JP3619392B2 - ミラブルシリコーン樹脂商品とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は衣料品やバッグ類等の服飾関連付属品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワッペンに関する発明および考案としては、例えば特開昭61−280803「ワッペンの製造方法」、特開平2−182499「ワッペンおよびその製造方法」、実用新案登録第3000345号「ワッペン」等、数多くのものが提案されている。しかし、いずれもフェルト、不織布、合成樹脂スポンジ、天然樹脂成分を含む樹脂材料や接着剤等を使用するものであり、種々材料の組み合わせやその接合方法が非常に複雑であり、しかも加工時や、洗濯等の使用中にワッペンが割れる等の問題があった。
【0003】
また特公平5−66122「突出模様を有する皮革状シートから成るワッペン」においても、使用する素材のために、伸縮性柔軟性、装飾性の高さに問題があり、かつ、皮革状シートから染「移染」するという問題があった。この染料の「移染」は、染色済み合成皮革にシリコーン樹脂を組み合わせた商品において、合成皮革の染料がシリコーン樹脂を通過し、表面をウレタン樹脂等でコーティングした衣料品に接した場合に、衣料生地へ染料が移染することをいう。
【0004】
またテープ状ファスナーに関しては特公平3−79001「テープ状フアスナーの製造方法」、伸縮性を有する布・バンドの考案では実開昭61−31732「エラステイックな図柄を有する布・バンド」があるが、いずれも製造方法や使用性能において高い利便性と性能を期待することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラスチックと金属、プラスチックとプラスチック、合成皮革とゴムといった単純な構成ではなくて、ソフトな感触や透明感等を備えた、全く新しい機能と装飾性を持ち、かつ衣料品に接しても、染料が移染することがない、ワッペン、ファスナー引き手、釦、バックル、紐止めパーツ等の衣料品・バッグ類等の付属品の開発がのぞまれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ミラブルシリコーン樹脂に室温硬化シリコーン樹脂(以下RTVシリコーン樹脂という)を組み合わせることによって前記課題を解消した。
すなわち、本発明は、未硬化のミラブルシリコーン樹脂シートを作成し、該シートを金型の凹凸形状に合わせて切り出して金型に充填し圧縮成型して硬化させる成型方法を用い、金型に凹部を設け、この凹部に予めRTVシリコーン樹脂を流し込んでおき、それによってミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂とを組み合わせて成形することを特徴とする衣料品、バッグ類等の服飾関連付属品の製造方法である。
さらに、未硬化のミラブルシリコーン樹脂シートを作成し、該シートを金型の凹凸形状に合わせて切り出して金型に充填し圧縮成型して硬化させる成型方法を用い、凹部をもつミラブルシリコーン成型品を成形し、その凹部にRTVシリコーン樹脂を流し込んでミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂とを組み合わせ硬化させることを特徴とする衣料品、バッグ類等の服飾関連付属品の製造方法である。
また、上記方法を用いて、ワッペン、ファスナー引き手の飾りパーツ、釦、バックル、紐止めパーツを成形する。
請求項1及び2を含むこの明細書の記載において、「服飾関連付属品」とは、衣料品、バッグ類等に用いるワッペン、ファスナー引き手の飾りパーツ、釦、バックル、紐止めパーツをいう。
【0007】
【発明の実施の形態】
使用するミラブルシリコーン樹脂は、加硫剤を加えてロール等の混練機で練った後に金型成型や押し出し成型を行うことができるシリコーン樹脂であり、例えば東芝シリコーン株式会社製等がある。金型は素材に真鍮等を用い、その構造は実質的に一対の金型からなり、一方の金型のデザイン面は凹面、他方の金型は平面もしくはデザインを形成する凸部を設け、金型の周囲には、シリコーン樹脂が逃げるためのオーバーフローを設ける。
RTVシリコーン樹脂は、ミラブルシリコーン樹脂が未硬化の状態でシートを形成できるのに対して、常態において流動性をもつ樹脂である。
【0008】
成型にあたっては、予め混練機によりシリコーン樹脂コンパウンド及び加硫剤及び顔料を練り合わせて未硬化のミラブルシリコーン樹脂のシートを作成する。次に各々デザイン形状に応じてミラブルシリコーン樹脂をカッター及び抜き刃等で切り取って金型に充填し、油圧プレス機等により圧縮し硬化させて成型する。
なお、成型方法には a)予めRTVシリコーン樹脂を金型凹部に流し込んでおいてから、ミラブルシリコーン樹脂を充填して成型する方法、b)成型したミラブルシリコーン樹脂の凹部にRTVシリコーン樹脂を流す方法がある。また、c)これらを組み合わせた方法、即ち予めRTVシリコーン樹脂を金型凹部に流し込んでおき、これにミラブルシリコーン樹脂を充填し成型し製品とし、得られた製品の凹部にさらにRTVシリコーン樹脂を流す方法がある。
上記の、b)成型したミラブルシリコーン樹脂に後からRTVシリコーン樹脂を流す方法によると、予めRTVシリコーン樹脂を金型凹部に流し込むのが困難な非常に微細な凹部をもつ成形品に対しても、手作業や注入装置により、RTVシリコーン樹脂を流し込むことができる。
【0009】
本発明によれば、ワッペン等に装飾性を付与することが容易である。製品の表面層に透明のシリコーン樹脂を用い、内部に着色された色柄模様を形成するワッペン等を挿入すれば、中の色柄模様も見えて、装飾性に面白い変化を付けることができ、透明感を持つ商品が得られる。その他、金属パーツ等のインサートも自由に行うことができ、商品展開の幅を非常に広くすることができる。また、シリコーン樹脂同志の組み合わせなので、商品全体の伸縮性や柔軟性が大きく、ソフトな感触を持つ商品となる。
【0010】
本発明によれば、ソフトな感触や透明感新しい機能と装飾性を持ち、金属パーツ等のインサートも自由で、商品展開も非常に幅広く、かつウレタン樹脂等の樹脂コーティングした衣料品に接して移染する事がない衣料品やバッグ類等の服飾関連付属品を製造することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の製造方法を実施例により説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
図6は予めRTVシリコーン樹脂を金型凹部に流し込んでおいてミラブルシリコーン樹脂シートを切って金型に充填し服飾関連付属品を成型する方法を説明するための要部断面図である。
【0012】
図6は、ミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂を組み合わせた製品を製造するための金型を示し、1aは一方の金型、1bは、他方の金型を示す。金型1bには、RTVシリコーン樹脂を収容する凹部3が形成されている。2は、金型1a,1bの凹凸形状に合わせて切ったミラブルシリコーン樹脂シート部材である。
予めRTVシリコーン樹脂を金型凹部3に流し込んでおき、ついでミラブルシリコーン樹脂シート2を切って金型1a,1bに充填し、金型を圧縮し、樹脂を硬化させて服飾関連付属品を成型する。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、ソフトな感触や透明感等を備え新しい機能と装飾性を持ち、金属パーツ等のインサートも自由で商品展開も非常に幅広く、かつウレタン樹脂等の樹脂コーティングした衣料品に接して移染することがない、衣料品やバッグ類等の服飾関連付属品の製造に大きく寄与る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の製造方法によって作られたミラブルシリコーン樹脂製本体に、RTVシリコーン樹脂の図柄を組み合せて成形したの紐止めパーツを示す斜視図。
【図2】図2は本発明の製造方法によりミラブルシリコーン樹脂製の本体にRTVシリコーン樹脂を組み合わせて成した紐止めパーツを示す斜視図。
【図3】図3は本発明の製造方法によミラブルシリコーン樹脂製の本体にRTVシリコーン樹脂を組み合わせて成したワッペンの平面図。
【図4】図4は本発明の製造方法によミラブルシリコーン樹脂製の本体にRTVシリコーン樹脂を組み合わせて成したファスナー引き手の飾りパーツの斜視図。
【図5】図5は予めRTVシリコーン樹脂を金型内の凹部に流しておき、ミラブルシリコーン樹脂シートの断片を金型に充填し、ミラブルシリコーン樹脂シートと突出したRTVシリコーン樹脂部をもつ服飾関連付属品を成する方法を説明するための要部断面図。
【図6】図6は本発明の製造方法によ、ファスナー引き手用金具を金型にインサートしておき、ミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂を組み合わせて成型したファスナー引き手の飾りパーツの斜視図。
【図7】図7は本発明の製造方法によ、釦頭部を金型にインサートしておき、これにミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂を組み合わせて成型する釦の斜視図。
【図8】図8は本発明の製造方法によ、ファスナー引き手用金具を金型にインサートしておき、これにミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂を充填して成型したファスナー引き手の斜視図。
【符号の説明】
1a 一方の金型
1b RTVシリコーン樹脂を流し込むための凹部を設けた他方の金型
2 樹脂シートを金型の凹凸形状に合わせて切った部材
3 金型凹部に流したRTVシリコーン樹

Claims (7)

  1. 未硬化のミラブルシリコーン樹脂シートを作成し、該シートを金型凹凸形状に合わせて切り出して金型に充填し圧縮成型して硬化させる成型方法を用い、金型に凹部を設け、この凹部に予めRTVシリコーン樹脂を流し込んでおき、それによってミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂とを組み合わせて成形することを特徴とする衣料品、バッグ類等の服飾関連付属品の製造方法。
  2. 未硬化のミラブルシリコーン樹脂シートを作成し、該シートを金型凹凸形状に合わせて切り出して金型に充填し圧縮成型して硬化させる成型方法を用い、凹部をもつミラブルシリコーン成型品を成形し、その凹部にRTVシリコーン樹脂を流し込んでミラブルシリコーン樹脂とRTVシリコーン樹脂とを組み合わせて硬化させることを特徴とする衣料品、バッグ類等の服飾関連付属品の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって得られたワッペン。
  4. ファスナー引き手用金具を金型にインサートしておき、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって得られたファスナー引き手の飾りパーツ。
  5. 釦頭部を金型にインサートしておき、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって得られた釦。
  6. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって得られたバックル。
  7. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって得られた紐止めパーツ。
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