JP3620335B2 - 自動販売機の商品選択釦装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機のディスプレイ室の前面パネル（電照板）に配備した商品選択釦装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
まず、頭記の商品選択釦装置を装備した自動販売機を図３に示す。図において、１は自動販売機のケース本体、２はその前面外扉、３は外扉２に画成したディスプレイ室、４はディスプレイ室３の前面を覆った前面パネル（通称「電照板」と呼ばれるアクリル樹脂などで作られた透明樹脂板）、５はディスプレイ室３の室内に上下段に並べて設置した商品展示台、６は商品展示台５に陳列した商品見本、７はコインメック，ビルバリデータ，釣銭返却レバーなどを装備した販売操作パネル、８は商品取出口、９が商品選択釦装置である。
【０００３】
ここで、商品選択釦装置９は、周知のように上下段に並ぶ商品展示台５に対応して配列し、図４で示すように商品選択釦装置の単位ユニットを構成する複数個のモジュール１０を左右に連結して前面パネル４に装着されておいる。なお、前面パネル４には各モジュール１０の装着位置に合わせて挿通穴４ａを開口しておき、この挿通穴４ａの裏面側から各モジュール１０の取付け，およびコネクタの配線を行うようにしている。また、商品選択釦装置９のモジュール１０は、詳細構造を後記するように商品見本６と個々に対応する押釦，および押釦の操作で動作するスイッチ素子（タクトスイッチ）を含む信号入出力回路の部品を実装したプリント板などの部品を鞘状のケースに組み込んだ構成になり、機内側の主制御部（マスター）との間で販売可能／売切の表示，および商品選択に伴う各種制御信号をやり取りとして商品の販売制御を行うようにしている。
【０００４】
次に、商品選択釦装置の従来例の組立構造を図５（ａ），（ｂ） に示す。図において、１１はベース１２と断面半月状になる外カバー１３を組合せ、かつ外カバー１３にレンズ状の透明樹脂で作られた操作押釦１４を内側から嵌め込んだ樹脂成形品としてなる鞘状のモジュールケースであり、該モジュールケース１１の内部には、前記の押釦１４に対向してスイッチ素子（タクトスイッチ）１５ａ，発光素子（ＬＥＤ）１５ｂ，および制御用ＩＣなどを実装して信号入出力回路を構成したプリント板１５、および発光素子１５ｂの導光用鏡体１６を装着してプリント板１５の周域を覆った透光性，弾性を有するシリコーン樹脂製の防水カバー１７、および前記押釦１４と防水カバー１７との間に介挿した光透過姓材質の表示銘板１４ａなどの各種部品が組み込まれている。なお、前記のプリント板１５はベース１２の表面に接着剤などで固着されており、さらに外カバー１２は防水カバー１７の周縁を押圧挟持してベース１２に嵌め合わせた上で、接着剤などにより接合して一体に組立てている。
【０００５】
また、モジュールケース１１のベース１２には、前記プリント板１５から引出した配線接続用コネクタ１８を保持するソケット部１２ａ，およびインサートナットを埋設したモジュール取付用のねじ座１２ｂが背面側に隆起して一体成形されている。そして、商品選択釦装置のモジュール１０をディスプレイ室の前面パネル４に装着するには、図３に示した自動販売機のケース本体１に外扉２を装着した組立状態で、外扉２の前面側からモジュール１０のベース１１の背面を前面パネル４に重ね合わせた上で前記ソケット部１２ａ，ねじ座１２ｂを前面パネル４に開口した挿通穴４ａ（図４参照）に嵌挿し、前面パネル４の裏面側からねじ座１２ｂにねじ１９を螺合して固定する。また、コネクタ１８にはハーネスに接続したカプラ２０を差し込んでプリント板１５と主制御部との間を接続する。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した商品選択釦装置の従来構造では、工場組立ラインでディスプレイ室の前面パネルに商品選択釦装置９を装着する際の組立作業性，およびロケーション先での部品交換などの面で次に記すような難点がある。すなわち、
（１） 工場での製品組立ラインで商品選択釦装置９を前面パネル４に装着する工程では、外扉２が大型であることから作業員の一人がモジュール１０を手に持って外扉２の前方側から前面パネル４に対する装着位置に押さえ付け、別な作業員が外扉２の裏面側からねじ止め作業を行うようにしており、この作業工程には二人の作業員を投入する必要があった。
【０００７】
（２） また、自動販売機のロケーション先で、いたずら，あるいは乱暴な扱いでプラスチック製のモジュールケース１１，操作押釦１４などが破損したり、プリント板１５が故障した場合に、現地ではモジュール１０のケース１１を分解して個々の部品を交換することが殆ど不可能であることから、例えば操作押釦１４のみが破損した場合（従来における修理実績から、直接人の手に触れる操作押釦１４，外ケース１２の破損例が最も多い）でもプリント板１５を含めてモジュール１０をそっくり交換する必要があり、このために修理費用が高額となる。
【０００８】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、自動販売機に組付ける際の作業性を改善し、併せてロケーション先で行う部品交換時にも優れた効果を発揮する実用的価値の高い自動販売機の商品選択釦装置を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、ディスプレイ室の前面パネルに配備する商品選択釦装置の単位ユニットを構成するモジュールが、ベースとその前面を覆う外カバーからなる樹脂製の鞘状ケースの内部に、スイッチ素子，販売／売切表示用の発光素子などを実装したプリント板、プリント板の周域を覆う防水カバー、および押釦を組み込んだ構成になり、かつベースの裏面側に突設した配線用コネクタのソケット部，および取付座部を前面パネルに穿孔した挿通穴へ前方から嵌挿した上でパネル裏面側から固定するものにおいて、
前記外カバーとベースとの間を非接着式にクリック結合するとともに、ベースの取付座部の先端に係合部を形成し、前面パネルへの装着位置で前記係合部をパネルの裏面に係止して仮止め支持するように構成し（請求項１）、具体的には次記のような態様で構成するものとする。
【００１０】
（１） 外カバーにベースの取付座部の部位を貫通してその裏面側に先端が突き出すボス部を突設し、かつ該ボス部の側面に係合溝を形成するとともに、ベースの取付座部には前記ボス部の係合溝に嵌まり合う係合突起を形成し、モジュールの組立状態で前記係合突起をボス部の係合溝に係合してベース／外カバー間をクリック結合する（請求項２）。
【００１１】
（２） 外カバーのボス部にねじ座を形成し、前面パネルへのモジュール装着位置でパネルの裏面側に敷設した取付金に前記ボス部の先端を当てがってねじ止め締結する（請求項３）。
【００１２】
（３） ベースの取付座部が二股状になり、かつその先端部の外側に前面パネルへのモジュール装着位置でパネルの裏面側に係合するばね弾性を有する爪を形成し、モジュールを前面パネルに装着する際に、前記爪をパネルの裏面に係止してモジュールを定位置に仮止め支持するようにする（請求項４）。
【００１３】
（４） ベースの前面側にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持する内カバーを被着し、かつ該内カバーの周縁をベースに接着，ないし溶着して一体結合する（請求項５）。
【００１４】
上記の構成によれば、生産工場の組立ラインでディスプレイ室の前面パネルに商品選択釦装置を組付ける際に、モジュールケースから背後に突出する爪付き取付座部を外扉の前方側から前面パネルの挿通穴に挿入して押し込むと、爪がパネルの裏面に係合してモジュールが装着位置に仮止め支持される。したがって、モジュールの仮止め，および外扉の裏側から行うねじ止め作業を一人の作業員を投入するだけで効率よく行うことができる。
【００１５】
また、自動販売機のロケーション先でモジュールケースの外カバー，押釦などが破損，ないし傷がついて部品交換を必要とする場合でも、ディスプレイ室の裏面側からねじと取付金具を外した上で、外カバーのボス部を裏から押すことにより、ボス部とベースの取付座部との係合が外れて外カバー，押釦が取り外せるので、モジュール一式をそっくり取り替えることなく、ベース，プリント板などの主要部品は設置位置に残したまま、破損した外カバー，ないし押釦の部品だけを簡単に交換することができる。これにより、補修費用が低額で済む。
【００１６】
さらに、ベースの前面側に内カバーを被着して固着し、この内カバーとベースとの間にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持しておくことにより、使用途中で外カバー，押釦などを部品交換のために外してた場合でも、プリント板，防水カバーはベース上に当初の状態に固定保持されたままであり、これにより機能面で高い信頼性が維持できる。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図１，および図２に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図５に対応する同一部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
【００１８】
図１（ａ），（ｂ） はモジュール１０の全体図（モジュール内部の詳細構造は後述する）であり、本発明の商品選択釦装置ではモジュールケース１１を構成しているベース１２と外カバー１３とは従来構造のように接着結合せずに、外カバー１３からベース１２を貫通して背後に突き出したボス部２１と、ボス部を両側から挟む形でベース１２から背後に突き出した二股状の取付座部２２との間が後記のように着脱可能にクリック結合されている。また、前記取付座部２２の先端には外側に向けて突き出すようにばね弾性を有する係合部としての鉤形爪２２ａが形成されている。
【００１９】
かかる構成で、組立済みのモジュール１０を前面パネル４に装着する際に、前記取付座部２２を前面パネル４に開口した挿通穴４ａ（図４参照）に前方から差し込むと、爪２２ａがパネルの裏面側に突き出して挿通穴４ａの周縁に係合し合い、これによりモジュール１０が所定の装着位置に仮止めされる。そして、この仮止め状態から、前面パネル４の裏面側に敷設した帯状の取付金具２３と前記ボス部２１に形成したねじ座との間をねじ止め締結することで、モジュール１０が前面パネル上の定位置にしっかりと固定される。
【００２０】
また、モジュール１０の装着状態からねじ，取付金具２３を外した上で、ボス部２１の先端を裏側から前方に押すと、ボス部とベース１２の取付座金２２との係合が外れ、モジュール１０の本体（ベース，およびプリント板）を装着位置に残したまま外カバー１３のみを簡単に取り外すことができる。
【００２１】
次に、図２（ａ） 〜（ｃ） によりモジュール１０の詳細構造を説明する。すなわち、モジュール１０は基本的に図５に示した従来構造と同様であるが、モジュールケース１１の長手方向に沿った数箇所で、前記したボス部２１，および取付座部２２が形成されている。ここで、ボス部２１は円柱軸で先端面からねじ１９を螺合するようにねじ座２１ａ形成され、さらに先端に近い外周面には凹状の係合溝２１ｂが形成されており、モジュールケース１１の組立状態でベース１２を貫通してその背後に突き出すような長さに設定されている。
【００２２】
一方、取付座部２２は前記ボス部２１を左右から挟むようにベース１２の裏面側に突設形成された二股状の突起体であり、その先端部には“く”字形に屈曲して外側に張り出す爪２２ａが、また内側には前記した係合溝２１ｂに嵌まり合う突起２２ｂが形成されている。さらに、ベース１２の前面には、ベース上に装備したプリント板１５，および防水カバー１７の周縁部を挟持して内カバー２４が被着されており、かつ該内カバー２４は、図２（ｃ） で示すようにその周縁がベース１２に接着，ないし溶着して一体結合されている。
【００２３】
かかる構成になる商品選択釦装置のモジュール１０は、次のような組立手順で図３に示した自動販売機の前面パネル４に装着する。まず、作業員はモジュール１０の組立体を外扉２の前面側から所定の装着位置に位置合わせした上で、モジュールケース１１から背後に突出している取付座部２２，およびボス部２１を前面パネル４に開口した挿通穴４ａに挿入して押し込む。これにより、前面パネル４の背後側に突き出した取付座部２２の爪２２ａがパネル４の挿通穴周縁に係合してモジュール１０が装着位置に仮止め支持される。同時にボス部２１の先端面が、前面パネル４の裏面側でモジュール１０の装着位置に沿って敷設した取付金具２３と向かい合うようになる。次に、作業員は外扉２の裏側に回ってねじ１９によるねじ締め操作を行い、取付金具２３とボス部２１との間を固定する。これにより、モジュールケース１１が前面パネル４にしっかりと固定される。
【００２４】
なお、前記したボス部２１と取付座部２２との間のクリック結合，および取付座部２２の爪２２ａと前面パネル４との間の結合強度を十分に確保しておけば、ねじ１９を省略することも可能である。
【００２５】
また、モジュール１０を前面パネル４に組付けた状態で、先述のようにねじ１９，および取付金具２３を外した上で、裏側からボス部２１を前方に押すと、ボス部２１の係合溝２１ｂとベース側の取付座部２２に形成した突起２２ｂとの係合が外れ、モジュール１０の本体（ベース１２，プリント板１５など）を前面パネル４上に残したまま、外カバー１３，押釦１４を取り外すことができる。しかも、外カバー１３を取り外した状態でも、プリント１５，防水カバー１７などの内挿部品は、内カバー２４によりベース１２に結合されたままで外れるおそれはなく、かつ防水性が損なわれることもない。
【００２６】
【発明の効果】
以上述べたように、この考案の構成によれば、従来構造の商品選択釦装置と較べて、次記の効果を奏する。
（１） 生産工場の組立ラインでディスプレイ室の前面パネルに商品選択釦装置を組付ける際に、モジュールケースから背後に突出する爪付き取付座部を外扉の前方側から前面パネルの挿通穴に挿入して押し込むと、爪がパネルの裏面に係合してモジュールが装着位置に仮止め支持される。したがって、モジュールの仮止め，および外扉の裏側から行うねじ止め作業を一人の作業員を投入するだけで効率よく行うことができる。
【００２７】
（２） また、自動販売機のロケーション先でモジュールケースの外カバー，押釦などが破損，ないし傷がついて部品交換を必要とする場合でも、ディスプレイ室の裏面側からねじと取付金具を外した上で、外カバーのボス部を裏から押すことにより、ボス部とベースの取付座部との係合が外れて外カバー，押釦が取り外せるので、モジュール一式をそっくり取り替えることなく、ベース，プリント板などの主要部品は設置位置に残したまま、破損した外カバー，ないし押釦の部品だけを簡単に交換することができる。これにより、補修費用が低額で済む。
【００２８】
（３） さらに、ベースの前面側に内カバーを被着して固着し、この内カバーとベースとの間にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持しておくことにより、使用途中で外カバー，押釦などを部品交換のために外してた場合でも、プリント板，防水カバーはベース上に当初の状態に固定保持されたままであり、これにより機能面で高い信頼性が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係わる商品選択釦装置のモジュールの全体構成図であり、（ａ） は正面図、（ｂ） は平面図
【図２】図１に示したモジュール内部の詳細構造図であり、（ａ） は一部の横断平面図、（ｂ） は（ａ） 図の背面図、（ｃ） は（ａ） 図の矢視Ｘ−Ｘ断面図
【図３】本発明の実施対象となる自動販売機の正面図
【図４】図３における前面パネルへの商品選択釦装置の装着の仕方を表す説明図
【図５】従来における商品選択釦装置の構成図であり、（ａ） はそのモジュールの正面図、（ｂ） はモジュールを前面パネルに装着した状態での内部構造を表す横断面図
【符号の説明】
３ ディスプレイ室
４ 正面パネル
４ａ 挿通穴
５ 商品展示台
６ 商品見本
９ 商品選択釦装置
１０ モジュールケース
１１ モジュールケース
１２ ベース
１２ａ ソケット部
１３ 外カバー
１４ 押釦
１５ プリント板
１５ａ スイッチ素子
１５ｂ 発光素子
１７ 防水カバー
１９ ねじ
２１ ボス部
２１ａ ねじ座
２２ 取付座部
２２ａ 爪
２２ｂ 突起
２３ 取付金具
２４ 内カバー
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機のディスプレイ室の前面パネル（電照板）に配備した商品選択釦装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
まず、頭記の商品選択釦装置を装備した自動販売機を図３に示す。図において、１は自動販売機のケース本体、２はその前面外扉、３は外扉２に画成したディスプレイ室、４はディスプレイ室３の前面を覆った前面パネル（通称「電照板」と呼ばれるアクリル樹脂などで作られた透明樹脂板）、５はディスプレイ室３の室内に上下段に並べて設置した商品展示台、６は商品展示台５に陳列した商品見本、７はコインメック，ビルバリデータ，釣銭返却レバーなどを装備した販売操作パネル、８は商品取出口、９が商品選択釦装置である。
【０００３】
ここで、商品選択釦装置９は、周知のように上下段に並ぶ商品展示台５に対応して配列し、図４で示すように商品選択釦装置の単位ユニットを構成する複数個のモジュール１０を左右に連結して前面パネル４に装着されておいる。なお、前面パネル４には各モジュール１０の装着位置に合わせて挿通穴４ａを開口しておき、この挿通穴４ａの裏面側から各モジュール１０の取付け，およびコネクタの配線を行うようにしている。また、商品選択釦装置９のモジュール１０は、詳細構造を後記するように商品見本６と個々に対応する押釦，および押釦の操作で動作するスイッチ素子（タクトスイッチ）を含む信号入出力回路の部品を実装したプリント板などの部品を鞘状のケースに組み込んだ構成になり、機内側の主制御部（マスター）との間で販売可能／売切の表示，および商品選択に伴う各種制御信号をやり取りとして商品の販売制御を行うようにしている。
【０００４】
次に、商品選択釦装置の従来例の組立構造を図５（ａ），（ｂ） に示す。図において、１１はベース１２と断面半月状になる外カバー１３を組合せ、かつ外カバー１３にレンズ状の透明樹脂で作られた操作押釦１４を内側から嵌め込んだ樹脂成形品としてなる鞘状のモジュールケースであり、該モジュールケース１１の内部には、前記の押釦１４に対向してスイッチ素子（タクトスイッチ）１５ａ，発光素子（ＬＥＤ）１５ｂ，および制御用ＩＣなどを実装して信号入出力回路を構成したプリント板１５、および発光素子１５ｂの導光用鏡体１６を装着してプリント板１５の周域を覆った透光性，弾性を有するシリコーン樹脂製の防水カバー１７、および前記押釦１４と防水カバー１７との間に介挿した光透過姓材質の表示銘板１４ａなどの各種部品が組み込まれている。なお、前記のプリント板１５はベース１２の表面に接着剤などで固着されており、さらに外カバー１２は防水カバー１７の周縁を押圧挟持してベース１２に嵌め合わせた上で、接着剤などにより接合して一体に組立てている。
【０００５】
また、モジュールケース１１のベース１２には、前記プリント板１５から引出した配線接続用コネクタ１８を保持するソケット部１２ａ，およびインサートナットを埋設したモジュール取付用のねじ座１２ｂが背面側に隆起して一体成形されている。そして、商品選択釦装置のモジュール１０をディスプレイ室の前面パネル４に装着するには、図３に示した自動販売機のケース本体１に外扉２を装着した組立状態で、外扉２の前面側からモジュール１０のベース１１の背面を前面パネル４に重ね合わせた上で前記ソケット部１２ａ，ねじ座１２ｂを前面パネル４に開口した挿通穴４ａ（図４参照）に嵌挿し、前面パネル４の裏面側からねじ座１２ｂにねじ１９を螺合して固定する。また、コネクタ１８にはハーネスに接続したカプラ２０を差し込んでプリント板１５と主制御部との間を接続する。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した商品選択釦装置の従来構造では、工場組立ラインでディスプレイ室の前面パネルに商品選択釦装置９を装着する際の組立作業性，およびロケーション先での部品交換などの面で次に記すような難点がある。すなわち、
（１） 工場での製品組立ラインで商品選択釦装置９を前面パネル４に装着する工程では、外扉２が大型であることから作業員の一人がモジュール１０を手に持って外扉２の前方側から前面パネル４に対する装着位置に押さえ付け、別な作業員が外扉２の裏面側からねじ止め作業を行うようにしており、この作業工程には二人の作業員を投入する必要があった。
【０００７】
（２） また、自動販売機のロケーション先で、いたずら，あるいは乱暴な扱いでプラスチック製のモジュールケース１１，操作押釦１４などが破損したり、プリント板１５が故障した場合に、現地ではモジュール１０のケース１１を分解して個々の部品を交換することが殆ど不可能であることから、例えば操作押釦１４のみが破損した場合（従来における修理実績から、直接人の手に触れる操作押釦１４，外ケース１２の破損例が最も多い）でもプリント板１５を含めてモジュール１０をそっくり交換する必要があり、このために修理費用が高額となる。
【０００８】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、自動販売機に組付ける際の作業性を改善し、併せてロケーション先で行う部品交換時にも優れた効果を発揮する実用的価値の高い自動販売機の商品選択釦装置を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、ディスプレイ室の前面パネルに配備する商品選択釦装置の単位ユニットを構成するモジュールが、ベースとその前面を覆う外カバーからなる樹脂製の鞘状ケースの内部に、スイッチ素子，販売／売切表示用の発光素子などを実装したプリント板、プリント板の周域を覆う防水カバー、および押釦を組み込んだ構成になり、かつベースの裏面側に突設した配線用コネクタのソケット部，および取付座部を前面パネルに穿孔した挿通穴へ前方から嵌挿した上でパネル裏面側から固定するものにおいて、
前記外カバーとベースとの間を非接着式にクリック結合するとともに、ベースの取付座部の先端に係合部を形成し、前面パネルへの装着位置で前記係合部をパネルの裏面に係止して仮止め支持するように構成し（請求項１）、具体的には次記のような態様で構成するものとする。
【００１０】
（１） 外カバーにベースの取付座部の部位を貫通してその裏面側に先端が突き出すボス部を突設し、かつ該ボス部の側面に係合溝を形成するとともに、ベースの取付座部には前記ボス部の係合溝に嵌まり合う係合突起を形成し、モジュールの組立状態で前記係合突起をボス部の係合溝に係合してベース／外カバー間をクリック結合する（請求項２）。
【００１１】
（２） 外カバーのボス部にねじ座を形成し、前面パネルへのモジュール装着位置でパネルの裏面側に敷設した取付金に前記ボス部の先端を当てがってねじ止め締結する（請求項３）。
【００１２】
（３） ベースの取付座部が二股状になり、かつその先端部の外側に前面パネルへのモジュール装着位置でパネルの裏面側に係合するばね弾性を有する爪を形成し、モジュールを前面パネルに装着する際に、前記爪をパネルの裏面に係止してモジュールを定位置に仮止め支持するようにする（請求項４）。
【００１３】
（４） ベースの前面側にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持する内カバーを被着し、かつ該内カバーの周縁をベースに接着，ないし溶着して一体結合する（請求項５）。
【００１４】
上記の構成によれば、生産工場の組立ラインでディスプレイ室の前面パネルに商品選択釦装置を組付ける際に、モジュールケースから背後に突出する爪付き取付座部を外扉の前方側から前面パネルの挿通穴に挿入して押し込むと、爪がパネルの裏面に係合してモジュールが装着位置に仮止め支持される。したがって、モジュールの仮止め，および外扉の裏側から行うねじ止め作業を一人の作業員を投入するだけで効率よく行うことができる。
【００１５】
また、自動販売機のロケーション先でモジュールケースの外カバー，押釦などが破損，ないし傷がついて部品交換を必要とする場合でも、ディスプレイ室の裏面側からねじと取付金具を外した上で、外カバーのボス部を裏から押すことにより、ボス部とベースの取付座部との係合が外れて外カバー，押釦が取り外せるので、モジュール一式をそっくり取り替えることなく、ベース，プリント板などの主要部品は設置位置に残したまま、破損した外カバー，ないし押釦の部品だけを簡単に交換することができる。これにより、補修費用が低額で済む。
【００１６】
さらに、ベースの前面側に内カバーを被着して固着し、この内カバーとベースとの間にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持しておくことにより、使用途中で外カバー，押釦などを部品交換のために外してた場合でも、プリント板，防水カバーはベース上に当初の状態に固定保持されたままであり、これにより機能面で高い信頼性が維持できる。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図１，および図２に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図５に対応する同一部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
【００１８】
図１（ａ），（ｂ） はモジュール１０の全体図（モジュール内部の詳細構造は後述する）であり、本発明の商品選択釦装置ではモジュールケース１１を構成しているベース１２と外カバー１３とは従来構造のように接着結合せずに、外カバー１３からベース１２を貫通して背後に突き出したボス部２１と、ボス部を両側から挟む形でベース１２から背後に突き出した二股状の取付座部２２との間が後記のように着脱可能にクリック結合されている。また、前記取付座部２２の先端には外側に向けて突き出すようにばね弾性を有する係合部としての鉤形爪２２ａが形成されている。
【００１９】
かかる構成で、組立済みのモジュール１０を前面パネル４に装着する際に、前記取付座部２２を前面パネル４に開口した挿通穴４ａ（図４参照）に前方から差し込むと、爪２２ａがパネルの裏面側に突き出して挿通穴４ａの周縁に係合し合い、これによりモジュール１０が所定の装着位置に仮止めされる。そして、この仮止め状態から、前面パネル４の裏面側に敷設した帯状の取付金具２３と前記ボス部２１に形成したねじ座との間をねじ止め締結することで、モジュール１０が前面パネル上の定位置にしっかりと固定される。
【００２０】
また、モジュール１０の装着状態からねじ，取付金具２３を外した上で、ボス部２１の先端を裏側から前方に押すと、ボス部とベース１２の取付座金２２との係合が外れ、モジュール１０の本体（ベース，およびプリント板）を装着位置に残したまま外カバー１３のみを簡単に取り外すことができる。
【００２１】
次に、図２（ａ） 〜（ｃ） によりモジュール１０の詳細構造を説明する。すなわち、モジュール１０は基本的に図５に示した従来構造と同様であるが、モジュールケース１１の長手方向に沿った数箇所で、前記したボス部２１，および取付座部２２が形成されている。ここで、ボス部２１は円柱軸で先端面からねじ１９を螺合するようにねじ座２１ａ形成され、さらに先端に近い外周面には凹状の係合溝２１ｂが形成されており、モジュールケース１１の組立状態でベース１２を貫通してその背後に突き出すような長さに設定されている。
【００２２】
一方、取付座部２２は前記ボス部２１を左右から挟むようにベース１２の裏面側に突設形成された二股状の突起体であり、その先端部には“く”字形に屈曲して外側に張り出す爪２２ａが、また内側には前記した係合溝２１ｂに嵌まり合う突起２２ｂが形成されている。さらに、ベース１２の前面には、ベース上に装備したプリント板１５，および防水カバー１７の周縁部を挟持して内カバー２４が被着されており、かつ該内カバー２４は、図２（ｃ） で示すようにその周縁がベース１２に接着，ないし溶着して一体結合されている。
【００２３】
かかる構成になる商品選択釦装置のモジュール１０は、次のような組立手順で図３に示した自動販売機の前面パネル４に装着する。まず、作業員はモジュール１０の組立体を外扉２の前面側から所定の装着位置に位置合わせした上で、モジュールケース１１から背後に突出している取付座部２２，およびボス部２１を前面パネル４に開口した挿通穴４ａに挿入して押し込む。これにより、前面パネル４の背後側に突き出した取付座部２２の爪２２ａがパネル４の挿通穴周縁に係合してモジュール１０が装着位置に仮止め支持される。同時にボス部２１の先端面が、前面パネル４の裏面側でモジュール１０の装着位置に沿って敷設した取付金具２３と向かい合うようになる。次に、作業員は外扉２の裏側に回ってねじ１９によるねじ締め操作を行い、取付金具２３とボス部２１との間を固定する。これにより、モジュールケース１１が前面パネル４にしっかりと固定される。
【００２４】
なお、前記したボス部２１と取付座部２２との間のクリック結合，および取付座部２２の爪２２ａと前面パネル４との間の結合強度を十分に確保しておけば、ねじ１９を省略することも可能である。
【００２５】
また、モジュール１０を前面パネル４に組付けた状態で、先述のようにねじ１９，および取付金具２３を外した上で、裏側からボス部２１を前方に押すと、ボス部２１の係合溝２１ｂとベース側の取付座部２２に形成した突起２２ｂとの係合が外れ、モジュール１０の本体（ベース１２，プリント板１５など）を前面パネル４上に残したまま、外カバー１３，押釦１４を取り外すことができる。しかも、外カバー１３を取り外した状態でも、プリント１５，防水カバー１７などの内挿部品は、内カバー２４によりベース１２に結合されたままで外れるおそれはなく、かつ防水性が損なわれることもない。
【００２６】
【発明の効果】
以上述べたように、この考案の構成によれば、従来構造の商品選択釦装置と較べて、次記の効果を奏する。
（１） 生産工場の組立ラインでディスプレイ室の前面パネルに商品選択釦装置を組付ける際に、モジュールケースから背後に突出する爪付き取付座部を外扉の前方側から前面パネルの挿通穴に挿入して押し込むと、爪がパネルの裏面に係合してモジュールが装着位置に仮止め支持される。したがって、モジュールの仮止め，および外扉の裏側から行うねじ止め作業を一人の作業員を投入するだけで効率よく行うことができる。
【００２７】
（２） また、自動販売機のロケーション先でモジュールケースの外カバー，押釦などが破損，ないし傷がついて部品交換を必要とする場合でも、ディスプレイ室の裏面側からねじと取付金具を外した上で、外カバーのボス部を裏から押すことにより、ボス部とベースの取付座部との係合が外れて外カバー，押釦が取り外せるので、モジュール一式をそっくり取り替えることなく、ベース，プリント板などの主要部品は設置位置に残したまま、破損した外カバー，ないし押釦の部品だけを簡単に交換することができる。これにより、補修費用が低額で済む。
【００２８】
（３） さらに、ベースの前面側に内カバーを被着して固着し、この内カバーとベースとの間にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持しておくことにより、使用途中で外カバー，押釦などを部品交換のために外してた場合でも、プリント板，防水カバーはベース上に当初の状態に固定保持されたままであり、これにより機能面で高い信頼性が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係わる商品選択釦装置のモジュールの全体構成図であり、（ａ） は正面図、（ｂ） は平面図
【図２】図１に示したモジュール内部の詳細構造図であり、（ａ） は一部の横断平面図、（ｂ） は（ａ） 図の背面図、（ｃ） は（ａ） 図の矢視Ｘ−Ｘ断面図
【図３】本発明の実施対象となる自動販売機の正面図
【図４】図３における前面パネルへの商品選択釦装置の装着の仕方を表す説明図
【図５】従来における商品選択釦装置の構成図であり、（ａ） はそのモジュールの正面図、（ｂ） はモジュールを前面パネルに装着した状態での内部構造を表す横断面図
【符号の説明】
３ ディスプレイ室
４ 正面パネル
４ａ 挿通穴
５ 商品展示台
６ 商品見本
９ 商品選択釦装置
１０ モジュールケース
１１ モジュールケース
１２ ベース
１２ａ ソケット部
１３ 外カバー
１４ 押釦
１５ プリント板
１５ａ スイッチ素子
１５ｂ 発光素子
１７ 防水カバー
１９ ねじ
２１ ボス部
２１ａ ねじ座
２２ 取付座部
２２ａ 爪
２２ｂ 突起
２３ 取付金具
２４ 内カバー
Claims (5)
- ディスプレイ室の前面パネルに配備した商品選択釦装置であって、その単位ユニットを構成するモジュールが、ベースとその前面を覆う外カバーからなる樹脂製の鞘状ケースの内部に、スイッチ素子，販売／売切表示用の発光素子などを実装したプリント板、プリント板の周域を覆う防水カバー、および押釦を組み込んだ構成になり、かつベースの裏面側に突設した配線用コネクタのソケット部，および取付座部を前面パネルに穿孔した挿通穴へ前方から嵌挿した上でパネル裏面側から固定するものにおいて、前記外カバーとベースとの間を非接着式にクリック結合するとともに、ベースの取付座部の先端に係合部を形成し、前面パネルへの装着位置で前記係合部をパネルの裏面に係止して仮止め支持するようにしたことを特徴とする自動販売機の商品選択釦装置。
- 請求項１記載の商品選択釦装置において、外カバーにベースの取付座部の部位を貫通してその裏面側に先端が突き出すボス部を突設し、かつ該ボス部の側面に係合溝を形成するとともに、ベースの取付座部には前記ボス部の係合溝に嵌まり合う係合突起を形成し、モジュールの組立状態で前記係合突起をボス部の係合溝に係合してベース／外カバー間をクリック結合したことを特徴とする自動販売機の商品選択釦装置。
- 請求項２記載の商品選択釦装置において、外カバーのボス部にねじ座を形成し、前面パネルへのモジュール装着位置でパネルの裏面側に敷設した取付金に前記ボス部の先端を当てがってねじ止め締結したことを特徴とする自動販売機の商品選択釦装置。
- 請求項１記載の商品選択釦装置において、ベースの取付座部が二股状になり、かつその先端部の外側に前面パネルへのモジュール装着位置でパネルの裏面側に係合するばね弾性を有する爪を形成したことを特徴とする自動販売機の商品選択釦装置。
- 請求項１記載の商品選択釦装置において、ベースの前面側にプリント板，および防水カバーの周縁部を挟持する内カバーを被着し、かつ該内カバーの周縁をベースに接着，ないし溶着して一体結合したことを特徴とする自動販売機の商品選択釦装置。
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