JP3616282B2 - フラットケーブルの端末処理方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、導体箔からなる配線パターンが一対の絶縁フィルムの間に挟み込まれて電気配線材として用いられるフラットケーブルの端末部の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来において、複数の銅導体などの導体箔を両側から絶縁フィルムでサンドイッチ状に被覆したフラットケーブルは配線作業を効率化するので広く活用されている。このようなフラットケーブルは、薄状導体が絶縁フィルム内に収められて全体が平型の薄形状をしており、配線作業を行う前から配線経路形状に折り曲げられて形成されているので、それ自体軽量で、かつ配線作業が簡単であるので、特に自動車業界において、配線作業の効率化や軽量化を図るためにすでに適用されている。
【0003】
配線作業の効率化では、各種電気機器との接続を迅速化、簡略化するため、フラットケーブルの端末部には、端子が取り付けられている。しかしながら、フラットケーブルにおける端末部の端子の取付け処理工程は困難であり、コストがかかるものであった。
【0004】
すなわち、フラットケーブル端末部の露出された導体箔を所定長さに切断し、ついで、端末部が所定の形状となるように絶縁フィルムを切断するトリミング処理を行う工程と、端末部と端子を溶着する工程と、さらに端末部と端子を接続した接続部に、樹脂を流し込むことにより接続部全体をモールドする工程とが個別の装置で行われるため、各装置ごとに作業者がつき、前工程から供給されたフラットケーブルを各装置にセットする作業、あるいは所定位置に前記フラットケーブルを配置するという位置合わせ作業をフラットケーブル個々に対して行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
フラットケーブルの端末は、配線パターンにより様々な形状をしており、一つのパターンにつき複数の端末部が存在する。そのため、大量のフラットケーブルの端末を処理するには、従来のように各装置に作業者がついて処理していては、処理する端末の数が多く、莫大な製作時間を費やし、また製作コストを下げることも困難であった。
【0006】
また、接続部に樹脂を流し込んでモールドする際、樹脂が導体箔あるいは端子導体に直接付着して固定される。しかしながら、流し込む樹脂と絶縁フィルムとの密着性が完全でない場合には、直接樹脂が付着している導体箔、あるいは端子導体が固定端となり、該固定端に力が集中する。ところが導体箔および端子導体は薄形状であるため、機械的強度が弱く、電気機器との接続などの際、無理な力がかかると、損傷または断線を引き起こす原因となる場合があった。また、流し込む樹脂と絶縁フィルムとが密着性の悪さから、十分な防水効果が得られない場合があった。
【0007】
本発明は、この問題を解決するものであり、フラットケーブルを各装置に作業者がついてセットする作業、あるいは所定位置に配置する位置合わせ作業を行う必要がなく、また生産コストを下げ、品質も向上するフラットケーブルの端末処理方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決する手段】
即ち、この発明は、上記課題を解決するために、導体箔の両面を絶縁フィルムで挟着してなるフラットケーブルの端末部において、該端末部の導体箔が露出したフラットケーブルを供給した後、導体箔および絶縁フィルムのトリミング処理を行う工程と、トリミング処理された端末部に端子を接続する工程と、端末部と端子との接続部所定位置に端末カバーを取り付けるために位置計測を行い、該接続部に端末カバーの取付けを行う工程とを自動で行うことを特徴としている。
【0009】
また、前記端末カバーの取付け工程において、端末カバー取付部を、絶縁フィルムまたは端子の、少なくとも一方に設けることを特徴としている。
【0010】
また、端子を端末部に取り付けた後に、端子に予め設けられた端末カバーの取付け部である端子側アンカー穴を基準として、絶縁フィルム側アンカー穴を穿設することを特徴としている。
【0011】
さらに、接続部と端末カバーとの間に防水部材を介在させて、端末カバーの取付けを行うことを特徴としている。
【0012】
【作用】
本発明によるフラットケーブルの端末処理方法によれば、各端末処理工程を自動化したので、一度フラットケーブルを供給すれば、最終工程まで手を加えずにフラットケーブルに端子を取り付けることができ、各装置に作業者を配置する必要がない。
【0013】
また、端末カバー取付部を、絶縁フィルムまたは端子の少なくとも一方に設けるため、導体箔と端子導体との接続部に予期せぬ力が直接かからず、導体部分の損傷あるいは断線などの問題が回避できる。
【0014】
さらに、端子を端末部に取り付けた後に、端子に予め設けられた端末カバーの取付け部である端子側アンカー穴を基準として、絶縁フィルム側アンカー穴を穿設するため、端末カバー取付け時における、端末カバーの肢と、アンカー穴の位置ずれの問題を回避できる。
【0015】
また、接続部と端末カバーとの間に防水ゴムを介在させるため、接続部への水の侵入を防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のフラットケーブル端末処理方法において、トリミング処理工程におけるフラットケーブルの端末部を示しており、図2はフラットケーブルの端末部に端子を取り付ける工程を示しており、図3は端末部に端末カバー取付部を設けた図であり、図4は端末部と端子の接続部に端末カバーを取り付ける工程を示す図であり、図5は端末カバー取付け後のフラットケーブルの端末部を示す図である。
【0017】
図1から図5に示したフラットケーブル1は、複数の細幅の導体箔5からなる配線パターンを絶縁フィルム4でサンドイッチ状に挟み込まれて所望の形状となるように作製されている。導体箔5は、主に銅が用いられるが、アルミや導電性のあるものであればなんでもよいが、軽量および配線体の占有スペースの関係から、延性、展性に富むものが好ましい。また絶縁フィルム4に関しても絶縁性を備えた樹脂であれば特に限定しない。
【0018】
端末処理工程の前工程で製作されたフラットケーブル1は、その端末部2に端子を取り付けるため端末部2のみ図1(a)に示すように導体箔5が露出した状態で供給される。トリミング処理工程では、供給されたフラットケーブル1の端末部2は、画像処理装置にて先端部2の形状および位置を2次元データとして正確に計測し、後述する端末カバー8内に端末部2と端子6との接続部3が収まるように、また端末カバー8の形状に合うように、導体箔5を所定長さとなるように切断し、端末部2の絶縁フィルム4の角部41をカットする(図1(b))。先端部2が所望の形状にカットされた後、画像処理装置にて先端部2のトリムカットの状態を計測することにより確認する。
【0019】
トリムカット状態が確認されると、図2(a)に示すように端末部2に接続される端子6がパーツフィーダ(図示していない)により供給されると共に導体箔の位置計測が行われた後、端子の導体部分である端子導体61とトリムカットされた導体箔5とを重ね合わせられる。次いで、両電極100、100間に配置した後、抵抗溶接により端子導体61と導体箔5の溶接を行う。溶接後は、図2(b)端子導体61と導体箔5が溶接された接続部3の溶接痕31の状態を画像処理装置にて処理することにより溶接状態を確認する。
【0020】
溶接痕31を確認した後、端末カバー8の取付け工程において、図3に示すように端子6には、予め端末カバー8の肢81が挿通するために開けられた端子側アンカー穴62が設けられている。溶接状態を確認した端子付のフラットケーブル1は、端子側アンカー穴62の位置計測を画像処理にて行われ、該端子側アンカー穴62を基準として、画像処理により端末カバー8の肢81が挿通する端末カバー取付部7、つまり、絶縁フィルム側アンカー穴71を端末カバー8に設けられた肢81の位置に合うように、端末部2の絶縁フィルム4に穿設される。
【0021】
さらに絶縁フィルム側アンカー穴71を穿設した後、図4に示すように接続部3を防水部材9、9で挟み込み、さらに該防水部材9、9を包むように樹脂製の半割の端末カバー8、8で接続部3を覆う。特に防水処理が必要でなければ、接続部3を直接、端末カバー8、8で覆えば良い。防水部材9としては、各種ゴム部材、たとえばブチルゴムが挙げられるが、防水性を有する材質であれば、特に限定せず、挟み込み時に接続部3側に接着するように、防水部材の表面に粘着剤を塗布したものであってもよい。
【0022】
端末カバー8、8は、その片方(図4では下側)には、肢81が挿通する受穴82が設けられており、もう片方(図4では上側)には肢81が設けられている。肢81は、端子側アンカー穴62および絶縁フィルム側アンカー穴71を貫通し、受穴82に挿通させると、若干、端末カバー8よりも突出するように設けられており、端末カバー8、8の固定は、突出した肢81を融着することにより行う。肢81を融着固定した後、図5に示すように画像処理装置にて融着痕を画像処理にて確認する。
【0023】
以上本発明の一実施例につき説明したが、これに限定されず種々変更可能である。たとえば、端子導体61と導体箔5との接続方法として抵抗溶接を示したが、端子導体61と導体箔5が、互いに差込嵌合可能な形状を有し、ワンタッチで接続可能なもの、例えば、差込後、かしめることにより接続可能としたものでもよい。また、防水対策として、端末カバー8とは別に防水部材9を設けているが、端末カバー8自体に防水機構を備えたものであれば、特に防水部材9を設ける必要はない。さらに、端末カバー8取付方法として、絶縁フィルム4に絶縁フィルム側アンカー穴71を穿設する方法を示したが、端末カバー8を絶縁フィルム4に、直に融着させる方法をとってもよい。また、実施例では端子6に端子側アンカー穴62を予め穿設していたが、アンカー穴を予め設けず、端末部2と端子6とを接続した後で、端末部あるいは端子を基準とし、アンカー穴を穿設する方法をとってもよい。しかしながら、端末カバー8を導体箔5または端子導体61に直接取り付ける方法は、導体箔5または端子導体61に応力が集中し、断線など問題を引き起こす可能性があるため、それ以外の方法を取るのが望ましい。また、フラットケーブル1の端末部2が端末カバー8と同形状に製作可能か、あるいは端末カバー8を端末部2の形状に合わせて製作可能など、端末処理工程以外の工程でトリミング処理を予め行っておいてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した通りの本発明のフラットケーブルの端末処理方法によれば、各端末処理工程を自動化したため、製作時間が短縮され、各処理を行う装置に作業員を配置させる必要もなく、そのため製作コストを削減できる。
【0025】
また、接続部における端末カバー取付位置が導体部分に直結しないため、電気機器などの接続の際、予期せぬ力による導体部への損傷あるいは断線などの問題が回避でき、フラットケーブル自体の品質が向上する。
【0026】
さらに接続部の防水処理は、接続部と端末カバー間に防水部材を挟み込むだけで行われるため、防水処理が簡単に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トリミング処理工程における端末部を示す図である。
【図2】端末部に端子を取り付ける工程を示す図である。
【図3】端末カバー取付部を設けた図である。
【図4】端末カバーの取付けを示す図である。
【図5】端末カバー取付け後の端末部を示す図である。
【符号の説明】
1 フラットケーブル
2 端末部
3 接続部
4 絶縁フィルム
5 導体箔
6 端子
7 端末カバー取付部
8 端末カバー
9 防水部材
31 溶接痕
41 角部
61 端子導体
62 端子側アンカー穴
71 絶縁フィルム側アンカー穴
81 肢
82 受穴
83 融着痕
100 電極
Claims (3)
- 導体箔の両面を絶縁フィルムで挟着してなるフラットケーブルの端末部において、該端末部の導体箔が露出したフラットケーブルを供給した後、導体箔および絶縁フィルムのトリミング処理を行う工程と、トリミング処理された端末部に端子を接続する工程と、端末部と端子との接続部所定位置に端末カバーを取り付けるために位置計測を行い、該接続部に端末カバーの取付けを行う工程とを自動で行うフラットケーブルの端末処理方法であって、前記端末カバーの取付け工程が、端末カバー取付部を、絶縁フィルムまたは端子の、少なくとも一方に設けることを特徴とするフラットケーブルの端末処理方法。
- 端子を端末部に取り付けた後に、端子に予め設けられた端末カバーの取付け部である端子側アンカー穴を基準として、絶縁フィルム側アンカー穴を穿設することを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブルの端末処理方法。
- 接続部と端末カバーとの間に防水部材を介在させて、端末カバーの取付けを行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフラットケーブルの端末処理方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP21308899A JP3616282B2 (ja) | 1999-07-28 | 1999-07-28 | フラットケーブルの端末処理方法 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3616282B2 (ja) |
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1999
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