バネで付勢されているパウル26、カム体22、その切欠き部41、カム体22の突起43、コントロールカム23、その切欠き部35,36、コントロールカム23の突起39,40、ストッパ31,32、引出し方向a、巻取り方向bが図示されている。図12(a)のようにシェード本体を最大限巻き取った状態では、突起39がストッパ31で係止され、突起43が切欠き部36の端部で係止され、両切欠き部35,41が合致してパウル26からずれている。
【0005】
シェード本体を引出し方向aへ引き出し始めると、カム体22とコントロールカム23とがラチェットホイール13及び相互の摩擦により、同方向に回転して、図12(b)のようにパウル26がラチェットホイール13の歯13aに係合可能になる。さらに引き出しを続けるとコントロールカム23の突起40が軸受けケースに固定されたストッパ32と係合するのでコントロールカム23は停止し、カム体22だけがラチェットホイール13と同方向に回転する。そして、更に引き出すと、図12(c)のようにカム体22の突起43がコントロールカム23の切欠き部36の端縁に当接してカム体22の回転も停止するが、カム体22とラチェットホイール13は摩擦係合しているだけなので、所望の長さシェード本体を引出すことができる。そして、シェード本体を停止させる際には、巻取り方向bに少しシェード本体を巻き取らせると図12(c)の状態からカム体22とコントロールカム23とが一体になって回転し、コントロールカム23の突起39が軸受けケースのストッパ39と当接して停止した図12(d)の状態になり、さらにカム体22だけが回転してカム体22の切欠き部41とコントロールカム23の切欠き部35とが合致した図12(a)の状態になる。この状態から若干シェード本体を引き出すと、図12(b)の状態になるので、シェード本体から手を離してパウル26をラチェットホイール13の歯13aに係合させて図12(e)のようにロックさせることができる。
【0006】
ここで、前記公報のサンシェード装置のカム・ラチェット機構においては、カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面は、カム体の軸直交端面の全面に形成してあり、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面は、カム体の最内周側の環状部に形成してある。尚、カム体とコントロールカムとは皿バネでラチェットホイール側へ付勢されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のカム・ラチェット機構では、カム体とコントロールカムとの相対回動が必要であり、カム体がコントロールカムに追従作動するのではなく、巻取軸に追従作動することが必要である。しかし、長期間使用していると、カム体がコントロールカムに追従して回動したり、追従して停止して、ロック不能又はロック解除不能になることがあった。
【0008】
即ち、カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面は、カム体の軸直交端面の全面に形成してあるので、カム体とラチェットホイールとの間に、ダストや摩耗粉が入って蓄積し易く、そのような場合には、摩擦係数が低下してしまうため、カム体とラチェットホイール間の摩擦トルクが、カム体とコントロールカム間の摩擦トルクよりも小さくなり、カム体がコントロールカムに対して相対回動すべきときコントロールカムと一体的に停止したりする、という問題がある。
本発明の目的は、前記課題を解消し長期にわたって作動確実性を確保し得るようなロールカーテンを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1のロールカーテンは、可撓性のカーテンと、このカーテンの基端部が固着されカーテンを巻取る方向へ付勢された巻取軸と、この巻取軸の少なくとも一端側において巻取軸に固定され外周に複数の歯を有するラチェットホイールと、ラチェットホイールの歯に係合可能で係合方向へ回動付勢され係合時に巻取軸の巻取方向の回転を停止するパウルと、ラチェットホイールとパウルとの係合を可能にする切欠き部と係合を不能とする円弧状カム面とを有し巻取軸に回転可能に支持され且つラチェットホイールの軸直交端面の一部分に摩擦係合するカム体と、ラチェットホイールとパウルとの係合を可能にする切欠き部と係合を不能とする円弧状カム面とを有し巻取軸に回転可能に支持され且つカム体の端面の一部分に摩擦係合し且つカム体に対して両切欠き部が合致する位置と合致しない位置との間で相対回動可能に取付けられたコントロールカムと、このコントロールカムの回動範囲を規制するストッパと、カム体とコントロールカムとをラチェットホイール側へ付勢するバネ部材とを備え、前記カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面を、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面より外周側に形成したことを特徴とするものである。
【0010】
カーテンを巻取る方向ヘ回動付勢されている巻取軸にラチェットホイールが固定され、このラチェットホイールの歯にパウルを係合させると巻取軸がロックされる。カム体の切欠き部とコントロールカムの切欠き部とを合致させ、パウルに対応させると、パウルがラチェットの歯に係合可能となる。両切欠き部を合致しない位置にすると、カム体の円弧状カム面とコントロールカムの円弧状カム面とで円形カム面が形成されるので、パウルがラチェットの歯に係合不能になる。
両切欠き部がパウルに対応しない位置で合致している場合にも、パウルがラチェットの歯に係合不能になる。前記従来技術の欄で説明したのと同様に、カム体とコントロールカムとストッパとの協働により、カーテンを引出して所望の位置で停止させたり、その停止状態を解除してカーテンを巻取軸に巻き取らせたりすることができる。
【0011】
ここで、バネ部材の付勢力で、コントロールカムをカム体に押圧する押圧力とカム体をラチェットホイールヘ押圧する押圧力とは等しい。しかし、カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面を、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面より外周側に形成したので、コントロールカムとカム体間に作用する摩擦トルクよりも、カム体とラチェットホイール間に作用する摩擦トルクの方が大きくなる。それ故、カム体がコントロールカムに追従作動するよりもラチェットホイールに追従作動しやすくなる。
【0012】
つまり、カム体がコントロールカムに対して相対回動すべきときにコントロールカムと一体的に停止することが無くなって、カム体とコントロールカムの作動確実性が向上し、ロールカーテンの作動確実性、信頼性が向上する。しかも、カム体がラチェットホイールの端面の一部に摩擦係合するだけであるので、ダストや摩耗粉の影響による摩擦特性の変動が生じにくくなるうえ、ダストや摩耗粉の摩擦係合面外への排出も促進される。
【0013】
また、このロールカーテンは、前記カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面が、カム体の端面のうちの外周側約半幅部の範囲内において半径方向に狭幅の環状に形成されたことを特徴とするものである。
カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面までの半径が大きくなるので、摩擦トルクが大きくなり、摩擦トルクが大きくなる分だけダストや摩耗粉の影響が相対的に軽減され、しかもダストや摩耗粉が外部へ排出されやすくなり、安定した摩擦特性になる。
【0014】
さらに、このロールカーテンは、前記カム体のコントロールカムとの摩擦係合面が、コントロールカムの端面のうちの内周側部分に凹設した環状凹部の奥端面に摩擦係合するように形成されたことを特徴とするものである。それ故、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面までの半径が小さくなるため、コントロールカムとカム体間の摩擦トルクが小さくなり、また、摩擦係合面をコントロールカムの端面のうちの内周側部分に凹設した環状凹部の奥端面に摩擦係合するように形成したので、ダストや摩耗粉の侵入を抑制して、それらの影響を受けにくくなり、安定した摩擦特性になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、自動車のサイドのウインドウの内側に装備して太陽光を遮断したり光量を調節したりするロールカーテンに本発明を適用した場合の例である。
図1〜図3に示すように、ロールカーテン1は、可撓性の布からなるカーテン2と、カーテン2の基端部が固着されカーテン2を巻き取る巻取軸3と、巻取軸3の内部に挿通された軸部材4と、軸部材4に対して巻取軸3を巻取り方向へ付勢する捩じりバネ5と、軸部材4に外嵌されて捩じりバネ5との衝突音を緩和する為の合成樹脂製の緩衝部材6と、巻取軸3の上半部の外側を覆うカバー7と、巻取軸3の左端側部分に設けられ巻取軸3の一部を構成するラチェット部材10と、ラチェット部材10のラチェットホイール13を含むカム・ラチェット機構14と、このカム・ラチェット機構14の外側を囲繞する軸受けケース15と、巻取軸3の右端側の軸受けケース16等を備えている。尚、カバー7には、ロールカーテン1を車体に取付ける為の1対の取付金具7aが固定されている。
【0016】
カーテン2の先端部には、ウェイト及び操作部としての芯材2aが取付けられている。巻取軸3は、筒体17と、筒体17の左端部に固定されたラチェット部材10と、筒体17の右端に固着された軸受部材18とで構成され、巻取軸3の左端側部分は軸部材4に回動自在に支持され、巻取軸3の右端側部分は軸受けケース16の軸部16aに回動自在に外嵌合されている。
軸部材4はラチェット部材10を回動自在に挿通し、軸部材4の左端部の偏平部4aが軸受けケース15のボス部15aに回動不能に嵌められている。捩じりバネ5の左端部は巻取軸3に相対回動不能に連結され、捩じりバネ5の右端部は軸部材4の右端部に固定され、その軸部材4の右端部は自由端に構成してある。
【0017】
こうして、巻取軸3は、捩じりバネ5により巻取り方向(図1の矢印B方向)へ付勢され、カーテン1を最大の展開状態から自動的に巻取り可能にしてある。軸受けケース15,16には、カバー7の端部を受容する円弧溝19,20が夫々形成され、カバー7の左端部を円弧溝19に挿入するとともに、カバー7の右端部を円弧溝20に挿入した状態で、軸受けケース15,16がカバー7にビスで固定され、左右の軸受けケース15,16間の間隔が所定間隔に保持されている。 尚、軸受けケース15の下部には、カーテン2の左端部を案内するガイド部15dが一体形成され、軸受けケース16の下部には、カーテン2の右端部を案内するガイド部16dが一体形成されている。
【0018】
次に、カム・ラチェット機構14の構造について説明する。
図2に示すように、ラチェット部材10は、軸部11と、フランジ部12と、外周部に複数の歯13aを形成してなるラチェットホイール13とを有する。ラチェットホイール13の左側において、軸部材4には鍔付きスリーブ21が外嵌され、鍔付きスリーブ21には、ラチェットホイール13の左側に隣接するカム体22と、カム体22の左側に隣接するコントロールカム23とが回動自在に外嵌されている。カム体22とコントロールカム23とをラチェットホイール13側へ付勢する皿バネ24も鍔付きスリーブ21に外嵌され、皿バネ24は鍔付きスリーブ21の鍔部21aで受け止められている。
尚、鍔付きスリーブ21には軸方向向きの複数のスリットが形成され、カム体22、コントロールカム23、及び皿バネ24を外嵌する際にはスリットの間隔を縮めることによって鍔部21aの径を縮小させて外嵌できるようにしてある。
【0019】
図2、図4〜図7に示すように、パウル部材25は、軸受けケース15に回動自在に枢支される支軸部27a,27bと、ラチェットホイール13の歯13aに係合可能で、その歯13aとカム体22とコントロールカム23の合計幅以上の幅を持つパウル26と、パウル26から左方へ延び軸受けケース15の円弧穴29から外部へ突出する操作部28とを一体形成したものである。パウル部材25は、捩じりバネ30により歯13aと係合する方向へ回動付勢されている。
軸受けケース15の端壁15bの内面には、約120度の開角となる2つのストッパ31,32と、パウル部材25の支軸部27aを支持する枢支穴33とが形成され、軸受けケース15の周壁15cの下部内側には、パウル部材25の支軸部27bを支持する枢支部34が形成されている。
【0020】
図2、図8、図9に示すように、コントロールカム23は合成樹脂製のほぼ円板状のものである。コントロールカム23には、パウル26をラチェットホイール13の歯13aに係合可能にする開角約40度の切欠き部35と、中心に対して切欠き部35と反対側に位置する開角約65度の切欠き部36と、切欠き部35,36以外の所の外周部に位置しパウル26とラチェットホイール13との係合を不能とする円弧状カム面37,38とが形成されている。コントロールカム23の左端面には切欠き部35の端部に位置する突起39と、切欠き部35に対して突起39と反対側に位置する突起40とが形成されている。
【0021】
図2、図10、図11に示すように、カム体22は合成樹脂製のほぼ円板状のものである。カム体22には、パウル26をラチェットホイール13の歯13aに係合可能にする開角約30度の切欠き部41と、切欠き部41以外の所の外周部に位置しパウル26とラチェットホイール13との係合を不能とする円弧状カム面42とが形成されている。切欠き部41の片方の端縁は円弧状端縁41aに形成されている。カム体22の左端面にはコントロールカム23の切欠き部36に遊嵌される突起43が形成されている。
【0022】
カム体22の右端面の半径方向途中部には右方へ突出し半径方向へ狭幅の環状凸部44が形成され、その環状凸部44の右端面にラチェットホイール13の軸直交端面と摩擦係合する環状の摩擦係合面44aが形成されている。尚、前記摩擦係合面44aの位置は前記の位置に限る訳ではないが、カム体22とラチェットホイール13間に作用する摩擦トルクを、カム体22とコントロールカム23間に作用する摩擦トルクよりも大きくする為に、摩擦係合面44aは、カム体22の右端面のうちの外周側約半幅部の範囲内に形成することが望ましい。
【0023】
コントロールカム23の右端面のうちの内周側部分には環状凹部46が形成され、カム体22の左端面のうちの最内周部には左方へ突出し半径方向へ狭幅の環状凸部45が形成され、この環状凸部45の左端面に、コントロールカム23の環状凹部46の奥端面と摩擦係合する摩擦係合面45aが形成されている。
カム体22とラチェットホイール13間の摩擦トルクが、カム体22とコントロールカム23間の摩擦トルクよりも大きくなるように、つまり、カム体22がコントロールカム23に追従作動するよりもラチェットホイール13に一層強力に追従作動するように、カム体22のラチェットホイール13との摩擦係合面44aが、カム体22のコントロールカム23との摩擦係合面45aよりも外周側に形成されている。
【0024】
以上説明したロールカーテン1の作用について、図12を参照して説明する。
図12(a)〜(e)は、カム・ラチェット機構14を左方から視た状態の作動説明図であり、カーテン2を引き出す際にはラチェット部材10が引出し方向aへ回転し、カーテン2を巻き取る際にはラチェット部材10が巻取り方向bへ回転する。そして、ラチェット部材10が回転するとき、カム体22は切欠き部36で許容される範囲内でラチェットホイール13に追従して回動し、コントロールカム23はストッパ31,32で許容される範囲内でカム体22に追従して回動する。カム体22とラチェットホイール13間の摩擦トルクが、カム体22とコントロールカム23間の摩擦トルクよりも大きいため、カム体22がコントロールカム23に追従作動するよりもラチェットホイール13に一層強力に追従作動する。
【0025】
図12(a)はカーテン2を巻き取ったときの状態を示し、この状態では突起39がストッパ31で係止され、突起43が切欠き部36の端部で係止され、両切欠き部35,41が合致してパウル26からずれている。
カーテン2を引出し方向aへ引き出し始めると、カム体22とコントロールカム23とがラチェットホイール13及び相互の摩擦により、同方向に回転して、図12(b)のようにパウル26がラチェットホイール13の歯13aに係合可能になる。さらに引き出しを続けるとコントロールカム23の突起40が軸受けケースに固定されたストッパ32と係合するのでコントロールカム23は停止し、カム体22だけがラチェットホイール13と同方向に回転する。そして、更に引き出すと、図12(c)のようにカム体22の突起43がコントロールカム23の切欠き部36の端縁に当接してカム体22の回転も停止するが、カム体22とラチェットホイール13は摩擦係合しているだけなので、所望の長さカーテン2を引出すことができる。
【0026】
そして、カーテン2を停止させる際には、巻取り方向bに少しカーテン2を巻き取らせると図12(c)の状態からカム体22とコントロールカム23とが一体になって回転し、コントロールカム23の突起39が軸受けケースのストッパ39と当接して停止した図12(d)の状態になり、さらにカム体22だけが回転してカム体22の切欠き部41とコントロールカム23の切欠き部35とが合致した図12(a)の状態になる。この状態から若干カーテン2を引き出すと、図12(b)の状態になるので、カーテン2から手を離してパウル26をラチェットホイール13の歯13aに係合させて図12(e)のようにロックさせることができる。
【0027】
ここで、皿バネ24の付勢力で、コントロールカム23をカム体22に押圧する押圧力と、カム体22をラチェットホイール13ヘ押圧する押圧力とは等しい。しかし、カム体22のラチェットホイール13との摩擦係合面44aを、カム体22のコントロールカム23との摩擦係合面45aより外周側に形成したので、カム体22とコントロールカム23間に作用する摩擦トルクよりも、カム体22とラチェットホイール13間に作用する摩擦トルクの方が大きくなる。それ故、カム体22がコントロールカム23に追従作動するよりもラチェットホイール13に追従作動しやすくなる。
【0028】
つまり、カム体22がコントロールカム23に対して相対回動すべきときにコントロールカム23と一体的に停止することが無く、カム体22とコントロールカム23の作動確実性が向上し、ロールカーテン1の作動確実性、信頼性が向上する。しかも、カム体22がラチェットホイール13の端面の一部に摩擦係合するだけであり、カム体22とラチェットホイール13間に隙間があるので、ダストや摩耗粉の影響で摩擦特性が変動しにくくなるうえ、ダストや摩耗粉の外部への排出も促進される。
【0029】
カム体22のラチェットホイール13との摩擦係合面44aが、カム体22の端面のうちの外周側約半幅部の範囲内において半径方向に狭幅の環状に形成されているため、摩擦係合面44aまでの半径が大きくなるので、摩擦トルクが大きくなり、摩擦トルクが大きくなる分だけダストや摩耗粉の影響が相対的に軽減され、ダストや摩耗粉が摩擦係合面外へ排除されやすくなり、安定した摩擦特性になる。カム体22のコントロールカム23との摩擦係合面45aを、コントロールカム23の端面のうちの内周側部分に凹設した環状凹部46の奥端面に摩擦係合するように形成したため、摩擦係合面45aまでの半径が小さくなり、コントロールカム23とカム体22間の摩擦トルクが小さくなる。そして、摩擦係合面45aを環状凹部46の奥端面に摩擦係合するように形成し、カム体22とコントロールカム23間に隙間を形成したので、ダストや摩耗粉の侵入が抑制され、それらの影響を受けにくくなり、安定した摩擦特性になる。
【0030】
次に、カム体22とコントロールカム23の構造を部分的に変更した例について説明する。図13に示すように、コントロールカム23Aの内周側部分には、筒軸部47が一体形成されるとともに、筒軸部47の左端部外周部に位置する環状凸部48が形成されている。カム体22Aの右端面には、外周付近に位置する環状凸部44Aが形成され、その環状凸部44Aの右端面にカム体22Aのラチェットホイール13との摩擦係合面44bが形成される。また、カム体22Aの左端面の内周側部分には、環状凸部48に摩擦係合する摩擦係合面45bが、カム体22Aのコントロールカム23Aとの摩擦係合面として形成される。
この構造では、基本的に前記と同様の作用・効果を奏するが、カム体22Aとコントロールカム23A間の隙間が大きくなっているので、ダストや摩耗粉の排出を一層促進できる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1のロールカーテンにおいては、カム体をラチェットホイールの軸直交端面の一部に摩擦係合させ、コントロールカムをカム体の端面の一部に摩擦係合させるとともに、カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面を、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面より外周側に形成したので、コントロールカムとカム体間に作用する摩擦トルクよりも、カム体とラチェットホイール間に作用する摩擦トルクの方が大きくなる。それ故、カム体がコントロールカムに追従作動するよりもラチェットホイールに追従作動しやすくなる。
【0032】
その結果、カム体がコントロールカムに対して相対回動すべきときにコントロールカムと一体的に停止するすることが無くなって、カム体とコントロールカムの作動確実性が向上し、ロールカーテンの作動確実性、信頼性が向上する。しかも、カム体がラチェットホイールの端面の一部に摩擦係合するだけであるので、ダストや摩耗粉の影響で摩擦特性が変動しにくくなるうえ、ダストや摩耗粉の摩擦係合面外への排出も促進される。
【0033】
また、前記カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面を、カム体の端面のうちの外周側約半幅部の範囲内において半径方向に狭幅の環状に形成したので、カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面までの半径が大きくなるから、摩擦トルクが大きくなり、摩擦トルクが大きくなる分だけダストや摩耗粉の影響が相対的に軽減され、ダストや摩耗粉が摩擦係合面外へ排出されやすくなり、安定した摩擦特性になる。
【0034】
さらに、前記カム体のコントロールカムとの摩擦係合面を、コントロールカムの端面のうちの内周側部分に凹設した環状凹部の奥端面に摩擦係合するように形成したので、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面までの半径が小さくなるため、コントロールカムとカム体間の摩擦トルクが小さくなり、また、摩擦係合面へのダストや摩耗粉の侵入を抑制して、それらの影響を受けにくくし、安定した摩擦特性にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るロールカーテンの斜視図である。
【図2】ロールカーテンの左端側部分の縦断面図である。
【図3】ロールカーテンの右端側部分の縦断面図である。
【図4】左側の軸受けケース等の右側面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】パウル部材の正面図である。
【図7】パウル部材の左側面図である。
【図8】コントロールカムの左側面図である。
【図9】コントロールカムの正面図である。
【図10】カム体の左側面図である。
【図11】カム体の正面図である。
【図12】(a)〜(d)はカム・ラチェット機構の作動の各状態を説明する説明図である。
【図13】変更形態に係るカム体とコントロールカムの断面図である。
【符号の説明】
1 ロールカーテン
2 カーテン
3 巻取軸
13 ラチェットホイール
22,22A カム体
23,23A コントロールカム
24 皿バネ
25 パウル部材
26 パウル
31,32 ストッパ
35,36 切欠き部
37,38 円弧状カム面
39,40 突起
41 切欠き部
42 円弧状カム面
43 突起
44,44A 環状凸部
44a,44b 摩擦係合面
45 環状凸部
45a,45b 摩擦係合面
46 環状凹部

Claims (1)

  1. 可撓性のカーテンと、
    このカーテンの基端部が固着されカーテンを巻取る方向へ付勢された巻取軸と、
    この巻取軸の少なくとも一端側において巻取軸に固定され外周に複数の歯を有するラチェットホイールと、
    ラチェットホイールの歯に係合可能で係合方向へ回動付勢され係合時に巻取軸の巻取方向の回転を停止するパウルと、
    ラチェットホイールとパウルとの係合を可能にする切欠き部と係合を不能とする円弧状カム面とを有し巻取軸に回転可能に支持され且つラチェットホイールの軸直交端面の一部分に摩擦係合するカム体と、
    ラチェットホイールとパウルとの係合を可能にする切欠き部と係合を不能とする円弧状カム面とを有し巻取軸に回転可能に支持され且つカム体の端面の一部分に摩擦係合し且つカム体に対して両切欠き部が合致する位置と合致しない位置との間で相対回動可能に取付けられたコントロールカムと、
    このコントロールカムの回動範囲を規制するストッパと、
    カム体とコントロールカムとをラチェットホイール側へ付勢するバネ部材とを備え、
    前記カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面を、カム体のコントロールカムとの摩擦係合面より外周側に形成し、
    前記カム体のラチェットホイールとの摩擦係合面が、カム体の端面のうちの外周側約半幅部の範囲内において半径方向に狭幅の環状に形成され、
    さらに、前記カム体のコントロールカムとの摩擦係合面が、コントロールカムの端面のうちの内周側部分に凹設した環状凹部の奥端面に摩擦係合するように形成されたことを特徴とするロールカーテン。
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