JP3622409B2 - β−アニリノエタンチオール誘導体、その製造方法及びそれを用いる3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体の製造方法 - Google Patents

β−アニリノエタンチオール誘導体、その製造方法及びそれを用いる3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンのようなβ−アニリノエタンチオール誘導体(1)及びその製法、並びにそれを用いる3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン化合物の製法に関する。
前記のβ−アニリノエタンチオール誘導体は、本発明の製法に従って、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)に誘導され、さらに特開平6−16558号公報に記載された方法に準じて、抗リウマチ剤として有用であるメトトレキセート誘導体(8)を製造することができる。
【0002】
【化8】
Figure 0003622409
【0003】
式中、R 及びR は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、nは1〜4の整数である。
【0004】
【従来の技術】
特開平6−16558号公報には、2−アミノベンゾチアゾール−6−カルボン酸を水酸化カリウムと反応させ、さらに1,2−ジブロモエタンとヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミドを加えて反応させ、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)を製造する方法が記載されている。
しかし、この方法は、収率が低いこと、原料の2−アミノベンゾチアゾール−6−カルボン酸が市販されていないために入手が困難なこと、及び反応操作が複雑であることなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前記公知の製法における問題点を解決すべく、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)の製造方法を鋭意検討した結果、β−アニリノエタンチオール誘導体(1)を経由して3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体を製造すれば、原料の入手が容易で、簡単な反応操作で、かつ高収率で3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、β−アニリノエタンチオール誘導体(1)、その製造方法、並びに該β−アニリノエタンチオール誘導体より3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の発明は、一般式(1)
【0007】
【化9】
Figure 0003622409
【0008】
(式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示し、R は置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示す)で表されるβ−アニリノエタンチオール誘導体に関し、
本発明の第二の発明は、一般式(2)
【0009】
【化10】
Figure 0003622409
【0010】
(式中、Rは前記と同じ意味を示し、Xは保護基を示す)で表される4−アミノ安息香酸誘導体に、
一般式(3)
【0011】
【化11】
Figure 0003622409
【0012】
(式中、Yは脱離基を示す)で表されるエチルブロミド誘導体を、塩基の存在下に反応させて、
一般式(4)
【0013】
【化12】
Figure 0003622409
【0014】
(式中、R及びXは前記と同じ意味を示す)で表されるβ−アニリノエチルブロミド誘導体を生成させた後、脱保護し、得られた
一般式(5)
【0015】
【化13】
Figure 0003622409
【0016】
(式中、Rは前記と同じ意味を示す)で表される脱保護体に、
一般式(6)
【0017】
【化14】
Figure 0003622409
【0018】
(式中、R は前記と同じ意味を示し、Mはアルカリ金属を示す)で表されるアルカリ金属スルホン酸誘導体を、有機溶媒の存在下に反応させる、一般式(1)で表されるβ−アニリノエタンチオール誘導体の製造方法に関し、
【0019】
本発明の第三の発明は、
一般式(1)で表されるβ−アニリノエタンチオール誘導体を、有機溶媒中で加熱する、
一般式(7)
【0020】
【化15】
Figure 0003622409
【0021】
(式中、Rは前記と同じ意味を示す)で表される3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体の製造方法に関する。
【0022】
前記のR及びR のアルキル基としては、炭素原子数1〜10個、好ましくは1〜8個の非置換又は置換基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル及びそれらの異性体を挙げることができ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びペンチルである。
【0023】
前記の置換アルキル基の置換基としては、水酸基;アミノ基;フェノキシ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシのような炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニルのような炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルのような炭素数2〜7の直鎖状又は分岐鎖状のアルカノイル基;フッ素、塩素、臭素のようなハロゲン;置換されていてもよいベンゾイル基;置換されていてもよいフェノキシカルボニル基;置換されていてもよいフェニル基を挙げることができる。
【0024】
上記置換ベンゾイル基、置換フェノキシカルボニル基、置換フェニル基の各置換基としては、水酸基、アミノ基、フェニル基、フェノキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、ベンゾイル基、フェノキシカルボニル基、前記のようなアルキル基、前記のようなアルコキシ基、前記のようなハロゲン、前記のようなアルカノイル基、前記のようなアルコキシカルボニル基を挙げることができる。
【0025】
前記R及びR のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリルを挙げることができ、好ましくはフェニルである。
前記置換アリール基の置換基としては、前記アルキル基及び前記アルキル基の置換基と同様のものを挙げることができる。
【0026】
好ましいRは、水素原子、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基及びフェニル基であり、特に水素原子、メチル基、エチル基及びフェニル基が好ましい。好ましいR は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基及びフェニル基である。
【0027】
β−アニリノエタンチオール誘導体(1)の具体例としては、例えば
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−n−プロポキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−イソプロポキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−n−ブトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン、
【0028】
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−n−プロポキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−イソプロポキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−n−ブトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン、
【0029】
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−n−プロポキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−イソプロポキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−n−ブトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン、
N−〔2−(ベンゼンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン
を挙げることができ、
【0030】
好ましくは
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン、
N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン、
N−〔2−(メタンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン
である。
【0031】
本発明のβ−アニリノエタンチオール誘導体(1)の製造方法は、例えば以下のような反応式(I)〜(III)で示される方法により製造することができる。
反応式(I)
【0032】
【化16】
Figure 0003622409
【0033】
反応式(I)で表される方法は、4−アミノ安息香酸誘導体(2)とエチルブロミド誘導体(3)とを、塩基の存在下に反応させて、β−アニリノエチルブロミド誘導体(4)を製造する方法である。反応式(I)においては、4−アミノ安息香酸誘導体(2)及びエチルブロミド誘導体(3)は完全に溶解している必要はないため、有機溶媒は必ずしも必要としない。
【0034】
Xは保護基を示し、メタンスルホニル基;p−トルエンスルホニル基;アルカノイル基、好ましくはアセチル基又はプロパノイル基;置換されていてもよいアロイル基、好ましくはベンゾイル基;置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、好ましくはメトキシカルボニル基;置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、好ましくはフェノキシカルボニル基;フェニル部分が置換されていてもよいベンジル基、好ましくはベンジル基を挙げることができる。特に好ましいXはメタンスルホニル基又はp−トルエンスルホニル基である。
【0035】
前記のアロイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基及びベンジル基の置換基としては、水酸基;フェノキシ基;アミノ基;ニトロ基;カルボキシル基;フェノキシカルボニル基;フェニル基;ベンゾイル基;フッ素、塩素、臭素のようなハロゲン原子;前記アルキル基;アルコキシ基;及びアルコキシカルボニル基を挙げることができる。
【0036】
4−アミノ安息香酸誘導体(2)としては、例えば
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−カルボキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
【0037】
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−カルボキシフェニル)メタンスルホンアミド、
【0038】
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(p−カルボキシフェニル)アセトアミド、
【0039】
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(p−カルボキシフェニル)ベンズアミド、
【0040】
メチル N−(p−メトキシカルボニルフェニル)カーバメイト、
メチル N−(p−エトキシカルボニルフェニル)カーバメイト、
メチル N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)カーバメイト、
メチル N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)カーバメイト、
メチル N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)カーバメイト、
メチル N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)カーバメイト、
メチル N−(p−カルボキシフェニル)カーバメイト、
【0041】
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミン、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミン、
N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)ベンジルアミン、
N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)ベンジルアミン、
N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミン、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)ベンジルアミン、
N−(p−カルボキシフェニル)ベンジルアミン
を挙げることができ、
【0042】
好ましくは、
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(p−カルボキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
【0043】
N−(p−メトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−エトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(p−カルボキシフェニル)メタンスルホンアミド
である。
【0044】
反応式(I)の方法において使用されるエチルブロミド誘導体(3)における脱離基(Y)としては、例えば臭素、沃素のようなハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基などを挙げることができ、好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0045】
エチルブロミド誘導体(3)の具体例としては、例えば
1,2−ジブロモエタン、
1−ブロモ−2−ヨードエタン、
2−ブロモエチルトシレート、
2−ブロモエチルメシレート
を挙げることができ、好ましくは1,2−ジブロモエタンである。
【0046】
エチルブロミド誘導体(3)はその使用量が、化合物(2)1モルに対して通常0.7〜20モル、特に1.0〜10モルの割合となる量が好ましく、反応式(I)の方法において用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素アルカリ;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化アルカリ;ナトリウムメトキシド、カリウム t−ブトキシド、ナトリウム t−ブトキシドのようなアルカリアルコキシドを挙げることができ、好ましくは炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、カリウム t−ブトキシドであり、特に好ましくは炭酸カリウムである。
【0047】
塩基の使用量は、化合物(2)1モルに対して通常0.7〜10.0モル、好ましくは0.8〜5.0モルの割合となる量である。
【0048】
エチルブロミド誘導体(3)は液体であるため、有機溶媒は使用しなくても反応は進行するが、使用したほうが操作上好ましい。このような有機溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定されないが、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリルのような非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、好ましくはアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン系極性溶媒であり、特に好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒である。その使用量は、化合物(2)に対する重量比が、通常0.5〜100倍の割合、好ましくは1〜30倍の割合、特に好ましくは2〜20倍の割合である。
【0049】
反応式(I)の方法によって得られるβ−アニリノエチルブロミド誘導体(4)は、用いた4−アミノ安息香酸誘導体(2)とエチルブロミド誘導体(3)で規定されるが、例えば
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−カルボキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
【0050】
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)メタンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−カルボキシフェニル)メタンスルホンアミド、
【0051】
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)アセトアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−カルボキシフェニル)アセトアミド、
【0052】
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)ベンズアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−カルボキシフェニル)ベンズアミド、
【0053】
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)カ−バメイト、
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)カ−バメイト、
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)カ−バメイト、
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)カ−バメイト、
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)カ−バメイト、
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)カ−バメイト、
メチル N−(2−ブロモエチル)−N−(p−カルボキシフェニル)カ−バメイト、
【0054】
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−プロポキシカルボニルフェニル)ベンジルアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−イソプロポキシカルボニルフェニル)ベンジルアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−n−ブトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−フェノキシカルボニルフェニル)ベンジルアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−カルボキシフェニル)ベンジルアミド
を挙げることができる。好ましくは
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、
N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドである。
【0055】
反応式(I)の方法においてβ−アニリノエチルブロミド誘導体(4)を得る方法は、通常の洗浄操作、分離操作を組合わせて、例えば反応液に有機溶媒を添加し、水洗などにより無機塩基を除いた後に、溶媒抽出、減圧濃縮により粗生成物が得られる。さらに精製する場合には、例えばカラムクロマトグラフィーなどで精製すればよいが、精製方法は各化合物について適宜選択すればよい。
【0056】
反応式(II)
【0057】
【化17】
Figure 0003622409
【0058】
反応式(II)の方法は、β−アニリノエチルブロミド誘導体(4)を脱保護して、脱保護体(5)を製造する方法である。例えば(A)保護基が「フェニル部分が置換されていてもよいベンジル基」以外の保護基である場合は、酸又は塩基による加水分解反応〔以下反応(A)という〕。(B)保護基が「フェニル部分が置換されていてもよいベンジル基」である場合は、Pd/C触媒の存在下での水素化反応による脱ベンジル化反応〔以下反応(B)という〕、の2つの方法を挙げることができる。
【0059】
反応(A):酸又は塩基による加水分解反応
この方法に用いられる酸としては、例えば塩酸、硫酸及び硝酸を挙げることができ、好ましくは塩酸、硫酸であり、特に好ましくは硫酸である。その使用量は、化合物(4)1モルに対して0.7〜200モルの割合になる量が好ましい。酸は水溶液として使用するのが一般的であり、その場合濃度は特に制限はないが、1〜98%が好ましく、10〜98%が特に好ましい。
【0060】
この方法に用いられる塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。その使用量は、化合物(4)1モルに対して0.7〜3.0モルの割合になる量が好ましく、1.0〜2.0モルの割合になる量が特に好ましい。
塩基は、水溶液として使用するのが一般的であり、その場合の濃度は特に制限はないが、1〜48%が好ましく、10〜40%が特に好ましい。
【0061】
酸又は塩基は水溶液の状態で使用されるため、希釈溶媒を使用しなくても反応は進行するが、希釈溶媒を使用してもよい。このような希釈溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶媒;アセトニトリルのようなニトリル系溶媒を挙げることができ、好ましくはアルコール系溶媒、ニトリル系溶媒であり、特に好ましくはアルコール系溶媒である。希釈溶媒の使用量は、化合物(4)を溶解する限り特に制限はないが、化合物(4)に対する重量比が、通常3〜50倍の割合となる量が好ましく、5〜30倍の割合となる量が特に好ましい。反応温度は、溶媒により異なるが、−20〜100℃が好ましく、0〜90℃が特に好ましい。
【0062】
反応(B):Pd/C触媒の存在下での水素化反応による脱ベンジル化反応
反応は反応溶媒の存在下で行われる。脱ベンジル化反応において用いられるPd/C触媒の使用量は、化合物(4)に対して、0.005〜0.8倍の重量割合となる量が好ましく、0.01〜0.2倍の割合となる量が特に好ましい。
【0063】
反応溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン系溶剤;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒を挙げることができ、好ましくは芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶媒であり、特に好ましくは芳香族炭化水素系溶剤である。
反応溶媒の使用量は、化合物(4)を溶解する限り特に制限はないが、化合物(4)に対する重量比が、通常3〜50倍の割合となる量が好ましく、5〜30倍の割合となる量が特に好ましい。反応温度は、溶媒により異なるが、−20〜100℃が好ましく、0〜70℃が特に好ましい。
【0064】
反応式(II)の方法による脱保護により得られる脱保護体(5)は、β−アニリノエチルブロミド誘導体(4)で規定されるが、例えば
N−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−n−プロポキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−イソプロポキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−n−ブトキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリン
を挙げることができる。好ましくは
N−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリン、
N−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリンである。
【0065】
反応式(II)において脱保護体(5)を採取する方法は、反応式(I)の場合と同様である。
【0066】
反応式(III)
【0067】
【化18】
Figure 0003622409
【0068】
反応式(III)の方法は、脱保護体(5)とアルカリ金属スルホン酸誘導体(6)とを、有機溶媒の存在下で反応させて、β−アニリノエタンチオール誘導体(1)を製造する方法である。
アルカリ金属スルホン酸誘導体(6)のMで示されるアルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムを挙げることができ、好ましくはナトリウム、カリウムであり、特に好ましくはカリウムである。
【0069】
アルカリ金属スルホン酸誘導体(6)の使用量は、脱保護体(5)1モルに対して0.5〜10倍モル、好ましくは0.7〜10倍モルの割合となる量が好ましく、1〜1.5倍モルの割合となる量が特に好ましい。
【0070】
アルカリ金属スルホン酸誘導体(6)の具体例としては、例えば
カリウムp−トルエンチオスルホネート、
ナトリウムp−トルエンチオスルホネート、
リチウムp−トルエンチオスルホネート、
カリウムメタンチオスルホネート、
ナトリウムメタンチオスルホネート、
リチウムメタンチオスルホネート、
カリウムベンゼンチオスルホネート、
ナトリウムベンゼンチオスルホネート、
リチウムベンゼンチオスルホネート
を挙げることができ、
好ましくはカリウムp−トルエンチオスルホネート、
ナトリウムp−トルエンチオスルホネート、
カリウムメタンチオスルホネート、
ナトリウムメタンチオスルホネート
である。
【0071】
前記のアルカリ金属スルホン酸誘導体(6)は、例えばRecueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas.、675(1957)に記載した方法に準じて、例えばp−トルエンスルホニルクロリドに、硫化水素と水酸化カリウムとを反応溶媒中で反応させることにより製造される。さらに詳しくは、参考例で述べる。
【0072】
反応溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリルのような非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、好ましくはアルコール系溶媒である。
有機溶媒の使用量は、脱保護体(5)に対する重量比が1〜50倍の割合、好ましくは2〜20倍の割合となる量である。
【0073】
反応式(III)においてβ−アニリノエタンチオール誘導体(1)を採取する方法は、反応式(I)の場合と同様である。
【0074】
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)の製造方法は、以下の反応式(IV)で表される方法により製造することができる。
反応式(IV)
【0075】
【化19】
Figure 0003622409
【0076】
β−アニリノエタンチオール誘導体(1)を、有機溶媒中で加熱して3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)を製造する。
【0077】
反応式(IV)の方法において用いられる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリルのような非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、好ましくはアルコール系溶媒である。
有機溶媒の使用量は、脱保護体(5)に対する重量比が1〜50倍の割合、好ましくは2〜20倍の割合となる量である。反応温度は、使用する有機溶媒の沸点以下であればよく、25〜120℃、好ましくは30〜110℃であり、特に好ましくは50〜100℃である。
【0078】
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)は、β−アニリノエタンチオール誘導体(1)により規定されるが、例えば
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸エチル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸n−プロピル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸イソプロピル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸n−ブチル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸フェニル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸
を挙げることができ、
【0079】
好ましくは
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸エチル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸フェニル、
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸
である。
【0080】
反応式(IV)において3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)を採取する方法は、反応式(I)の場合と同様である。
3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)を製造する方法は、前記の方法以外にも、例えば脱保護体(5)とアルカリ金属スルホン酸誘導体(6)とを反応させて、β−アニリノエタンチオール誘導体(1)を生成させ、生成したβ−アニリノエタンチオール誘導体(1)を分離することなく、加熱することにより3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体(7)を製造することができる。
【0081】
【実施例】
以下に実施例及び参考例を示す。本実施例および参考例において、高速液体クロマトグラフィーを用いる定量分析(以下LC定量という)の条件は、以下の通りである。
定量分析法1
カラム;ODS−80TM(4.6φ×25cm)
溶離液;アセトニトリル:水=3:2
測定波長;254nm
流速;1.0ml/min
定量分析法2
カラム;ODS−80TM(4.6φ×25cm)
溶離液;アセトニトリル:水=1:2
測定波長;254nm
流速;1.0ml/min
【0082】
実施例1
p−アミノ安息香酸メチル6.05g(40.0mmol)とピリジン3.80g(48.0mmol)とを塩化メチレン30mlに溶解し、得られた塩化メチレン溶液に、10℃に冷却したp−トルエンスルホニルクロリドの塩化メチレン溶液(p−トルエンスルホニルクロリド8.0g+塩化メチレン10ml)を滴下した後、室温で2時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液から、析出した桃色粉末を濾取し、塩化メチレン3mlで洗浄し、減圧濃縮して、桃色粉末のN−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド12.0g(39.3mmol)得た。p−アミノ安息香酸メチルに対する収率:98.2%
融点;198〜201℃
H−NMR(CDCl
δ:2.38(s,3H)、3.88(s,3H)、4.0 〜4.2(br,1H)、7.1 〜8.0(m,8H)
【0083】
実施例2
実施例1と同様の方法で得られたN−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド33.6g(110mmol)、炭酸カリウム25.8g(187mmol)とジブロモエタン62.0g(330mmol)とを、DMF146mlに懸濁し、得られた懸濁溶液を54℃で6時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、濾取物を洗浄した塩化メチレン180mlと濾液を合わせた混合溶液を、水80ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液80ml、水80mlの順で洗浄した後、分液操作で得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して黄色液体を得た。得られた黄色液体を、イソプロパノール50mlより再結晶して、無色粒状のN−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド39.2g(95.3mmol)を得た。N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=86.6%
融点;78〜80℃
H−NMR(CDCl
δ:2.44(s,3H)、3.42(t,2H)、3.91(t,2H)、3.92(s,3H)、7.13〜8.06(m,8H)
【0084】
実施例3
実施例2で得られたN−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド38.1g(92.4mmol)と濃硫酸222mlとを、メタノール740mlに溶解し、得られたメタノール溶液を7時間還流して反応させた。
得られた反応溶液よりメタノールを減圧留去(60℃以下)した後、塩化メチレン1.4L を加えて、塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液を5℃に冷却した後、同温度を保ちながら33%水酸化ナトリウム水溶液を698ml滴下してpHを3.9とした後、分液操作をした。分液して得られた水層を、塩化メチレン150mlで抽出することを繰り返して(3回)抽出液を得た。分液して得られた有機層に抽出液を合わせた後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧濃縮して、茶色の粉末を得た。得られた茶色の粉末をエタノール30mlより再結晶して、無色粒状のN−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリン18.3g(70.9mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=76.7%
融点;102〜103℃
H−NMR(CDCl
δ:3.48〜3.70(m,4H)、3.87(s,3H)、6.62(d,2H)、7.90(d,2H)
【0085】
参考例1
85%水酸化カリウム4.46g(67.6mmol)を水10mlに溶解して、得られた水酸化カリウム水溶液を10℃に冷却した後、硫化水素を通じて飽和させた。得られた硫化水素飽和水溶液に、水10mlを加えた後、p−トルエンスルホニルクロリド5.72g(30mmol)を、液温が20℃を越さないように滴下し、室温(20℃)で3時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液にアルゴンを15分間通気した後、濾過し、得られた濾液に塩化カリウム10g(134mmol)を加え、5℃に冷却し、同温度で3時間静置し沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、冷水(5℃)2mlで洗浄し、無色板状のカリウム p−トルエンチオスルホネート6.0g(26.5mmol)を得た。p−トルエンスルホニルクロリドに対する収率=88.4%
融点;228〜231℃
【0086】
実施例4
実施例3と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリン77.5g(300mmol)と参考例1と同様の方法で得られたカリウム p−トルエンチオスルホネート67.9g(300mmol)とを、エタノール1.3L に溶解し、得られたエタノール溶液を13時間還流して反応させた。
得られた反応溶液を50℃で濾過し、得られた濾液を5℃で3時間靜置した。析出した結晶を濾過し、減圧濃縮して、無色針状のN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン98.6g(270mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリンに対する収率=90%
融点;99〜100℃
H−NMR(CDCl
δ:2.44(s,3H)、3.19(t,2H, J=6.8Hz) 、3.49〜3.58(m,2H)、3.85(s,3H)、4.48〜4.56(br,1H) 、6.51(d,2H, J=8.7Hz) 、7.32(d,2H, J=7.8Hz) 、7.85(d,2H,
J=8.7Hz)
【0087】
実施例5
実施例4で得られたN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリン3.65g(10.0mmol)をn−プロパノール60mlに溶解し、得られたn−プロパノール溶液を90℃で13時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)した結果、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチルが19.5g(9.3mmol)生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=93%
該反応溶液を濾過し、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離・精製した。得られた分離液を減圧濃縮して、薄褐色粉末の3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.86g(8.9mmol)得た。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する収率=88.6%
融点;79〜81℃
H−NMR(CDCl
δ:2.90〜3.06(m,2H)、3.64〜3.77(m,2H)、3.84(s,3H)、4.40〜4.70(br,1H) 、6.43(d,1H, J=8.4Hz) 、7.58(d,1H, J=8.4Hz) 、7.77(s,1H)
【0088】
実施例6
n−プロパノールの代わりにイソプロパノール60mlを用い、反応温度を90℃に代えて82℃とし、反応時間を13時間に代えて10時間としたほかは、実施例5と同様に反応させた。得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)すると3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.76g(8.4mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=84%
【0089】
実施例7
n−プロパノールの代わりにアセトニトリル60mlを用い、反応温度を90℃に代えて82℃とし、反応時間を13時間に代えて10時間としたほかは、実施例5と同様に反応させた。得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)すると3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.70g(8.1mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=81%
【0090】
実施例8
n−プロパノールの代わりにDMF60mlを用い、反応時間を13時間に代えて9時間としたほかは、実施例5と同様に反応させた。得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)すると3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.32g(6.3mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=63%
【0091】
実施例9
n−プロパノールの代わりにn−ブタノール60mlを用い、反応温度を90℃に代えて95℃とし、反応時間を13時間に代えて7時間としたほかは、実施例5と同様に反応させた。得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)すると3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.81g(8.6mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=86%
【0092】
実施例10
n−プロパノールの代わりにエタノール60mlを用い、反応温度を90℃に代えて78℃とし、反応時間を13時間に代えて15時間としたほかは、実施例5と同様に反応させた。得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)すると3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.51g(7.2mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=72%
【0093】
実施例11
実施例3と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリン2.58g(10mmol)と参考例1と同様の方法で得られたカリウム−p−トルエンチオスルホネート2.26g(10mmol)とをエタノール50mlに溶解し、得られたエタノール溶液を25時間還流して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、減圧濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離・精製し、薄褐色粉末の3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.53g(7.29mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=72.9%
融点;79〜81℃
【0094】
実施例12
エタノールの代わりにn−ブタノール60mlを用い、反応温度を78℃に代えて100℃とし、反応時間を25時間に代えて8時間としたほかは、実施例11と同様に反応させ、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸メチル1.35g(6.4mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=64%
【0095】
実施例13
p−アミノ安息香酸エチル8.26g(50mmol)とピリジン5.37g(67mmol)とをトルエン40mlに溶解し、得られたトルエン溶液に、10℃に冷却したp−トルエンスルホニルクロリドの塩化メチレン溶液(p−トルエンスルホニルクロリド10.0g+塩化メチレン15ml)を滴下した後、室温(20℃)で2時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液に水30mlを加え、析出した桃色粉末を濾取し、トルエン30mlで洗浄し、減圧濃縮をして、桃色粉末のN−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド15.9g(49.8mmol)得た。p−アミノ安息香酸エチルに対する収率:99.6%
融点;198〜201℃
H−NMR(CDCl
δ:1.38(t,3H)、3.60〜3.92(br,1H) 、7.10〜7.28(m,4H)、7.68〜7.90(m,4H)
【0096】
実施例14
実施例13で得られたN−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド9.38g(29.4mmol)、炭酸カリウム4.88g(35.3mmol)とジブロモエタン16.6g(88.3mmol)とをジメチルホルムアミド(DMF)30mlに懸濁し、得られたDMF懸濁溶液を、50℃で10時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、濾取物を洗浄した塩化メチレン60mlと濾液とを合わせた混合溶液を、水30ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20ml、水20mlの順で洗浄した後、分液操作で得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して黄褐色の液体を得た。得られた黄褐色液体をイソプロパノール12mlより再結晶して、無色粒状のN−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド10.5g(24.6mmol)を得た。N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=83.7%
融点;78〜80℃
H−NMR(CDCl
δ:1.42(t,3H)、3.40(dd,2H) 、3.96(dd,2H) 、4.42(q,2H)、7.13〜8.06(m,8H)
【0097】
実施例15
実施例14で得られたN−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド8.53g(20mmol)と濃硫酸30mlとをエタノール80mlに溶解し、得られたエタノール溶液を6時間還流して反応させた。
得られた反応溶液よりエタノールを減圧留去(60℃以下)した後、塩化メチレン300mlを加えて塩化メチレン溶液を得た。得られた塩化メチレン溶液を、5℃に冷却した後、同温度を保ちながら25%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを3.9とした後、分液操作をした。分液して得られた水層を、塩化メチレン30mlで抽出することを繰り返して(3回)抽出液を得た。分液して得られた有機層に抽出液を合わせた後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧濃縮して、茶色の粉末を得た。得られた茶色の粉末をエタノール7mlより再結晶して、無色粒状のN−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリン4.5g(16.5mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=82.5%
融点;78〜79℃
H−NMR(CDCl
δ:1.40(t,3H)、3.51〜3.58(m,2H)、3.59〜3.68(m,2H)、4.32(q,2H)、6.62(d,2H)、7.90(d,2H)
【0098】
実施例16
実施例15で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリン2.58g(10mmol)と参考例1と同様の方法で得られたカリウム−p−トルエンチオスルホネート2.26g(10mmol)とをエタノール60mlに溶解し、得られたエタノール溶液を18時間還流して反応させた。
得られた反応溶液を、50℃で熱時濾過し、得られた濾液を5℃で3時間静置した。析出してきた結晶を濾過し、乾燥して、無色針状のN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン3.22g(8.5mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリンに対する収率=85.0%
融点;131℃
H−NMR(CDCl
δ:1.36(t,3H, J=6.8Hz) 、2.44(s,3H)、3.19(dd,2H, J=6.8Hz)、3.53(dd,2H, J=6.8Hz)、4.32(q,2H, J=6.8Hz, J=14.3Hz) 、6.52(d,2H, J=8.8Hz) 、7.32(d,2H, J=7.8Hz) 、7.81(d,2H, J=7.8Hz) 、7.85(d,2H, J=8.8Hz)
【0099】
実施例17
実施例16と同様の方法で得られたN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリン3.79g(10mmol)をn−プロパノール60mlに溶解し、得られたn−プロパノール溶液を7時間還流し反応させた。
得られた反応溶液をLC定量(定量分析法1)した結果、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸エチル2.03g(9.06mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリンに対する反応収率=90.6%
該反応溶液を濾過し、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離・精製した。得られた分離液を減圧濃縮して、薄褐色粉末の3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸エチル1.90g(8.48mmol)を得た。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−エトキシカルボニルアニリンに対する収率=84.8%
H−NMR(CDCl
δ:1.40(t,3H)、2.90〜3.06(m,2H)、3.64〜3.77(m,2H)、4.31(q,2H)、6.43(d,1H)、7.58(d,1H)、7.75(s,1H)
【0100】
実施例18
実施例15と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリン2.72g(10mmol)と参考例1と同様の方法で得られたカリウム−p−トルエンチオスルホネート2.26g(10mmol)とをエタノール60mlに溶解し、得られたエタノール溶液を18時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、減圧濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離・精製した。得られた分離液を減圧濃縮して、薄褐色粉末の3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸エチル1.65g(7.37mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリンに対する収率=73.7%
【0101】
実施例19
水50mlと濃硫酸100mlの混合溶液に、実施例14と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド107g(0.25mol )を加えて溶解し、得られた硫酸溶液を80℃で4時間加熱撹拌して反応させた後、水200mlを加えて、更に同温度で2時間加熱撹拌して反応させた。
得られた反応溶液を、室温(20℃)まで冷却した後、水600mlを加えて結晶を析出させた後、さらに同温度で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥して、無色粉末のN−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリン55.5g(0.23mol )を得た。N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=92% H−NMR(DMSO−d
δ:3.47〜3.68(m,4H)、6.68(d,2H)、7.69(d,2H)、11.9〜12.2(br,1H)
【0102】
実施例20
実施例19と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリン2.44g(10mmol)と、参考例1と同様の方法で得られたカリウム−p−トルエンチオスルホネート2.26g(10mmol)とをエタノール60mlに溶解し、得られたエタノール溶液を4時間還流して反応させた。
得られた反応溶液を50℃で熱時濾過した。得られた濾液を5℃に冷却したまま3時間静置して結晶を析出させた。析出した結晶を濾過し、減圧乾燥して、無色針状の4−N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン2.92g(8.32mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリンに対する収率=83.2%
融点;156〜158℃
H−NMR(DMSO−d
δ:2.41(s,3H)、3.17(dd,3H, J=6.8Hz)、3.30〜3.40(m,2H)、6.52(d,2H, J=8.8Hz) 、6.60〜6.68(br,1H) 、7.47(d,2H, J=8.8Hz) 、7.67(d,2H, J=8.3Hz) 、7.83(d,2H, J=8.3Hz) 、12.0〜12.14(br,1H)
【0103】
実施例21
実施例20と同様の方法で得られたN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリン3.51g(10mmol)をn−プロパノール60mlに溶解し、得られたn−プロパノール溶液を7時間還流して反応させた。
得られた反応溶液を減圧濃縮し残渣を得た。得られた残渣にトルエン8mlと2N −水酸化ナトリウム水溶液8mlを加え、分液操作をして水層を得た。得られた水層に濃塩酸を加えてpH4として、結晶を析出させた。析出した結晶を濾過し、減圧濃縮して、無色粉末状の3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸1.63g(8.32mmol)を得た。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリンに対する収率=83.2%
融点;204℃(分解)
H−NMR(DMSO−d
δ:2.95(dd,2H) 、3.57(dd,2H) 、6.54(d,2H)、6.80〜6.92(br,1H) 、7.39(d,2H)、11.98 〜12.22(br,1H)
【0104】
実施例22
n−プロパノールに代えてアセトニトリル60mlを用いたほかは、実施例21と同様に反応させた。得られた反応溶液をLC定量(定量分析法2)すると3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸1.75g(8.93mmol)が生成していることが分かった。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−カルボキシアニリンに対する反応収率=89.3%
【0105】
実施例23
実施例19と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリン3.65g(15mmol)、フェノール7.06gとトリエチルアミン3.04gとを1,2−ジクロロエタン40mlに溶解し、得られた1,2−ジクロロエタン溶液を5℃に冷却後、同温度に保ちながら塩化チオニル3.57g(30mmol)を滴下した。滴下終了後、室温(20℃)で2時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液を5℃に冷却後、同温度に保ちながら水30mlを加えて分液操作をした。得られた有機層を、2N −水酸化ナトリウム水溶液30ml、水30mlで順次洗浄した。得られた洗浄済有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧濃縮して、薄黄色の粉末としてN−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリン4.8gを得た。
得られた薄黄色の粉末のN−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリン4.8gを、塩化メチレン8mlより再結晶して、無色針状のN−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリン4.53g(14.2mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−カルボキシアニリンに対する収率=95.7%
融点;152〜153℃
H−NMR(CDCl
δ:3.45〜3.70(m,4H)、6.90〜7.03(m,1H)、7.20(d,2H)、7.28(dd,1H) 、7.45(dd,2H) 、7.88(d,2H)
【0106】
実施例24
実施例23で得られたN−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリン2.88g(9mmol)と参考例1と同様の方法で得られたカリウム−p−トルエンチオスルホネート2.04g(9mmol)とをエタノール40mlに溶解し、9時間還流して反応させた。
得られた反応溶液を50℃で熱時濾過し、得られた濾液を5℃に冷却した後3時間静置した。析出した結晶を濾過し、減圧乾燥すると、薄黄色針状のN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン3.5g(8.2mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−p−フェノキシカルボニルアニリンに対する収率=91.1%
融点;148〜149℃
H−NMR(CDCl
δ:2.45(s,3H)、3.21(dd,2H, J=6.6Hz)、3.51〜3.62(m,2H)、4.58〜4.68(br,1H) 、6.57(d,2H, J=8.8Hz) 、7.18(d,2H, J=8.8Hz) 、7.20〜7.30(m,1H)、7.34(d,2H, J=8.5Hz) 、7.39〜7.43(m,2H)、7.82(d,2H, J=8.5Hz) 、8.01(d,2H, J=8.8Hz)
【0107】
実施例25
実施例24で得られたN−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリン2.14g(5mmol)をn−プロパノール35mlに溶解し、得られたn−プロパノール溶液を16時間還流し反応させた。
得られた反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離・精製した。得られた分離液を減圧濃縮して、薄褐色粉末として3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−カルボン酸フェニル1.24g(4.58mmol)を得た。N−〔2−(p−トルエンスルホニルチオ)エチル〕−p−フェノキシカルボニルアニリンに対する収率=91.6%
融点;150〜152℃
H−NMR(CDCl
δ:3.02(dd,2H, J=4.9Hz)、3.72(dd,2H, J=4.9Hz)、4.50〜4.66(br,2H) 、6.46(d,1H, J=8.3Hz) 、7.12〜7.48(m,5H)、7.79(d,1H, J=8.3Hz) 、7.88(s,1H)
【0108】
実施例26
実施例2と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド4.12g(10.0mmol)を濃硫酸4.2mlに溶解し、得られた硫酸溶液を室温(20℃)で3時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液に1,2−ジクロロエタン30mlを加え、溶液温度が20℃を越えないように15N −水酸化ナトリウム水溶液6mlを加えた。
得られた混合溶液を濾過し、分液操作をした。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧濃縮して、無色粉末状のN−(2−ブロモエチル)−p−メトキシカルボニルアニリン2.41g(9.3mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−N−(p−メトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=93%
【0109】
実施例27
実施例14と同様の方法で得られたN−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミド4.26g(10.0mmol)を濃硫酸4.2mlに溶解し、得られた硫酸溶液を室温(20℃)で3時間撹拌して反応させた。
得られた反応溶液に1,2−ジクロロエタン30mlを加え、溶液温度が20℃を越えないように15N −水酸化ナトリウム水溶液6mlを加えた。
得られた混合溶液を濾過し、分液操作をした。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧濃縮して、無色粉末状のN−(2−ブロモエチル)−p−エトキシカルボニルアニリン2.56g(9.4mmol)を得た。N−(2−ブロモエチル)−N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−p−トルエンスルホンアミドに対する収率=94%

Claims (3)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003622409
    (式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、又はフェニル基を示し、R1はメチル基、フェニル基又はp−トリル基を示す)で表されるβ−アニリノエタンチオール誘導体。
  2. 一般式(2)
    Figure 0003622409
    (式中、Rは前記と同じ意味を示し、Xは保護基を示す)で表される4−アミノ安息香酸誘導体と、
    一般式(3)
    Figure 0003622409
    (式中、Yは脱離基を示す)で表されるエチルブロミド誘導体とを、塩基の存在下に反応させて、
    一般式(4)
    Figure 0003622409
    (式中、R及びXは前記と同じ意味を示す)で表されるβ−アニリノエチルブロミド誘導体を生成させた後、脱保護し、得られた
    一般式(5)
    Figure 0003622409
    (式中、Rは前記と同じ意味を示す)で表される脱保護体に、
    一般式(6)
    Figure 0003622409
    (式中、R は前記と同じ意味を示し、Mはアルカリ金属を示す)で表されるアルカリ金属スルホン酸誘導体を、有機溶媒の存在下に反応させる、請求項1の一般式(1)で表されるβ−アニリノエタンチオール誘導体の製造方法。
  3. 一般式(1)で表されるβ−アニリノエタンチオール誘導体を、有機溶媒中で加熱する、
    一般式(7)
    Figure 0003622409
    (式中、Rは前記と同じ意味を示す)で表される3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン誘導体の製造方法。
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