JP3622502B2 - 分電盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分電盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、底板及び四周側板を有する箱体に主幹開閉器や分岐開閉器のような電気機器を収納し、前記箱体の開口を中蓋及び外蓋で開閉自在にふさぐようにした分電盤が提供されている(特開平9−322332号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載されているような従来例では、電気機器が箱体内に収納されているために箱体の四周側板等が邪魔になって電気機器へのケーブルの接続作業が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり、電気機器への配線作業性を向上させた分電盤を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、前面に主幹開閉器や分岐開閉器のような電気機器を配設する背面部を有して該電気機器を包囲する四周側面開放された電気機器取付部材と、該電気機器取付部材の開放された一対の対向側面に沿って電気機器取付部材に取着される一対の対向側板を有し、前記電気機器取付部材の開放された他の一対の対向側面に沿って前記一対の対向側板間を板状の橋架部材により連結して成る電気機器包囲部材と、前記電気機器包囲部材又は電気機器取付部材の少なくとも何れか一方に開閉自在に取着されて電気機器取付部材の前面を覆う扉と、前記電気機器取付部材の前記対向側板に沿った一対の対向側面側に設けられて前記一対の対向側板の内面に当接して前記電気機器取付部材に電気機器包囲部材を取り付ける際にガイドする複数のガイド部材とを備えたことを特徴とし、電気機器を配設した背面部を有する電気機器取付部材と電気機器の周囲を囲む電気機器包囲部材とを別体としているため、電気機器包囲部材を電気機器取付部材から取り外した状態で電気機器への配線作業が行え、電気機器への配線作業性を向上させることができる。また、電気機器包囲部材を電気機器取付部材に取着する際に電気機器包囲部材をガイド部材によってガイドすることで電気機器包囲部材を電気機器取付部材に容易に取着することができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ガイド部材の先端部分を前記電気機器取付部材から離れるにつれて前記電気機器包囲部材から離れる向きに傾斜させて成ることを特徴とし、電気機器包囲部材がガイドし易くなり、電気機器包囲部材を電気機器取付部材にさらに容易に取着することができる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明は、前記ガイド部材が、前記背板部に取着される固定片と、該固定片から立設された2つの立上片と、該立上片の先端部間を連結する連結片と、前記固定片から前記立上片間に立設されて先端部が前記連結片と接離自在に当接するケーブル支持片とを具備して成ることを特徴とし、ケーブル支持片にケーブルを支持させることにより、ケーブルが立上片よりも外側に移動することがなく、さらにケーブルの重みでケーブル支持片が内側に折れ曲がろうとしてもケーブル支持片の先端部が連結片に当接するためにケーブルが折れ曲がるのを防止してケーブルを強固に固定することができる。また、電気機器に結線されたケーブルをケーブル支持片よりも内側に配置させることにより、電気機器包囲部材を電気機器取付部材に取着する際に電気機器包囲部材と電気機器取付部材の間にケーブルを挟み込むのを防いで電気機器包囲部材の取着作業が容易に行える。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0009】
図1並びに図8に示すように本実施形態の分電盤は、前面に主幹開閉器3や分岐開閉器4のような電気機器を配設して壁面Wに取り付けられる略平板状の背板部材1と、この背板部材1の四周に沿って背板部材1に取着される矩形の枠体10と、この枠体10に開閉自在に取着されて枠体10の開口部から露出する背板部材1の前面を覆う中蓋40と、同じく枠体10に開閉自在に取着されて枠体10並びに中蓋40の前面を覆う扉50とを備えている。而して、本実施形態では、電気機器を包囲する四周側面の全てを開放した背板部材1にて電気機器取付部材が構成され、この背板部材1の四周に沿って背板部材1に取着される枠体10によって電気機器包囲部材が構成されている。但し、これに限定する主旨ではなく、電気機器取付部材の対向する2つの側面方向が開放され、その開放された側面が電気機器包囲部材で塞がれるような構造の分電盤であれば、本発明の技術的思想を適用することが可能である。
【0010】
背板部材1は、図1及び図3に示すように矩形の略平板状であって、左右方向(以下、上下左右の各方向は図1に示すように壁面Wに取り付けた状態における方向を指す。)の両端部(以下、「台部」と呼ぶ。)1aが上下方向に渡って前面側に突出する断面形状略コ字形に形成される。これにより、背板部材1に枠体10を取着する時の位置合わせが容易に行える。そして、台部1aに挟まれた平坦部1bに内器ブロック2が取り付けられる。
【0011】
内器ブロック2は、図1に示すように断面形状略コ字の樋状に形成された一対のフレーム2a間に一対の取付板2bが取着され、各取付板2bの前面側に主幹開閉器3並びに複数の分岐開閉器4を取り付けて構成される。主幹開閉器3と各分岐開閉器4とは、図2に示すように帯板状の3本の導電バー2cによって電気的に接続され、各分岐開閉器4と導電バー2cとの接続箇所が絶縁カバー2dによって覆われる。そして、背板部材1の平坦部1b四隅近傍から前面側に突出する固定ねじ2eをフレーム2a両端のねじ挿通孔に挿通し、固定ねじ2eの先端にナット2fを締め付けることで内器ブロック2が背板部材1の前面に取り付けて固定されるのである。
【0012】
背板部材1の台部1a前面側には3つのガイド部材7が上下方向に略等間隔に並ぶように取り付けてある。このガイド部材7は、後述するように背板部材1の四周に沿って取着される枠体10の内周面に当接して、背板部材1に取り付ける際に枠体10をガイドするものである(図2参照)。
【0013】
ガイド部材7は、図9に示すように台部1aに取着される固定片7aと、この固定片7aから立設された一対の立上片7bと、これら立上片7bの先端部間を連結する連結片7cと、固定片7aから立上片7b間に立設されて先端部が連結片7cと接離自在に当接可能なケーブル支持片7dとが一体に形成されている。而して、固定片7aには一対のねじ孔7eが穿設されており、このねじ孔7eを通して台部1aのねじ孔(図示せず)に螺合したねじ7fにより、ガイド部材7が台部1aに固定されるのである(図2参照)。ここで、ガイド部材7の立上片7bの外側面と背板部材1の台部1aの側端面とが面一になるようにガイド部材7が台部1aに取り付けてある。なお、立上片7bの先端部分が内側(ケーブル支持片7d側)に傾斜させてあり、これによって枠体10を背板部材1に取着する際にガイドし易くなり、枠体10の取着作業がさらに容易となる。
【0014】
ここで、主幹開閉器3や分岐開閉器4に結線されたケーブル60を、図11に示すようにガイド部材7のケーブル支持片7dに結束バンド61などで固定し、ケーブル支持片7dよりも内側にケーブル60を配置させる。こうすることにより、背板部材1に枠体10を取着する際に枠体10と背板部材1の間にケーブル60を挟み込むのを防いで枠体10の取着作業が容易に行える。また、ケーブル支持片7dにケーブル60を支持させることにより、ケーブル60が立上片7bよりも外側に移動することがなく、さらにケーブル60の重みでケーブル支持片7dが内側に折れ曲がろうとしてもケーブル支持片7dの先端部が連結片7cに当接するためにケーブル60が折れ曲がるのを防止してケーブル60を強固に固定することができる。
【0015】
また、図3並びに図4に示すように台部1aの下端部には、引掛孔5aを有する第1引掛部材5がねじ5eにより固定されている。この第1引掛部材5は、台部1aに取着される固定片5bと、固定片5bの端縁から立設される主片5cとが一体に形成されて成り、主片5cの先端部分に略矩形の引掛孔5aが穿設されている。なお、主片5cの側端縁を折曲することで強度の向上を図っている。また、主片5cの先端には折曲片5dが設けてあり、図2に示すように枠体10を取着した時に枠体10の裏面に上記折曲片5dが当接するようになっている。
【0016】
さらに、図3、図4及び図16に示すように台部1aの上端部には、爪片6aを有する第2引掛部材6がねじ6dにより固定されている。この第2引掛部材6は、台部1aに取着される固定片6bと、固定片6bの端縁から立設される主片6cとが一体に形成されて成り、主片6cの先端部分に上方向に突出する爪片6aが設けてある。
【0017】
一方、枠体10は、図10に示すように背板部材1の左右方向両端近傍に位置する一対の対向側板11,11と、背板部材1の上下方向両端近傍に位置して対向側板11,11間に橋架される一対の橋架部材12,12とで構成される。而して、枠体10を対向側板11,11と橋架部材12,12とで構成しているので、例えば背板部材1の左右寸法を変更する時には対向側板11をそのままで橋架部材12のみを取り換えることで対応でき、また、背板部材1の上下寸法のみを変更する時には橋架部材12をそのままで対向側板11のみを取り換えることで対応できるため、部品の共通化が図れるという利点がある。
【0018】
対向側板11は、図10及び図11に示すようにアルミの押し出し材(ダイカスト)により断面形状略L形の筒状に形成され、内側面の両端近傍にそれぞれ上下方向に沿った溝状の開口部11a,11aが形成されている。さらに対向側板11内には開口部11aに連通し且つ少なくとも開口部11aよりも幅広の部位を有する断面形状略凸字形の中空部11bが開口部11aに沿って上下方向に形成されている。また、対向側板11の内側面の適宜箇所には上下方向に沿った複数の突条11cが形成されている。なお、一般に分電盤は左右寸法に対して上下寸法の方が長いものであるから、対向側板11をアルミの押し出し材により形成すれば、分電盤の軽量化が図れるとともに、押し出し材を任意の位置で切断しても均一な断面形状となり所望の長さ寸法の対向側板11が容易に得られるという利点がある。
【0019】
橋架部材12は、例えば鋼板により天板部12aと前板部12bを有する断面形状略L形の板状に形成されている。天板部12aの長手方向両端には突出片12cが折曲形成されている。この突出片12cには、図13に示すように略中央に矩形の通風孔12dが、基端には一対の係止孔12e,12eが、さらに通風孔12dよりも背面寄りの位置にねじ孔12fがそれぞれ設けてある。また、前板部12bの両端近傍には図10に示すように各々ねじ孔12gが設けてある。但し、下側の橋架部材12の前板部12bの両端近傍には、後述する取付ブロック17の操作ハンドル17dを前面側に露出するための露出孔12hがそれぞれ設けてある。
【0020】
ここで、対向側板11,11と上側の橋架部材12とは第1の連結部材13及び第2の連結部材14によって連結され、対向側板11、11と下側の橋架部材12とは第3の連結部材15及び第4の連結部材16によって連結される。なお、第1〜第4の連結部材13〜16はそれぞれ鏡像の関係にある一対のものが用いられる。
【0021】
第1の連結部材13は、橋架部材12の突出片12cに設けられたねじ孔12fに螺合する取付ねじ12i用のねじ孔13bを有する取付片13aと、対向側板11の一方の中空部(他方の対向側板11に対向する側の面に形成されている中空部)11bに嵌入される嵌入片13cと、背板部材1の台部1aに取り付けた第2引掛部材6の爪片6aと引掛係合する引掛片13dとが金属製の板材を折り曲げて一体形成されている。なお、嵌入片13cには中空部11bに嵌入された状態で当該中空部11bと連通する開口部11aに臨む一対のねじ孔13eが形成されている。
【0022】
第2の連結部材14は、図10に示すように略コ字形の主部14aと、主部14aの一端縁から延設された部位を折曲して成り、対向側板11の他方の中空部(背板部材1に対向する側の面に形成されている中空部)11bに嵌入される嵌入片14bと、主部14aの他の一端縁から延設され、係止孔14dが設けられたL形片14cとが金属製の板材を折り曲げて一体形成されている。また、主部14aの前面には露出窓14e、ねじ孔14f並びに位置決め突起14gが設けられ、嵌入片14bには中空部11bに嵌入された状態で当該中空部11bと連通する開口部11aに臨む一対のねじ孔14hが形成されている。
【0023】
第3の連結部材15は、橋架部材12の突出片12cに設けられたねじ孔12fに螺合する取付ねじ12i用のねじ孔15bを有する取付片15aと、対向側板11の一方の中空部(他方の対向側板11に対向する側の面に形成されている中空部)11bに嵌入される嵌入片15cとが金属製の板材を折り曲げて一体形成されている。なお、嵌入片15cには中空部11bに嵌入された状態で当該中空部11bと連通する開口部11aに臨む一対のねじ孔15dが形成されている。
【0024】
第4の連結部材16は、図10及び図12に示すように第2の連結部材14と同一形状を有し、略コ字形の主部16aと、主部16aの一端縁から延設された部位を折曲して成り、対向側板11の他方の中空部(背板部材1に対向する側の面に形成されている中空部)11bに嵌入される嵌入片16bと、主部16aの他の一端縁から延設され、係止孔16dが設けられたL形片16cとが金属製の板材を折り曲げて一体形成されている。また、主部16aの前面には露出窓16e、ねじ孔16f並びに位置決め突起16gが設けられ、嵌入片16bには中空部11bに嵌入された状態で当該中空部11bと連通する開口部11aに臨む一対のねじ孔16hが形成されている。
【0025】
ここで、第4の連結部材16には取付ブロック17が取着される。この取付ブロック17は、図12に示すように合成樹脂製の器体17aの一側面より被引掛体17bが進退自在に突出し、器体17a内に納装されたコイルばね(図示せず)によって被引掛体17bが突出方向に弾性付勢されている。被引掛体17bの先端は前面側から背面側にかけて傾斜させてある。器体17aの前面には操作窓17cが開口しており、この操作窓17cからは操作ハンドル17dが露出させてある。操作ハンドル17dは器体17a内において被引掛体17bに揺動自在に取着されており、操作ハンドル17dに一体形成された駆動片17eが被引掛体17bの先端まで延出させてある。また、器体17aの両側面には、器体17aに対して一端で撓み自在に支持された取付片17fが形成されている。つまり、第4の連結部材16の露出窓16eに前面側から取付ブロック17の器体17aを挿入すれば、器体17aの前面側に形成されたフランジ部17gと取付片17fとの間で露出窓16eの周縁部を挟持して、取付ブロック17を第4の連結部材16に取り付けることができる(図10参照)。
【0026】
而して、第1〜第4の連結部材13〜16を各々橋架部材12,12に取り付けた後、各連結部材13〜16の嵌入片13c…を、対向側板11の対応する中空部11bにそれぞれ嵌入し、各嵌入片13c…に形成されて対向側板11の開口部11aに臨む一対のねじ孔13e…に開口部11aの外から、開口部11aよりも幅広の頭部を有する組立ねじ18を螺合し締め付けることで対向側板11、11と橋架部材12、12とを連結して枠体10を形成することができる。ここで、開口部11aは対向側板11の長手方向(上下方向)に亙って設けてあるから、対向側板11の長さ寸法が変わった場合でも、どのような長さ寸法の対向側板11に対しても同一の連結部材13〜16を用いて橋架部材12と連結させることができ、連結部材13〜16の部品共通化が図れるものである。また、本実施形態では対向側板11と橋架部材12を連結する第1の連結部材13並びに第4の連結部材16に各々引掛片13dと被引掛体17bを一体的に形成しているので、対向側板11と橋架部材12の連結と枠体10の背板部材1に対する取着とが同一の部材で行うことができて、部品点数の削減が図れるのである。ここで、第2及び第4の連結部材14、16に設けた位置決め突起14g、16gを、橋架部材12の前板部12bに設けた位置決め孔12jに嵌合することで橋架部材12に対する第2及び第4の連結部材14、16の位置決めが容易に行えるようになっている。なお、取付ブロック17の操作ハンドル17dは、下側の橋架部材12の前板部12bに設けた露出孔12hから前面側に露出させてある。
【0027】
さらに、対向側板11と橋架部材12の連結部分(枠体10の4つのコーナー部分)が蓋部材19によって塞がれている。この蓋部材19は、図10及び図14に示すように裏面側に凹所19bが形成された主部19aと、主部19aの裏面側に突設された一対の係合爪19c,19cと、主部19aの裏面側周縁近傍の適所に突設された複数の棒状突起19dとが合成樹脂によって一体形成されている。而して、係合爪19c,19cを橋架部材12の突出片12cに設けた一対の係止孔12e,12eにそれぞれ係止固定するとともに、複数の棒状突起19dを対向側板11の内側面の適宜箇所に形成された突条11c間の隙間にそれぞれ圧入することで蓋部材19が対向側板11並びに橋架部材12に固定される(図1及び図15参照)。
【0028】
ここで、図14に示すように蓋部材19の主部19aには裏面側の凹所19bと連通し且つ内側(凹所19b側)から外側に向けて背板部材1の方向に傾斜する複数のスリット19eが設けてある。蓋部材19を取り付けた状態では、凹所19bによって対向側板11と橋架部材12の連結部分(突出片12c)と蓋部材19との間に隙間が形成され、しかもこの隙間が突出片12cに設けられた通風孔12dを通して枠体10の内側と連通することになる。つまり、分電盤の完成状態では枠体10の内側(電気機器収納空間)に主幹開閉器3や分岐開閉器4が配設されており、これらの開閉器3、4が動作(所謂トリップ)する際にはアークによるガスが発生し、このガスの圧力によって中蓋40や扉50などが変形する場合が従来あったが、本実施形態によれば上記ガスを通風孔12dを通して上記隙間に導出し、さらに蓋部材19のスリット19eを介して分電盤の外に素早く放出させることができる。その結果、上記ガスによる分電盤自体の変形を防止することができるものである。また、スリット19eを内側から外側に向けて背板部材1の方向に傾斜させているため、スリット19eを通して分電盤の内部が見えるのを防いで見栄えを良くすることができる。
【0029】
上述のように構成された枠体10は以下のようにして背板部材1に取着される。まず、枠体10の上部を背板部材1の上側から下方に下げて、第1の連結部材13,13に一体形成されている引掛片13d,13dを、背板部材1の台部1aに取り付けた第2引掛部材6,6の爪片6a,6aにそれぞれ引掛係合させる。次に背板部材1に取り付けたガイド部材7に枠体10の内面を当接させながら枠体10の下側を背板部材1の方へ押し付けていくと、第4の連結部材16,16に取り付けてある取付ブロック17の被引掛体17bが第1引掛部材5の主片5cの先端に当接して器体17a内に押し込められ、やがて被引掛体17bの先端が引掛孔5aの位置までくると被引掛体17bがコイルばねのばね力により復帰して引掛孔5aに引っ掛かり、枠体10を背板部材1に取着することができるのである(図2及び図18参照)。このように枠体10の上側の引掛片13d,13dを背板部材1の爪片6a,6aにそれぞれ引掛係合させた状態で、枠体10の下側の被引掛体17bを背板部材1の引掛孔5aに引っ掛けているため、枠体10を背板部材1に容易に取着することができる。しかも、枠体10の高い箇所(引掛片13d)を先に引っ掛けて、枠体10の低い箇所(下側の被引掛体17b)を後から引っ掛けることができるために作業がさらに行い易く、さらには枠体10を前面側から背板部材1の方へ押し付けて作業が行えることからも作業性の向上が図れる。
【0030】
また、枠体10の上側の引掛片13d,13dを背板部材1の爪片6a,6aにそれぞれ上下方向から引掛係合させているため、枠体10を背板部材1に取着した状態での枠体10の上下方向のがたつきを引掛片13d,13dと爪片6a,6aとの間で抑えることができるとともに、枠体10の下側の被引掛体17bを背板部材1の引掛孔5aに左右方向から引っ掛けているため、枠体10を背板部材1に取着した状態での枠体10の左右方向のがたつきを被引掛体17bと引掛孔5aが設けられた第1引掛部材5との間で抑えることができる。
【0031】
ところで、枠体10を背板部材1から取り外すには以下のようにして行う。まず取付ブロック17の操作ハンドル17dを操作すると、被引掛体17bが器体17a内に引き込まれて引掛孔5aとの引っ掛かりを外すことができる。ここで、操作ハンドル17dを操作すると操作ハンドル17dに一体形成された駆動片17eが揺動し、引掛孔5aの周縁に当接して被引掛体17bが引掛孔5aの周縁から引き離される。これにより、被引掛体17bの移動に対する抵抗力を低減して操作ハンドル17dを容易に操作することができる。
【0032】
一方、中蓋40は図5に示すように矩形板状に形成されており、主幹開閉器3及び各分岐開閉器4のハンドル3a,4aを露出させるための窓部41…が設けてある。また、中蓋40の上側面の一端側には、第2の連結部材14に設けた軸受孔(図示せず)に枢着する軸42が突設され、下側面の一端側には第4の連結部材16に突設されている回動軸16iが枢着される軸孔43が設けられている。而して、上側面の軸42を第2の連結部材14の軸受孔に枢着し、第4の連結部材16に突設されている回動軸16iを下側面の軸孔43に枢着することにより、中蓋40が枠体10に開閉自在に取り付けられる。ここで、中蓋40の自由端側の上下両端近傍には、第4の連結部材16に取り付けられた取付ブロック17と同じ構造を有する係止装置44,44がそれぞれ取り付けてあり、進退自在に突出する係止爪(取付ブロック17における被引掛体17b)を第2及び第4の連結部材14、16の係止孔14d、16dにそれぞれ係止させることで、中蓋40を枠体10に対して閉じた状態に保持することができる。そして、係止装置44の操作ハンドル(取付ブロック17における操作ハンドル17d)44aを操作することで係止爪と係止孔14d、16dとの係止を外して中蓋40を開くことができる。なお、中蓋40の自由端側の上下方向略中央には、中蓋40の開閉操作を容易にするために取手45が設けてある。
【0033】
一方、図8に示すように枠体10には枠体10の前面を開閉自在に覆う扉50が取り付けられる。この扉50は図7に示すように周壁51、52を有する矩形板状に形成されており、左右の周壁51の一方の内側面上部には、上側の橋架部材12の前板部12b前面の一端側に取り付けたヒンジ部材20の軸受孔20aに枢着する軸53が突設され、上記内側面下部には、下側の橋架部材12の前板部12b前面の一端側に取り付けたヒンジ部材21の軸21aが枢着される軸孔54が設けられている。而して、軸53をヒンジ部材20の軸受孔20aに枢着し、ヒンジ部材21の軸21aを軸受孔54に枢着することにより扉50が枠体10に開閉自在に取り付けられる。なお、扉50裏面の自由端側の上下方向略中央にはマグネットキャッチ(図示せず)が設けてあり、このマグネットキャッチによって扉50を枠体10に対して閉じた状態で保持することができる。また、扉50の自由端側の上下方向略中央には、扉50の開閉操作を容易にするために取手55が設けてある。
【0034】
本実施形態の分電盤を施工する際には、図4に示すように壁面Wに取り付けた背板部材1に内器ブロック2を取り付け、内器ブロック2の電気機器(主幹開閉器3及び分岐開閉器4)の配線を行った後に、図1に示すように背板部材1に枠体10を取着する。而して、枠体10を取り外した状態で電気機器への配線が行えるため、電気機器への配線作業性を向上させることができる。そして、枠体10を取着した後に中蓋40を取り付け(図6参照)、最後に扉50を取り付けることで分電盤の施工が完了する(図8参照)。なお、枠体10を背板部材1に取着した状態では図2に示すように背板部材1の各端面が枠体10内に収納されるため、背板部材1が枠体10の外へ突出することがなく、例えば背板部材1の端面で手に怪我をする虞がなく、且つ見栄えを良くすることができるという利点がある。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明は、前面に主幹開閉器や分岐開閉器のような電気機器を配設する背面部を有して該電気機器を包囲する四周側面開放された電気機器取付部材と、該電気機器取付部材の開放された一対の対向側面に沿って電気機器取付部材に取着される一対の対向側板を有し、前記電気機器取付部材の開放された他の一対の対向側面に沿って前記一対の対向側板間を板状の橋架部材により連結して成る電気機器包囲部材と、前記電気機器包囲部材又は電気機器取付部材の少なくとも何れか一方に開閉自在に取着されて電気機器取付部材の前面を覆う扉と、前記電気機器取付部材の前記対向側板に沿った一対の対向側面側に設けられて前記一対の対向側板の内面に当接して前記電気機器取付部材に電気機器包囲部材を取り付ける際にガイドする複数のガイド部材とを備えたので、電気機器を配設した背面部を有する電気機器取付部材と電気機器の周囲を囲む電気機器包囲部材とを別体としているため、電気機器包囲部材を電気機器取付部材から取り外した状態で電気機器への配線作業が行え、電気機器への配線作業性を向上させることができるという効果がある。また、電気機器包囲部材を電気機器取付部材に取着する際に電気機器包囲部材をガイド部材によってガイドすることで電気機器包囲部材を電気機器取付部材に容易に取着することができるという効果がある。
【0036】
請求項2の発明は、前記ガイド部材の先端部分を前記電気機器取付部材から離れるにつれて前記電気機器包囲部材から離れる向きに傾斜させて成るので、電気機器包囲部材がガイドし易くなり、電気機器包囲部材を電気機器取付部材にさらに容易に取着することができるという効果がある。
【0037】
請求項3の発明は、前記ガイド部材が、前記背板部に取着される固定片と、該固定片から立設された2つの立上片と、該立上片の先端部間を連結する連結片と、前記固定片から前記立上片間に立設されて先端部が前記連結片と接離自在に当接するケーブル支持片とを具備して成るので、ケーブル支持片にケーブルを支持させることにより、ケーブルが立上片よりも外側に移動することがなく、さらにケーブルの重みでケーブル支持片が内側に折れ曲がろうとしてもケーブル支持片の先端部が連結片に当接するためにケーブルが折れ曲がるのを防止してケーブルを強固に固定することができるという効果がある。また、電気機器に結線されたケーブルをケーブル支持片よりも内側に配置させることにより、電気機器包囲部材を電気機器取付部材に取着する際に電気機器包囲部材と電気機器取付部材の間にケーブルを挟み込むのを防いで電気機器包囲部材の取着作業が容易に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同上の下方向から見た側面断面図である。
【図3】同上における背板部材の斜視図である。
【図4】同上における背板部材の壁面への取り付け状態を示す斜視図である。
【図5】同上における中蓋の斜視図である。
【図6】同上の扉を外した状態の斜視図である。
【図7】同上における扉の斜視図である。
【図8】同上の扉を開けた状態の斜視図である。
【図9】同上におけるガイド部材の斜視図である。
【図10】同上における枠体の分解斜視図である。
【図11】同上の下方向から見た要部側面断面図である。
【図12】同上における第4の連結部材の分解斜視図である。
【図13】同上における蓋部材を取外した状態の枠体の要部上面図である。
【図14】同上における蓋部材の側面断面図である。
【図15】同上における枠体の要部上面図である。
【図16】同上の右方向から見た要部側面断面図である。
【図17】同上の正面から見た断面図である。
【図18】同上の右方向から見た要部側面断面図である。
【符号の説明】
1 背板部材
2 内器ブロック
3 主幹開閉器
4 分岐開閉器
5 第1引掛部材
6 第2引掛部材
7 ガイド部材
10 枠体
W 壁面

Claims (3)

  1. 前面に主幹開閉器や分岐開閉器のような電気機器を配設する背面部を有して該電気機器を包囲する四周側面開放された電気機器取付部材と、該電気機器取付部材の開放された一対の対向側面に沿って電気機器取付部材に取着される一対の対向側板を有し、前記電気機器取付部材の開放された他の一対の対向側面に沿って前記一対の対向側板間を板状の橋架部材により連結して成る電気機器包囲部材と、前記電気機器包囲部材又は電気機器取付部材の少なくとも何れか一方に開閉自在に取着されて電気機器取付部材の前面を覆う扉と、前記電気機器取付部材の前記対向側板に沿った一対の対向側面側に設けられて前記一対の対向側板の内面に当接して前記電気機器取付部材に電気機器包囲部材を取り付ける際にガイドする複数のガイド部材とを備えたことを特徴とする分電盤。
  2. 前記ガイド部材の先端部分を前記電気機器取付部材から離れるにつれて前記電気機器包囲部材から離れる向きに傾斜させて成ることを特徴とする請求項1記載の分電盤。
  3. 前記ガイド部材は、前記背板部に取着される固定片と、該固定片から立設された2つの立上片と、該立上片の先端部間を連結する連結片と、前記固定片から前記立上片間に立設されて先端部が前記連結片と接離自在に当接するケーブル支持片とを具備して成ることを特徴とする請求項1又は2記載の分電盤。
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