JP3625784B2 - インバータ装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハーフブリッジ型のインバータ主回路を備えたインバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、誘導加熱調理器にあっては、インバータ装置から負荷である加熱コイルに高周波電流を供給することにより、鍋などの調理器具に誘導電流を発生させ、その誘導電流によるジュール熱によって加熱動作を行う構成となっている。この場合、調理器具には、回生電流が比較的少ないもの(例えばホーロー鍋、鉄鍋)と、これに比べて回生電流が多いもの(例えば非磁性ステンレス鍋)とが存在するが、回生電流が相対的に多く流れる状態は、調理器具において熱エネルギとして消費される電流分が少ないということであり、入力電流に対する加熱出力の割合が小さくなることを意味する。
このため、例えば、非磁性ステンレス鍋の使用時において、ホーロー鍋の使用時と同等の入力電流を得ようとすると、ホーロー鍋の場合に比べて回生電流値が増える結果、相対的に大きな入力電流が必要となる。ところが、このように入力電流値が大きくなると、インバータ装置を構成するスイッチング素子に流れる電流が増大してその温度上昇が大きくなるため、そのスイッチング素子が熱破壊する恐れが出てくる。そこで、従来の誘導加熱調理器に用いられるインバータ装置においては、その動作時における回生電流を検出すると共に、検出した回生電流値が予め設定した制限値以上となったときに入力電流を所定レベル以下に制限するという入力電流制限機能を設け、以てスイッチング素子の熱破壊を未然に防止することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、誘導加熱調理器に使用可能な調理器具の材質及び構造が多様化しており、従来の主流であったホーロー鍋や非磁性ステンレス鍋に加えて、磁性ステンレス(クロム系ステンレス)、炭素鋼、鉄、アルミニウム、銅などを張り合わせた多層構造の鍋が提供されている。具体的には、磁性ステンレス−アルミニウム−磁性ステンレスの3層構造、磁性ステンレス−鉄−磁性ステンレスの3層構造、鉄−アルミニウム−鉄の3層構造、アルミニウム−磁性ステンレスの2層構造、非磁性ステンレス3層・磁性ステンレス1層・アルミニウム2層・アルミニウム合金1層を組み合わせた7層構造、非磁性ステンレス3層・磁性ステンレス3層・アルミニウム2層・アルミニウム合金1層を組み合わせた9層構造など、多種多様な構造の鍋が提供されている。これらの鍋の中には、回生電流が前記ホーロー鍋や非磁性ステンレス鍋に比べて大きくなるもの(特には磁性ステンレスが使用されているもの)が存在するが、斯様な鍋を、前述した入力電流制限機能が設けられたインバータ装置を備えた誘導加熱調理器で使用した場合には、入力電流が十分に高くなる前に回生電流のピーク値が前記制限値以上となって、実際の入力電流が比較的低いレベル以下に制限されてしまう。このため、回生電流が制限値以上となった場合に入力電流を制限してスイッチング素子の保護を図るようにした従来のインバータ装置では、誘導加熱調理器の定格最大入力が十分に高く設定されている場合でも、加熱対象の鍋の種類の如何によっては加熱出力の不足を来たすことがあり、この点が未解決の課題となっていた。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インバータ主回路を構成するスイッチング素子が回生電流の増大に伴い熱破壊する事態を抑止しつつ大出力を得ることが可能になるインバータ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のインバータ装置は、上記目的を達成するために、商用交流電源を整流して直流電源を生成する整流回路と、この整流回路が生成する直流電源が供給される一対の直流母線と、この直流母線間に接続される平滑コンデンサと、前記直流母線間に接続され、負荷を駆動するハーフブリッジ型のインバータ主回路と、このインバータ主回路を構成する正側及び負側スイッチング素子にオンオフ信号を出力して負荷の駆動を制御する制御手段と、前記インバータ主回路の動作により前記平滑コンデンサに流れる高周波電流を検出する高周波電流検出手段と、この高周波電流検出手段が検出する高周波電流並びに前記正側及び負側スイッチング素子のオンオフタイミングに基づいて前記平滑コンデンサに流れ込む回生電流値を検出する回生電流値検出手段と、前記インバータ主回路の入力電流値を検出する入力電流値検出手段とを備えた上で、
前記制御手段を、前記入力電流値検出手段が検出する入力電流値が所定の上限電流値を越えて増大した時点で前記回生電流値検出手段が検出する回生電流値が予め設定された制限値を越えている場合に、その入力電流値を前記上限電流値以下に低下させるように前記オンオフ信号を出力すると共に、前記入力電流値検出手段が検出する入力電流値が前記上限電流値を越えて増大した時点で前記回生電流値検出手段が検出する回生電流値が前記制限値以下であった場合に、その後に上記検出回生電流値が前記制限値を越えたときに当該回生電流値が前記制限値を下回るまで入力電流値を減少させるように前記オンオフ信号を出力する構成としたものである。
【0006】
この構成によれば、インバータ主回路により負荷が駆動された状態では、高周波電流検出手段が、そのインバータ主回路の動作に応じて平滑コンデンサに流れる高周波電流を検出するようになり、また、回生電流値検出手段が、このように検出された高周波電流並びにインバータ主回路を構成する正側及び負側スイッチング素子のオンオフタイミングに基づいて平滑コンデンサに流れ込む回生電流値を検出するようになり、さらに、入力電流値検出手段がインバータ主回路の入力電流値を検出するようになる。
【0007】
このとき、制御手段は、負荷の駆動開始後において、入力電流値検出手段が検出する入力電流値が所定の上限電流値を越えて増大したときには、その時点で回生電流値検出手段により検出された回生電流値が予め設定された制限値を越えている場合に、入力電流値を前記上限電流値以下に低下させるようにオンオフ信号を出力するようになり、これにより入力電流制限が行われる。また、制御手段は、入力電流値検出手段により検出された入力電流値が前記上限電流値を越えて増大した時点において回生電流値検出手段が検出する回生電流値が前記制限値以下であった場合には、そのまま入力電流値の増大を許容し、その後において上記検出回生電流値が制限値を越えたときには、当該回生電流値が前記制限値を下回るまで入力電流値を減少させるように前記オンオフ信号を出力するようになり、これにより回生電流の制限及びこれに伴う入力電流制限が行われる。
要するに、インバータ主回路の動作時においては、入力電流値を最低でも上限電流値に対応したレベルまで上げることができ、また、入力電流値が上限電流値を越えたときには、回生電流値が予め設定された制限値以下のときのみ入力電流値の増大が許容され、その入力電流値の増大に応じて回生電流値が制限値を越えたときには、当該回生電流値が制限値を下回るまで入力電流値が減少されることになる。この結果、回生電流値が異常に大きくなる事態を確実に防止できると共に、入力電流値を極力大きくできるものであり、以てインバータ主回路を構成するスイッチング素子が回生電流の増大に伴い熱破壊する事態を抑止しつつ大出力を得ることが可能になる。
【0008】
この場合、前記制御手段に設定される前記制限値を、前記入力電流値の大きさと無関係な一定の値とすることができる(請求項2)。
この構成によれば、入力電流値が上限電流値を越えて増えた場合に、回生電流値が一定の制限値以下に抑制されることになるから、入力電流の増大に伴い回生電流が限度以上に増大する事態を確実に防止できるようになる。
【0009】
また、上記制限値を、前記入力電流値の増大に応じて比例的に増大する値とすることもできる(請求項3)。
この構成によれば、入力電流値が上限電流値を越えて増えた場合に、入力電流値の制限が開始されるときの回生電流値を決めるための制限値が当該入力電流値の増大に応じて次第に大きくなるから、入力電流値を増大させることが要求される場合に有益となる。
【0010】
請求項4記載のインバータ装置のように、前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を備えた上で、その温度検出手段による検出温度が高くなるのに応じて前記制限値を低い値に変更する構成としても良い。
この構成によれば、スイッチング素子の温度が高くなってその負担が大きくなった状態では、入力電流値の制限が開始されるときの回生電流値を決めるための制限値が引き下げられることになるから、スイッチング素子の熱破壊を防止する上で有益となる。
【0011】
さらに、請求項5記載のインバータ装置のように、前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を備えた上で、その温度検出手段による検出温度が高くなるのに応じて前記上限電流値を低い値に変更する構成としても良い。
この構成によれば、スイッチング素子の温度が高くなってその負担が大きくなった状態では、回生電流値が制限値以上ある状態での入力電流値の許容最大値を決めるための上限電流値が引き下げられることになるから、スイッチング素子の熱破壊を防止する上で有益となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を誘導加熱調理器に適用した場合の一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、誘導加熱調理器の電気的構成を示す図である。この図1において、ダイオードブリッジで構成される整流回路1の交流入力端子は、商用交流電源2に接続されており、直流出力端子は、リアクタ3を介して平滑コンデンサ4の両端に接続されている。
【0013】
平滑コンデンサ4の両端には、直流母線5、6を介して、正側及び負側のIGBT(正側スイッチング素子)7及びIGBT(負側スイッチング素子)8から成るアームが接続されており、以てハーフブリッジ型のインバータ主回路9を構成している。IGBT7及び8の各コレクタ・エミッタ間には、フリーホイールダイオード10及び11がそれぞれ接続されている。インバータ主回路9の出力端子9aには、加熱コイル(負荷)12の一端が接続されており、加熱コイル12の他端と直流母線6との間には、共振コンデンサ13と図示極性のダイオード14との並列回路が接続されている。
【0014】
また、出力端子9aには、スナバコンデンサ15の一端が接続されており、スナバコンデンサ15の他端は、IGBT16のコレクタ・エミッタ間を介して直流母線6に接続されている。さらに、IGBT16のコレクタ・エミッタ間には、フリーホイールダイオード17が接続されている。これらは、所謂スナバ回路を構成しており、インバータ主回路9の動作時におけるスイッチング損失を減少させるために設けられている。
【0015】
マイクロコンピュータなどを中心として構成される出力制御回路(制御手段)18には、発振回路19が出力する所定周波数の発振信号が与えられると共に、操作部20が出力する入力電流調整信号が与えられるようになっている。そして、平滑コンデンサ4の充放電路には、その充放電路を一次側とした電流トランス(高周波電流検出手段)21が設けられており、その電流トランス21の二次側出力電圧は、電流検出回路(入力電流値検出手段、回生電流値検出手段)22を介して出力制御回路18に与えられる構成となっている。
【0016】
出力制御回路18は、フォトカプラなどで構成される駆動回路23を介してIGBT7、8、16の各ゲートにゲート信号(オンオフ信号)を出力するようになっている。また、そのゲート信号と同じタイミング信号が、電流検出回路22にも与えられるようになっている。
【0017】
電流トランス21は、平滑コンデンサ4に流入する高周波電流を検出するために設けられており、電流検出回路22は、電流トランス21の二次側出力電圧(平滑コンデンサ4に流れる高周波電流のレベルを示す)を、出力制御回路18から与えられるタイミング信号に基づいて後述のように検出することにより入力電流値及び回生電流値を判定し、判定した電流値に応じた検出電圧をA/D変換して出力制御回路18に与えるようになっている。そして、出力制御回路18は、上記入力電流検出電圧及び回生電流検出電圧並びに操作部20からの入力電流調整信号に基づいて、各IGBT7、8、16に対するゲート信号の出力タイミングを調整するようになっている。以上がインバータ装置を構成している。
【0018】
加熱コイル12の上には、トッププレート24を介して鍋25が載置されるもので、このような載置状態において、加熱コイル12に対してインバータ主回路9から例えば、21.5kHzの高周波電流を供給し、これにより鍋25に電流(渦電流)を誘導してジュール熱による加熱動作を行うようになっている。
【0019】
インバータ主回路の負側のIGBT8は、一周期中の後半で常に50%デューティでオンされるようになっており、出力制御回路18は、操作部20における入力電流調整信号の設定に応じて、加熱コイル12に対する電流の供給量を、正側のIGBT7の一周期中前半のオン時間デューティを0〜50%未満の間で変化させることで制御するようになっている。
【0020】
図2は、インバータ装置を動作させて誘導加熱調理を行う場合における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図2(a)、(b)は、IGBT7、8のオンオフタイミングを示すものであり、出力制御回路18が出力するゲート信号の出力タイミングと略同じである。インバータ装置の動作は、次の4つのサイクルから成る。
▲1▼IGBT7:オン/IGBT8:オフ
加熱コイル12に電流を供給すると共に、共振コンデンサ13を充電する。
▲2▼IGBT7:オフ/IGBT8:オフ
加熱コイル12の遅れ電流によって、更に共振コンデンサ13を充電する。
▲3▼IGBT7:オフ/IGBT8:オン
共振コンデンサ13を放電させて、加熱コイル12に逆方向の電流を流す。
▲4▼IGBT7:オフ/IGBT8:オフ
加熱コイル12の遅れ電流を、フリーホイールダイオード10を介して電源側に回生させる。
以上のサイクルを繰返すことによって、加熱コイル12に高周波電流を供給する。
【0021】
また、出力制御回路18は、▲3▼でIGBT8がオンしてから、次の周期の▲1▼でIGBT7がオンしてオフするまでの期間に合わせたタイミング信号VG2を内部で作成し(図2(c)参照)、そのタイミング信号VG2を僅かな時間遅延させた信号をスナバ回路のIGBT16のためのゲート信号として出力し、当該IGBT16をオンオフさせる(図2(d)参照)。
【0022】
この場合、平滑コンデンサ4には、図2(e)に示すように高周波電流(周波数21.5kHz)が流れる。尚、図2(e)では、平滑コンデンサ4に電流が流入する(充電)方向を“+”と定義し、平滑コンデンサ4から電流が流出する(放電)方向を“−”と定義している。
【0023】
即ち、期間▲1▼でIGBT7がオンすると、加熱コイル12に電流が供給されるので、その電流分の電荷が平滑コンデンサ4から放電されて電流が流出する。次の期間▲2▼及び▲3▼では、リアクタ3を介して平滑コンデンサ4に略一定の充電電流が流れる。
【0024】
この期間に流れる充電電流は、期間▲1▼で加熱コイル12に供給した電流に等しく、IGBT7のオン時間が長くなると、それに応じて前記充電電流値も増加する。従って、この期間における電流値Ia(図2(e)参照)を得ると、予め求めておいた入力電流値との相関関係から入力電流値に応じた電圧レベルの入力電流検出電圧を出力することができる。
【0025】
具体的には、電流検出回路22は、電流値Iaと入力電流値との相関関係をデータテーブルとして保有している。そして、電流検出回路22は、出力制御回路18から与えられるタイミング信号から、IGBT8のオン期間中において(即ち、期間▲3▼に相当)電流トランス21が検出する電流値Iaを得ると、その電流値Iaから前記データテーブルに基づいて入力電流値に応じた電圧レベルの入力電流検出電圧を出力する。
【0026】
また、回生電流は、期間▲4▼において平滑コンデンサに流れ込むので、この期間における電流の最大値Ib(図2(e)参照)を求めれば、入力電流値と同様に、予め求めておいた相関関係から回生電流値に応じた電圧レベルの回生電流検出電圧を出力することができる。
【0027】
具体的には、電流検出回路22は、電流値Ibと回生電流値との相関関係をデータテーブルとして保有しており、出力制御回路18から与えられるタイミング信号から、IGBT8のオフ時点から次のIGBT7のオン時点までの期間において(即ち、期間▲4▼に相当)電流トランス21が検出する電流値Ibを得ると、その電流値Ibから前記データテーブルに基づいて電流値Ibに対応する電流値を得る。
【0028】
ここで、電流値Ibに対応する電流値は入力電流値を含んでいるので、電流値Ibに対応する電流値から入力電流値を差し引いたもの(即ち、図2(e)に示す電流値Icに対応する電流値)を回生電流値に応じたレベルの回生電流検出電圧として出力する。
【0029】
一方、出力制御回路18は、電流検出回路22が検出した入力電流値(入力電流検出電圧)及び回生電流値(回生電流検出電圧)に基づいて、負荷たる鍋25の加熱制御を当該鍋25の材質に合わせた形態で行う。
【0030】
このような加熱制御の内容を説明するのに先立って、鍋25の材質とインバータ主回路9の動作時に発生する回生電流との関係を説明しておく。即ち、図3は、鍋25の材質が異なる場合に、横軸に入力電力(入力電流検出電圧により示される入力電流値に相当)をとり、縦軸に回生電流検出電圧(回生電流値に相当)をとった場合の測定結果を示すものである。この場合、図3中の曲線a〜gは、鍋25として以下に述べるサンプルa〜gを使用した各場合の測定結果を示す曲線である。
【0031】
サンプルa:直径24cmの一般的な鉄鍋、
サンプルb:非磁性ステンレス製の一般的なやかん(2リットル)、
サンプルc:T社(日本)製のフライパン、アルミニウム−磁性ステンレスの2層構造
サンプルd:t社(フランス)製のフライパン、磁性ステンレス−アルミニウム−磁性ステンレスの3層構造、
サンプルe:A社(アメリカ)製の大ソースパン、非磁性ステンレス−炭素鋼−非磁性ステンレスの3層構造
サンプルf:A社(アメリカ)製の小ソースパン、非磁性ステンレス−炭素鋼−非磁性ステンレスの3層構造
サンプルg:M社(日本)製のフライパン、鉄−アルミ−鉄の3層構造。
【0032】
図3において、磁性ステンレスが使用されているサンプルc、dは、入力電力(入力電流)が500W程度より大きくなるのに連れて回生電流値が急激に上昇する特性を示すのに対して、鉄や炭素鋼が使用されているサンプルa、e、f、gは比較的緩かに上昇する特性を示し、また、非磁性ステンレスのみより成るサンプルbは中間の特性を示す。
【0033】
ここで、回生電流値が増えるということは、加熱コイル12に供給した電流分のうち、鍋25に誘導電流を発生させて熱エネルギとして消費された分が少なかったということであり、従って、消費されなかった多くの電流分がインバータ主回路9側に戻って来ることになる。つまり、回生電流値が増えた状態では、鍋25において熱エネルギとして消費される電流分が少なくなって、入力電流値に対する加熱出力の割合が小さくなる。このように回生電流値が増えた状態では、同一の加熱出力を得るために大きな入力電流が必要となるが、入力電流値が大きくなると、IGBT7、8に流れる電流が増大してその温度上昇が大きくなるため、それらIGBT7、8が熱破壊する恐れが出てくる。このような恐れに対処するために、従来のように、予め設定した制限値以上の回生電流が流れたときに入力電流を所定レベル以下に制限するという入力電流制限機能を設けた場合には、以下に述べるような問題点が出てくる。
【0034】
即ち、図3において、例えば、回生電流検出電圧=2Vの状態での回生電流値を制限値とし、回生電流検出電圧が2Vを越えないように入力電流値を抑制する電流制限を行った場合、サンプルcでは入力電力が最高で1100W程度に制限され、サンプルdでは1250W程度に制限されことになる。このため、誘導加熱調理器の定格最大入力が十分に高い状態(例えば3kW)に設定されている場合でも、鍋25がサンプルc、dであったときには加熱出力の不足を来たして調理性能の悪化を招くことになる。
【0035】
そこで、本実施例では、回生電流値の大小を比較するときの目標となる制限値として、図3中にLで示すラインを設定している。具体的には、制限値Lは、入力電力が上限電流値に対応したしきい値電力である例えば1800W未満の状態で非設定とされ、入力電力が1800Wの状態で2Vに設定され、入力電力が1800Wを越えて増大するのに応じて当該入力電力に比例して直線的に増大する値に設定している。そして、出力制御回路18に対して、次のような制御機能を設定している。
【0036】
即ち、電流検出回路22が検出する入力電流値により示される入力電力が上限電流値に対応したしきい値電力である1800Wを越えて増大した時点で当該電流検出回路22からの回生電流検出電圧が制限値Lを越えている場合(鍋25がサンプルb、c、dであった場合が該当)に、その入力電力を1800W以下に低下させるようにオンオフ信号を出力する機能が設定される。また、電流検出回路22が検出する入力電流値により示される入力電力が1800Wを越えて増大した時点で当該電流検出回路22からの回生電流検出電圧が制限値L以下であった場合(鍋25がサンプルa、e、f、gであった場合が該当)に、その後に回生電流検出電圧が制限値Lを越えたときに当該回生電流検出電圧が制限値Lを下回るまで入力電力を減少させるようにオンオフ信号を出力する機能が設定される。尚、図3の例で示されたサンプルa、e、f、gの場合、何れのサンプルも入力電力が1800Wを越えた状態時に回生電流検出電圧が制限値Lを越えることがないが、実際には、入力電力が1800Wを越えた状態で回生電流検出電圧が制限値Lを越える材質の鍋も存在する。
【0037】
従って、本実施例の構成によれば、鍋25が、回生電流値が急激に増大する傾向を示す材質(磁性ステンレス)を含むサンプルc、dや非磁性ステンレスのみより成るサンプルbであったときには、回生電流値の異常な増大を抑制しながら入力電力を上限電流値に対応した1800Wまで上げることが可能になり、また、鍋25が、回生電流値の増大が比較的緩かとなる傾向を示す材質(鉄、炭素鋼)を含む多層構造のサンプルe、f、gや鉄のみより成るサンプルaであったときには、入力電力を最大定格である3kWまで上げることが可能になる。このように入力電力を1800Wを越えて上げた場合、仮に、回生電流検出電圧が制限値である2V越えたときには、当該回生電流検出電圧が2Vを下回るまで入力電力が減少される制御(回生電流の制限及びこれに伴う入力電流制限)が行われるから、回生電流値が異常に大きくなる事態を確実に防止できるようになる。これにより、鍋25の材質に拘らず十分な加熱出力を得ることが可能となり、調理性能の悪化を未然に防止できるようになる。以上の結果、インバータ主回路9を構成するIGBT7、8が回生電流の増大に伴い熱破壊する事態を抑止しつつ、大きな加熱出力を得ることが可能になる。
【0038】
特に、本実施例によれば、入力電力(入力電流値)の制限が開始されるときの回生電流値を決めるための制限値Lを、入力電力の増大に応じて比例的に増大する値に設定する構成、つまり、入力電力が上限電流値に対応したしきい値電力(=1800W)を越えて増えた場合に、その制限値Lが入力電力の増大に応じて次第に大きくなる構成としているから、入力電力を増大させることが要求される場合に有益となる。
【0039】
尚、本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
図3における制限値Lは、フラットな値、つまり、入力電力(入力電流値)の大きさと無関係な一定の値に設定する構成としても良い。この構成によれば、入力電力が上限電流値に対応したしきい値電力である1800Wを越えて増えた場合に、回生電流値が制限値Lに対応した一定レベル以下に抑制されることになるから、入力電力の増大に伴い回生電流が限度以上に増大する事態を確実に防止できるようになる。
【0040】
また、IGBT7、8の温度を検出する温度検出手段を備えた上で、その温度検出手段による検出温度が高くなるのに応じて前記制限値Lを低い値に変更する構成としても良い。この構成によれば、IGBT7、8の温度が高くなってその負担が大きくなった状態では、入力電力の制限が開始されるときの回生電流値を決めるための制限値Lが引き下げられることになるから、IGBT7、8の温度上昇に伴う負担を軽減できて、その熱破壊を防止する上で有益となる。
【0041】
さらに、上記のような温度検出手段を設ける場合、その温度検出手段による検出温度が高くなるのに応じて上限電流値に対応したしきい値電力(=1800W)を低い値に変更する構成としても良い。この構成によれば、IGBT7、8の温度が高くなってその負担が大きくなった状態では、回生電流検出電圧が制限値L以上ある状態での入力電力の許容最大値を決める前記しきい値電力が引き下げられることになる。従って、このような構成とした場合にもIGBT7、8の熱破壊を防止する上で有益となる。
【0042】
入力電流値検出手段及び回生電流値検出手段を兼用する電流検出回路22は、出力制御回路18と一体に構成しても良く、また、入力電流値の検出を行うための専用の入力電流値検出手段を設ける構成としても良い。
電流検出回路22または22aがデータテーブルを保有する代わりに、高周波電流値と入力電流値、回生電流値との相関関係を適当な範囲で直線近似して、その相関関係に応じた比例定数を持たせて、高周波電流値に比例定数を乗じて演算により入力電流値、回生電流値を求めるようにしても良い。
スイッチング素子はIGBTに限ることなく、パワートランジスタやパワーMOSFETなどでも良い。
誘導加熱調理器に限ることなく、ハーフブリッジ型のインバータ主回路により負荷を駆動するものであれば適用が可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通りであるので、以下の効果を奏する。
請求項1記載のインバータ装置によれば、インバータ主回路を構成する正側及び負側スイッチング素子にオンオフ信号を出力して負荷の駆動を制御する制御手段は、入力電流値が所定の上限電流値を越えて増大した時点で回生電流値が予め設定された制限値を越えている場合に、その入力電流値を上限電流値以下に低下させるように前記オンオフ信号を出力すると共に、入力電流値が前記上限電流値を越えて増大した時点で回生電流値が前記制限値以下であった場合に、その後に上記回生電流値が前記制限値を越えたときに当該回生電流値が前記制限値を下回るまで入力電流値を減少させるように前記オンオフ信号を出力する構成とされている。この結果、回生電流値が異常に大きくなる事態を確実に防止できると共に、入力電流値を極力大きくできるものであり、以てインバータ主回路を構成するスイッチング素子が回生電流の増大に伴い熱破壊する事態を抑止しつつ大出力を得ることが可能になる。
【0044】
請求項4または5記載のインバータ装置によれば、スイッチング素子の温度上昇に応じて前記制限値または上限電流値を低い値に変更する構成としたので、温度上昇に伴うスイッチング素子の負担を軽減できるようになって、そのスイッチング素子の熱破壊を防止する上で有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を誘導加熱調理器に適用した一実施例を示す電気的構成図
【図2】各部の信号波形を示すタイミングチャート
【図3】鍋のサンプルを複数用意し、各サンプルについて入力電力と回生電流検出電圧との関係を測定した結果を示す図
【符号の説明】
1は整流回路、2は商用交流電源、4は平滑コンデンサ、5、6は直流母線、7、8はIGBT(正側、負側スイッチング素子)、9はインバータ主回路、12は加熱コイル(負荷)、18は出力制御回路(制御手段)、21は電流トランス(高周波電流検出手段)、22は電流検出回路(入力電流値検出手段、回生電流値検出手段)を示す。

Claims (5)

  1. 商用交流電源を整流して直流電源を生成する整流回路と、
    この整流回路が生成する直流電源が供給される一対の直流母線と、
    この直流母線間に接続される平滑コンデンサと、
    前記直流母線間に接続され、負荷を駆動するハーフブリッジ型のインバータ主回路と、
    このインバータ主回路を構成する正側及び負側スイッチング素子にオンオフ信号を出力して負荷の駆動を制御する制御手段と、
    前記インバータ主回路の動作により前記平滑コンデンサに流れる高周波電流を検出する高周波電流検出手段と、
    この高周波電流検出手段が検出する高周波電流並びに前記正側及び負側スイッチング素子のオンオフタイミングに基づいて前記平滑コンデンサに流れ込む回生電流値を検出する回生電流値検出手段と、
    前記インバータ主回路の入力電流値を検出する入力電流値検出手段とを備え、
    前記制御手段は、前記入力電流値検出手段が検出する入力電流値が所定の上限電流値を越えて増大した時点で前記回生電流値検出手段が検出する回生電流値が予め設定された制限値を越えている場合に、その入力電流値を前記上限電流値以下に低下させるように前記オンオフ信号を出力すると共に、前記入力電流値検出手段が検出する入力電流値が前記上限電流値を越えて増大した時点で前記回生電流値検出手段が検出する回生電流値が前記制限値以下であった場合に、その後に上記検出回生電流値が前記制限値を越えたときに当該回生電流値が前記制限値を下回るまで入力電流値を減少させるように前記オンオフ信号を出力することを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記制御手段に設定される前記制限値は、前記入力電流値の大きさと無関係な一定の値であることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  3. 前記制御手段に設定される前記制限値は、前記入力電流値の増大に応じて比例的に増大する値であることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  4. 前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記温度検出手段による検出温度が高くなるのに応じて前記制限値を低い値に変更することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のインバータ装置。
  5. 前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記温度検出手段による検出温度が高くなるのに応じて前記上限電流値を低い値に変更することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のインバータ装置。
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