JP3619093B2 - 車両用ガラスアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等車両用の側部窓ガラスに設けたガラスアンテナに関し、特にFMラジオ放送波とAMラジオ放送波の電波を受信するに好適なガラスアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用のガラスアンテナとしては、後部窓ガラスの加熱用導電線条の上部余白部あるいは下部余白部に設けたアンテナ、前部窓ガラスに線条アンテナを設けたアンテナが知られており、実用化もされているが、前者の後部窓ガラスに設けたアンテナにおいては、防曇用加熱線条等を設けること等により、スペースが少ない上に、視界を妨げる恐れがあるので、アンテナ占有面積が小さくなり、必ずしも充分な受信利得が得られなかった。
【0003】
また、後者の前部窓ガラスに設けたアンテナは、比較的受信利得が高いが、運転者の視界を妨げないように、後部窓ガラス以上に取付場所の制約がある。
【0004】
そこで、このような制約がほとんどなく、しかも比較的面積の大きな側部窓ガラスが装着されたRV車などの普及により、側部窓ガラスに設けたアンテナが注目されている。
【0005】
例えば、特開平10−93317号公報に示されるものは、アンテナ素子がサイドガラスの窓枠エッジに沿ってほぼ1周にわたり配置され、アンテナ素子の給電端子はサイドガラスの1つのコーナーに近接配置され、5mm以上の間隔で5本以上の水平素子が配置されたAM、FM帯用のサイドガラスアンテナが開示されている。
【0006】
また、特開平10−303625号公報に示されるものは、車両の窓ガラス板に設けられた第1のアンテナ導体、第2のアンテナ導体、第3のアンテナ導体、第1の給電点、第2の給電点とからなり、第1のアンテナ導体は複数のアンテナ素子を略平行に設け、各複数のアンテナ素子の一端側にて複数のアンテナ素子を接続することよりなり、第2のアンテナ導体は第1の給電点より延長され、第1のアンテナ導体の周囲を囲むように設けられる半ループ状のアンテナ導体よりなり、第2のアンテナ導体と複数のアンテナ素子の少なくとも1本とが電気的に接続されるようにした、AM放送、FM放送、テレビ放送受信用の車両用ガラスアンテナが開示されている。
【0007】
さらに、特開平10−65430号公報に示されるものは、車両の窓ガラス板に給電点と給電点に接続されたループ状又は半ループ状の主アンテナ導体とが設けられており、主アンテナ導体のループの上部及びループの下部の少なくとも一方に副アンテナ導体を付設し、副アンテナ導体が略縦方向に延長されており、主アンテナ導体と略平衡に補助アンテナ導体が設けられたラジオ及びテレビ放送受信用に適した車両用ガラスアンテナが開示されている。
【0008】
さらにまた、本出願人による特開平10−13127号公報に示されるものは、車両用側部窓ガラスの一つのコーナー部に配設した給電部から下辺あるいは上辺に沿って延びる第1の水平線条と、第1の水平線条から一方の側辺に沿ってほぼ中央部まで延びる第1の垂直線条と、第1の垂直線条からほぼ中央部を水平に延びる第2の水平線条と、第2の水平線条から他方の側辺に沿って第1の水平線条とは反対側の上辺あるいは下辺まで延びる第2の垂直線条と、第2の垂直線条から第1の水平線条とは反対側の上辺あるいは下辺に沿って延びる第3の水平線条を少なくとも具備するようにしたAMラジオ放送波、FMラジオ放送波の受信に適した自動車用のガラスアンテナが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
RV車の場合、後部窓ガラスが開閉できるものが多く、開閉することによって後部窓ガラスに設けたアンテナより配線した同軸ケーブル等が開閉によって屈折を繰り返すので断線や接触不良等の故障の原因となり易い。
【0010】
また、開閉しないタイプであっても、後部窓ガラスの大きさが小さい上に、取り付け角度が直角に近いので、防曇用加熱線条の上部余白部あるいは下部余白部のアンテナの占有面積が小さく、この場所にアンテナ線条を設けても十分な受信利得が得られず、受信周波数の低いAMラジオ放送波、FMラジオ放送波を受信するアンテナ線条の場合には顕著であり、近年側部窓ガラスに設けたラジオ放送受信用のアンテナが要望されるようになってきている。
【0011】
側部窓ガラスに設けたガラスアンテナの指向特性は、運転席側側部と助手席側側部とで受信利得が異なり、指向特性の低い方向があり、運転席側にアンテナを設けた場合、運転席側から到来する電波に対しては良好な受信状態を得ることができるが、助手席側からくる電波については充分な受信利得を得ることは困難であった。
【0012】
さらに、特開平10−93317号公報、特開平10−303625号公報、特開平10−65430号公報に示されるものは、いずれも車両の側部窓ガラスに設けたもので、比較的小面積であり、AMラジオ放送波の受信感度は良いものの、FMラジオ放送波の受信感度の性能については、充分な受信性能を得ることができなかった。
【0013】
さらにまた、特開平10−13127号公報に示されるものは、FMラジオ放送波の受信を主としたものであって、AMラジオ放送波の受信も可能であるが、受信感度がやや不足しており、またガラス板の面積についても大きくせざるを得なかった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、指向特性が優れたFMラジオ放送波に加え、AMラジオ放送波も高感度で受信することができるアンテナ線条を側部窓ガラスに有効に配設し、無指向性の側部窓ガラスアンテナを提供することを目的とする。
【0015】
すなわち、本発明は、車両用側部窓ガラスの一つのコーナー部に設けた給電点よりボディフランジの上辺或いは下辺に沿って延びる第1の水平線条と、第1の水平線条の先端よりさらに一方の縦側辺に沿ってほぼ中央付近まで延びる第1の垂直線条と、その先端より水平方向に折返した第2の水平線条と、第2の水平線条の先端から他方の縦側辺に沿って第2の垂直線条を延ばし、さらに第1の水平線条とは反対側の上辺あるいは下辺に沿って延びる第3の水平線条とからなるS字状エレメントを少なくとも具備し、前記第1の垂直線条と第2の垂直線条のそれぞれより対向する縦側辺に向かって複数本の水平エレメントを接続し、S字状エレメントおよび複数本の水平エレメントで国内仕様の76〜90MHz帯、および欧州及び北米向け仕様の88〜108MHz帯のFM帯の指向特性、および受信利得を向上させ、複数本の水平エレメントでAM帯の受信利得を向上させるようにしたことを特徴とする車両用ガラスアンテナである。
【0016】
また、本発明は、前記第3の水平線条の先端より第1の垂直線条に向かって第3の垂直線条を設け、該第3の垂直線条の先端または途中より分岐して、対向する第2の垂直線条に向かって複数本の水平エレメントを接続した上述の車両用ガラスアンテナである。
【0017】
さらにまた、前記複数の水平エレメントの内の一つの水平エレメントの先端より第4の垂直線条を設け、該第4の垂直線条の先端または途中より分岐して第1の垂直線条に向けて別の水平エレメントを接続した上述した車両用ガラスアンテナである。
【0018】
さらにまた、本発明は、前記第1の水平線条と第1の垂直線条からなる線条、又は第2の垂直線条と第3の水平線条からなる線条がボディフランジに沿った円弧状である上述の車両用ガラスアンテナである。
【0019】
さらにまた、本発明は、前記の各水平線条、水平エレメントについて、隣接する各線条の間隔を20〜100mmとした上述の車両用ガラスアンテナである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のガラスアンテナ2は、図1に示すように、車両用側部窓ガラスGの一つのコーナー部に設けた給電点1よりボディフランジ6の上辺あるいは下辺に沿って延びる第1の水平線条3aと、第1の水平線条3aの先端よりさらに一方の縦側辺に沿ってほぼ中央付近まで延びる第1の垂直線条3bと、その先端より水平方向に折返した第2の水平線条3cと、第2の水平線条3cの先端から他方の縦側辺に沿って第2垂直線条3dを延ばし、さらに第1の水平線条3aとは反対側の上辺あるいは下辺に沿って延びる第3の水平線条3eとからなるS字状エレメント3を少なくとも具備し、前記第1の垂直線条3bと第2の垂直線条3dのそれぞれより対向する縦側辺に向かって複数本の水平エレメント4、4、・・を接続したものを基本構成パターンとしたものである。
【0021】
ボディフランジ6の周辺部に沿って配設した各線条3a、3b、3c、3dは金属ボディの影響によって受信利得が低下しないようにボディフランジ6の内側端縁から最低10mm以上離して配設すると好ましい。
【0022】
また、本発明の車両用ガラスアンテナ2の別の実施の形態としては、図2に示すように、前記の基本構成のパターンに、さらに前記第3の水平線条3eの先端より第1の垂直線条3bに向かって第3の垂直線条3fを設け、該第3の垂直線条3fの先端または途中より分岐して、対向する第2の垂直線条3dに向かって複数本の水平エレメント4’、4’を接続した構成としたもので、前記複数本の水平エレメント4’、4’は、第2の垂直線条3dに近接する位置まで伸ばすようにした。
【0023】
さらに、本発明の車両用ガラスアンテナ2のさらに別の実施の形態としては、図3に示すように、前記の基本構成のパターンをさらに変形させたもので、ガラス板の形状も略三角形状となっている。給電点1からボディフランジ6の内側端縁形状に沿った円弧状の線条3a’が実施例1および2の第1の水平線条3aと第1の垂直線条3bからなる線条に相当することになる。
【0024】
前記複数の水平エレメント4、4、・・の内の一つの水平エレメント4の先端より第4の垂直線条3gを設け、該第4の垂直線条3gの先端または途中より分岐して円弧状の線条3a’に向けて別の水平エレメント4”、4”、・・を接続した構成としたもので、前記複数本の水平エレメント4”、4”は、円弧状の線条3a’に近接する位置まで伸ばすようにした。
【0025】
また、第3の水平線条3eの先端より円弧状の線条3a’に向かって第3の垂直線条3fを設け、該第3の垂直線条3fの先端より対向する第2の垂直線条3dに向かって水平エレメント4’を伸ばした構成としたもので、前記水平エレメント4’は、第2の垂直線条3dに近接する位置まで伸ばすようにした。
【0026】
給電点1が下辺側にある場合は、上下ひっくり返した形状となるので、第2の垂直線条3dと第3の水平線条3eからなる線条はボディフランジ6の形状に合わせて、ボディフランジ6に沿った円弧状の線条としても良い。
【0027】
本発明のアンテナ2は、S字状のパターン3によって、FMラジオ放送波に対して指向特性を改善することができ、あらゆる方向から到来する電波に対してより受信利得を高くすることができる。
【0028】
また、前記S字状のパターンの各垂直線条3b、3d、3f、3gの先端または途中より分岐して水平方向に設けた複数本の水平エレメント4、・・・、4’、・・・、4”、・・・によって、AMラジオ放送波を好適に受信することができる。
【0029】
該水平エレメント4、・・・、4’、・・・、4”、・・・は、その本数に従って、アンテナの受信利得を高め、受信有効面積を大きくすることができるので、ガラス面積が比較的小面積であっても高利得な受信性能を得ることができる。
【0030】
図4は、図2で示したパターンに、給電部1より補助エレメント5aをボディフランジ6に沿って反時計回りに設けたものであり、図5は、図3で示したパターンに、給電部1より補助エレメント5bをボディフランジ6に沿って時計回りに設けたものである。
【0031】
前記補助エレメント5a、5bは、特にFMラジオ放送波帯のインピーダンス特性の改善、あるいは指向特性改善、あるいはまた周波数特性の改善等を目的として、付加することができる。
【0032】
また、本発明のアンテナ2は、車両の左右どちらかの側部窓ガラスGに設けて、AMラジオ放送波、FMラジオ放送波受信時に単独で受信してもよいが、FMラジオ放送波を受信するときには他方の側部窓ガラスGに設けたFMラジオ放送波受信用のガラスアンテナ(本発明の構成になるアンテナが好ましいが、その他の構成のガラスアンテナでも勿論よい)、あるいは後部窓ガラスに設けたガラスアンテナ、前部窓ガラスに設けたガラスアンテナなどと組み合わせてダイバーシティ受信すると好ましい。
【0033】
尚、前記S字状と表現したエレメントについては、逆S字状も含まれることはいうまでもない。
【0034】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0035】
車両用の側部窓に装着される窓ガラスGの車内側表面に、本発明の実施例1〜3のガラスアンテナ2を給電部1とともに設けた例について説明する。
【0036】
図1乃至図3はそれぞれ実施例1〜実施例3におけるアンテナパターンを一方の側部窓ガラスに配設したものを車内から見た正面図であり、図6乃至図8はそれぞれ実施例1〜実施例3のアンテナパターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの周波数特性図であり、図9乃至図11はそれぞれ実施例1〜実施例3のアンテナパターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの指向特性図であり、表1は実施例1の基本アンテナパターンのS字状エレメントに、複数本の水平エレメントを追加した時のAMラジオ帯の電波の受信利得を示す表を示す。
【0037】
実施例1
図1に示すように、車両用側部窓ガラスGの左上のコーナー部に設けた給電点1よりボディフランジ6の上辺に沿って延びる第1の水平線条3aと、第1の水平線条3aの先端よりさらに右縦側辺に沿ってほぼ中央付近まで延びる第1の垂直線条3bと、その先端より水平方向に折返した第2の水平線条3cと、第2の水平線条3cの先端から左縦側辺に沿って第2垂直線条3dを下方に延ばし、さらに下辺に沿って延びる第3の水平線条3eとからなるS字状エレメント3を備え、前記第1の垂直線条3bと第2の垂直線条3dのそれぞれより対向する縦側辺に向かってそれぞれ各5本の水平エレメント4、4、・・を接続した構成からなるガラスアンテナ2を曲げ加工前に、線幅0.5〜1mmで銀ペースト等の導電性材料を用いてスクリーン印刷して、曲げ加工と同時に焼成して形成した。
【0038】
実施例1の各導電線条の長さは以下の通りである。
このようにして得られたボディフランジ6の内側端縁の寸法は、上辺A=500mm、下辺A’=550mm、車内側からみた左縦辺B=450mm、右縦辺B’=450mmであり、自動車の側部窓ガラスに装着した。
【0039】
本発明のガラスアンテナ2によって、国内76MHz〜90MHz帯、および欧州及び北米向け仕様の周波数帯88MHz〜108MHz帯の国内外のFMラジオ帯の電波を受信した時の周波数特性図は、図6に示す通りであり、標準のダイポールアンテナの受信利得を0dBとしたときの利得差(以下、ダイポール比と略称する)で表すと、国内の周波数帯の平均値で−18.3dB、欧州及び北米向け仕様の周波数帯の平均値で−19.1dBとなり、実用に供しうる受信利得が得られた。
【0040】
また、周波数が80MHzの場合における指向特性は図9に示すように、水平偏波の電波の受信において0゜〜180゜における平均利得と、180゜〜360゜における平均利得の差が4.5dBとなり、自動車の片側の側部窓ガラスに装着しても、運転席側と助手席側の左右のいずれから発信される電波に対しても良好に受信することができる。
さらに、国内のAMラジオ帯については、表1に示す通り、実施例1で示すS字状エレメントの基本アンテナパターンに対して、上下各5本の水平エレメントを追加したことによって2.7dBの電波の受信利得の向上が得られた。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例2
図2に示す実施例2は、前記の基本構成のパターンを変形させたもので、第1の垂直線条3bを少し短くした線条と第2の垂直線条3dのそれぞれより対向する縦側辺に向かってそれぞれ各2本の水平エレメント4、4、・・を接続し、さらに第3の水平線条3eの先端より第1の垂直線条3b側に向かって第3の垂直線条3fを設け、該第3の垂直線条3fの先端または途中より分岐して対向する第2の垂直線条3dに向かって2本の水平エレメント4’、4’を接続した構成としたもので、前記2本の水平エレメント4’、4’は、第2の垂直線条3dに近接する位置まで伸ばすようにした構成であり、ガラスアンテナ2を曲げ加工前に線幅0.5〜1mmで銀ペースト等の導電性材料を用いてスクリーン印刷して、曲げ加工と同時に焼成して形成した。
【0043】
実施例2の各導電線条の長さは以下の通りである。
このようにして得られたボディフランジ6の内側端縁の寸法は、上辺A=500mm、下辺A’=550mm、車内側からみた左縦辺B=450mm、右縦辺B’=450mmであり、自動車の側部窓ガラスに装着した。
【0044】
本発明のガラスアンテナ2によって、国内76MHz〜90MHz帯、および欧州及び北米向け仕様の周波数帯88MHz〜108MHz帯の国内外のFMラジオ帯の電波を受信した時の周波数特性図は、図7に示す通りであり、標準のダイポールアンテナの受信利得を0dBとしたときの利得差(以下、ダイポール比と略称する)で表すと、国内の周波数帯の平均値で−17.8dB、欧州及び北米向け仕様の周波数帯の平均値で−20.3dBとなり、実用に供しうる受信利得が得られた。
【0045】
また、周波数が80Hzの場合における指向特性は図10に示すように、水平偏波の電波の受信において0゜〜180゜における平均利得と、180゜〜360゜における平均利得の差が4.2dBとなり、自動車の片側の側部窓ガラスに装着しても、運転席側と助手席側の左右のいずれから発信される電波に対しても良好に受信することができる。
実施例3
図3に示す実施例3は、前記の基本構成のパターンをさらに変形させたもので、ガラス板の形状も略三角形状となっている。給電点1からボディフランジ6の内側形状に沿った円弧状の線条3a’が実施例1および2の第1の水平線条3aと第1の垂直線条3bからなる線条に相当することになる。
【0046】
第3の水平線条3eの先端より円弧状の線条3a’側に向かって第3の垂直線条3fを設け、該第3の垂直線条3fの先端より対向する第2の垂直線条3dに向かって水平エレメント4’を接続した。
【0047】
また、前記円弧状の線条3a’より分岐し第2の水平線条3cの上部に近接して水平に設けた水平エレメント4の先端より第4の垂直線条3gを上方に配設し、該第4の垂直線条3gの先端および途中より分岐して円弧状の線条3a’に向けて4本の水平エレメント4”、4”、・・を接続した。
【0048】
また、第2の垂直線条3dより分岐する2本の水平エレメント4、4を第2の水平線条3cと水平エレメント4’間に設けた構成としたもので、前記水平エレメント4’は、第2の垂直線条3dに近接する位置まで伸ばすようにし、前記複数本の水平エレメント4”、4”、・・は、円弧状の線条3a’に近接する位置まで伸ばすようにした。このようなガラスアンテナ2を曲げ加工前に線幅0.5〜1mmで銀ペースト等の導電性材料を用いてスクリーン印刷して、曲げ加工と同時に焼成して形成した。
【0049】
実施例3の各導電線条の長さは以下の通りである。
このようにして得られたボディフランジ6の内側端縁の寸法は、下辺A’=600mm、車内側からみた左縦辺B=400mmの略三角形状であり、自動車の側部後部側窓ガラスに装着した。
【0050】
本発明のガラスアンテナ2によって、国内76MHz〜90MHz帯、および欧州及び北米向け仕様の周波数帯88MHz〜108MHz帯の国内外のFMラジオ帯の電波を受信した時の周波数特性図は、図8に示す通りであり、標準のダイポールアンテナの受信利得を0dBとしたときの利得差(以下、ダイポール比と略称する)で表すと、国内の周波数帯の平均値で−18.7dB、欧州及び北米向け仕様の周波数帯の平均値で−19.8dBとなり、実用に供しうる受信利得が得られた。
【0051】
また、周波数が80MHzの場合における指向特性は図11に示すように、水平偏波の電波の受信において0゜〜180゜における平均利得と、180゜〜360゜における平均利得の差が3.7dBとなり、自動車の片側の側部窓ガラスに装着しても、運転席側と助手席側の左右のいずれから発信される電波に対しても良好に受信することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明のガラスアンテナによれば、AMラジオ放送波帯は複数本の水平エレメントによって比較的小面積であっても、高利得な受信感度が得られ、FMラジオ放送波帯においてはS字状エレメントによって指向特性も良く、高利得で電波を受信できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の基本パターンを一方の側部窓ガラスに配設したものを車内から見た正面図。
【図2】実施例2のアンテナパターンを一方の側部窓ガラスに配設したものを車内から見た正面図。
【図3】実施例3のアンテナパターンを一方の側部窓ガラスに配設したものを車内から見た正面図。
【図4】実施例2に補助エレメントを追加したパターンを一方の側部窓ガラスに配設したものを車内から見た正面図。
【図5】実施例3に補助エレメントを追加したパターンを一方の側部窓ガラスに配設したものを車内から見た正面図。
【図6】実施例1の基本パターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの周波数特性図。
【図7】実施例2のアンテナパターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの周波数特性図。
【図8】実施例3のアンテナパターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの周波数特性図。
【図9】実施例1の基本パターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの指向特性図。
【図10】実施例2のアンテナパターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの指向特性図。
【図11】実施例3のアンテナパターンによりFMラジオ帯の電波を受信したときの指向特性図。
【符号の説明】
G 板ガラス
1 給電部
2 発明のガラスアンテナ
3 S字状エレメント
3a 第1の水平線条
3b 第1の垂直線条
3c 第2の水平線条
3d 第2の垂直線条
3e 第3の水平線条
3f 第3の垂直線条
3g 第4の垂直線条
4、4’、4” 水平エレメント
5a、5b 補助エレメント
6 ボディフランジ
Claims (5)
- 車両用側部窓ガラスの一つのコーナー部に設けた給電点よりボディフランジの上辺或いは下辺に沿って延びる第1の水平線条と、第1の水平線条の先端よりさらに一方の縦側辺に沿ってほぼ中央付近まで延びる第1の垂直線条と、その先端より水平方向に折返した第2の水平線条と、第2の水平線条の先端から他方の縦側辺に沿って第2の垂直線条を延ばし、さらに第1の水平線条とは反対側の上辺あるいは下辺に沿って延びる第3の水平線条とからなるS字状エレメントを少なくとも具備し、前記第1の垂直線条と第2の垂直線条のそれぞれより対向する縦側辺に向かって複数本の水平エレメントを接続し、S字状エレメントおよび複数本の水平エレメントで国内仕様の76〜90MHz帯、および欧州及び北米向け仕様の88〜108MHz帯のFM帯の指向特性、および受信利得を向上させ、複数本の水平エレメントでAM帯の受信利得を向上させるようにしたことを特徴とする車両用ガラスアンテナ。
- 前記第3の水平線条の先端より第1の垂直線条に向かって第3の垂直線条を設け、該第3の垂直線条の先端または途中より分岐して、対向する第2の垂直線条に向かって複数本の水平エレメントを接続したことを特徴とする請求項1記載の車両用ガラスアンテナ。
- 前記複数の水平エレメントの内の一つの水平エレメントの先端より第4の垂直線条を設け、該第4の垂直線条の先端または途中より分岐して第1の垂直線条に向けて別の水平エレメントを接続したことを特徴とする請求項1または2記載の車両用ガラスアンテナ。
- 前記第1の水平線条と第1の垂直線条からなる線条、又は第2の垂直線条と第3の水平線条からなる線条がボディフランジに沿った円弧状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用ガラスアンテナ。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の各水平線条、水平エレメントについて、隣接する各線条の間隔を20〜100mmとしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用ガラスアンテナ。
Priority Applications (2)
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