JP2015225734A - 二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー組成物、二次電池用電極、及び非水系二次電池 - Google Patents

二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー組成物、二次電池用電極、及び非水系二次電池 Download PDF

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春樹 岡田
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Kenichi Ishigaki
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Abstract

【課題】導電助剤のバインダ樹脂溶液への分散性を上げて、均一性に優れた電極用スラリー組成物が得られ、平滑性が高く、合剤層と集電箔との密着性に優れる電極が得られる二次電池用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー組成物、及び二次電池用電極とこれを備えた非水系二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】ピークトップ分子量が80万未満の重合体(A)とピークトップ分子量が80万以上の重合体(B)とを含み、
(A)及び(B)の両方が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、且つ(A)及び(B)のピークトップ分子量の差が30万以上であることを特徴とする二次電池電極用バインダ樹脂:
Figure 2015225734

(式(1)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
を用いて二次電池用電極を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー組成物、二次電池用電極、及び非水系二次電池に関する。
近年、携帯電話、ビデオカメラ、ノート型パソコン等のポータブル機器や、ハイブリッド車、電気自動車等の蓄電池として、二次電池が用いられており、非水系二次電池としてリチウムイオン二次電池が多用されている。
一般に、リチウムイオン二次電池用電極は、集電体と、集電体上に設けられ、結着剤(バインダ)によって電極活物質材料(活物質)、導電助剤等が保持された合剤層とを備えるものが用いられている。通常、活物質にバインダを適当量添加した混合物に溶媒を混ぜて電極用スラリー組成物とし、これを集電体に塗布、乾燥後、圧着させて電極層を形成することで得られる。
バインダとしては、二次電池の電解液に用いられる有機溶媒への耐溶媒性、駆動電圧内での耐酸化性や耐還元性等を満足する材料が使用される。このような材料としては、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」と略記する。)等が用いられている。一方、活物質やバインダ等の混合物をスラリー組成物とするための溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略記する。)等のアミド類、ウレア類といった含窒素系有機溶媒が用いられる。
しかし、NMP等の含窒素系有機溶媒は、溶媒回収コストや、環境に対する負荷が高い等の問題があった。また、例えばNMPは、沸点が204℃と高いため、乾燥時や溶媒回収精製時に多くのエネルギーを必要とするという問題があった。
こうした問題に対し、非イオン性の水溶性ポリマーをバインダ樹脂として用い、水に溶解又は分散させて電極用スラリー組成物を調製し、電極を製造することが検討されている。例えば負極用のバインダ樹脂としてスチレン−ブタジエンゴムラテックスが、カルボキシメチルセルロース(以下「CMC」と記述する。)等の増粘剤と併せ用いられている。
しかし、電池に組み込まれる水溶性の高分子として用いられる増粘剤のCMCは天然物由来なため、供給ロットにより電極の品質が安定しにくい等の問題が指摘されている。そのため、安定品質で供給可能な非天然物の水溶性高分子が望まれる。加えて、水溶性高分子には、高い電池性能を併せ持つことも要求される。
そこで、非天然物由来の水溶性バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド単位を有する重合体が報告されている。
例えば特許文献1には、アミド構造を有する繰り返し構造単位を含む重合体として、ポリN−ビニルホルムアミドを含む非水電池用ペーストが開示されている。ポリN−ビニルホルムアミドは、結着性、電気化学的安定性等の性能に優れ、二次電池(特に非水二次電池)における要求性能を改善できるとしている。
WO2012/176895
ところで、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池においては高エネルギー密度化を目指した材料の開発が進められている。活物質においては、正極ではニッケルの高含有率化、負極ではSi系材料への混合又は移行が試みられている。
現在、正極では活物質、導電助剤及びバインダを、負極では活物質及びバインダを、溶媒と混合してスラリー組成物とし、集電箔上に設けて電極を形成している。従来、負極では活物質に炭素材料が用いられており、炭素材料はそれ自身に導電性があるため、導電助剤を加えなくても電極内の導電性を確保できていた。しかし、Si系材料には導電性がないため、これを添加して活物質とするには新たに導電助剤を添加して導電性を確保する必要がある。従って、電極用スラリー組成物を調製する際に、導電助剤のバインダ溶液への分散性が、電池の性能発揮に重要となってくる。
しかしながら、特許文献1に記載されているような分子量の大きいポリN−ビニルホルムアミドをバインダ樹脂として用いた場合、導電助剤の分散性が悪く、導電助剤を均一に分散することが困難であった。特に、負極では活物質も導電助剤も炭素系材料であり、水溶液への分散性は悪く、そのために平滑な電極が出来にくく、得られる電池の電池特性が低下しやすかった。
一方で、分子量の小さいポリN−ビニルホルムアミドをバインダ樹脂として用いた場合は、導電助剤の分散性は良好であるが、活物質やバインダ樹脂等からなる合剤層と集電箔との密着性が低下し、得られる電池の電池特性が低下するという問題があった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、導電助剤のバインダ樹脂溶液への分散性を上げて、均一性に優れた二次電池電極用スラリー組成物が得られ、平滑性の高く、合剤層と集電箔との密着性に優れる電極が得られる二次電池電極用バインダ樹脂、並びに前記バインダ樹脂から得られる二次電池電極用スラリー組成物、及び二次電池用電極とこれを備えた非水系二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、二次電池電極用バインダ樹脂に、アミド構造単位を有し、且つ、二つ以上の異なるピークトップ分子量の重合体を用いることで、均一性に優れたスラリー組成物が得られ、それにより平滑性が良く、更に密着性に優れる電極を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
<1>ピークトップ分子量が80万未満の重合体(A)とピークトップ分子量が80万以上の重合体(B)とを含み、
(A)及び(B)の両方が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、且つ(A)及び(B)のピークトップ分子量の差が30万以上であることを特徴とする二次電池電極用バインダ樹脂。
Figure 2015225734
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
<2>上記<1>に記載のバインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含む二次電池電極用スラリー組成物。
<3>前記重合体(A)と(B)をこの順で添加して得られる、上記<2>に記載の二次電池電極用スラリー組成物。
<4>前記重合体(A)の溶液に導電助剤を分散させた後、前記重合体(B)を加えることを特徴とする、上記<2>に記載の二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。
<5>集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、
前記合剤層は、上記<2>又は<3>に記載の二次電池電極用スラリー組成物を集電体又はその他の基材に塗布してなる二次電池用電極。
<6>上記<5>に記載の二次電池用電極を備える、非水系二次電池。
本発明によれば、バインダ樹脂は導電助剤の分散性に優れ、このバインダ樹脂を使用することで、均一性の高いスラリー組成物が得られ、平滑性が良く、密着性の高い電極を形成できる二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー組成物、及び二次電池用電極とこれを備えた非水系二次電池を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[二次電池電極用バインダ樹脂]
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂(以下、単にバインダ樹脂ということがある)は、ピークトップ分子量が80万未満の重合体(A)とピークトップ分子量が80万以上の重合体(B)とを含み、(A)及び(B)の両方が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、且つ(A)及び(B)のピークトップ分子量の差が30万以上であることを特徴とする。

Figure 2015225734
(1)
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。
アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。
得られる重合体(A)の溶解性、粘度特性、酸化安定性の観点から、R1及びR2としては、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基が好ましい。
前記重合体(A)を構成する全ての構成単位の合計を100モル%とした場合、重合体(A)における上記一般式(1)で表される構造単位の含有率は、1〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%が更に好ましい。
特に、上記一般式(1)で表される構造単位の含有率が50モル%以上であれば、得られる重合体(A)の水溶性と増粘性が向上する。また、上記一般式(1)で表される構造単位の含有率が高くなるほど集電体に対する電極層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。また、上記一般式(1)で表される構造単位の含有率が高くなるほど電解液中で膨張しにくく、導電助剤のネットワークが形成されやすくなり、サイクル特性、レート特性が高まる。
上記一般式(1)で表される構造単位の由来源となる単量体(以下「単量体(a)」という。)としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
重合体(A)は、必要に応じて、上記一般式(1)で表される構造単位以外の単位(任意単位)を含んでいてもよい。任意単位を含むことで、後述する電極層の剛性や曲げ強度等の機械的特性が向上する。
任意単位の由来源となる単量体(以下「任意単量体」という。)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、ジフェニル((メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のリン酸基含有ビニル単量体及びその塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩若しくは四級アンモニウム塩;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
中でも、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等の(メタ)アクリレートを任意単量体として用いると、電極層の柔軟性を向上させることができるので好ましい。また、スルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩やリン酸基含有ビニル単量体及びその塩は、電極層と集電箔との密着性を向上させることができ、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩やN−ビニルピロリドンなどは、導電助剤の分散性を向上させることができる。
これら任意単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A)は、必要に応じて、上記一般式(1)で表される構造単位を含む重合体を加水分解して用いてもよい。加水分解によって一般式(1)で表される構造単位の一部が下記一般式(2)で表される構造単位に変換される。一般式(2)で表される構造単位はアミノ基を有しており、金属との密着性に優れる。特に一般式(2)で表される構造単位を有することで銅への密着性に優れ、電池の負極用バインダ組成物として適している。
重合体(A)は、単量体(a)および必要に応じて任意単量体を共存させて、重合した後に、得られた重合体を加水分解することによって一般式(2)で表される構造単位を含む重合体となる。この方法によれば、一般式(2)で表される構造単位の由来源となる単量体(以下「単量体(b)」)を用いることなく、一般式(2)で表される構造単位を含む重合体(A)を製造することができるので、単量体(b)の沸点が低かったり、取り扱い性が悪かったり、毒性が高かったりする場合に単量体(b)の使用を回避できるなど、優位である。
Figure 2015225734
(2)
上記一般式(2)中、R3は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
炭化水素基としては、前記一般式(1)で表される構造単位の説明において先に例示した炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
得られる重合体(A)の水溶性を高める観点から、R3が炭化水素基である場合は炭素数が少ない方が好ましく、R3としては水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。重合体(A)の水溶性がより高まる点で、R3が水素原子であるものが特に好ましい。
重合体(A)を構成する全ての単位の合計を100質量%としたときに、一般式(2)で表される構造単位の含有率は0〜70質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましい。一般式(2)で表される構造単位の含有率が上記範囲内であれば、合剤層と集電体との密着性に優れ、且つ電池性能を良好に維持できるバインダが得られる。
加水分解の方法としては、酸による加水分解、アルカリによる加水分解、熱を加えることによる加水分解が挙げられるが、これらの中でもアルカリによる加水分解が好ましい。
アルカリによる加水分解に用いるアルカリ(塩基)としては、周期律表の第1及び第2主族の金属の金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
また、アルカリとしては、アンモニア及びアンモニアのアルキル誘導体、例えばアルキルアミン、アリルアミン等のアミン類も好適である。斯かるアミン類としては、例えばトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アニリンなどが挙げられる。
これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
重合体(A)を加水分解して重合体(A’)を製造する場合、重合体(A)中の一般式(1)で表される構造単位および一般式(2)で表される構造単位の含有率は、加水分解の進行度合いを制御することで調整できる。加水分解の進行度合いは、上述したアルカリの添加量、加水分解の時間や温度により制御できる。
酸やアルカリを使用して重合体(A’)を加水分解した場合、得られる反応液のpHは酸性、もしくはアルカリ性となるが、必要に応じて反応液を中和して中性の水溶液としてもよい。また、加水分解により得られる反応液は、そのまま重合体(A)の水溶液として用いることもできるが、反応液から水分を除去することで得られる粉末を重合体(A)として用いてもよい。
バインダ樹脂中の上記一般式(2)で表される構造単位の含有率の測定方法としては、以下に示すコロイド滴定方法を好適に使用できる。
バインダ樹脂の水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱塩水を加える。このメスフラスコからバインダ樹脂の水溶液をホールピペットで採取したものに脱塩水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整し、これを試験液とする。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。滴定結果から、上記一般式(2)で表される構造単位の含有率を求める。
重合体(A)は、ピークトップ分子量(Mp)が80万未満の重合体である。その中でもピークトップ分子量が1万以上80万未満であることが好ましく、10万以上80万未満であることがより好ましく、20万以上78万以下であることが更に好ましい。重合体(A)のピークトップ分子量が上記範囲内であれば、重合体(A)の水溶液への導電助剤の分散性が良好であり、短時間で均一な電池電極用スラリー組成物を作成することができる。
重合体(A)のピークトップ分子量は、分子量分布の頂点(ピークトップ)の分子量を意味し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて測定することができる。例えば、テトラヒドロフランや水等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
例えば、具体的には以下の条件でピークトップ分子量を求めることができる。
<ピークトップ分子量の測定条件>
キャリア:以下の方法で作成した「10mMリン酸バッファー+100mM−NaCl」
キャリアの作成方法:リン酸水素二ナトリウム2.69g、リン酸(85%)0.25mL、塩化ナトリウム5.84gに純水を加えて1Lとする。
流速:0.5mL/分
サンプル濃度:2000ppm
注入量:20μL
測定時間:70分
検出器:示差屈折検出器(RID)
カラム:Shodex SB−807HQ(2本を直列で接続)+ガードカラムSB−806HQM
検量線範囲:30分−50分(1次直線)
検量線サンプル:pullulan 5(100,000)、pullulan 6(186,000)、pullulan 7(380,000)、pullulan 8(1660,000)
重合体(A)は、上述した単量体(a)を単独で重合することにより、又は単量体(a)と任意単量体とを共重合することにより得られる。
重合方法は特に限定されず、原料として用いる単量体や生成する重合体の溶解性等に応じて、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、光重合等の方法を採用すればよい。
重合体(A)の重合に用いる重合開始剤としては、水溶性アゾ化合物、有機過酸化物、水溶性無機過酸化物、レドックス系重合開始剤等のラジカル重合開始剤を用いることができる。
水溶性アゾ化合物としては、例えば、4、4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)2,2’−アゾビスプロパン)二塩酸塩、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)2,2’−アゾビスプロパン)二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2、2’−アゾビス(2−(N−(2−カルボキシエチル)アミジノ)プロパン)、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びこれらの塩及び/または水和物等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は適宜決定することができるが、例えば、全モノマー100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲で使用することができる。
有機過酸化物としては、水溶性の過酸化物が好ましく、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドが挙げられる。
水溶性無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素が挙げられる。
尚、過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト、等の還元剤、硫酸鉄等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
また、重合体(A)の重合には、分子量調節等の目的で連鎖移動剤を用いたり、分散性を向上させる目的で分散剤を用いたりしてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、次亜リン酸ナトリウム一水和物が挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は適宜決定することができるが、例えば、全モノマー100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲で使用することができる。
分散剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース樹脂、ポリビニルアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩の有機物、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機固体、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノ(ジ又はトリ)ステアリンエステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチレン)脂肪アミン、エチレンビスステアリン酸アミド、脂肪酸とジエタノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
重合体(A)の重合に用いる重合用溶媒としては特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレン、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
これら重合用溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(B)は、そのピークトップ分子量が80万以上の重合体であること以外は、重合体(A)と同様に合成し、用いることができる。具体的には、重合体(B)における一般式(1)で表される構造単位の含有率、一般式(1)で表される構造単位の由来源となる単量体の種類、重合体(B)に含まれる任意単位の種類や含有率、重合体(B)の重合方法、重合に用いる重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤、重合用溶媒を、重合体(A)の場合と同様に用いることができる。
重合体(B)は、ピークトップ分子量は80万以上の重合体である。そのなかでもピークトップ分子量が80万〜1000万であることが好ましく、80万〜800万がより好ましく、80万〜500万であることが更に好ましい。重合体(B)のピークトップ分子量が上記範囲内であれば、合剤層と集電体との密着性が高く、重合体(B)の水溶性が良好である。
重合体(B)のピークトップ分子量は重合体(A)のピークトップ分子量と同様に測定することができる。
本発明において重合体(A)及び(B)のピークトップ分子量の差は30万以上であり、より好ましくは50万以上である。
重合体(A)と重合体(B)の比率は(A)/(B)=99.9/0.1〜0.1/99.9が好ましく、99/1〜1/99がより好ましく、95/5〜5/95が更に好ましい。特に、(A)/(B)=80/20〜10/90が好ましく、75/25〜10/90が最も好ましい。上記範囲の比率であれば、バインダ水溶液中への導電助剤の分散性が良好であり、更に合剤層と集電箔との密着性を高くすることができる。
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂組成物は、本発明の重合体混合物を含有すればよく、更に他の樹脂や添加剤を含むことができる。具体的には、必要に応じて、本発明の重合体(A)、(B)以外のバインダ樹脂に添加しうる樹脂又は重合体(以下、「他の樹脂」と表記する)(C)や塗工性を向上させる粘度調整剤等の添加剤を含有していてもよい。
<他の樹脂(C)>
他の樹脂あるいは重合体(C)としては、例えば、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アクリルゴム系ラテックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
<粘度調整剤>
粘度調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。中でも、添加剤は、電極に残留するため、電気化学的安定性のあるものが好ましい。
[二次電池電極用スラリー組成物]
本発明の二次電池電極用スラリー組成物(以下「電極用スラリー組成物」もしくは単に「スラリー組成物」という。)は、前記重合体(A)と前記重合体(B)とを含むバインダ樹脂と活物質と溶媒とを含む。
<活物質>
リチウムイオン二次電池の場合、正極の電極活物質(正極活物質)としては、負極の電極活物質(負極活物質)より高電位(金属リチウムに対し)であり、充放電時にリチウムイオンを吸脱できる物質が用いられる。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体等の導電性高分子が挙げられる。導電性高分子としては、有機溶媒に可溶なアニリン誘導体の重合体が好ましい。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<溶媒>
溶媒としては、例えば、水、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンと、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)との混合溶媒;NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)との混合溶媒が挙げられる。中でも、溶媒回収コスト、環境負荷、乾燥時等のエネルギーを軽減できる観点から、水が好ましい。
これら溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<割合>
本発明の電極用スラリー組成物における、バインダ樹脂と活物質の割合は、固形分換算で、活物質を100質量部とした時、バインダ樹脂は0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば集電体への密着性や活物質間の結着性が良好となり、20質量部以下であれば電極中の抵抗が悪化するのを抑制できる。
<その他>
本発明の電極用スラリー組成物は、必要に応じて、バインダ樹脂、活物質、溶媒以外の導電助剤、結着性向上剤、分散剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
<スラリー組成物調製工程>
スラリー組成物調製工程は、本発明の電極用スラリー組成物を構成する、重合体(A)、重合体(B)、活物質、溶媒と、必要に応じて他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、導電助剤等の添加剤を加えて分散させ、二次電池負極用スラリー組成物を得る工程である。
このとき、上述した重合体(A)と(B)や活物質は予め粉体状で混合して溶媒に分散させてもよいし、重合体を溶媒に溶解又は分散させた後に活物質等を溶媒に分散してもよい。また、(A)と(B)を各々に溶媒に溶解させ、別々に添加して活物質等を溶媒に分散させてもよい。
ここで、添加剤として導電助剤を使用する場合は重合体を溶媒に溶解させ、導電助剤に重合体の溶液を加えて混ぜる方が、導電助剤が均一に分散したスラリー組成物を作ることができる。特に、導電助剤を添加し、更に重合体(A)と(B)を併用する場合は、重合体(A)と(B)を別々に溶媒に溶解させておき、導電助剤に最初に重合体(A)の溶液を添加して導電助剤を均一に分散させた後、次に重合体(B)の溶液を添加して均一に混ぜると均一なスラリー組成物が得られる。
上記のように、先により低分子量体である重合体(A)の溶液を導電助剤に添加することで、導電助剤を均一に分散することができ、本発明の特徴をより明確に実現することができる。
上記スラリー組成物から得られた電極は、(A)と(B)を混合して溶解させた溶液に導電助剤を分散させたスラリー組成物から得られる電極より、合剤層と集電箔の密着性が高くなる。
電極用スラリー組成物は、少なくとも本発明のバインダ樹脂を構成する重合体(A)と重合体(B)と活物質とを溶媒の存在下で混練することで得られる。
混練方法としては、バインダ樹脂と活物質とを十分に混練できる方法であれば特に限定されないが、例えば、自公転攪拌機、プラネタリミキサ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の各種分散機で混練する方法が挙げられる。
以上説明したように、本発明のバインダ樹脂は重合体(A)と重合体(B)を含む。このバインダ樹脂を用いて電極用スラリー組成物を調製すると、導電助剤の分散性に優れ、均一性の高いスラリー組成物を得られる。この電極用スラリー組成物を用いて製造した電極は平滑性及び密着性に優れる。
また、添加順番として、先ず低分子量体である重合体(A)の溶液に導電助剤を分散させた後、重合体(B)を加えることによって、導電助剤の分散性に優れ、合剤層と集電箔との密着性により優れた電極を得ることができる。
導電助剤の量は目的に応じて適宜変えることが可能であるが、
本発明のスラリー組成物は、非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極のスラリー組成物として好適である。
[二次電池用電極]
本発明の二次電池用電極(以下、単に「電極」ということがある)は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備える。
合剤層は、少なくとも、本発明の電極用バインダ樹脂である重合体(A)及び(B)と活物質を含有するものであり、必要に応じて添加した他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、結着性向上剤、分散剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
合剤層は、例えば、板状の集電体もしくはその他の基材の少なくとも一方の面上に形成された層である。
その厚みは0.1〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、50〜150μmがより好ましいが、これに限定されるものではない。尚、正極電極は、負極電極と比べ活物質の容量が小さいため、正極電極の合剤層は、負極電極の合剤層より厚くされることが好ましい。
集電体の材料としては、導電性を有する物質であればよく、金属が使用できる。金属としては、リチウムと合金ができ難い金属が好ましく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、あるいはこれらの合金が挙げられる。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚みは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
その他の基材としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等からなるプラスチック製シート、紙、不織布等の繊維シート、金属の薄膜シートが使用できる。
その他基材の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。
その他の基材の上に電極層を形成した場合は、転写等の方法により集電体の少なくとも一方の面上に電極層を設けて負極とすることができる。
本発明の電極は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、本発明の電極用スラリー組成物に、必要に応じて他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、導電助剤等の添加剤を加えたスラリー組成物を調製し(スラリー組成物調製工程)、該スラリー組成物を集電体に塗布し(塗布工程)、溶媒を除去して(溶媒除去工程)、本発明の電極用バインダ樹脂、活物質を含有した層(合材層)が集電体上に形成された電極を得る。
塗布工程は、スラリー組成物調製工程で得られた電極用スラリー組成物を集電体又はその他基材に塗布する工程である。
塗布方法は、電極層の厚みが0.1〜500μmとなるように電極用スラリー組成物組成物を集電体に塗布できる方法であれば特に限定されない。例えば、バーコート法、ドクターブレード法、ナイフ法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、カーテン法、浸漬法、ハケ塗り法が挙げられる。
溶媒除去工程は、集電体又はその他基材に塗布した電極用スラリー組成物中の溶媒を除去する工程である。
除去方法としては、溶媒を除去できれば一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低温風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。
除去条件は、溶媒が十分に除去可能で、かつ重合体(A)、(B)が分解しない条件であれば特に限定されないが、40〜120℃、好ましくは60〜100℃で、1分間〜10時間、加熱処理することが好ましい。この条件であれば、重合体(A)、(B)が分解することなく、活物質と集電体、あるいは活物質間の高い密着性を付与することができる。また、集電体が腐食しにくい。
溶媒除去工程の後、必要に応じて合剤層をプレスしてもよい(プレス工程)。プレス工程を設けることで、合剤層の面積を広げ、かつ任意の厚みに調節でき、合剤層表面の平滑度及び電気密度を高めることができる。プレス方法としては、金型プレスやロールプレスが挙げられる。
更に、必要に応じて、得られた負極を任意の寸法に切断してもよい(スリット加工工程)。
このようにして得られる本発明の電極は、本発明の電極用バインダ樹脂を用いて製造される。本発明電極用バインダ樹脂は、重合体(A)と重合体(B)を含み、電極用スラリー組成物を調製する場合に、導電助剤の分散性に優れ、均一性の高いスラリー組成物を得られる。この電極用スラリー組成物を用いて製造した電極は平滑性及び合剤層と集電箔との密着性に優れる。
また、添加順番として、先ず低分子量体である重合体(A)の溶液に導電助剤を分散させた後、重合体(B)を加えることによって、導電助剤の分散性に優れ、密着性により優れた電極を得ることができる。
本発明の電極は、非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極として好適である。
[リチウムイオン二次電池]
本発明の非水系二次電池はリチウムイオン二次電池であることが好ましい。リチウムイオン二次電池は、本発明の電極を備える。
リチウムイオン二次電池としては、例えば、電極として正極と負極とを、透過性のセパレータ(例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン製の多孔性フィルム)を間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させた非水系二次電池;集電体の両面に合剤層が形成された負極電極/セパレータ/集電体の両面に合剤層が形成された正極電極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回した巻回体が、電解液と共に有底の金属ケーシングに収容された筒状の非水系二次電池が挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる電解液としては、電解質としてのリチウム塩を1M程度の濃度で非水系有機溶媒に溶解したものが用いられる。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C254、LiCH3SO3、LiC49SO3、Li(CF3SO22N、Li[(CO222Bが挙げられる。
一方、非水系有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。
電解液は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池は、例えば、正極と負極とを、透過性のセパレータを間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させることで得られる。
また、筒状の場合は以下のようにして得られる。
まず、集電体の両面に合剤層が形成された負極/セパレータ/集電体の両面に電極層が形成された正極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回して巻回体とする。得られた巻回体を有底の金属ケーシング(電池缶)に収容し、負極を負極端子に、正極を正極端子に接続する。ついで、金属ケーシングに電解液を含浸させた後、金属ケーシングを封止することにより筒状のリチウムイオン二次電池とする。
このようにして得られる本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の電極用バインダを用いた電極を備えているので、電池性能に優れる。電池性能に優れるのは、導電助剤の分散性が良好であり、均一性の高いスラリー組成物を用いて電極を製造できるので、電極は平滑性が良く、合剤層と集電箔との密着性が高いため、合剤層と集電体との界面で剥離が起こりにくく、長期にわたって放電容量を高く維持できるためである。
本発明のバインダは、非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極のバインダとして好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
[重合体の製造]
<製造例1−1;重合体(A−1)の製造>
脱イオン水70部に対し、N−ビニルホルムアミド27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」)3部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。
その後、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.03部、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.05部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び亜硫酸水素ナトリウムをそれぞれ0.01部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、N−ビニルホルムアミド重合体(A−1)の4%水溶液とした。
<製造例1−2;重合体(A−1)の加水分解による(A’−1)の製造>
水酸化リチウム・一水和物を水に溶解し、10%LiOH水溶液を調液した。この10%LiOH 17部(重合体(A−1)の10mol%相当)を、製造例1で製造したN−ビニルホルムアミド重合体(A−1)の4%水溶液に加え、75℃で5時間加熱して加水分解反応を行った。反応液を冷却し、N−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)水溶液を得た。
(ピークトップ分子量の測定)
製造例1−2で得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)を以下の手法でピークトップ分子量を測定した。測定結果を表1に示す。
<ピークトップ分子量の測定条件>
キャリア:以下の方法で作成した「10mMリン酸バッファー+100mM−NaCl」
キャリアの作成方法:リン酸水素二ナトリウム2.69g、リン酸(85%)0.25mL、塩化ナトリウム5.84gに純水を加えて1Lとする。
流速:0.5mL/分
サンプル濃度:2000ppm
注入量:20μL
測定時間:70分
検出器:示差屈折検出器(RID)
カラム:Shodex SB−807HQ(2本を直列で接続)+ガードカラムSB−806HQM
検量線範囲:30分−50分(1次直線)
検量線サンプル:pullulan 5(100,000)、pullulan 6(186,000)、pullulan 7(380,000)、pullulan 8(1660,000)
(加水分解率の測定)
製造例1−2で得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)を以下の手法で加水分解率を測定した。ここで加水分解率とは、重合体中の一般式(1)で表される構造単位が加水分解工程によって一般式(2)で表される構造単位に変換された割合を言う。
測定結果を表1に示す。
<加水分解率の測定方法>
バインダ樹脂水溶液0.3〜0.5gを精秤し、100mLメスフラスコに採取する。これに脱塩水を加えて標線を合わせる。このメスフラスコからバインダ樹脂の水溶液をホールピペットで5mL採取し、脱塩水を加えて200mLとした後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整する。これを試験液とする。
得られた試験液に0.1%トルイジンブルー溶液を3滴加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。
滴定結果から一般式(2)で表される構造単位の含有率を求め、重合体中の一般式(1)で表される構造単位が加水分解工程によって一般式(2)で表される構造単位に変換された割合を算出して加水分解率とした。
<製造例1−3;重合体(A−1)の加水分解による(A’’−1)の製造>
10%LiOH 34部(重合体(A−1)の20mol%相当)を、製造例1−1で製造したN−ビニルホルムアミド重合体(A−1)の4%水溶液に加え、75℃で5時間加熱して加水分解反応を行った。反応液を冷却し、N−ビニルホルムアミド重合体(A’’−1)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A’’−1)を製造例1−2と同様にしてピークトップ分子量及び加水分解率を測定した。測定結果を表1に示す。
<製造例2−1;重合体(A−2)の製造>
脱イオン水70部に対し、N−ビニルホルムアミド27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」)3部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。
その後、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.09部、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.05部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び亜硫酸水素ナトリウムをそれぞれ0.01部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、N−ビニルホルムアミド重合体(A−2)の4%水溶液とした。
<製造例2−2;重合体(A−2)の加水分解による(A’−2)の製造>
10%LiOH 34部(重合体(A−2)の20mol%相当)を、製造例2−1で製造したN−ビニルホルムアミド重合体(A−2)の4%水溶液に加え、75℃で5時間加熱して加水分解反応を行った。反応液を冷却し、N−ビニルホルムアミド重合体(A’−2)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A’−2)を製造例1−2と同様にしてピークトップ分子量及び加水分解率を測定した。測定結果を表1に示す。
<製造例3−1;重合体(B−1)の製造>
脱イオン水70部に対し、N−ビニルホルムアミド27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」)3部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。
その後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.09部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、N−ビニルホルムアミド重合体(B−1)の4%水溶液とした。
<製造例3−2;重合体(B−1)の加水分解による(B’−1)の製造>
10%LiOH 17部(重合体(B−1)の20mol%相当)を、製造例3−1で製造したN−ビニルホルムアミド重合体(B−1)の4%水溶液に加え、75℃で5時間加熱して加水分解反応を行った。反応液を冷却し、N−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)を製造例1−2と同様にしてピークトップ分子量及び加水分解率を測定した。測定結果を表1に示す。
<製造例4;重合体(A−3)の製造>
脱イオン水70部に対し、N−ビニルホルムアミド22.5部と、アクリル酸に無機塩として水酸化ナトリウムを混合しpHを6.7に調整したものを7.5部、次亜リン酸ナトリウム0.06部を添加して作製した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。
その後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.04部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び亜硫酸水素ナトリウムをそれぞれ0.01部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、4%のN−ビニルホルムアミド重合体(A−3)を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A−3)を製造例1−2と同様にしてピークトップ分子量を測定した。測定結果を表1に示す。
<製造例5;重合体(B−3)の製造>
脱イオン水70部に対し、N−ビニルホルムアミド22.5部と、アクリル酸に無機塩として水酸化ナトリウムを混合しpHを6.7に調整したものを7.5部、次亜リン酸ナトリウム0.01部を添加して作製した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。
その後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.04部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び亜硫酸水素ナトリウムをそれぞれ0.01部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、2%のN−ビニルホルムアミド重合体(B−3)を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(B−3)を製造例1−2と同様にしてピークトップ分子量を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2015225734
[実施例1]
<導電助剤の分散性の評価>
重合体(A)として、製造例1−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)の4%水溶液5gと、重合体(B)として製造例3−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の4%水溶液5gを予め均一に混合して重合体混合溶液とした。
0.5gのアセチレンブラック(電気化学工業株式会社、「デンカブラック」、以下「AB」と表記する)に、上記の重合体混合溶液10g加え、スパチュラで軽く馴染ませた後、撹拌子で15分間、100rpmの条件で撹拌した。撹拌後の分散液の状態を目視で観察し、以下のように評価した。
○:均一に分散しており、ブツがない
×:均一に分散しておらず、ブツが観察できる
結果を表2に示す。
<二次電池電極用スラリー組成物の調製>
重合体(A)としてN−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)の水溶液を固形分で1.5部と、重合体(B)としてN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の水溶液を固形分で1.5部とを、予め均一に混合してバインダ樹脂としての重合体混合溶液を得た。この重合体混合溶液とAB 1部とを、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。均一にABが分散した後、負極活物質として天然の黒鉛系負極活物質(三菱化学(株)製、「MPGC16」)100部を加えて混練した。塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリー組成物を得た。
<電極の作製>
得られた電極用スラリー組成物を、集電体(銅箔、20cm×25cm、厚み18μm)上にドクターブレードを用いて塗布し、定温乾燥機(80℃)で乾燥させ、更に真空乾燥機にて60℃で12時間減圧乾燥させて、膜厚90μmの合剤層が集電体(銅箔)上に形成された電極を得た。電極の組成を表2に示す。
<密着性の評価>
電極を横20mm、縦80mmになるように切り出し、切り出し片の電極層面を両面テープ(積水化学工業株式会社製、「#570」)でポリカーボネートシート(横25mm、縦100mm、厚さ1mm)に固定し、試験片とした。
試験片を引張り強度試験テンシロン試験機(オリエンテック社製、「RTC−1210A」)にセットし、10mm/minで銅箔を180°剥離し、剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
[比較例1−1]
<導電助剤の分散性の評価>
バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)の4%水溶液10gを、0.5gのABに加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)の水溶液を固形分で3部用いた以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー組成物及び電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例1−2]
<導電助剤の分散性の評価>
バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の4%水溶液10gを、0.5gのABに加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の水溶液を固形分で3部用いた以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー組成物及び電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例2]
<導電助剤の分散性の評価>
重合体(A)として製造例1−3で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A’’−1)の4%水溶液5gと、重合体(B)として製造例3−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の4%水溶液5gを予め均一に混合して重合体混合溶液とした。0.5gのABに上記の重合体混合溶液10gを加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
重合体(A)としてN−ビニルホルムアミド重合体(A’’−1)の水溶液を固形分で1.4部と、重合体(B)としてN−ビニルホルムアミド重合体(B‘−1)の水溶液を固形分で0.6部とを、予め均一に混合して重合体混合溶液とした。この重合体混合溶液をバインダ樹脂として用いた以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー組成物及び電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
<導電助剤の分散性の評価>
重合体(A)として製造例2−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A’−2)の4%水溶液5gと、重合体(B)として製造例3−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の4%水溶液5gを予め均一に混合して重合体混合溶液とした。0.5gのABに上記の重合体混合溶液10gを加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
重合体(A)としてN−ビニルホルムアミド重合体(A’−2)の水溶液を固形分で0.2部と、重合体(B)としてN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の水溶液を固形分で1.8部とを、予め均一に混合して重合体混合溶液とした。この重合体混合溶液をバインダ樹脂として用いた以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー組成物及び電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
<導電助剤の分散性の評価>
バインダ樹脂として、製造例2−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A’−2)の4%水溶液10gを、0.5gのABに加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド重合体(A’−2)の水溶液を固形分で2部用いた以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー組成物及び電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
<導電助剤の分散性の評価>
重合体(A)として製造例4で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A−3)の4%水溶液5gと、重合体(B)として製造例5で得たN−ビニルホルムアミド重合体(B−3)の4%水溶液5gを予め均一に混合して重合体混合溶液とした。0.5gのABに上記の重合体混合溶液10gを加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
重合体(A)としてN−ビニルホルムアミド重合体(A−3)の水溶液を固形分で0.5部と、重合体(B)としてN−ビニルホルムアミド重合体(B−3)の水溶液を固形分で0.5部とを、予め均一に混合して重合体混合溶液とした。この重合体混合溶液とAB1部とを、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。
均一にABが分散した後、負極活物質として天然の黒鉛系負極活物質(三菱化学(株)製、「MPGC16」)100部を加え、十分に混練した後、その他の樹脂(C)としてSBRラテックス(JSR株式会社製、「TRD−2001」)(以下「SBR」と表記する。)を固形分で1部加えて混練した。塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリー組成物を得た。
この電極用スラリー組成物を用いて、実施例1と同様にして電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例4−1]
<導電助剤の分散性の評価>
重合体(A)として、N−ビニルホルムアミド重合体(A−3)の4%水溶液10gとを、0.5gのABに加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
重合体(A)としてN−ビニルホルムアミド重合体(A−3)の水溶液を固形分で1部と、AB1部とを、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。均一にABが分散した後、負極活物質として天然の黒鉛系負極活物質(三菱化学(株)製、「MPGC16」)100部を加え、十分に混練した後、その他の樹脂(C)としてSBRラテックス(JSR株式会社製、「TRD−2001」)を固形分で1部加えて混練した。塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリー組成物を得た。
この電極用スラリー組成物を用いて、実施例1と同様にして電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例4−2]
<導電助剤の分散性の評価>
バインダ樹脂重合体(B)として製造例5で得たN−ビニルホルムアミド重合体(B−3)の4%水溶液10gを0.5gのABに加え、実施例1と同様に導電助剤の分散性を評価した。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
重合体(B)としてN−ビニルホルムアミド重合体(B−3)の水溶液を固形分で1部と、AB1部とを、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。均一にABが分散した後、負極活物質として天然の黒鉛系負極活物質(三菱化学(株)製、「MPGC16」)100部を加え、十分に混練した後、その他の樹脂(C)としてSBRラテックス(JSR株式会社製、「TRD−2001」)を固形分で1部加えて混練した。塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリー組成物を得た。
この電極用スラリー組成物を用いて、実施例1と同様にして電極を作成し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2015225734
[実施例5]
重合体(A)として製造例1−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A’−1)の水溶液を固形分で1.5部とAB1部を、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。均一にABが分散した後、重合体(B)として製造例3−2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(B’−1)の水溶液を固形分で1.5部と、負極活物質「MPGC16」100部を加え、十分に混練した後、塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリー組成物を得た。
この電極用スラリー組成物を用いて実施例1と同様にして電極を作成し、密着性を評価した。評価結果を表3に示す。
Figure 2015225734
尚、表2〜3中のバインダ樹脂の量は固形分換算した量である。
表2から明らかなように、実施例1、実施例2、実施例3では一般式(1)の構造単位を有し、且つ、ピークトップ分子量が80万未満である重合体(A)とピークトップ分子量が80万以上の重合体(B)をバインダ樹脂として使用すると、良好なAB分散性と高い密着性を両立することができた。
実施例5(表3)では、電極用スラリー組成物を調製する際にバインダ樹脂の添加順序を、重合体(A)、重合体(B)の順とした。すなわち、ピークトップ分子量の低いバインダ樹脂水溶液を先に添加して導電助剤を分散させることで、AB分散性が良好で均一なスラリー組成物を得ることができ、更に後からピークトップ分子量の高いバインダ樹脂を添加することで、あらかじめ両者を均一に混合するより高い密着性を発現することができた。
一方、ピークトップ分子量が80万未満のみの重合体をバインダ樹脂として使用した比較例1−1、比較例3、比較例4−1では導電助剤の分散性は良好だったが、実施例に比較して密着性に劣る。
また、ピークトップ分子量が80万以上のみの重合体をバインダ樹脂として使用した比較例1−2、比較例4−2では、導電助剤の分散性が悪く、均一な電極用スラリー組成物を得ることができなかった。
このことから、ピークトップ分子量が80万未満の重合体(A)とピークトップ分子量が80万以上の重合体(B)とを含み、(A)及び(B)の両方が一般式(1)で表される構造単位を有するバインダ樹脂を用いた実施例1〜5では、導電助剤の分散性が良いために、得られるスラリー組成物の均一が高く、電極を作成した際に合剤層が平滑になりやすい。また、重合体(B)が高分子量体であり、これを併用しているために、密着性の高い電極が得られる。
一方、比較例の電極用スラリー組成物は、使用したバインダ樹脂がピークトップ分子量80未満の重合体(A)のみ、又はピークトップ分子量80万以上の重合体(B)のみである。重合体(A)のみが使用された場合は、導電助剤の分散性はよいが、密着性が低い。重合体(B)のみが使用された場合は、導電助剤の分散性が悪いために、スラリー組成物の均一性が低くなり、合剤層の平滑性に劣る。平滑性に劣る電極を使用した電池は、十分な電池性能を発揮できないものと推測される。

Claims (6)

  1. ピークトップ分子量が80万未満の重合体(A)とピークトップ分子量が80万以上の重合体(B)とを含み、
    (A)及び(B)の両方が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、且つ(A)及び(B)のピークトップ分子量の差が30万以上であることを特徴とする、二次電池電極用バインダ樹脂。

    Figure 2015225734
    (式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
  2. 請求項1に記載のバインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含む二次電池電極用スラリー組成物。
  3. 前記重合体(A)と(B)をこの順で添加して得られる、請求項2に記載の二次電池電極用スラリー組成物。
  4. 前記重合体(A)の溶液に導電助剤を分散させた後、前記重合体(B)を加えることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。
  5. 集電体と、前記集電体上に設けられた合剤層とを備え、
    前記合剤層は、請求項2又は3に記載の二次電池電極用スラリー組成物を集電体又はその他の基材に塗布してなる二次電池用電極。
  6. 請求項5に記載の二次電池用電極を備える、非水系二次電池。
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