JP3617943B2 - 屋根の葺替え用フレーム及び葺替え構造 - Google Patents

屋根の葺替え用フレーム及び葺替え構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根面を構成している既設の波形のスレート屋根板上に新設の屋根板材を葺設する屋根の葺替え用フレーム及び葺替え構造に関し、詳しくは、スレート屋根板及び母屋にドリルビスのような固定具を打込むのを回避して環境の悪化を防止しながら、葺替えの施工性を大幅に高めようとする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築分野において、石綿スレート板は、耐火性、耐水性、耐久性に優れているとのことから、屋根材として広く使用されているが、建築後かなりの年数が経過して改修が必要となった場合は、石綿スレート板を剥がすことなく上から新設の例えば、折板屋根材のような屋根板材を被覆し、ドリルビスを屋根板材から石綿スレート板を貫通して母屋に打入することで、屋根板材を石綿スレート板及び母屋に固着することがおこなわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ドリルビスを老朽化している石綿スレート板を貫通して母屋に打入すると、石綿スレート板及び鉄骨等の切り粉が落下飛散して作業環境の悪化を招くとともに、人体に害を及ぼすものである。しかも、従来ではドリルビスを石綿スレート板及び母屋にまで打ち込む必要があるため、ドリルビスの打入作業に手間がかかり、又、老朽化している石綿スレート板に荷重を掛けて石綿スレート板を壊す場合もあり、葺替えの作業効率が悪いという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、石綿スレート板に荷重を掛けることなく、かつ、スレート屋根板及び母屋にドリルビスのような固定具を打込むのを回避して環境の悪化を防止しながら、葺替えの施工性を大幅に高めることができる屋根の葺替え用フレーム及び葺替え構造を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1においては、屋根面を構成している既設の波形のスレート屋根板1上に新設の屋根板材2を葺設する屋根の葺替え用フレームであって、スレート屋根板1の山部3を跨いでその両側の谷部4上に載置される略門形の支持具5を複数個連ねて支持フレーム6を形成し、支持フレーム6の一側端部にフック部7を、他側端部にフック受け部8を形成し、一つの支持具5にスレート屋根板1を固着している既存の固着具9に抜止め係止される係止片10を設け、支持具5の頂部に支持フレーム6の上に葺設された新設の屋根板材2の固定具15を保持する固定具保持部16を形成していることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成によれば、それぞれの支持具5はスレート屋根板1の山部3を跨いで両側の谷部4の上に載置されるのであり、スレート屋根板1に荷重を掛けることを回避してスレート屋根板1を壊すことを回避しながら、スレート屋根板1を固着している既存の固着具9に係止片10を抜止め係止して支持フレーム6を固定し、固定された支持フレーム6に隣接の支持フレーム6をフック連結するとともに係止片10を固着具9に係止することで隣接の支持フレーム6を固定するのであり、このような支持フレーム6の上に屋根板材2を葺設し、新設の屋根板材2の固定具15を支持具5の頂部の固定具保持部16に保持するのであり、しかして、新設の屋根板材2の施工において、既存のスレート屋根板1及び母屋のような屋根下地に固定具15を打込むことがなく、老朽化したスレート屋根板1を傷めることなく、切り粉が飛散することがなく、環境の悪化を防止することができながら、複数個の支持具5を連結した支持フレーム6を既存の固着具9を利用し、かつ、フック連結によって新設の屋根の下地を容易・迅速に施工ができ、葺替えの施工性を大幅に高めることができる。
【0007】
請求項2においては、係止片10は、支持フレーム6の他側端部の支持具5に設けていることを特徴とするものである。このような構成によれば、一側端部におけるフック連結と、他側端部における係止片10による固着具9への連結によって、支持フレーム6の両端部において固定することができ、支持フレーム6を安定して固定するとともに固定強度を高めることができる。
【0008】
請求項3においては、係止片10の両端部に耳片11,11が延出され、支持具5の対向片5a,5bに取付け孔12,12が形成され、耳片11を取付け孔12に上下方向の移動を阻止して係入していることを特徴とするものである。このような構成によれば、係止片10の取付けが容易・迅速におこなうことができ、係止片10を予め支持具5にセットする場合の組立て性を高めることができる。
【0009】
請求項4においては、支持具5は対向片5a,5bの間隔が上方程狭くなるように形成され、係止片10の両端から起立片13,13を形成し、起立片13,13を対向片5a,5bに当接させていることを特徴とするものである。このような構成によれば、係止片10の両端の起立片13,13が上方程狭くなる支持具5の対向片5a,5bに当接して、係止片10の上方への移動を効果的に防止することができ、係止片10の取付けを安定化させるとともに取付け強度を高めることができる。
【0010】
請求項5においては、請求項1と同様の作用を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1(a)は葺替え用フレームの斜視図、同図(b)は係止片の斜視図、図4は葺替え構造の一部破断した正面図である。
【0012】
本発明の屋根の葺替え用フレームは、屋根面を構成している既設の波形のスレート屋根板1上に新設の屋根板材2を葺設するためのものであり、以下、詳述する。
【0013】
図1(a)に示すように、支持具5は略門形に形成されていて、波形のスレート屋根板1の山部3を跨いでその両側の谷部4上に載置されるものであり、リブ18が形成されて強度を高めている。支持具5の対向片5a,5bの間隔が上方程狭くなるように形成されている。支持具5の複数個、実施の形態において2山半が連ねられて支持フレーム6を形成している。このような支持フレーム6の一側端部にフック部7を、他側端部にフック受け部8を形成している。フック受け部8は長孔17によって形成している。
【0014】
支持フレーム6のフック受け部8側には、係止片10が取付けられて波形のスレート屋根板1を固着しているボルトのような固着具9に抜止め係止するようにしている。以下、係止片10を詳述する。
【0015】
図1(b)及び図4に示すように、金属板で矩形の係止片10の四辺から折り曲げ片が上方に折り曲げられて上方が開口した略箱状に形成されて係止片10の強度を高めている。係止片10には切起し片19,19が対向して形成され、波形のスレート屋根板1を固着している固着具9としてのボルトのねじ溝に抜止めを図って係止するようにしている。
【0016】
係止片10より起立されている起立片13,13には耳部11,11が折り曲げられて形成されている。一方、支持フレーム6の他端部側の支持具5の対向片5a,5bに取付け孔12,12を形成して、耳片11を取付け孔12に係入して、係止片10の上下方向の移動を阻止するようにしている。取付け孔12に挿入した耳片11を折り曲げてもよい。
【0017】
ところで、波形のスレート屋根板1は、貫通している固着具9としてのボルトにパッキン20を介してナット21を螺合させて固定している。
【0018】
このような構成によれば、スレート屋根板1を固着している既存の固着具9としてのボルトのねじ溝に切起し片19,19を係入して係止片10を抜止め係止して支持フレーム6を仮固定するのである。このように、仮固定された支持フレーム6のフック受け8に隣接の支持フレーム6のフック部7を係止するのであり、更に、支持フレーム6の係止片10を固着具9に係止して隣接の支持フレーム6を固定するのである。
【0019】
このような支持フレーム6の施工が終えた後、屋根板材2を葺設するのであり、屋根板材2,2の重ね合わせ部において、ドリルビスのような固定具15を貫通させて支持具5の頂部の固定具保持部16にねじ込むことで、固定具15を保持して、屋根板材2,2を固定するのである。この場合、フック7側の支持具5の頂部には貫通孔14が形成されていて、支持具5の頂部の固定具保持部16が二枚重なるのを回避してドリルビスのような固定具15のねじ込みを容易になるようにしているとともに、固定具15にて固定することで、フック部7とフック受け部8とのがたつきを防止している。
【0020】
しかして、新設の屋根板材2の施工において、既存のスレート屋根板1及び母屋のような屋根下地に固定具15を打込むことがなく、老朽化したスレート屋根板1を傷めることなく、切り粉が飛散することがなく、環境の悪化を防止することができながら、複数個の支持具5を連結した支持フレーム6を既存の固着具9を利用し、かつ、フック連結によって新設の屋根の下地を容易・迅速に施工ができ、しかも、それぞれの支持具5はスレート屋根板1の山部3を跨いで両側の谷部4の上に載置されるのであり、スレート屋根板1に荷重を掛けることを回避してスレート屋根板1を壊すことを防止するのであり、葺替えの施工性を大幅に高めるのである。
【0021】
ところで、係止片10は、支持フレーム6の他側端部の支持具5に設けていることから、支持フレーム6は一側端部におけるフック連結と、他側端部における係止片10による固着具9への連結とによって、支持フレーム6の両端部において固定することができるのであり、支持フレーム6を安定して固定するとともに固定強度を高めるのである。
【0022】
更に、係止片10の両端部の起立片13,13に耳片11,11が延出され、支持具5の対向片5a,5bに取付け孔12,12が形成され、耳片11を取付け孔12に上下方向の移動を阻止して係入していることから、係止片10の取付けが容易・迅速におこなうことができ、係止片10を予め支持具5にセットする場合の組立て性を高めるのである。
【0023】
しかも、支持具5は対向片5a,5bの間隔が上方程狭くなるように形成され、係止片10の両端の起立片13,13を対向片5a,5bに当接させていることから、係止片10の両端の起立片13,13が上方程狭くなる支持具5の対向片5a,5bに当接して、係止片10の上方への移動及びがたつきを効果的に防止することができ、係止片10の取付けを安定化させるとともに取付け強度を高めることができるのである。
【0024】
図6及び図7は、他の実施の形態を示し、但し、本実施の形態の基本構成は上記実施の形態と共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略する。本実施の形態においては、支持具5を3山半連ねたものである。
【0025】
尚、図8はけらばに使用する支持具5cを示していて、但し、本実施の形態の基本構成は上記実施の形態と共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0026】
【発明の効果】
請求項1においては、屋根面を構成している既設の波形のスレート屋根板上に新設の屋根板材を葺設する屋根の葺替え用フレームであって、スレート屋根板の山部を跨いでその両側の谷部上に載置される略門形の支持具を複数個連ねて支持フレームを形成し、支持フレームの一側端部にフック部を、他側端部にフック受け部を形成し、一つの支持具にスレート屋根板を固着している既存の固着具に抜止め係止される係止片を設け、支持具の頂部に支持フレームの上に葺設された新設の屋根板材の固定具を保持する固定具保持部を形成してあるから、それぞれの支持具はスレート屋根板の山部を跨いで両側の谷部の上に載置されるのであり、スレート屋根板に荷重を掛けることを回避してスレート屋根板を壊すことを回避しながら、スレート屋根板を固着している既存の固着具に係止片を抜止め係止して支持フレームを固定し、固定された支持フレームに隣接の支持フレームをフック連結するとともに係止片を固着具に係止することで隣接の支持フレームを固定するのであり、このような支持フレームの上に屋根板材を葺設し、新設の屋根板材の固定具を支持具の頂部の固定具保持部に保持するのであり、しかして、新設の屋根板材の施工において、既存のスレート屋根板及び母屋に固定具を打込むことがなく、老朽化したスレート屋根板を傷めることなく、切り粉が飛散することがなく、室内環境の悪化を防止することができながら、複数個の支持具を連結した支持フレームを既存の固着具のような固着具を利用し、かつ、フック連結によって新設の屋根の下地を容易・迅速に施工ができ、葺替えの施工性を大幅に高めることができるという利点がある。
【0027】
請求項2においては、係止片は、支持フレームの他側端部の支持具に設けているから、請求項1の効果に加えて、一側端部におけるフック連結と、他側端部における係止片による固着具への連結によって、支持フレームの両端部において固定することができ、支持フレームを安定して固定するとともに固定強度を高めることができるという利点がある。
【0028】
請求項3においては、係止片の両端部に耳片が延出され、支持具の対向片に取付け孔が形成され、耳片を取付け孔に上下方向の移動を阻止して係入しているから、請求項1の効果に加えて、係止片の取付けが容易・迅速におこなうことができ、係止片を予め支持具にセットする場合の組立て性を高めることができるという利点がある。
【0029】
請求項4においては、支持具は対向片の間隔が上方程狭くなるように形成され、係止片の両端から起立片を形成し、起立片を対向片に当接させているから、請求項1又は3のいずれかの効果に加えて、係止片の両端の起立片が上方程狭くなる支持具の対向片に当接して、係止片の上方への移動を効果的に防止することができ、係止片の取付けを安定化させるとともに取付け強度を高めることができるという利点がある。
【0030】
請求項5においては、請求項1と同様の効果を得ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、(a)は葺替え用フレームの斜視図、(b)は係止片の斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】同上の葺替え構造の一部破断した正面図である。
【図5】同上の作用を示す説明図である。
【図6】同上の他の実施の形態の葺替え用フレームの平面図である。
【図7】(a)は同上の正面図、(b)は側面図である。
【図8】けらばに使用される葺替え用フレームを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【符号の説明】
1 スレート屋根板
2 屋根板材
3 山部
4 谷部
5 支持具
6 支持フレーム
7 フック部
8 フック受け部
9 固着具
10 係止片

Claims (5)

  1. 屋根面を構成している既設の波形のスレート屋根板上に新設の屋根板材を葺設する屋根の葺替え用フレームであって、スレート屋根板の山部を跨いでその両側の谷部上に載置される略門形の支持具を複数個連ねて支持フレームを形成し、支持フレームの一側端部にフック部を、他側端部にフック受け部を形成し、一つの支持具にスレート屋根板を固着している既存の固着具に抜止め係止される係止片を設け、支持具の頂部に支持フレームの上に葺設された新設の屋根板材の固定具を保持する固定具保持部を形成して成ることを特徴とする屋根の葺替え用フレーム。
  2. 係止片は、支持フレームの他側端部の支持具に設けて成ることを特徴とする請求項1記載の屋根の葺替え用フレーム。
  3. 係止片の両端部に耳片が延出され、支持具の対向片に取付け孔が形成され、耳片を取付け孔に上下方向の移動を阻止して係入して成ることを特徴とする請求項1記載の屋根の葺替え用フレーム。
  4. 支持具は対向片の間隔が上方程狭くなるように形成され、係止片の両端から起立片を形成し、起立片を対向片に当接させて成ることを特徴とする請求項1又は3のいずれかに記載の屋根の葺替え用フレーム。
  5. 屋根面を構成している既設の波形のスレート屋根板上に新設の屋根板材を葺設する屋根の葺替え構造であって、スレート屋根板の山部を跨いでその両側の谷部上に載置される略門形の支持具を複数個連ねて支持フレームを形成し、支持フレームの一側端部にフック部を、他側端部にフック受け部を形成し、一つの支持具にスレート屋根板を固着している既存の固着具に抜止め係止される係止片を設け、支持具の頂部に支持フレームの上に葺設された新設の屋根板材の固定具を保持する固定具保持部を形成し、固着具に係止片を係止して固定した支持フレームのフック受け部に隣接の支持フレームのフック部を連結し、支持フレームの上に屋根板材を葺設し、屋根板材の固定具を固定具保持部に保持させて成ることを特徴とする屋根の葺替え構造。
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