JP3619842B2 - 折りたたみ扉の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、折りたたみ扉を壁面等に設けた開口部に開閉自在に取付ける折りたたみ扉の取付構造に関する発明であり、詳しくは、折りたたみ扉の幅方向の一端の下端から垂下したピポット軸を開口部の幅方向の一端の床面に枢支させる構造に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、折りたたみ扉1を壁面3等の開口部4に開閉自在に配置し、折りたたみ扉1の上部のランナ5を上記開口部4の上部に亘る上レール部材6にスライド自在に装着すると共に、折りたたみ扉1の幅方向の一端の下端に垂下したピポット軸7を開口部4の幅方向Aの一端の床面8に回転自在に枢支して構成した折りたたみ扉の取付構造における、上記ピポット軸7を開口部4の幅方向Aの一端の床面8に枢支させる構造としては、開口部4の幅方向Aの一端の床面8に図7に示す取付器具9’を設置し、上記取付器具9’を介して行わせていた。
【0003】
この取付器具9’は、床面8に固定する基部30に開口部4の幅方向Aに亘る取付溝部31を形成し、上記取付溝部31に固定部材32を開口部4の幅方向Aに摺動自在に装着し、上記固定部材32に折りたたみ扉1のピポット軸7を回転自在に枢支する軸受け孔33を設けて構成されたものである。
【0004】
この取付器具9’を用いた折りたたみ扉の取付構造における、折りたたみ扉1の開口部4への取付施工は以下のように行う。まず、図8に示すように取付器具9’の基部30を開口部4の幅方向Aの一端の床面8に固定すると共に、上記取付器具9’の固定部材32を上記基部30の取付溝部31に装着する。次に、図9に示すように開口部4の上端に上レール部材6を取付ける。次に、図10に示すように折りたたみ扉1の上端に設けたランナ5を上記上レール部材6にスライド自在に挿入し、折りたたみ扉1を上レール部材6にランナ5を介して吊り下げて開口部4の幅方向Aにスライド自在に配置する。ここで、折りたたみ扉1の幅方向の一端に設けたランナ5は上レール部材6にスライド自在に装着された上取付器具34に取付けられている。次に、図11に示すように折りたたみ扉1の幅方向の一端の下端に垂下したピポット軸7を上記固定部材32の軸受け孔33に挿入する。最後に、折りたたみ扉1を上レール部材6に沿ってスライドさせて上取付器具34を上レール部材6の長手方向の一端に位置させて固定し、折りたたみ扉1のピポット軸7の微少位置決めをするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ピポット軸7を取付器具9’の軸受け孔33に挿入させる施工作業は、折りたたみ扉1を図12に示すように斜めに配置すると共にピポット軸7を取付器具9’の軸受け孔33に上方から挿入させて行われるものであるが、この施工作業を行う施工者には、折りたたみ扉1を斜めに支持した状態での目視によるピポット軸7の軸受け孔33への位置合わせ及び挿入といった力の要る煩雑な作業が課されるものであり、この施工作業は施工者に負担を強いるものであった。
【0006】
また、ピポット軸7の位置決め固定作業において、固定部材32が基部30に対して開口部4の幅方向Aにのみスライドするという取付器具9’の構造により、開口部4の幅方向に対して略直交する方向Bへのピポット軸7の位置決めは基部30を床面8に対してスライドさせて行わねばならないもので、作業が煩雑であって施工者に負担を強いるものであった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、折りたたみ扉の開口部への取付施工作業における施工者への負担を軽減させる折りたたみ扉の取付構造を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る折りたたみ扉の取付構造は、ヒンジ部2を介して連結した複数枚の扉体1aから構成した折りたたみ扉1を壁面3等の開口部4に開閉自在に配置し、折りたたみ扉1の上部のランナ5を上記開口部4の上部に亘る上レール部材6にスライド自在に装着し、折りたたみ扉1の幅方向Aの一端の下端に垂下したピポット軸7を開口部4の幅方向Aの一端の床面8に回転自在に装着した折りたたみ扉1の取付構造において、上記開口部4の幅方向Aの一端の床面8にピポット軸7を固定する取付器具9の基部10を設置し、上記基部10に開口部4の幅方向Aに連続した1対のガイド突条11を形成して上記1対のガイド突条11の間にピポット軸7をスライド自在に挿通し、上記基部10に開口部4の幅方向と略直交する方向Bにスライド自在に固定部材12を装着して上記ピポット軸7に向ってスライドさせた固定部材12により上記ピポット軸7を位置決め固定したことを特徴とする。この折りたたみ扉の取付構造における、折りたたみ扉のピポット軸の開口部の床面への枢支施工は、まず、開口部4の幅方向Aの一端の床面8に設置した取付器具9の基部10の1対のガイド突条11の間にピポット軸7を配置する作業を行うものであり、これは、開口部4の上レール部材6にランナ5を介して摺動自在に吊持した折りたたみ扉1を上レール部材6に沿ってスライド移動させ、上記ガイド突条11に案内をさせて1対のガイド突条11の間にピポット軸7をスライド挿入させるものであり、つぎに、上記ピポット軸7を取付器具9に枢支させる作業を行うものであり、これは、1対のガイド突条11の間に位置したピポット軸7に向って固定部材12をスライドさせて位置決め固定させるものである。このように、上記施工作業では一貫して上レール部材6に吊持した状態の折りたたみ扉1を扱う作業により行われるものであり、すなわち、施工者の負担となる折りたたみ扉1を斜めに支持するような力の要る作業を施工作業から無くしているものであり、施工作業の軽作業化が図られているのである。また、上記施工作業においては、ピポット軸7の所定位置への配置作業と上記ピポット軸7の枢支作業とを同時に行わずに、別の施工動作によって行わせているので、個々の施工動作を簡略化して施工の確実性や容易性の向上が図られているものである。また、上記施工作業においては、各部材の施工に係る動作を水平方向の動作のみで行わせているから、各部材の施工に係る動作スペースを上下方向に確保しないで済むものであって、折りたたみ扉1と取付器具9及び床面8との間の隙間を小さく、つまり、開口部4の開口面積と略同様面積の面を有する折りたたみ扉1を形成することができ、折りたたみ扉1が閉塞した開口部4の気密性を向上させ得るものである。
【0009】
また、請求項2に係る折りたたみ扉の取付構造は、請求項1において、上記取付器具9の基部10には開口部4の幅方向と略直交する方向Bに長い長孔状の基部縦孔13と開口部4の幅方向Aに長い長孔状の基部横孔14とを設け、取付器具9の固定部材12には開口部4の幅方向と略直交する方向Bに長い長孔状の固定部材縦孔15を設け、上記床面に打入した固着具16を基部縦孔13に挿入して基部10を床面8に対して開口部4の幅方向と略直交する方向Bに位置決め固定し、上記基部横孔14と固定部材縦孔15とを重ね合わすと共に基部横孔14及び固定部材縦孔15に挿入した固着具を介して固定部材12を基部10に水平方向にスライド自在に装着したことを特徴とする。これにより、基部10を床面8に固定する固着具16が、基部縦孔13に開口部4の幅方向と略直交する方向Bに移動可能に挿通されるので、上記固着具16を緩めに締結すると、基部10と床面8とは開口部4の幅方向と略直交する方向Bに多少のあそびを有するも外れない状態で仮固定できるものであり、また、固定部材12と基部10とを固定する固着具17が、基部横孔14には開口部の幅方向Aに、固定部材縦孔15には開口部4の幅方向と略直交する方向Bに、それぞれ移動可能に挿通されるので、上記固着具17を緩めに締結すると、固定部材12と基部10とは開口部4の幅方向A及び開口部4の幅方向と略直交する方向Bに、つまり、水平方向に多少のあそびを有するも外れない状態で仮固定できるものである。このように、基部10と床面8、固定部材12と基部10との固定作業に関し、いきなり各部材同士を本固定することなしに、各部材の相対位置に関して大体の当たりをつけて各部材同士を仮固定した後に、各部材を微少移動させて所定位置で本固定するといった段階を踏んでの固定作業を行わせることができ、施工の確実性を向上させ得るものである。また、固定部材12が基部10に対して水平方向にスライド自在になっているも、固定部材12と基部10とは1つの固着具17で固定できる構造になっていることから、ピポット軸7の位置決め際に位置決め範囲を広くできると共に容易に固定できるものであり、施工性の向上と軽作業化が図られているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1乃至6に本発明の実施の形態の例を示す。
【0012】
本発明は、図3に示すように、ヒンジ部2を介して複数枚の扉体1aを連結して構成した折りたたみ扉1を建物の壁面3や家具等の開口部4に開閉自在に取付けた折りたたみ扉の取付構造である。以下、詳述する。
【0013】
この壁面3等の開口部4はその上端に幅方向Aに亘る上レール部材6が配置されている。上記上レール部材6には長手方向に亘って下方に開口するレール溝6aが形成されている(図10参照)。
【0014】
一方、折りたたみ扉1の上端には幅方向の適所に複数個のランナ5(図10参照)が上方に突設して配置されている。上記ランナ5は上レール部材6のレール溝6aに挿入されてスライド自在に装着されており、上記折りたたみ扉1は、上レール部材6に上記ランナ5を介して吊持され、開口部4の幅方向A(以下、幅方向A)に摺動自在に配置されている。また、折りたたみ扉1の幅方向の一端の下端にはピポット軸7が垂設されており、開口部4の幅方向Aの一端の床面8に回転自在に枢支される。つまり、上記折りたたみ扉1は、その幅方向の一端が開口部4に枢支されると共に上レール部材6に摺動自在に装着したランナ5により吊持された構造で開口部4に配置されたものであるから、折りたたみ扉1を幅方向Aに移動させると、ヒンジ部2の屈曲によって複数枚の扉体1aが折りたたまれて開口部4の開閉が行われるものである。
【0015】
ここで、本発明は、折りたたみ扉1の幅方向の一端の下端から垂下したピポット軸7を開口部4の幅方向の一端の床面8に回転自在に枢支させる際に、開口部4の幅方向Aの一端の床面8に設置した取付器具9を介して行っていることに特徴を有している。
【0016】
この取付器具9は、図1及び2に示すように、床面8に沿って固定される基部10と、上記基部10にスライド自在に装着した固定部材12とで構成される金属製の器具である。
【0017】
基部10は、略矩形状の外形を有した平板状の部材である。この基部10には幅方向Aに連続して上方に突設した1対のガイド突条11が平行に対向配置されている。この1対のガイド突条11はその間に位置した平板を切り欠くと共にその切り欠き縁を上方に屈曲させて形成されたものである。なお、この1対のガイド突条11の間の幅は上記ピポット軸7の直径より長い長さに形成してあり、1対のガイド突条11の間にピポット軸7がスライドできるように形成してある。この対向する1対のガイド突条11はその間に上方に開口すると共に幅方向Aの両端に開口する軸導入溝18を形成している。この軸導入溝18には、幅方向Aの中央部に平板を切り欠いた部分である凹み部18aが設けられると共に、幅方向Aの両端部に平板の上下肉厚が軸導入溝18の内部に行くにつれて増すように平板を切削して形成した傾斜部18bが設けられている。この凹み部18aは軸導入溝18に挿入したピポット軸7を位置させる部分であり、また、傾斜部18bは軸導入溝18の凹み部18aにピポット軸7をスライド挿入し易くする部分である。
【0018】
また、基部10の幅方向Aの両端部の近傍位置には、上下に貫通した1対の基部縦孔13が形成されている。この基部縦孔13は幅方向と略直交する方向Bに長く形成した長孔であって、床面8に打入される固着具16が挿通する部分である。また、基部10の上記1対の基部縦孔13の間に位置した部位には、上下に貫通した基部横孔14が形成されている。この基部横孔14は幅方向と略直交する方向Bに長く形成した長孔であって、固定部材12を基部10に装着する固着具17が挿通する部分である。また、基部10の上記基部横孔14が位置する部位は、基部10の他の部位に比べて1段高い台状の上台部21が形成されている。
【0019】
固定部材12は、先端に軸受け部22を設けると共に後端に操作部23を設けた上面視左右対称の平板状の部材である。上記軸受け部22は固定部材12の先端の上面視U字状の部位であって、上記U字状の中央切り欠き部分はピポット軸7が挿通される枢支切欠24である。この枢支切欠24の周縁部で且つ軸受け部22の1対の先端部分には、平板を上方に屈曲させて形成した突上片部25が形成されている。この突上片部25は、枢支切欠24に位置したピポット軸7に当接させてピポット軸7の傾きを防止させるものである。また、この軸受け部22の後端部分には平板を下方に屈曲させて形成した垂下片部26が幅方向A両端部分の位置に1対形成されている。なお、操作部23は、施工者が固定部材12を基部10に対してスライドさせる操作をし易いように、平板の後端部分を下方に屈曲させて形成されている。また、上記軸受け部22と操作部23との間に位置した固定部材12の部位には固定部材縦孔15が上下に貫通して形成されている。この固定部材縦孔15は幅方向と略直交する方向Bに長く形成した長孔であって、上記固定部材12を基部10に装着する固着具17が挿通される部分である。
【0020】
上述した固定部材12と基部10とはスライド自在に装着されている。これは、軸受け部22を基部10の軸導入溝18側に位置させるように基部10の上台部21に固定部材12を載置させ、基部10の基部横孔14に固定部材12の固定部材縦孔15を重ね合わせ、上記基部横孔14及び固定部材縦孔15に固着具17を挿通させて行われている。この固着具17は、基部横孔14には幅方向Aに、固定部材縦孔15には幅方向と略直交する方向Bに、それぞれ移動可能になっている。しかして、固定部材12は基部10に対して幅方向A及び幅方向と略直交する方向Bに、つまり、水平方向にスライド自在に装着されている。
【0021】
このように基部10に装着した固定部材12は、軸受け部22を基部10の軸導入溝18に対して突没自在にしているものであるが、軸受け部22を軸導入溝18に向って最大突出させた際には、1対のガイド突条11のうち基部横孔14に近い方のガイド突条11に1対の垂下片部26が当接される構造になっており、軸受け部22は軸導入溝18に対して略直交する方向に規制されて突出されるようになっている。
【0022】
なお、上記固定部材12と基部10とを装着する固着具17は、具体的には、ビス17aとワッシャ17bと矩形板状ナット17cとで構成されている。上記ビス17aとワッシャ17bとは固定部材12の上面に配置されると共に、矩形板状ナット17cは基部10の上台部21の裏面側に配置されている。ここで、矩形板状ナット17cはその一端を上台部21の段部21aの裏面に当接させており、矩形板状ナット17cがビス17aの回転に供廻りしない構造になっている。
【0023】
上記取付器具9を用いた折りたたみ扉の取付構造における、折りたたみ扉1の開口部4への取付施工は、以下のように行われる。
【0024】
まず、取付器具9を壁面3等の開口部4の幅方向Aの一端の床面8に固定する。次に、開口部4の上端に上レール部材6を取付ける(図9参照)。次に、上記上レール部材6のレール溝6aにランナ5を挿入して折りたたみ扉1を開口部4に吊持して配置する(図3)。次に、折りたたみ扉1の幅方向の一端の下部から垂下したピポット軸7を上記取付器具9に回転自在に枢支させる(図5)。次に、折りたたみ扉1の幅方向の一端の上部から上方に突出したピポット軸7を上レール部材6の幅方向Aの一端に回転自在に枢支させる。最後に、上記ピポット軸7の位置決め調整・固定をさせる(図6)。
【0025】
ここで、取付器具9を開口部4の幅方向Aの一端の床面8に固定させる施工作業においては、基部10の基部縦孔13に挿通したビス等の固着具16を床面8に打入させて行われる。上記固着具16は、基部縦孔13に幅方向と略直交する方向Bに移動可能に挿入されることから、大体の当たりをつけて基部10を床面8に仮固定した後に、床面8に対して基部10を微少移動させて床面8の所定位置で基部10を本固定するといった段階を踏んでの固定作業を行うことができる。なお、この取付器具9の床面8への固定位置としては、開口部4を設けた部屋状部や家具等の内部側(収納側)に位置させることが好ましく、このようにすると、取付器具9が開口部4の外方から見えにくくなり、開口部4の外観の向上が図られるものである。
【0026】
また、折りたたみ扉1の幅方向の一端の下部から垂下したピポット軸7を上記取付器具9に回転自在に枢支させる施工作業においては、まず、ピポット軸7を回転自在に枢支させる所定位置、つまり、基部10の軸導入溝18に配置するといったピポット軸7の所定位置への配置作業が行われ、つぎに、上記所定位置に配置したピポット軸7を回転自在に装着するといったピポット軸7の枢支装着作業が行われる。
【0027】
上記ピポット軸7の所定位置への配置作業としては、図4に示すように上レール部材6にランナ5を介して摺動自在にすると共に吊持させた折りたたみ扉1を上レール部材6に沿ってスライド移動させ、上記ピポット軸7を軸導入溝18にスライド挿入及び位置させて行われる。また、上記ピポット軸7の枢支装着作業としては、図5,6に示すように固定部材12を幅方向と略直交する方向Bにスライド移動させ、軸導入溝18にスライド挿入したピポット軸7を固定部材12の軸受け部22の枢支切欠24に位置させ、上記スライド移動した固定部材12を基部10に固定させて行われる。ここで、軸導入溝18且つ枢支切欠24に位置したピポット軸7は、1対のガイド突条11による幅方向に略直交する方向Bへの移動規制を受けると共に、軸受け部22による幅方向Aへの移動規制を受けるものである。つまり、上記ピポット軸7は軸導入部18の一点位置で回転自在に枢支されるのである。
【0028】
ここで、上述したピポット軸7を取付器具9に枢支させる施工作業においては、一貫して上レール部材6に吊持された状態の折りたたみ扉1(図3)を扱う作業により行われるものである。すなわち、従来問題となっていた施工者の負担となる折りたたみ扉1を斜めに支持させるような力を要する作業等を施工作業から無くしているものである。つまり、施工作業の軽作業化が図られているものである。また、ピポット軸7の所定位置への配置作業とピポット軸7の枢支装着作業とを同時に行わずに、別の施工動作で行わせているので、個々の施工動作を簡略化でき、施工の確実性や容易性を向上させているものである。
【0029】
更に言うと、ピポット軸7の所定位置への配置作業ではピポット軸7を取付器具9の基部10の軸導入溝18にスライド挿入して行わせており、また、ピポット軸7の枢支装着作業では固定部材12を基部10に対してスライド移動させて行わせており、すなわち、上記ピポット軸7を取付器具9に枢支させる施工作業は各部材の施工に係る動作を水平方向の動作のみによって行わせているものである。これは、各部材の施工に係る動作スペースを上下方向に確保する必要を無くするものであり、折りたたみ扉1と取付器具9及び床面8との間の隙間を小さくできる、つまり、開口部4の開口面積と略同様面積の面を有する折りたたみ扉1を形成することができるものである。このように、床面8と折りたたみ扉1との間の隙間を小さくすると、上記折りたたみ扉1が開口部4を閉塞した状態での上記開口部4における気密性を高めることができるものである。例えば、クローゼット等の洋服等を収納する部屋や家具に設けた開口部4で気密性を高めるようにすると、上記開口部4を通ってのクローゼット等の部屋や家具の内部への埃等の浸入が防止できるものであり有効である。
【0030】
また、ピポット軸7の位置決め調整・固定作業においては、固定部材12を基部10に対して微少にスライド移動させて位置を調整すると共に上記固定部材12を固着具17の締結により基部10に固定させることで行われる。上述したように、固定部材12が基部10に対して水平方向にスライド自在になっているも、固定部材12と基部10とが1つの固着具17で固定できる構造になっていることから、ピポット軸7の位置決め際に位置決め範囲を広くできると共に容易に固定できるものであり、施工性の向上と軽作業化が図られているものである。
【0031】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の折りたたみ扉の取付構造にあっては、叙述したように、開口部に設置した取付器具の基部に、開口部の幅方向に連続した1対のガイド突条を形成すると共に上記1対のガイド突条の間に折りたたみ扉のピポット軸をスライド自在に挿通し、また、上記取付器具の基部に、開口部の幅方向と略直交する方向にスライド自在に固定部材を装着すると共に上記ピポット軸に向ってスライドさせた固定部材により上記ピポット軸を位置決め固定したことから、折りたたみ扉のピポット軸を開口部の床面に回転自在に枢支させる際の施工作業としては、開口部の上端の上レール部材にスライド自在に装着したランナを介して折りたたみ扉を開口部に配置し、上記折りたたみ扉を開口部の幅方向にスライドして取付器具の基部の1対のガイド突条の間に折りたたみ扉のピポット軸をスライド挿入し、取付器具の固定部材を上記ピポット軸に向ってスライドし、上記固定部材によりピポット軸を位置決めして枢支する作業が行われるものであり、すなわち、この施工作業においては、一貫して上レール部材に吊持した状態の折りたたみ扉を扱う作業により行われるものであり、施工者の負担となる折りたたみ扉を支持するような力の要る作業等を無くすことができ、施工作業の軽作業化を図っているものである。また、上記施工作業においては、ピポット軸の所定位置への配置作業と上記ピポット軸の枢支装着作業とを同時に行わずに、別の施工動作によって行わせているので、個々の施工動作を簡略化できて施工の確実性や容易性が向上しているものである。また、上記施工作業においては、各部材の施工に係る動作を水平方向の動作のみで行わせているから、各部材の施工に係る動作スペースを上下方向に確保しないで済むものであって、折りたたみ扉と取付器具及び床面との間の隙間を小さくできるものであり、折りたたみ扉が閉塞した開口部の気密性を向上させ得るものである。
【0032】
また、本発明の請求項2記載の折りたたみ扉の取付構造にあっては、請求項1の効果に加えて、上記取付器具の基部には、開口部の幅方向と略直交する方向に長い長孔状の基部縦孔と開口部の幅方向に長い長孔状の基部横孔とを設け、固定部材には、開口部の幅方向と略直交する方向に長い長孔状の固定部材縦孔を設けてあり、基部の床面への固定を、上記基部縦孔に挿入した固着具を床面に打入することによって行い、基部と固定部材との固定を、上記基部横孔と固定部材縦孔とを重ね合わすと共に基部横孔及び固定部材縦孔に固着具を挿入することによって行っていることから、基部の床面への固定においては、基部を床面に対して開口部の幅方向と略直交する方向にスライド自在に規制して仮固定することができ、また、基部と固定部材との固定においては、固定部材を基部に対して開口部の幅方向及び開口部の幅方向と略直交する方向にスライド自在に規制して仮固定することができるものであって、このように、いきなり各部材同士を本固定することなしに、各部材の相対位置に関して大体の当たりをつけて各部材同士を仮固定した後に、各部材を微少移動させて所定位置で本固定するといった段階を踏んでの固定作業を行わせることができ、施工の確実性を向上させ得るものである。また、固定部材が基部に対して水平方向にスライド自在になっているも、固定部材と基部とは1つの固着具により固定できる構造になっていることから、ピポット軸の位置決め際に位置決め範囲を広くできると共に容易に固定できるものであり、施工性の向上と軽作業化が図られているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例の取付器具の上面図である。
【図2】同上の取付器具を示すものであり、(a)はピポット軸を枢支する状態の取付器具の上面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は(a)の側面図である。
【図3】同上の折りたたみ扉の開口部への配置状態を示す斜視図である。
【図4】同上の取付器具にピポット軸を枢支させる施工を説明する説明図であって、ピポット軸を取付器具の軸導入溝にスライド挿入させる状態を示す部分斜視図である。
【図5】同上の取付器具にピポット軸を枢支させる施工を説明する説明図であって、ピポット軸を固定部材のスライドにより枢支した状態を示す部分斜視図である。
【図6】同上の取付器具にピポット軸を枢支させる施工を説明する説明図であって、固定部材を基部に固定する状態を示す部分斜視図である。
【図7】従来技術の折りたたみ扉の取付構造の例の取付器具を示すものであり、(a)は基部の上面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は固定部材の上面図であり(d)は(c)の側面図である。
【図8】同上の折りたたみ扉の開口部への取付け施工を説明する説明図であり、取付器具を開口部の幅方向の一端の床面に設置した状態を示す斜視図である。
【図9】同上の折りたたみ扉の開口部への取付け施工を説明する説明図であり、開口部に上レール部材を取付る状態を示す斜視図である。
【図10】同上の折りたたみ扉の開口部への取付け施工を説明する説明図であり、上レール部材にランナを装着すると共に折りたたみ扉の幅方向の一端の上端を回転自在に枢支した状態を示す斜視図である。
【図11】同上の折りたたみ扉の開口部への取付け施工を説明する説明図であり、取付器具の軸受け孔に折りたたみ扉のピポット軸を挿入する状態を示す斜視図である。
【図12】同上の折りたたみ扉の開口部への取付け施工を説明する説明図であり、折りたたみ扉を開口部に対して斜めにした状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 折りたたみ扉
4 開口部
7 ピポット軸
9 取付器具
10 基部
11 ガイド突条
12 固定部材
13 基部縦孔
14 基部横孔
15 固定部材縦孔
18 軸導入溝
22 軸受け部
24 枢支切欠
A 幅方向
B 幅方向と略直交する方向
Claims (2)
- ヒンジ部を介して連結した複数枚の扉体から構成した折りたたみ扉を壁面等の開口部に開閉自在に配置し、折りたたみ扉の上部のランナを上記開口部の上部に亘る上レール部材にスライド自在に装着し、折りたたみ扉の幅方向の一端の下端に垂下したピポット軸を開口部の幅方向の一端の床面に回転自在に装着した折りたたみ扉の取付構造において、上記開口部の幅方向の一端の床面にピポット軸を固定する取付器具の基部を設置し、上記基部に開口部の幅方向に連続した1対のガイド突条を形成して上記1対のガイド突条の間にピポット軸をスライド自在に挿通し、上記基部に開口部の幅方向と略直交する方向にスライド自在に固定部材を装着して上記ピポット軸に向ってスライドさせた固定部材により上記ピポット軸を位置決め固定したことを特徴とする折りたたみ扉の取付構造。
- 上記取付器具の基部には開口部の幅方向と略直交する方向に長い長孔状の基部縦孔と開口部の幅方向に略平行方向に長い長孔状の基部横孔とを設け、取付器具の固定部材には開口部の幅方向と略直交する方向に長い長孔状の固定部材縦孔を設け、上記床面に打入した固着具を基部縦孔に挿入して基部を床面に対して開口部の幅方向と略直交する方向に位置決め固定し、上記基部横孔と固定部材縦孔とを重ね合わすと共に基部横孔及び固定部材縦孔に挿入した固着具を介して固定部材を基部に水平方向にスライド自在に装着したことを特徴とする請求項1に記載の折りたたみ扉の取付構造。
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JP2001157990A JP3619842B2 (ja) | 2001-05-28 | 2001-05-28 | 折りたたみ扉の取付構造 |
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