JP3614855B2 - 静電チャックから被加工物を解放する方法 - Google Patents
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Description
開示の背景
1. 産業上の利用分野
本発明は一般的に、被加工物(workpiece)を保持するための静電(electrostatic)チャック(chucks)に関し、特に、静電チャックから被加工物(例えば半導体ウエハ)を解放するための方法及び装置に関する。
2. 従来の技術
静電チャックは、コンピュータグラフィックスのプロッタ内に於ける紙のシートの保持から、半導体製造プロセスチャンバ内に於ける半導体ウエハの保持まで、種々の場合に於いて被加工物を保持するために用いられる。静電チャックの設計には種々のものがあるが、それらは全てチャック内の一以上の電極に電圧を印加し、その被加工物及び電極にそれぞれ反対の極性(opposite polarity)の電荷(charges)を誘発するという原理に基づいている。反対の電荷の間の静電引力(electrostatic attractive force)が、被加工物をチャックに押しつけ、それによってその被加工物を保持する。
静電チャックに伴う問題は、被加工物をチャックから解放したいときに、電荷を被加工物及びチャックから除去することが困難であるということである。従来からある一つの方法は、電極と被加工物の双方をアース(ground)に接続し電荷を放出することである。電荷を更に迅速に除去できると称する別の従来の解決方法は、電極に印加された直流(DC)電圧の極性を逆にすることである。このことは、ワタナベ他に付与された米国特許第5117121号に於いて、二つの電極(バイポーラ(bipolar)チャック)を有するチャックという状況の中で説明されている。
電荷を除去するためのこれらの従来のアプローチについて認められる欠点は、電荷を完全に除去することができず、そのため被加工物とチャックとの間にいくらかの静電引力が残るということである。この残留静電力は、チャックから被加工物を引き離すために、大きな機械的力の使用を余儀なくさせる。被加工物が半導体ウエハであるときには、取り外しに要する力がウエハにクラックを生じさせ或いはその他の損傷を与えることがある。ウエハに損傷が与えられないときであっても、残留静電力に機械的に打ち勝つことが困難であることから、従来型のウエハ移送(transport)ロボットによる回収を困難にするような位置に、ウエハを予期に反してチャックから跳ね返らせる(pop off)ことがある。
発明の要約
本発明によれば、被加工物を保持するのに用いられたのと同じ極性(polarity)を有するが、被加工物とチャックとの間の静電引力を最小限にするように選定された、異なった大きさを有する「脱チャック(dechucking)」電圧をチャック電極に印加することによって、被加工物が静電チャックから解放できる。発明者達は、脱チャック電圧は、従来の脱チャック方法に要するよりもずっと小さい力で被加工物をチャックから取りはずすことを可能にする最適値に設定できるということを見出した。
脱チャック電圧はゼロ或いはチャッキング(即ち保持)電圧の極性と反対の極性とすべきであるという従来から知られた教示に照らしてみると、本発明では、チャッキング電圧と同じ極性の脱チャッキング電圧を用いることによって被加工物上の保持力をうまく最小限にできるということは驚くべきことである。
本発明の別の局面は、脱チャッキング電圧のための最適値を定めるための方法及び装置である。
【図面の簡単な説明】
図1は、部分的に選択的に図で表された、本発明が適用できる従来型の静電チャックを含む従来型の半導体ウエハ製造プロセスチャンバの断面図である。
図2は、本発明の好ましい実施例に用いられる電気的制御システムの線図である。
図3は、本発明の好ましい実施例の作用を図示したタイミングダイヤグラムである。
好ましい実施の形態
1. 静電チャックを備えた従来のプラズマチャンバ
我々の新規な脱チャッキング方法及び装置は、従来の静電チャックと組合せて用いられることを意図している。図1は、半導体ウエハ101のプラズマ高進(plasma−enhanced)プロセス(例えばエッチング或いは化学蒸着)に用いられる真空チャンバ100内に形成されたようなチャック110を示している。
従来の真空チャンバ100は、アルミニウムで作られまた電気的に接地された真空密封(vacuum−tight)エンクロージャ105を含む。円盤形状の陽極化された(陽極酸化処理された)(anodized)アルミニウム製の陽電極(anode electrode)104が、エンクロージャ105の上壁即ち蓋(lid)のすぐ下に搭載されており、また接地されたエンクロージャに電気的に接続されている。
従来の静電チャックは、陽極化された一体の(solid)アルミニウム陰極ペデスタル111を含んでおり、そのペデスタルは円形で平坦な上面と、ペデスタル111の上面に接着された下部誘電(dielectric)層112と、下部誘電層の上面に接着された金属製のチャック電極113と、チャック電極の上面に接着された上部誘電層114とを有する。好ましい実施例に於いては、両誘電層共に75ミクロンの厚さのポリイミド(polyimide)である。
陰極(cathode)ペデスタル111は、中空の陽極化されたアルミニウム陰極ベース135の上部に搭載されており、またそれに電気的に接続されている。その陰極ベースは、電気的に絶縁する環状フランジ147によって、エンクロージャ105の下壁に搭載されている。陰極への電気的な接続は、陰極ベース135の底にあるネジの切られた穴に捩じ込まれるネジ付き端部を有する銅性のロッド138によって成される。銅性のクリップ(図示せず)が、ロッド138をラジオ周波数(RF)伝達ライン134に接続しており、その伝達ラインは次にインピーダンスマッチング(impedance matching)ネットワーク132につながっており、またそのネットワークは次にRF電源130につながっている。そのマッチングネットワーク132は、陰極からアースへの直流(DC)流路を提供するために、出力を横切る10メグオーム(megohm)の抵抗器(resistor)136を含む。
チャック電極113への電気的な接続は、点115に於いてチャック電極113に取り付けられた絶縁されたワイヤ122によって成されている。ワイヤ122は、電極113から陰極ペデスタル111内の穴125を通して下方向に延びており、次にフィードスルー(feed−through)絶縁体124を通してエンクロージャ105の底から外に出ている。ワイヤ122は、RFブロッキングローパスフィルタ121につながっており、次にDC電圧源120につながっている。
チャンバ100内に於ける半導体ウエハ101のプロセス中は、図1に示されるように、ウエハは上部誘電体114の上面に静止している。処理が完了すると、ロボットアーム(図示せず)が、ウエハをチャンバから取り出す。ロボットアームの「ブレード(blade)」端部をウエハの下に滑り込ませることができるように、数個の(好ましくは4個、少なくとも3個)リフトピン142がウエハをチャック110の上方2cmから5cmに持ち上げる。各リフトピン142は、陰極ペデスタル111内の対応する穴144内を垂直に滑る。リフトピン142は全て、キャリッジ140上に搭載されており、そのキャリッジはプログラムできるデジタルコンピュータ(図示せず)の制御下にニューマティック(pneumatic)昇降機構146によって上げ下げされる。図示の実施例に於いては、リフトピン142及びキャリッジ140は、真空チャンバ100内の陰極ベース135内にあり、一方ニューマティック昇降機構146は真空チャンバの外側にある。それらはベローズ143を貫通するリンケージ149によって機械的に接続されており、そのベローズは真空シールを維持しながらの運動を可能にしている。
プログラムチャンバ100の従来の運転では、ロボットアーム(図示せず)がウエハ101をスリットバルブ106を通してチャンバ内に運び込む。ロボットはウエハをリフトピン142の先端上に置くが、そのリフトピンは、このときニューマティック昇降機構146によって持ち上げられており、静電チャック110の上部の上方2cmから5cmに突き出ている。それからニューマティック機構はリフトピン142を低下させ、ウエハ101がチャック110の上面に降りるようになっている。ウエハの降下時間は典型的には3から10秒である。
ウエハ101がチャック110上に降下する少し前に、チャッキング電圧源120が、アースに対して2000ボルトのオーダーの高いDC電圧をチャック電極113に印加する。リフトピン142のうち典型的には少なくとも一つ(好ましくは全て)は金属製であり、陰極ベース135に電気的に接続されている。陰極ベースは次に、10メグオームの抵抗器136を通して電気的に接地されている。リフトピンがウエハをチャック上に降下させる間、接地されたリフトピンはウエハをアースの電圧に或いはその近傍に維持し、ウエハとチャック電極113との間に2000ボルトのチャッキング電圧が存在するようにしている。この電圧により、ウエハのフェイシング(facing)面及びチャック電極のそれぞれに負の(negative)及び正の(positive)電荷が累積させられる。電荷の量は、ウエハとチャック電極との間の静電容量(capacitance)及び電圧の積に比例する。
ウエハがチャック110の上部誘電体114上に降下した後に、リフトピン142は下がり続け、ウエハがもはや電気的に接地されていないようになる。しかしながら、電荷はウエハ上に閉じ込められたままである。ウエハ及びチャック電極上の反対の極性を持った電荷は、ウエハをチャックの上面に押しつける静電引力を生じさせる。チャッキング電圧(この例では2000ボルト)は、ウエハが引き続いて行われる処理工程の間に動くのを防止するのに適した静電力をウエハとチャックとの間に生じさせるに十分高い値に設定される。このようにしてチャック上にしっかりと保持されたウエハは、「チャックされた(chucked)」と言われる。
ウエハがチャックされた後に、一以上の半導体製造プロセス工程が、チャンバ100内で行われる。例えばウエハ上への堆積或いはウエハ上のフィルムのエッチングである。プラズマを用いるプロセスのためには、陰極ペデスタル111及び接地された陽極(anode)104との間にRF電力をRF電源130が印加する。印加された電源は、ウエハ101と陽極との間の領域にプラズマを励起する。プラズマは、ウエハとアースとの間に導電路(electrically conductive path)を提供する。しかしながら電子の移動性と正イオンの移動性の間にある差のために、DC電圧降下がプラズマを横切って生じ、そのためウエハにはアースに対して負のバイアスが掛けられる。DC電圧源120によってチャック電極113に印加されるチャッキング電圧が正である場合には、ウエハとチャック電極との間の総電圧はウエハのバイアス電圧とチャッキング電源電圧との合計になる。このようにして、ウエハバイアスはウエハを保持する静電気による力を増加させる。
半導体製造プロセス工程が完了した後、ニューマティック昇降機構146はリフトピン142を上昇させ、ウエハをチャック110の上方に持ち上げ、ウエハがロボットによってチャンバから取り出すことができるようにする。リフトピンがウエハを持ち上げることができるためには、ウエハは「脱チャック」されなければならない。即ち、チャック110上にウエハを保持している静電気による力が取り去られなければならない。従来のやり方では、チャッキング電圧源120を切り、チャック電極113及びウエハ101の両方をアースに接続し、次に、チャッキング電圧をチャック電極に印加している間にチャック電極及びウエハ上に蓄積した、それぞれに電荷を取り去るようにする。
従来のやり方では、接地された金属製のリフトピン142が、ウエハが持ち上げられるときにウエハの底を打つ(strike)ときに、ウエハはアースされる。或いはやはり従来のやり方に於いては、ウエハからチャンバの接地された壁105への導電路を提供するプラズマ103を維持するために、低減されたパワーレベルに於いてRF電源を残すことによって、ウエハは接地される。
2. 新規な脱チャッキングの方法
従来の脱チャッキングの方法について発明者達が認識している問題は、ウエハとチャック110との間の静電引力の全てをうまく除去することができず、ウエハをチャックから取り外すのに過度の力が必要であるということである。この力はウエハにクラックを生じさせ得るし、またはウエハ移送ロボットによって適切に整列させ或いは回収することが困難であるような位置にウエハをチャックから跳ね返らせ得る。
チャッキング電圧と同じ極性を有し、しかし小さい大きさを有する「脱チャッキング」電圧を、チャック電源113とウエハとの間に印加することによって、ウエハ上の静電気による力が本質的に除去され、それによってウエハをチャックから容易に取り外すことができるということを、発明者達は見出した。脱チャッキング電圧のための最適値があるということを見出した。即ち、印加された脱チャッキング電圧がこの最適値よりも高かったり或いは低かったりすると、かなりの大きさの静電引力がウエハとチャックとの間に残る。
この挙動の原因は、チャック電極113に印加されたチャッキング電圧の極性と反対の極性を有する電荷が、チャッキング電圧がチャック電極113に印加されている期間の間に上部誘電体114に蓄積することであると信じられる。電荷は誘電体の中を容易に流れることができないので、ウエハとチャック電極との両方を接地することによってウエハをチャックから解放する従来の方法では、上部誘電体114から電荷を取り除くことはできない。
したがって、本発明は、上部誘電体114内に閉じ込められた電荷の効果を補償する脱チャッキングの方法と考えられる。本発明は、誘電体がどのようにして電荷を得たかということには関係がない。しかしながら、本発明は以下の理論には依存していないものの、以下の物理的仕組みが、大きな正のチャッキング電圧がウエハ101に対してチャック電極113に印加されたとき、上部誘電体114が負の電荷を蓄積する主な理由であると、発明者達は信じる。
ウエハ及び上部誘電体の双方共に、顕微鏡レベルに於いては平坦度が不完全な表面を有するので、ウエハ及び誘電体は実際にはお互いに数千もの小さな点に於いて接触しており、ウエハと誘電体との間には数千もの顕微鏡的ギャップが残っている。ウエハとチャック電極との間のチャッキング電圧は、これらの顕微鏡的ギャップを横切って強い電場を生じさせる。ウエハをチャック上にしっかりと保持するに十分な高いチャッキング電圧に於いては、この電場が、「フィールドエミッション(field emission)」の物理的仕組みによって、ウエハから上部誘電体の隣接する表面に電子を移動させると発明者達は信じる。チャッキング電圧ひいては電場が取り除かれると、誘電体に蓄積された電子は放電路を有さないこととなり、それらは誘電体に留まる。
発明者達は、半導体ウエハを解放するために脱チャッキング電圧を印加するための新しい方法及び装置を成功裡にテストした。それ故、本発明の重要性は、上部誘電体に電荷を蓄積するための物理的仕組みに対する我々の理解が正確であるということが立証されるかどうかということには関係がない。
本特許明細書の以下の部分に於ける説明を簡単にするために、チャック電極に印加されるチャッキング電圧は正(positive)であると仮定する。したがって、上部誘電体114に蓄積される電荷は負(negative)である。(負のチャッキング電圧が用いられた場合にも、全ての電荷が反対の極性を有するという点を除いて、本発明の作用は同じである。)
半導体101に対して正の脱チャッキング電圧がチャック電極113に印加されると、正の電荷がチャック電極113の上表面に蓄積する。正の電荷の量は、脱チャッキング電圧にチャック電極113とウエハ101との間のキャパシタンス(capacitance)を掛けたものに比例する。ウエハを解放する脱チャッキング電圧の最適値は、上部誘電体114内の負の電荷にほぼ等しい正の電荷をチャック電極の上表面に生じさせる値であると、発明者達は信じる。この条件の下では、半導体ウエハ101上の静電荷は全て無視することができ、そのためウエハとチャックとの間には本質的に静電引力は無くなる。言い替えれば、ウエハはチャックから解放される。
与えられたウエハ及び与えられたチャッキング電圧に対して、最適の脱チャッキング電圧は、以下の一連の工程によって経験的に(empirically)見出すことができる。即ち、工程1:調整可能な電圧源をチャック電極とウエハとの間に接続し、それを、チャック上のウエハを保持するのに通常必要とされるチャッキング電圧を供給するように調整する。この点に於いて、静電気的力は、ウエハがチャックの表面上で容易に滑ることがないように、ましてチャックから持ち上がることがないように、ウエハをチャックに対してしっかりと保持できなければならない。工程2:段階的に(incrementally)電圧を低減させる。段階的に低減させる毎に、ウエハのエッジを軽く叩き、静電気的力が十分に低減されウエハがチャックの表面を滑ることができるようになっているかどうかを確かめる。工程3:ウエハが滑るときには、電圧は最適の脱チャッキング電圧に近い。望むならば、工程2で見出されたほぼ最適な値に近い種々の脱チャッキング電圧に於いてウエハをチャックから機械的に持ち上げるのに必要な力を測定することによって、最適電圧は更に精密に定めることができる。最適の脱チャッキング電圧は、ウエハを持ち上げるのに必要な機械的力を最小限にする電圧である。
工程2及び3に於いては、ウエハをチャックから完全に取り外すのに十分なだけ静電気的力が低減されたかどうかを確かめるのに、別の手段を用いることができる。例えば、ウエハのエッジを軽く叩く代わりに、リフト機構(例えばリフトピン142及びリフト機構146のような)が、所定の小さい機械的力をウエハの下側に加え、ウエハをチャックから押し離すように調整することができる。チャック電極とウエハとの間の電圧が、最適脱チャッキング電圧と等しくなり、ウエハをチャックに保持している静電気的力が所定の機械的力よりも小さくなるまで、ウエハはチャック上に留まる。
その最適脱チャッキング電圧は、類似した電気的及び機械的特性を有するウエハにとってはほぼ同一である。特に単一の処理バッチ(batch)からのウエハに対しては同じである。それ故、最適脱チャッキング電圧は一つのウエハに対して定めることができ、次に同一の脱チャッキング電圧を一つのバッチ内の各連続するウエハに対して用いることができる。具体的に言えば、各ウエハがチャック上に置かれると、通常のチャッキング電源120が通常のチャッキング電圧(例えば+2000ボルト)をチャック電極に印加し、処理工程中ウエハを保持する。ウエハの処理が完了すると、DC電圧電源120の出力は、そのバッチ内の第一のウエハに対して前もって定められた最適脱チャッキング電圧(例えば+600ボルト)まで低減され、ウエハをチャックから解放するようになる。この時点で、ウエハはチャンバから取り出すことでき、またそのサイクルはそのバッチ内の次のウエハに対して繰り返すことができる。
しかしながら、例え単一のバッチ内であっても、最適脱チャッキング電圧はウエハ毎にかなり変化するので、最適脱チャッキング電圧は各ウエハ毎に定めるのが好ましいということを発明者達は見出した。具体的に言えば、25個のウエハの1バッチ内の最初のウエハと最後のウエハとの間では、最適脱チャッキング電圧が+600ボルトから+400ボルトまで少しずつ低下していくことを発明者達は見出した。(ウエハ毎の最適脱チャッキング電圧に於ける小さな変化は、ウエハの平坦度或いは平滑度の差によって、またウエハとチャックとの間の微粒子の存在によってさえも生じうる。これらの差は、ウエハとチャックとの間の顕微鏡的ギャップの大きさに影響を与え、それ故ウエハとチャック電極との間の静電容量(capacitance)に影響を与える。)各ウエハに対する最適脱チャッキング電圧を迅速に定める好ましい方法が、次のセクション3に説明されている。
要約すれば、半導体ウエハを静電チャックから解放する(即ちウエハを「脱チャッキングする」)我々の新規な方法は、チャック電極とウエハとの間に脱チャッキング電極を印加することである。その脱チャッキング電圧は、先に印加されたチャッキング電圧と同一の極性(polarity)を有し、またチャック上にウエハを保持する静電気的力を最小限にし或いは除去する最適電圧値にほぼ等しくすべきである。脱チャッキング電圧の値は、上に述べたように経験的に(empirically)確立された値に設定することができ、或いは更に好ましくは、脱チャッキング電圧の値は、これから以下に説明する新規な方法によって設定することができる。
3. 最適脱チャッキング電圧を定める工程
脱チャッキング電圧を定めるための前述の経験的な方法は、生産のための用途に対しては現実的ではない。それは最適脱チャッキング電圧はウエハの一つのバッチと次のバッチとの間で変化するということを我々は見出したからである。幸いにも、ウエハがチャック上に装填されたときに個々のウエハに対する最適脱チャッキング電圧を自動的に定めるための方法及び装置を開発することもできた。
我々の自動化された方法は、ウエハがチャック110の上方に、ある距離をもっている間に、チャッキング電源120をチャック電極113と半導体ウエハ101との間に接続し、また次にウエハがチャック110の上側誘電体114上に降下されたときチャッキング電源120からの電流のサージ(surge)を(直接的に或いは間接的に、以下に述べるように)測定することによって、脱チャッキング電圧を確立する。我々は、ここで言う電流サージとはチャック電極113とウエハ101との間の静電容量を荷電することであると信じる。この静電容量は、ウエハとチャック電極との間の距離に反比例する。上部誘電体の厚さは典型的には僅かに75ミクロンであるので、ウエハがその上部誘電体に接触すると静電容量は急速に高くなる。
もし上部誘電体114内に電荷がないならば、電流サージはチャッキング電圧に直接的に比例する。しかしながら、上部誘電体に負の電荷があるならば、電流サージはその負の電荷の量に比例した量だけ低減する。
言い替えれば、「有効(effective)」チャッキング電圧は、上部誘電体内の負の電荷による仮想の「オフセット(offset)」電圧と実際のチャッキング電圧との間の差であると考えることができる。ウエハがチャック上に降ろされたときの電流サージは、「有効」チャッキング電圧に比例する。仮想の「オフセット」電圧は、もしチャック電極に印加されたならばその誘電体内の負の電荷をバランスさせ或いはオフセットさせるチャック電極の上方表面上の正の電荷を生じさせるであろう電圧に等しい。言い替えれば、その仮想「オフセット」電圧は、ウエハ上の静電気的力を除去する最適脱チャッキング電圧と等しい。これらの発見に基づいて、我々は最適脱チャッキング電圧を定めるために以下のような方法を開発した。工程1:ウエハ101をチャック110の上方に、ある距離を保ちながら(おそらく1mmで十分であるが1から5cmが便利である)、チャック電極113とウエハとの間に「テスト」チャッキング電圧を印加するようにチャッキング電源120をセットする。その「テスト」電圧は、以下の工程の間そのまま維持される。工程2:ウエハ101が上部誘電体114上に降ろされたときに、チャッキング電源120とチャック電極113との間のサージ電流を測定する。工程3:電流サージの測定値に比例定数「R」を乗じることによって「有効」チャッキング電圧を計算する。(「R」の値は、下に述べる較正処置によって予め定めるべきである。)工程4:その「テスト」チャッキング電圧の値から工程2で見出された「有効」チャッキング電圧の値をマイナスした値に脱チャッキング電圧を設定する。
チャック電極に印加されるウエハに対する「テスト」電圧はプロセスチャンバ100内でウエハ101を引き続き処理する際に用いることを意図されるチャッキング電圧とほぼ等しくするのが好ましい。その値は好ましい実施例では+2000ボルトである。ウエハの底に接触している(及び支持している)金属製のリフトピン142は電気的に接地されており、それによって電源120の接地された出力ターミナルとウエハとの間に電気的接続を提供している。
本明細書に於ける次のセクション4は、定数Rの値の較正の仕方を説明している。Rの値は処理されるウエハの相違には関係がなく、プロセスチャンバと関連するハードウエアの特性にのみ依存するということを我々は見出した。そのハードウエアの特性とは、例えばチャック上にウエハを降下させるための機構の速度やチャンバと静電チャックの部品間の静電容量などである。
したがって、本発明の重要な利点は、Rの値は与えられた装置に対して一回だけ較正すればよいということである。(「装置(apparatus)」とは、静電チャックや電気機械的制御システムのようなプロセスチャンバ100と関連するハードウエアを含む。)Rの値は、以下のセクション4に説明する方法を単一の標本ウエハを用いて実行することによってプロセスチャンバを顧客に出荷する前に較正することができるということを我々は見出した。次に、この較正値を、プロセスチャンバのための制御システムにプログラムで永久的に入れ込むことができる。チャンバによって次々と処理される各ウエハに対して、その制御システムは自動的に、先の第三パラグラフで説明した4工程から成る単一の方法にしたがって各ウエハ毎に最適脱チャッキング電圧を提供する。
先の4工程の方法の工程1を実行することが現実的でないような場合がある。それは、ウエハがチャックに関して保持されている間に電圧がウエハに印加できないからである。例えば、あるウエハはその背面側に誘電体のコーティングを有しており、それは半導体基板と金属製のリフトピンとの間の電気的な接触を排除する。また、金属製のリフトピンを用いないプロセスチャンバもある。
ウエハがチャック上に置かれている間そのウエハが電気的アース(ground)或いは他の電圧から絶縁されているような用途に於いては、最適脱チャッキング電圧を定めるための先の4工程から成る方法は変更することができる。具体的に言えば工程1及び2は次の工程1a、1b及び2aで置き換えることができる:工程1a:チャンバ100のための電気的アースとチャック電極113との間の「テスト」チャッキング電圧を印加するようにチャッキング電源120を設定する。この工程により、チャック電極と他のチャンバ部品、例えば陰極ペデスタル111、との間の静電容量が荷電され、工程2aで測定されるパルスが、ウエハとチャック電極との間の静電容量の荷電状態のみを反映することとなる。工程1b:ウエハ101を上部誘電体114上に置く。(工程1bは工程2aの前の何れのときに於いても実行することができ、また工程1aの前に実行することさえできる。)工程2a:電気的に接地されたプローブを、半導体基板と電気的に接触しているウエハ上の一点と接触させる。そのプローブがウエハと接触したとき、チャッキング電源120とチャック電極113との間の電流のサージを測定する。
工程2或いは工程2aに於いて、ウエハに流入する電流はチャック電極に流入する電流に等しく、そのため後者よりもむしろ前者を測定することができる。
4. 定数「R」を経験的に較正する工程
先のセクション3で説明したような脱チャッキング電圧を設定するための本発明の方法は、較正定数Rに依存しており、それは「有効」チャッキング電圧に対する、ウエハがチャックに落とされたときに発生される電流パルスの値に関係がある。Rの値は、ウエハがチャック上に降ろされる際に第一のチャッキング電圧V1が印加されるときに生じる電流パルスI1を測定し、次にその同じウエハがチャック上に降ろされる際に異なったチャッキング電圧V2が印加されるときに生じる電流パルスI2を測定することによって経験的に定められる。そのようにして定数Rは次の公式から定められる:R=(V2−V1)/(I2−I1)。この公式は次の二つの方程式を組合せることのよって導き出すことができる:
I1=(V1−Voffset)/R 及び、
I2=(V2−Voffset)/R。
Rを定めるためのこの方法は、上部誘電体114上の負の電荷(即ち仮想の「オフセット」電圧Voffset)が二つの測定の間で変化しない場合にのみ使うことができる。チャック電極に印加された電圧が十分に低い(ウエハを保持するために通常用いられる値よりも実質的に低い)ような場合には、上部誘電体上の電荷が電気的に接地された導電性の布で拭うことによって除去されるならば電荷は上部誘電体上に蓄積することはないということを我々は見出した。例えば、本発明を従来の静電チャック上でテストするとき、上部誘電体を接地された導電性の布で放電した後で、チャック電極113とウエハ101との間に1000ボルトを超えない電圧を印加しても上部誘電体内には電荷を生ずることはない。但し2000ボルトの通常チャッキング電圧を印加すれば誘電体内に負の電荷を生じさせるということを我々は見出した。
それ故、以下の工程によってRを経験的に定めることができる。工程1:上部誘電体を接地された導電性の布で放電する。工程2(行うか否かは随意であるが行った方が好ましい工程):チャンバをシールし、典型的な運転真空(例えば1mTorr)に圧力を下げる。工程3:供給電圧源を第一の比較的低い電圧V1(例えば500ボルト)に調整し、ウエハがチャックから離れている間に、それをウエハとチャック電極との間に接続する。工程4:その供給電圧電源をウエハとチャック電極との間に接続したまま、ウエハがチャック上に降ろされるとき電源とチャック電極との間の電流パルス(I1)を測定する。工程5:ウエハをチャックから離し、供給電圧電源を第二の比較的低い電圧V2(例えば1000ボルト)に調整する。工程6:電圧V2に対応する電流パルスI2を測定するために工程4を繰り返す。工程7:R=(V2−V1)/(I2−I1)を計算する。
Rを定めるためのこの手順は明らかに、上部誘電体の荷電を避けるのに十分なだけ低い何れかの二つの電圧値V1及びV2に於いて測定をすることによって一般化できる。
十分に低いために上部誘電体に電荷を負わせることができないような二つの電圧値を用いる代わりに、別のアプローチも可能である。即ち、通常のチャッキング電圧(例えばV1=2000ボルト)に於いて工程2と3を実行し、次に僅かに低い電圧(例えばV2=1900ボルト)で工程4と5と行うことである。ここでは、二つの電圧間の差(この例では100ボルト)は、十分に低く選び、二つの測定間で上部誘電体上の電荷を変化させないようにする。
先に説明したように本発明は次の理論に従わないけれども、チャッキング電圧がウエハと誘電体の間の非常に多くの(thousands)顕微鏡的ギャップを横切る強い電場を作り出すので、上部誘電体114は負の電荷を蓄積すると我々は信じる。ウエハをチャック上にしっかりと保持するに十分な高さのチャッキング電圧に於いては、この電場は電子をウエハから上部誘電体の隣接する表面に、「フィールドエミッション(field emission)」の物理的メカニズムによって、移動させると我々は信じる。
チャッキング電圧が十分に低い大きさに維持されるならば、誘電体上への電荷の蓄積は生じないと我々は信じる。それはウエハと誘電体との間の顕微鏡的ギャップ内の電場は十分に低く電子のフィールドエミッションを生じさせることはないからである。ここで述べた原理は、比例定数Rを定めるための先の7工程から成る方法に於いてV1及びV2に対して低い電圧を用いた理由を説明している。
半導体ウエハを解放するための脱チャッキング電圧を印加するための新しい方法及び装置は成功裡にテストされたということを繰り返したい。それ故、本発明の有用性は、上部誘電体の電荷の蓄積に対する物理的メカニズムの我々の理解が正解であると証明されるか否かに依存することはない。
5. パルス測定技術及び対応する比例定数
チャッキング電源とチャック電極との間の電流のサージ或いはパルスを測定するということは、次の二つに於いて必要である。即ち、(1)最適脱チャッキング電圧を定めるためのセクション3に規定された4工程から成る方法、及び(2)比例定数「R」を構成するためのセクション4に規定された7工程から成る方法。しかしながら、先の議論に於いては、どのような電流パルスのパラメータが測定されるべきかについては特定しなかった。
これらの測定の目的は、チャック電極に移送され或いはチャック電極から移送される電荷の量を定めることである。このことは、出力がチャック電極への(或いはからの)電流パルスの持続に対する時間積分を示す従来の積分器(integrator)回路を直接用いることによって測定できる。勿論、その電流は抵抗器(図2に於ける抵抗器210のような)をチャック電極113とチャッキング電源120との間に直列に接続することによって最も容易に検知される。そのようにした場合、その抵抗器を横切る電圧降下はチャック電極への電流に比例する。この電圧は積分器回路の入力側に接続できる。
電流パルスの時間積分を測定する代わりに、電流パルスの振幅のピークを測定すること、または更に具体的に言えば、直列につながれた抵抗器を横切る電圧パルスのピーク値を測定することが、都合のよい代替案であるということを我々は見出した。測定回路に於けるまたプロセスチャンバハードウエアに於ける与えられた一組の時定数(time constants)に対しては、測定されたピーク値が電荷移送の量に比例するということを我々は見出した。適切な電圧パルスのピーク値を測定するために好ましい実施例で実際に用いられる回路が、この特許明細書の以下の部分に説明されている。
電流パルスを測定するためのこれらの代替技術の何れを選ぼうとも、その選ばれた技術は次の目的のために用いられるべきである。即ち(1)最適脱チャッキング電圧を定めるためにセクション3で規定された4工程から成る方法で「電流サージの値(value of the current surge)」を測定するため、また(2)定数「R」を較正するためにセクション4で規定された7工程から成る方法でI1及びI2を測定するため。異なったパルス測定技術は、異なった比例係数だけ異なる測定値を生じるので、どのパルス測定技術を選ぶかによって、セクション4の較正方法によって得られた「R」の値はまた、対応する比例係数だけ異なる。しかしながら、「R」を較正するためと「R」を用いて最適脱チャッキング電圧を定めるのに同一のパルス測定技術が用いられる限りは、このことは問題にならない。(更に、「R」の値に二つの技術によって得られる測定値の比を示すスケールファクタを掛けるならば、較正方法と脱チャッキング方法に対してそれぞれ二つの異なったパルス測定技術を用いることも可能である。)
6. 本発明の脱チャッキング方法を実行するための新規な装置
図2は、図1に示す従来のプロセスチャンバと静電チャックを用いて本発明の脱チャッキングの方法を実行するための本発明の好ましい装置を示している。
従来のデジタルマイクロコントローラ200は、脱チャッキング電圧を定めるために本発明の方法によって必要とされる測定を実行し、その測定された値をメモリに記憶させ、所望のチャッキング或いは脱チャッキング電圧を計算し、チャッキング電源120によってチャック電極113に印加される電圧を制御するようにプログラムされる。
チャッキング電源(chucking voltage supply)120は、コントローラ200から電気信号ライン202上に受信される制御信号に応じて変化する出力電圧を有する。電源の負の出力ターミナルは接地され、正の出力ターミナルは、直列に接続された二つの1メグオーム(megohm)の抵抗器210及び212を通してチャック電極113に接続されている。AC結合の増幅器(AC−coupled amplifier)220が、10メグオームの抵抗器214を通して二つの1メグオームの抵抗器の接合点「A」に接続された接地されていない入力を有する。その増幅器の入力はまた、10キロオームの抵抗器216を通してアースに接続されており、抵抗器214及び216は1000:1の電圧分割器(voltage divider)を形成しており、その結果増幅器の入力に於ける電圧は接合点Aに於ける電圧VAの1000分の1となっている。
AC結合の増幅器220は50の電圧ゲインを有し、その出力に於いて、20で割ったVAのAC成分に等しい電圧を提供する。(図2に示された増幅器220の好ましい実施例は、それぞれ5と10の電圧ゲインを有する二個のカスケード接続された増幅器222及び224を含む。)増幅器220の出力は、従来のピークディテクタ250の入力につながっており、そのピークディテクタ250は、その出力に於いて、そのピークディテクタがその前にイネイブルであったとき以来その入力で受信されたピークの負電圧をストアしている。ピークディテクタは、トランジスタスイッチ252を用いてその出力を接地する(即ち「リセットする(resetting)」)ことによってディスエイブルできる(disabled)。ピークディテクタは、スイッチ252が開になると、イネイブルになる(enabled)。(図2は正のピークディテクタ254及び対応するリセットスイッチ256を示しているが、これらはここで説明しようとしている好ましい操作方法に於いては用いられない。)
増幅器220は、その出力をディスエイブルするための回路を含んでおり、マイクロコントローラ200から信号ライン204上に受信されたイネイブルされたコントロール信号の値に基づいてピークディテクタ250にゼロボルトを提供するようになっている。マイクロコントローラはまた、トランジスタスイッチに向けて信号ライン206上に制御信号を送ることによって、そのトランジスタスイッチ252をコントロールする。最後に、マイクロコントローラはピークディテクタから信号ライン208を通して出力電圧を受信する。
この装置の操作は、図3のタイミングダイヤグラムを参照することによって最もよく理解できる。以下説明する全ての働き(activities)は、従来の方法に於ける種々の電気的部品及び電子機械的部品(components)を制御するマイクロコントローラ200のプログラミングによって支配される。そのタイミングダイヤグラムは装置が以下のような状態にあるところから始まる。即ち、半導体ウエハ101は、チャック110の上方約2.5cmの所にリフトピン142によって支えられている。チャッキング電源120及びRF電源130は、出力ゼロに設定されている。増進器220及びピークディテクタ250はディスエイブルにされている。真空ポンプ(図示せず)が、プロセスチャンバ100の内側を真空に維持している。(好ましい実施例をテストするために我々が用いたプラズマエッチチャンバでは、真空ポンプは約1mTorrのチャンバ圧力を維持した。)
時間T1に於いてマイクロコントローラ200は制御信号をワイヤ202に送り出し、その信号はチャッキング電源120に「テスト」チャッキング電圧を出力するようにさせ、その電圧は好ましい実施例に於いては+2000ボルトである。チャック電極113と陰極111との間の静電容量が急速に荷電されると、接合点Aに於ける電圧VAは+2000ボルトに跳ね上がる。コントローラ200は、このとき増幅器220及びピークディテクタ250を引き続きディスエイブルにしておくので、VAの値に於けるこの2000ボルトのジャンプはピークディテクタにストアされない。
時間T2に於いて、マイクロコントローラはワイヤ145に制御信号を送り出し、その制御信号はニューマティックリフト機構146を下の方に動くように指令し、そのことによってウエハ101をチャック110上に降ろすようにリフトピン142が降下する。好ましい実施例に於いてはウエハの降下には3秒かかる。降下が始まって1秒後に、コントローラ200はコントロールライン204上にイネイブル信号を出すことによって増幅器220をイネイブルとする。更に1秒後に、コントロールライン206上にイネイブル信号を出すことによってコントローラはピークディテクタ250をイネイブルとする。(ピークディテクタは、ノイズスパイク(noise spike)によってだまされる危険性を最小限にするために、時間T3の前にできるだけ遅くイネイブルとされる。)更に約1秒後時間T3に於いて、ウエハはチャックの上部誘電体114上に落ちる(drops)。
時間T3に於いてウエハがチャック上に落ちたとき、電流のパルスがチャッキング電源120からチャック電極113に流れ、チャック電極と接地されたウエハ101との間の静電容量を荷電する。ウエハは金属製のリフトピン142と接触することによって接地される。そのリフトピンは10メグオームの抵抗器136を通してアースに接続されている。この電流パルスは第一の1メグオームの抵抗器210を横切って電圧降下を生じさせ、そのため接合点Aに於ける電圧VAが+2000ボルトDCの電圧値に重ね合わされた大きさV3の負方向のスパイクを有することになる。このスパイクは好ましい実施例に於いては約56ボルトであり、AC結合の(AC−coupled)増幅器220によって増幅され、ピークディテクタ250によってストアされる。2000ボルトDC信号を無視しパルスだけを増幅するように、増幅器はAC結合されるのが望ましい。
時間T3の約1秒後に、コントローラは信号ライン208上に表われるピークディテクタからの出力値Vpをそのデジタルメモリ内にストアする。ストアされたピーク値Vpは、V3をスケール化して表示したもの(scaled representation)である。具合的に言えばVpはV3を電圧分割器である抵抗器214及び216の比で割って、次に増幅器200のゲインを掛けた値に等しい。(好ましい実施例では、Vp=V3/20。)Vpの値をストアした後ですぐに、コントローラは増幅器及びピークディテクタをディスエイブルする。それは次のウエハが処理されるまでそれらは再び必要とされることがないからである。
時間T3とT5との間の期間の間、コントローラ200は、現在そこにあるウエハのための最適脱チャッキング電圧の値を計算する時間を有する。この値は、ウエハ解放のプログラムが時間T5に於いて始まるときに必要とされる。コントローラは、この特許明細書のセクション3に説明した方法を用いて最適な脱チャッキング電圧を計算する。具体的に言えば、コントローラはストアされたパルス測定値Vpとプログラムされた較正係数Rとを掛け合わせる。(Rの値は前もって、上のセクション4で説明した7工程から成る較正手続きを用いて確立しておくべきである)。次にコントローラは、掛け算の結果を「テスト」チャッキング電圧の値から引算する。その結果は最適脱チャッキング電圧である。
較正係数Rは、コントローラのデジタルメモリ中に数字としてストアされるのが好ましく、コントローラはデジタル計算を用いて掛け算をするのが好ましい。コントローラは容易に、現場のサービスマンが脱チャッキング較正手続き(上のセクション4による)を繰り返し、メモリ中にストアされたRの値を更新することができるようにプログラムできる。
図3を参照すると、時間T4に於いてコントローラ200はコントロール信号をワイヤ203に送り出し、その信号はRF電源130をオンにする。引き続き、1以上の従来からの半導体デバイス製造プロセス工程が、プロセスチャンバ100によってウエハ102上に行われる。
時間T5に於いて、製造プロセスは完了し、ウエハはチャックから解放されなければならない。この時間に於いて、コントローラ200はワイヤ202に制御信号を送り出し、その信号はこのウエハのための最適脱チャッキング電圧まで出力電圧を低減させるようにチャッキング電源120に指令を与える。この脱チャッキング電圧は、上で説明したように時間T3とT5との間の期間にコントローラによって計算された値である。
脱チャッキング電圧はチャック電極113とウエハ101との間に印加されなければならないので、RFパワーは脱チャッキングの工程の間中オンのままになっており、ウエハを接地されたチャンバ壁105に電気的に接続するプラズマを維持する。しかしながら、脱チャッキング工程中のRFパワーレベルは、プラズマによるウエハの加熱を低減するように、ウエハを処理するために用いられるRFパワーレベルよりも小さいのが好ましい。加熱を低減することにより、プラズマプロセス中にウエハの冷却を高進するためにウエハとチャックの上面との間に従来から導入されているヘリウム(helium)ガスを、脱チャッキング工程中に、オフにするのが可能になる。従来のやり方ではヘリウムガスの圧力はチャンバの圧力よりも僅かに高い(1から10トール(torr)だけ)ので、脱チャッキング工程中ガス圧力をオンにしておくことにより、ウエハがチャックから予期できないような位置にまで跳上り得る。ウエハ冷却のためにヘリウムガスを用いる従来のシステムは、米国特許第4680061号、第4842683号(コラム12、54行目以下)、及び第4565601号に説明されている。これらの特許の内容は、本特許明細書中の一部とする。我々が好ましい実施例で実行したプラズマエッチングシステムに於いては、RF周波数は13.6MHzであり、RFパワーはウエハ101のエッチング中800から1000ワットであり(時間T4とT5との間)、RFパワーは脱チャッキング中25ワットである(時間T5とT6との間)。
1或いは2秒後、ウエハは、印加された脱チャッキング電圧に応じてその電荷をアースに放電してしまうと考えられる。それ故、時間T6に於いてコントローラはRF電源130をオフにする信号をワイヤ203に送り出し、またニューマティックリフト146に指令してリフトピン144を上昇させウエハをチャックから取り外すようにする制御信号をワイヤ145に送り出す。リフトピンがウエハに近づく前にプラズマをオフにすることが、プラズマと接地されたリフトピンとの間にアークが飛ぶのを回避するのに望ましい。
ニューマティックリフト機構145がリフトピンを(時間T6において)上昇させ始めた数秒後に、ピン144はウエハの底を打ち(時間T7に於いて)、ウエハをチャックから上昇させ始める。ウエハがチャックから離れるとすぐに脱チャッキング電圧はもはや必要ではなくなり、コントローラ200はDC電源に指令を与え、その出力電圧をゼロに下げる。それは1乃至は2秒後である(時間T8に於いて)。
次にそのウエハはプロセスチャンバ100からロボット(図示せず)によって取り出され、新しいウエハがチャンバ中に運び込まれ、以上説明した全工程がその新しいウエハに対して繰り返される。
7. 別の実施例
以上述べたように、図2に示される回路は正のピークディテクタ254とそれに関連するリセットスイッチ256とを含むが、それらは好ましい脱チャッキング方法では使用されない。それは電圧パルス時間T3で測定された電圧V3は常に負だからである。好ましい脱チャッキング方法に於いては、時間T1から時間T3までに印加される「テスト」チャッキング電圧は時間T4とT5との間のウエハ処理工程の間に用いられる実際のチャッキング電圧と同じである。したがって、脱チャッキング電圧は一般に「テスト」電圧よりも低く、そのため電圧パルスV3は負である。それ故、正のピークディテクタ254とそのリセットスイッチ256は除去することができる。これは好ましいことではないが、区間T1からT3までの間に脱チャッキング電圧よりも低い「テスト」電圧を用いることが可能であり、その場合には電圧パルスV3は正である。この可能性を許すために、図2に示す回路は第二のピークディテクタ254を含み、その第二のピークディテクタは正の極性の電圧ピークをストアする。時間T3の少し後に、デジタルコントローラ200は、負と正のピークディテクタ250と254の出力の大きさを比較する。このコントローラは、電圧パルスV3の真の値として大きさの低いピーク出力を無視する(ignore)ようにプログラムされており、またこのコントローラはこの値を(負或いは正のピークディテクタ出力の何れが選定されたかにしたがって負或いは正の符号を付けて)「テスト」チャッキング電圧の値に代数的に加え最適脱チャッキング電圧を計算する。
セクション5(「パルス測定技術」)で述べたように、電圧パルスV3はピークディテクタよりもむしろ従来の積分器(integrator)回路を用いて測定できる。積分器は典型的にはバイポーラ型(bipolar)であり、そのため負及び正のピークディテクタ250及び254の両方を単一の積分器で置き換えることができる。トランジスタスイッチ252のようなリセットスイッチは、時間T3の直前に積分器の出力をゼロにリセットして、ウエハがチャック上に落ちたときに電圧の積分値のみを積分器出力が反映するようになっているのが好ましい。
上に述べた好ましい実施例に於いては、較正係数Rはコントローラ200のデジタルメモリ中にストアされる。係数Rに測定されたピークデジタルVpをデジタル的に掛け、次にその積を「テスト」チャッキング電圧から差し引き最適脱チャッキング電圧を定めるようにプログラムされた従来型の算術的プロセッサを前記コントローラは含む。
別のやり方として、本発明によって必要とされる計算を、デジタルコントローラよりもむしろアナログエレクトニクスに於いて実行することも可能である。具体的に言えば、パルス値と較正係数Rとの掛け算が図2に示されるアナログ測定回路内で行うことができる。例えば、より小さな電圧分割抵抗器216の当初の抵抗値に、先に計算したRの値を掛けることができ、或いは増幅器220の当初のゲインが、係数Rによって増大させることができ、よってVpのV3に対する比を同じ係数Rだけ増大することができる。この方法でアナログ回路中に於いて較正係数Rを実行することにより、デジタルコントローラがRの値をストアし或いはデジタルの掛け算を何ら行う必要がなくなる。
例えば、セクション4に説明した定数「R」を計算するための7工程から成る方法を実行するのに、図2に示される測定回路が用いられたとしよう。ピークディテクタ250の出力電圧Vpが、その方法のそれぞれ工程4及び6に於ける電流パルス測定I1及びI2を実行するのに用いられるだろう。工程7で計算された「R」の値がそのとき56であったとしよう。この較正係数R=56は、次のような工程によってアナログエレクトロニクス内で実行できる。即ち、(1)より小さい電圧分割抵抗器216を10キロオームから560キロオームに増やすこと、或いは(2)増幅器200のゲインを50から2800に増やすこと、或いは(3)抵抗器216を10Kから280Kまで増やし、増幅器のゲインを50から100に増やすこと。
本発明は半導体ウエハ製造の分野内に於いて説明したが、本発明は、チャッキング電圧がチャックの誘電層内に閉じ込められる電荷に対して十分高いようなどのような静電チャックの運転にも同様に有用である。
1. 産業上の利用分野
本発明は一般的に、被加工物(workpiece)を保持するための静電(electrostatic)チャック(chucks)に関し、特に、静電チャックから被加工物(例えば半導体ウエハ)を解放するための方法及び装置に関する。
2. 従来の技術
静電チャックは、コンピュータグラフィックスのプロッタ内に於ける紙のシートの保持から、半導体製造プロセスチャンバ内に於ける半導体ウエハの保持まで、種々の場合に於いて被加工物を保持するために用いられる。静電チャックの設計には種々のものがあるが、それらは全てチャック内の一以上の電極に電圧を印加し、その被加工物及び電極にそれぞれ反対の極性(opposite polarity)の電荷(charges)を誘発するという原理に基づいている。反対の電荷の間の静電引力(electrostatic attractive force)が、被加工物をチャックに押しつけ、それによってその被加工物を保持する。
静電チャックに伴う問題は、被加工物をチャックから解放したいときに、電荷を被加工物及びチャックから除去することが困難であるということである。従来からある一つの方法は、電極と被加工物の双方をアース(ground)に接続し電荷を放出することである。電荷を更に迅速に除去できると称する別の従来の解決方法は、電極に印加された直流(DC)電圧の極性を逆にすることである。このことは、ワタナベ他に付与された米国特許第5117121号に於いて、二つの電極(バイポーラ(bipolar)チャック)を有するチャックという状況の中で説明されている。
電荷を除去するためのこれらの従来のアプローチについて認められる欠点は、電荷を完全に除去することができず、そのため被加工物とチャックとの間にいくらかの静電引力が残るということである。この残留静電力は、チャックから被加工物を引き離すために、大きな機械的力の使用を余儀なくさせる。被加工物が半導体ウエハであるときには、取り外しに要する力がウエハにクラックを生じさせ或いはその他の損傷を与えることがある。ウエハに損傷が与えられないときであっても、残留静電力に機械的に打ち勝つことが困難であることから、従来型のウエハ移送(transport)ロボットによる回収を困難にするような位置に、ウエハを予期に反してチャックから跳ね返らせる(pop off)ことがある。
発明の要約
本発明によれば、被加工物を保持するのに用いられたのと同じ極性(polarity)を有するが、被加工物とチャックとの間の静電引力を最小限にするように選定された、異なった大きさを有する「脱チャック(dechucking)」電圧をチャック電極に印加することによって、被加工物が静電チャックから解放できる。発明者達は、脱チャック電圧は、従来の脱チャック方法に要するよりもずっと小さい力で被加工物をチャックから取りはずすことを可能にする最適値に設定できるということを見出した。
脱チャック電圧はゼロ或いはチャッキング(即ち保持)電圧の極性と反対の極性とすべきであるという従来から知られた教示に照らしてみると、本発明では、チャッキング電圧と同じ極性の脱チャッキング電圧を用いることによって被加工物上の保持力をうまく最小限にできるということは驚くべきことである。
本発明の別の局面は、脱チャッキング電圧のための最適値を定めるための方法及び装置である。
【図面の簡単な説明】
図1は、部分的に選択的に図で表された、本発明が適用できる従来型の静電チャックを含む従来型の半導体ウエハ製造プロセスチャンバの断面図である。
図2は、本発明の好ましい実施例に用いられる電気的制御システムの線図である。
図3は、本発明の好ましい実施例の作用を図示したタイミングダイヤグラムである。
好ましい実施の形態
1. 静電チャックを備えた従来のプラズマチャンバ
我々の新規な脱チャッキング方法及び装置は、従来の静電チャックと組合せて用いられることを意図している。図1は、半導体ウエハ101のプラズマ高進(plasma−enhanced)プロセス(例えばエッチング或いは化学蒸着)に用いられる真空チャンバ100内に形成されたようなチャック110を示している。
従来の真空チャンバ100は、アルミニウムで作られまた電気的に接地された真空密封(vacuum−tight)エンクロージャ105を含む。円盤形状の陽極化された(陽極酸化処理された)(anodized)アルミニウム製の陽電極(anode electrode)104が、エンクロージャ105の上壁即ち蓋(lid)のすぐ下に搭載されており、また接地されたエンクロージャに電気的に接続されている。
従来の静電チャックは、陽極化された一体の(solid)アルミニウム陰極ペデスタル111を含んでおり、そのペデスタルは円形で平坦な上面と、ペデスタル111の上面に接着された下部誘電(dielectric)層112と、下部誘電層の上面に接着された金属製のチャック電極113と、チャック電極の上面に接着された上部誘電層114とを有する。好ましい実施例に於いては、両誘電層共に75ミクロンの厚さのポリイミド(polyimide)である。
陰極(cathode)ペデスタル111は、中空の陽極化されたアルミニウム陰極ベース135の上部に搭載されており、またそれに電気的に接続されている。その陰極ベースは、電気的に絶縁する環状フランジ147によって、エンクロージャ105の下壁に搭載されている。陰極への電気的な接続は、陰極ベース135の底にあるネジの切られた穴に捩じ込まれるネジ付き端部を有する銅性のロッド138によって成される。銅性のクリップ(図示せず)が、ロッド138をラジオ周波数(RF)伝達ライン134に接続しており、その伝達ラインは次にインピーダンスマッチング(impedance matching)ネットワーク132につながっており、またそのネットワークは次にRF電源130につながっている。そのマッチングネットワーク132は、陰極からアースへの直流(DC)流路を提供するために、出力を横切る10メグオーム(megohm)の抵抗器(resistor)136を含む。
チャック電極113への電気的な接続は、点115に於いてチャック電極113に取り付けられた絶縁されたワイヤ122によって成されている。ワイヤ122は、電極113から陰極ペデスタル111内の穴125を通して下方向に延びており、次にフィードスルー(feed−through)絶縁体124を通してエンクロージャ105の底から外に出ている。ワイヤ122は、RFブロッキングローパスフィルタ121につながっており、次にDC電圧源120につながっている。
チャンバ100内に於ける半導体ウエハ101のプロセス中は、図1に示されるように、ウエハは上部誘電体114の上面に静止している。処理が完了すると、ロボットアーム(図示せず)が、ウエハをチャンバから取り出す。ロボットアームの「ブレード(blade)」端部をウエハの下に滑り込ませることができるように、数個の(好ましくは4個、少なくとも3個)リフトピン142がウエハをチャック110の上方2cmから5cmに持ち上げる。各リフトピン142は、陰極ペデスタル111内の対応する穴144内を垂直に滑る。リフトピン142は全て、キャリッジ140上に搭載されており、そのキャリッジはプログラムできるデジタルコンピュータ(図示せず)の制御下にニューマティック(pneumatic)昇降機構146によって上げ下げされる。図示の実施例に於いては、リフトピン142及びキャリッジ140は、真空チャンバ100内の陰極ベース135内にあり、一方ニューマティック昇降機構146は真空チャンバの外側にある。それらはベローズ143を貫通するリンケージ149によって機械的に接続されており、そのベローズは真空シールを維持しながらの運動を可能にしている。
プログラムチャンバ100の従来の運転では、ロボットアーム(図示せず)がウエハ101をスリットバルブ106を通してチャンバ内に運び込む。ロボットはウエハをリフトピン142の先端上に置くが、そのリフトピンは、このときニューマティック昇降機構146によって持ち上げられており、静電チャック110の上部の上方2cmから5cmに突き出ている。それからニューマティック機構はリフトピン142を低下させ、ウエハ101がチャック110の上面に降りるようになっている。ウエハの降下時間は典型的には3から10秒である。
ウエハ101がチャック110上に降下する少し前に、チャッキング電圧源120が、アースに対して2000ボルトのオーダーの高いDC電圧をチャック電極113に印加する。リフトピン142のうち典型的には少なくとも一つ(好ましくは全て)は金属製であり、陰極ベース135に電気的に接続されている。陰極ベースは次に、10メグオームの抵抗器136を通して電気的に接地されている。リフトピンがウエハをチャック上に降下させる間、接地されたリフトピンはウエハをアースの電圧に或いはその近傍に維持し、ウエハとチャック電極113との間に2000ボルトのチャッキング電圧が存在するようにしている。この電圧により、ウエハのフェイシング(facing)面及びチャック電極のそれぞれに負の(negative)及び正の(positive)電荷が累積させられる。電荷の量は、ウエハとチャック電極との間の静電容量(capacitance)及び電圧の積に比例する。
ウエハがチャック110の上部誘電体114上に降下した後に、リフトピン142は下がり続け、ウエハがもはや電気的に接地されていないようになる。しかしながら、電荷はウエハ上に閉じ込められたままである。ウエハ及びチャック電極上の反対の極性を持った電荷は、ウエハをチャックの上面に押しつける静電引力を生じさせる。チャッキング電圧(この例では2000ボルト)は、ウエハが引き続いて行われる処理工程の間に動くのを防止するのに適した静電力をウエハとチャックとの間に生じさせるに十分高い値に設定される。このようにしてチャック上にしっかりと保持されたウエハは、「チャックされた(chucked)」と言われる。
ウエハがチャックされた後に、一以上の半導体製造プロセス工程が、チャンバ100内で行われる。例えばウエハ上への堆積或いはウエハ上のフィルムのエッチングである。プラズマを用いるプロセスのためには、陰極ペデスタル111及び接地された陽極(anode)104との間にRF電力をRF電源130が印加する。印加された電源は、ウエハ101と陽極との間の領域にプラズマを励起する。プラズマは、ウエハとアースとの間に導電路(electrically conductive path)を提供する。しかしながら電子の移動性と正イオンの移動性の間にある差のために、DC電圧降下がプラズマを横切って生じ、そのためウエハにはアースに対して負のバイアスが掛けられる。DC電圧源120によってチャック電極113に印加されるチャッキング電圧が正である場合には、ウエハとチャック電極との間の総電圧はウエハのバイアス電圧とチャッキング電源電圧との合計になる。このようにして、ウエハバイアスはウエハを保持する静電気による力を増加させる。
半導体製造プロセス工程が完了した後、ニューマティック昇降機構146はリフトピン142を上昇させ、ウエハをチャック110の上方に持ち上げ、ウエハがロボットによってチャンバから取り出すことができるようにする。リフトピンがウエハを持ち上げることができるためには、ウエハは「脱チャック」されなければならない。即ち、チャック110上にウエハを保持している静電気による力が取り去られなければならない。従来のやり方では、チャッキング電圧源120を切り、チャック電極113及びウエハ101の両方をアースに接続し、次に、チャッキング電圧をチャック電極に印加している間にチャック電極及びウエハ上に蓄積した、それぞれに電荷を取り去るようにする。
従来のやり方では、接地された金属製のリフトピン142が、ウエハが持ち上げられるときにウエハの底を打つ(strike)ときに、ウエハはアースされる。或いはやはり従来のやり方に於いては、ウエハからチャンバの接地された壁105への導電路を提供するプラズマ103を維持するために、低減されたパワーレベルに於いてRF電源を残すことによって、ウエハは接地される。
2. 新規な脱チャッキングの方法
従来の脱チャッキングの方法について発明者達が認識している問題は、ウエハとチャック110との間の静電引力の全てをうまく除去することができず、ウエハをチャックから取り外すのに過度の力が必要であるということである。この力はウエハにクラックを生じさせ得るし、またはウエハ移送ロボットによって適切に整列させ或いは回収することが困難であるような位置にウエハをチャックから跳ね返らせ得る。
チャッキング電圧と同じ極性を有し、しかし小さい大きさを有する「脱チャッキング」電圧を、チャック電源113とウエハとの間に印加することによって、ウエハ上の静電気による力が本質的に除去され、それによってウエハをチャックから容易に取り外すことができるということを、発明者達は見出した。脱チャッキング電圧のための最適値があるということを見出した。即ち、印加された脱チャッキング電圧がこの最適値よりも高かったり或いは低かったりすると、かなりの大きさの静電引力がウエハとチャックとの間に残る。
この挙動の原因は、チャック電極113に印加されたチャッキング電圧の極性と反対の極性を有する電荷が、チャッキング電圧がチャック電極113に印加されている期間の間に上部誘電体114に蓄積することであると信じられる。電荷は誘電体の中を容易に流れることができないので、ウエハとチャック電極との両方を接地することによってウエハをチャックから解放する従来の方法では、上部誘電体114から電荷を取り除くことはできない。
したがって、本発明は、上部誘電体114内に閉じ込められた電荷の効果を補償する脱チャッキングの方法と考えられる。本発明は、誘電体がどのようにして電荷を得たかということには関係がない。しかしながら、本発明は以下の理論には依存していないものの、以下の物理的仕組みが、大きな正のチャッキング電圧がウエハ101に対してチャック電極113に印加されたとき、上部誘電体114が負の電荷を蓄積する主な理由であると、発明者達は信じる。
ウエハ及び上部誘電体の双方共に、顕微鏡レベルに於いては平坦度が不完全な表面を有するので、ウエハ及び誘電体は実際にはお互いに数千もの小さな点に於いて接触しており、ウエハと誘電体との間には数千もの顕微鏡的ギャップが残っている。ウエハとチャック電極との間のチャッキング電圧は、これらの顕微鏡的ギャップを横切って強い電場を生じさせる。ウエハをチャック上にしっかりと保持するに十分な高いチャッキング電圧に於いては、この電場が、「フィールドエミッション(field emission)」の物理的仕組みによって、ウエハから上部誘電体の隣接する表面に電子を移動させると発明者達は信じる。チャッキング電圧ひいては電場が取り除かれると、誘電体に蓄積された電子は放電路を有さないこととなり、それらは誘電体に留まる。
発明者達は、半導体ウエハを解放するために脱チャッキング電圧を印加するための新しい方法及び装置を成功裡にテストした。それ故、本発明の重要性は、上部誘電体に電荷を蓄積するための物理的仕組みに対する我々の理解が正確であるということが立証されるかどうかということには関係がない。
本特許明細書の以下の部分に於ける説明を簡単にするために、チャック電極に印加されるチャッキング電圧は正(positive)であると仮定する。したがって、上部誘電体114に蓄積される電荷は負(negative)である。(負のチャッキング電圧が用いられた場合にも、全ての電荷が反対の極性を有するという点を除いて、本発明の作用は同じである。)
半導体101に対して正の脱チャッキング電圧がチャック電極113に印加されると、正の電荷がチャック電極113の上表面に蓄積する。正の電荷の量は、脱チャッキング電圧にチャック電極113とウエハ101との間のキャパシタンス(capacitance)を掛けたものに比例する。ウエハを解放する脱チャッキング電圧の最適値は、上部誘電体114内の負の電荷にほぼ等しい正の電荷をチャック電極の上表面に生じさせる値であると、発明者達は信じる。この条件の下では、半導体ウエハ101上の静電荷は全て無視することができ、そのためウエハとチャックとの間には本質的に静電引力は無くなる。言い替えれば、ウエハはチャックから解放される。
与えられたウエハ及び与えられたチャッキング電圧に対して、最適の脱チャッキング電圧は、以下の一連の工程によって経験的に(empirically)見出すことができる。即ち、工程1:調整可能な電圧源をチャック電極とウエハとの間に接続し、それを、チャック上のウエハを保持するのに通常必要とされるチャッキング電圧を供給するように調整する。この点に於いて、静電気的力は、ウエハがチャックの表面上で容易に滑ることがないように、ましてチャックから持ち上がることがないように、ウエハをチャックに対してしっかりと保持できなければならない。工程2:段階的に(incrementally)電圧を低減させる。段階的に低減させる毎に、ウエハのエッジを軽く叩き、静電気的力が十分に低減されウエハがチャックの表面を滑ることができるようになっているかどうかを確かめる。工程3:ウエハが滑るときには、電圧は最適の脱チャッキング電圧に近い。望むならば、工程2で見出されたほぼ最適な値に近い種々の脱チャッキング電圧に於いてウエハをチャックから機械的に持ち上げるのに必要な力を測定することによって、最適電圧は更に精密に定めることができる。最適の脱チャッキング電圧は、ウエハを持ち上げるのに必要な機械的力を最小限にする電圧である。
工程2及び3に於いては、ウエハをチャックから完全に取り外すのに十分なだけ静電気的力が低減されたかどうかを確かめるのに、別の手段を用いることができる。例えば、ウエハのエッジを軽く叩く代わりに、リフト機構(例えばリフトピン142及びリフト機構146のような)が、所定の小さい機械的力をウエハの下側に加え、ウエハをチャックから押し離すように調整することができる。チャック電極とウエハとの間の電圧が、最適脱チャッキング電圧と等しくなり、ウエハをチャックに保持している静電気的力が所定の機械的力よりも小さくなるまで、ウエハはチャック上に留まる。
その最適脱チャッキング電圧は、類似した電気的及び機械的特性を有するウエハにとってはほぼ同一である。特に単一の処理バッチ(batch)からのウエハに対しては同じである。それ故、最適脱チャッキング電圧は一つのウエハに対して定めることができ、次に同一の脱チャッキング電圧を一つのバッチ内の各連続するウエハに対して用いることができる。具体的に言えば、各ウエハがチャック上に置かれると、通常のチャッキング電源120が通常のチャッキング電圧(例えば+2000ボルト)をチャック電極に印加し、処理工程中ウエハを保持する。ウエハの処理が完了すると、DC電圧電源120の出力は、そのバッチ内の第一のウエハに対して前もって定められた最適脱チャッキング電圧(例えば+600ボルト)まで低減され、ウエハをチャックから解放するようになる。この時点で、ウエハはチャンバから取り出すことでき、またそのサイクルはそのバッチ内の次のウエハに対して繰り返すことができる。
しかしながら、例え単一のバッチ内であっても、最適脱チャッキング電圧はウエハ毎にかなり変化するので、最適脱チャッキング電圧は各ウエハ毎に定めるのが好ましいということを発明者達は見出した。具体的に言えば、25個のウエハの1バッチ内の最初のウエハと最後のウエハとの間では、最適脱チャッキング電圧が+600ボルトから+400ボルトまで少しずつ低下していくことを発明者達は見出した。(ウエハ毎の最適脱チャッキング電圧に於ける小さな変化は、ウエハの平坦度或いは平滑度の差によって、またウエハとチャックとの間の微粒子の存在によってさえも生じうる。これらの差は、ウエハとチャックとの間の顕微鏡的ギャップの大きさに影響を与え、それ故ウエハとチャック電極との間の静電容量(capacitance)に影響を与える。)各ウエハに対する最適脱チャッキング電圧を迅速に定める好ましい方法が、次のセクション3に説明されている。
要約すれば、半導体ウエハを静電チャックから解放する(即ちウエハを「脱チャッキングする」)我々の新規な方法は、チャック電極とウエハとの間に脱チャッキング電極を印加することである。その脱チャッキング電圧は、先に印加されたチャッキング電圧と同一の極性(polarity)を有し、またチャック上にウエハを保持する静電気的力を最小限にし或いは除去する最適電圧値にほぼ等しくすべきである。脱チャッキング電圧の値は、上に述べたように経験的に(empirically)確立された値に設定することができ、或いは更に好ましくは、脱チャッキング電圧の値は、これから以下に説明する新規な方法によって設定することができる。
3. 最適脱チャッキング電圧を定める工程
脱チャッキング電圧を定めるための前述の経験的な方法は、生産のための用途に対しては現実的ではない。それは最適脱チャッキング電圧はウエハの一つのバッチと次のバッチとの間で変化するということを我々は見出したからである。幸いにも、ウエハがチャック上に装填されたときに個々のウエハに対する最適脱チャッキング電圧を自動的に定めるための方法及び装置を開発することもできた。
我々の自動化された方法は、ウエハがチャック110の上方に、ある距離をもっている間に、チャッキング電源120をチャック電極113と半導体ウエハ101との間に接続し、また次にウエハがチャック110の上側誘電体114上に降下されたときチャッキング電源120からの電流のサージ(surge)を(直接的に或いは間接的に、以下に述べるように)測定することによって、脱チャッキング電圧を確立する。我々は、ここで言う電流サージとはチャック電極113とウエハ101との間の静電容量を荷電することであると信じる。この静電容量は、ウエハとチャック電極との間の距離に反比例する。上部誘電体の厚さは典型的には僅かに75ミクロンであるので、ウエハがその上部誘電体に接触すると静電容量は急速に高くなる。
もし上部誘電体114内に電荷がないならば、電流サージはチャッキング電圧に直接的に比例する。しかしながら、上部誘電体に負の電荷があるならば、電流サージはその負の電荷の量に比例した量だけ低減する。
言い替えれば、「有効(effective)」チャッキング電圧は、上部誘電体内の負の電荷による仮想の「オフセット(offset)」電圧と実際のチャッキング電圧との間の差であると考えることができる。ウエハがチャック上に降ろされたときの電流サージは、「有効」チャッキング電圧に比例する。仮想の「オフセット」電圧は、もしチャック電極に印加されたならばその誘電体内の負の電荷をバランスさせ或いはオフセットさせるチャック電極の上方表面上の正の電荷を生じさせるであろう電圧に等しい。言い替えれば、その仮想「オフセット」電圧は、ウエハ上の静電気的力を除去する最適脱チャッキング電圧と等しい。これらの発見に基づいて、我々は最適脱チャッキング電圧を定めるために以下のような方法を開発した。工程1:ウエハ101をチャック110の上方に、ある距離を保ちながら(おそらく1mmで十分であるが1から5cmが便利である)、チャック電極113とウエハとの間に「テスト」チャッキング電圧を印加するようにチャッキング電源120をセットする。その「テスト」電圧は、以下の工程の間そのまま維持される。工程2:ウエハ101が上部誘電体114上に降ろされたときに、チャッキング電源120とチャック電極113との間のサージ電流を測定する。工程3:電流サージの測定値に比例定数「R」を乗じることによって「有効」チャッキング電圧を計算する。(「R」の値は、下に述べる較正処置によって予め定めるべきである。)工程4:その「テスト」チャッキング電圧の値から工程2で見出された「有効」チャッキング電圧の値をマイナスした値に脱チャッキング電圧を設定する。
チャック電極に印加されるウエハに対する「テスト」電圧はプロセスチャンバ100内でウエハ101を引き続き処理する際に用いることを意図されるチャッキング電圧とほぼ等しくするのが好ましい。その値は好ましい実施例では+2000ボルトである。ウエハの底に接触している(及び支持している)金属製のリフトピン142は電気的に接地されており、それによって電源120の接地された出力ターミナルとウエハとの間に電気的接続を提供している。
本明細書に於ける次のセクション4は、定数Rの値の較正の仕方を説明している。Rの値は処理されるウエハの相違には関係がなく、プロセスチャンバと関連するハードウエアの特性にのみ依存するということを我々は見出した。そのハードウエアの特性とは、例えばチャック上にウエハを降下させるための機構の速度やチャンバと静電チャックの部品間の静電容量などである。
したがって、本発明の重要な利点は、Rの値は与えられた装置に対して一回だけ較正すればよいということである。(「装置(apparatus)」とは、静電チャックや電気機械的制御システムのようなプロセスチャンバ100と関連するハードウエアを含む。)Rの値は、以下のセクション4に説明する方法を単一の標本ウエハを用いて実行することによってプロセスチャンバを顧客に出荷する前に較正することができるということを我々は見出した。次に、この較正値を、プロセスチャンバのための制御システムにプログラムで永久的に入れ込むことができる。チャンバによって次々と処理される各ウエハに対して、その制御システムは自動的に、先の第三パラグラフで説明した4工程から成る単一の方法にしたがって各ウエハ毎に最適脱チャッキング電圧を提供する。
先の4工程の方法の工程1を実行することが現実的でないような場合がある。それは、ウエハがチャックに関して保持されている間に電圧がウエハに印加できないからである。例えば、あるウエハはその背面側に誘電体のコーティングを有しており、それは半導体基板と金属製のリフトピンとの間の電気的な接触を排除する。また、金属製のリフトピンを用いないプロセスチャンバもある。
ウエハがチャック上に置かれている間そのウエハが電気的アース(ground)或いは他の電圧から絶縁されているような用途に於いては、最適脱チャッキング電圧を定めるための先の4工程から成る方法は変更することができる。具体的に言えば工程1及び2は次の工程1a、1b及び2aで置き換えることができる:工程1a:チャンバ100のための電気的アースとチャック電極113との間の「テスト」チャッキング電圧を印加するようにチャッキング電源120を設定する。この工程により、チャック電極と他のチャンバ部品、例えば陰極ペデスタル111、との間の静電容量が荷電され、工程2aで測定されるパルスが、ウエハとチャック電極との間の静電容量の荷電状態のみを反映することとなる。工程1b:ウエハ101を上部誘電体114上に置く。(工程1bは工程2aの前の何れのときに於いても実行することができ、また工程1aの前に実行することさえできる。)工程2a:電気的に接地されたプローブを、半導体基板と電気的に接触しているウエハ上の一点と接触させる。そのプローブがウエハと接触したとき、チャッキング電源120とチャック電極113との間の電流のサージを測定する。
工程2或いは工程2aに於いて、ウエハに流入する電流はチャック電極に流入する電流に等しく、そのため後者よりもむしろ前者を測定することができる。
4. 定数「R」を経験的に較正する工程
先のセクション3で説明したような脱チャッキング電圧を設定するための本発明の方法は、較正定数Rに依存しており、それは「有効」チャッキング電圧に対する、ウエハがチャックに落とされたときに発生される電流パルスの値に関係がある。Rの値は、ウエハがチャック上に降ろされる際に第一のチャッキング電圧V1が印加されるときに生じる電流パルスI1を測定し、次にその同じウエハがチャック上に降ろされる際に異なったチャッキング電圧V2が印加されるときに生じる電流パルスI2を測定することによって経験的に定められる。そのようにして定数Rは次の公式から定められる:R=(V2−V1)/(I2−I1)。この公式は次の二つの方程式を組合せることのよって導き出すことができる:
I1=(V1−Voffset)/R 及び、
I2=(V2−Voffset)/R。
Rを定めるためのこの方法は、上部誘電体114上の負の電荷(即ち仮想の「オフセット」電圧Voffset)が二つの測定の間で変化しない場合にのみ使うことができる。チャック電極に印加された電圧が十分に低い(ウエハを保持するために通常用いられる値よりも実質的に低い)ような場合には、上部誘電体上の電荷が電気的に接地された導電性の布で拭うことによって除去されるならば電荷は上部誘電体上に蓄積することはないということを我々は見出した。例えば、本発明を従来の静電チャック上でテストするとき、上部誘電体を接地された導電性の布で放電した後で、チャック電極113とウエハ101との間に1000ボルトを超えない電圧を印加しても上部誘電体内には電荷を生ずることはない。但し2000ボルトの通常チャッキング電圧を印加すれば誘電体内に負の電荷を生じさせるということを我々は見出した。
それ故、以下の工程によってRを経験的に定めることができる。工程1:上部誘電体を接地された導電性の布で放電する。工程2(行うか否かは随意であるが行った方が好ましい工程):チャンバをシールし、典型的な運転真空(例えば1mTorr)に圧力を下げる。工程3:供給電圧源を第一の比較的低い電圧V1(例えば500ボルト)に調整し、ウエハがチャックから離れている間に、それをウエハとチャック電極との間に接続する。工程4:その供給電圧電源をウエハとチャック電極との間に接続したまま、ウエハがチャック上に降ろされるとき電源とチャック電極との間の電流パルス(I1)を測定する。工程5:ウエハをチャックから離し、供給電圧電源を第二の比較的低い電圧V2(例えば1000ボルト)に調整する。工程6:電圧V2に対応する電流パルスI2を測定するために工程4を繰り返す。工程7:R=(V2−V1)/(I2−I1)を計算する。
Rを定めるためのこの手順は明らかに、上部誘電体の荷電を避けるのに十分なだけ低い何れかの二つの電圧値V1及びV2に於いて測定をすることによって一般化できる。
十分に低いために上部誘電体に電荷を負わせることができないような二つの電圧値を用いる代わりに、別のアプローチも可能である。即ち、通常のチャッキング電圧(例えばV1=2000ボルト)に於いて工程2と3を実行し、次に僅かに低い電圧(例えばV2=1900ボルト)で工程4と5と行うことである。ここでは、二つの電圧間の差(この例では100ボルト)は、十分に低く選び、二つの測定間で上部誘電体上の電荷を変化させないようにする。
先に説明したように本発明は次の理論に従わないけれども、チャッキング電圧がウエハと誘電体の間の非常に多くの(thousands)顕微鏡的ギャップを横切る強い電場を作り出すので、上部誘電体114は負の電荷を蓄積すると我々は信じる。ウエハをチャック上にしっかりと保持するに十分な高さのチャッキング電圧に於いては、この電場は電子をウエハから上部誘電体の隣接する表面に、「フィールドエミッション(field emission)」の物理的メカニズムによって、移動させると我々は信じる。
チャッキング電圧が十分に低い大きさに維持されるならば、誘電体上への電荷の蓄積は生じないと我々は信じる。それはウエハと誘電体との間の顕微鏡的ギャップ内の電場は十分に低く電子のフィールドエミッションを生じさせることはないからである。ここで述べた原理は、比例定数Rを定めるための先の7工程から成る方法に於いてV1及びV2に対して低い電圧を用いた理由を説明している。
半導体ウエハを解放するための脱チャッキング電圧を印加するための新しい方法及び装置は成功裡にテストされたということを繰り返したい。それ故、本発明の有用性は、上部誘電体の電荷の蓄積に対する物理的メカニズムの我々の理解が正解であると証明されるか否かに依存することはない。
5. パルス測定技術及び対応する比例定数
チャッキング電源とチャック電極との間の電流のサージ或いはパルスを測定するということは、次の二つに於いて必要である。即ち、(1)最適脱チャッキング電圧を定めるためのセクション3に規定された4工程から成る方法、及び(2)比例定数「R」を構成するためのセクション4に規定された7工程から成る方法。しかしながら、先の議論に於いては、どのような電流パルスのパラメータが測定されるべきかについては特定しなかった。
これらの測定の目的は、チャック電極に移送され或いはチャック電極から移送される電荷の量を定めることである。このことは、出力がチャック電極への(或いはからの)電流パルスの持続に対する時間積分を示す従来の積分器(integrator)回路を直接用いることによって測定できる。勿論、その電流は抵抗器(図2に於ける抵抗器210のような)をチャック電極113とチャッキング電源120との間に直列に接続することによって最も容易に検知される。そのようにした場合、その抵抗器を横切る電圧降下はチャック電極への電流に比例する。この電圧は積分器回路の入力側に接続できる。
電流パルスの時間積分を測定する代わりに、電流パルスの振幅のピークを測定すること、または更に具体的に言えば、直列につながれた抵抗器を横切る電圧パルスのピーク値を測定することが、都合のよい代替案であるということを我々は見出した。測定回路に於けるまたプロセスチャンバハードウエアに於ける与えられた一組の時定数(time constants)に対しては、測定されたピーク値が電荷移送の量に比例するということを我々は見出した。適切な電圧パルスのピーク値を測定するために好ましい実施例で実際に用いられる回路が、この特許明細書の以下の部分に説明されている。
電流パルスを測定するためのこれらの代替技術の何れを選ぼうとも、その選ばれた技術は次の目的のために用いられるべきである。即ち(1)最適脱チャッキング電圧を定めるためにセクション3で規定された4工程から成る方法で「電流サージの値(value of the current surge)」を測定するため、また(2)定数「R」を較正するためにセクション4で規定された7工程から成る方法でI1及びI2を測定するため。異なったパルス測定技術は、異なった比例係数だけ異なる測定値を生じるので、どのパルス測定技術を選ぶかによって、セクション4の較正方法によって得られた「R」の値はまた、対応する比例係数だけ異なる。しかしながら、「R」を較正するためと「R」を用いて最適脱チャッキング電圧を定めるのに同一のパルス測定技術が用いられる限りは、このことは問題にならない。(更に、「R」の値に二つの技術によって得られる測定値の比を示すスケールファクタを掛けるならば、較正方法と脱チャッキング方法に対してそれぞれ二つの異なったパルス測定技術を用いることも可能である。)
6. 本発明の脱チャッキング方法を実行するための新規な装置
図2は、図1に示す従来のプロセスチャンバと静電チャックを用いて本発明の脱チャッキングの方法を実行するための本発明の好ましい装置を示している。
従来のデジタルマイクロコントローラ200は、脱チャッキング電圧を定めるために本発明の方法によって必要とされる測定を実行し、その測定された値をメモリに記憶させ、所望のチャッキング或いは脱チャッキング電圧を計算し、チャッキング電源120によってチャック電極113に印加される電圧を制御するようにプログラムされる。
チャッキング電源(chucking voltage supply)120は、コントローラ200から電気信号ライン202上に受信される制御信号に応じて変化する出力電圧を有する。電源の負の出力ターミナルは接地され、正の出力ターミナルは、直列に接続された二つの1メグオーム(megohm)の抵抗器210及び212を通してチャック電極113に接続されている。AC結合の増幅器(AC−coupled amplifier)220が、10メグオームの抵抗器214を通して二つの1メグオームの抵抗器の接合点「A」に接続された接地されていない入力を有する。その増幅器の入力はまた、10キロオームの抵抗器216を通してアースに接続されており、抵抗器214及び216は1000:1の電圧分割器(voltage divider)を形成しており、その結果増幅器の入力に於ける電圧は接合点Aに於ける電圧VAの1000分の1となっている。
AC結合の増幅器220は50の電圧ゲインを有し、その出力に於いて、20で割ったVAのAC成分に等しい電圧を提供する。(図2に示された増幅器220の好ましい実施例は、それぞれ5と10の電圧ゲインを有する二個のカスケード接続された増幅器222及び224を含む。)増幅器220の出力は、従来のピークディテクタ250の入力につながっており、そのピークディテクタ250は、その出力に於いて、そのピークディテクタがその前にイネイブルであったとき以来その入力で受信されたピークの負電圧をストアしている。ピークディテクタは、トランジスタスイッチ252を用いてその出力を接地する(即ち「リセットする(resetting)」)ことによってディスエイブルできる(disabled)。ピークディテクタは、スイッチ252が開になると、イネイブルになる(enabled)。(図2は正のピークディテクタ254及び対応するリセットスイッチ256を示しているが、これらはここで説明しようとしている好ましい操作方法に於いては用いられない。)
増幅器220は、その出力をディスエイブルするための回路を含んでおり、マイクロコントローラ200から信号ライン204上に受信されたイネイブルされたコントロール信号の値に基づいてピークディテクタ250にゼロボルトを提供するようになっている。マイクロコントローラはまた、トランジスタスイッチに向けて信号ライン206上に制御信号を送ることによって、そのトランジスタスイッチ252をコントロールする。最後に、マイクロコントローラはピークディテクタから信号ライン208を通して出力電圧を受信する。
この装置の操作は、図3のタイミングダイヤグラムを参照することによって最もよく理解できる。以下説明する全ての働き(activities)は、従来の方法に於ける種々の電気的部品及び電子機械的部品(components)を制御するマイクロコントローラ200のプログラミングによって支配される。そのタイミングダイヤグラムは装置が以下のような状態にあるところから始まる。即ち、半導体ウエハ101は、チャック110の上方約2.5cmの所にリフトピン142によって支えられている。チャッキング電源120及びRF電源130は、出力ゼロに設定されている。増進器220及びピークディテクタ250はディスエイブルにされている。真空ポンプ(図示せず)が、プロセスチャンバ100の内側を真空に維持している。(好ましい実施例をテストするために我々が用いたプラズマエッチチャンバでは、真空ポンプは約1mTorrのチャンバ圧力を維持した。)
時間T1に於いてマイクロコントローラ200は制御信号をワイヤ202に送り出し、その信号はチャッキング電源120に「テスト」チャッキング電圧を出力するようにさせ、その電圧は好ましい実施例に於いては+2000ボルトである。チャック電極113と陰極111との間の静電容量が急速に荷電されると、接合点Aに於ける電圧VAは+2000ボルトに跳ね上がる。コントローラ200は、このとき増幅器220及びピークディテクタ250を引き続きディスエイブルにしておくので、VAの値に於けるこの2000ボルトのジャンプはピークディテクタにストアされない。
時間T2に於いて、マイクロコントローラはワイヤ145に制御信号を送り出し、その制御信号はニューマティックリフト機構146を下の方に動くように指令し、そのことによってウエハ101をチャック110上に降ろすようにリフトピン142が降下する。好ましい実施例に於いてはウエハの降下には3秒かかる。降下が始まって1秒後に、コントローラ200はコントロールライン204上にイネイブル信号を出すことによって増幅器220をイネイブルとする。更に1秒後に、コントロールライン206上にイネイブル信号を出すことによってコントローラはピークディテクタ250をイネイブルとする。(ピークディテクタは、ノイズスパイク(noise spike)によってだまされる危険性を最小限にするために、時間T3の前にできるだけ遅くイネイブルとされる。)更に約1秒後時間T3に於いて、ウエハはチャックの上部誘電体114上に落ちる(drops)。
時間T3に於いてウエハがチャック上に落ちたとき、電流のパルスがチャッキング電源120からチャック電極113に流れ、チャック電極と接地されたウエハ101との間の静電容量を荷電する。ウエハは金属製のリフトピン142と接触することによって接地される。そのリフトピンは10メグオームの抵抗器136を通してアースに接続されている。この電流パルスは第一の1メグオームの抵抗器210を横切って電圧降下を生じさせ、そのため接合点Aに於ける電圧VAが+2000ボルトDCの電圧値に重ね合わされた大きさV3の負方向のスパイクを有することになる。このスパイクは好ましい実施例に於いては約56ボルトであり、AC結合の(AC−coupled)増幅器220によって増幅され、ピークディテクタ250によってストアされる。2000ボルトDC信号を無視しパルスだけを増幅するように、増幅器はAC結合されるのが望ましい。
時間T3の約1秒後に、コントローラは信号ライン208上に表われるピークディテクタからの出力値Vpをそのデジタルメモリ内にストアする。ストアされたピーク値Vpは、V3をスケール化して表示したもの(scaled representation)である。具合的に言えばVpはV3を電圧分割器である抵抗器214及び216の比で割って、次に増幅器200のゲインを掛けた値に等しい。(好ましい実施例では、Vp=V3/20。)Vpの値をストアした後ですぐに、コントローラは増幅器及びピークディテクタをディスエイブルする。それは次のウエハが処理されるまでそれらは再び必要とされることがないからである。
時間T3とT5との間の期間の間、コントローラ200は、現在そこにあるウエハのための最適脱チャッキング電圧の値を計算する時間を有する。この値は、ウエハ解放のプログラムが時間T5に於いて始まるときに必要とされる。コントローラは、この特許明細書のセクション3に説明した方法を用いて最適な脱チャッキング電圧を計算する。具体的に言えば、コントローラはストアされたパルス測定値Vpとプログラムされた較正係数Rとを掛け合わせる。(Rの値は前もって、上のセクション4で説明した7工程から成る較正手続きを用いて確立しておくべきである)。次にコントローラは、掛け算の結果を「テスト」チャッキング電圧の値から引算する。その結果は最適脱チャッキング電圧である。
較正係数Rは、コントローラのデジタルメモリ中に数字としてストアされるのが好ましく、コントローラはデジタル計算を用いて掛け算をするのが好ましい。コントローラは容易に、現場のサービスマンが脱チャッキング較正手続き(上のセクション4による)を繰り返し、メモリ中にストアされたRの値を更新することができるようにプログラムできる。
図3を参照すると、時間T4に於いてコントローラ200はコントロール信号をワイヤ203に送り出し、その信号はRF電源130をオンにする。引き続き、1以上の従来からの半導体デバイス製造プロセス工程が、プロセスチャンバ100によってウエハ102上に行われる。
時間T5に於いて、製造プロセスは完了し、ウエハはチャックから解放されなければならない。この時間に於いて、コントローラ200はワイヤ202に制御信号を送り出し、その信号はこのウエハのための最適脱チャッキング電圧まで出力電圧を低減させるようにチャッキング電源120に指令を与える。この脱チャッキング電圧は、上で説明したように時間T3とT5との間の期間にコントローラによって計算された値である。
脱チャッキング電圧はチャック電極113とウエハ101との間に印加されなければならないので、RFパワーは脱チャッキングの工程の間中オンのままになっており、ウエハを接地されたチャンバ壁105に電気的に接続するプラズマを維持する。しかしながら、脱チャッキング工程中のRFパワーレベルは、プラズマによるウエハの加熱を低減するように、ウエハを処理するために用いられるRFパワーレベルよりも小さいのが好ましい。加熱を低減することにより、プラズマプロセス中にウエハの冷却を高進するためにウエハとチャックの上面との間に従来から導入されているヘリウム(helium)ガスを、脱チャッキング工程中に、オフにするのが可能になる。従来のやり方ではヘリウムガスの圧力はチャンバの圧力よりも僅かに高い(1から10トール(torr)だけ)ので、脱チャッキング工程中ガス圧力をオンにしておくことにより、ウエハがチャックから予期できないような位置にまで跳上り得る。ウエハ冷却のためにヘリウムガスを用いる従来のシステムは、米国特許第4680061号、第4842683号(コラム12、54行目以下)、及び第4565601号に説明されている。これらの特許の内容は、本特許明細書中の一部とする。我々が好ましい実施例で実行したプラズマエッチングシステムに於いては、RF周波数は13.6MHzであり、RFパワーはウエハ101のエッチング中800から1000ワットであり(時間T4とT5との間)、RFパワーは脱チャッキング中25ワットである(時間T5とT6との間)。
1或いは2秒後、ウエハは、印加された脱チャッキング電圧に応じてその電荷をアースに放電してしまうと考えられる。それ故、時間T6に於いてコントローラはRF電源130をオフにする信号をワイヤ203に送り出し、またニューマティックリフト146に指令してリフトピン144を上昇させウエハをチャックから取り外すようにする制御信号をワイヤ145に送り出す。リフトピンがウエハに近づく前にプラズマをオフにすることが、プラズマと接地されたリフトピンとの間にアークが飛ぶのを回避するのに望ましい。
ニューマティックリフト機構145がリフトピンを(時間T6において)上昇させ始めた数秒後に、ピン144はウエハの底を打ち(時間T7に於いて)、ウエハをチャックから上昇させ始める。ウエハがチャックから離れるとすぐに脱チャッキング電圧はもはや必要ではなくなり、コントローラ200はDC電源に指令を与え、その出力電圧をゼロに下げる。それは1乃至は2秒後である(時間T8に於いて)。
次にそのウエハはプロセスチャンバ100からロボット(図示せず)によって取り出され、新しいウエハがチャンバ中に運び込まれ、以上説明した全工程がその新しいウエハに対して繰り返される。
7. 別の実施例
以上述べたように、図2に示される回路は正のピークディテクタ254とそれに関連するリセットスイッチ256とを含むが、それらは好ましい脱チャッキング方法では使用されない。それは電圧パルス時間T3で測定された電圧V3は常に負だからである。好ましい脱チャッキング方法に於いては、時間T1から時間T3までに印加される「テスト」チャッキング電圧は時間T4とT5との間のウエハ処理工程の間に用いられる実際のチャッキング電圧と同じである。したがって、脱チャッキング電圧は一般に「テスト」電圧よりも低く、そのため電圧パルスV3は負である。それ故、正のピークディテクタ254とそのリセットスイッチ256は除去することができる。これは好ましいことではないが、区間T1からT3までの間に脱チャッキング電圧よりも低い「テスト」電圧を用いることが可能であり、その場合には電圧パルスV3は正である。この可能性を許すために、図2に示す回路は第二のピークディテクタ254を含み、その第二のピークディテクタは正の極性の電圧ピークをストアする。時間T3の少し後に、デジタルコントローラ200は、負と正のピークディテクタ250と254の出力の大きさを比較する。このコントローラは、電圧パルスV3の真の値として大きさの低いピーク出力を無視する(ignore)ようにプログラムされており、またこのコントローラはこの値を(負或いは正のピークディテクタ出力の何れが選定されたかにしたがって負或いは正の符号を付けて)「テスト」チャッキング電圧の値に代数的に加え最適脱チャッキング電圧を計算する。
セクション5(「パルス測定技術」)で述べたように、電圧パルスV3はピークディテクタよりもむしろ従来の積分器(integrator)回路を用いて測定できる。積分器は典型的にはバイポーラ型(bipolar)であり、そのため負及び正のピークディテクタ250及び254の両方を単一の積分器で置き換えることができる。トランジスタスイッチ252のようなリセットスイッチは、時間T3の直前に積分器の出力をゼロにリセットして、ウエハがチャック上に落ちたときに電圧の積分値のみを積分器出力が反映するようになっているのが好ましい。
上に述べた好ましい実施例に於いては、較正係数Rはコントローラ200のデジタルメモリ中にストアされる。係数Rに測定されたピークデジタルVpをデジタル的に掛け、次にその積を「テスト」チャッキング電圧から差し引き最適脱チャッキング電圧を定めるようにプログラムされた従来型の算術的プロセッサを前記コントローラは含む。
別のやり方として、本発明によって必要とされる計算を、デジタルコントローラよりもむしろアナログエレクトニクスに於いて実行することも可能である。具体的に言えば、パルス値と較正係数Rとの掛け算が図2に示されるアナログ測定回路内で行うことができる。例えば、より小さな電圧分割抵抗器216の当初の抵抗値に、先に計算したRの値を掛けることができ、或いは増幅器220の当初のゲインが、係数Rによって増大させることができ、よってVpのV3に対する比を同じ係数Rだけ増大することができる。この方法でアナログ回路中に於いて較正係数Rを実行することにより、デジタルコントローラがRの値をストアし或いはデジタルの掛け算を何ら行う必要がなくなる。
例えば、セクション4に説明した定数「R」を計算するための7工程から成る方法を実行するのに、図2に示される測定回路が用いられたとしよう。ピークディテクタ250の出力電圧Vpが、その方法のそれぞれ工程4及び6に於ける電流パルス測定I1及びI2を実行するのに用いられるだろう。工程7で計算された「R」の値がそのとき56であったとしよう。この較正係数R=56は、次のような工程によってアナログエレクトロニクス内で実行できる。即ち、(1)より小さい電圧分割抵抗器216を10キロオームから560キロオームに増やすこと、或いは(2)増幅器200のゲインを50から2800に増やすこと、或いは(3)抵抗器216を10Kから280Kまで増やし、増幅器のゲインを50から100に増やすこと。
本発明は半導体ウエハ製造の分野内に於いて説明したが、本発明は、チャッキング電圧がチャックの誘電層内に閉じ込められる電荷に対して十分高いようなどのような静電チャックの運転にも同様に有用である。
Claims (12)
- 被加工物を静電チャック上に保持し次に解放する方法であって、前記チャックが、電極と、その電極と前記被加工物との間の誘電体とを含み、
前記被加工物を前記チャックから離して保持する工程と、
前記電極と前記被加工物との間に、第一の値を有する出力電圧を供給するように調整されたDC電源を接続する工程と、
前記被加工物を前記チャックに接触するように動かす工程と、
前記被加工物がチャックに接触したとき前記電源からの電流のサージを測定する工程と、
前記電流サージの前記測定された値に比例する量を前記第一の電圧値から差し引くことによって最適脱チャッキング電圧値を定める工程と、
前記被加工物を前記チャック上に保持するに十分な大きさの第二の値に前記出力電圧を調整する工程と、
続けて前記最適脱チャッキング電圧になるように定められた値に前記出力電圧を調整することによって前記チャックから前記被加工物を解放する工程とを備える、方法。 - 前記定める工程に於いて、前記電流サージの前記測定値と所定の比例定数とを掛け合わせることによって前記電流に比例する前記量を得て、また前記比例定数が以下の工程によって予め定められる、請求項1記載の方法。
前記電極と前記チャックから離して置かれた試行被加工物との間に電源を接続し、その電源の出力電圧を第一の試行電圧V1に調節する工程と、
前記試行被加工物をチャックに接触するように動かし、前記電源からの電流の前記サージの第一の測定I1を同時に行う工程と、
前記試行被加工物を前記チャックから遠ざかるように動かし、前記出力電圧を第二の試行値V2に調整する工程と、
前記試行被加工物をチャックに接触するように動かし、同時に前記電源からの電流の前記サージの第二の測定12を行う工程と、
前記比例定数を(V1−V2)/(I1−I2)に設定する工程。 - 被加工物を静電チャック上に保持し次に解放する方法であって、前記チャックが、電極と、その電極と前記被加工物との間の誘電体とを含み、
第一と第二のターミナルの間に第一の値を有するDC電圧を供給する工程と、
前記第一の電源ターミナルを前記電極に電気的に接続する工程と、
前記チャック上に前記被加工物を置く工程と、
前記第二の電源ターミナルを前記被加工物に電気的に接続し、また同時に前記電源からの電流の前記サージを測定する工程と、
前記電流サージの前記測定値に比例する量を前記第一の電圧値から差し引くことによって最適脱チャッキング電圧値を定める工程と、
前記電極と前記被加工物との間に、前記被加工物を前記チャック上に保持するに十分な大きさの第二の値を有する電圧を接続する工程と、
続けて前記電極と前記被加工物との間の前記電圧を前記最適脱チャッキング電圧であるように定められた値に変えることによって前記チャックから前記被加工物を解放する工程とを備える、方法。 - 前記定める工程に於いて、前記電流サージの前記測定値と所定の比例定数とを掛け合わせることによって前記電流に比例する前記量を得て、また前記比例定数が以下の工程によって予め定められる、請求項3記載の方法。
前記チャック上に試行被加工物を置く工程と、
前記電源を前記電極と前記試行被加工物との間に接続し、前記電源の前記出力を第一の試行電圧V1に調整し、前記電源からの電流の前記サージの第一の測定I1を実行する工程と、
前記電源を前記電極と前記試行被加工物との間に接続し、前記電源の前記出力を第二の試行電圧V2に調整し、前記電源からの電流の前記サージの第二の測定I2を実行する工程と、
前記比例定数を(V1−V2)/(I1−I2)に設定する工程。 - 被加工物を静電チャック上に保持し次に解 放する方法において、
前記チャックが電極と、その電極と前記被加工物との間 に誘電体とを含み、
静電引力によって前記チャック上に前記被加工物を保持 するに十分な大きさの第一の電圧を前記電極に印加する 工程と、
続けて同じ極性の低減された値に前記電圧を下げる工程 とを備え、
前記低減された値は前記被加工物を保持する前記静電引 力を最小限にするように選ばれ、またその低減された値 は実質的にゼロより大きい、前記方法であって、
前記電圧を続けて下げる前記工程が:
(a)前記電圧を下げる工程と、
(b)前記被加工物を動かすのに要する力をテストする工程と、
(c)前記テストする工程で前記被加工物を動かすのに要する力がある敷居値より下になるまで工程(a)及び(b)を順番に繰り返す工程と、
を備える、前記方法。 - 前記力をテストする前記工程が、所定の力が前記チャックの表面に並行な方向にウエハに加えられたときに前記チャックの前記表面に沿って前記被加工物が滑るか否かをテストする工程を備える、請求項5記載の方法。
- 前記力をテストする前記工程は、所定の力が前記チャックから離れる方向にウエハに加えられたとき、前記被加工物が前記チャックから分離されることができるか否かをテストする工程を備える、請求項5記載の方法。
- 製造被加工物を静電チャック上に保持し次に解放する方法であって、前記チャックが電極と、その電極と前記被加工物との間に誘電体を含み、
(a)前記チャック上にテスト被加工物を置く工程と、
(b)(i)複数の異なった電圧の各々に対して前記チャック上に前記被加工物を保持する静電気的力をテストする工程と、(ii)前記異なる電圧のうち前記テストする工程に於いて最も小さい静電気的力を発生した電圧を最適脱チャッキング電圧として選定する工程と、によって最適脱チャッキング電圧値を定める工程と、
(c)テスト被加工物をチャックから取り除く工程と、
(d)前記チャック上に製造被加工物を置く工程と、
(e)静電引力によって前記チャック上に前記製造被加工物を保持するのに十分な大きさの電圧を前記電極に印加する工程と、
(f)続けて前記電極に印加された前記電圧を前記最適脱チャッキング電圧値に変えることによって前記製造被加工物を解放する工程とを備える方法。 - 被加工物を静電チャック上に保持し次に解放する方法であって、前記チャックが電極と、その電極と前記被加工物との間に誘電体とを含み、
(a)前記チャック上に被加工物を置く工程と、
(b)(i)複数の異なった電圧の各々に対して前記チャック上に前記被加工物を保持する静電気的力をテストする工程と、(ii)前記異なる電圧のうち前記テストする工程に於いて最も小さい静電気的力を発生した電圧を最適脱チャッキング電圧として選定する工程と、によって最適脱チャッキング電圧値を定める工程と、
(c)静電引力によって前記チャック上に前記被加工物を保持するのに十分な大きさをもった電圧を前記電極に印加する工程と、
(d)続けて、前記電極に印加された前記電圧を前記最適脱チャッキング電圧値に変えることによって前記被加工物を解放する工程と、を備える方法。 - 最適脱チャッキング電圧値を定める前記工程が、
(e)前記電圧を下げる工程と、
(f)前記被加工物を動かすのに要する力をテストする工程と、
(g)前記テストする工程に於いて前記被加工物を動かすのに要する力がある敷居値より下になるまで、工程(e)と(f)を順番に繰り返す工程とを備える、請求項9記載の方法。 - 前記力をテストする前記工程が、所定の力が前記チャックの表面に並行な方向に前記被加工物に加えられたとき、前記チャックの前記表面に沿って前記被加工物が滑るか否かをテストする工程を更に含む、請求項10記載の方法。
- 前記力をテストする前記工程が、所定の力が前記チャックから離れる方向に前記ウエハに加えられたとき、前記被加工物が前記チャックから分離できるか否かをテストする工程を更に含む、請求項10記載の方法。
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