JP3622028B2 - マンホール - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主として地震時における地盤の流動化現象によって、浮き上がるのを防止したマンホールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマンホールは、下水管等の通水管を連結するための通水管連結用ブロックを底部に配置し、その上に胴部を構成する円筒状の胴部ブロックを、1段または複数段配置に積み上げ、最上部に上部開口部を構成する上端部ブロックを積み上げて構成したマンホール本体を地中に埋設している。これらの各ブロックには、プレキャストコンクリート製のものが多く使用されているが、現地で製作する場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、地震時には地盤の液状化現象が生じることが知られており、上述した従来のマンホールにあっては、この液状化現象によって浮上することがあった。この浮上の原因は、マンホール本体の埋設時に、周辺に埋め戻された土砂が、地震の震動波によってせん断力が非逆転することにある。
【0004】
このようにして、マンホールが浮上すると、下水管路はその流水勾配が損われるばかりでなく、浮上が甚だしい場合には管路の機能を失ってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、地震時においても浮き上がりが防止されるマンホールの提供を目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための本発明の特徴は、地中に埋設されたマンホール本体の周壁に、内外に貫通させた外水流入用の通水孔を備え、該通水孔には前記マンホール本体の周壁外からのみ通水させる逆止弁を備え、前記マンホール本体の周囲を囲む配置にジオテキスタイルを埋設してなるマンホールにある。なお、マンホール本体埋設時の掘削穴内面と埋め戻し土砂との境界にジオテキスタイルを埋設し、埋め戻し土砂全体を前記ジオテキスタイルをもって囲むことがより好ましい
【0007】
【作用】
上述の如く、地震時にマンホールが浮上するのは、地盤が液状化し、マンホール周辺の地盤が流動するためであり、本発明においては、マンホール本体に外部の外水を流入させる通水孔を設けることにより、土壌内の余剰水である外水を、通水孔を通してマンホール内に取り込み、周辺地盤の含水率を低くして流動を防止し、更に液状化が生じても周囲を囲むジオテキスタイルの存在によって土砂の逃げを防止して流動化を阻止し、ジオテキスタイルの透水性は過剰間隙水圧の消散が可能であり、これによってマンホールの浮上が防止される。
【0008】
また、マンホール本体埋設時の掘削穴内面と埋め戻し土砂との境界にジオテキスタイルを埋設し、埋め戻し土砂全体を前記ジオテキスタイルをもって囲むことによって、周囲の安定地盤に対して不安定な埋め戻し土砂の範囲を限定して流動化を防止できる。
【0009】
更に、外水流入用の通水孔に、マンホール本体の周壁外からのみ通水させる逆止弁を備えることにより、マンホール内増水時において内部の水の周辺地盤への浸透が防止される。
【0010】
【実施例】
次に本発明の実施の一例を図面について説明する。
【0011】
図において、1はプレキャストコンクリートブロックを積み上げて構成したマンホール本体である。このマンホール本体1は最低部に、基礎コンクリート2上に設置された有底筒状の通水管連結用ブロック3を有し、これには左右に通水管4,4が連通されている。
【0012】
通水管連結用ブロック3上には筒状の胴部ブロック5が積み上げられ、その上に、片側をテーパー状に傾斜させた筒状の上端部ブロック6が積み上げられ、該上端部ブロック6の上端開口にリング状の開口部ブロック7が嵌合され、この開口部ブロック7に上蓋8が嵌め付けられてマンホール本体1が構成され、上蓋8の上面が地表面9と略同じ高さになるように地中に埋設されている。
【0013】
開口部ブロック7を除く他の各ブロック3,5,6には、その周壁に多数の通水孔10,10……が内外に貫通開口されている。この通水孔は各ブロックの周壁面の3〜10%を占める範囲で設けることが好ましく、3%未満では所期の目的が達せられず、また10%以上になるとマンホール強度が低下するために周壁厚さを大きくする必要が生じ好ましくない。
【0014】
各通水孔10,10……には、マンホール本体1内側開口部にマンホール本体1内側の水圧によって閉鎖される逆止弁12が設けられ、マンホール本体1内から周壁外の通水を防止させている。
【0015】
また、各通水孔10,10……内には周壁外の土砂が水と共に流入するのを防止するためのフィルター13が装着されている。
【0016】
マンホール本体1の周囲には、その埋設時の埋め戻し土砂11を取り囲む配置にジオテキスタイル14が埋設されている。ジオテキスタイルは一般に土木の盛土補強工法に使用されいてる透水性のある合成樹脂製板状材であり、具体的には次の条件のものが使用できる。
【0017】
Figure 0003622028
ジオテキタイル14の目合が大きい場合は、ジオテキスタイルを透過して流動する水と同時に土壌中の細砂部分も流動するため好ましくなく、目合の大きさは縦、横とも0.1〜2.0mmの範囲が好ましく、2.0mm以上では好ましい流動化防止が達成できない。また本発明で使用するジオテキスタイルは合成樹脂繊維を格子状に織ったものでもよく不織布でもよい。
【0018】
ジオテキスタイル14とマンホール本体1の周壁との間隔は、埋め戻し土砂を十分に締め固めることができるための距離を保つことが必要であり、60cm以上が好ましい。
【0019】
このように構成されるマンホールは、マンホール本体1の周囲の埋め戻し土砂11を含む地盤中の水が通水孔10,10……を通してマンホール本体1内に流入するため、図1中仮線aで示す如き水位勾配ができ、マンホール本体1周囲の地盤が締め固められる。このため、地震時の振動によって土壌間隙水圧の上昇があってもマンホール本体1の周囲は液状化が生じ難く、また液状化が生じても、ジオテキスタイル14に囲まれた土砂は流動が阻止され、これらの相互作用によってマンホール本体1の浮き上がりが防止される。
【0020】
尚、ジオテキスタイル14の埋設位置は、図1に示すようにマンホール本体1の埋設用掘削穴15内の埋め戻し土砂11の中間でも良いが、図4に示すように埋設用掘削穴15の内面に沿って設置しその内側を埋め戻し土砂11で埋め、埋め戻し土砂11全体を包み込むようにすることにより、周囲の安定地盤に対して不安定な埋め戻し部分全体を限定して流動化を防止できる。
【0021】
また、上述の実施例における通水孔10内のフィルター13は、通水孔10が小さい場合や埋め戻し状態によっては必ずしも必要ではない。更に上述の実施例ではプレキャストコンクリートブロックの積み上げによってマンホール本体を構成しているが全体を一体成形したプレキャスト製品であっても良く、またプレキャスト製品の他場所打コンクリートにより成形したものであっても良い。
【0022】
【発明の効果】
上述のように、本発明のマンホールは、マンホール本体の周壁に外水の流入用の通水孔を備えるとともに、マンホール本体の周囲の埋め戻し土砂を囲む配置にジオテキスタイルを埋設したことによって、地震時における周辺地盤の液状化が生じ難くなるとともに、液状化が生じても周辺地盤の流動化が阻止されることとなって、マンホール本体の浮上が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマンホールの実施の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1中のA−A線半断面図である。
【図3】同上の通水孔部分の拡大断面図である。
【図4】本発明に係るマンホールの他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
a 水位勾配
1 マンホール本体
2 基礎コンクリート
3 通水管連結用ブロック
4 通水管
5 胴部ブロック
6 上端部ブロック
7 開口部ブロック
8 上蓋
9 地表面
10 通水孔
11 埋め戻し土砂
12 逆止弁
13 フィルター
14 ジオテキスタイル
15 掘削穴

Claims (2)

  1. 地中に埋設されたマンホール本体の周壁に、内外に貫通させた外水流入用の通水孔を備え、該通水孔には前記マンホール本体の周壁外からのみ通水させる逆止弁を備え、前記マンホール本体の周囲の埋め戻し土砂を囲む配置にジオテキスタイルを埋設してなるマンホール。
  2. マンホール本体埋設時の掘削穴内面と埋め戻し土砂との境界にジオテキスタイルを埋設し、埋め戻し土砂全体を前記ジオテキスタイルをもって囲んでなる請求項1に記載のマンホール。
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