JP3622453B2 - 圧延機の圧下荷重制御方法および装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接して接合した帯状材を連続的にスキンパスミルなどの圧延機で処理する際の溶接点通過処理に関し、溶接点が圧延機を通過するときの圧下荷重制御方法と装置の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スキンパスミルなどの圧延機において、溶接して接合した帯状材の溶接点が圧延機を通過する。通常、この溶接はシーム溶接等の重ね溶接であることから、溶接点はその先行材と後行材の板厚に比べ厚くなっていることが特徴である。
この帯状材1の溶接点近傍の断面模式図を図3に示す。図3は、帯状材1の先行材21に対して、後行材22の板厚が薄い場合を模式的に示している。溶接点23はそれらの板厚よりもさらに厚くなっている。ここで、先行材21の板厚をh1、後行材22の板厚をh2、溶接点の最大厚さを hw とする。
【0003】
この模式図からも明らかなように、最大厚さ hw の溶接点が圧延機を通過する際に、圧下荷重を先行材と後行材の板部における通常の圧下荷重と同じようにすると圧下が過大となりすぎることになる。そのため、この溶接点が通過するときに圧延機ロールが疵つくこととなる。
このロール疵を防止するため、溶接点通過時の圧下荷重制御方法として、圧延機ロールに疵がつかない程度に軽減した荷重設定値を採用する方法(以下、溶接点通過処理という)をとることが知られている。ここで、先行材と後行材の板厚が同じ場合はもちろんのこと、先行材と後行材の板厚が異なる場合においても、溶接点通過時の荷重設定としては先行材・後行材のうち厚い方の板厚に応じて所定の値を用いることが一般的に行なわれている。
【0004】
図2の機能ブロック図に基づいて、従来の溶接点通過時の荷重設定機能を有する荷重制御装置について説明する。
溶接によってその前後が接合された帯状材1は、スキンパスミルなどの圧延機2で圧延処理される。圧延機2は、油圧などを用いた圧下装置3で圧下される。そして、その圧下荷重は荷重検出部4で検知され、検知された検知荷重は荷重制御部5に取り込まれる。荷重制御部5は、入力される荷重指令と検知荷重にもとづき圧下装置3に圧下指令を発し、圧下制御を行う。
【0005】
ここで、荷重指令として圧下荷重設定部7の設定値が用いられ、その設定値を目標として圧下制御が行われる。そして、溶接点通過部では溶接点通過処理荷重設定部8で設定される所定値が用いられ、その所定値で圧下されながら溶接点が通過する。両者の切替えは、溶接点通過判定部9から出力される溶接点通過信号にもとづき、荷重制御切替部6で行われる。
【0006】
ここで、溶接点通過判定部9は、あらかじめラインの上流側で、光学的手段、マーク検知手段、荷重変動検知手段などに基づいて溶接点を検知しておき、その検知情報をトラッキングすることで溶接点の通過を判定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、油圧圧下装置では通常、荷重検知系の異常に起因する誤動作を回避するために、所定の荷重(以下、荷重発生条件という)未満の荷重となった場合には荷重制御が自動的に停止するようになっている。具体的には、圧下位置の変更指令を油圧制御系が受け付けなくなるのである。
【0008】
一方、溶接点通過処理では、通過する帯状材の板厚が厚いほど溶接部の厚み増加も大きいために、圧下荷重設定は板厚が厚いほど低荷重に設定される。ここで、とくに先行材の板厚が厚く後行材の板厚が薄い場合に、先行材板厚に応じて荷重発生条件ぎりぎりの荷重設定をして溶接点通過処理を行なうと、その溶接点の通過直後で後行材の圧延荷重の定常制御が開始される前において、板厚が急減することから圧下荷重も急減してしまう。その結果、荷重発生条件未満の荷重となって荷重制御が自動的に停止してしまったり、あるいは低荷重のためスリップが発生してしまったりする事態となる。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決した溶接点通過処理時の荷重制御方法と装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯状材の溶接点を所定の溶接点通過処理荷重で通過させる荷重制御方法において、ミル定数と前記溶接点における最大板厚と後行材の板厚の差とから予測される、溶接点通過直後の圧下荷重の低下量から溶接点通過処理荷重補正値を予め演算し、該溶接点通過処理荷重補正値を前記溶接点通過処理荷重に加算して補正することを特徴とする圧下荷重制御方法を適用することで上記課題を解決した。
【0011】
そして、溶接点の通過時に、所定の溶接点通過処理荷重を荷重指令として選択的に荷重制御部に入力することのできる本発明の圧延機の荷重制御装置としては、溶接点通過処理荷重設定部と、ミル定数と前記溶接点における最大板厚と後行材の板厚との差から予測される圧下荷重の低下量から溶接点通過処理荷重補正値を演算する溶接点通過処理荷重補正値演算部と、前記溶接点通過処理荷重設定部から出力される溶接点通過処理荷重値に、前記溶接点通過処理荷重補正値演算部で演算される溶接点通過処理荷重補正値を加算して補正する加算部と、該加算部で加算して補正された荷重指令を溶接点通過時に選択し荷重指令として出力する荷重制御切替部と、該荷重制御切替部から出力された荷重指令を入力し圧延機の圧下装置に圧下指令として出力する荷重制御部とを有することが好適であることを見出したのである。
【0012】
なお、ここで帯状材の板厚および溶接点における最大板厚は実測値を用いても、目標値や予測値を用いてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、スキンパスミルなどの圧延機での溶接点通過処理の荷重制御において、溶接点の厚さと後行材の板厚から最大板厚変更量を計算し、その最大板厚変更量とミル定数から荷重補正量を計算し、その荷重補正量を荷重設定値に加算して荷重設定値を補正するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明を実施するための計算手順の例について説明する。
本発明では、先行材の板厚h1と溶接点の厚さ設定値X%から溶接点の厚さ hw を(1) 式で計算し、その溶接点の厚さと後行材の板厚から最大板厚変更量Δhmaxを(2) 式で計算し、その値とミル定数Mから荷重変動量ΔPを(3) 式で計算し、(4) 式に示すように、その荷重変動量ΔPをもとの荷重設定値Pに加算して新たな荷重設定値P′として補正するようにしている。ここで、溶接点の厚さ設定値であるX%は、操業実績に基づいて定数値として与えられる。また、この値は帯状材の材料特性、溶接条件等で異なる値を与えても良い。
【0015】
ここで、上記では、溶接点の厚さ設定値を先行材に対する比としてパーセントで与えているが、直接、溶接点の最大厚さとして与えても良いことは言うまでもない。
hw =(h1 × X) /100 (1)
ただし、h1<h2の場合は、 hw =(h2 × X) /100 (1)′
Δhmax= hw − h2 (2)
ΔP=M×Δhmax (3)
P′=P+ΔP (4)
但し、 hw :溶接点の最大厚さ(mm)
h1 :先行材板厚(mm)
h2 :後行材板厚(mm)
M :ミル定数(ton/mm)
P :補正前荷重設定値(ton)
P′:補正後荷重設定値(ton)
本発明を適用した荷重制御装置の機能ブロック図を図1に示す。
【0016】
溶接によってその前後が接合された帯状材1は、スキンパスミルなどの圧延機2で圧延処理される。圧延機2は、油圧などを用いた圧下装置3で圧下される。そして、その圧下荷重は荷重検出部4で検知され、検知された検知荷重は荷重制御部5に取り込まれる。荷重制御部5は、入力される荷重指令と検知荷重にもとづき圧下装置3に圧下指令を発し、圧下制御を行う。
【0017】
本発明の装置は、更に、帯状材の先行材の板厚と後行材の板厚と溶接点厚さ設定率とから溶接点通過処理荷重補正値を演算する溶接点通過処理荷重補正値演算部10と、前記溶接点通過処理荷重補正値を溶接点通過処理荷重設定部8から出力される溶接点通過処理荷重値に加算して補正する加算部11を付加し荷重制御切替部6にその加算した荷重指令を取り込ませるようにしたことを特徴とする。
【0018】
なお、先行材と後行材の板厚が同じ場合の溶接点と後行材間の厚み変動量程度は補正前荷重設定値Pの余裕代で吸収するようにPを設定してもよい。この場合には、後行材の板厚が先行材より薄い場合にだけ荷重設定値を補正するようにしてもよい。
【0019】
【実施例】
帯状材の先行材から後行材へとh1=0.324mmからh2=0.280mmへの板厚変更があり、溶接点の厚さ設定値X%が先行材の厚さに対して110%と設定されている場合について具体的に説明する。
(1) 式から溶接点の最大厚さ hw は hw =0.356mmと計算される。(2) 式から最大板厚変更量Δhmaxは、Δhmax=0.076mm となる。ミル定数MをM=380ton/mm とすると(3) 式から、荷重変更量ΔPは28.9ton となる。
【0020】
油圧圧下制御の最低限の荷重発生条件が50ton 以上であるとする。溶接点通過処理の荷重設定値が60ton であるとすると、荷重変更量は28.9ton となるため、従来の制御では溶接点通過直後の実際の荷重が最低限の荷重発生条件である50ton を割り込んでしまうこととなり、油圧圧下制御条件が不成立となり、ラインが停止してしまうことになる。ところが、本発明を適用することで、(4) 式から荷重設定値を88.9ton と補正して荷重指令を与えることとなるため、実際の圧下荷重も最低限の荷重発生条件を下回ることがなくなり、正常な溶接点通過処理が行えることができるようになった。
【0021】
【発明の効果】
板厚変更量が大きい場合でも荷重実績値が油圧圧下での荷重制御条件である最低限の荷重発生条件以下となることのないようにした。そのため、従来問題であった荷重制御がストップしたり、スリップが発生したりするトラブルも無くなり、溶接点通過処理を確実に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した荷重制御装置の機能ブロック図である。
【図2】従来の荷重制御装置の機能ブロック図である。
【図3】接点近傍の板厚を説明する帯状材の断面模式図である。
【符号の説明】
1 帯状材
2 圧延機
3 圧下装置
4 荷重検出器
5 荷重制御部
6 荷重制御切替部
7 圧下荷重設定部
8 溶接点通過処理荷重設定部
9 溶接点通過判定部
10 溶接点通過処理荷重補正値演算部
11 加算部
21 先行材
22 後行部
23 溶接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接して接合した帯状材を連続的にスキンパスミルなどの圧延機で処理する際の溶接点通過処理に関し、溶接点が圧延機を通過するときの圧下荷重制御方法と装置の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スキンパスミルなどの圧延機において、溶接して接合した帯状材の溶接点が圧延機を通過する。通常、この溶接はシーム溶接等の重ね溶接であることから、溶接点はその先行材と後行材の板厚に比べ厚くなっていることが特徴である。
この帯状材1の溶接点近傍の断面模式図を図3に示す。図3は、帯状材1の先行材21に対して、後行材22の板厚が薄い場合を模式的に示している。溶接点23はそれらの板厚よりもさらに厚くなっている。ここで、先行材21の板厚をh1、後行材22の板厚をh2、溶接点の最大厚さを hw とする。
【0003】
この模式図からも明らかなように、最大厚さ hw の溶接点が圧延機を通過する際に、圧下荷重を先行材と後行材の板部における通常の圧下荷重と同じようにすると圧下が過大となりすぎることになる。そのため、この溶接点が通過するときに圧延機ロールが疵つくこととなる。
このロール疵を防止するため、溶接点通過時の圧下荷重制御方法として、圧延機ロールに疵がつかない程度に軽減した荷重設定値を採用する方法(以下、溶接点通過処理という)をとることが知られている。ここで、先行材と後行材の板厚が同じ場合はもちろんのこと、先行材と後行材の板厚が異なる場合においても、溶接点通過時の荷重設定としては先行材・後行材のうち厚い方の板厚に応じて所定の値を用いることが一般的に行なわれている。
【0004】
図2の機能ブロック図に基づいて、従来の溶接点通過時の荷重設定機能を有する荷重制御装置について説明する。
溶接によってその前後が接合された帯状材1は、スキンパスミルなどの圧延機2で圧延処理される。圧延機2は、油圧などを用いた圧下装置3で圧下される。そして、その圧下荷重は荷重検出部4で検知され、検知された検知荷重は荷重制御部5に取り込まれる。荷重制御部5は、入力される荷重指令と検知荷重にもとづき圧下装置3に圧下指令を発し、圧下制御を行う。
【0005】
ここで、荷重指令として圧下荷重設定部7の設定値が用いられ、その設定値を目標として圧下制御が行われる。そして、溶接点通過部では溶接点通過処理荷重設定部8で設定される所定値が用いられ、その所定値で圧下されながら溶接点が通過する。両者の切替えは、溶接点通過判定部9から出力される溶接点通過信号にもとづき、荷重制御切替部6で行われる。
【0006】
ここで、溶接点通過判定部9は、あらかじめラインの上流側で、光学的手段、マーク検知手段、荷重変動検知手段などに基づいて溶接点を検知しておき、その検知情報をトラッキングすることで溶接点の通過を判定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、油圧圧下装置では通常、荷重検知系の異常に起因する誤動作を回避するために、所定の荷重(以下、荷重発生条件という)未満の荷重となった場合には荷重制御が自動的に停止するようになっている。具体的には、圧下位置の変更指令を油圧制御系が受け付けなくなるのである。
【0008】
一方、溶接点通過処理では、通過する帯状材の板厚が厚いほど溶接部の厚み増加も大きいために、圧下荷重設定は板厚が厚いほど低荷重に設定される。ここで、とくに先行材の板厚が厚く後行材の板厚が薄い場合に、先行材板厚に応じて荷重発生条件ぎりぎりの荷重設定をして溶接点通過処理を行なうと、その溶接点の通過直後で後行材の圧延荷重の定常制御が開始される前において、板厚が急減することから圧下荷重も急減してしまう。その結果、荷重発生条件未満の荷重となって荷重制御が自動的に停止してしまったり、あるいは低荷重のためスリップが発生してしまったりする事態となる。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決した溶接点通過処理時の荷重制御方法と装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯状材の溶接点を所定の溶接点通過処理荷重で通過させる荷重制御方法において、ミル定数と前記溶接点における最大板厚と後行材の板厚の差とから予測される、溶接点通過直後の圧下荷重の低下量から溶接点通過処理荷重補正値を予め演算し、該溶接点通過処理荷重補正値を前記溶接点通過処理荷重に加算して補正することを特徴とする圧下荷重制御方法を適用することで上記課題を解決した。
【0011】
そして、溶接点の通過時に、所定の溶接点通過処理荷重を荷重指令として選択的に荷重制御部に入力することのできる本発明の圧延機の荷重制御装置としては、溶接点通過処理荷重設定部と、ミル定数と前記溶接点における最大板厚と後行材の板厚との差から予測される圧下荷重の低下量から溶接点通過処理荷重補正値を演算する溶接点通過処理荷重補正値演算部と、前記溶接点通過処理荷重設定部から出力される溶接点通過処理荷重値に、前記溶接点通過処理荷重補正値演算部で演算される溶接点通過処理荷重補正値を加算して補正する加算部と、該加算部で加算して補正された荷重指令を溶接点通過時に選択し荷重指令として出力する荷重制御切替部と、該荷重制御切替部から出力された荷重指令を入力し圧延機の圧下装置に圧下指令として出力する荷重制御部とを有することが好適であることを見出したのである。
【0012】
なお、ここで帯状材の板厚および溶接点における最大板厚は実測値を用いても、目標値や予測値を用いてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、スキンパスミルなどの圧延機での溶接点通過処理の荷重制御において、溶接点の厚さと後行材の板厚から最大板厚変更量を計算し、その最大板厚変更量とミル定数から荷重補正量を計算し、その荷重補正量を荷重設定値に加算して荷重設定値を補正するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明を実施するための計算手順の例について説明する。
本発明では、先行材の板厚h1と溶接点の厚さ設定値X%から溶接点の厚さ hw を(1) 式で計算し、その溶接点の厚さと後行材の板厚から最大板厚変更量Δhmaxを(2) 式で計算し、その値とミル定数Mから荷重変動量ΔPを(3) 式で計算し、(4) 式に示すように、その荷重変動量ΔPをもとの荷重設定値Pに加算して新たな荷重設定値P′として補正するようにしている。ここで、溶接点の厚さ設定値であるX%は、操業実績に基づいて定数値として与えられる。また、この値は帯状材の材料特性、溶接条件等で異なる値を与えても良い。
【0015】
ここで、上記では、溶接点の厚さ設定値を先行材に対する比としてパーセントで与えているが、直接、溶接点の最大厚さとして与えても良いことは言うまでもない。
hw =(h1 × X) /100 (1)
ただし、h1<h2の場合は、 hw =(h2 × X) /100 (1)′
Δhmax= hw − h2 (2)
ΔP=M×Δhmax (3)
P′=P+ΔP (4)
但し、 hw :溶接点の最大厚さ(mm)
h1 :先行材板厚(mm)
h2 :後行材板厚(mm)
M :ミル定数(ton/mm)
P :補正前荷重設定値(ton)
P′:補正後荷重設定値(ton)
本発明を適用した荷重制御装置の機能ブロック図を図1に示す。
【0016】
溶接によってその前後が接合された帯状材1は、スキンパスミルなどの圧延機2で圧延処理される。圧延機2は、油圧などを用いた圧下装置3で圧下される。そして、その圧下荷重は荷重検出部4で検知され、検知された検知荷重は荷重制御部5に取り込まれる。荷重制御部5は、入力される荷重指令と検知荷重にもとづき圧下装置3に圧下指令を発し、圧下制御を行う。
【0017】
本発明の装置は、更に、帯状材の先行材の板厚と後行材の板厚と溶接点厚さ設定率とから溶接点通過処理荷重補正値を演算する溶接点通過処理荷重補正値演算部10と、前記溶接点通過処理荷重補正値を溶接点通過処理荷重設定部8から出力される溶接点通過処理荷重値に加算して補正する加算部11を付加し荷重制御切替部6にその加算した荷重指令を取り込ませるようにしたことを特徴とする。
【0018】
なお、先行材と後行材の板厚が同じ場合の溶接点と後行材間の厚み変動量程度は補正前荷重設定値Pの余裕代で吸収するようにPを設定してもよい。この場合には、後行材の板厚が先行材より薄い場合にだけ荷重設定値を補正するようにしてもよい。
【0019】
【実施例】
帯状材の先行材から後行材へとh1=0.324mmからh2=0.280mmへの板厚変更があり、溶接点の厚さ設定値X%が先行材の厚さに対して110%と設定されている場合について具体的に説明する。
(1) 式から溶接点の最大厚さ hw は hw =0.356mmと計算される。(2) 式から最大板厚変更量Δhmaxは、Δhmax=0.076mm となる。ミル定数MをM=380ton/mm とすると(3) 式から、荷重変更量ΔPは28.9ton となる。
【0020】
油圧圧下制御の最低限の荷重発生条件が50ton 以上であるとする。溶接点通過処理の荷重設定値が60ton であるとすると、荷重変更量は28.9ton となるため、従来の制御では溶接点通過直後の実際の荷重が最低限の荷重発生条件である50ton を割り込んでしまうこととなり、油圧圧下制御条件が不成立となり、ラインが停止してしまうことになる。ところが、本発明を適用することで、(4) 式から荷重設定値を88.9ton と補正して荷重指令を与えることとなるため、実際の圧下荷重も最低限の荷重発生条件を下回ることがなくなり、正常な溶接点通過処理が行えることができるようになった。
【0021】
【発明の効果】
板厚変更量が大きい場合でも荷重実績値が油圧圧下での荷重制御条件である最低限の荷重発生条件以下となることのないようにした。そのため、従来問題であった荷重制御がストップしたり、スリップが発生したりするトラブルも無くなり、溶接点通過処理を確実に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した荷重制御装置の機能ブロック図である。
【図2】従来の荷重制御装置の機能ブロック図である。
【図3】接点近傍の板厚を説明する帯状材の断面模式図である。
【符号の説明】
1 帯状材
2 圧延機
3 圧下装置
4 荷重検出器
5 荷重制御部
6 荷重制御切替部
7 圧下荷重設定部
8 溶接点通過処理荷重設定部
9 溶接点通過判定部
10 溶接点通過処理荷重補正値演算部
11 加算部
21 先行材
22 後行部
23 溶接点
Claims (2)
- 帯状材の溶接点を所定の溶接点通過処理荷重で通過させる荷重制御方法において、ミル定数と前記溶接点における最大板厚と後行材の板厚の差とから予測される、溶接点通過直後の圧下荷重の低下量から溶接点通過処理荷重補正値を予め演算し、該溶接点通過処理荷重補正値を前記溶接点通過処理荷重に加算して補正することを特徴とする圧下荷重制御方法。
- 溶接点の通過時に、所定の溶接点通過処理荷重を荷重指令として選択的に荷重制御部に入力することのできる圧延機の荷重制御装置であって、溶接点通過処理荷重設定部と、ミル定数と前記溶接点における最大板厚と後行材の板厚との差から予測される圧下荷重の低下量から溶接点通過処理荷重補正値を演算する溶接点通過処理荷重補正値演算部と、前記溶接点通過処理荷重設定部から出力される溶接点通過処理荷重値に、前記溶接点通過処理荷重補正値演算部で演算される溶接点通過処理荷重補正値を加算して補正する加算部と、該加算部で加算して補正された荷重指令を溶接点通過時に選択し荷重指令として出力する荷重制御切替部と、該荷重制御切替部から出力された荷重指令を入力し圧延機の圧下装置に圧下指令として出力する荷重制御部とを有することを特徴とする圧延機の圧下荷重制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29896797A JP3622453B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 圧延機の圧下荷重制御方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP29896797A JP3622453B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 圧延機の圧下荷重制御方法および装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11129013A JPH11129013A (ja) | 1999-05-18 |
JP3622453B2 true JP3622453B2 (ja) | 2005-02-23 |
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ID=17866511
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP29896797A Expired - Fee Related JP3622453B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 圧延機の圧下荷重制御方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3622453B2 (ja) |
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1997
- 1997-10-30 JP JP29896797A patent/JP3622453B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11129013A (ja) | 1999-05-18 |
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