JP3615545B2 - 第四級アンモニウム塩界面活性剤及びそのrnaの単離剤 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は一般的に血液及び他の生物学的試料からのリボ核酸の単離に関し、さらに具体的には新規な第四級ア ンモニウム塩界面活性剤を用いた単離法に関する。
【従来の技術】
【0002】
分子生物学の分野における研究は、細胞の遺伝的起源及び機能的活性がそのリボ核酸(RNA)の研究から推論できることを明らかにした。この情報は臨床業務において、感染症の診断のために、癌遺伝子を発現する細胞の検出のために、家族性疾患の検出のために、宿主防御機能の状態の監視のために、及びHLA型又は他の同一性のマーカーの決定のために用いることができる。
【0003】
RNAの単離のための現在の方法は、細胞を崩壊させ、RNAを溶液中に放出させ、リボヌクレアーゼ(RNase)からRNAを保護する多様な方法を含む。その後RNAは、RNAと共に可溶化されているDNA及びタンパク質から分離される。同時に細胞を溶解し、RNAを可溶化し、リボヌクレアーゼを阻害するための強力なカオトロピズム的グアニジニウムの塩の利用はChirgwin et al,Biochem.1 8:5294−5299(1979)に記載された。他の方法は、相分離のためにクロロホルムを用い、酸性pHにおいてフェノールを用いた抽出により、汚染タンパク質及びDNAから可溶化されたRNAを遊離させる[D.M.Wallace,MethEnz ym.152:33−41(1987)]。通常用いられるRNAの1段階単離は、4Mのグアニジニウムイソチオシアナート中で細胞をホモジナイズし、その後酢酸ナトリウム(pH4)、フェノール及びクロロホルム/イソアミルアルコールを順に加えることを含む。遠心の後、RNAはアルコールの添加により上層から沈澱する[P.Chomczynski and N.Sacchi,AnalBiochem.162:156−159(1987)及び“Preparation and Analysis of RNA"於Curren t Protocols in Molecular Biology,Unit 4.2(Supplement 14),ed.F.M.Ausubel et al,John Wiley,(1991)]。通常はあまり用いられない方法は、細胞懸濁液への熱フェノールの添加、及びその後のアルコール沈澱[T.Maniatis et al,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1982)];細胞の溶解及び細胞質RNAの遊離のためのアニオン性又は非イオン性界面活性剤の利用;ならびにバナジルリボシド複合体及びジエチルピロカーボネートなどのリボネクレアーゼの阻害剤の利用[L.G.Davis et al,“Guanidine Isothiocyanate Preparation of Total RNA"及び“RNA Preparation:Mini Method"於Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier,New York,pp.130−138(1991)]を含む。米国特許第4,843,155号、Chomczynskiは、酸性pHにおいて安定なフェノールとグアニジニウム塩の混合物を細胞に加える方法を記載している。クロロホルムを用いた相分離の後、水相のRNAをアルコールを用いた沈澱により回収する。
【0004】
細胞を溶解し、同時にRNA及びDNAを溶液から沈澱させるカチオン性界面活性剤の能力は、米国特許第5,010,183号においてMacfarlaneにより記載された。'183号特許の方法は、その第1段階がRNAを不溶性とするが、上記の方法の場合は第1段階がRNAを可溶化することであるという点で上記の方法と基本的に異なる。'183号特許の好ましい実施態様の場合、界面活性剤であるベンジルジメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムクロソドの2%溶液を40%のウレア及び他の添加剤と共に細胞懸濁液に加え、混合物を遠心する。ペレットをエタノールに再懸濁させ、そこからRNA及びDNAを塩の添加により沈澱させる。この方法を血液に適用する試みにおいて、発明者は、後者の界面活性剤及び他の商業的に入手可能な界面活性剤の使用がRNAの不十分な沈澱及び血液細胞の不十分な溶解を生ずることを見だした[下記の表I及びIIを参照]。この目的のための改良されたカチオン性界面活性剤が必要である。
【0005】
血液中のRNAの分析のための現在の方法は増幅法(ポリメラーゼ連鎖反応を含む)を用い、少量で存在するRNAの特定の配列の存在を検出することができる。白血球細胞におけるRNAの研究を望む研究者等は、これらの細胞を遠心法(典型的にフィコール/ヘパック(Ficoll/hypaque)の勾配を介して)により血液から分離し、次いで上記の方法の1つを適用して細胞を単離する傾向がある。かくして全血からのRNAの単離のための確立された方法はない。同様に、ウイルスの研究を望む研究者等は、そのような方法を用いて血漿からウィルスRNAを分離することができる。
【0006】
これらの既知の方法の観点からでも、臨床業務におけるRNAの利用は、RNAがリボヌクレアーゼなどのヌクレアーゼにより分解される前に細胞中のタンパク質及びDNAからRNAを分離する困難さにより妨げられている。リボヌクレアーゼ及び他のヌクレアーゼは、非保護RNAを数秒以内に破壊するのに十分な量で血液中に存在する。細胞からのRNAの単離のための成功できる方法は、ヌクレアーゼによるRNAの加水分解を防ぐことができなければならない。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当該分野においてまだ、単離されたRNAを臨床研究において用いることができるようにRNAの加水分解及び分解を最少とする、血液、他の液体及び細胞からRNAを単離するための簡単な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様において本発明は、選ばれた第四級アンモ ニウム塩を含む水性カチオン性界面活性剤溶液の利用を含む、血液を含む生物学的試料からRNAを単離するための新規な方法を提供する。選ばれた第四級アンモニウム 第四級アンモニウムヒドロキシドとリン酸、硫酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸及びクエン酸より成る群からの酸の反応を介して製造される。第四級アンモニウムはアルキル基の炭素数が12、14、16又は18であるアルキルトリメチルアンモニウム又はアルキルベンジルジメチルアンモニウムであるのが好ましい。
【0009】
さらに別の態様は、方法により生成される界面活性剤−拡散複合体からのRNAの回収を含む上記の方法に対する改良を含む。この回収段階は、グアニジニウム塩又は熱ホルムアミドを用いた複合体の可溶化を含むことができる。別の場合、複合体をエタノール及び塩、又は塩化リチウムの濃水溶液で処理することにより界面活性剤を核酸との会合から抽出し、RNAを不溶性として残すことができる。
【0010】
他の特徴において本発明は、本明細書に記載の少なくとも1種の界面活性剤水溶液を含む、生物学的試料からRNAを単離し、精製するためのキットを提供する。
【0011】
さらに別の態様において本発明は、第四級アンモニウ ヒドロキシドとリン酸、硫酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸及びクエン酸より成る群から選ばれる酸の反応により製造される選ばれた第四 級アンモニウム塩を含む、生物学的試料からのRNAの抽出に有用な新規な界面活性剤溶液を提供する。
【0012】
本発明の他の態様及び利点は、その好ましい実施態様に関する以下の詳細な説明においてさらに記載する。
発明の詳細な記述
本発明は選ばれた第四級アンモニウム塩を含む選ばれた新規なカチオン性界面活性剤を用いた、生物学的試料からのRNAの単離のための方法を提供し、その方法法は先行技術の方法に勝る有意な利点を特徴とする。
【0013】
1.本発明の界面活性剤
本発明の新規な第四級アンモニウム塩界面活性剤は下記の式:
Figure 0003615545
【0014】
[式中、R1〜R4は独立して炭素数が1〜20のアルキル鎖及び炭素数が6〜26のアリール基から選ばれる]
により特徴づけられる。適したアリール基はフェニル、低級アルキル−置換ベンジル、及び/又はハロゲン化ベンジルである。第四級アンモニウム塩界面活性剤の現在好ましいアニオン、すなわち式IのX−はホスフェート、サルフェート、ホルメート、アセテート、プロピオネート、オキザレート、マロネート、スクシネート及びシトレートである。
【0015】
本発明のRNA単離法で用いるのに現在好ましい第四級 アンモニウム塩界面活性剤には、アルキル基の長さが12、14又は16炭素数であるアルキルトリメチルアンモニウムの蓚酸、マロン酸及びコハク酸塩が含まれる。現在最も好ましい界面活性剤はアルキル基の長さが14炭素数であるアルキルトリメチルアンモニウムの蓚酸塩である。そのような利用のための他の好ましい第四級アンモ ニウム塩界面活性剤にはアルキル基の長さが12、14、16又は18炭素数であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムの硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸及びプロピオン酸塩が含まれる。ヘキサデシルベンジルジメチルアンモニウムの蟻酸、酢酸及びリン酸塩として特徴づけられる式Iの界面活性剤も望ましい。
【0016】
本発明の方法において有用な新規なカチオン性界面活性剤は以下の通りにして得ることができる:商業的に入手できる水中の約5〜30重量/体積%の界面活性剤ハライドを出発材料として用いる。界面活性剤ハライドは水中で約15%wt/vであるのが好ましい。Sigma Chemical Co.から、例えばテトラデシルトリメチルアンモニウムブロミドを含む複数の商業的に入手できる第級アンモニウムハライドがこの目的のために利用できる。
【0017】
界面活性剤ハライドは、Dowexl(Sigma Chemical)などのヒドロキシド形態で製造されたアニオン交換樹脂に通過させることによりヒドロキシドに変換される。第級アミンニウムハライドがこのカラムクロマトグラフィー段階を通過すると、樹脂上のヒドロキシル基はハライドイオンに交換される。得られるテトラデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの界面活性剤ヒドロキシドを滴定により検定する。次いで第アンモニウムヒドロキシドをリン酸、硫酸、蟻酸、硫酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸及びクエン酸から成る群より選ばれる酸の添加によりそれと合わせ、それにより中和する。当該技術分野における熟練者は、中和するための選ばれた酸の量を容易に調節することができる。得られる第アンモニウム塩界面活性剤は上記に示した式で示される
【0018】
RNAの単離における本発明の方法で用いる場合、新規な界面活性剤は約0.01〜0.2モルの濃度における、4〜8のpHの水溶液の状態である。別の場合、特にRNA単離法における第四級アンモニウム塩界面活性剤としてアルキルベンジルジメチルアミンニウム塩が用いられる場合、50mM過剰の酸を加えるのが有利である。
【0019】
下記の方法において用いるのに特に望ましい式Iの新規な界面活性剤溶液は、以下のようにも特徴づけられる。界面活性剤溶液は過度に粘性でなく、すなわち2cpより低い。界面活性剤溶液は典型的保存条件下、すなわち約0〜30Cにおいて約1カ月の保存期間、結晶化しない。さらに界面活性剤が下記のRNA単離法の過程で血液に加えられ、混合物が遠心される場合、得られるペレットは本方法で用いられる血液の体積に対して小体積であり、暗色ではない。さらにペレットは相当な割合、すなわち約30%より大きい割合の、血液中に内在する、又は血液と同時に界面活性剤に加えられたRNAを含む。ペレットはヘモグロビン又はその誘導体などの物質を、下記のようなRNAの回収後にRNAの検出に用いられる逆転写酵素、DNAポリメラーゼ又は他の酵素の作用を阻害しそうな量で含まない。
【0020】
上記の規準を用い、当該技術分野における熟練者は、本発明のRNA単離法の実行に有用な多様な式Iの新規界面活性剤を得ることができるであろう。これらの式Iの新規な界面活性剤は一般的界面活性剤に共通の他の用途を有することもでき、その用途は当該技術分野における熟練者に容易に明らかとなる。
【0021】
2.本発明のRNA単離法
本発明の方法では、生物学的試料を上記の本発明の選ばれたカチオン性界面活性剤溶液と混合する。本発明に従う試料と界面活性剤の接触により試料中の細胞の溶解、及び溶解された細胞からの、界面活性剤との複合体としてのRNAの沈澱が実質的に同時に起こる。沈澱したRNAはカオトロピズム塩及び場合によりフェノール抽出により、あるいはホルムアミド緩衝液により複合体から抽出することができる。別の場合、界面活性剤を可溶化することにより複合体を解離させ、RNAを不溶性として残し、それによりRNAの高い収率を与えることができる。界面活性剤は、塩化リチウムの濃水溶液で複合体を処理することにより可溶化することができる。好ましい濃度は約2モル〜6モルの塩化リチウムである。複合体を解離させ、界面活性剤を可溶化させる他の処理は、例えば酢酸ナトリウム又は塩化リチウム等の塩のエタノール性溶液である。RNAはさらにアルコール沈澱又はカラムクロトグラフィーにより単離される。これらの方法は下記でより詳細に議論する。
【0022】
本明細書を通じて用いられる“生物学的試料”という用語は、全血、血漿、血清、尿、組織、細胞及び他の体液を含む。本明細書で用いられる“RNA"は転移(t)RNA、リボソーム(r)RNA及びメッセンジャー(m)RNAを含む。
【0023】
本発明の方法は生物学的試料、特に血液からのRNA抽出のためのより迅速でより簡単な方法を提供する。本発明の方法は迅速であり、全過程を1時間かそれ以内で完了することができる。重要なことに、本方法により、特に血液から得られるRNAは、それが臨床的又は他の用途、例えば逆転写酵素及びその後のポリメラーゼ連鎖反応における用途などで有用であるような適した純度である。有利なことに、この方法の用途の前に細胞を単離する必要がなく、方法を行うために簡単な装置が必要なだけである。試料を本発明の界面活性剤と合わせた後、組み合わせたものを、RNAを広範囲に分解せずに臨床的又は他の分析で用いるために実験室に輸送することができる。
【0024】
本発明の方法は、上記で定義された新規なカチオン性界面活性剤の利用に頼っている。下記の実施例に示す通り、これらの新規な界面活性剤は、血液及び他の体液、ならびに無損傷の細胞を含む組織の溶解において予想できない程有効であり、RNAを沈澱させることにおいて予想できない程有効である。それらは又、水溶液から沈澱しない点で、保存において安定である。
【0025】
本発明を実行する場合、選ばれた生物学的試料、例えば血液を本明細書に記載の選ばれた新規なカチオン性界面活性剤の溶液と迅速に混合する。一般に混合物において、100体積の界面活性剤溶液当たり5〜40体積の血液を用いる。血液及び界面活性剤は混合物中で、約5分〜約24時間接触させておくことができる。現在、約10分の接触時間が用いられる。他の処理は必要でない。この混合物において、第4級アミン界面活性剤は試料中の核酸と(DNA及びRNAの両方)、界面活性剤の尾部の疎水性結合を特徴とする不溶性イオン性複合体を形成する。
【0026】
選ばれた時間の複合体の形成の後、界面活性剤/核酸複合体を混合物から分離する。本発明段階の1つの実施態様の場合、血液−界面活性剤混合物を遠心して界面活性剤/核酸複合体を沈澱させる。これはEppendorf微量遠心機において約1mlの試料を用い、約5000〜約100,000gにおいて約5分〜約30分で簡単に行うことができる。血液が試料の場合、現在好ましい条件は約16,000gにおいて約5分であるが、大体同じいずれの遠心も用いることができる。試料が培養細胞である場合、より短い遠心時間及び低速度が望ましい。当該技術分野における熟練者は生物学的試料の性質に依存して適した遠心を決定することができる。遠心の代わりとなる適した方法は約0.22ミクロンのフィルターを用いた濾過である。
【0027】
分離段階の後、上澄み液を除去し、得られる界面活性剤/核酸複合体を含むペレット(又は濾液)を場合により水で洗浄する。ペレット(又は濾液)を次いで(1)抽出してRNAを可溶化し、それを界面活性剤との複合体から解離させる、又は(2)処理して界面活性剤を可溶化し、それを不溶性RNAとの複合体から解離させる。本発明の方法の解離段階の1つの実施態様の場合、塩の農溶液を用いて界面活性剤/RNA複合体からRNAを抽出する。典型的にこの目的のために望ましい塩の濃度は、界面活性剤の体積の約5分の1中の800mMもの過剰の濃度である。リボヌクレアーゼを阻害する塩の利用も有利である。この目的に特に適した塩溶液は、約pH4において100mMの酢酸ナトリウム緩衝液と共に4Mのグアニジニウムイソチオシアナートを含む。しかし、他の適した塩溶液をこの段階で用いることができ、但し、RNA/界面活性剤複合体を解離させるのに十分な濃度で塩が加えられる。当該技術分野における熟練者は他の塩をこの目的に望ましい濃度で選ぶことができる。
【0028】
他の実施態様の場合、分離段階の後に、ヌクレオチド/界面活性剤複合体からRNAを解離させるための別の段階が続くことができる。この方法の場合、好ましくは適した塩と酸を用いて緩衝された主にホルムアミドを含む抽出溶媒を用い、上記の分離段階から得られるペレットを処理することができる。界面活性剤/ヌクレオチドペレットからRNAを抽出するために有用な好ましい溶媒は、0〜8%w/vの酢酸ナトリウム又は酢酸アンモニウム及び0〜1%v/vの酢酸を含むホルムアミドが最適である。4%w/vの塩及び0.16%v/vの酸を含むホルムアミドがより好ましい。塩及び酸の存在はリボヌクレアーゼを阻害することができる。抽出は約25℃〜約100℃において約5〜約30分の期間、時々渦動させながら行う。現在好ましい条件は時々渦動させながら80℃において約10分間である。この段階のための特定の条件の選択は、当該技術分野における熟練者が容易に行うことができる。
【0029】
塩を含む熱ホルムアミドを用いたペレットの抽出は予想に反してRNAの選択的抽出を生ずる。下記に記載するように後にエタノールを添加するとRNAの沈澱を生ずるので、ホルムアミドと共に塩を添加するのも簡単である。
【0030】
抽出されるRNAの質及び量は、場合により抽出溶媒にアウリントリカルボン酸(0.5〜5mM)又はジエチルピロカーボネートなどのリボヌクレアーゼ阻害剤を加えることによっても向上させることができる。他のリボヌクレアーゼの阻害剤が当該技術分野における熟練者によりこの目的のために選ばれることができる。
【0031】
この抽出の完了時に、混合物を場合により上記の速度と同じか類似の速度で遠心する。上澄み液を等体積のエタノールに加え、混合物を−20℃か又はそれ以下に冷却する。その後RNAを遠心してペレットとし、従来の方法により処理する。
【0032】
このエタノール沈澱段階の代わりとなるのは、RNAを含むホルムアミド抽出物を、従来の流動、スピン−カラム又はプッシュカラム法を用い、Trisacryl GF−05などのサイズ排除カラムに通過させることである。RNAはカラムを平衡化した緩衝液中でカラムから流出する。
【0033】
解離法(2)の実施態様の場合、RNAを不溶性で残すが界面活性剤を可溶化する方法により核酸/界面活性剤複合体を解離させることができる。これはペレットを塩化リチウムの濃水溶液(RNAはそこに不溶性)で洗浄することにより行うことができる。好ましい濃度は約2M〜約6Mの塩化リチウムである。他の方法は、エタノールに溶解した塩を用いたペレットの洗浄を含む。好ましい塩は酢酸ナトリウム及び塩化リチウムを含むことができるが、当該技術分野における熟練者は他の適した塩を選ぶことができる。エタノール性溶液が酢酸ナトリウムを含む場合、好ましい塩の量は約2〜約10%w/vである。エタノール性溶液が塩化リチウムを含む場合、好ましい塩の量は約1〜約30%w/vである。選ばれた溶液で洗浄した後、洗浄溶液を捨て、ペレット中に残るRNAを後の処理のために適した緩衝液に溶解することができる。
【0034】
RNAの第四級アンモニウム塩界面活性剤とのその複合体からの解離に、方法のいずれの実施態様を用いるかにかかわらず、得られるRNAは場合により本方法に従い、フェノール/クロロホルム抽出によりさらに精製し、両者共上記で引用したManiatis et al及びWallaceにより記載の従来の方法に従ってエタノール又はイソプロパノールの添加により沈澱させるか、あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0035】
3.本発明のキット
上記の界面活性剤溶液の1つ又はそれ以上を、生物学的試料からのリボ核酸の単離のためのキットとして容易に製造することができる。用いるために現在好ましい界面活性剤はアルキル基の炭素数が14のアルキルトリメチルアンモニウムオキザレートである。そのようなキットの他の成分には、この方法の分離及び解離段階を行うために必要な試薬及び容器、すなわちホルムアミド溶媒、グアニジニウムイソチオシアナート溶液、塩化リチウム溶液及び/又はエタノール性溶液が含まれる。場合により上記で限定した追加の精製段階を行うための試薬も、この方法を容易に行うためにそのようなキットに含まれることができる。そのような単離法のためのキットの他の従来の成分もキットに含まれることができる。
【0036】
以下の実施例は本発明の方法を行うための好ましい方法を例示する。これらの実施例は単に例示のためであり、本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1−方法で用いるための界面活性剤の合成
本発明において有用な界面活性剤を以下の通りに合成する。テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミドの15%w/v溶液(Sigma Chemical Corp.)を50℃において水に溶解する。この溶液をヒドロキシド形態の、床体積が適用体積に等しいイオン交換樹脂(Biorad 1(商標),Sigma)に通過させる。このカラムにおいて第級アンモニウム塩のブロミドイオンがヒドロキシドイオンで交換される。得られる界面活性剤ヒドロキシド水溶液を含む流出液を集め、希釈した試料を希HClで中性に滴定し、その濃度を決定する。次いで界面活性剤ヒドロキシドを0.5Mの蓚酸で中和する。混合物を希釈し、界面活性剤に関して、再び中性反応物(neutral reaction)に関して0.1M溶液を得る。結果は本発明で用いるのに望ましいテトラデシルトリメチルアンモニウムオキザレートのわずかに乳光の無色の水溶液であり、振ると泡立つ。
実施例2−追加の界面活性剤の合成
本発明で有用な他の界面活性剤を、示されている通り第級アンモニウムイオン及び酸の素性が異なる以外は実施例1に記載の通りにして合成する。
【0037】
R1が、長さが12、14又は16炭素数であるアルキルであり、R2、R3及びR4がメチルであるアルキルトリメチルアンモニウム(Sigmaからブロミド塩として購入)、あるいはR1が、長さが12、14、16又は18炭素数であるアルキルであり、R2がベンジルであり、R3及びR4がメチルであるアルキルベンジルジメチルアンモニウム(Aldrichからクロリド塩として購入)を用いた。実施例1に記載の通り、各第級アンモニウム塩の水溶液をイオン交換カラムに通過させ、界面活性剤ヒドロキシドを得た。各ヒドロキシドを臭化水素酸、塩酸、リン酸、硫酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸及びクエン酸から成る群より選ばれる酸で中和し、対イオンX−を各界面活性剤においてブロミド、クロリド、ホスフェート、サルフェート、ホルメート、アセテート、プロピオネート、オキザレート、マロネート、スクシネート及びシトレートとした。
【0038】
次いでこれらの界面活性剤水溶液を実施例3に記載の通り、血液からRNAを得る実験で用いた。
実施例3−界面活性剤による血液の溶解
本発明の実行に有用な程度に新規な界面活性剤が血液を溶解する能力を以下の実験により例示する。
【0039】
実施例2に記載の通りに合成した界面活性剤溶液(1ml)をEppendorf微量遠心管に入れた。1/10体積の3.2%クエン酸ナトリウムで抗凝固させた200マイクロリットルの血液を加え、即座に混合した。混合物を16,000gで5分間遠心し、上澄み液を吸引により除去した。
【0040】
得られたペレットを視覚により調べ、等級分けした。結果を以下の表に示し、表において12、14又は16−TMAは長さが12、14又は16炭素数のアルキルを有するアルキルトリメチルアンモニウムを示し、12、14、16又は18−BAは長さが12、14、16又は16炭素数のアルキルを有するアルキルベンジルジメチルアンモニウムを示す。界面活性剤の対イオンは表の左側に沿って示す。
【0041】
ペレットは以下の数値尺度を用いて等級分けし、それを表Iに示す:0=肉眼でほとんど見えないペレット;
1=わずかに着色したペレット又は管の片側に最小の体積を有する物質のしみ; 2=長軸が2〜3mmで管の底を不完全に覆っている褐色のペレット; 3=長軸が3〜4mmで管の底を完全に覆っている褐色のペレット; 4=長軸が4〜5mmで暗褐色; 5=長軸が5mmより長い。
【0042】
0又は1の得点のペレットは少量のRNA及びDNA以外の物質を含む。比較的高い得点を有するペレットは許容できない程多量の、おそらくヘモグロビン又はヘモグロビンの変性形態を含む汚染物質を含む。
【0043】
界面活性剤が4℃で放置又は保存すると溶液から結晶化する傾向のある場合、結果を括弧内で示す。
Figure 0003615545
【0044】
カチオン性界面活性剤が血液細胞を溶解する効率には変動があることがわかる。予想に反してアルキルトリメチルアンモニウムのジカルボン酸塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウムのモノカルボン酸塩は比較的小さいペレットを生ずる。驚くべきことにアルキル鎖の長さはカチオン性界面活性剤が血液を溶解する能力にほとんど影響しない。
実施例4−界面活性剤による全血からのRNAの沈澱
カチオン性界面活性剤がRNAを沈澱させる効率を調べるために、血液(200マイクロリットル、クエン酸塩で抗凝固)を、担体として10マイクログラムのtRNA及び20,000cpmの32P−RNA(2000塩基転写物)を含む50マイクロリットルのリン酸塩緩衝生理食塩水と共に1mlの示された界面活性剤(0.1M)に加えた。1時間後、混合物を遠心し(16,000g、5分間)、上澄み液を吸引して捨てた。次いでペレット中に存在する放射性をシンチレーションカウンティングにより評価し、加えられた放射性のパーセントとして表す。結果を下表IIに報告し、表において第4級塩及びイオンは表1におけると同様に示されている。RNAの95%か又はそれ以上の沈澱が許容し得ると考えられる。101又は102%として報告されている値は100%の滴定誤差範囲内である。
Figure 0003615545
【0045】
界面活性剤がRNAを沈澱させる効率には広い変動があることがわかる。最も有効なのはアルキルトリメチルアンモニウムと2価の酸の塩であった。この結果は予想に反していた。対照的に、アルキル側鎖の長さはあまり重要でなかった。
実施例5−全血からのRNAの単離及び抽出
血液の試料(100マイクロリットル及び400マイクロリットル)をEppendorf管中の、実施例1の通りに製造された800マイクロリットルの14−TMAオキザレートに加え、即座に混合した。混合物を室温で0、15分、30分又は1時間インキュベートしてから遠心した(16,000gにおいて5分間)。上澄み液を吸引し、ペレットをリボヌクレアーゼを含まない水で短時間洗浄した。
【0046】
次いでペレットを、4グラムの酢酸ナトリウム及び0.16mLの酢酸を100mlのホルムアミドと混合することにより調製した抽出緩衝液を用い、時々渦動させながら80℃に10分間加熱することにより抽出した。混合物を遠心し(16,000g、5分間)、上澄み液を400マイクロリットルのエタノールに加え、−80℃に10分間冷却した。沈澱したRNAを遠心(16,000g、5分間)により収穫し、ホルムアルデヒド試料緩衝液に溶解し、従来の方法によりアガロースにおいて電気泳動させた。
【0047】
エチジウムブロミドを用いて染色した後、紫外光下でゲルを調べると、血液の100マイクロリットル試料を負荷した列においてrRNA及び他のRNAの存在が示された。400マイクロリットルの血液を負荷した列は部分的に分解したRNAを現した。0、15分、30分又は1時間界面活性剤と共にインキュベートした試料を含む列の間で差はなかった。
【0048】
同様の実験において、実施例3に挙げた0又は1のペレットの得点を有する界面活性剤を用いて血液からRNAを単離した。ベンズアルコニウム界面活性剤を用いた収率は一般にアルキルトリメチルアンモニウム界面活性剤を用いた収率より低かった。この理由は明らかでない。
実施例6−細胞懸濁液からのRNA単離及び抽出
100マイロリットル中の10万個のHL−60[ATCC CCL 240]又はK562[ATCC CCL 243]ヒト白血病細胞を1mlの100mM 14−TMAオキザレートに加え、遠心した(16,000g、5分間)。ペレットを実施例5に記載の通りに抽出し、分析した。rRNA及び他のRNA種の特徴的バンドがゲル上に見られた。これはTMAオキザレートを培養細胞からのRNAの単離に用いることができることを示す。
実施例7−カチオン性界面活性剤及びジチオトレイトールを用いたRNA単離
血液の試料(100又は200マイクロリットル)を、10又は100mMのジチオトレイトールを含む、又は含まない1.0mlの14−TMAオキザレートに加え、遠心の後、0、10又は100mMのジチオトレイトールを含むホルムアミドを用いて実施例6に記載の通りにペレットを抽出した。RNAをエタノールを用いて沈澱させ、アガロースゲル電気泳動により調べた。
【0049】
非分解RNAの最高の収率は、100mMのジチオトレイトールを界面活性剤及びホルムアミド抽出緩衝液の両方に加えた場合に得られた。ジチオトレイトールはリボヌクレアーゼを阻害することにより収率を増加させることができる。
実施例8−カチオン性界面活性剤及びアウリントリカルボン酸を用いたRNA単離
ジチオトレイトールの代わりに0、0.5又は5mMのアウリントリカルボン酸(Sigma)を用いて実施例7と同様の実験を行った。非分解RNAの最高の収率は5mMのアウリントリカルボン酸をホルムアミド抽出緩衝液に加えた場合に得られた。アウリントリカルボン酸はリボヌクレアーゼを阻害することが知られている。
実施例9−抽出されたRNAのカラムクロマトグラフィーを用いた精製
RNAのホルムアミド抽出物を緩衝水溶液で予備平衡化した数個のサイズ排除カラム(Sephadex G50(商標)又はTrisacryl GF−05(商標))の1つの上でクロマトグラフィーにかけ、重力供給、遠心又は空気圧により溶離する以外は、血液及び放射性RNAを同時に界面活性剤に加える実施例8と同様の実験を行った。空気圧を用いて溶離したカラムから溶出した放射性画分をアガロースゲル電気泳動により分析し、それは非分解rRNAのバンドを現した。この実験はRNAをホルムアミドからカラムクロマトグラフィーにより回収できることを明らかにしている。
実施例10−グアニジニウムイソチオシアナートを用いたRNA抽出
血液の試料(50〜400マイクロリットル)を1mlの14−TMAオキザレート溶液に加え、16,000gにおいて5分間遠心した。得られたペレットを、4Mのグアニジニウムイソチオシアナート及び200mMの酢酸ナトリウム緩衝液、pH4を含む水溶液100マイクロリットルを用い、時々渦動させながら室温で10分間インキュベートすることにより抽出した。次いで等体積の水−平衡化フェノール及びクロロホルムの1:1混合物を加え、渦動させることにより乳化した。短時間の遠心(16,000g、2分間)により相を分離させ、上の水相を取り出し、等体積のイソプロパノールに加えた。
【0050】
−20℃に30分間冷却した後、沈澱したRNAを遠心(16,000、5分間)により収穫し、エタノールで洗浄し、アガロースゲル電気泳動による分析のために再溶解した。これは、細胞RNAの特徴的エチジウムブロミド染色可能なバンドを現した。この実験は、界面活性剤核酸ペレットから高塩濃度によりRNAを抽出できることを示している。グアニジニウムイソチオシアナートはリボヌクレアーゼを阻害することが知られており、その作用はRNAの回収を容易にすることができる。
実施例11−カチオン性界面活性剤及びホルムアミド抽出を用いた癌遺伝子RNAの単離
慢性骨髄性白血病細胞は2つの染色体の相互転座による、並んだ2つの遺伝子のハイブリッドである癌遺伝子(bcr/abl)を発現する。この癌遺伝子は正常な細胞では発現されないが不死白血病細胞系K562[ATCC CCL 243]において発現される。逆転写酵素及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるRNA種の検出のためのRNAの単離における本発明の利用性を示すために、30〜10,000個のK562細胞を200マイクロリットルの全血と混合し、実施例5に記載の方法を用いてRNAを抽出した。
【0051】
得られたRNAの分析を、Sawyers et al,Proc.Natl.A cad.Sci.USA,87:563−567(1990)により記載のPCRプライマーを用いて行った。簡単に記載すると、単離されたRNAを再懸濁し、それをPCR緩衝液(50mMのKCl;4mMのMgCl2、50mMのTRIS pH8.4;100mg/mlの牛血清アルブミン)中に20単位のRNasin、5mMのジチオトレイトール、20ピコモルのプライマーB(5'−TCAGACCCTGAGGCTCAAAGTC−3')、[配列番号:1]、1mMのデオキシヌクレオチド三リン酸(Pharmacia)を含む40マイクロリットル体積において200単位のMaloneyマウス白血病ウィルス逆転写酵素(BRL,Bethesda,MD)と共に37℃で1時間インキュベートすることによりcDNAを作った。95℃に加熱することにより反応を停止した。80マイクロリットルのPCR緩衝液及び20ピコモルのプライマーA(5'−GAAGCTTCTCCCTGGCATCCGT−3')[配列番号:2]を加えた。混合物を100マイクロリットルの鉱油で覆い、サイクルにプログラムした。すべての方法は“ホットスタート(hot−start)”法を用いることにより公開されている方法から修正した。
【0052】
Thermal Cycler(Perkin Elmer−Cetus,Emeryville,CA)は以下の通りにプログラムした:プライマーA及びBが用いられた場合、95℃で30秒間変性、55℃で30秒間アニーリング及び72℃で1分間伸長。PCR産物をエチジウムブロミドを用いて1%アガロースゲル上で分析した。
【0053】
そのような実験で得られたゲルを紫外光下で調べると、血液の200マイクロリットル試料中に1000又は200個のK562細胞を含む血液試料からの179塩基対フラグメントの増幅が明らかにされた。逆転写酵素が含まれなかった標準試料中には増幅産物が検出されなかった。他の類似の実験において、血液からのRNAの沈澱に16−TMAスクシネート、14−BAスクシネート、16−BAアセテート及び14−BAホスフェートを含む他の界面活性剤を用いて、及びグアニジニウムイソチオシアナートにより界面活性剤/ヌクレオチドペレットから抽出されたRNAの試料においてbcr/abl癌遺伝子の増幅が得られた。これは、記載された全血からのRNAの単離のためのカチオン性界面活性剤法が、さらに精製する必要がなく逆転写及びPCRによる増幅に適したRNAを与えることを示す。
実施例12−カチオン性界面活性剤及びグアニジニウムイソチオシアナート抽出を用いた癌遺伝子RNAの単離
RNAの単離に実施例10のグアニジニウム法を用いる以外は実施例11と同様の実験を行った。血液試料からのRNAが30個か又はそれ以上のK562細胞を含む場合、適したサイズの増幅産物が見られた。この実験は、記載されたグアニジニウムイソチオシアナートを用いた界面活性剤ヌクレオチド複合体の抽出が、さらに精製せずに増幅に適したRNAを与えることを示している。記載の通り、この方法はPhiladelphia染色体を有する慢性骨髄性白血病の患者の血液の1マイクロリットル当たり1個以下の白血病細胞を検出できると思われ、これはこの方法の高い感度を示している。
実施例13−塩化リチウム濃水溶液を用いた培養細胞からのRNAの単離
培養されたHL60又はK562細胞(105〜107細胞)を1mlの14−TMAオキザレートに加え、混合物を実施例6に記載の通りに遠心した。ペレットを塩化リチウムの2M水溶液と混合し、再度遠心し、上澄み液を捨てた。RNAを含むペレットを70%のエタノールで洗浄し、緩衝水溶液に溶解した。UVスペクトル分析及びアガロースゲル電気泳動による試験は、非分解RNAの優れた収率を明らかにした。
実施例14−エタノール性塩溶液を用いた培養細胞からのRNAの単離
塩化リチウム溶液を4%の酢酸ナトリウムを含むエタノールで置換する以外は実施例13に記載の通りに培養細胞からRNAを単離した。この場合も大きく分解されていないRNAの優れた収率が得られた
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:22
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:不明
配列の種類:Genomic DNA
配列
Figure 0003615545
配列番号:2
配列の長さ:22
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:不明
配列の種類:Genomic DNA
配列
Figure 0003615545

Claims (29)

1.生物学的試料を第四級アンモニウム塩界面活性剤水溶液と接触させる段階を含んでなり、該第四級アンモニウム塩が式
Figure 0003615545
[式中、R1〜R4は独立して炭素数が1〜20のアルキル鎖及び炭素数が6〜26のアリール基から選ばれ、X-はホスフェート、サルフェート、ホルメート、アセテート、プロピオネート、オキザレート、マロネート、スクシネート及びシトレートから成る群より選ばれる]
で表されることを特徴とする生物学的試料からRNAを単離する方法。
生物学的試料が全血である請求項1に記載の方法。
R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがアリール基であり、フェニール、低級アルキル置換ベンジル及びハロゲン化ベンジルから成る群から選ばれる請求項1に記載の方法。
第四級アンモニウム塩が、長さが12、14又は16炭素数のアルキル基を含むアルキルトリメチルアンモニウムであり、X-がオキザレート、マロネート及びスクシネートから成る群より選ばれる請求項1に記載の方法。
第四級アンモニウム塩が、長さが14炭素数のアルキル基を含むアルキルトリメチルアンモニウムであり、X-がオキザレートである請求項1に記載の方法。
第四級アンモニウム塩がアルキルベンジルジメチルアンモニウムであり、アルキル基の長さが12、14、16又は18炭素数であり、酸が硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸及びプロピオン酸から成る群より選ばれる請求項1に記載の方法。
生物学的試料中のRNAを含むヌクレオチドと第四級アンモニウム塩界面活性剤の間に不溶性のイオン性複合体を形成する段階をさらに含む請求項1に記載の方法。
生物学的試料及び第四級アンモニウム塩界面活性剤混合物を遠心することにより溶液から該複合体を分離することを含む請求項7に記載の方法。
濾過により溶液から該複合体を分離することを含む請求項7に記載の方法。
ヌクレオチドと第四級アンモニウム塩界面活性剤複合体からRNAを解離させる段階をさらに含む請求項7に記載の方法。
解離させる段階が塩の濃厚溶液を用いて該複合体を抽出することを含む請求項10に記載の方法。
塩の濃厚溶液が約pH4において100mMの酢酸ナトリウム緩衝液と共に4Mのグアニジニウムイソチオシアナートを含む請求項11に記載の方法。
解離させる段階が、適した塩及び酸を用いて場合により緩衝化されていてもよいホルムアミド溶媒を用いてRNAを抽出することを含む請求項10に記載の方法。
塩が酢酸ナトリウム又は酢酸アンモニウムである請求項13に記載の方法。
酸が酢酸である請求項13に記載の方法。
解離させる段階が、RNAが不溶性の塩溶液を用いて該複合体を抽出することを含む請求項10に記載の方法。
該溶液がリチウムを含む請求項16に記載の方法。
該溶液が塩化リチウムの濃厚水溶液である請求項17に記載の方法。
解離させる段階が、RNAが不溶性の溶媒中の塩を用いて該複合体を抽出することを含む請求項10に記載の方法。
該溶媒がエタノールである請求項19に記載の方法。
該塩が酢酸ナトリウム又は塩化リチウムである請求項19に記載の方法。
生物学的試料が全血、血漿、血清、尿、組織及び細胞から成る群より選ばれる請求項1に記載の方法。

Figure 0003615545
[式中、R1〜R4は独立して炭素数が1〜20のアルキル鎖及び炭素数が6〜26のアリール基から選ばれ、X-はホスフェート、プロピオネート、オキザレート、マロネート、スクシネート及びシトレートから成る群より選ばれる]
で表される第四級アンモニウム塩界面活性剤を有効成分とする生物学的試料からのRNA単離剤。
第四級アンモニウム塩がアルキルトリメチルアンモニウムであり、アルキル基の長さが12、14又は16炭素数であり、X-がオキザレート、マロネート及びスクシネートから成る群より選ばれる請求項23に記載のRNA単離剤。
第四級アンモニウム塩がアルキルベンジルジメチルアンモニウムであり、アルキル基の長さが12、14、16又は18炭素数であり、X-がホスフェート及びプロピオネートから成る群より選ばれる請求項23に記載のRNA単離剤。
第四級アンモニウム塩界面活性剤水溶液を含んでなり、該第四級アンモニウム塩が式
Figure 0003615545
[式中、R1〜R4は独立して炭素数が1〜20のアルキル鎖及び炭素数が6〜26のアリール基から選ばれ、X-はホスフェート、プロピオネート、オキザレート、マロネート、スクシネート及びシトレートから成る群より選ばれる]
で表される、生物学的試料からRNAを単離するためのキット。
第四級アンモニウム塩がアルキルトリメチルアンモニウムであり、アルキル基の長さが12、14又は16炭素数であり、X-がオキザレート、マロネート及びスクシネートから成る群より選ばれる請求項26に記載のキット。
第四級アンモニウム塩がアルキルトリメチルアンモニウムであり、アルキル基の長さが14炭素数であり、X-がオキザレートである請求27に記載のキット。
第四級アンモニウム塩がアルキルベンジルジメチルアンモニウムであり、アルキル基の長さが12、14、16又は18炭素数であり、X-がホスフェート及びプロピオネートから成る群より選ばれる請求項26に記載のキット。
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