JP3619870B2 - リチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パソコン、携帯電話、電気自動車等において用いられるリチウムイオン二次電池の負電極板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池の負電極の集電体としては銅箔が広く使用されている。銅箔を用いた負電極は、負極活物質として公知の炭素材料にバインダーを混合し、さらに適当な溶剤を加えて得たペーストを銅箔上に所定の厚さで塗布し、乾燥してシート状の負電極の形態で製造されている。
【0003】
炭素材料としては、リチウムイオンをインターカレート出来る黒鉛系炭素、コークス系炭化物、繊維状カーボン等が用いられている。また、バインダーとしては物理的、化学的及び電気化学的に安定なポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂が多用されている。このフッ素系樹脂は炭素系材料間の結着には優れているが金属との接着力に劣るという欠点がある。このため、電極製造時に負極活物質層が剥離し易いことから、該電極はハンドリング性に劣る。また、電池組み立て後に、電解液が浸透して負極活物質層が剥離するおそれがあり、その場合は、電池の充放電サイクル特性が著しく低下する。
【0004】
このような問題を回避するために、銅箔と負極活物質層との密着性を向上させる試みが多数提案されている。これらの試みは、集電体となる銅箔を改質する方法と負極活物質層を改質する方法とに大別できる。
【0005】
集電体となる銅箔を改質する方法は、例えば、特開昭51−136535号公報、特開平6−260168号公報、特開平7−192767号公報、特開平11−293444号公報、特開平11−302822号公報、特開2000−200610号公報等に開示されている。これらの公報は、パンチング多孔性箔の形成、凹凸電解銅箔の形成、酸化物と水酸化物の銅箔表面複合皮膜の形成、銅粒子電着表面粗化などの手段で銅箔表面特性を改善することを提案している。
【0006】
一方、負極活物質層を改質する方法は、例えば、特開平5−89871号公報、特開平9−35707号公報、特開平10−172573号公報、特開平10−284059号公報、特開平10−302771号公報、特開平11−339809号公報等に開示されている。これらの公報は、活物質層中にバインダーの密度分布を設ける方法、活物質層と集電体との間に結着層を設ける方法、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチルとのポリマー複合体を用いる方法、バインダーを活物質層の表面部分に比べて集電体との界面部分に多く分布させる方法、ポリイミド樹脂を含有するバインダーとする方法、フッ素樹脂の他ポリエーテルを加えたバインダーとする方法を提案している。
【0007】
また、集電体となる銅箔に負極活物質ペーストを塗布する場合には、通常、銅箔の片面に該ペーストを塗布し、高温で乾燥した後、他面に同様の操作を行う。特開平11−345608号公報は、銅箔片面に塗布されたペーストの乾燥中に未塗布面に酸化被膜が生成するのを避けるため、負極活物質ペーストを集電体となる銅箔の両面に同時に塗布した後、乾燥する方法を開示している。
【0008】
しかし、前記の銅箔表面を改質する諸方法によると、負電極の製造工程が複雑になる。また、銅箔と負極活物質層との密着性は改善されるものの、負極活物質ペーストのコート工程において要求される銅箔の物理的及び機械的性能、電極として要求される銅箔の物理的及び機械的性能が不十分になるという問題がある。
【0009】
また、前記の負極活物質層を改質する諸方法は、従来の負極活物質ペーストのコート工程を大きく変えることなく実施可能な技術であるが、その実施方法によっては、電極や電池としての電気的性能や電気化学的安定性の点で新たな問題が生じる。すなわち、例えば、活物質層中のバインダーの割合が増加することにより、相対的に負極活物質の割合が低下して、それにより電池容量が減少するという問題、活物質層中にバインダーの密度分布を設けることにより、バインダーが高密度となった部分において、バインダーが電極反応を阻害し、電池特性が低下するという問題などが生ずる。
【0010】
さらに、前記の特開平11−345608号公報が教える両面同時塗布方法は、操作が複雑、困難であるとともに、電極製造装置が大がかりになるという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、従来のリチウムイオン二次電池用負電極板の集電体及び負極活物質層自体を変えること無く、簡単に、集電体と負極活物質層との密着性を向上させることができ、それにより優れた電池特性を与えることができるリチウムイオン二次電池用負電極の製造方法を提供することを主目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明者らは研究を重ね、以下の▲1▼から▲5▼の知見を見出し、本発明を完成させた。
▲1▼ 負極活物質ペーストを集電体となる銅箔に塗布し、乾燥する際に、該銅箔にテンションをかけた状態を保つことにより、完成した後の負電極における負極活物質層の対電解液剥離性を抑え、また負極活物質層と銅箔との密着性を向上させることができる。
▲2▼ 従来、集電体となる銅箔に負極活物質ペーストを塗布する場合には、銅箔の片面に該ペーストを塗布し、高温下で乾燥した後、他面に同様の操作を行って、集電体の両面に負極活物質層が形成されたものとしている。しかし、この場合、先にペーストが塗布された銅箔面に比べて、後でペーストが塗布された銅箔面の負極活物質層との密着性が劣る。
▲3▼ 特開平11−345608号公報によると、銅箔の片面に負極活物質ペーストを塗布し、空気中で高温下に乾燥する際に、銅箔の未塗布面に酸化被膜が生成し、電極の電気抵抗が増大することが開示されているが、この酸化被膜の生成が負極活物質層と銅箔との密着性を低下させる。
▲4▼ 銅箔の片面に活物質ペーストを塗布した後、該ペースト中に含まれる溶剤の蒸発に最低必要な低温で乾燥させることにより、銅箔のペースト未塗布面の酸化被膜の生成を抑制することができる。
▲5▼ 低温で溶剤を乾燥し、除去する場合には、バインダーポリマーの結晶化が不十分となるが、加熱処理を行うことにより結晶化を十分に促進させることができる。加熱処理の際は、銅箔の両面にすでに負極活物質層が形成されているため、比較的高温で加熱しても銅箔表面に酸化皮膜が形成されることはない。
【0013】
前記知見に基づき本発明は、以下の各項のリチウムイオン二次電池の負電極板の製造方法を提供する。
項1. 集電体となる銅箔に4〜20N/mmのテンションをかけた状態で該銅箔の片面に負極活物質ペーストを塗布し、前記範囲のテンション下に乾燥した後、該銅箔の他面に同様の塗布及び乾燥を施す工程と、前記範囲のテンション下に加熱処理する工程とを含むリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項2. 前記負極活物質ペーストの塗布時、乾燥時及び加熱処理時を通して、前記銅箔に同一のテンションをかける項1記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項3. 前記乾燥を60〜130℃の温度で行う項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項4. 前記加熱処理を、80〜200℃の温度で行う項1、2又は3記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項5. 前記負極活物質ペーストにバインダーが含まれている項1から4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項6. 前記バインダーがフッ素系樹脂である項5記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項7. 前記バインダーがポリフッ化ビニリデン系重合体である項6記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項8. 前記負極活物質ペーストにバインダーの安定剤が含まれている項7記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項9. 前記安定剤が有機酸である項8記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
項10. 前記バインダーがスチレン−ブタジエン系ポリマーである項5記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明方法を実施するにあたっては、先ず、固形分としてのバインダーと溶剤又は分散媒を混合してバインダー溶液又はエマルジョンとし、さらに負極活物質を添加して撹拌混合し、負極活物質ペーストを作製する。
【0016】
負極活物質は、リチウムイオンのインターカレーションが可能な材料であれば特に制限されず、リチウムイオン二次電池の負極活物質として公知の材料を使用できる。例えば黒鉛系炭素、コークス系炭素、メソカーボンマイクロビーズ、アセチレンブラック、カーボンブラック、ガラス状炭素、ピッチ炭素、有機ポリマーの焼成体、カーボンミルドファイバー、メソフェーズピッチ系炭素繊維、黒鉛ウィスカー等を用いることができる。中でも、黒鉛系炭素、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ系炭素繊維が好ましく、さらに好ましいのは黒鉛系炭素、メソカーボンマイクロビーズである。
【0017】
また、バインダーの材料は特に制限されず、リチウムイオン二次電池の負電極のバインダー材料として公知のものを使用できる。例えばフッ素系樹脂、水系エマルジョンとする変性スチレン−ブタジエン系ポリマー等を用いることができる。
【0018】
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン系重合体等を例示できる。ポリフッ化ビニリデン系重合体には、フッ化ビニリデンの単独重合体の他、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデンとマレイン酸成分との共重合体等の共重合体が含まれる。ポリテトラフルオロエチレン系重合体には、テトラフルオロエチレンの単独重合体の他、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の共重合体が含まれる。
【0019】
これらの中では、フッ素系樹脂及び変性スチレン−ブタジエン系ポリマーが好ましく、フッ素系樹脂の中では、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンとマレイン酸成分との共重合体が好ましい。
【0020】
また、バインダーとして変性スチレン−ブタジエン系ポリマーを用いる場合には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル系物質等を分散剤として添加することが好ましい。分散剤の添加量は、負極活物質100重量部に対して0.1〜5重量部程度、より好ましくは0.2〜2重量部程度、さらにより好ましくは0.5〜1重量部程度とする。
【0021】
バインダーの添加量は電池の容量の低下を抑えるため極力少ないのが望ましい。バインダーの添加量は、バインダーの種類によっても異なるが、負極活物質100重量部に対して1〜20重量部程度とするのが好ましい。この範囲内であれば、バインダーとして十分機能させることができるとともに、電極性能を低下させることがない。より好ましくは負極活物質100重量部に対して1〜15重量部程度、さらにより好ましくは2〜12重量部程度である。
【0022】
また、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン系重合体を用いる場合、負極活物質とバインダー等を撹拌し、混合する際に、該混合物がゲル化する恐れがあり、その場合には、負極活物質層が不均一なものになるという問題がある。
【0023】
従って、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン系重合体を用いる場合、バインダーとともに安定剤を添加してバインダー溶液又はエマルジョンを作製することが好ましい。すなわち、この安定剤は、バインダーの安定性を維持し、ひいては負極活物質層と銅箔との密着性を維持するための添加剤である。
【0024】
安定剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アクリル酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、乳酸、ピルピン酸、プロピオン酸、シトラコン酸、酪酸等の有機酸等を用いることができる。中でも好ましいのはシュウ酸、マロン酸、クエン酸であり、さらに好ましいのはシュウ酸、マロン酸である。
【0025】
有機酸の添加量は、使用する負極活物質の物性、特にアルカリ性不純物等の含有量で変化するが、負極活物質ペーストの系を酸性サイドに保つ上で、負極活物質100重量部に対して0.1〜1重量部程度、より好ましくは0.2〜0.8重量部程度、さらに好ましくは0.3〜0.6重量部程度とすることが好ましい。
【0026】
溶剤は、使用するバインダーを溶解するものであれば特に制限されず、負極活物質ペーストの溶剤として公知のものを用いることができる。バインダーとしてフッ素系樹脂を用いる場合は、例えばN−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルフォスフェイト、トリメチルフォスフェイト等の極性の溶媒等を用いることができる。中でもN−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく、さらに好ましいのはN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0027】
また、バインダーとしてゴムを用いる場合は、分散媒として水等を用いることができる。
【0028】
バインダー溶液又はエマルジョンに粉体の負極活物質等を添加した後、撹拌し、混合する際は、ニーダー、ボールミル、ホモジナイザー、遠心混合機等の一般的な混合機器を用いることができる。また、均一なペーストを得るために真空下で脱泡しつつ混合することが好ましい。
【0029】
このようにして負極活物質ペーストが得られる。
【0030】
次いで、以下のようにして、集電体となる銅箔の両面に負極活物質ペーストを片面づつ塗布し、乾燥する。
【0031】
銅箔に4〜20N/mm程度、より好ましくは8〜16N/mm程度のテンションを印加した状態で該銅箔に負極活物質ペーストを塗布する。テンションは、負極活物質層の密着性向上の効果及び銅箔の引っ張り強さや伸び率を考慮して、前記範囲が好ましい。
【0032】
次いで、銅箔に前記範囲のテンションをかけた状態で、活物質ペーストを所定温度で乾燥して、ペースト中に含まれる溶剤又は分散媒を蒸発させることにより除去する。
【0033】
空気(酸素)存在下での高温加熱が銅箔表面の酸化を引き起こす原因であるので、乾燥温度はより低い方が好ましいが、溶剤または分散媒の蒸発による除去を考慮して、60〜130℃程度とする。この温度範囲内で有れば負極活物質層を十分に乾燥できるとともに、溶剤又は分散媒を蒸発により除去するのに非実用的な長い乾燥時間を要さない。銅箔表面の酸化を極力抑えるため、より好ましい乾燥温度は80〜120℃程度である。
【0034】
例えば、バインダーとして融点が177℃のポリフッ化ビニリデンを用いる場合には、177℃以上で乾燥させるとバインダーの劣化、活物質層を形成した負電極板のそり等の問題が発生するため、実用的でない。従って、乾燥温度を設定するにあたっては、バインダーの融点も考慮する。
【0035】
また、乾燥時間は、乾燥温度によっても異なるが、60〜130℃の乾燥温度の場合、2〜20分間程度とすることが好ましい。より好ましくは3〜10分間程度、さらにより好ましくは3〜6分間程度である。
【0036】
さらに、銅箔の負極活物質ペースト未塗布面に、前記と同様の条件で負極活物質ペーストの塗布及び乾燥を施す。
【0037】
このようにして得られた電極シートに、前記塗布時と同範囲のテンションをかけた状態で、不活性ガス存在下又は真空下に、80〜200℃程度で2〜15時間程度の加熱処理を施す。加熱処理は、バインダーポリマーの結晶化促進の効果、エネルギーの経済性等を考慮して、80〜150℃程度で4〜15時間程度行うのがより好ましく、100〜150℃程度で5〜12時間程度行うのがさらにより好ましい。
【0038】
本発明方法では、高温で活物質ペーストを乾燥させるのに代えて、このような加熱処理を行うことでバインダーポリマーの結晶化を十分進行させる。加熱処理の際は、銅箔の両面が活物質層で被覆されているため、このような比較的高温で銅箔を加熱することができる。
【0039】
負極活物質ペースト塗布時、乾燥時及び加熱処理時を通して、前記銅箔には同一のテンションをかけることが好ましい。
【0040】
負極活物質ペーストの塗布、乾燥及び加熱処理の全工程を通して銅箔に同一のテンションをかける場合、本発明方法は、より具体的には、例えば以下のような手順で実施することができる。
【0041】
集電体となる銅箔を繰出しボビンから繰り出し、負極活物質ペースト塗布装置を通過させて銅箔の片面に負極活物質ペーストを塗布した後、乾燥炉を通過させて該ペーストを乾燥し、その後巻取りボビンに巻き取る。このとき、両ボビン間の銅箔に、長さ方向にテンションをかけた状態とする。さらに、銅箔を巻き取ったボビンを繰出しボビンとして用いて、同様の操作により銅箔の未塗布面に負極活物質ペーストを塗布し、乾燥する。乾燥時間は、銅箔の巻き取り速度を変えることにより調節できる。
【0042】
次いで、両面に負極活物質層が形成された銅箔をボビンに巻き取られたテンション状態のまま、加熱炉に入れて加熱処理する。
【0043】
加熱処理後は電極シートを徐冷することが好ましく、これにより負電極板にしなやかさを付与でき、この後の工程の処理が容易になる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
実施例1
負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズを100重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を10.5重量部、安定剤としてシュウ酸を0.42重量部、溶剤としてN−メチル2−ピロリジノンを混合し、自公転式混合機を用いて2000rpm×5分で2回撹拌、混合し、負極活物質ペーストを作製した。このペーストの30℃での粘度を振動式粘度計で測定すると1200mPa・sであった。
【0046】
アルミボビンに巻いた巾125mm、厚み18μmの圧延銅箔を該ボビンから送り出しつつ、コンマロールコーターを使用して、該銅箔の片面に均一にこのペーストを塗布し、乾燥しながら該銅箔を他方のアルミボビンに巻き取った。その後、同様にして該銅箔の他面にペーストを塗布、乾燥して、両面の塗布厚みがそれぞれ110μmの電極板をアルミボビンに巻取った。塗布、乾燥の際は、該銅箔に8.0N/mmのテンションをかけた状態とした。また、乾燥温度は100℃、乾燥時間は各面5分間づつとした。
【0047】
次いで、テンション下に巻取った電極板をアルミボビンごと真空乾燥器中で150℃で12時間加熱処理し、5時間かけて放冷して負電極板を作製した。
【0048】
実施例2
負極活物質ペーストの塗布、乾燥及び加熱処理時のテンションを16.0N/mmとした以外は、実施例1と同様にして負電極板を作製した。
【0049】
実施例3
負極活物質ペーストの乾燥温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして負電極板を作製した。
【0050】
実施例4
負極活物質ペーストの乾燥温度を120℃とし、乾燥時間を3分間とした以外は実施例1と同様にして負電極板を作製した。
【0051】
実施例5
加熱処理の温度を100℃とした以外は実施例1と同様にして負電極板を作製した。
【0052】
実施例6
加熱処理の時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして負電極板を作製した。
【0053】
実施例7
負極活物質としてのメソカーボンマイクロビーズを100重量部、バインダーとしてのスチレン−ブタジエン系ポリマーを乾燥重量換算で2重量部及び分散剤としてのカルボキシメチルセルロース1重量部を分散媒の水に溶かしたものを混合し、自公転式混合機を用いて2000rpm×5分で2回撹拌、混合して負電極活物質ペーストを作製した。なお、30℃におけるペースト粘度が1100〜1300mPa・sになるように分散媒の水の量を調整した。
【0054】
得られたペーストを実施例1と同様の方法、条件で圧延銅箔上に塗布、乾燥してアルミボビンに巻取った。
【0055】
テンション下に巻取った電極板をアルミボビンごと真空乾燥器中で120℃の温度で5時間加熱処理し、5時間掛けて放冷して負電極板を作製した。
【0056】
比較例1
負極活物質ペースト塗布、乾燥及び加熱処理時にテンションをかけない以外は実施例1と同様にして負電極板を作製した。
【0057】
比較例2
後加熱処理を行わない以外は実施例1と同様にして負電極板を得た。
【0058】
比較例3
負極活物質ペーストの乾燥温度を150℃、乾燥時間を3分間とした以外は実施例1と同様にして負電極板を得た。
【0059】
比較例4
加熱処理温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして負電極板を作製した 。
【0060】
次に、活物質層の銅箔に対する密着性を評価する方法について説明する。
【0061】
樹脂薄膜の密着度評価方法としてはJIS K 5400による碁盤目法、碁盤目テープ法、Xカットテープ法が一般的である。本発明者は、電解液に浸漬されて、該電極液に接触する電極における負極活物質層の密着性をより的確に評価するために、負電極を電解液に浸漬するウエット法を考案し、これを用いた。
【0062】
ウエット法は、完成した電極の10mm×20mmの切片を鋭利な刃物で切り出し、内径15mmφ×深さ30mmのガラス瓶中で該電極切片を5mlの電解液に浸漬し、該ガラス瓶を完全シールした状態で、室温下に、剥離するまでの時間を測定し、密着度を評価する方法である。
【0063】
実施例1〜7、比較例1〜4で得た各負極電極板について、JIS K5400のXカットテープ法で乾燥状態での負極活物質層の密着度を評価し、ウェット法で電解液に対する剥離性能を評価した。使用した電解液はエチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート/6フッ化リン酸リチウム(LiPF)の溶液であり、剥離を起こすまでの時間を日数で表示した。
【0064】
結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0003619870
【0066】
表1によると、Xカットテープ法による測定結果とウエット法による測定結果は必ずしも一致しないことが分かる。ここでは、実際の電極使用状態を反映すると考えられるウエット法の測定結果から密着性を評価した。
【0067】
ウエット法によると、テンションをかけなかった比較例1の負電極では、剥離までの寿命が15日間であった。また、ペースト塗布後の加熱処理を行わなかった比較例2の負電極では、剥離までの寿命が7日間であった。また、乾燥温度を150℃という高温とした比較例3の負電極では、剥離までの寿命が8日間であった。また、加熱処理温度を50℃という低温とした比較例4の負電極では、剥離までの寿命が5日間であった。
【0068】
これに対して、実施例1〜7の負電極では、38〜70日間という長期間にわたり負極活物質層が剥離しなかった。本発明実施例1〜7の製造方法を採用することにより、負極活物質層の寿命が著しく延びたことが分かる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、従来のリチウムイオン二次電池用負電極板の集電体及び負極活物質層自体を変えることなく、簡単に、集電体と電極活物質層との密着性を向上させることができ、それにより優れた充放電特性等の電池特性を与えることができるリチウムイオン二次電池用負電極の製造方法を提供することができる。
【0070】
詳述すれば、本発明方法によると、ハイテンション下で負極活物質ペーストを塗布し、乾燥し、加熱処理することにより、負極活物質層と銅箔集電体との密着性を向上させることができる。
【0071】
また、塗布後の活物質ペーストの乾燥を溶剤又は分散媒の蒸発除去に必要なだけの比較的低温で行うことにより、未塗布面における酸化被膜の生成を抑制することができる。それにより、活物質層と銅箔集電体との密着性を一層向上させて実用上十分な密着性を得ることができる。
【0072】
これらのことから、負電極製造過程での銅箔集電体からの活物質層の剥離を抑制することにより、負電極のハンドリング性を向上させることができる。また、電池組立後の電解液の浸透による負極活物質層の剥離を抑制することにより、電池特性を向上させることができる。
【0073】
さらに、銅箔集電体の両面に片面ずつ負極活物質ペーストを塗布し、銅箔へのテンションの付与及び乾燥温度の調整により活物質層と銅箔との密着性を向上させるため、操作が簡単で、製造装置も複雑にならない。すなわち、従来、リチウムイオン二次電池用負電極において用いられている集電体自体や負極活物質層自体を変えることなく、さらに操作上複雑な銅箔両面同時塗布法を避けて、通常の片面2回塗布法により、十分な対溶媒密着性を有する負電極板を作製できる。

Claims (5)

  1. 集電体となる銅箔に4〜20N/mm2のテンションをかけた状態で該銅箔の片面に、フッ素系樹脂又はスチレン−ブタジエン系ポリマーのバインダーを含む負極活物質ペーストを塗布し、前記範囲のテンション下 60 130 ℃の温度で乾燥した後、該銅箔の他面に同様の塗布及び乾燥を施す工程と、前記範囲のテンション下 80 200 ℃の温度で加熱処理する工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
  2. 前記負極活物質ペーストの塗布時、乾燥時及び加熱処理時を通して、前記銅箔に同一のテンションをかける請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
  3. 前記バインダーがポリフッ化ビニリデン系重合体である請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
  4. 前記負極活物質ペーストにバインダーの安定剤が含まれている請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
  5. 前記安定剤が有機酸である請求項4記載のリチウムイオン二次電池用負電極板の製造方法。
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