JP3618069B2 - ポータブルプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋外で使用可能なポータブルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば運送業で、伝票の発行などに、腰などに装着して屋外で使用することを可能にしたポータブルプリンタが用いられている。このような従来のポータブルプリンタの一例について、図7の概略構造を示す縦断側面図に基づいて説明する。従来用いられているポータブルプリンタ1は、筐体2内に、長尺状の用紙がロール状に巻かれたロール紙Rが収納される用紙収納部3を備えている。また、筐体2には、回動軸4によって、筐体2に対して一端が接離自在となるように他端が筐体2に対して回動自在に支持されたカバー5が取り付けられている。このカバー5の開閉に従って、用紙収納部3が開閉される。
【0003】
筐体2内には、その軸方向を用紙収納部3に収納されたロール紙Rの幅方向に平行にされたプラテンローラ6が回転自在に支持されている。カバー5には、プラテンローラ6の軸方向に平行に多数個の発熱素子が配列されたラインサーマルヘッド7が配設されている。
【0004】
プラテンローラ6とラインサーマルヘッド7とで挟まれる用紙搬送路8は、カバー5を閉じた状態で、筐体2内に形成された案内壁9とカバー5の内壁に設けられた案内突起10との間に形成される。
【0005】
電力の供給源となるバッテリー11は、筐体2の一端に寄せて設けられたバッテリーケース12に収納される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示すような従来のポータブルプリンタ1では、カバー5の回動軸4とプラテンローラ6の回転軸との二本の回転軸が必要である。そして、それらをそれぞれ位置精度よく組み立てなければならない。
【0007】
また、カバー5の回動自在に支持されている端部の対辺である自由端の近傍にラインサーマルヘッド7が取り付けられているが、カバー5のロック機構によっては、自由端の位置は正確になりにくいため、ラインサーマルヘッド7がプラテンローラ6に圧接する圧力すなわちヘッド圧が、用紙幅方向に均等になりにくい。用紙セットのときのヘッド圧が均等にならない場合、ラインサーマルヘッド7の発熱体の位置ズレなどが生じる。
【0008】
さらに、バッテリー11の収納スペースが、用紙収納部3等とは別に仕切られてバッテリーケース12として確保されているため、バッテリー11がバッテリーケース12で包まれて体積が大きくなってしまい、その結果ポータブルプリンタ1の体積が大きくなってしまうという不都合がある。
【0009】
またさらに、使用可能なロール紙Rの径を大きくしたいという要望があるが、従来のポータブルプリンタ1では、カバー5にラインサーマルヘッド7が配設されているために、ラインサーマルヘッド7に配電するための回路をカバー5に設けなければならなかったり、カバー5を閉じたときラインサーマルヘッド7を正確に位置決めするためには、カバー5及びカバー5を閉じた状態でロックする機構にある程度の剛性が必要であることから、カバー5の厚さを抑えるのに限界があり、ロール紙Rの径を大きくすると、筐体2の厚さが厚くなるということで影響してしまう。
【0010】
本発明は、ポータブルプリンタを小型化・軽量化することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のポータブルプリンタは、筐体と、前記筐体内に設けられて、用紙を収納する用紙収納部と、一端が前記筐体に対して回動自在に支持され、回動に従って前記用紙収納部を開閉するカバーと、前記カバーの回動軸心と同軸の軸心を回転軸心として回転自在なプラテンローラと、前記筐体内に取り付けられて、ライン状に配列された発熱素子が前記プラテンローラに圧接する方向に付勢部材によって付勢されたラインサーマルヘッドとを備える。
【0012】
したがって、プラテンローラの回転軸心とカバーの回転軸心とが共通とされて、部品点数が少なくなる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のポータブルプリンタであって、前記カバーの前記一端の用紙幅方向両側部の用紙の搬送経路に干渉しない位置に設けられ、前記カバーが前記用紙収納部を開放する位置に回動した状態で前記付勢部材による付勢に逆らって前記ラインサーマルヘッドを前記プラテンローラから離反させる一対のカムを備える。
【0014】
したがって、カバーを開放するという一つの作業だけで、用紙収納部が開放されるとともにプラテンローラからラインサーマルヘッドが離反して、ロール紙のセットが可能となる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のポータブルプリンタであって、前記筐体内で、前記用紙収納部と前記ラインサーマルヘッドとの間に、電力の供給源となるバッテリーが取り付けられるバッテリー取付位置が設けられている。
【0016】
したがって、バッテリーを被うバッテリーケースなしで筐体内に収納されるので、バッテリーケースが不要になるため、その分、部品点数が削減されて、ポータブルプリンタが小型化される。また、バッテリーはポータブルプリンタの構成要素の中では密度が高く重いものであるが、バッテリーを用紙収納部とラインサーマルヘッドの間に配置することにより、バッテリーがポータブルプリンタの中央部に配置されることになるので、バッテリーが筐体の端に配置されている場合よりも、ポータブルプリンタの重量バランスが良くなる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のポータブルプリンタであって、前記バッテリー取付位置に取り付けられた前記バッテリーを前記用紙収納部に収納された用紙を前記ラインサーマルヘッドと前記プラテンローラとの間へ導く用紙搬送路の一部分として用いる。
【0018】
したがって、用紙収納部とラインサーマルヘッドとの間に配置されたバッテリーを用紙を案内する部材として利用することにより、用紙搬送路を形成するために筐体内に設ける部材を減らすことができるので、部品点数を削減できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のポータブルプリンタの実施の一形態について、図1〜図6に基づいて説明する。まず、図1は、本実施の形態のポータブルプリンタ21の外観を示す斜視図であり、図2は、ポータブルプリンタ21の内部構造を概略的に示す縦断右側面図である。ポータブルプリンタ21は、一面が開放された筐体22内に、長尺状の用紙がロール状に巻かれたロール紙Rが収納される用紙収納部23を備えている。この用紙収納部23は、筐体22の背面側に寄せて形成されている。筐体22には、開放された一面を被うカバー面24を備えるオープンカバー25が、用紙収納部23を開閉自在に取り付けられている。
【0020】
オープンカバー25の筐体22への取付構造について説明する。図3は、ポータブルプリンタ21の分解斜視図であり、図4は、筐体22とオープンカバー25との取付部分の構造をラインサーマルヘッド33に直交する面で示す部分的な縦断正面図である。図4では、用紙幅方向が左右方向となっている。オープンカバー25は、カバー面24の用紙幅方向に平行な一端の両側に、カバー面24の面方向に直交するように形成された一対の耳部26を備えている。これらの耳部26には、それぞれ、その軸方向が用紙幅方向に平行な円筒状の内壁を有する貫通穴27が形成されている。
【0021】
一方、筐体22の用紙幅方向に直交する一対の側板28の正面側の端部の近傍にも、その軸方向が用紙幅方向に平行な円筒状の内壁を有する貫通穴29が形成されている。貫通穴27と貫通穴29との内径は同じである。カバー面24の用紙幅方向の幅と、一対の側板28の間隔とは略同じである。
【0022】
貫通穴27と貫通穴29とには、用紙幅方向に平行に配設されるプラテンローラ30の回転軸心である軸心31が貫通し、軸心31を貫通穴27及び貫通穴29の中心に位置させるとともに回転自在に支持する一対のベアリング32が嵌まり込む。ベアリング32の外周面は円筒面になっていて、その外径は、貫通穴27及び貫通穴29の内径と同じに形成されている。これにより、プラテンローラ30の軸心31が貫通した貫通穴27及び貫通穴29に、ベアリング32を嵌め込むことにより、オープンカバー25が正面側になる端部の近傍で筐体22に対して回動自在に支持されて、背面側になる端部が筐体22に対して接離自在となる。そして、このオープンカバー25の開閉に従って、用紙収納部23が開閉される。つまり、軸心31は、オープンカバー25の回動軸心でもある。
【0023】
図2に示すように、筐体22内の正面側には、ラインサーマルヘッド33が配設されている。ラインサーマルヘッド33は、一端に設けられた回動軸心33aを筐体22内で回動自在に支持され、図示しない付勢部材により付勢されていて、オープンカバー25を閉じた状態でプラテンローラ30に圧接する。ラインサーマルヘッド33と用紙収納部23との間には、バッテリー取付板34が設けられていて、ここにバッテリー35が取り付けられる。
【0024】
また、図3に示すように、筐体22の右の側板28には、バッテリー35を筐体22に出し入れするためのバッテリー出入口36が設けられている。筐体22の両側部は、側板28を被うサイドカバー37で覆われる。右のサイドカバー37のバッテリー出入口36に対向する位置には、スライド蓋38が設けられている。
【0025】
図5の平面図は、バッテリー35のバッテリー取付板34へ取付構造をオープンカバー25を省略した状態で上方から見て示す説明図である。バッテリー取付板34には、鉤状部39が形成されている。鉤状部39は、バッテリー出入口36へのバッテリー35の出入方向に沿って延出する引っ掛け部40と、この引っ掛け部40に連続していて引っ掛け部40に直交し先端がバッテリー取付板34に繋がっている立上り部41とからなっている。引っ掛け部40は、右側の端部が開放端となっていて、左側の端部で立上り部41に連なっている。
【0026】
バッテリー35の上面には、鉤状に折れ曲がっている引っ掛け穴42が2箇所に形成されている。引っ掛け穴42の折れ曲がり方向は、鉤状部39と同じであって、引っ掛け穴42のバッテリー35の正面に見えている入口部分は、引っ掛け部40が入るだけの幅を有している。
【0027】
そして、バッテリー取付板34の鉤状部39がバッテリー35の引っ掛け穴42に入り込むことによって、バッテリー35がバッテリー取付板34に取り付けられる。バッテリー35が正しく取り付けられたとき、バッテリー35側の端子とポータブルプリンタ21側の端子とが接触して給電可能となるとともに、スライド蓋38を閉じることが可能となる。
【0028】
用紙収納部23に収納されたロール紙Rから引き出された用紙は、バッテリー35及びバッテリー取付板34の上端で案内され、ラインサーマルヘッド33とプラテンローラ30との間を経て、排紙口43へ至る。つまり、用紙が搬送される経路である用紙搬送路44の一部は、バッテリー35とオープンカバー25との間に形成されている。
【0029】
ここで、図6は、オープンカバー25が用紙収納部23を開放する位置に回動されている状態を示す縦断右側面図である。オープンカバー25の回動軸心側の端部の両側に設けられている耳部26の外周部分には、それぞれカム45が形成されている。
【0030】
ここで、ラインサーマルヘッド33は、用紙幅方向に沿って多数の発熱素子が配列されて形成された基板46と、この基板46を支持するブラケット47とからなり、ブラケット47の両側には、用紙幅方向の位置が前記カム45と重なるカム受け部48が突設されている。
【0031】
カム45は、オープンカバー25が閉じられた状態ではカム受け部48に接触せず、オープンカバー25が開放される方向へ回動される際に、カム受け部48にそれぞれ接触し、回動に従って徐々にカム受け部48を押し下げて、ラインサーマルヘッド33をプラテンローラ30から離反させる。
【0032】
筐体22内のラインサーマルヘッド33の下方には、プラテンローラ30を回転駆動させるモータ49が収納されている。筐体22の下面には、操作を受け付けるための操作部50が設けられており、操作部50になされた操作を処理する処理回路を備える制御基板51が筐体22内に収納されている。
【0033】
このような構成において、ポータブルプリンタ21にロール紙Rをセットする際には、まず、オープンカバー25を回動させて用紙収納部23を開放する(図6参照)。これにより、カム受け部48がカム45で押し下げられて、ラインサーマルヘッド33とプラテンローラ30とが離間する。次に、用紙収納部23にロール紙Rを落とし込み、用紙の先端を引き出して、プラテンローラ30とラインサーマルヘッド33との間に差し込んで、オープンカバー25を閉じる(図2参照)。オープンカバー25を閉じると、カム45がカム受け部48から外れて、ラインサーマルヘッド33は付勢部材による付勢に従って移動し、プラテンローラ30との間に用紙を挟んで圧接する。また、用紙は、バッテリー35及びバッテリー取付板34により案内されて用紙搬送路44を搬送される。
【0034】
操作部50が操作されるなどにより印字命令がなされると、モータ49の駆動力がプラテンローラ30に伝達されることによってプラテンローラ30が回転するとともに、ラインサーマルヘッド33の基板46に形成された発熱素子が適宜発熱することにより、用紙に所定内容が印字される。
【0035】
本実施の形態では、プラテンローラ30の軸心31とオープンカバー25の軸心31とを共通にしているので、部品点数を少なくすることができる。また、ラインサーマルヘッド33の回動軸心33aとプラテンローラ30の軸心31とがいずれも筐体22という同じ部材のしかも近傍に固定されているので、ラインサーマルヘッド33がプラテンローラ30に片当たりするという不都合が起こりにくいため、印字品質を良好にできる。
【0036】
また、本実施の形態では、オープンカバー25を開放する際にラインサーマルヘッド33をプラテンローラ30から離反させる構造を設けているので、オープンカバー25を開放するという一つの作業だけでロール紙Rのセットが可能になる。
【0037】
さらに、バッテリー35は、バッテリー35を被うバッテリーケースなしで筐体22内に収納されるので、バッテリーケースが不要になるため、その分、部品点数が削減され、ポータブルプリンタ21が小型化される。
【0038】
またさらに、バッテリー35はポータブルプリンタ21の構成要素の中では密度が高く重いものであるが、本実施の形態では、バッテリー35が筐体22の中央部に配置されているので、筐体22の端に配置されている場合よりも、ポータブルプリンタ21の重量バランスが良くなる。
【0039】
さらに、バッテリー35が用紙収納部23とラインサーマルヘッド33との間に配設されているので、用紙を案内する用紙搬送路44の一部をバッテリー35により形成できる。このため、用紙搬送路44を形成するために筐体22内に設ける部材を減らすことが出来るので、部品点数を削減でき、ポータブルプリンタ21を小型化できる。
【0040】
なお、用紙の排紙口43を形成する筐体22或いはオープンカバー25に、その一部を鋭角としたカッタを設けても良い。
【0041】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、プラテンローラの回転軸心とオープンカバーの回転軸心とを共通としているので、部品点数を少なくすることができる。
【0042】
請求項2記載の発明では、オープンカバーを開放する際にラインサーマルヘッドをプラテンローラから離反させるカム構造を設けているので、オープンカバーを開放するという一つの作業だけで、用紙収納部が開放されるとともにプラテンローラからラインサーマルヘッドを離反できて、ロール紙のセットを可能にできる。
【0043】
請求項3記載の発明では、バッテリーを被うバッテリーケースなしで筐体内に収納されるので、バッテリーケースが不要になるため、その分、部品点数を削減できて、ポータブルプリンタを小型化できる。また、バッテリーはポータブルプリンタの構成要素の中では密度が高く重いものであるが、バッテリーを用紙収納部とラインサーマルヘッドの間に配置することにより、バッテリーがポータブルプリンタの中央部に配置されることになるので、バッテリーが筐体の端に配置されている場合よりも、ポータブルプリンタの重量バランスを良くすることができる。
【0044】
請求項4記載の発明では、バッテリーが用紙収納部とラインサーマルヘッドとの間に配設されているので、用紙を案内する用紙搬送路の一部をバッテリーにより形成でき、このため、用紙搬送路を形成するために筐体内に設ける部材を減らすことが出来るので、部品点数を削減でき、ポータブルプリンタを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のポータブルプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】ポータブルプリンタの内部構造を概略的に示す縦断右側面図である。
【図3】ポータブルプリンタの分解斜視図である。
【図4】筐体とカバーとの取付部分の構造をラインサーマルヘッドに直交する面で示す部分的な縦断正面図である。
【図5】カバーを省略してバッテリーの取付構造を上方から見て示す説明図である。
【図6】カバーが用紙収納部を開放する位置へ回動されている状態を示す縦断右側面図である。
【図7】従来のポータブルプリンタの一例を示す縦断右側面図である。
【符号の説明】
21 ポータブルプリンタ
22 筐体
23 用紙収納部
25 カバー
30 プラテンローラ
31 回転軸心
33 ラインサーマルヘッド
35 バッテリー
44 用紙搬送路
45 カム
S 用紙
R ロール紙
Claims (4)
- 筐体と、
前記筐体内に設けられて、用紙を収納する用紙収納部と、
一端が前記筐体に対して回動自在に支持され、回動に従って前記用紙収納部を開閉するカバーと、
前記カバーの回動軸心と同軸の軸心を回転軸心として回転自在なプラテンローラと、
前記筐体内に取り付けられて、ライン状に配列された発熱素子が前記プラテンローラに圧接する方向に付勢部材によって付勢されたラインサーマルヘッドと、を備えるポータブルプリンタ。 - 前記カバーの前記一端の用紙幅方向両側部の用紙の搬送経路に干渉しない位置に設けられ、前記カバーが前記用紙収納部を開放する位置に回動した状態で前記付勢部材による付勢に逆らって前記ラインサーマルヘッドを前記プラテンローラから離反させる一対のカムを備える請求項1記載のポータブルプリンタ。
- 前記筐体内で、前記用紙収納部と前記ラインサーマルヘッドとの間に、電力の供給源となるバッテリーが取り付けられるバッテリー取付位置が設けられている請求項1又は2記載のポータブルプリンタ。
- 前記バッテリー取付位置に取り付けられた前記バッテリーを前記用紙収納部に収納された用紙を前記ラインサーマルヘッドと前記プラテンローラとの間へ導く用紙搬送路の一部分として用いる請求項3記載のポータブルプリンタ。
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