JP3616252B2 - ピアノのペダル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アコースティックピアノや電子ピアノなどのピアノのペダルに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来のピアノのペダルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は同図(a)のB−B線断面図である。通常、ピアノの下部、すなわち演奏者の足下の位置には、同図(a)に示すように、複数のペダル30,30,30が設けられており、ペダル箱31から演奏者側に突出した状態で配置されている。これらのペダル30を演奏中に踏み込み操作することにより、例えば音を長く響かせるなどのペダル効果を与えることができるようになっている。各ペダル30は、同図(b)に示すように、底面が平らの断面半月形に形成されており、床面より約6cm程度上の位置に設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなペダル30を有するピアノの演奏者が、図4に示すような靴底の縁部32が靴本体33よりも外側に張り出した靴34を履いてペダル30を操作する場合、靴34がペダル30に引っかかってしまうおそれがある。すなわち、演奏者がペダル30を踏み込もうとして、足先を床面から上げる際に、ペダル30の底面の縁部30aに、靴底の縁部32が引っかかってしまうことがある(図5参照)。このように、演奏中に靴34がペダル30に引っ掛かると、演奏者の集中力が阻害され、演奏に支障をきたしてしまう。
【0004】
もちろん、演奏曲にあわせて、操作すべきペダル30上に予め足先をのせておけば、ペダル30に靴が引っかかるのを回避することは可能である。しかしこの場合には、かかとを床面においた状態で、足先をペダル30上におくことになるため、足首を不自然な状態で曲げておかなければならない。このため、特に演奏時間の長い曲を演奏する場合には、足首に大きな負担がかかってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、演奏者が、靴底の縁部が外側に張り出した靴を履いてピアノを演奏する場合であっても、ペダルの操作時に、靴がペダルに引っ掛かるのを回避することができ、操作をスムーズに行うことができるピアノのペダルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るピアノのペダルは、ペダル効果を付与するために操作されるピアノのペダルであって、底面の縁部が外側に凸の湾曲面で構成されるとともに、底面に、前後方向に延びかつ下方に開口した凹部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ペダルの底面の縁部が、外側に凸の湾曲面で構成されているので、演奏者が、靴底の縁部が外側に張り出した靴を履いてペダルを操作する場合であっても、靴がペダルに引っ掛かるのを回避することができる。すなわち、ピアノの演奏中にペダルを操作するために、足先を床面から上げる場合において、靴底の縁部がペダルの底面の縁部に接触するとしても、その接触部分を引っ掛かりなく、ペダルの底面の縁部の表面に沿って滑らせながら、足先を上げることができる。したがって、このように靴がペダルに引っ掛かるのを回避できるため、ペダルの操作をスムーズに行うことができ、演奏者の集中力を阻害することがない。また、ペダルの底面には、前後方向に延びかつ下方に開口した凹部が形成されているので、その分、ペダルの軽量化を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るピアノのペダルについて説明する。図1は、グランドピアノのペダル部まわりを示す図である。ペダル部1は、図示しないピアノの下部に設けられている。すなわち、ペダル部1は、ピアノ本体の底面から垂下した1対のペダル柱2,2を介して吊り下げられており、演奏者の足下に位置するように配置されている。このペダル部1は、3つのペダル3,3,3と、これらのペダルの後側半部を収容するペダル箱4とを備えている。なお、詳述は省略するが、ペダル箱4内では、ペダル3を上から踏み込むことにより、全てのダンパー(図示せず)をピアノの弦から離したり、押鍵した鍵のダンパーを離鍵後にも止めておくための突揚ロッド(図示せず)の下端部が支持されている。
【0009】
ペダル3,3,3は、図1(a)に示すように、いずれも前側半部11がペダル箱4から演奏者側に突出した状態で、左右方向に相互に並べて配置されている。また同図(b)および(c)に示すように、各ペダル3の前側半部11の上面11aは、左右両側に向かって緩やかに下るように湾曲している。同様に、上面11aの前端部11bも湾曲している。各ペダル3の上面11a(11b)をこのように形成することにより、かかとを床面においた状態で、ペダル3を踏み込み易くしている。
【0010】
また、前側半部11の左右両端部12(前端部11bも含む)は、外側に凸に湾曲しつつ、上記上面11aから水平の底面13に連なっている。すなわち、底面13の外側縁部(左右両端部12および前端部11b、以下これらを「底面縁部12」という)が外側に凸の湾曲面で構成されたものとなっている。さらに、左右の底面13,13の内側縁部が、ペダル3の前後方向に延びるように凹状形成された内底面14(凹部)に連なっている。なお、各ペダル3に、このような内底面14を形成しておくことにより、ペダルの軽量化を図ることができる。
【0011】
ここで、図2を参照して、演奏者が靴を履いてペダル3を操作する場合のペダルと靴との関係について説明する。ピアノの演奏中にペダル3を操作する場合、演奏者はかかとを床面15においた状態で、足先をペダル3の位置よりも若干高く上げ、所定のペダル3を上から踏み込む。この場合、演奏者の靴21が、靴底の縁部22が靴本体23より外側に張り出したもの(図4参照)であり、ペダル3の操作前に、靴本体23の側面がペダル3の側面に接する程に、足先をペダル3の極めて近い位置の床面15においているときには、足先を上げようとすると、靴底の縁部22が、ペダル3の底面縁部12に接触する(図2(a)参照)。より具体的には、ペダル3の底面縁部12の表面に、靴底の縁部22の最外上端が接触する。
【0012】
そして、足先を更に上げると、図2(b)に示すように、靴底の縁部22の接触部分は、ペダル3の底面縁部12の表面に沿って滑りながら上方へ移動し、最終的には同図(c)に示すように、底面縁部12の表面から離れる。したがって、演奏者は、靴底の縁部22をペダル3の底面縁部12に引っ掛けることなく、足先を床面15から上げることができる。
【0013】
以上説明したように、本実施形態のペダル3は、その底面縁部12が外側に凸の湾曲面で構成されているため、演奏者が、靴底の縁部22が外側に張り出した靴を履いて、演奏中にペダル3を操作する場合であっても、靴21がペダル3に引っ掛かることがない。このため、演奏中、ペダル3をスムーズに操作することができ、従来のような演奏者の集中力が阻害されるのを防止することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のピアノのペダルによれば、演奏者が、靴底の縁部が外側に張り出した靴を履いてピアノを演奏する場合であっても、ペダルの操作時に、靴がペダルに引っ掛かるのを回避することができ、操作をスムーズに行うことができるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るピアノのペダルのペダル部まわりを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は1ペダルの部分的平面図、(c)は(b)のA−A線断面図である。
【図2】足先を床面から上げる際のペダルと靴と関係を、順次示す模式的断面図である。
【図3】従来のペダルまわりを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】靴底の縁部が靴本体より外側に張り出した靴を示す平面図である。
【図5】靴底の縁部がペダルの底面に引っ掛かる場合を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
1 ペダル部
3 ペダル
12 底面縁部
21 靴
22 靴底の縁部

Claims (1)

  1. ペダル効果を付与するために操作されるピアノのペダルであって、
    底面の縁部が外側に凸の湾曲面で構成されるとともに、当該底面に、前後方向に延びかつ下方に開口した凹部が形成されていることを特徴とするピアノのペダル。
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