JP3623851B2 - 配色フィルム、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一枚のフィルム上に着色部と透明部をフィルムの長手方向に沿って平行に有する配色フィルム、及びその製造方法に関するものである。特に、本発明は農業用のマルチフィルムに適した配色フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、農作物の周年栽培が一般農家の間にも浸透しつつあるが、同一畝に太陽光線が良く当たる部分や地温が高くなる部分を形成することで、作物の生育を調整する方法が盛んに採り入れられている。そのためマルチフィルムも、従来の単色のマルチフィルムより、フィルムの長手方向に沿って異なった色の部位を有する配色マルチフィルムが多用されている。
【0003】
ところで、この配色マルチフィルムは、従来より黒色部と透明部からなる配色マルチフィルム(例えば実公昭49−7164号等)や、銀色部と透明部からなる配色マルチフィルム(例えば実公昭47−33633号等)が一般に知られている。しかしながらこれらの配色マルチフィルムは、黒色や銀色に着色された部位には各種着色剤を含むのに対して、透明部は着色剤を有していないため、一般に透明部を形成する樹脂の方が着色部を形成する樹脂よりもメルトテンションが低く、そのためフィルムの製造に種々の悪影響を及ぼしていた。例えばインフレーション押出成型法で配色フィルムを製膜すると、押出された溶融チューブ内に圧縮空気を吹き込んで膨張させる際に、透明部が着色部に比べて大きく膨らんでしまい、フィルムに厚薄差が生じていた。そのため、該フィルムはロール巻きした際にロール表面に凹凸が生じたり、また巻き解いた際に“引きつり”や“たるみ”等が生じることがあった。このような問題はTダイ押出成型法によってフィルムを製膜した場合ある程度解決されるが、同法によるフィルムは同一のダイから成形し得るフィルム幅に制限がある。
【0004】
また、インフレーション押出成型法を用いた場合も、Tダイ押出成型法を用いた場合も着色部と透明部の境界部のフィルム厚みが薄くなり、該境界部の強度が極端に弱くなっていた。そのため農業用のマルチフィルムとして用いた場合に、敷設時等に境界部が裂け易いという問題を抱えていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、厚みの均一性に優れ、尚かつ境界部の強度が強い配色フィルムを提供することである。特に農業用のマルチフィルムとして好適に用いることのできる配色フィルムを提供することを課題とする。
また、該配色フィルムのフィルム幅の変更を簡単に行うことのできる製造方法を提供することも同時に課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、着色部、及び透明部がフィルムの長手方向に沿って帯状に配置された配色フィルムであって、着色部が低密度ポリエチレン樹脂及び/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に着色顔料を配合した樹脂組成物からなり、透明部が低密度ポリエチレン樹脂及び/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂99〜80重量%に高密度ポリエチレン樹脂を1〜20重量%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする配色フィルムが提供され、
更に、着色部が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に着色顔料を配合した樹脂組成物からなり、透明部が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂99〜80重量%に高密度ポリエチレン樹脂を1〜20重量%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする前記配色フィルムが提供され、
更にまた、前記着色部が、銀色、黒色、緑色、濃紺色、紫色、白色のいずれかに着色されていることを特徴とする前記配色フィルムが提供され、
更にまた、前記配色フィルムの少なくとも片面に、他の層が積層されたことを特徴とする多層構成の配色フィルムが提供され、
加えて、インフレーション押出成形法によって成形されていることを特徴とする前記配色フィルムの製造方法が提供される。
【0007】
即ち透明部をなすベース樹脂に、該樹脂よりも結晶性の高い高密度ポリエチレン樹脂を混合することで、透明部用樹脂組成物と着色部用樹脂組成物のメルトテンションを似かよらせて、上記課題を解決するのである。
【0008】
本発明において、着色部、及び透明部のベース樹脂には、低密度ポリエチレン樹脂(以下、LDPE樹脂と称す。)、もしくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下L−LDPE樹脂と称す。)、もしくはLDPE樹脂とL−LDPEの混合物のいずれかが用いられる。尚、LDPE樹脂はエチレンを高圧法により重合させた密度0.910〜0.925g/cm3のポリエチレン樹脂で、通常フィルム用に用いられている樹脂であれば特に限定なく使用することができる。またL−LDPE樹脂は、エチレンと、ブテン−1、ヘキサン−1、4−メチルペンテン、オクテン−1等の炭素数4〜12のα−オレフィンを共重合することによって得られる。これらの樹脂からなるフィルムは、耐候性、経済性に優れ、また環境を汚染することなく燃焼することができるため、配色フィルムとして適しているが、特にベース樹脂としてL−LDPE樹脂を用いると耐熱性や強度に優れ好ましい。また、透明部のベース樹脂と着色部のベース樹脂は、継ぎ目部分の相溶性を考慮すると同じ樹脂を用いることが好ましい。さらに、これらの樹脂は必要に応じて種々の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、消泡剤、充填剤、帯電防止剤、滑材等の添加剤を添加できる。
【0009】
透明部を形成する樹脂には、メルトテンションを着色部用樹脂組成物に近づけるために、高密度ポリエチレン樹脂(以下、HDPEと称す。)が混合される。HDPE樹脂はエチレンを低圧法で重合して得られる樹脂で、密度が0.940〜0.970g/cm3のものを指す。このとき用いられるHDPE樹脂は、他に用いられる樹脂(LDPE樹脂、もしくはL−LDPE樹脂、もしくはLDPE樹脂とL−LDPE樹脂の混合物)とのメルトインデックスの差が小さいものが好ましく、具体的にはHDPE樹脂のメルトインデックスの値をMIHD、他に用いられる樹脂のメルトインデックスの値をMILDとすると、0.1≦MIHD/MILD≦20であることが好ましい。MIHD/MILDの値が前述した範囲外の場合は、両者の樹脂の分散性が悪いためフィルムの物性が低下する。また、透明部に混合するHDPE樹脂の配合量は、1〜20wt%であり、特に2〜10wt%が好ましい。配合量が1wt%未満ではHDPEを混合した効果に乏しく、また20wt%より多くなると透明部用樹脂のメルトテンションが着色用樹脂よりも逆に高くなり、できあがったフィルムの透明部の厚みが着色部よりも厚くなるため、厚薄差や境界部の強度の問題を解消することができない。
【0010】
一方、着色部は上述したベース樹脂に各種着色剤が添加された組成物から形成される。着色部はいかなる色であっても良いが、配色フィルムを農業用のマルチフィルムとして用いる場合は、飛来害虫の忌避効果に優れた銀色、もしくは雑草防除効果に優れた黒色、地温抑制効果に優れた白色、その他緑色、濃紺色、紫色のいずれかが好ましい。また、着色剤の種類は特に限定されないが、例えば銀色ではアルミニウム粉末、黒色はカーボンブラック、緑色はフタロシアニングリーン、濃紺色はフタロシアニンブルーと赤系酸化鉄の混合物、紫色はジオキサンバイオレット、白色は酸化チタンを用いると良い。また、着色剤の添加量は顔料の種類や着色度によって異なるため特に限定されないが、通常1〜50重量%の範囲が好ましい。
【0011】
次に、本発明の配色フィルムの製造方法について説明する。本発明の配色フィルムは、着色部と透明部の樹脂組成物を異なる押出機により特殊な樹脂分配流路を有するダイスに供給し、溶融押出することによって得られる。ダイスは直線状のいわゆるTダイを用いても良く、また環状のダイスを用いても良い。しかしながら、フィルムの幅を変更する可能性のある場合は、環状のダイスを用いてインフレーション押出成形法によって製膜すると、幅調節が簡単であるので好ましい。
【0012】
又、本発明の配色フィルムは、着色部と透明部を有する単層フィルムのみならず、着色部と透明部を有するフィルムの片面、もしくは両面に他の層を積層させた多層構成の配色フィルムであってもよい。配色フィルムが多層構成であると、フィルム強度(特に着色部と透明部の継ぎ目部分)をアップさせることができる。また着色部と透明部を有するフィルムの片面に、配色層における着色部とは異なった色の層を設けると、配色フィルムにさらに新たなる機能を付加することも可能である。多層構成の配色フィルムを製造する方法は、例えば単層の配色フィルムを製膜した後、他のフィルムを接着剤等を介して積層しても良く、また共押出機を用いて着色部と透明部を有するフィルムを押出成形する際に同時に成形してもよい。着色部と透明部を有するフィルムに積層される層の樹脂組成は、特に限定されるものではないが、共押出法によって製膜する場合、製膜性や層間接着強度の面から着色部、及び透明部のベース樹脂同様、LDPE、もしくはL−LDPE、もしくはLDPEとL−LDPEの混合物であることが好ましい。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例を基に更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
尚、本発明において行った物性の測定法及び評価方法は次の如くである。
(1)フィルム厚さ
厚さ1μmまで測定可能な測定器により、フィルムの幅方向に沿ってフィルムの厚みを10箇所で測定した。着色部における値と、透明部における値をそれぞれ平均値で表す。
(2)境界部の強度
着色部と透明部の境界部が長さ方向の中央部で幅方向に平行に位置するように、幅10mm×長さ120mmの試験片を打ち抜き、引張試験器により最大引張強度を測定した。
(3)ロール巻き状態
長さ200mの試験フィルムを直径50mmφの紙管にロール巻きし、その状態を目視により評価した。尚、巻き皺がなく、しかも、ロール表面に凹凸がなく平滑で、その上、フィルムを巻き解いた際に“ひきつり”や“たるみ”がないものを(○)、そうでないものを(×)とした。
【0015】
実施例1〜3
表1に示す着色部、及び透明部の樹脂組成物をそれぞれ別の押出機に供給し、インフレーション押出成型法にて配色フィルムを製膜した。
【0016】
【表1】
【0017】
表中のL−LDPEは、住友化学工業(株)製のC4−L−LDPEで密度0.922g/cm3、MFRが0.8g/10minのものを、HDPEはチッソ(株)の原料名:M850、密度0.963g/cm3、MFRが5.0g/10minのものを用いた。尚、製膜条件としては押出温度200℃、押出量150kg/hr、ブロー比2.8、引取速度50m/minで着色部と透明部の幅が4:1でそれぞれ2筋ずつとした。また、引き取られたチューブ状フィルムは、それぞれ着色部の中央部を切断して二枚の配色フィルムとした。得られた配色フィルムの厚み、境界部の強度、及び、ロール巻き状態を測定し、結果を表2に示す。その結果、本発明の配色フィルムは着色部と透明部の厚薄差が小さく、また境界部の強度も強く、更にロール巻き姿や、巻き解いたフィルム表面も良好であった。
【0018】
比較例1〜2
表1に示す樹脂組成物を用い、配色フィルムを製膜した。尚、製膜条件は実施例1〜3と同様にした。結果を表2に示す。その結果、比較例1においては、着色部の厚さが透明部に比べて厚く、また比較例2においては透明部の厚さが着色部に比べて厚かった。また、比較例1、及び2のいずれも境界部の強度が低く、またロール巻きの状態が実施例1〜3と比べて不良であった。
【0019】
【表2】
【0020】
【効果】
本発明による配色フィルムは、着色部を形成する樹脂組成物と透明部を形成する樹脂組成物がほぼ同程度のメルトテンションを示すため、着色部と透明部の厚薄差が小さく、そのため、ロール巻きした際も、ロール巻き表面が平滑になるばかりか、フィルムを巻き解いた際に“引きつり”や“たるみ”がなくフィルム表面が平滑である。又、メルトテンションが似通っており相溶性が良好なため、着色部と透明部の境界部が薄くならず、該部分から破れることがない。よって、農業用の配色マルチフィルムとして土壌に敷設した際も、耐候性に優れ、またフィルム上を人が歩くなどしても、継ぎ目部分から破れることがほとんどない。
【0021】
特に着色部、及び透明部のベース樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いると、耐熱性や強度に優れた配色フィルムが得られる。
また、着色部を銀色、もしくは黒色、緑色、濃紺色、紫色、白色のいずれかの色に着色すると、農業用の配色マルチフィルムとして特に好適に用いることができる。
【0022】
尚、本発明による配色フィルムを単層フィルムとせずに、着色部、及び透明部を有する樹脂層の少なくとも一方に単色の樹脂層を積層すると、配色フィルムに新たな機能を付与することができる。また、着色部、及び透明部を有する樹脂層の少なくとも一方に、単色樹脂、もしくは透明樹脂からなる層を積層すると、フィルムの強度、特に着色部と透明部の継ぎ目部分の強度がさらにアップする。
さらにまた、本発明による配色フィルムをインフレーション押出成型法によって製膜すると、装置を特に改良しなくても、フィルムの幅を変更することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、一枚のフィルム上に着色部と透明部をフィルムの長手方向に沿って平行に有する配色フィルム、及びその製造方法に関するものである。特に、本発明は農業用のマルチフィルムに適した配色フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、農作物の周年栽培が一般農家の間にも浸透しつつあるが、同一畝に太陽光線が良く当たる部分や地温が高くなる部分を形成することで、作物の生育を調整する方法が盛んに採り入れられている。そのためマルチフィルムも、従来の単色のマルチフィルムより、フィルムの長手方向に沿って異なった色の部位を有する配色マルチフィルムが多用されている。
【0003】
ところで、この配色マルチフィルムは、従来より黒色部と透明部からなる配色マルチフィルム(例えば実公昭49−7164号等)や、銀色部と透明部からなる配色マルチフィルム(例えば実公昭47−33633号等)が一般に知られている。しかしながらこれらの配色マルチフィルムは、黒色や銀色に着色された部位には各種着色剤を含むのに対して、透明部は着色剤を有していないため、一般に透明部を形成する樹脂の方が着色部を形成する樹脂よりもメルトテンションが低く、そのためフィルムの製造に種々の悪影響を及ぼしていた。例えばインフレーション押出成型法で配色フィルムを製膜すると、押出された溶融チューブ内に圧縮空気を吹き込んで膨張させる際に、透明部が着色部に比べて大きく膨らんでしまい、フィルムに厚薄差が生じていた。そのため、該フィルムはロール巻きした際にロール表面に凹凸が生じたり、また巻き解いた際に“引きつり”や“たるみ”等が生じることがあった。このような問題はTダイ押出成型法によってフィルムを製膜した場合ある程度解決されるが、同法によるフィルムは同一のダイから成形し得るフィルム幅に制限がある。
【0004】
また、インフレーション押出成型法を用いた場合も、Tダイ押出成型法を用いた場合も着色部と透明部の境界部のフィルム厚みが薄くなり、該境界部の強度が極端に弱くなっていた。そのため農業用のマルチフィルムとして用いた場合に、敷設時等に境界部が裂け易いという問題を抱えていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、厚みの均一性に優れ、尚かつ境界部の強度が強い配色フィルムを提供することである。特に農業用のマルチフィルムとして好適に用いることのできる配色フィルムを提供することを課題とする。
また、該配色フィルムのフィルム幅の変更を簡単に行うことのできる製造方法を提供することも同時に課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、着色部、及び透明部がフィルムの長手方向に沿って帯状に配置された配色フィルムであって、着色部が低密度ポリエチレン樹脂及び/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に着色顔料を配合した樹脂組成物からなり、透明部が低密度ポリエチレン樹脂及び/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂99〜80重量%に高密度ポリエチレン樹脂を1〜20重量%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする配色フィルムが提供され、
更に、着色部が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に着色顔料を配合した樹脂組成物からなり、透明部が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂99〜80重量%に高密度ポリエチレン樹脂を1〜20重量%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする前記配色フィルムが提供され、
更にまた、前記着色部が、銀色、黒色、緑色、濃紺色、紫色、白色のいずれかに着色されていることを特徴とする前記配色フィルムが提供され、
更にまた、前記配色フィルムの少なくとも片面に、他の層が積層されたことを特徴とする多層構成の配色フィルムが提供され、
加えて、インフレーション押出成形法によって成形されていることを特徴とする前記配色フィルムの製造方法が提供される。
【0007】
即ち透明部をなすベース樹脂に、該樹脂よりも結晶性の高い高密度ポリエチレン樹脂を混合することで、透明部用樹脂組成物と着色部用樹脂組成物のメルトテンションを似かよらせて、上記課題を解決するのである。
【0008】
本発明において、着色部、及び透明部のベース樹脂には、低密度ポリエチレン樹脂(以下、LDPE樹脂と称す。)、もしくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下L−LDPE樹脂と称す。)、もしくはLDPE樹脂とL−LDPEの混合物のいずれかが用いられる。尚、LDPE樹脂はエチレンを高圧法により重合させた密度0.910〜0.925g/cm3のポリエチレン樹脂で、通常フィルム用に用いられている樹脂であれば特に限定なく使用することができる。またL−LDPE樹脂は、エチレンと、ブテン−1、ヘキサン−1、4−メチルペンテン、オクテン−1等の炭素数4〜12のα−オレフィンを共重合することによって得られる。これらの樹脂からなるフィルムは、耐候性、経済性に優れ、また環境を汚染することなく燃焼することができるため、配色フィルムとして適しているが、特にベース樹脂としてL−LDPE樹脂を用いると耐熱性や強度に優れ好ましい。また、透明部のベース樹脂と着色部のベース樹脂は、継ぎ目部分の相溶性を考慮すると同じ樹脂を用いることが好ましい。さらに、これらの樹脂は必要に応じて種々の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、消泡剤、充填剤、帯電防止剤、滑材等の添加剤を添加できる。
【0009】
透明部を形成する樹脂には、メルトテンションを着色部用樹脂組成物に近づけるために、高密度ポリエチレン樹脂(以下、HDPEと称す。)が混合される。HDPE樹脂はエチレンを低圧法で重合して得られる樹脂で、密度が0.940〜0.970g/cm3のものを指す。このとき用いられるHDPE樹脂は、他に用いられる樹脂(LDPE樹脂、もしくはL−LDPE樹脂、もしくはLDPE樹脂とL−LDPE樹脂の混合物)とのメルトインデックスの差が小さいものが好ましく、具体的にはHDPE樹脂のメルトインデックスの値をMIHD、他に用いられる樹脂のメルトインデックスの値をMILDとすると、0.1≦MIHD/MILD≦20であることが好ましい。MIHD/MILDの値が前述した範囲外の場合は、両者の樹脂の分散性が悪いためフィルムの物性が低下する。また、透明部に混合するHDPE樹脂の配合量は、1〜20wt%であり、特に2〜10wt%が好ましい。配合量が1wt%未満ではHDPEを混合した効果に乏しく、また20wt%より多くなると透明部用樹脂のメルトテンションが着色用樹脂よりも逆に高くなり、できあがったフィルムの透明部の厚みが着色部よりも厚くなるため、厚薄差や境界部の強度の問題を解消することができない。
【0010】
一方、着色部は上述したベース樹脂に各種着色剤が添加された組成物から形成される。着色部はいかなる色であっても良いが、配色フィルムを農業用のマルチフィルムとして用いる場合は、飛来害虫の忌避効果に優れた銀色、もしくは雑草防除効果に優れた黒色、地温抑制効果に優れた白色、その他緑色、濃紺色、紫色のいずれかが好ましい。また、着色剤の種類は特に限定されないが、例えば銀色ではアルミニウム粉末、黒色はカーボンブラック、緑色はフタロシアニングリーン、濃紺色はフタロシアニンブルーと赤系酸化鉄の混合物、紫色はジオキサンバイオレット、白色は酸化チタンを用いると良い。また、着色剤の添加量は顔料の種類や着色度によって異なるため特に限定されないが、通常1〜50重量%の範囲が好ましい。
【0011】
次に、本発明の配色フィルムの製造方法について説明する。本発明の配色フィルムは、着色部と透明部の樹脂組成物を異なる押出機により特殊な樹脂分配流路を有するダイスに供給し、溶融押出することによって得られる。ダイスは直線状のいわゆるTダイを用いても良く、また環状のダイスを用いても良い。しかしながら、フィルムの幅を変更する可能性のある場合は、環状のダイスを用いてインフレーション押出成形法によって製膜すると、幅調節が簡単であるので好ましい。
【0012】
又、本発明の配色フィルムは、着色部と透明部を有する単層フィルムのみならず、着色部と透明部を有するフィルムの片面、もしくは両面に他の層を積層させた多層構成の配色フィルムであってもよい。配色フィルムが多層構成であると、フィルム強度(特に着色部と透明部の継ぎ目部分)をアップさせることができる。また着色部と透明部を有するフィルムの片面に、配色層における着色部とは異なった色の層を設けると、配色フィルムにさらに新たなる機能を付加することも可能である。多層構成の配色フィルムを製造する方法は、例えば単層の配色フィルムを製膜した後、他のフィルムを接着剤等を介して積層しても良く、また共押出機を用いて着色部と透明部を有するフィルムを押出成形する際に同時に成形してもよい。着色部と透明部を有するフィルムに積層される層の樹脂組成は、特に限定されるものではないが、共押出法によって製膜する場合、製膜性や層間接着強度の面から着色部、及び透明部のベース樹脂同様、LDPE、もしくはL−LDPE、もしくはLDPEとL−LDPEの混合物であることが好ましい。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例を基に更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
尚、本発明において行った物性の測定法及び評価方法は次の如くである。
(1)フィルム厚さ
厚さ1μmまで測定可能な測定器により、フィルムの幅方向に沿ってフィルムの厚みを10箇所で測定した。着色部における値と、透明部における値をそれぞれ平均値で表す。
(2)境界部の強度
着色部と透明部の境界部が長さ方向の中央部で幅方向に平行に位置するように、幅10mm×長さ120mmの試験片を打ち抜き、引張試験器により最大引張強度を測定した。
(3)ロール巻き状態
長さ200mの試験フィルムを直径50mmφの紙管にロール巻きし、その状態を目視により評価した。尚、巻き皺がなく、しかも、ロール表面に凹凸がなく平滑で、その上、フィルムを巻き解いた際に“ひきつり”や“たるみ”がないものを(○)、そうでないものを(×)とした。
【0015】
実施例1〜3
表1に示す着色部、及び透明部の樹脂組成物をそれぞれ別の押出機に供給し、インフレーション押出成型法にて配色フィルムを製膜した。
【0016】
【表1】
【0017】
表中のL−LDPEは、住友化学工業(株)製のC4−L−LDPEで密度0.922g/cm3、MFRが0.8g/10minのものを、HDPEはチッソ(株)の原料名:M850、密度0.963g/cm3、MFRが5.0g/10minのものを用いた。尚、製膜条件としては押出温度200℃、押出量150kg/hr、ブロー比2.8、引取速度50m/minで着色部と透明部の幅が4:1でそれぞれ2筋ずつとした。また、引き取られたチューブ状フィルムは、それぞれ着色部の中央部を切断して二枚の配色フィルムとした。得られた配色フィルムの厚み、境界部の強度、及び、ロール巻き状態を測定し、結果を表2に示す。その結果、本発明の配色フィルムは着色部と透明部の厚薄差が小さく、また境界部の強度も強く、更にロール巻き姿や、巻き解いたフィルム表面も良好であった。
【0018】
比較例1〜2
表1に示す樹脂組成物を用い、配色フィルムを製膜した。尚、製膜条件は実施例1〜3と同様にした。結果を表2に示す。その結果、比較例1においては、着色部の厚さが透明部に比べて厚く、また比較例2においては透明部の厚さが着色部に比べて厚かった。また、比較例1、及び2のいずれも境界部の強度が低く、またロール巻きの状態が実施例1〜3と比べて不良であった。
【0019】
【表2】
【0020】
【効果】
本発明による配色フィルムは、着色部を形成する樹脂組成物と透明部を形成する樹脂組成物がほぼ同程度のメルトテンションを示すため、着色部と透明部の厚薄差が小さく、そのため、ロール巻きした際も、ロール巻き表面が平滑になるばかりか、フィルムを巻き解いた際に“引きつり”や“たるみ”がなくフィルム表面が平滑である。又、メルトテンションが似通っており相溶性が良好なため、着色部と透明部の境界部が薄くならず、該部分から破れることがない。よって、農業用の配色マルチフィルムとして土壌に敷設した際も、耐候性に優れ、またフィルム上を人が歩くなどしても、継ぎ目部分から破れることがほとんどない。
【0021】
特に着色部、及び透明部のベース樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いると、耐熱性や強度に優れた配色フィルムが得られる。
また、着色部を銀色、もしくは黒色、緑色、濃紺色、紫色、白色のいずれかの色に着色すると、農業用の配色マルチフィルムとして特に好適に用いることができる。
【0022】
尚、本発明による配色フィルムを単層フィルムとせずに、着色部、及び透明部を有する樹脂層の少なくとも一方に単色の樹脂層を積層すると、配色フィルムに新たな機能を付与することができる。また、着色部、及び透明部を有する樹脂層の少なくとも一方に、単色樹脂、もしくは透明樹脂からなる層を積層すると、フィルムの強度、特に着色部と透明部の継ぎ目部分の強度がさらにアップする。
さらにまた、本発明による配色フィルムをインフレーション押出成型法によって製膜すると、装置を特に改良しなくても、フィルムの幅を変更することができる。
Claims (5)
- 着色部、及び透明部がフィルムの長手方向に沿って帯状に配置された配色フィルムであって、着色部が低密度ポリエチレン樹脂及び/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に着色顔料を配合した樹脂組成物からなり、透明部が低密度ポリエチレン樹脂及び/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂99〜80重量%に高密度ポリエチレン樹脂を1〜20重量%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする配色フィルム。
- 着色部が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に着色顔料を配合した樹脂組成物からなり、透明部が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂99〜80重量%に高密度ポリエチレン樹脂を1〜20重量%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1記載の配色フィルム。
- 前記着色部が、銀色、黒色、緑色、濃紺色、紫色、白色のいずれかに着色されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の配色フィルム。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の配色フィルムの少なくとも片面に、他の層が積層されたことを特徴とする多層構成の配色フィルム。
- インフレーション押出成形法によって成形されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の配色フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12318096A JP3623851B2 (ja) | 1996-05-17 | 1996-05-17 | 配色フィルム、及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12318096A JP3623851B2 (ja) | 1996-05-17 | 1996-05-17 | 配色フィルム、及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09300459A JPH09300459A (ja) | 1997-11-25 |
JP3623851B2 true JP3623851B2 (ja) | 2005-02-23 |
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