JP3625093B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプールに巻装した写真フィルムを収容し、該写真フィルムが通過するフィルム送出口を開閉する遮光扉を備えたフィルムカートリッジを使用するカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルム送出口と、このフィルム送出口を開閉するための遮光扉とを備えたフィルムカートリッジが提案されている。このフィルムカートリッジは、遮光扉が閉じているときには写真フィルムをスプールに先端部分についてまで巻装してカートリッジ内に収容し遮光状態を保ち、遮光扉が開いたときにはフィルム送出口から写真フィルムを出し入れできるように構成されている(例えば米国特許第5025274号)。
【0003】
このようなフィルムカートリッジには、その一方の端面に、未露光を意味する「○」形状の未露光表示窓および露光済みを意味する「×」形状の露光済み表示窓が少なくとも形成され、その内側にはスプールと一体に回転するインジケータが設けられている。そして、このインジケータの所定の回転角度位置では、未露光表示窓にカートリッジ本体と異なる色の表示部を位置させて表示する一方、他の回転角度位置では露光済み表示窓に表示部を位置させて表示するようになっている。
【0004】
一方、このようなフィルムカートリッジを使用するカメラも種々提案されている。この種のカメラは、フィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、このカートリッジ室の挿入口を開閉するカートリッジ蓋と、このカートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材とを備え、さらに、上記カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時またはフィルム巻き戻し時にモーターにより正転方向または逆転方向に回転駆動されて上記スプールを回転駆動するスプール駆動部材と、上記カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジの遮光扉に係合してこれを開閉する開閉部材とを備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種カメラのうち、比較的安価なものでは、フィルムの撮影が終了すると、撮影者が巻き戻しスイッチをONにしてモーターによりスプール駆動部材を逆転方向に駆動して露光済みのフィルムを巻き戻し、フィルムカウンタがゼロに戻った後、巻き戻しスイッチをOFFにするような構成となっているから、この巻き戻しスイッチがOFFになった時点では、スプールの回転角度位置がランダムになっていて、上記インジケータが露光済みを表示する回転角度位置にない場合が殆どである。したがって、撮影済みのフィルムをカメラのカートリッジ室内から取り出すのに先立って、フィルムカートリッジの上記インジケータの表示部を露光済み表示窓に位置させるべく、スプールを所定の回転角度位置に位置決めする必要がある。
【0006】
すなわち、この種のカメラの場合、円筒状のスプールの軸孔の内周面における所定の回転角度位置にキー溝が形成され、このキー溝に、スプール駆動部材の軸に形成された突条が係合して、スプールとスプール駆動部材とが所定の回転角度関係を保っているから、影済みのフィルムをカメラのカートリッジ室内から取り出すのに先立って、スプール駆動部材を、上記インジケータが露光済みを表示する回転角度位置となる所定の回転角度位置に位置決めする必要がある。
【0007】
さらに、カートリッジ室に装填されるまでは閉状態にあるフィルムカートリッジの遮光扉を、装填されて収納したフィルムをフィルムカートリッジ内から送り出すときには上記開閉部材により開状態に操作し、かつ露光済みのフィルムをカメラのカートリッジ室内から取り出すときには、これに先立って、開状態にあるフィルムカートリッジの遮光扉を閉状態に操作する必要がある。
【0008】
しかしながら、カートリッジ蓋を開いてく露光済みのフィルムをカメラのカートリッジ室内から取り出す以前にこのようなスプール駆動部材の位置決めと、遮光扉開閉部材の操作とをモータ制御装置によって達成することはコストの上昇を招くことになり、安価なカメラでは採用することは困難である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、影済みのフィルムをカメラのカートリッジ室内から取り出す場合に必要な上記操作を簡単な機構で機械的に行なうことが可能なカメラを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明によるカメラは、以下に述べるような構成を有する。
【0011】
本発明によるカメラは、請求項1に記載したように、スプールに巻装した写真フィルムを収容し、かつ上記スプールの所定の回動角度位置においてフィルムの露光済み状態を表示する表示部と、フィルム送出口を開閉する遮光扉とを備えたフィルムカートリッジを用いるカメラであって、このフィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、このカートリッジ室を開閉するカートリッジ蓋と、このカートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材と、カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時およびフィルム巻き戻し時にモーターにより回転駆動されてスプールを回転駆動するスプール駆動部材と、カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジの遮光扉に係合してこの遮光扉を開閉する開閉部材とを有する構成において、
上記キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して、上記スプール駆動部材を、スプールの露光済み状態を表示する回動角度位置に対応する所定の回動角度位置に上記スプール駆動部材を位置決めする位置決め手段と、上記ロック解除開操作に機械的に連動して、上記開閉部材をして遮光扉の閉動作を行なわせる遮光扉開閉機構とを備え、
上記キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作開始時にスプール駆動部材が所定の回動角度位置以外の位置にあるときには、スプール駆動部材が上記位置決め手段によりフィルム巻き戻し方向(逆転方向)に回動されて、所定の回動角度位置に位置決めされてなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明によるカメラは、請求項2に記載したように、スプールに巻装した写真フィルムを収容し、かつ上記スプールの所定の回動角度位置においてフィルムの露光済み状態を表示する表示部と、フィルム送出口を開閉する遮光扉とを備えたフィルムカートリッジを用いるカメラであって、このフィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、このカートリッジ室を開閉するカートリッジ蓋と、このカートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材と、カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時およびフィルム巻き戻し時にモーターにより回転駆動されてスプールを回転駆動するスプール駆動部材と、カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジの遮光扉に係合してこの遮光扉を開閉する開閉部材とを有する構成において、
上記キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して、上記スプール駆動部材を、スプールの露光済み状態を表示する回動角度位置に対応する所定の回動角度位置に上記スプール駆動部材を位置決めする位置決め手段と、上記ロック解除開操作に機械的に連動して、上記開閉部材をして遮光扉の閉動作を行なわせる遮光扉開閉機構とを備え、
上記位置決め手段が、キー部材とスプール駆動部材とを機械的に連動させる連動機構を有し、この連動機構は、スプール駆動部材が上記所定の回動角度位置以外の位置にあるときにのみキー部材からの駆動力をスプール駆動部材に伝達する伝達部材を含むことを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明によるカメラは、請求項4に記載したように、スプールに巻装した写真フィルムを収容し、かつ上記スプールの所定の回動角度位置においてフィルムの露光済み状態を表示する表示部と、フィルム送出口を開閉する遮光扉とを備えたフィルムカートリッジを用いるカメラであって、このフィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、このカートリッジ室を開閉するカートリッジ蓋と、このカートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材と、カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時およびフィルム巻き戻し時にモーターにより回転駆動されてスプールを回転駆動するスプール駆動部材と、カートリッジ室に収容されたフィルムカートリッジの遮光扉に係合してこの遮光扉を開閉する開閉部材とを有する構成において、
上記キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して、上記スプール駆動部材を、スプールの露光済み状態を表示する回動角度位置に対応する所定の回動角度位置に上記スプール駆動部材を位置決めする位置決め手段と、上記ロック解除開操作に機械的に連動して、上記開閉部材をして遮光扉の閉動作を行なわせる遮光扉開閉機構とを備え、
上記位置決め手段が一対の欠歯ギアを備え、上記スプール駆動部材が所定の回動角度位置に位置決めされたときには、被駆動側の欠歯ギアの欠歯部が駆動側の欠歯ギアに対向し、前記キー部材が開位置および閉位置にあるときには、駆動側の欠歯ギアの欠歯部が被駆動側の欠歯ギアに対向するように構成されてなることを特徴とするものである。
【0015】
その場合、請求項5に記載したように、駆動側の欠歯ギアの実在歯数が被駆動側の欠歯ギアの実在歯数よりも多く設定されていることが好ましい。
【0016】
また、請求項6に記載したように、駆動側の欠歯ギアの欠歯部における称呼歯数が被駆動側の欠歯ギアの欠歯部における称呼歯数よりも多く設定されていることが好ましい。
【0017】
さらに、請求項7に記載したように、被駆動側の欠歯ギアに、この被駆動側の欠歯ギアと一体に回動するギア(全周ギア)が同軸的に設けられ、かつこのギアが、該ギアによって駆動されるギアを太陽ギアとする遊星ギアを構成していることが好ましい。
【0018】
そして、上記太陽ギアは、請求項8に記載したように、スプール駆動部材の軸に同軸的に固設され、かつ上記太陽ギアと上記遊星ギアとのギア比が1:1に設定されていることが好ましい。
【0019】
さらに、請求項9に記載したように、被駆動側の欠歯ギアは駆動側の欠歯ギアに向かって付勢されているとともに、上記キー部材のロック解除操作時に被駆動側の欠歯ギアが駆動側の欠歯ギアに食い付き勝手となるように回転方向が設定され、かつ駆動側の欠歯ギアが被駆動側の欠歯ギアを駆動する際に、両欠歯ギアの先頭の歯先同士が当接した場合、被駆動側の欠歯ギアが駆動側の欠歯ギアの駆動力によって太陽ギアの周方向に退避せしめられた後、両欠歯ギアの正規の噛合がなされ得るように、両欠歯ギアおよび前記太陽ギアの位置関係が設定されていることが好ましい。
【0020】
また、請求項10に記載したように、被駆動側の欠歯ギアと上記遊星ギアとを一端に回動自在に軸支するレバーが上記スプール駆動部材の軸に遊嵌され、このレバーは、被駆動側の欠歯ギアを駆動側の欠歯ギアに向かって付勢する付勢力を発生するための弾性的に撓ませられたアームを他端に備えた構成とすることができる。
【0021】
さらに、本発明においては、請求項11に記載したように、上記スプール駆動部材が位置決め手段により所定の回動角度位置に位置決めされるときの慣性によるスプール駆動部材のオーバーランを防止する制動手段を備えていることが好ましい。
【0022】
この制動手段は、請求項12に記載したように、スプール駆動部材またはこのスプール駆動部材に常時連動して回動する部材に設けられた被制動部と、この被制動部に係合して制動を行う制動部材とを備えていることが好ましい。
【0023】
前記制動部材は、請求項13に記載したように、キー部材またはこのキー部材に常時連動して回動する部材に設けられたカムによって駆動される構成とすることができる。
【0024】
その場合、請求項14に記載したように、上記スプール駆動部材が位置決め手段により所定の回動角度位置に位置決めされるときに所定の回動角度位置を若干オーバーランしたときに、上記被制動部に対する上記制動部材の係合によりスプール駆動部材を所定の回動角度位置に戻し得る傾斜面が被制動部と制動部材との少なくとも一方に形成されていることが好ましい。
【0025】
また、上記制動部材は、請求項15に記載したように、上記カムに当接するカムフォロワを備え、かつこのカムフォロワをカムに向かって付勢する付勢力を発生するための弾性的に撓ませられたアームを備えた構成とすることができる。
【0026】
一方、上記遮光扉開閉機構は、請求項16に記載したように、開閉部材を遮光扉の開位置および閉位置に向かって選択的に付勢するトグル機構を備えていることが好ましい。
【0027】
また、上記遮光扉開閉機構は、請求項17に記載したように、スプール駆動部材の位置決め手段の作動開始後でかつスプール駆動部材の所定の回動角度位置への位置決めが完了する以前に作動を開始され、遮光扉開閉機構のトグル機構が死点に達するまでに、スプール駆動部材の前記位置決め手段による所定の回動角度位置への位置決めが完了するように構成されていることが好ましい。
【0028】
また、請求項17に記載したように、フィルム送り出し時に正転し、かつフィルム巻き戻し時に逆転する記モーターの回転駆動力をスプール駆動部材に伝達して、該スプール駆動部材を正転または逆転させる駆動力伝達手段が、モーターよって回転駆動される太陽ギアと、この太陽ギアの一側に噛合されモーターの正転時に太陽ギアの駆動力によって正転側中間ギアに噛合される正転側遊星ギアと、太陽ギアの他側に噛合されモーターの逆転時に太陽ギアの駆動力によって逆転側中間ギアに噛合される逆転側遊星ギアとを備えるとともに、キー部材のロック解除操作に際して正転側遊星ギアが正転側中間ギアに噛合している場合に、キー部材のロック解除操作の初期段階で、正転側遊星ギアと正転側中間ギアとの噛合を強制的に解除する解除手段を備えていることが好ましい。
【0029】
さらに、請求項19に記載したように、フィルム巻き戻し中はキー部材のロック解除操作を禁止する禁止手段を備えていることが好ましい。
【0030】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明によれば、スプール駆動部材の所定の回動角度位置への位置決め動作と、遮光扉の開閉部材による遮光扉の閉動作とが、モーター制御装置等の電気的制御手段を用いることなしに、キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して行なわれるように構成されているから、カメラの構成を簡易かつ安価なものにすることができるとともに、上記動作を、カメラ内蔵の電池の消耗度に影響されることなく常に確実に行なうことが可能になる。
【0031】
そして、スプール駆動部材の所定の回動角度位置への位置決め動作が、常にスプール駆動部材のフィルム巻き戻し方向への回動によって行なわれるように構成されているから、上記位置決め動作に伴ってフィルムがフィルム送出口から露出するおそれが皆無になる。
【0032】
請求項2に記載した発明によれば、スプール駆動部材が上記所定の回動角度位置以外の位置にあるときのみキー部材からの駆動力をスプール駆動部材に伝達する伝達部材を含む機械的連動機構を備えているから、スプール駆動部材が所定の回動角度位置に位置決めされたときには、キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作が行なわれても、スプール駆動部材の回動角度位置が狂うおそれがない。
【0033】
請求項4に記載した発明によれば、スプール駆動部材が所定の回動角度位置に位置決めされたときには、被駆動側の欠歯ギアの欠歯部が駆動側の欠歯ギアに対向するように構成されているから、モーターによりフィルム巻き戻し方向に回転駆動されたスプール駆動部材により、露光済みフィルムがカートリッジ内に巻き取られた時点において、スプール駆動部材が所定の回動角度位置に位置決めされた状態になっていたときには、キー部材のカートリッジ蓋のロック解除操作が行なわれて、駆動側の欠歯ギアが回動されても、被駆動側の欠歯ギアは回動されることはない。したがって、スプール駆動部材の回動角度位置が狂うおそれはないものである。
【0034】
また、キー部材がカートリッジ蓋のロック位置(閉位置)およびロック解除位置(開位置)にあるときには、駆動側の欠歯ギアの欠歯部が被駆動側の欠歯ギアに対向するように構成されているから、モーターによるスプール駆動部材の回転駆動に伴って、被駆動側の欠歯ギアが回動されても、駆動側の欠歯ギアが回動されて、この回転がキー部材に伝達されるおそれはない。
【0035】
両欠歯ギアの実在歯数は同数であってもよいが、両欠歯ギアが係合状態に入るとき、たまたま双方の先頭の歯先同士が当接した場合は、駆動側の欠歯ギアが被駆動側の欠歯ギアよりも先に回転してしまうことが起こり得る。したがって、請求項5に記載したように、駆動側の欠歯ギアの実在歯数を被駆動側の欠歯ギアの実在歯数よりも多く(少なくとも1歯)しておくことにより、被駆動側の欠歯ギアを最大角度範囲に回転させる必要が生じたときに駆動側の欠歯ギアの歯数が不足するという事態を回避することができる。
【0036】
また、請求項6に記載したように、駆動側の欠歯ギアの欠歯部における称呼歯数が被駆動側の欠歯ギアの欠歯部における称呼歯数よりも多く設定することにより、モーターによるスプール駆動部材の回転駆動に伴って被駆動側の欠歯ギアが回動された場合の、駆動側の欠歯ギアが被駆動側の欠歯ギアに対して非係合状態に保持される待機位置に余裕が生じ、また他の部材(例えば遮光扉の開閉部材)との動作タイミング調整がより容易になり、設計の自由度が増大するという利点がある。
【0037】
さらに、もし被駆動側の欠歯ギアの軸が固定されている場合には、両欠歯ギアの歯先同士が当接したとき、両欠歯ギアが咬み合って動かなくなってしまうことがあり得るが、請求項7に記載したように、被駆動側の欠歯ギアに、この被駆動側の欠歯ギアと一体に回動するギア(全周ギア)が同軸的に設けられ、かつこのギアが、該ギアによって駆動されるギアを太陽ギアとする遊星ギアを構成するようになっていることにより、両欠歯ギアの歯先同士が当接したとき、被駆動側の欠歯ギアが太陽ギアの周方向に逃げるから、両欠歯ギアが咬み合ってしまうおそれはなくなる。
【0038】
その場合、請求項8に記載したように、太陽ギアがスプール駆動部材の軸に固設され、この太陽ギアと上記遊星ギアとのギア比が1:1に設定されていることにより、被駆動側の欠歯ギアの欠歯部の位置と、上記遊星ギアおよび太陽ギアを介して回動されるスプール駆動部材の所定の回転角度位置とを対応させることができる。
【0039】
また、請求項9に記載したように、被駆動側の欠歯ギアは駆動側の欠歯ギアに向かって付勢されているとともに、両欠歯ギアは、キー部材によるカートリッジ蓋のロック解除操作時に被駆動側の欠歯ギアが駆動側の欠歯ギアに食い付き勝手となるように回転方向が設定されているから、スプール駆動部材を所定の回転角度位置に回動するときには、両欠歯ギアが容易に係合状態に入ることができる。しかも、両欠歯ギアの先頭の歯先同士が当接した場合に被駆動側の欠歯ギアが太陽ギアの周方向に逃げた後、両欠歯ギアが正規の噛合状態になるように、両欠歯ギアと上記太陽ギアとの位置関係が設定されていることにより、両欠歯ギアが咬にあって動かなくなるという事態の発生を防止することができる。
【0040】
また、請求項10に記載したように、被駆動側の欠歯ギアと上記遊星ギアとを一端に回動自在に軸支するレバーがスプール駆動部材に同軸的に遊嵌され、このレバーが、被駆動側の欠歯ギアを駆動側の欠歯ギアに向かって付勢する付勢力を発生するための弾性的に撓ませられたアームを他端に備えた構成とすることにより、被駆動側の欠歯ギアを駆動側の欠歯ギアに向かって付勢するためのスプリングを別途設ける必要がなくなる。そして、このような被駆動側の欠歯ギアと上記遊星ギアとを軸支する軸および弾性を有するアームを一体に備えたレバーは樹脂成形品によって容易に作成することができる。
【0041】
さらに、本発明においては、請求項11に記載したように、スプール駆動部材が位置決め手段により所定の回動角度位置に位置決めされるときの慣性によるスプール駆動部材のオーバーランを防止する制動手段を備えていることにより、このスプール駆動部材のオーバーランに起因して欠歯ギア同士が再度噛み合って、スプール駆動部材が所定の回動角度位置から外れてしまうのを防止することができる。
【0042】
その場合、請求項12に記載したように、上記制動手段が、スプール駆動部材またはこのスプール駆動部材に常時連動して回動する部材に被制動部と、この被制動部に係合して制動を行う制動部材とを備えていることにより、スプール駆動部材を所定の回転角度位置に容易に位置決めすることができる。
【0043】
そして、請求項13に記載したように、制動部材が、キー部材またはこのキー部材に常時連動して回動する部材に設けられたカムによって駆動される構成とすることにより、スプール駆動部材がモーターにより回転駆動されるときには、制動部材を被制動部の回転軌跡外に保持し、キー部材のロック解除操作に伴って制動部材を被制動部の回転軌跡内に侵入させて制動を行なわせることが容易となる。
【0044】
その場合、請求項14に記載したように、スプール駆動部材が位置決め手段により所定の回動角度位置に位置決めされるときに所定の回動角度位置を若干オーバーランしたときに、被制動部と制動部材との係合によりスプール駆動部材を所定の回動角度位置に戻し得る傾斜面が被制動部と制動部材との少なくとも一方に形成されていることにより、スプール駆動部材を所定の回動角度位置に正確に位置決めすることができる。
【0045】
また、請求項15に記載したように、上記制動部材を、上記カムに当接するカムフォロワと、このカムフォロワをカムに向かって付勢する付勢力を発生するための弾性的に撓ませられたアームとを備えた構成とすることにより、カムフォロワをカムに向かって付勢するためのスプリングを別途設ける必要がなくなる。そして、このようなカムフォロワおよび弾性を有するアームを一体に備えた制動レバーは樹脂成形品によって容易に作成することができる。
【0046】
一方、請求項16に記載したように、遮光扉の開閉機構が、死点を境に反転して開閉部材を遮光扉の開位置および閉位置に向かって選択的に付勢するトグル機構を備えていることにより、遮光扉の開閉動作を確実に行なうことができることができるとともに、遮光扉を開位置および閉位置に安定に保持することが可能になる。
【0047】
ところで、この種のフィルムカートリッジにおいては、遮光扉が閉位置にあるときには、フィルムカートリッジの携帯時等にスプールが回転しないように、スプールに対し軽い制動力が作用するようになっている。したがって、開閉部材による遮光扉の閉操作は、スプール駆動部材が位置決め手段により所定の回動角度位置に位置決めされた後に行なうことが望ましいが、キー部材の作動ストロークが短いために、スプール駆動部材の位置決めが完了した後に遮光扉の閉操作を開始したのではタイミング的に間に合わなくなる。
【0048】
そこで、本発明では、請求項17に記載したように、スプール駆動部材位置決め手段の作動開始後でかつスプール駆動部材の所定の回動角度位置への位置決めが完了する以前に遮光扉開閉機構の作動が開始され、かつ遮光扉開閉機構が備えているトグル機構が死点に達するまでに、位置決め手段によるスプール駆動部材の所定の回動角度位置への位置決めが完了するように、スプール駆動部材位置決め手段および遮光扉開閉機構の作動タイミングが設定されているため、上述の問題が回避される。
【0049】
また、スプール駆動部材の回転駆動源であるモーターとスプール駆動部材との間に介在する駆動力伝達手段が、モーターによって回転駆動される太陽ギアと、この太陽ギアの一側に噛合されモーターの正転時(フィルム送り出し時)に太陽ギアの駆動力によって正転側中間ギアに噛合される正転側遊星ギアと、太陽ギアの他側に噛合されモーターの逆転時(フィルム巻き戻し時)に太陽ギアの駆動力によって逆転側中間ギアに噛合される逆転側遊星ギアとを備えた構成となっている場合に、カートリッジフィルムがカメラに装填されていないときシャッターボタンが押されてモーターの正転後は、正転側遊星ギアと正転側中間ギアとが噛合しており、このときキー部材によるカートリッジ蓋のロック解除操作を行なうと、キー部材に機械的に連結されているスプール駆動部材の逆転により正転側遊星ギアが太陽ギアと正転側中間ギアとの間に咬みこまれて、キー部材のロック解除操作ができなくなる。
【0050】
本発明においては、請求項18に記載したように、キー部材のロック解除操作の初期段階で、正転側遊星ギアと正転側中間ギアととの噛合いを強制的に解除する解除手段を備えていることにより、この問題が解決される。
【0051】
さらに、請求項19に記載したように、フィルム巻き戻し中はキー部材のロック解除操作を禁止する禁止手段を備えていることにより、フィルム巻き戻し時にモーターによって回転駆動されているスプール駆動部材が、制動手段によって制動されて故障が生じるという不都合を回避することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。図1は、本発明の一実施の形態によるカメラにおけるフィルムカートリッジの装填状態を示す底面側の斜視図、図2はフィルムカートリッジの図1とは上下を逆にした斜視図である。
【0053】
カメラ10は、カメラ本体11の底部の一端部にフィルムカートリッジ1を収容するカートリッジ室12を有し、このカートリッジ室12の開口部がカートリッジ蓋13によって開閉される。カートリッジ蓋13は、一端部がカメラ本体11の底面の側方端部に設けられた枢支部11aにおいて枢動自在に支持されている。
【0054】
フィルムカートリッジ1は、図2にも示すように、樹脂成形品による分割ケースを接合して構成されるカートリッジ本体2の内部に配設されたスプール3に写真フィルム(図示せず)をロール状に巻き付けて収納したものである。カートリッジ本体2の側面には、スリット状のフィルム送出口4が形成され、このフィルム送出口4の内部にはフィルム送出口4を開閉する遮光扉5がほぼ90°の角度範囲で回動自在に支持されている。この遮光扉5は、スプール3の軸線と平行な軸線のまわりでに回動自在に設けられ、カートリッジ室12の奥に挿入される端面(図2で上面、図1で底面)に露呈する軸端5aには、その開閉駆動のための切欠き5bが設けられ、この軸端5aにカートリッジ室12の奥部に設置された後述の開閉部材50(図3参照)が係合されて回転させることによって開閉作動されるようになっている。
【0055】
一方、図2に示すように、スプール3のカートリッジ室12の奥に挿入される端面に露呈する軸端部3aには切欠き3b(キー溝)が設けられ、この切欠き3bにカートリッジ室12の奥部に設置された後述のスプール駆動部材30(図3,図4参照)が係合されて、このスプール駆動部材30がモーター40(図4参照)により回転駆動されることにより、写真フィルムの送り出し、巻き戻しが行われるように構成されている。
【0056】
上記フィルムカートリッジ1の他端面(図1では上面)には、未露光を意味する「○」形状の未露光表示窓6aおよび露光済みを意味する「×」形状の露光済み表示窓6bが形成され、その内側にはスプール3に連動して回転するインジケータ(図示せず)が設けられている。そして、このインジケータの所定の回転位置では、未露光表示窓6aにカートリッジ本体2と異なる色の表示部を位置させて未露光状態を表示する一方、他の所定の回転位置では、露光済み表示窓6bに表示部を位置させて露光済み状態を表示するものである。
【0057】
このインジケータの回転角度位置は、スプール3の軸端部3aに形成されている上記切欠き3bの位置を基準にして設定されており、カメラ10からフィルムカートリッジ1を取り出す場合には、キー部材20のカートリッジ蓋13のロック解除操作に機械的に連動してスプール3を所定状態に回転させて、露光済み状態の表示に切り換えるようになっている。
【0058】
カートリッジ蓋13を閉位置にロックするためのキー部材20は、図3に示すように、カメラ本体11の下面において軸22の周りで回動自在に設けられている。そして、キー部材20の先端に形成されたキー部20aがカートリッジ蓋13の係止部13aに係入して、カートリッジ蓋13を閉位置にロックするようになっている。上記係止部13aはカートリッジ蓋13の端部に鍵状に設けられ、カートリッジ室12の開口端部における溝部からカメラ本体11の内部に挿入されてキー部20aとの係合が行なわれる。
【0059】
キー部材20は、起倒可能な摘み部21をキー部20aとは反対側の端部に備えており、これに応じて、カメラ本体11の底面には、上記摘み部21を外部に臨ませるほぼL状のガイド溝14が形成されている。ガイド溝14の一端部には、摘み部21の起倒操作可能な縦溝14aが形成され、この縦溝14aに連接して円弧状の横溝14bが、摘み部21を起こした状態で回動可能なように設けられている。縦溝14aの部分がキー部材20のロック位置、すなわちカートリッジ蓋13の閉位置で、横溝14bの端部がロック解除位置、すなわちカートリッジ蓋13を開放し得る位置である。
【0060】
図3は、キー部材20のカートリッジ蓋13のロック解除操作に機械的に連動して、フィルムカートリッジ1の状態表示を露光済みに切り換えるとともに、遮光扉5の閉操作を行なうための歯車機構の一例を示す分解斜視図である。
【0061】
図3において、キー部材20の先端には、扇形のギア部20bがキー部20aに隣接して設けられている。このギア部20bにはギア31が常時噛合しており、ギア31の上方に、縦軸32を介してギア31と一体に回転するようにギア33が設けられ、このギア33の上面にはその外周の所定位置に、遮光扉5の開閉部材50を駆動するための部分ギア34が一体に形成されている。
【0062】
ギア33の上面には、軸35に回転自在に軸支されたギア36が噛合しており、このギア36には、図5に示すように、部分的に歯を有する欠歯ギア37と、後述する制動レバー60を駆動するためのカム38とが同軸的に固設されている。
【0063】
スプール駆動部材30は、スプール3の軸端部3aに形成された切欠き3b(キー溝)に係合する突条39aを備えたスプール駆動軸39を備えており、この軸39に、フィルムの送り出し、巻き戻し時において、図4に示すような駆動力伝達系41を介してモーター40から駆動力が伝達されて正転(実線矢示)または逆転(破線矢示)される大径のギア42が同軸的に固設されている。このギア42は、スプール駆動軸39側とは反対側の端面42a上に、ギア42の直径の約1/2 の直径を有する円筒体43を同軸的に備えており、この円筒体43の上端部にギア44が設けられ、このギア44が大径のギア42とともに一体に回転するように構成されている。
【0064】
上記円筒体43には、遊星レバー45がその上端面45aから上記ギア44を露出させた態様で遊嵌されており、この遊星レバー45は、上記ギア44に噛合するギア46を回転自在に支持した軸47をその一端に備えている。この遊星レバー45は上記円筒体43の周りで回転可能なために、スプール駆動部材30側のギア44が太陽ギア、遊星レバー45側のギア46が遊星ギアとなる関係を構成しており、かつ遊星ギア46によって太陽ギア44が駆動されるようになっている。そして、太陽ギア44と遊星ギア46とは同径に形成されて、両者のギア比が1:1に設定されている。
【0065】
上記遊星ギア46には、前記した欠歯ギア37を駆動側の欠歯ギアとする被駆動側の欠歯ギア48が同軸的に固設されて、遊星ギア46と欠歯ギア48とが一体に回転するようになっている。そして、キー部材20がカートリッジ蓋13を閉位置にロックする位置、およびキー部材20がカートリッジ蓋13のロックを解除している位置にあるときは、図5に示すように、駆動側の欠歯ギア37の欠歯部37aが被駆動側の欠歯ギア48に対向する位置にあって、被駆動側の欠歯ギア48の回転角度位置の如何に拘らず、両欠歯ギア37,48が常に非噛合状態にあるように構成されている。
【0066】
したがって、スプール駆動部材30がモーター40によって回転駆動されるのに伴って、被駆動側の欠歯ギア48が回転しても、その回転が駆動側の欠歯ギア37に伝達されることはないから、モーター40の駆動力が欠歯ギア37を介してキー部材20側に伝達されることはない。
【0067】
また、図5に示すように、スプール駆動部材30が、フィルムカートリッジ1の状態を露光済みと表示する所定の回転角度位置にあるときには、被駆動側の欠歯ギア48の欠歯部48aが駆動側の欠歯ギア37に対向する位置にあって、キー部材20によるカートリッジ蓋13のロック解除操作が行なわれて、駆動側の欠歯ギア37が回動されても、その回転がスプール駆動部材30に伝達されないように構成されている。したがって、一旦スプール駆動部材30が所定の回転角度位置に位置決めされた後は、キー部材20を操作しても、スプール駆動部材30が所定の回転角度位置が保持されることになる。
【0068】
そして、スプール駆動部材30がフィルムカートリッジ1の状態を露光済みと表示する所定の回転角度位置にない場合にのみ、キー部材20のカートリッジ蓋13のロック解除方向への回動に伴って、両欠歯ギア37,48が噛合状態となり、キー部材20のロック解除操作が、キー部材20のギア部20b、ギア31,33,36、一対の欠歯ギア37,48、遊星ギア46および太陽ギア44を介してスプール駆動部材30に伝達されて、スプール駆動部材30がフィルム巻き戻し方向に回動されて、露光済み状態を表示する所定の回転角度位置まで回動され、かつその位置に位置決めされるようになっている。
【0069】
なおこの場合、スプール駆動部材30がフィルム巻き戻し方向に回動されるために、キー部材20の操作によって、フィルムカートリッジ1内のフィルムがフィルム送出口4から送出されるおそれはない。
【0070】
上記遊星ギア46および被駆動側の欠歯ギア48を一端の軸47で回転自在に支持する遊星レバー45の他端には、弾性を有するアーム45bが形成されており、このアーム45bの先端が弾性的に撓められた態様でピン49に係止されていることにより、遊星レバー45が太陽ギア44の周りに図5の時計方向に付勢され、これに伴って、被駆動側の欠歯ギア48が駆動側の欠歯ギア37に向かって付勢されている。遊星レバー45は、遊星ギア46の支持軸47およびアーム45bとともに樹脂成形品により一体に作成される。
【0071】
また、両欠歯ギア37,48の先頭の歯37b,48bの歯先同士が当接したときに、駆動側の欠歯ギア37が先行した場合(図8参照)でも、被駆動側の欠歯ギア48の歯を全て駆動することが可能になるように、駆動側の欠歯ギア37の歯数が被駆動側の欠歯ギア48の歯数よりも少なくとも1個だけ多い数に設定されている。本実施の形態では、図6〜図8にも示すように、駆動側の欠歯ギア37の歯数が14個、被駆動側の欠歯ギア48の歯数が13個となっている。
【0072】
さらに、本実施の形態では、駆動側の欠歯ギア37が被駆動側の欠歯ギア48よりも大径に形成されて、駆動側の欠歯ギア37の欠歯部37aにおける称呼歯数が被駆動側の欠歯ギア48の欠歯部48aにおける称呼歯数よりも多くなるように設定されている。すなわち、駆動側の欠歯ギア37の欠歯部37aをより広くとることによって、駆動側の欠歯ギア37が被駆動側の欠歯ギア48に噛合しないで待機している待機位置の精度に厳密さを要しなくなり、設計の自由度が増大する利点がある。
【0073】
また、両欠歯ギア37,48は、キー部材20がロック解除方向に操作されたとき、被駆動側の欠歯ギア48が駆動側の欠歯ギア37に食い付き勝手となるように、両欠歯ギア37,48の回転方向と、両欠歯ギア37,48および太陽ギア44の位置関係とが設定されている。すなわち、キー部材20が開方向に操作されたとき、図6に示すように、駆動側の欠歯ギア37は反時計方向に回転し、かつ、被駆動側の欠歯ギア48の回転中心が、駆動側の欠歯ギア37の回転中心と太陽ギア44の回転中心とを結ぶ線よりも図6の上方に位置している。
【0074】
さらに、駆動側の欠歯ギア37が被駆動側の欠歯ギア48を駆動する際に、図6に示すように、両欠歯ギア37,48の先頭の歯37b,48bの歯先同士が当接したとき、その当接点Pが両欠歯ギア37,48の回転中心を結ぶ線よりも図6の上方に存在するように設定されている。このような構成により、駆動側の欠歯ギア37の駆動力によって遊星レバー45が太陽ギア44の周方向(反時計方向)に回動して、図7に示すように、被駆動側の欠歯ギア48が逃げ、先頭の歯37b,48bの当接点Pが両欠歯ギア37,48の回転中心を結ぶ線上に達した後、図8に示すように正規の噛み合いが達成される。
【0075】
なお図8では、駆動側の欠歯ギア37が1歯先行しているが、前記したように、駆動側の欠歯ギア37の歯数が被駆動側の欠歯ギア48の歯数よりも1個多いので、被駆動側の欠歯ギア48の歯が全て駆動されることになる。
【0076】
本実施の形態では、キー部材20のカートリッジ蓋13のロック解除操作に伴って、スプール駆動部材30が両欠歯ギア37,48を介して逆転方向(巻き戻し方向)に回動された場合、慣性によりスプール駆動部材30が所定の回動角度位置からオーバーランするのを防止するために制動手段が設けられている。
【0077】
この制動手段は、樹脂成形品で一体に形成された制動レバー60と、この制動レバー60に係合してスプール駆動部材30を所定の回転角度位置に停止させるために、スプール駆動部材30のギア42の端面42a上に形成された突起61からなる被制動部と、キー部材20のカートリッジ蓋13のロック解除操作に連動して制動レバー60を制動位置に駆動すべく、キー部材20に常時連動する駆動側の欠歯ギア37の上面に固設されたカム38とによって構成されている。そして、図4に示すように、モーター40からスプール駆動部材30に駆動力を伝達する駆動力伝達系41に属する多くのギアのうち、スプール駆動部材30の大径のギア42に直接噛合しているギア62を軸支する軸63に、制動レバー60が揺動自在に遊嵌されている。
【0078】
制動レバー60には、図4および図5から明らかなように、スプール駆動部材30に設けられた被制動部である突起61に係合し得る係合部64aを先端に備えた係止アーム64と、上記カム38のカム面38aに当接するカムフォロワ65aを先端に備えたカムフォロワアーム65と、弾性的に撓められた態様で先端がピン66に係止されていることにより、制動レバー60を軸63の周りで図5の反時計方向に付勢して、カムフォロワ65aをカム面38aに弾接させる作用をする弾性アーム67とによって構成されている。
【0079】
そして、キー部材20がカートリッジ蓋13を閉位置にロックする位置およびロック解除位置にあるとき、すなわち、図5に示すように、駆動側の欠歯ギア37の欠歯部37aが被駆動側の欠歯ギア48に対向する位置にあるときには、制動レバー60は、その係止アーム64の係合部64aが被制動部である突起61の回転軌跡の外に退いている非制動位置に保持されているが、キー部材20のカートリッジ蓋13のロック解除操作に連動してカム38が駆動側の欠歯ギア37とともに回動すると、図9に示すように、制動レバー60が弾性アーム67の付勢力に抗して軸63の周りで時計方向に揺動することにより、その係止アーム64の係合部64aが被制動部である突起61の回転軌跡内に侵入して、図9の反時計方向に回動する突起61に係合し、スプール駆動部材30を所定の回転角度位置に停止させるようになっている。
【0080】
この場合、突起61の係合面61aおよび係止アーム64の係合部64aの係合面64bのうちの少なくとも一方(図では双方)が傾斜面となっていることにより、図9に示すように、スプール駆動部材30が所定の回転角度位置を逆転方向(フィルム巻き戻し方向)に若干オーバーランした場合でも、両係合面61a,64bの係合によって、図10に示すように、スプール駆動部材30が正転方向に戻されて、所定の回転角度位置に位置決めされることになる。
【0081】
なお、本実施の形態では、カム38が駆動側の欠歯ギア37に固設されているが、このカム38は欠歯ギア37以外に、キー部材20またはこのキー部材20に常時連動して回動する部材に設けてもよく、また被制動部である突起61を、スプール駆動部材30以外に、スプール駆動部材30に常時連動して回動する部材に設けてもよい。
【0082】
次に、図3および図11を参照して、遮光扉5の開閉機構について説明すると、前記開閉部材50は図示しない内部フレームに回動自在に支持され、その上端には前記部分ギア34に噛合可能な欠歯ギア55が設けられるとともに、この欠歯ギア55にピン50aが立設されて、開閉部材50にトグル動作を与えるためのオーム状スプリング56の一端がピン50aに取り付けられている。
【0083】
すなわち、図3に示すように、カートリッジ蓋13を閉位置にロックしているキー部材20をロック解除位置へ回動操作すると、キー部材20のギア部20bによってギア31、33が図3の時計方向に回転し、ギア33と一体の部分ギア34が欠歯ギア55に噛合することにより、開閉部材50が遮光扉5を閉方向に回動するが、ある程度回転するとオーム状スプリング56の死点(中立点)を越えるため、その付勢力が閉方向に作用して遮光扉5を全閉状態とする。そして、遮光扉5はスプリング56の付勢力によって、全閉位置に安定に保持される(図11)。
【0084】
逆に図11の状態から、キー部材20をロック方向に操作すると、部分ギア34が図11の反時計方向に回動して欠歯ギア55に噛合することにより、開閉部材50が遮光扉5を開方向に回動するが、ある程度回転するとオーム状スプリング56の死点(中立点)を越えるため、その付勢力が開方向に作用して遮光扉5を全開状態とする。そして、遮光扉5はスプリング56の付勢力によって、全開位置に安定に保持される(図3)。この開閉部材50と、フィルムカートリッジ1の遮光扉5の軸端5aの切欠き5b(キー溝)との係脱は、両者の位相が一致した状態で行なわれる。
【0085】
図12は、キー部材20をカートリッジ蓋13のロック位置からロック解除位置へ操作したときのキー部材20による各部材の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【0086】
前述したように、フィルムカートリッジ1における遮光扉5の全閉状態では、露光済み状態の表示が移動しないように、スプール3に軽い制動力が与えられるから、露光済み状態への表示切換え動作は、遮光扉5が閉位置に回動されるまでに完了する必要があるが、さりとて、露光済み状態への表示切換え動作角度が完了してから、遮光扉5を閉位置に駆動するには、キー部材20の操作ストロークが短かすぎる。そこで、本実施の形態では、図12から明らかなように、スプール駆動部材30の所定回転角度位置への位置決めが完了する以前に遮光扉開閉部材50の駆動を開始し、上記オーム状スプリング56が死点に達するまでにスプール駆動部材30の位置決めを完了するようにして、この問題を解決している。
【0087】
図4には、モーター40からスプール駆動部材30までの駆動力伝達系41の一例を示してあるが、この駆動力伝達系41には、スプール駆動部材30を正転(フィルム送り出し)および逆転(フィルム巻き戻し)させるために、モーター40によって駆動される1個の太陽ギア70と、この太陽ギア70の一側に常時噛合され、かつモーター40の正転時に太陽ギア70の駆動力によって正転側中間ギア71に噛合される正転側遊星ギア72と、太陽ギア70の他側に常時噛合され、かつモーター40の逆転時に太陽ギア70の駆動力によって逆転側中間ギア73に噛合される逆転側遊星ギア74と、正転側中間ギア71および逆転側中間ギア73の双方に常時噛合するギア75とを備えている。
【0088】
そして、モーター40の正転時には、モーター40の駆動力が、太陽ギア70、正転側遊星ギア72および正転側中間ギア71を介してギア75に伝達され、さらに、ギア76,縦軸77,ギア78および前記ギア62を介してスプール駆動部材30に伝達され、スプール駆動部材30が正転されて、フィルムをフィルムカートリッジ1から送出するようになっている。
【0089】
一方、モーター40の逆転時(図4の状態)には、モーター40の駆動力が、太陽ギア70、逆転側遊星ギア74および逆転側中間ギア73を介してギア75に伝達され、さらに、ギア76,縦軸77,ギア78および前記ギア62を介してスプール駆動部材30に伝達され、スプール駆動部材30が逆転されて、フィルムをフィルムカートリッジ1内に巻き戻すようになっている。
【0090】
また、モーター40が備えている減速機構の関係で、遊星ギア72,74側から太陽ギア70を回動することは不可能な構造となっている。
【0091】
ところで、このような駆動力伝達系41において、モーター40の逆転によるフィルム巻き戻しが終了して、キー部材20がカートリッジ蓋ロック位置からロック解除位置へ向かって操作されると、スプール駆動部材30が所定の回転角度位置にない場合は、スプール駆動部材30が前記したように所定の回転角度位置に向かって逆転方向に回動される。したがって、このスプール駆動部材30の回転が、上記した動力伝達経路を逆に辿って伝達されて正転側中間ギア71および逆転側中間ギア73に達し、両ギア71,73をともに図4の反時計方向に回転させようとする。この場合は、モーター40が逆転した後であるから、図4に示すように、正転側遊星ギア72が正転側中間ギア71に噛合しておらず、逆転側遊星ギア74が逆転側ギア73に噛合している。この状態で、逆転側ギア73が図4の反時計方向に回動されると、逆転側遊星ギア74が図4の時計方向に回動されることになり、逆転側遊星ギア74が太陽ギア70の外周に沿って逆転側中間ギア73から離れる方向に転動する。したがって、スプール駆動部材30の回転がモーター40側に伝達されることはなく、キー部材20によるカートリッジ蓋13のロック解除操作が妨げられるおそれはない。
【0092】
ところが、例えばフィルムカートリッジ1がカメラ10のカートリッジ室12内に装填されていない状態でシャッターボタンが押された場合を考えると、フィルム送り出しのためにモーター40が正転され、正転側遊星ギア72が正転側中間ギア71に噛合している。その状態で、キー部材20がカートリッジ蓋ロック位置からロック解除位置へ操作され、これに伴って、正転側中間ギア71が図4の反時計方向に回動させられると、正転側遊星ギア72が正転側ギア71に噛合していることにより、正転側中間ギア71が図4の反時計方向に回動されると、正転側遊星ギア72が太陽ギア70と正転側ギア71の間に咬み込む方向に転動されることになり、遊星ギア72側からは太陽ギア70を回動させることができないために、結局キー部材20によるカートリッジ蓋13のロック解除操作ができないことになる。
【0093】
そのため、モーター40の正転時に正転側中間ギア71に噛合する正転側遊星ギア72を、キー部材20のカートリッジ蓋ロック解除操作の初期段階で、正転側中間ギア71から離間させる手段を設けておくことが望ましい。そこで本実施の形態では、図13に示すように、正転側遊星ギア72が太陽ギア70の周りで転動し得るように正転側遊星ギア72を回転自在に保持するレバー79の先端を延長するとともに、キー部材20に設けたピン81に係止した解除部材80を設けるとともに、この解除部材80の先端をキー部材20の操作に連動してレバー79の延長部に係合させて、正転側ギア71と正転側遊星ギア72との噛合関係を強制的に解除している。なお、図13においては、解除部材80に形成した溝80a内にガイドピン82を係入させて、解除部材80をレバー79側に向かって案内するようにしている。
【0094】
また、モーター40によるフィルムの巻き戻し時に、キー部材20によるカートリッジ蓋ロック解除操作が行なわれると、制動レバー60が作動されて、その係止アーム64の係合部64aがスプール駆動部材30の突起61の回転軌跡内に侵入することになり、故障を発生させるおそれがある。そのため、フィルムの巻き戻し時にはキー部材20によるカートリッジ蓋ロック解除操作を禁止する手段を設けておくことが望ましい。例えば図3および図5に示すように、キー部材20によるカートリッジ蓋ロック解除操作に連動して回動されるカム38にピン83を立設するとともに、カメラ10が備えている巻き戻しスイッチレバー(図示は省略)に図14に示すようなストッパ84を設け、巻き戻しスイッチレバーの操作に伴って、ストッパ84をピン83に係合させて、カム38を固定するようにすれば、キー部材20をカートリッジ蓋ロック位置に係止することができること明らかである。
【0095】
なお、キー部材20によるカートリッジ蓋ロック解除操作に連動して回動する部材、例えば駆動側の欠歯ギア37に制動レバ−60駆動用のカム38を設ける代わりに、図15に示すようなカム溝85を例えば駆動側の欠歯ギア37に形成するとともに、このカム溝85に係入されるカムフォロワピン85を制動レバー60に設けることによっても、制動レバー60を駆動することができる。その場合は、制動レバー60に弾性アーム67を設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるカメラのフィルムカートリッジの装填状態を示す底面側の斜視図
【図2】フィルムカートリッジの図1とは上下を逆にして示す斜視図
【図3】本発明の一実施の形態において、キー部材がカートリッジ蓋を閉位置にロックしたときのスプール駆動部材位置決め機構および遮光扉開閉機構の構成を示す分解斜視図
【図4】本発明の一実施の形態におけるモーターからスプール駆動部材に駆動力を伝達する駆動力伝達系の構成を示す斜視図
【図5】同 スプール駆動部材が制動されない状態にある場合のスプール駆動部材位置決め機構を示す拡大平面図
【図6】同 両欠歯ギアの噛合動作の説明図
【図7】同 図6に続く両欠歯ギアの噛合動作の説明図
【図8】同 図7に続く両欠歯ギアの噛合動作の説明図
【図9】同 スプール駆動部材が制動された状態にある場合のスプール駆動部材位置決め機構をスプール駆動部材位置決め機構を制動状態において示す拡大平面図
【図10】同 スプール駆動部材が所定の回転角度位置に位置決めされた状態を示す部分的平面図
【図11】本発明の一実施の形態において、キー部材をカートリッジ蓋ロック位置からロック解除位置へ操作したきの遮光扉開閉機構の状態を示す分解斜視図
【図12】キー部材をカートリッジ蓋ロック位置からロック解除位置へ操作したときのキー部材による各部材の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャート
【図13】駆動力伝達系が備えている正転側中間ギアと正転側遊星ギアとの噛合関係を強制的に解除する機構の説明図
【図14】フィルムの巻き戻し時にキー部材によるカートリッジ蓋ロック解除操作を禁止する機構の説明図
【図15】制動レバーを駆動するカム機構の他の構成を示す概略的平面図
【符号の説明】
1 フィルムカートリッジ
3 スプール
4 フィルム送出口
5 遮光扉
10 カメラ
12 カートリッジ室
13 カートリッジ蓋
20 キー部材
20a キー部
30 スプール駆動部材
37 駆動側の欠歯ギア
38 カム
39 スプール駆動軸
40 モーター
44 太陽ギア
45 遊星レバー
46 遊星ギア
48 被駆動側の欠歯ギア
50 遮光扉開閉部材
56 オーム状スプリング
60 制動レバー
Claims (19)
- スプールに巻装した写真フィルムを収容し、かつ前記スプールの所定の回動角度位置においてフィルムの露光済み状態を表示する表示部と、フィルム送出口を開閉する遮光扉とを備えてなるフィルムカートリッジを用いるカメラであって、該フィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、該カートリッジ室を開閉するカートリッジ蓋と、該カートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材と、前記カートリッジ室に収容された前記フィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時およびフィルム巻き戻し時にモーターにより回転駆動されて前記スプールを回転駆動するスプール駆動部材と、前記カートリッジ室に収容された前記フィルムカートリッジの前記遮光扉に係合して該遮光扉を開閉する開閉部材とを有するカメラにおいて、
前記キー部材の前記カートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して、前記スプール駆動部材を、前記スプールの前記露光済み状態を表示する回動角度位置に対応する所定の回動角度位置に位置決めする位置決め手段と、前記ロック解除操作に機械的に連動して、前記開閉部材をして前記遮光扉の閉動作を行なわせる遮光扉開閉機構とを備え、
前記キー部材の前記ロック解除操作開始時に、前記スプール駆動部材が前記所定の回動角度位置以外の位置にあるときには、前記スプール駆動部材が前記位置決め手段によりフィルム巻き戻し方向に回動されて、前記所定の回動角度位置に位置決めされてなることを特徴とするカメラ。 - スプールに巻装した写真フィルムを収容し、かつ前記スプールの所定の回動角度位置においてフィルムの露光済み状態を表示する表示部と、フィルム送出口を開閉する遮光扉とを備えてなるフィルムカートリッジを用いるカメラであって、該フィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、該カートリッジ室を開閉するカートリッジ蓋と、該カートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材と、前記カートリッジ室に収容された前記フィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時およびフィルム巻き戻し時にモーターにより回転駆動されて前記スプールを回転駆動するスプール駆動部材と、前記カートリッジ室に収容された前記フィルムカートリッジの前記遮光扉に係合して該遮光扉を開閉する開閉部材とを有するカメラにおいて、
前記キー部材の前記カートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して、前記スプール駆動部材を、前記スプールの前記露光済み状態を表示する回動角度位置に対応する所定の回動角度位置に位置決めする位置決め手段と、前記ロック解除操作に機械的に連動して、前記開閉部材をして前記遮光扉の閉動作を行なわせる遮光扉開閉機構とを備え、
前記位置決め手段が、前記キー部材と前記スプール駆動部材とを機械的に連動させる連動機構を有し、該連動機構は、前記スプール駆動部材が前記所定の回動角度位置以外の位置にあるときにのみ前記キー部材からの駆動力を前記スプール駆動部材に伝達する伝達部材を含むことを特徴とするカメラ。 - 前記キー部材の前記ロック解除操作開始時に、前記スプール駆動部材が前記所定の回動角度位置以外の位置にあるときには、前記スプール駆動部材が前記位置決め手段によりフィルム巻き戻し方向に回動されて、前記所定の回動角度位置に位置決めれてなることを特徴とする請求項2記載のカメラ。
- スプールに巻装した写真フィルムを収容し、かつ前記スプールの所定の回動角度位置においてフィルムの露光済み状態を表示する表示部と、フィルム送出口を開閉する遮光扉とを備えてなるフィルムカートリッジを用いるカメラであって、該フィルムカートリッジを収容するカートリッジ室と、該カートリッジ室を開閉するカートリッジ蓋と、該カートリッジ蓋を閉位置にロックするキー部材と、前記カートリッジ室に収容された前記フィルムカートリッジのスプールに係合し、フィルム送り出し時およびフィルム巻き戻し時にモーターにより回転駆動されて前記スプールを回転駆動するスプール駆動部材と、前記カートリッジ室に収容された前記フィルムカートリッジの前記遮光扉に係合して該遮光扉を開閉する開閉部材とを有するカメラにおいて、
前記キー部材の前記カートリッジ蓋のロック解除操作に機械的に連動して、前記スプール駆動部材を、前記スプールの前記露光済み状態を表示する回動角度位置に対応する所定 の回動角度位置に位置決めする位置決め手段と、前記ロック解除操作に機械的に連動して、前記開閉部材をして前記遮光扉の閉動作を行なわせる遮光扉開閉機構とを備え、
前記位置決め手段が一対の欠歯ギアを備え、前記スプール駆動部材が前記所定の回動角度位置に位置決めされたときには、被駆動側の欠歯ギアの欠歯部が駆動側の欠歯ギアに対向し、かつ前記キー部材がカートリッジ蓋ロック位置およびロック解除位置にあるときには、前記駆動側の欠歯ギアの欠歯部が前記被駆動側の欠歯ギアに対向するように構成されてなることを特徴とするカメラ。 - 前記駆動側の欠歯ギアの実在歯数が前記被駆動側の欠歯ギアの実在歯数よりも多く設定されてなることを特徴とする請求項4記載のカメラ。
- 前記駆動側の欠歯ギアの欠歯部における称呼歯数が前記被駆動側の欠歯ギアの欠歯部における称呼歯数よりも多く設定されてなることを特徴とする請求項4または5記載のカメラ。
- 前記被駆動側の欠歯ギアに、該被駆動側の欠歯ギアと一体に回動するギアが同軸的に設けられ、かつ該ギアが、該ギアによって駆動されるギアを太陽ギアとする遊星ギアを構成してなることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項記載のカメラ。
- 前記太陽ギアが前記スプール駆動部材の軸に同軸的に固設され、かつ前記太陽ギアと前記遊星ギアとのギア比が1:1に設定されてなることを特徴とする請求項7記載のカメラ。
- 前記被駆動側の欠歯ギアは前記駆動側の欠歯ギアに向かって付勢されているとともに、前記キー部材の前記ロック解除操作時に前記被駆動側の欠歯ギアが前記駆動側の欠歯ギアに食い付き勝手となるように回転方向が設定され、かつ前記駆動側の欠歯ギアが前記被駆動側の欠歯ギアを駆動する際に、両欠歯ギアの先頭の歯先同士が当接した場合、前記被駆動側の欠歯ギアが前記駆動側の欠歯ギアの駆動力によって前記太陽ギアの周方向に退避せしめられた後、前記両欠歯ギアの正規の噛合がなされ得るように、前記両欠歯ギアおよび前記太陽ギアの位置関係が設定されてなることを特徴とする請求項8記載のカメラ。
- 前記被駆動側の欠歯ギアと前記遊星ギアとを一端に回動自在に軸支するレバーが前記スプール駆動部材に同軸的に遊嵌され、前記レバーは、前記被駆動側の欠歯ギアを前記駆動側の欠歯ギアに向かって付勢する付勢力を発生するための弾性的に撓ませられたアームを他端に備えてなることを特徴とする請求項8または9記載のカメラ。
- 前記スプール駆動部材が前記位置決め手段により前記所定の回動角度位置に位置決めされるときの慣性による前記スプール駆動部材のオーバーランを防止する制動手段を備えてなることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項記載のカメラ。
- 前記制動手段は、前記スプール駆動部材または該スプール駆動部材に常時連動して回動する部材に設けられた被制動部と、該被制動部に係合して制動を行う制動部材とを備えてなることを特徴とする請求項11記載のカメラ。
- 前記制動部材は、前記キー部材または該キー部材に常時連動して回動する部材に設けられたカムによって駆動されてなることを特徴とする請求項12記載のカメラ。
- 前記スプール駆動部材が前記位置決め手段により前記所定の回動角度位置に位置決めされるときに前記所定の回動角度位置を若干オーバーランした場合に、前記被制動部に対する前記制動部材の係合により前記スプール駆動部材を前記所定の回動角度位置に戻し得る傾斜面が前記被制動部と前記制動部材との少なくとも一方に形成されてなることを特徴とする請求項13記載のカメラ。
- 前記制動部材は、前記カムに当接するカムフォロワと、該カムフォロワ部を前記カムに向かって付勢する付勢力を発生するための弾性的に撓ませられたアームとを備えてなることを特徴とする請求項13または14記載のカメラ。
- 前記遮光扉開閉機構は、前記開閉部材を前記遮光扉の開位置および閉位置に向かって選択的に付勢するトグル機構を備えてなることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項記載のカメラ。
- 前記遮光扉開閉機構は、前記スプール駆動部材位置決め手段の作動開始後でかつ前記スプール駆動部材の前記所定の回動角度位置への位置決めが完了する以前に作動を開始され、かつ前記トグル機構が死点に達するまでに、前記スプール駆動部材の前記所定の回動角度位置への位置決めが完了するように、前記スプール駆動部材位置決め手段および前記遮光扉開閉機構の作動タイミングが設定されてなることを特徴とする請求項16記載のカメラ。
- フィルム送り出し時に正転し、かつフィルム巻き戻し時に逆転する前記モーターの回転駆動力を前記スプール駆動部材に伝達して、該スプール駆動部材を正転または逆転させる駆動力伝達手段が、前記モーターよって回転駆動される太陽ギアと、該太陽ギアの一側に噛合され前記モーターの正転時に前記太陽ギアの駆動力によって正転側中間ギアに噛合される正転側遊星ギアと、前記太陽ギアの他側に噛合され前記モーターの逆転時に前記太陽ギアの駆動力によって逆転側中間ギアに噛合される逆転側遊星ギアとを備えるとともに、前記キー部材の前記ロック解除操作に際して前記正転側遊星ギアが前記正転側中間ギアに噛合している場合に、前記キー部材のロック解除操作の初期段階で、前記正転側遊星ギアと前記正転側中間ギアとの噛合を強制的に解除する解除手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
- フィルム巻き戻し中は前記キー部材の前記ロック解除操作を禁止する禁止手段を備えてなることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項記載のカメラ。
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