JP3619262B2 - 厚膜抵抗体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は厚膜抵抗体を製造するのに有用な組成物に関し、特に導電部品として酸化ルテニウムを使用する組成物に関する。
【0002】
なお、本明細書の記述は本件出願の優先権の基礎たる米国特許出願第08/071,883号(1993年6月7日出願)の明細書の記載に基づくものであって、当該米国特許出願の番号を参照することによって当該米国特許出願の明細書の記載内容が本明細書の一部分を構成するものとする。
【0003】
【従来の技術】
厚膜抵抗体電気部品、厚膜ハイブリッド回路等に広く使用される厚膜抵抗体組成物は、絶縁体基板の表面に形成された導電体パターンまたは電極の上に組成物をプリントし、次いでこのプリントを焼成することにより、抵抗体厚膜を調製するための組成物である。
【0004】
厚膜抵抗体組成物は導電性成分と無機バインダとを有機媒体(ビヒクル)中に分散させることにより調製される。導電性成分は厚膜抵抗体の電気的性質を決定するのが主な役割であり、酸化ルテニウム等はこの成分として使用されている。無機バインダはガラスを含み、主な役割は厚膜の一体性を保つとともに厚膜を基板に結合することである。有機媒体は組成物の適用特性、特にレオロジーに影響する。
【0005】
酸化ルテニウムを導電性成分として使用する厚膜抵抗体組成物をハイブリッドマイクロ電子回路またはチップ抵抗体用に使用するときは、抵抗体の電気的安定性が高く、特にその静電放電(Electrostatic Discharge:ESD)が小さいことが重要である。このことは上述の組成物がビヒクルとして、すなわち、自動車のイグニション装置として使用されるときは特に重要である。
【0006】
例えば、スパークのように10〜20kVのようなかなり高い電圧が自動車のイグニション装置の回路に適用されることがある。ESDはこの高電圧に対する抵抗体の電圧耐性の指標として役立つ。このパラメータはある電圧の静電気を適用する前と適用した後の抵抗値の%変化として表される。これまで自動車用の厚膜抵抗体のESDは5kVの適用の前後の値に基づいて評価されている。しかしながら、最近は、25kVのようなより高い電圧負荷の下での電圧耐性が要求されるようになった。従って、5kVだけでなく25kVにおいても小さいESDに対する要求がある。
【0007】
厚膜抵抗体の電圧耐性は抵抗体中の酸化ルテニウムの割合を変えることによってある程度調節することができる。しかしながら、所望の抵抗を得ることができないか、または焼成された生成物の表面状態が劣化することがある。この欠点を埋め合わせるため、すなわち厚膜抵抗体中の酸化ルテニウムの割合を変えることなく電圧耐性を調節するために、抵抗体中の無機バインダとしてのガラスの処方を変えることも可能である。しかしながら、ガラスの処方を変えると抵抗の温度係数(TCR)の長さ効果を悪化させることがあるか、あるいはオーバーコートガラスとの焼成により抵抗とTCRの変化が増加することがある。
【0008】
酸化ルテニウムの種類を変えることにより厚膜抵抗体の電圧耐性と表面状態を改善する試みがなされている。酸化ルテニウムはそれらの平均比表面積の大きさによって分級され、比表面積が大きいほどESDがよい。従って、比表面積がより大きい酸化ルテニウムを使用するとESDが改善される。
【0009】
しかしながら、ESDが改善できたとしても、所望の抵抗値が得られない、あるいはTCRが許容範囲を超えるという問題が起きることがある。従って、ESDが良好であり、抵抗とTCRが調節可能な値である厚膜抵抗体組成物が望まれている。
【0010】
さらに、自動車用の厚膜抵抗体においては、焼成された表面(化粧面)が平滑であることが重要である。招請された厚膜抵抗体の表面上体は単に外観に影響するだけではなく、粗い表面は全体としての種々の電気的特性を劣化させる傾向があり、ばらつきが大きくなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、ESDを典型とする高電圧耐性特性ならびに調節可能な抵抗とTCRとをもつ厚膜抵抗体組成物を提供することである。
【0012】
本発明の第二の目的は、上述の性質に加えて平滑な表面状態をもつ厚膜抵抗体を提供することができる厚膜抵抗体組成物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上述の目的は、厚膜抵抗体組成物であって、
(a)導電性成分として酸化ルテニウムの粉砕された固形物を7〜35重量%、
(b1)無機バインダとして第1のガラスを7〜50重量%、および
(b2)無機バインダとして第2のガラスを7〜57重量%
含み、但し、(a)、(b1)および(b2)の重量%は無機固形物の全含有量を基準とし、
上記第1のガラスは、30〜60重量%のSiO,5〜30重量%のCaO,1〜40重量%のB,0〜50重量%のPbO,0〜20重量%のAlおよびこれらの混合物であって、SiO,CaO,B,PbO,Alの全量が上記第1のガラスの95重量%以上からなり、
上記第2のガラスは、PbO−SiOおよびそれらの混合物であって、PbOが上記第2のガラスの50重量%以上からなり、
上記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、(1)平均比表面積が30m/g以上であり、かつ平均晶子サイズが160オングストローム以上であるか、あるいは(2)平均比表面積が18m/g以上30m/g未満であり、かつ平均晶子サイズが220オングストローム以上であることを特徴とする厚膜抵抗体組成物によって達成される。
【0014】
ここで、上記導電性成分として、さらに、ルテニウムパイロクロールを30重量%以下含有してもよい。
【0015】
前記粉砕された固形物は、平均比表面積が30m /g以上であり、かつ平均晶子サイズが220オングストローム以上であってもよい。
【0016】
前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%に対して、比表面積が30m /g以下であり、かつ晶子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウムの固形物を30〜70重量%と、比表面積が50m /g以上であり、かつ晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの固形物を70〜30重量%とを含有してもよい。
【0017】
前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%に対して、平均比表面積が30m /g以下であり、かつ平均晶子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウムの第1の固形物を30〜70重量%と、平均比表面積が50m /g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの第2の固形物を70〜30重量%とを含有してもよい。
【0018】
酸化ルテニウムはルテニウムパイロクロールであってもよい。
【0020】
第3のガラスとして0〜43重量%のPbO−SiO からなり、軟化点が前記第1のガラスよりも低いが前記第2のガラスより高くなるように調製されたガラスを含有してもよい。
【0021】
リチウム、カリウムおよびナトリウムの酸化物を含有してもよい。
【0022】
0〜15重量%のNb を含有してもよい。
【0023】
エチルセルロースおよびβ−テルピノールを含有してもよい。
【0024】
【作用】
本発明者らは酸化ルテニウムを導電性成分として含有する厚膜抵抗体組成物の電圧耐久特性のような電気的特性や表面状態は酸化ルテニウムの比表面積のみによって影響を受けるのではなく、酸化ルテニウムの晶子サイズもこれらの性質に影響を与えることを見出した。これらの発見に基づいて本発明が達成された。
【0025】
本発明の特長は、これまで平均比表面積だけで分級されていた酸化ルテニウムの平均晶子サイズに注目し、特定の値の平均比表面積と平均晶子サイズとをもつ酸化ルテニウムを使用したことにある。本発明者らは比表面積が一定のときは、厚膜抵抗体の抵抗とTCRは晶子サイズの変化に対してほぼ線形関係にあること、および晶子サイズが一定のときは、これらのパラメータは比表面積の変化に対してほぼ線形関係にあることを見出した。これらの関係から、本発明者らは本発明の範囲内の平均比表面積と平均晶子サイズの適当な値を選択し、それにより満足なESDと所望の抵抗およびTCRを持つ厚膜抵抗体組成物を得ることを可能にした。
【0026】
本発明者らは、また、酸化ルテニウムの比表面積が同じ場合でも、得られる厚膜抵抗体の表面状態は晶子サイズによって変化し、それにより満足なESDと平滑な表面状態を有する厚膜抵抗体を得ることができる。
【0027】
従って、本発明に従って限定された特定の範囲の平均比表面積と平均晶子サイズの2つのパラメータを有する酸化ルテニウムを使用すると厚膜抵抗体の性質を調節することが可能である。
【0028】
本発明で使用する酸化ルテニウムの粉砕された固形物の平均比表面積はQUANTA CHROMEの表面積測定装置を使用するB.E.T.モナディック(monadic)テストにより測定される酸化ルテニウムの粉砕された固形物の平均比表面積をいう。
【0029】
次に、酸化ルテニウムの粉砕された固形物の平均晶子サイズについて説明する。酸化ルテニウムの粉砕された固形物は多くの粒子を含み、それぞれの粒子は一般に多結晶であり複数の結晶で構成されている。晶子は個々の結晶をいい、晶子サイズはこれらの晶子の直径を意味する。酸化ルテニウムの粉砕された固形物の平均晶子サイズは酸化ルテニウムの4つの代表的な結晶面、(110)、(101)、(211)および(220)、のピークの半値幅をX線回折計により測定し、その結果から計算することにより決定される。計算はリガク(Rigaku)の計算ソフトウェア「晶子のサイズと格子歪み」(Size and lattice distortion of crystallites)を使用して理論的に行われる。これらの測定および計算はシェラー(Scherrer)の等式を使用するが、それらの詳細はリガク(Rigaku)により出版された「X線回折ハンドブック」(A Handbook of X−Ray Diffracion)に記載されている。
【0030】
本発明の厚膜抵抗体組成物の成分についてより詳細に説明する。
【0031】
本発明の厚膜抵抗体組成物中に導電性成分として含有されている酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、平均比表面積が30m /g以上であり、かつ平均晶子サイズが160オングストローム以上であるか、あるいは(2)平均比表面積が18m /g以上30m /g未満であり、かつ平均晶子サイズが220オングストローム以上のものである。
【0032】
本発明において使用される好適な酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、平均比表面積が30m /g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングストローム以上のものである。両パラメータがこの範囲内の酸化ルテニウムを使用すると、ESDのような電気的特性だけでなく表面状態も満足な厚膜抵抗体を得ることができる。そのような酸化ルテニウムの粉砕された固形物の例としては、粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%に対して、比表面積が30m /g以下であり、かつ晶子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウムの固形物を30〜70重量%と、比表面積が50m /g以上であり、かつ晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの固形物を70〜30重量%とを含有するもの;あるいは、粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%に対して、平均比表面積が30m /g以下であり、かつ平均晶子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウムの第1の固形物を30〜70重量%と、平均比表面積が50m /g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの第2の固形物を70〜30重量%との混合物である。好適な酸化ルテニウムの第1の固形物は比表面積が30m /g以下であり、かつ晶子サイズが350オングストローム以上のものである。好適な酸化ルテニウムの第2の固形物は比表面積が50m /g以上であり、かつ晶子サイズが200オングストローム以下のものである。酸化ルテニウムの第1の固形物と酸化ルテニウムの第2の固形物の好適な割合は、厚膜抵抗体組成物中の酸化ルテニウムの粉砕された固形物全体100重量%に対して、酸化ルテニウムの第1の固形物が60〜70重量%、酸化ルテニウムの第2の固形物が30〜40重量%の割合である。
【0033】
本発明で使用される酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、別々に調製した酸化ルテニウムの第1の固形物と酸化ルテニウムの第2の固形物とを混合することにより得られるが、それらを得る方法は混合に限定されない。平均比表面積が30m /g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングストローム以上の酸化ルテニウムは適当な酸化ルテニウム材料から直接製造し、本発明において使用してもよい。あるいは、酸化ルテニウムの第1の固形物と酸化ルテニウムの第2の固形物とを含有する製品を適当な方法で酸化ルテニウム材料から製造し、本発明に使用してもよい。
【0034】
そのような種々の比表面積と晶子サイズを有する種々の酸化ルテニウムの固形物は例えば酸化ルテニウム材料を加熱し粉砕することによって製造することができる。
【0035】
酸化ルテニウム材料を加熱すると、酸化ルテニウム材料の焼結が進行するにつれて晶子が徐々に成長し、平均晶子サイズが増大し、平均比表面積が減少する。この場合、加熱温度と加熱時間を選ぶと、同じ酸化ルテニウム材料から異なった平均晶子サイズと異なった平均比表面積を有する種々の酸化ルテニウムの固形物を製造することができる。例えば、平均比表面積が約50m /gであり、かつ平均晶子サイズが約133オングストロームの酸化ルテニウムを約2時間役600℃で加熱すると、平均晶子サイズは徐々に増加し、平均比表面積は徐々に減少して、最終製品として平均比表面積が約5.5m /gであり、かつ平均晶子サイズが約440オングストロームの酸化ルテニウムが得られる。加熱温度を300〜600℃範囲内に、加熱時間を約1〜2時間の範囲内に調整することにより、平均晶子サイズと平均比表面積が出発材料と最終製品の間にある種々の酸化ルテニウムの固形物を製造することができる。
【0036】
このように加熱処理された酸化ルテニウムを粉砕すると、平均比表面積が増加し平均晶子サイズが減少する。粉砕前の固形物の比表面積と晶子サイズを選択することにより、あるいは粉砕時間のような粉砕条件を選択することにより、異なった平均晶子サイズと異なった比表面積とを有する種々の酸化ルテニウムの固形物を製造することができる。加熱処理と粉砕とをこのように組み合わせると所望の平均晶子サイズと平均比表面積を有する酸化ルテニウムの固形物を製造することが可能である。
【0037】
本発明において使用する酸化ルテニウムの固形物としては、上述のような加熱・粉砕方法により得られる製品を使用することが好ましいが、本発明に使用できる方法はそれらに限定されない。
【0038】
本発明の厚膜抵抗体組成物中の酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、有機媒体を含有する組成物としての全重量に対して、5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量に対しては、その割合は7〜35重量%、好ましくは15〜30重量%である。無機固形物の全含有量は導電性成分と無機バインダの総量をいう。本発明の組成物が導電性成分と無機バインダに加えて無機添加剤を含有する場合は、無機固形物の全含有量はこれらの無機添加剤を含むものとする。
【0039】
本発明の厚膜抵抗体組成物は導電性成分として、酸化ルテニウム以外にも酸化ルテニウムパイロクロール(ruthenium pyrochlore oxides)を含有してもよい。酸化ルテニウムパイロクロールはRu+4,Ir+4またはこれらの混合物(M″)の多成分化合物であり次式(数1)で表される酸化パイロクロール(pyrochlore oxides)の種類であ。
【0040】
【数1】
(M Bi2−x )(M′ M″2−y )O7−z
上式中、Mはイットリウム、タリウム、インジウム、カドミウム、鉛、銅および希土類金属よりなる群から選ばれ;M′は白金、チタン、クロム、ロジウムおよびアンチモンよりなる群から選ばれ;M″はルテニウム、イリジウムまたはこれらの混合物であり、;xは0〜2を表し(ただし、一価の銅についてはx≦1である);yは0〜0.5を表し(ただし、M′がロジウム、または白金、チタン、クロム、ロジウムおよびアンチモンの2つ以上であるときは、yは0〜1である);かつzは0〜1を表す(ただし、Mが二価の鉛またはカドミウムであるときは、zは約x/2以上である)。
【0041】
これらの酸化ルテニウムパイロクロールは米国特許第3,583,931号公報明細書に詳細に記載されている。好適な酸化ルテニウムパイロクロールはルテニウム酸ビスマス(Bi Ru )とルテニウム酸鉛(Pb Ru )。これらの化合物は純粋な形で容易に得られ、ガラスバインダにより悪影響を受けず、比較的小さいTCRを有し、空気中で約1,000℃に加熱しても安定であり、還元性雰囲気中でも比較的安定である。より好ましいのはルテニウム酸鉛(Pb Ru )である。他のパイロクロールPb1.5 Bi0.5 Ru6.20およびCdBiRu6.5 も使用することができる。これらのパイロクロール化合物すべてについてy=0である。
【0042】
本発明において、酸化ルテニウムパイロクロールは微細に粉砕されたものである。その比表面積と晶子サイズについては限定されない。酸化ルテニウムパイロクロールは有機媒体を含有する組成物の全重量に対して0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量に対しては、この割合は0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%となる。
【0043】
本発明の厚膜抵抗体組成物中の無機バインダの例は厚膜抵抗体組成物に一般に使用される種々のガラスである。それらは約23〜34重量%のSiO を含有する珪酸鉛ガラスと、約23〜34重量%のSiO 、約52〜73重量%のPbO、および約4〜14重量%のB を含有する硼珪酸鉛ガラスとを含む。
【0044】
本発明において無機バインダとして使用することができるガラスの処方例を表1および表2に示す。これらの表中にリストされているガラスの例は通常の製造方法により製造することができる。
【0045】
【表1】
Figure 0003619262
【0046】
【表2】
Figure 0003619262
【0047】
本発明の厚膜抵抗体組成物において、上掲のガラスを無機バインダとして使用することができる。
【0048】
30〜60重量%のSiO ,5〜30重量%のCaO,1〜40重量%のB ,0〜50重量%のPbO,0〜20重量%のAl を含有する第1のガラスであって、SiO ,CaO,B ,PbO,Al の全量が前記第1のガラスの95重量%以上からなるものと、PbO−SiO を含有する第2のガラスであって、PbOが前記第2のガラスの50重量%以上からなるものとの混合物を使用すると、良好な効果が得られる。すなわち、厚膜抵抗体のESDと表面状態が改善され、TCRの長さ効果が最小となり、オーバーコートガラスの焼成による抵抗とTCR」の変化も小さい。抵抗とTCRの長さ効果が小さいことは抵抗のパッド(pad)長さ(幅)の変化、例えば、0.8mm×0.8mmから0.5mm×0.5mmへの変化に応答する抵抗とTCRの変化が小さいことを意味する。
【0049】
上述の第1のガラスは酸化鉛を50重量%までしか含有していないので、一般に高軟化点を持つガラスである。第2のガラスは酸化鉛を50重量%以上含有するので、一般に低軟化点を持つガラスである。
【0050】
第1のガラスと第2のガラスはそれぞれ単独ではガラスバインダまたは厚膜抵抗体組成物として使用することができない。というのは、前者は焼結せず、後者はガラスとしてはやわらかすぎ抵抗体の形状が悪くなる。単独では使用できないそのようなガラス同士を混合することにより、本発明はTCRの長さ効果が最小であり、オーバーコートガラスの焼成による抵抗とTCRの変化が小さい厚膜抵抗体を達成した。このことはまったく予想できなかった。
【0051】
第1のガラスはSiO ,CaO,B ,PbO,Al の総量がガラスの95重量%以上を占めるガラスである。SiO の量は30重量%以上であることが必要である。これより少ないと十分に高い軟化点が得られない。しかしながら、この量は60重量%以下でなければならない。これより多いと結晶化したSiが生じることがある。CaOの量は5重量%以上であることが必要であるが、30重量%以下でなければならない。30重量%を超える量はCaを他の元素とともに結晶化させることがある。B の量は1重量%以上であることが必要であるが、40重量%以下でなければならない。これより多いとガラスを形成しないことがある。PbOの量は50重量%以下でなければならない。50重量%を超える量は十分に高い軟化点が得られない。好ましくは、0〜30重量%、さらに好ましくは0〜20重量%である。Al の量は20重量%以下でなければならない。20重量%を超える量はガラスを形成しない。好ましい量は0〜5重量%である。
【0052】
第1のガラスは有機媒体を含有する組成物の全重量に対して5〜35重量%、好ましくは10〜25重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量にたいしては、この割合は7〜50重量%、好ましくは14〜36重量%となる。
【0053】
第2のガラスはPbO含有量50重量%以上のPbO−SiO ガラスである。第1のガラスを第2のガラスと組み合わせて使用したときにのみ抵抗体TCRの長さ効果の減少とオーバーコートガラスの焼成による抵抗とTCRの減少または変化が見られる。
【0054】
第2のガラスは好ましくは50〜80重量%のPbO、10〜35重量%のSiO 、0〜10重量%のAl 、1〜10重量%のB 、1〜10重量%のCuOおよび1〜10重量%のZnOを含有し、PbO,SiO ,Al ,B ,CuO,ZnOの総量がガラスの95重量%以上からなるガラスである。この処方の第2のガラスと上述の第1のガラスを混合することにより、TCRの長さ効果とオーバーコートガラスの焼成によるTCRの変化が最小化され、焼結特性も改善される。
【0055】
第2のガラスは、有機媒体を含有する組成物の全重量に対して5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量に対しては、この割合は7〜57重量%、好ましくは14〜50重量%となる。
【0056】
本発明の厚膜抵抗体組成物は第3のガラスをガラスバインダとして含有してもよい。この第3のガラスは軟化点が第1のガラスの軟化点よりも低いが第2のガラスの軟化点よりも高くなるように調製されたPbO−SiO ガラスである。例えば、その処方は65重量%のPbO、34重量%のSiO および1.0重量%のAl である。
【0057】
第3のガラスは有機媒体を含有する組成物の全重量に対して0〜30重量%、好ましくは5〜25重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量に対しては、この割合は0〜43重量%、好ましくは7〜36重量%となる。
【0058】
本発明において無機バインダとして使用されるガラスは、第1、第2および第3のガラスを含むが、さらに5重量%未満の、厚膜抵抗体の熱膨張係数とガラスバインダの熟成温度を調製する成分を含有してもよい。通常の基体である96%アルミナセラミックは熱膨張係数が75×10−7/℃であり、そのため厚膜抵抗体の熱膨張係数はそれより小さいのが好ましい。熱膨張係数は珪素、酸化鉛および酸化硼素の含有量を調整することにより調節することができる。リチウム、カリウムまたはナトリウムの酸化物を少量導入すると熱膨張係数を調節することができる。酸化リチウムはガラスバインダ成分中に約3重量%導入するのが有利である。バインダ中に少量のZrO および/またはTiO とともにLiO を導入すると熱膨張係数に対する効果以外にも良い効果が得られる。約4%以下の量のZrO を添加するとガラスのアルカリ溶液への溶解に対する耐性を増すのに対して、TiO はガラスの酸による腐蝕に対する耐性を増す。ガラスがPbO無添加アルミノ硼珪酸亜鉛である場合は、Na Oを導入すると良好な熱膨張係数範囲を得ることができる。
【0059】
ガラスバインダとしての第1,第2および第3のガラスは通常のガラス製造技術により製造することができる。すなわち、それらのガラスは所望の成分またはそれらの前駆体、例えばB に対するH BO 、を所望の割合で混合し、混合物を加熱してメルトを形成することにより製造することができる。当業者には周知のように、加熱はメルトが完全に液状となりガスが発生しなくなるまでピーク温度に加熱して行う。本発明では、ピーク温度は1,100〜1,500℃、通常は1,200〜1,400℃の範囲である。ついで、メルトは典型的には冷ベルト上に、または冷流水中に注がれ冷却される。ついで、製品は所望により粉砕して粒径を減少させる。
【0060】
さらに詳しくは、これらのガラスは電気的に加熱されたシリコンカーバイド炉内の白金坩堝中に配置して約20分間〜1時間約1,200〜1,400℃で溶融することにより製造することができる。回転または振動ミルを用いて処理することにより、最終粒径を1〜4m /gに調整することができる。振動ミル処理は無機粉末とアルミナシリンダを水性媒体とともに容器中に置き、次いで容器を特定の時間振動させることにより行われる。
【0061】
本発明の厚膜抵抗体組成物はさらにNb のような無機添加物を含有してもよい。Nb は厚膜抵抗体の導電性に寄与する。無機添加物は、有機媒体を含有する組成物の全重量に対して0〜10重量%、または無機固形物の全含有量に対して0〜15重量%、の割合で使用される。
【0062】
これらの無機固形物は有機媒体(ビヒクル)中に分散されて印刷可能な組成物のペーストとなる。有機媒体は組成物の全重量に対して20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%の割合で使用される。
【0063】
任意の不活性液体をビヒクルとして使用することができる。ビヒクルとして水および種々の液体であってそれぞれ増粘剤および/または安定化剤および/または他の通常の添加剤を含有しあるいは含有しないものの1つを使用してもよい。使用できる有機液体の例としては脂肪族アルコール類、そのようなアルコール類のエステル類(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル)、松根油またはテルピノールのようなテルペン類、および樹脂類(例えば、低級アルコールのポリメタクリル酸エステルまたはエチルセルロース)の溶液がある。溶剤(例えば、松根油およびエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテル)中に、すなわちビヒクル中に、基体に適用後の急速な固化を促進するための揮発性液体を含有させてもよい。あるいは、ビヒクルはそのような揮発性液体からなるものであってもよい。好適なビヒクルはエチルセルロースとβ−テルピネオールをベースとしている。
【0064】
本発明の厚膜抵抗体組成物はロールミルにより調製することができる。
【0065】
本発明の抵抗体組成物はフィルムとしてセラミック、アルミナその他の誘電性基体上に通常の方法によってプリントすることができる。アルミナ基体を使用し、予備焼成されたパラジウム−銀端子上にプリントするのが有利である。
【0066】
一般に、スクリーン型(screen stencil)技術を好適に使用することができる。得られたプリントパタンは一般にレベリングのために放置され、約10分間高温、例えば150℃、で乾燥される。次いで、空気中でベルト炉(belt furnace)内で約150℃のピーク温度で焼成される。
【0067】
下記は厚膜抵抗体組成物の種々の特性の試験方法の説明である。
【0068】
(1)厚膜抵抗体組成物ペーストの調製方法
ビヒクルを所定量の無機固形物に添加し、混合物をロールミルで混練してペーストとする。
【0069】
(2)プリントおよび焼成
Pd/Ag厚膜導体を、1インチ×1インチ(25mm×25mm)の96%アルミナ基体上に乾燥膜厚18±2μmになるようにプリントし、次いで150℃で10分間乾燥する。
【0070】
次いで、厚膜抵抗体組成物ペーストを0.8mm×0.8mmまたは0.5mm×0.5mmのサイズにプリントする。コーティングの厚さは得られる乾燥膜圧が18±2μmとなるようにする。このプリントを150℃で10分間乾燥し、次いでベルト炉中で加熱して焼成する。ベルト炉の温度プロファイルはピーク温度の約850℃を10分間維持し、次いで冷却するようにする。焼成時間は加熱中の温度が100℃を超えたときから冷却中の温度が100℃よりも低くなったときまでの期間が30分間であるようにする。
【0071】
(3)抵抗の測定
抵抗の測定は端子パタンプローブ(terminal−patterned probe)を用い、精度0.01%のオートレンジ・オートバランス・デジタル・オームメータ(autorange autobalance digital ohmmeter)を使用して行う。詳しくは、サンプルをチャンバ内の端子ポストに置き、デジタルオームメータと電気的に接続する。チャンバ内の温度は25℃に調整され、平衡化される。次いで、各サンプルの抵抗を測定し、読み取り値を記録する。。
【0072】
次いで、チャンバ内の温度を125℃に上げて平衡化する。次いで、各サンプルの抵抗を再び測定し、読み取り値を記録する。
【0073】
TRCは以下の等式から計算する。
【0074】
【数2】
TCR =((R125C −R25C)/R25C) ×10,000ppm/℃
(4)ESDの測定
5kVにおけるESD(ESD5kV )は5kVの静電気を1パルスで0.8mm×0.8mmの厚膜抵抗体に印加し、適用後の抵抗(R5kV )を測定し、適用前の抵抗(R25C )と比較した%変化を下記の等式から計算することにより決定される。
【0075】
【数3】
ESD5kV=((R5kV−R25C)/R25C) ×100 %
25kVにおけるESD(ESD25kV)は25kVの静電気を1パルスで0.5mm×0.5mmの厚膜抵抗体に印加し、適用後の抵抗(R25kV)を測定し、適用前の抵抗(R25C )と比較した%変化を下記の等式から計算することにより決定される。
【0076】
【数4】
ESD25kV =((R25kV −R25C)/R25C) ×100 %
(5)ノイズおよびデルタノイズの測定
ノイズはレジスタ・ノイズ・テスタ(QUANTECH Inc.製)を用いて測定する。
【0077】
デルタノイズは市場で現在要求されている1kΩおよび10kΩの絶対値同士を結ぶ直線からの測定されたサンプルのノイズの偏差として表される。ノイズの絶対値は抵抗と強く相関しているので、デルタノイズの標準化された評価が有用である。
【0078】
【実施例】
実施例1〜11の厚膜抵抗体組成物は下記のようにして製造した。実施例6〜11は本発明の組成物である。実施例1〜11の組成物はそれぞれ15.00重量%の酸化ルテニウムを導電性成分として、16.89重量%のガラスAと36.31重量%のガラスBを無機バインダとして、1.80重量%の酸化ニオブを無機添加剤として、および30重量%の有機媒体を含有している。
【0079】
抵抗体組成物の製造方法は下記の通りである。表3に示す11種類の粉砕された酸化ルテニウム固形物(RuO −1〜RuO −11)を、出発材料として平均比表面積が50m /gであり、平均晶子サイズが133オングストロームである粉砕された酸化ルテニウム固形物(以下、RuO −A)を使用して製造した。
【0080】
RuO −1はRuO −Aを400℃で2時間加熱することにより製造した。
【0081】
RuO −2はRuO −Aを350℃で2時間加熱することにより製造した。
【0082】
RuO −3はRuO −Aを300℃で1時間加熱することにより製造した。
【0083】
RuO −4はRuO −Aそのものである。
【0084】
RuO −5はRuO −Aを400℃で1時間加熱し、次いで乾燥生成物を200メッシュのスクリーンで裁断(shredded)することにより製造した。約100重量%のRuO −5は晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウム固形物であった。
【0085】
RuO −6はRuO −Aを500℃で2時間加熱し、次いでこれをRuO −5と同じ条件下で粉砕することにより製造した。約80重量%のRuO −6は晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウム固形物であった。
【0086】
RuO −7はRuO −Aを500℃で2時間加熱し、次いで湿ボールミリング時間が70時間であった以外はRuO −5と同じ条件下で粉砕処理をすることにより製造した。
【0087】
RuO −8はRuO −Aを500℃で2時間加熱し、次いでRuO −5と同じ条件下で粉砕処理をするすることにより製造した。
【0088】
RuO −9はRuO −2の粉砕処理をRuO −5と同じ条件下で行うことにより製造した。
【0089】
RuO −10はRuO −6とRuO −5を重量比2:1で含有し、RuO −6とRuO −5を重量比2:1で混合することにより製造した。
【0090】
RuO −11はRuO −6とRuO −5を重量比1:2で含有し、RuO −6とRuO −5を重量比1:2で混合することにより製造した。
【0091】
これらの酸化ルテニウムの平均比表面積と平均晶子サイズを上述の方法により測定した。RuO −10とRuO −11の平均比表面積と平均晶子サイズはRuO −5とRuO −6を所定の割合で混合した混合物の測定値である。測定の結果を表3に示す。
【0092】
無機バインダとして使用したガラスAとガラスBを表4に示す。これらのガラスは所定の材料をガラスの処方によって1,000〜1,700℃で約30分間〜5時間ガスの発生が止むまで加熱溶融し、次いで水中で冷却し、冷却生成物をミリングして比表面積約2〜5m /gとすることにより製造した。
【0093】
有機媒体はエチルセルロース10〜30部とβ−テルピネオール90〜70部の混合物である。
【0094】
これらの成分をそれぞれの組成物にし、プリントし、焼成し、前述のテスト方法に従って特性をテストした。焼成された表面については、焼成後の抵抗体の外観を視覚により観察した。次いで、抵抗体表面の平滑性と導電体および基体上の抵抗体の溶融〜焼結の状態に基づいて表面状態を全体評価し、A、B、C(A:良い、B:中間、C:悪い)とした。結果を表3に示す。この種の厚膜抵抗体における抵抗の好ましい値は、抵抗については1kΩ±30%、さらに好ましくは1kΩ±20%;HTCRについては0±100ppm/℃、さらに好ましくは0±50ppm/℃;デルタノイズについては−2dB以下、さらに好ましくは−5dB以下;ESD5kV については0±1%、さらに好ましくは0±0.5%;およびESD25kVについては0±10%、さらに好ましくは0±5%である。
【0095】
【表3】
Figure 0003619262
【0096】
【表4】
Figure 0003619262
【0097】
本発明の厚膜抵抗体組成物は改善されたESDを示すことが見出された。これは、ほとんど同じ平均晶子サイズを持つが平均比表面積が異なる酸化ルテニウムを使用した実施例1(比較例)と実施例8および実施例2(比較例)と実施例9との比較;ほとんど同じ平均比表面積を持つが平均晶子サイズが異なる酸化ルテニウムを使用した実施例1(比較例)と実施例6、実施例2(比較例)と実施例7および実施例(比較例)4と実施例9との比較;並びにほとんど同じ抵抗値を持つ実施例1(比較例)と実施例7との比較から明らかである。実施例1(比較例)および実施例7に示すように、本発明の範囲の酸化ルテニウムを使用すると、抵抗を実際上一定値に保ったままESDを改善し、TCRを所望の値に近づけることが可能となる。
【0098】
次に、実施例5(比較例)、実施例6、実施例10および実施例11の結果の示すように、比表面積が大きく晶子サイズが小さいRuO −5を使用した実施例5(比較例)は満足なESDを与えるが、表面状態は不満足である。一方、比表面積が小さく晶子サイズが大きいRuO −6を使用した実施例6は表面状態は改善されるが、ESDは悪い。すなわち、ESDの絶対値が大きく、特に25kVにおけるESDは−24.0である。これに対して、30m /g超の大きい平均比表面積を持ちかつ250超の大きい平均晶子サイズを持つRuO −10とRuO −11をそれぞれ使用した実施例10と実施例11はESDと表面状態の双方において優れている。実施例6と実施例10を比較するとわかるように、表面状態は匹敵しているが、ESDは、特に25kVにおいては、実施例10において−9.5であり、実施例10がずっと良いことを実証している。実施例5(比較例)、実施例6、実施例10および実施例11において、抵抗とTCRはいずれも酸化ルテニウムの平均比表面積および平均晶子サイズとほぼ線形関係にある。同じことがノイズとデルタノイズについてもいえる。
【0099】
平均比表面積がほぼ同じであるが平均晶子サイズが異なる実施例3(比較例)、実施例8および実施例10を比較するとわかるように、250オングストローム超の平均晶子サイズを持つ実施例10はESDと表面状態の双方を満足しているが、250オングストローム未満の平均晶子サイズを持つ実施例3(比較例)および実施例8はESDと表面状態の双方を満足している訳ではない。これらの結果は、250オングストローム以上の平均晶子サイズを持つ酸化ルテニウムを使用するとESDはもちろん表面状態においても満足な厚膜抵抗体が得られることを示している。
【0100】
実施例3(比較例)、実施例8および実施例10においては、酸化ルテニウムの平均比表面積はほとんど同じであるが平均晶子サイズは異なるので、抵抗とTCRが異なる。すなわち、平均晶子サイズが増加すると抵抗が増加し、TCRは負の傾向を強める。抵抗の目標値が1kΩ/□であるならば、実施例8は抵抗とTCRとのバランスという意味で有利である。しかし、実施例8は表面状態が粗い。実施例10は抵抗が少し高いが、TCRと表面状態は満足である。これらの発見から示されるように、実施例6と実施例10の間のどこかにある酸化ルテニウムを選択すると抵抗、TCRおよび表面状態がよくバランスされた所望の厚膜抵抗体が得られる。
【0101】
図1は実施例1〜11の酸化ルテニウムの平均比表面積と平均晶子サイズの間の関係を示す。図中、丸印は加熱により得られた酸化ルテニウムを示し、三角印は加熱と粉砕により得られた酸化ルテニウムを示す。菱形印は混合後の酸化ルテニウムを示す。図中の数字は実施例の番号の対応する。実施例1〜11に加えて、加熱と粉砕を実施例1〜11と同じ方法で行って11種類の酸化ルテニウムを製造したので、それらについてのデータも図中に示した。実施例1〜11以外のこれらの酸化ルテニウムを用いて、製造した厚膜抵抗体組成物の種々の特性は実施例1〜11と同じ傾向を示した。
【0102】
【発明の効果】
上述したように、本発明に従う酸化ルテニウムの固形物を含有する厚膜抵抗体組成物は満足な電圧耐久特性を持ち、抵抗とTCRが調節可能であるとともに良好な表面状態を持つ厚膜抵抗体を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜11において製造された酸化ルテニウムの平均比表面積と平均晶子サイズとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1〜11 実施例1〜11に対応

Claims (10)

  1. 厚膜抵抗体組成物であって、
    (a)導電性成分として酸化ルテニウムの粉砕された固形物を7〜35重量%、
    (b1)無機バインダとして第1のガラスを7〜50重量%、および
    (b2)無機バインダとして第2のガラスを7〜57重量%
    含み、但し、(a)、(b1)および(b2)の重量%は無機固形物の全含有量を基準とし、
    前記第1のガラスは、30〜60重量%のSiO,5〜30重量%のCaO,1〜40重量%のB,0〜50重量%のPbO,0〜20重量%のAlおよびこれらの混合物であって、SiO,CaO,B,PbO,Alの全量が前記第1のガラスの95重量%以上からなり、
    前記第2のガラスは、PbO−SiOおよびそれらの混合物であって、PbOが前記第2のガラスの50重量%以上からなり、
    前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、(1)平均比表面積が30m/g以上であり、かつ平均晶子サイズが160オングストローム以上であるか、あるいは(2)平均比表面積が18m/g以上30m/g未満であり、かつ平均晶子サイズが220オングストローム以上であることを特徴とする厚膜抵抗体組成物。
  2. 前記導電性成分として、さらに、ルテニウムパイロクロールを30重量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の厚膜抵抗体組成物。
  3. 前記粉砕された固形物は、平均比表面積が30m/g以上であり、かつ平均晶子サイズが220オングストローム以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の厚膜抵抗体組成物。
  4. 前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%に対して、比表面積が30m/g以下であり、かつ晶子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウムの固形物を30〜70重量%と、比表面積が50m/g以上であり、かつ晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの固形物を70〜30重量%とを含有することを特徴とする請求項3に記載の厚膜抵抗体組成物。
  5. 前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%に対して、平均比表面積が30m/g以下であり、かつ平均晶子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウムの第1の固形物を30〜70重量%と、平均比表面積が50m/g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの第2の固形物を70〜30重量%とを含有することを特徴とする請求項3または4に記載の厚膜抵抗体組成物。
  6. 酸化ルテニウムはルテニウムパイロクロールであることを特徴とする請求項1に記載の厚膜抵抗体組成物。
  7. 第3のガラスとして0〜43重量%のPbO−SiOからなり、軟化点が前記第1のガラスよりも低いが前記第2のガラスより高くなるように調製されたガラスを含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  8. リチウム、カリウムおよびナトリウムの酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  9. 0〜15重量%のNbを含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  10. エチルセルロースおよびβ−テルピノールを含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
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